JP3724571B2 - シリコン単結晶の製造方法及びシリコン単結晶の製造装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、チョクラルスキー法(以下、CZ法と称する。)を用いてシリコン単結晶を製造する方法と、その製造に用いられる製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
CZ法を用いた一般的なシリコン単結晶の製造装置においては、炉本体の内部にシリコン融液を収容するルツボを備え、該ルツボの周囲にヒータを配設し、ルツボ内のシリコンを融解し、この融解したシリコン融液の温度を一定に保ちながら、シリコン融液に種結晶を浸漬してルツボと種結晶を回転させつつ、種結晶を上方に引上げることによって、種結晶下方に単結晶を育成する。
【0003】
この一方で、マイクロコンピュータや大容量DRAM、あるいはその他の集積回路用に、シリコンデバイスの需要はますます増加する傾向にあり、価格低減に対する要求も極めて激しくなっている。そして、このようなシリコンデバイスを製造するための基板となるシリコン単結晶ウエーハの材料として、CZ法で育成されたシリコン単結晶が大量に用いられている。最近、CZ法によるシリコン単結晶は、ウエーハをデバイス化する際の歩留まり向上及び価格低減のために、直径が200mm、さらには300mmを超える大型のものが主流となりつつあり、結晶定径部もより長いものが求められている。
【0004】
このような大型のシリコン単結晶をCZ法で製造する場合、大型のルツボに100kgを超えるシリコン多結晶原料を充填し溶融した後、1400℃以上もの高温に炉内部の雰囲気を保って結晶育成を行なう必要がある。また、大直径かつ結晶定径部の長い単結晶を引上げるために、炉本体を大型化し、原料配置スペースの拡張を図った単結晶製造装置を使用することも試みられている。いずれにしろ、ルツボ内に保持されるシリコン融液の容積が大きくなるため、その温度を如何に効率よく一定に保つかが、効率よく単結晶を引上げる上で重要なポイントとなる。
【0005】
具体的には、ヒータによるシリコン融液の加熱を効率よく行ない、かつ金属製の炉本体の炉壁をヒータの輻射熱から保護するため、炉本体の炉壁付近には黒鉛材等を材料とした断熱材を配置することが有効である。この断熱材によって炉壁を保護すると同時に炉本体内部を保温し、余分なヒータの発熱を抑え無駄なくシリコン融液温度を一定に保持できるようになる。また、加熱したシリコン融液の保温効果を高めるために、ルツボの下方にも断熱材を配置することが行われている。例えば、特開平5−43383号公報には、炉底の断熱材を立設させて下方への放熱を防止する装置が記されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
近年、シリコンウエーハの表層に形成される集積回路は、ますます大規模化、高集積化のためパターンが微細化する傾向にある。そのため、ウエーハ表層に集積回路を形成した際に、微小であっても集積回路の素子特性を損なうような結晶欠陥が存在すると、集積回路としての機能を果たさなくなるため問題視されている。そのため、CZ法によるシリコン単結晶の製造においては、結晶の内部に導入されるグローン−イン欠陥(grown-in defect)を適切に制御することが求められている。具体的には、シリコン融液から引上げた単結晶の冷却雰囲気を調整し、グローン−イン欠陥の形成され難い温度条件に整えて単結晶育成を行なうことが重要である。
【0007】
この他にシリコンウエーハには、ウエーハ表層に集積回路を形成する際に、重金属等の汚染物質が前記集積回路の特性に悪影響をおよぼさないよう、該ウエーハ表層の汚染物質を内部に捕獲するためのゲッタリングシンク(gettering sink)が形成される。この時、ウエーハ内に存在する酸素がゲッタリングサイトとして働くことから、CZ法を用いたシリコン単結晶の育成では、単結晶育成時に結晶に取り込まれる不純物、即ち、結晶中の酸素濃度をデバイス工程での熱処理条件等にあわせて、所望の値に調整することも要求される。
【0008】
CZ法を用いたシリコン単結晶の育成では、シリコン融液を保持する為のルツボとして石英製ルツボが使用されている。単結晶育成時に結晶内部に取り込まれる酸素は、石英製ルツボが高温に加熱された際に、ルツボから二酸化珪素(SiO)としてシリコン融液中に溶出したものが熱対流により結晶育成界面付近まで運ばれ、内部に取り込まれたものである。シリコン単結晶に取り込まれる酸素の量を調整する手段としては、ルツボ壁からシリコン融液内へ溶出する酸素量を増減させる方法と、融液の対流を活用して結晶成長界面へ運ばれる酸素の量を調整する方法とがある。このうち、直接的にシリコン融液の温度を調整して石英製ルツボから溶出する酸素を制御するのは難しいことから、通常は、シリコン融液に生じる対流を制御することによって、結晶に取り込まれる酸素のコントロールを行っている。
【0009】
ところで、最近は、結晶中の酸素濃度を低く抑えた、低酸素濃度のシリコン単結晶が多く求められる傾向にある。これは、シリコンウエーハに形成される集積回路の微細化、高密度化にともない、集積回路を作る際の熱処理等で生じた酸素析出物が、集積回路の特性に悪影響をおよぼすのを抑制するためであり、結晶中の酸素濃度を低く保つことによって集積回路を作るウエーハの表層に析出物が形成されるのを抑えている。
【0010】
また、大型のシリコン単結晶製造装置においては、生産性の向上と単結晶の大直径化、大型化を目指し、結晶を育成する際にルツボに収容する原料の大容量化が進められている。しかし、一度に多くの原料をルツボに収容するにはルツボ自身も自ずと大きくなり、単結晶育成時にシリコン融液に溶け出す酸素の量も増え、大型のシリコン単結晶製造装置では、需要の拡大している低酸素濃度の結晶を引上げ難いという問題があった。また、ルツボを収容する育成炉本体も大きくなるので効率よく保温することが難しく、ルツボに収容された融液の温度を適切な温度に保持するために、ヒータの発熱量を大きく保ちながら引上げを行なう必要があることから、これも大型機での低酸素濃度の単結晶の引上げを困難とする一因となっている。加えて、装置の大型化によりヒータの発熱量が増加し、原料融液から引上げた単結晶の冷却雰囲気を所望の状態に安定的に保つことが難しくなり、グローン−イン欠陥を高精度に制御して低欠陥結晶を得る操業方法並びに装置の検討も必要とされている。
【0011】
本発明の課題は、原料融液から引上げられる単結晶の冷却雰囲気を、結晶の育成開始から終了までの間適切に保ち、結晶欠陥を高精度に制御したシリコン単結晶の育成を容易にすると同時に、育成時に原料融液から単結晶に取り込まれる酸素量の調整範囲を広げ、高酸素濃度の単結晶から低酸素濃度に渡る多品種の単結晶を製造できるシリコン単結晶の製造方法とそれに用いる製造装置とを提供するところにある。
特に、本発明の製造方法並びに装置は、直径200mm以上の、例えば直径300mmや400mmあるいはそれ以上の低酸素濃度のシリコン単結晶を育成するのが難しかった大型大直径のシリコン単結晶を育成する大型機で有効に作用し、結晶欠陥を高精度に制御すると同時に結晶の酸素濃度の最適化を図り幅広い品質要求に対応したシリコン単結晶の製造方法と製造装置とを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】
上記の課題を解決するために本発明のシリコン単結晶の製造方法は、
ルツボ内のシリコン融液からチョクラルスキー法によりシリコン単結晶を引上げ育成・製造する方法であって、
ルツボの下方に断熱板を配置するとともに、シリコン単結晶の引上長の増大に伴い断熱板とルツボとの間隔が拡大するように、該シリコン単結晶の引上げに際してルツボを上昇駆動し、かつ断熱板を下降駆動することを特徴とする。
【0013】
また、本発明のシリコン単結晶の製造装置は、
炉本体内にてルツボ周囲に配置されたヒータにより該ルツボ内のシリコン融液を加熱しつつ、該シリコン融液からチョクラルスキー法によりシリコン単結晶を引上げ育成・製造するための装置であって、
シリコン単結晶の引上げ時においてルツボがルツボ上昇機構により上昇駆動され、
炉本体内においてルツボの下方に、断熱板下降機構によりルツボの上昇駆動に合わせて下降駆動が可能とされた断熱板が配置されたことを特徴とする。
【0014】
上記本発明においては、CZ法によりシリコン単結晶を引上げる際に、ルツボ内のシリコン融液面の位置変動を抑制して得られるシリコン単結晶の径や品質の安定化を図るため、シリコン単結晶の引上げ進行に合わせてルツボを上昇させる。この場合、シリコン単結晶の引上長の増大に伴いシリコン融液の液面位置が予め定められた範囲内に位置保持されるように、具体的にはほぼ一定となるように(例えば、種結晶を融液に着液させた液面の絶対位置が、結晶育成中においてほぼ静止するように)、ルツボの上昇駆動を行なうことが望ましい。このような手法は、CZ法によるシリコン単結晶製造においては常套的なものであるが、本発明においては、そのルツボの上昇に合わせて、該ルツボの下方に配置された断熱板を下降させながらシリコン単結晶の引上げを行なう点に特徴がある。
【0015】
一般的に、断熱板がルツボ底部に近接している場合は、その保温効果によりルツボからの酸素溶出量が増え、結晶中の酸素濃度が下がり難くなる。低欠陥結晶を育成するためには、ヒータの発熱量を抑える目的でルツボ周囲の保温効果を高めることは有効であるが、必要以上に保温効果が高まると結晶の酸素濃度も高酸素化する傾向を示す。従って、結晶欠陥を制御しつつ低い酸素濃度の結晶を得るには、目的とする酸素濃度や減ったルツボ内の残融液量に合わせてルツボ周囲の保温効果を弱める必要がある。
【0016】
特に、原料融液の量が多い結晶育成初期の引上軸方向の酸素濃度を下げることは、低欠陥結晶の育成条件を鑑みると難しいが、ルツボ内の残融液量がある程度減少した以降で断熱板を徐々に下方へ移動させることによる低酸素化への影響は大きい。本発明では、断熱板をルツボと反対方向に移動させながらシリコン単結晶の引上げを行うようにしたから、引上げ末期に近づくほどルツボを保温する効果が軽減され、残融液への酸素溶出量が減り、より低酸素濃度のシリコン単結晶の育成が可能となる。
【0017】
上記の説明からも明らかなように、断熱板をルツボと反対方向に移動させることは、育成結晶の酸素濃度の調整範囲を広げる、特に低酸素側の調整範囲を広げる上で有効であるが、シリコン単結晶引上げを開始する際の初期位置の調整により、得られるシリコン単結晶の酸素濃度や欠陥形成密度を随意にコントロールすることも可能である。例えば、同一の製造装置により、酸素濃度や欠陥形成密度の相違した種々の品種(グレード)のシリコン単結晶を製造する場合、シリコン単結晶の引上げを開始するに際し、断熱板の高さ方向の初期位置を製造すべきシリコン単結晶の酸素濃度や欠陥形成密度等の特性に応じて変更し、当該初期位置から断熱板を下降駆動しつつシリコン単結晶の育成を行なうことが有効である。特に、育成結晶の酸素濃度の最適化を図る上で有効に作用する。
【0018】
上記と同様の効果を得るために、例えば、断熱板の厚みや断熱板の材質を変更することも可能であるが、複数の断熱板を準備したり、微妙な調整を行なうことが困難な問題もある。しかしながら断熱板初期位置の変更であれば、断熱板の交換も不要であり、微調整等にも容易に対応できる。
【0019】
断熱板はルツボ周囲の保温効果を高めるため、ヒータからの輻射熱を抑え、低欠陥結晶を作り易くする機能を有するとともに、その配置位置によって、結晶に取り込まれる酸素の量を変えることができる。そこで、断熱板の高さ方向の初期位置を、製造するべきシリコン単結晶の酸素濃度に応じて変更することが有効となる。
【0020】
具体的には、断熱板の高さ方向の初期位置を、製造するべきシリコン単結晶の酸素濃度が低くなるほど、該断熱板表面からルツボの底面までの距離dが大きくなるように調整することが有効である。断熱板はルツボ全体を保温する効果があるため、その保温効果の程度によってルツボ内壁から溶出する酸素を増加させる作用も生ずる。従って、ルツボに近い位置に断熱板を配置すること、すなわち、断熱板とルツボとの距離dを近づけることにより、ルツボ全体が高温となってシリコン融液への酸素供給量が増え、結果として、得られるシリコン単結晶の酸素濃度は高濃度側にシフトさせることができる。また、断熱板とルツボとの距離dを小さくすると、ヒータからの輻射熱をブロックする効果が高まるので、発熱量を抑え、欠陥を抑制したシリコン単結晶を育成するのに好適な温度雰囲気をより形成し易くなる。
【0021】
他方、断熱板とルツボとの距離dが大きくなると、必然的にルツボ周囲の保温効果が薄れるため、ルツボから溶出する酸素の総量が減り、得られるシリコン単結晶の酸素濃度は低酸素側にシフトする。この場合、ルツボの保温効果が低くなるためヒータの発熱量は増やす必要があり、また、保温効果が薄れることは、ヒータによる局所過熱を助長することになるので、ルツボ寿命が短くなる側面も有する。従って、該方法は、低酸素のシリコン単結晶が要望された場合に選択的に実施することが望ましいといえる。
【0022】
そして、ルツボの保温効果を調整するための断熱板の下方移動は、常に一定の速度で行うことが必ずしも有利であるとは限らない。例えば、常に一定の速度で断熱板を降下させる場合、原料融液の残量や操業条件によっては必要以上に酸素濃度が低下しすぎたり、あるいはルツボ周囲の保温降下が弱まり過ぎることでヒータの発熱量を過剰にし、低欠陥結晶の育成が難しい環境を形成してしまう場合もある。このような場合は、断熱板の下降速度を途中から遅くしたり、条件によっては断熱板の下降移動を停止させる等、結晶品質に合わせた断熱板の移動が必要となる。これによって引上軸方向の酸素濃度を安定させたり、欠陥抑制をより有利に行うことができるようになる。
【0023】
同時に、酸素濃度や結晶欠陥を制御する上では、断熱板の下降移動に加え、原料融液を加熱するヒータもルツボ内の残融液の量によって下方へ移動すれば、引上軸方向の酸素濃度や結晶欠陥を制御する上で幅の広い制御を行うことも可能となる。特に、残融液の減少にともないヒータを下方へ移動することは、育成炉本体上方への輻射熱の軽減を図り低欠陥結晶を育成するには適している。但し、断熱板が固定されていると、ヒータを下方移動したことによるルツボ下方からの加熱が強まるので、融液の対流が活発となり結晶は高酸素化の傾向をたどる。従って、結晶中の酸素濃度を低く保ちながら低欠陥結晶を育成する上では、ヒータと断熱板の双方を一緒あるいは各々独立して下方移動させながら結晶育成を行なうのが効果的であり、より幅広い品質のシリコン単結晶の育成を容易に行なうことができるようになる。
【0024】
なお、前記した特開平5−43383号公報においては、シリコン単結晶引上げ時において断熱板位置が固定であるがルツボは上昇駆動されるため、ルツボと断熱板との距離dが、引上長の増大に合わせて広がる点で、本発明と共通している。しかしながら、この構成では、当然のことながら、前記距離dの拡大速度はルツボの上昇速度と一致した値以外、選択の余地がない。一般に、断熱板による保温効果は、炉の大きさや炉内構造物の配置等を考慮して、厚さや材質等も個別に調整される。従って、ルツボと断熱板との距離dの最適拡大速度も、炉の仕様及び単結晶引上条件等により全てまちまちであり、これがシリコン単結晶の引上速度と一致しているべき理由は全く存在しない。
【0025】
このように、特開平5−43383号公報における装置構成では、ルツボと断熱板との距離dの拡大速度が、シリコン融液の対流制御の観点において最適化されることは、偶然の一致を除けばありえない。具体的には、単結晶の引上長が増大してルツボ内の残融液が減少した場合、残融液単位体積あたりに分配されるヒータからの入熱量の増大と、断熱板による保温効果増大との、2つの因子が重畳して作用するため、ルツボの上昇のみを行なう特開平5−43383号公報の方式では、距離dの拡大速度が不足しがちであり、断熱板の保温効果に基づいて酸素濃度の制御を行なうことが本質的に困難である。
【0026】
これに対し、本発明においては、ルツボの上昇速度に断熱板の降下速度が加算されるため、前記距離dの拡大速度を、ルツボの保温効果を用いた酸素濃度制御を行なう上で十分な程度に活用できる。さらに、ルツボの上昇速度が固定されていても断熱板の降下速度は自由に設定できるため、前記距離dの拡大速度を常に最適化できる利点がある。これにより、単結晶育成開始前の断熱板の位置と、結晶育成中の断熱板の降下速度を適切に保つことができ、より低い酸素濃度の結晶を引上げることができる。
【0027】
この場合、その最適化された距離dの拡大速度は実験的に決定することが可能である。例えば、距離dの拡大速度を、断熱板の下降速度の変更により種々に設定して、得られるシリコン単結晶の引上軸方向の酸素濃度分布あるいは結晶欠陥密度の測定を行ない、許容範囲の酸素濃度分布あるいは結晶欠陥密度(さらには分布)が得られる断熱板の下降速度の範囲を決定することが可能である。また、このような目的に特化された実験を、生産ラインにおいてシリコン単結晶の製造操業の合間に行なう余裕がない場合は、次のような方法も可能である。すなわち、断熱板の下降速度と得られるシリコン単結晶の酸素濃度分布及び/又は欠陥分布のとの関係を、過去のシリコン単結晶の引上げ実績に基づいて求めておき、その結果に基づいて、以降に引上げるシリコン単結晶の酸素濃度分布及び/又は欠陥分布が予め定められた目標状態に近づくように、断熱板の下降速度を補正する。この方法によれば、操業の継続に伴い、製造装置や原料の状態などが変動した場合でも、実績補正により常に最適条件を維持できる利点も生ずる。なお、断熱板の下降速度の補正は、酸素濃度分布及び/又は欠陥分布の補正が特に必要となるシリコン単結晶の引上げ区間に限って部分的に行なうことも可能である。この場合、それ以外の区間で断熱板の下降を行なうのであれば、該補正区間において断熱板の下降を停止する、もしくは上昇に転じさせることを妨げない。
【0028】
なお、本発明においては、ルツボ内のシリコン融液を、該ルツボの周囲に配設されたヒータにより加熱するとともに、ヒータも単結晶育成時に下降移動することができる。前記した通り、シリコン単結晶の引上条件によっては引上軸方向の結晶酸素濃度が過剰に低下してしまう場合もある。特に、断熱板を下方移動するような操業条件を選択した場合、単結晶育成の後半では断熱板とルツボの距離dが大きくなり、過剰に酸素濃度が低下する傾向がある。そこで、残融液が少なくなるとともにヒータを下方移動させ、シリコン融液を下方から加熱するようにすれば、融液の熱対流を積極的に利用して酸素濃度が低下しないよう調整することが一層容易となる。そして、このようなヒータの下降移動は、シリコン融液が少なくなった時に育成結晶上方への輻射熱を弱める働きも有するので、欠陥密度を高精度に制御したシリコン単結晶を育成する際に、効果的な操業条件を形成しやすくなる。
【0029】
なお、ヒータの下降移動は断熱板と同期して下降移動させるようにしてもいいし、ヒータと断熱板それぞれに下降移動機構を設け、所望の酸素濃度が得られるようにそれぞれを個別に下降移動させるようにしてもよい。すなわち、結晶の引上軸方向の酸素濃度分布を見て、移動の有無、移動量等を適宜選択すればよい。
【0030】
そして、本発明の方法は、20ppma(ASTM(1979年):F−121規格での値)を下回るような低酸素濃度の単結晶を引上げる場合に有効である。例えば、単結晶育成初期において断熱板の初期位置を調整することにより、単結晶の前半での酸素濃度を決め、その状態で単結晶の成長とともに断熱板を降下させれば、それ以降の結晶定径部をより低酸素濃度のシリコン単結晶あるいは単結晶部位を得ることができる。これを、融液を加熱するヒータの下降移動等の他の操業条件と組合わせることで、低酸素で引上軸方向に酸素濃度の安定した結晶を得られるものである。なお、低酸素のシリコン単結晶を育成する場合は、単結晶育成を開始する際の断熱板とルツボとの距離dを広く設定すればよいし、ある程度高酸素濃度のシリコン単結晶を育成するのであれば、距離dが小さくなるように断熱板初期位置を調整して単結晶を育成すればよい。
【0031】
また、ルツボの回転速度のみに頼った酸素濃度の調整方法よりも、操業条件の選択の幅が広がるとともに、ルツボから溶出する酸素を直接的に制御できるようになるため、より広い範囲で酸素濃度を制御することが可能となる。具体的には、ヒータが上方にある時には断熱板の効果によりルツボ周囲の保温効果が高められ、輻射熱の影響が抑制される一方、残融液量が少なくなった場合にはヒータを下方へ移動することで、炉上方への輻射熱が軽減されるので、炉本体上部の雰囲気温度を低下させることができる。その結果、結晶に導入されるグローン−イン欠陥を、結晶全長にわたってより高精度に制御することが可能となる。
【0032】
なお、ヒータ(特に、ヒータの発熱中心)とシリコン融液面との相対位置や、ヒータ発熱量の調整のみに頼ってシリコン融液の熱対流を制御しようとすると、ルツボに局所的な加熱による負荷が加わり耐久性が損なわれやすい。また、ヒータからの輻射熱も増加し、結晶の冷却を阻害することになるので引上速度が遅くなり、結果として単結晶の生産性を落すことにもつながる。これに対し、本発明のように、ヒータを下方に移動させることに加え、断熱板もこれに合わせて下降させることにより、より好適な温度分布ひいては単結晶の製造条件に適した温度雰囲気が得やすくなり、品質の安定した製品が製造できるようになる。例えば、断熱板の下降を行なわなかった場合は、シリコン融液が少なくなってもルツボ全体が高温にさらされることになるため、ルツボの耐久性を弱めることにつながる。これは、例えばルツボに多結晶原料を再充填して、複数本のシリコン単結晶を一つのルツボから引上げる多重引上法(Multiple CZ method)を用いた製造や、製造時間の長い大直径結晶の製造では不利に作用する。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明に係るシリコン単結晶の製造装置の一実施形態を示す概略断面図である。図1に示されるシリコン単結晶の製造装置50は、シリコン融液4を収容する育成炉本体1と、育成炉本体1に連接してシリコン融液4から引上げられたシリコン単結晶を保持し取り出すための上部育成炉2より構成される。
【0034】
育成炉本体1の内部中心付近には、シリコン融液4を収容したルツボ12が配置され、ルツボ12の周りに備えられたヒータ7を発熱させることで原料を融解し、高温の融液として保持している。育成する単結晶3がシリコン単結晶である場合は、原料融液(図1ではシリコン融液4)を直接保持するルツボは石英製ルツボ12aであり、この石英製ルツボ12aは高温で軟化し、また脆く壊れやすいため石英製ルツボ12aの外側は黒鉛製ルツボ12bで覆われている。そして、CZ法による単結晶の育成では、該ルツボ12と単結晶3を回転させながら結晶を成長させることから、この黒鉛製ルツボ12bの下部にはルツボ支持軸19が取り付けられ、育成炉本体1の外側下部に取り付けられたルツボ上昇機構40によって、上下動かつ回転動自在とされている。また、単結晶育成時には、結晶品質を所望のものとするため、シリコン融液4面を一定に保って操業を行った方が好ましいものであることから、このルツボ上昇機構40によってシリコン融液4面を所望の位置に保持できる機構とされている。該ルツボ上昇機構40は、ルツボ支持軸19の昇降駆動用のサーボモータ40a(図4〜図6)を有し、位置検出用のパルスジェネレータ(PG)41が取り付けられている。
【0035】
一方、ヒータ7と育成炉本体1の炉壁の間には、ヒータ7による高温の輻射熱から炉壁を保護し、育成炉本体1の内部を効率良く保温するために側部断熱材8が設けられ、また育成炉本体1の底部にも、高温の輻射熱からの炉壁保護と、育成炉本体1内部の保温さらに、シリコン融液4がルツボ12から流出した際に、育成炉本体1の外に流出しないようシリコン融液4を保持することを目的として底部断熱材5が備えられている。さらに、上記底部断熱材5とヒータ7のと間において、ルツボ12の、ヒータ7から育成炉本体1下部に輻射される熱を遮蔽するための断熱板20を設けている。図1に示すように、断熱板20は断熱板下降機構6により昇降駆動され、単結晶3を引上げるに際しては、ルツボ12とは逆方向、つまり下降駆動することが可能とされている。
【0036】
断熱板20は、図2(a)に示すように、断熱性の高い炭素繊維製の本体部20bを有するものとして構成できる。なお、該本体部20bを構成する炭素繊維製の断熱材としては、炭素繊維をフェルトやクロス状に加工したもの、あるいは炭素繊維を成形して所望の形状とした成形断熱材等が挙げられる。ここでは、該本体部20bを貫通するボルト20tを絶縁体31にねじ込むことで断熱板20の固定を図っている。また、図2(b)〜(e)に示すように、断熱板20は、炭素繊維からなる本体部20bと、その本体部20bの少なくともルツボ12(図1)の底面に面する表面を覆う該本体部20bよりも高密度の黒鉛被覆層20cとを有するものとして構成できる。図1に示すように、断熱板20は育成炉本体1の下部に配置されているため、例えばシリコン単結晶の引上げにおいては、ルツボ12内のシリコン融液4から蒸発した酸化物が、上方から流れ下る不活性ガスにより運ばれ付着しやすく、炭素繊維からなる本体部20bが露出している場合は、この付着により劣化を早めたり、断熱効果が損なわれたりする問題を生ずることがある。そこで、図2に示すように、このような蒸発物の付着が懸念される本体部20bの少なくともルツボ底面に面する表面を黒鉛被覆層20cにて覆うことにより、このような問題を効果的に解決することができる。該黒鉛被膜層20cを構成する材料としては、黒鉛材、好ましくは等方性黒鉛材を用いるのが良いが、押出し成形や型押し成形等を用いて製造された異方性黒鉛材を用いても良い。ただし、該黒鉛被膜層20cは、シリコン融液から蒸発したシリコンや高速の不活性ガスによる侵食を受けるため、高強度でありシリコン等の侵食に強い冷間静水圧成形により成形製造された等方性黒鉛を用いるのが好適である。なお、炭素繊維からなる本体部20bは機械的強度がそれほど高くなく変形にも弱いため、(d)や(e)に示すように、該本体部20bの上下を黒鉛被覆層20cで挟んだ3層構造とすることがより望ましい。また、製造装置50は、長時間の操業を終えた後で、育成炉本体1や上部育成炉2の内部を解体し、炉壁、各断熱材、ヒータやルツボ等に付着した酸化物を除去する作業を行なう必要がある。上記のような3層構造は、このようなメンテナンス作業を容易にする観点においても有効である。また、図2(c)及び(e)は、本体部20bの側面も黒鉛被覆層20cで覆った例である。
【0037】
また、上述したように、断熱板20は上方から高速で下流する不活性ガスの通り道に配置されるため、蒸発物の付着が激しく浸食も速い。特に、断熱板の上面は、直接、下流する不活性ガスに曝されるために、下面に比べ劣化が速い、そこで、断熱板20の構造を図2(d)や(e)の構造とし、同時に劣化の度合いに応じて断熱板20の上下を反転して使用できるようにしておけば、高価な部材である断熱板を長時間に渡って使用できるようになり効率的である。なお、図1に示す製造装置50では、図2(d)の構造の断熱板20を用いている。
【0038】
本発明のシリコン単結晶の製造装置50では、断熱板20とヒータ7には上下動する機構が備えられている。本実施形態では、断熱板20とヒータ7とが、独立した下降機構6、106により別体に駆動される。断熱板20は、その下部に断熱板支持軸21が設けられ、育成炉本体1の外部下方に配置された断熱板下降機構6により、操業条件に応じて下方向への移動ができるものとされている。断熱板下降機構6は、具体的には昇降ベース22を有し、これに螺合するねじ軸23を、サーボモータ24(位置検出用のパルスジェネレータ(PG)25が取り付けられている)により回転駆動することにより下降可能とされている。また、ベース26にはヒータ7のみが取り付けられ、断熱板下降機構6と同様のサーボモータ29(30は位置検出用のPGである)、ネジ軸28等からなるヒータ下降機構106により下降駆動される。なお、育成炉のメンテナンス時等には、断熱板及びヒータを上昇動させることができる。この場合、各下降機構6,106は、駆動部(本実施形態では、ねじ軸とこれを回転させるサーボモータ)を逆転作動させることにより、上昇機構として流用する。
【0039】
ヒータ7は、電極軸27の下端に接続された電源部(不図示)から電源が供給されることにより発熱する。なお、図8に示すシリコン単結晶の製造装置50では、図1のベース26にヒータ7と断熱板20とを取り付けることにより共通ベース26とし、該共通ベース26と断熱板20との間、及び電極軸27と昇降ベース22との間には絶縁体31B及び31Aがそれぞれ配置され、ヒータ7への供給電流が断熱板20あるいは昇降ベース22側へ流れないようにしている。該絶縁体31B及び31Aを構成する材料としては、炉内の高温に耐え得る一定の強度が必要とされることから、酸化アルミニウム(Al)や石英ガラス等の部材を用いるのが良い。
【0040】
また、上述のヒータ7と断熱板20の移動は、手動操作により単結晶の成長に合わせ作業者が行っても好ましいものであるが、長時間にわたる単結晶の育成においては、作業負担の軽減や結晶品質の安定を図る上では、自動で制御が行われるようにした方がより好ましい。例えば、ヒータ7と断熱板20の移動は、図4に示すように、コンピュータ200により、記憶装置205に記憶された制御パターンデータベースを用いた制御プログラムの実行により自動制御することが可能である。さらには、単結晶3の育成時においては、結晶品質を所望の値とするために、シリコン融液面を一定に保持したり、育成炉本体部1内の圧力や不活性ガスの量を調整したりすることができる。これら諸条件も勘案して、ヒータ7及び断熱板20の位置を制御できるようにすることも可能である。例えば、炉内圧を検出する圧力センサや不活性ガス流量センサ、単結晶の引上長を計測する位置センサ等をシリコン単結晶の製造装置50に設けておき、制御パターンデータベースが与えるこれらセンサの計測値をパラメータとした操業条件との比較により、ルツボ12や単結晶3の回転速度、断熱板20、シリコン融液4面、ヒータ7の各位置、炉内圧力、不活性ガス量等の各値を調整することができる。
【0041】
また、図3に示すように、ヒータ7は、ルツボ周囲に配置される円筒状の抵抗発熱エレメント7bを含み、該抵抗発熱エレメント7bは、上端縁から高さ方向中間位置まで下向きに伸びる第一スリット7cと、同じく下端縁から高さ方向中間位置まで上向きに伸びる第二スリット7dとを、前記周方向において所定の間隔で交互に配置することによりつづら折れ形状の通電経路が形成されたものを使用することができる。抵抗発熱エレメント7bへの通電は、上記通電経路の両端に設けられたヒータ電極134により行なうことができる。このようなヒータ7は、第一スリット7cと第二スリット7dとの高さ方向における重なり区間7aの略中央位置が、発熱量が最も高い発熱中心を形成し、該位置から高さ方向に離れるに従って、徐々に発熱量が減少する発熱分布を有する。このような特性のヒータを用いる場合、必要以上にヒータの出力を上げると、発熱中心で局所的にルツボが加熱されることになり、ルツボ劣化を早め、結晶にスリップ転位が形成されやすくなるなどの不具合につながる。特に、大直径長尺結晶の育成や結晶内のグローン−イン欠陥を極力抑制した高品質結晶の生産では、結晶引上速度を小さく設定せざるを得ないので長時間に及ぶ製造となり、ルツボの局所加熱による影響を受けやすい問題がある。そこで、本発明のように、断熱板をルツボの下方に設け、適切に位置を変化させることでヒータ出力を抑制できるようにすれば、上記のような不具合を生じにくくすることができる。
【0042】
図1に戻り、育成炉本体1の底部には、単結晶育成時に炉内をアルゴン(Ar)等の不活性ガスで満たして操業を行なう必要があることから、育成炉本体に流通する不活性ガスを炉外へと排出するための排ガス管9が接続されており、さらにこの排ガス管9には育成炉本体1内部の圧力を所望の値に保って単結晶育成を行なうことができるよう、炉内圧制御装置9aが取り付けられている。操業時は、この炉内圧制御装置9aによって、単結晶育成に適した圧力に炉内を調整している。
【0043】
一方、育成炉本体1の天井部付近には、ヒータ7等からの輻射熱を遮り、シリコン融液4より引上げられた単結晶3を効率よく冷却するための結晶冷却筒13が備えられ、その先端にはシリコン融液4からの輻射熱を遮蔽し、蒸発物を適切に炉外へと排出する等のために、断熱リング14が取り付けられている場合もある。この断熱リング14や結晶冷却筒13は、育成する単結晶の冷却速度、即ち結晶引上軸方向の温度勾配を調整するために取り付けられているものであり、育成する単結晶の品質や操業条件に合わせて、他の構造を有するものを配置しても良いし、特に設置しない構成としてもよい。
【0044】
また、上部育成炉2の天井部には、単結晶3を引上げるためのワイヤ18を巻き出し巻き取る非図示のワイヤ巻き取り機構があり、ワイヤ巻き取り機構から巻き出されたワイヤ18の先端には、種結晶17を保持するための種ホルダー18aが係止されている。単結晶3を育成する際には、ワイヤ巻き取り機構からワイヤ18を巻き出し、種結晶17の先端部をシリコン融液4面に着液して静かに巻き上げることにより、種結晶17の下方に単結晶3を育成するものである。さらに、上部育成炉2には、炉内に不活性ガスを導入するためのガス供給管10があり、ガス供給管10に取り付けられているガス流量制御装置60によって、炉内に導入する不活性ガス量を調整できる機構とされている。
【0045】
図4は、製造装置50の電気的な構成の一例を示すブロック図である。駆動制御部200は出入力インターフェース201、制御の主体となるCPU202、制御プログラムを格納したROM204及び制御プログラム実行のワークエリアとなるRAM203を有したコンピュータ(以下、制御コンピュータ200ともいう)にて構成されている。出入力インターフェース201には、シリコン単結晶製造の制御パターンデータベースを記憶したハードディスクドライブ等の記憶装置205と、制御情報の入出力等を行なうためのモニタ206及びマウスやキーボード等の入力部207が設けられている。制御パターンデータベースは、例えばシリコン単結晶の製造種別特定データ、例えば製造品番と制御パターンデータ(動作スケジュールパターン)とが互いに対応付けた形で記憶されており、入力部207により製造種別特定データを入力(ないし、モニタ206に表示された品番リストからのマウスクリック等による選択)により、対応するものが読み出されて使用される。
【0046】
他方、制御コンピュータ200には、ルツボ上昇機構40及び断熱板下降機構6の駆動用のサーボモータ40a及び24が、それぞれサーボコントローラ214及び210を介して接続されている。また、ルツボ12及び断熱板20の現在位置を検出する位置検出センサとしてのパルスジェネレータ(PG)41及び25がそれぞれパルスカウンタ212,208を介して接続されている。これらPG41,25は、本実施例ではいずれもサーボモータ40a,24の回転軸の回転を検出する回転センサとしてのロータリーエンコーダが用いられているが、これに限られるものではなく、例えばルツボ12及び断熱板20の位置を直接検出するリニアエンコーダ等で構成してもよい。
【0047】
本実施例では、PG41,25は、サーボモータ40a及び24の回転速度検出部の役割を兼ねており、それらのパルス出力に基づいてモータ回転速度を演算する速度演算部213,209に入力されている。そして、各サーボコントローラ214,210は、制御コンピュータ200からD/A変換器215,211を介して入力される各モータの速度指示値を受け、速度演算部213,209からのモータの現在速度値を参照して、サーボモータ40a,24を指示値通りの回転速度となるようにフィードバック制御する役割を果たす。
【0048】
以下、制御プログラム(図4)による製造装置50の動作について説明する。まず、断熱板20とルツボ12とを原料仕込み位置に位置させた状態としておく。この状態でルツボ12内に原料を仕込み、育成炉本体1のチャンバーを閉塞する。次いで、制御パターン選択のため、製造品番を入力する。そして、その入力された製造品番に対応する制御パターンデータがデータベースから読み出されて、RAM203(図4)にロードされる。制御パターンデータは、初期ルツボ位置YC0、初期断熱板位置YM0、ルツボ上昇速度VC、断熱板下降速度VM、ヒータ下降速度VH、ルツボ停止位置YCt、断熱板停止位置YMt、ヒータ停止位置YHt等を含む。ルツボ移動速度VC、断熱板移動速度VM及びヒータ下降速度VHは一定値をセットしてもよいし、時間的に変化させる必要があるときは、各時刻の速度値データとして与えることができる。なお、時刻計測は、例えば図示しないクロック回路からのクロックパルスを直接受けてカウントアップするクロックタイマーカウンタ199により計測できる。
【0049】
次いで、ルツボ12、断熱板20及びヒータ7を、それぞれ対応する下降機構の動作により、初期位置YC0、YM0及びYH0へ移動・位置決めする。ルツボ12の初期位置YC0は、単結晶育成開始時の融液量(以下、初期融液量という)とルツボ寸法とから見積もられる、初期融液深さから予測される初期液面位置が、予め定められた保持液面位置LAと一致するように定められる。
【0050】
また、断熱板20の初期位置YM0は、「課題を解決するための手段及び作用・効果」の欄でも詳しく説明した通り、得るべきシリコン単結晶のグレード(品種)、具体的には酸素濃度及び欠陥形成密度の水準に応じて、個別に定められた値に設定される。特に、低酸素濃度のシリコン単結晶が求められる場合にはルツボ12と断熱板20との距離dが大きくなるようにYMOが設定される。逆に高酸素濃度あるいは低欠陥密度の単結晶を効率よく生産する場合には、該距離dが小さくなるようにYMOが設定される。前記距離dは、YC0−YM0に対応するものであるが、例えばYC0が一定に設定される場合は、dが増大するほど、つまり、求められる酸素濃度が小さくなるほど、YMOは小さく設定される(すなわち、断熱板初期位置が低く設定される)。
【0051】
また、初期融液量は、例えば空のルツボに多結晶シリコン原料を所定量投入して溶融させた場合には、投入した多結晶シリコン原料の量に略等しくなる。初期融液量を確保するために必要な量の多結晶シリコン原料を一括溶融することが困難な場合は、投入原料を複数のバッチに分割し、先のバッチの溶融が完了したら次のバッチを投入する形で、逐次的に溶融を行なうこともできる。他方、1つのルツボから複数本の単結晶を引上げる多重引上法等、単結晶引上げ完了後に、残融液に多結晶シリコン原料を追加投入して、全体として初期融液量が確保されるようにしてもよい。
【0052】
そして、育成炉1内を不活性ガスで満たした後に真空減圧し、この状態でヒータ7によりルツボ12内の原料の加熱を開始する。原料が溶解して融液温度が目標値に達したら、シリコン単結晶の引上工程に移る。シリコン単結晶3の育成は、以下のようにして実施される。まず、図1に示すように、ワイヤ18(前述の通り、上部育成炉2の上方に位置するワイヤ巻上げ機構から巻き出されたものである)の先端の種ホルダ18aに種結晶17を取り付けておく。そして、原料の溶融が完了したら、ワイヤ18を静かに巻き出して種結晶17の先端をシリコン融液4に着液させ、回転させながら静かにワイヤ18を巻き取ることによって、種結晶17の先端に単結晶3を育成させていく。このとき、ルツボ12は育成している結晶と反対方向に回転させているが、シリコン単結晶中に導入される酸素量を所望の値とするために、ルツボ12の回転を適宜調整して、ルツボ12の内側にある石英ルツボからの酸素の溶出速度を制御している。また、育成中の結晶直径を一定に保つために融液面を常に一定位置に保持する必要があるので、結晶が引上げられたことにより融液面が下がった分だけルツボ12をルツボ上昇機構40により押し上げ、融液面を常に一定に保つようにする。
【0053】
そして、シリコン単結晶3の引上げが進行するに伴い、ルツボ12内の融液量すなわち融液深さHLは減少する。ここで、ルツボ12の位置を固定したままでは液面が次第に低下するから、これを相殺するために、見込まれる液面低下速度と同じ速度VCにてルツボ12をルツボ上昇機構40により上昇させている。他方、断熱板20及びヒータ7は、下降機構6及び106により、ルツボ12の上昇に合わせて独立に下降駆動される。
【0054】
図4のブロック図の構成では、駆動制御部たる制御コンピュータ200は、ルツボ12と断熱板20とを上昇・下降させる際に、個別に定められた動作スケジュールパターンに基づいてルツボ上昇機構40と断熱板及びヒータの下降機構6、106を昇降駆動制御するようにしている。つまり、速度指示値として、ルツボ駆動用のサーボモータ40aに対しては、そのサーボコントローラ214に対し、ルツボ上昇速度VCを指令し、断熱板駆動用のサーボモータ24に対しては、そのサーボコントローラ210に対し断熱板下降速度VMを、さらにヒータ駆動用のサーボモータ29に対してはヒータ下降速度VH指令するようにしている。なお、図4、図5及び図6では、サーボモータ24及び29の制御系(図4ではパルスカウンタ208、速度演算部209、サーボコントローラ210及びD/A変換器211;図5では、速度演算部209、サーボコントローラ210、速度指示値変換部220;図6では、速度演算部209及び213、サーボコントローラ210)は、サーボモータ24及び29を独立駆動するために個別に設けられるものであるが、図では簡略化のため共通に描いている。
【0055】
ルツボ12と断熱板20との上昇・下降駆動制御は、単結晶の引上げが終了し、ルツボ12、断熱板20及びヒータ7が停止位置YCt、YMt及びYHtに到達するまで継続される。停止位置YCt、YMt及びYHtに到達すれば、上昇・下降機構40,6,106によるルツボ12の上昇駆動あるいは断熱板20及びヒータ7の下降動作を停止する。停止位置に到達したか否かは、図4の各パルスカウンタから出力されているPG41,25,30のパルスカウント値が、停止位置YCt、YMt及びYHtに対応する値に到達したか否かにより知ることができる。そして、単結晶の切り離しを行ない、ヒータによる加熱を停止して炉内を冷却し、その冷却を完了すれば断熱板20を待避位置へ移動させる。そして、ルツボ12を解***置へ移動させ、チャンバーを開放してメンテナンス作業に入る。
【0056】
なお、断熱板20(あるいはヒータ7;ここでは断熱板20にて代表させる)の下降は、図7(a)に示すように、時間とともに連続的に位置変化させる形で行なうことができる。このようにすれば、刻々変化する目標位置を断熱板20が精密に追跡しつつ移動する形になるので、断熱板20を最適位置に保持する効果が一層高められる形となる。他方、図7(b)に示すように、断熱板20を時間とともに段階的に位置変化させる形で行なうこともできる。例えば、融液中の最適位置が実質的には一定の幅を持って存在しており、断熱板20が最適位置から多少ずれても、温度分布制御効果には大きな変動を生じないと考えられる。そこで、その最適位置の幅に対応した移動幅により、断熱板20の位置を段階的に変更する方式を採用することが可能である。
【0057】
以下、上記単結晶製造装置50の制御形態の、種々の変形例について説明する。
まず、図4のブロック図による構成では、ルツボ12、断熱板20及びヒータ7の移動速度(すなわち、サーボモータ40a,24,29の回転速度)を制御パラメータとする形で、制御パターンデータを与えていたが、ルツボ12、断熱板20及びヒータ7の刻々変化する目標位置そのものを制御パラメータとする形で、制御パターンデータを与えてもよい。この場合、現在の断熱板20及びヒータ7の位置が目標位置よりも高ければ断熱板20及びヒータ7の移動速度を増加させる制御を行ない、目標位置よりも低ければ移動速度を逆に減少させる制御を行なうことができる。この場合、現在の断熱板20及びヒータ7の位置の目標位置からの隔たりに応じて、断熱板20及びヒータ7の移動速度の増加分ないし減少分を調整すること、具体的には目標位置からの隔たりが大きくなるほど、移動速度の増加分ないし減少分を大きくする制御を行なうことができる。
【0058】
また、刻々変化する目標位置は、時刻毎に固定的に定めてもよいが、前述のように、最適位置に幅が存在することを考慮して、一定の幅を持たせて設定することも可能である。この場合、断熱板20及びヒータ7の移動方向において、上限位置と下限位置とを有した目標位置区間を時刻毎に設定し、例えば断熱板位置が上限位置よりも上側に外れていれば断熱板の移動を加速し、逆に下限位置よりも下側に外れていれば断熱板の移動を減速する制御を行なうことができる。また、目標位置区間内に断熱板位置が存在する場合は、移動速度を一定に保持するように制御を行なうことができる。このようにすると、目標位置区間が制御上一種の不感帯の役割を果たし、制御の安定化を図ることができる。
【0059】
なお、制御パターンデータを、移動速度を制御パラメータとする形で用意しておき、これを制御用コンピュータ200にて、時刻毎の位置情報に変換して出力するようにしてもよい。
【0060】
また、図4のブロック図の構成では、ルツボ12、断熱板20及びヒータ7を、個別に定められた動作スケジュールパターンに基づいて上昇あるいは下降駆動制御していたが、ルツボ上昇速度VCと断熱板下降速度VM及びヒータ下降速度VHとの間に一定の関係が成り立っている場合には、共通に定められた動作スケジュールパターンに基づいてルツボ上昇機構40と断熱板下降機構6とを上昇あるいは下降駆動制御するようにしてもよい。例えば速度を制御パラメータとして使用する場合は、図5に示すように、共通速度指示パラメータVGを、速度指示値変換部(演算増幅器等により簡単に構成できる)220,221にて、断熱板下降機構6側とルツボ上昇機構40側とにてそれぞれ必要とされる速度指示値VM,VC,VHに変換して、各サーボコントローラに与えるようにする。この場合、制御コンピュータ200では、停止制御等のために、断熱板20、ヒータ7及びルツボ12のいずれかの位置だけをモニタするように構成することができる。なお、位置を制御パラメータとして用いる場合は、速度指示値変換部220,221を位置指示値変換部に変更すればよい。
【0061】
さらに、図6に示すように、ルツボ12内の液面位置を検出してこれが一定となるように、ルツボ上昇機構40、断熱板下降機構6及びヒータ下降機構106の作動をフィードバック制御することもできる。すなわち、液面センサ45(これは、例えば育成炉本体1に設けられた観察窓から液面を撮影するカメラ等により構成できるが、周知技術であるので図示及び詳細な説明は省略する)からの出力を解析回路230にて解析することにより液面位置出力を生成し、これを制御コンピュータ200からの液面指示値(一定値とされる)と比較部231(差動増幅器にて構成できる)に入力する。比較部231は、液面位置のずれ量に応じて速度指示値信号を生成し、ルツボ上昇機構40のサーボコントローラ214にこれを出力する。サーボモータ40aの回転速度を検出するPG41のパルス出力は、速度演算部213において現在速度値に変換され、サーボコントローラ214に入力される。サーボコントローラ214は、比較部231から指示された速度指示値に現在速度値が近づくように、サーボモータ40aの回転速度を調整する。これによりルツボ12の上昇速度は、液面位置が一定となるように調整される。
【0062】
次に、ルツボ12の現在上昇速度を示す速度演算部213の出力は、断熱板20及びヒータ7をこれに従って移動させるために、断熱板下降機構6(及びヒータ下降機構106)側のサーボコントローラ210にも速度指示値として分配される。サーボコントローラ210は、PG25(30)からの出力から速度演算部209が演算した、断熱板下降機構6(及びヒータ下降機構106)側のサーボモータ24(29)の現在回転速度が、速度演算部213からの速度指示値に近づくように、サーボモータ24(29)の回転速度を調整する。これにより断熱板20(ヒータ7)の下降速度は、ルツボ12の前述の目標位置に追従するように調整される。なお、ルツボ12や断熱板20(ヒータ7)の停止を指令するために、ルツボ12及び断熱板20(ヒータ7)の少なくともいずれか、ここではルツボ12の現在位置が、ルツボ上昇機構40側のPG41からのパルスをパルスカウンタ212によりカウントすることでモニタされ、そのカウンタ出力を参照して制御コンピュータ200は停止指示信号を出力する。この信号は、現在位置を示すカウンタ212の出力とともに制御信号発生部233に入力される。両信号が一致すれば、制御信号発生部233が各サーボコントローラ214,210に停止信号を出力し、各サーボコントローラ214,210はこれを受けて各サーボモータ40a及び24(29)の動作を停止させる。
【0063】
なお、断熱板20を下降駆動させる方法としては、図8に示すように、ヒータ7と断熱板20とを一体化し、共通の下降機構により下降させるようにしてもよい。図8においては、電極軸27の上端に設けられた共通ベース26にヒータ7と断熱板20とが一体的に取り付けられ、他方電極軸27の下端には昇降ベース22が取り付けられている。そして、断熱板下降機構6(図1に示すものと同様に構成できる)は、その昇降ベース22を下降駆動するものとされている。さらに、断熱板20の下降により、シリコン単結晶3の引上げ後半におけるシリコン融液4の対流促進効果が十分に見込まれる場合は、ヒータ7を位置固定とし、断熱板20のみを下降させる構成としてもよい。
【0064】
【実施例】
以下に、本発明の効果を確認するために行なった実験結果について説明する。
(実験1)
図1に示すシリコン単結晶の製造装置に口径が600mmの石英製ルツボを入れ、このルツボに多結晶原料を150kg仕込んだ後に加熱溶融して融液とした。そして、種結晶とルツボを回転させつつ融液表面に静かに種結晶を接融させ、融液温度が安定したところで種結晶を融液上方に引上げることによって、引上軸方向の方位が<100>で結晶定径部の直径が200mmのシリコン単結晶を育成した。なお、製造装置のヒータには、無駄な局所加熱による輻射熱の増加を避け、石英製ルツボの側壁が均一に加熱されること及び結晶欠陥を抑制した結晶を引上げやすくするために、ヒータとしては比較的スリット長7aの長い240mmの黒鉛製ヒータを用いている。また、結晶の引上げを開始する時点でのルツボ底面と断熱板上面との距離dは、低欠陥結晶を得易くするため、約20cm離した位置を初期値とし、その後、融液面を結晶引上げ開始時点の種結晶着液位置に一定に保つためしだいにルツボを上昇させながら単結晶育成を行なった。
【0065】
また、結晶を育成するにあたっては、ヒータと断熱板の移動は行なわず、結晶の引上げ開始から終了まで同じ位置に固定して製造を行った。この時、結晶の引上速度は、グローンーイン欠陥を抑制した低欠陥結晶とするために、先端から100mmの間を除いた単結晶定径部の引上速度が、0.49〜0.47mm/minの範囲に入るように調整した。
【0066】
次に、引上げられたシリコン単結晶を円筒研削し、品質測定用のサンプルウエーハを切り出してウエーハ中心部の酸素濃度を測定した。測定結果は、図9(実験1)に示す通りであり、結晶引上軸中心の酸素濃度は、成長が進むのに従って19ppma近くまでしだいに低下する傾向を示し、引上軸方向にそって安定した酸素濃度の単結晶は得られなかった。なお、図9に示した酸素濃度の値は、結晶定径部の種側先端100mmを除いた以降から、引上軸方向に沿って略一定間隔で測定サンプルを切り出し、尾部付近までの結晶中心の酸素濃度をASTM(1979年):F−121規格で測定した値である。
【0067】
また、結晶品質についても、同様に種側先端100mmを除いた以降の定径部から、一定間隔で評価サンプルを切り出し、FPD(Flow Pattern Defect)、OSF(Oxidation-induced Stacking Fault)、L/D(Large Dislocation)の欠陥の有無を観察することによって結晶品質の評価を行った。サンプルの処理及び評価方法は、次の通りとした。
▲1▼FPD及びCOPの評価: ウエーハ状の評価サンプルを弗酸と硝酸の混合液でエッチングし表面の加工歪みを取り除き、続いてKCrと弗酸と水の混合液で更にセコ−エッチング(Secco etching)を施し、評価サンプル表面のピットとさざ波模様を観察した。
▲2▼OSFの評価: 同様にウエーハ状の評価サンプルを作製し、1100℃の(HO+O)雰囲気中で100分間の熱処理を加え、ウエーハ表層に見えるOSFを観察した。
▲3▼L/Dの評価: Cu(銅)デポジション法により、評価ウエーハに25nm厚の酸化膜を施し電化強度6MV/cmの電圧を5分間印加して、ウエーハ表面に析出した析出物を観察した。
【0068】
上述の評価方法により、サンプル表面に存在する結晶欠陥を確認したところ、いずれの部位から切り出したサンプルにも欠陥は確認できず、結晶全体にわたって欠陥が抑制された高品質結晶が得られたことがわかった。しかし、引上軸方向の酸素濃度は比較的高い酸素濃度分布を示しており、結晶先端部付近では22ppmaと高めの酸素濃度を示す結果となった。加えて、引上軸方向の酸素濃度は、軸方向に最適化するような操業条件の調整は行わなかったために、結晶定径部の種結晶側から尾部側にかけてしだい酸素濃度が低下する分布を示した。そして、一番酸素濃度が低いと思われる尾部付近でも、酸素濃度は20ppma程度までしか低下していなかった。
【0069】
(実験2)
次に、実験1と同じ装置を用い、今度は引上げ開始時の断熱板とルツボの距離dを実験1よりも大きくし、それ以外の育成結晶や原料仕込み量等の他の条件は実験1と同じくしてシリコン単結晶の育成を行った。この時、結晶引上げ開始時点の断熱板とルツボの距離はd=30cmに設定し、操業中は断熱板を初期位置に保ってルツボを上昇させつつシリコン単結晶を育成した。
【0070】
引上げ終了後は、引上げた単結晶から品質評価のためのサンプルを作成し、結晶内部の欠陥分布と酸素濃度を測定した。その結果、断熱板をルツボから遠ざけたことにより、図9(実験2)に示す通り結晶定径部の略全体にわたって、酸素濃度を20ppma以下に低下させることができた。しかし、断熱板を固定して操業を行っているため、引上軸方向の酸素濃度は実験1と同じように定径部後半になる程低下する傾向を示した。また、結晶中のグローン−イン欠陥の評価では、種結晶側10cmを除いて定径部前半から中ほどにかけては欠陥を殆んど検出することはできなかったが、尾部付近でわずかにOSFの発生が見られた。この理由としては、断熱板とルツボの距離が大きくなり過ぎたことにより、結晶育成の後半で保温効果が弱まりヒータの発熱量が増えたためと考えられる。この一方で、断熱板を下方へ移動させることにより、引上軸方向の酸素濃度の低酸素化を図ることが可能であることも確認できた。
【0071】
(実施例1)
実験1〜2の結果を考慮に入れ、低酸素の状態を保ちながら低欠陥密度のシリコン単結晶を育成するため、単結晶育成開始時の断熱板初期位置を実験2と同等のd=30cmとなる位置に配置し、結晶育成中は断熱板を等速で下降させながら定径部形成終了時点で初期位置よりも10cm低くなるように移動を行った。また、定径部後半での結晶欠陥の発生を抑えるため、定径部中程からヒータも下方移動させた。ヒータの移動距離は、単結晶定径部終了時点で、初期位置から10cm低い位置になるよう移動した。それ以外の原料の仕込み量や、引上げ結晶直径及び結晶引上長等は、実験1〜2と程同じとした。
【0072】
上記条件で製造した単結晶の引上軸方向の酸素濃度を測定した結果を、図9(実施例1)に示す。断熱板の初期位置をルツボ底部から遠ざけて結晶育成を開始したことにより、全体の酸素濃度の低下が図られた。更に、断熱板をルツボの上昇に合わせ下降させながら単結晶育成を行なったことで、より結晶前半の酸素濃度が低下し、結晶全体に酸素濃度が安定する方向に変化した。一方、定径部後半では、ヒータを下方へ移動すると、ルツボ内の融液の対流が活発になり定径部後半で酸素が高くなる傾向を示すものであるが、断熱板の下降による保温効果の減少と相殺され酸素濃度が安定した。
育成結晶のグローン−イン欠陥についての評価でも、種結晶側10cmを除いた結晶全体において観察されず、高品質結晶が得られていることを確認した。特に、断熱板を下降移動させたことによる保温効果の低下でヒータからの輻射熱が増加し、定径部後半でOSF等の欠陥が発生するのではないかと思われたが、ヒータを下方へ移動したことで育成炉本体上方への輻射熱が抑えられ、高品質結晶を育成するのに適切な雰囲気状態に保たれたためと考えられる。
なお、図10には、実験1〜2並びに実施例1それぞれにおけるヒータの移動と断熱板の移動をわかりやすくするため、それぞれの位置関係を模式的に示した。
【0073】
以上により、単結晶育成時に強制的に断熱板を下方移動させることで、単結晶の低酸素化を図ることが可能であることを確認できた。そして、断熱板とルツボ低部からの距離dを変えることで、結晶中の酸素濃度を適宜制御することができる。これは、断熱板を配置することによりヒータの発熱を抑えながら、より低酸素濃度の単結晶を育成する場合に有効に作用する。また、断熱板とルツボの距離が拡大し、断熱板の保温効果が弱まる状態では、ヒータを下方移動させることにより育成炉本体上方へ輻射熱を減らすことができ、低欠陥結晶を育成するための結晶冷却雰囲気を形成する上では有効な操業方法である。
【0074】
そして、上述のように断熱板の配置位置や下降駆動を他の操業条件、例えば、ヒータの下降移動等と組合わせて操業を行うことによって、単結晶を育成する場合の酸素濃度の調整幅を広げたり、結晶育成時に生じる結晶欠陥を制御するための育成炉本体上方の雰囲気温度も適切に保つことが達成できる。
【0075】
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではない。上述の実施の形態は単なる例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様の効果を奏するものはいかなるものであっても、本発明の技術的範囲に包含されることは無論である。例えば、本明細書においては、磁場印加のない通常CZ法によるシリコン単結晶の製造を例に挙げて説明したが、育成炉本体外側に磁石を配置して、シリコン融液に磁場を印加しながらシリコン単結晶を育成するMCZ法を用いたシリコン単結晶の製造にも当然利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るシリコン単結晶の製造装置の要部を示す模式図。
【図2】本発明の断熱板の断面構造をいくつか例示して示す図。
【図3】ヒータの構造の詳細を示す説明図。
【図4】図1の装置の電気的構成の一例を示すブロック図。
【図5】図1の装置の電気的構成の、第一変形例を示すブロック図。
【図6】同じく第二変形例を示すブロック図。
【図7】断熱板を移動させる際に、その位置変更を連続的に行なう場合と段階的に行なう場合とをそれぞれ例示して示す概念図。
【図8】図1の製造装置において、断熱板とヒータとを一体に昇降駆動可能とした変形例を示す図。
【図9】実験1、実験2及び実施例1における軸方向酸素濃度を表したグラフ。
【図10】実験1、実験2及び実施例1における断熱板及びヒータの移動を模式的に示す概念図。
【符号の説明】
1 育成炉本体
3 単結晶(シリコン単結晶)
4 シリコン融液
6 断熱板下降機構(ヒータ下降機構)
7 ヒータ
12 ルツボ
20 断熱板
20b 本体部
20c 黒鉛被覆層
26 ベース(共通ベース)
40 ルツボ上昇機構
106 ヒータ下降機構
200 制御コンピュータ(ルツボ上昇制御部、断熱板下降制御部)
205 記憶装置

Claims (6)

  1. ルツボ内のシリコン融液からチョクラルスキー法によりシリコン単結晶を引上げ育成・製造する方法であって、
    前記ルツボの下方に断熱板を配置するとともに、前記シリコン単結晶の引上長の増大に伴い前記断熱板と前記ルツボとの間隔が拡大するように、該シリコン単結晶の引上げに際して前記ルツボを上昇駆動し、かつ前記断熱板を下降駆動し、
    前記断熱板の下降速度は、前記断熱板の下降速度と得られるシリコン単結晶の酸素濃度分布及び/又は欠陥分布との関係を、過去のシリコン単結晶の引上げ実績に基づいて求めておき、その結果に基づいて、以降に引上げるシリコン単結晶の酸素濃度分布及び/又は欠陥分布が予め定められた目標状態に近づくように、補正され、
    さらに前記ルツボ内のシリコン融液を、該ルツボの周囲に配設されたヒータにより加熱するとともに、該ヒータを下降駆動し、
    前記ヒータの下降速度が、前記断熱板の下降速度と同様に補正されることを特徴とするシリコン単結晶の製造方法。
  2. 前記シリコン単結晶の引上げを開始するに際し、前記断熱板の高さ方向の初期位置を製造すべきシリコン単結晶の品種に応じて変更し、当該初期位置から前記断熱板を下降駆動しつつ前記シリコン単結晶の育成を行なうことを特徴とする請求項1記載のシリコン単結晶の製造方法。
  3. 前記断熱板の高さ方向の初期位置を、製造するべきシリコン単結晶の酸素濃度に応じて変更することを特徴とする請求項2記載のシリコン単結晶の製造方法。
  4. 前記断熱板の高さ方向の初期位置を、製造するべきシリコン単結晶の酸素濃度が低くなるほど、該断熱板表面から前記ルツボの底面までの距離dが大きくなるように調整することを特徴とする請求項3記載のシリコン単結晶の製造方法。
  5. 前記シリコン単結晶の引上長の増大に伴い、前記シリコン融液の液面位置が予め定められた範囲内に位置保持されるように、前記ルツボの上昇駆動を行なうことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のシリコン単結晶の製造方法。
  6. 炉本体内にてルツボ周囲に配置されたヒータにより該ルツボ内のシリコン融液を加熱しつつ、該シリコン融液からチョクラルスキー法によりシリコン単結晶を引上げ育成・製造するための装置であって、
    前記シリコン単結晶の引上げ時において前記ルツボがルツボ上昇機構により上昇駆動され、
    前記炉本体内において前記ルツボの下方に、断熱板下降機構により前記ルツボの上昇駆動に合わせて下降駆動が可能とされた断熱板が配置され、
    前記断熱板の下降速度は、前記断熱板の下降速度と得られるシリコン単結晶の酸素濃度分布及び/又は欠陥分布との関係を、過去のシリコン単結晶の引上げ実績に基づいて求めておき、その結果に基づいて、以降に引上げるシリコン単結晶の酸素濃度分布及び/又は欠陥分布が予め定められた目標状態に近づくように、補正され、
    さらに前記ルツボ内のシリコン融液を、該ルツボの周囲に配設されたヒータにより加熱するとともに、該ヒータを下降駆動し、
    前記ヒータの下降速度が、前記断熱板の下降速度と同様に補正されることを特徴とするシリコン単結晶の製造装置。
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