JP3722498B2 - カメラ - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、異なるポイントから被写体を撮影し、立体写真を撮影するカメラに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、立体写真を撮影する技術については、特開昭59−142537号公報等により種々の技術が提案されている。
そして、こうした専用の立体写真撮影可能なカメラに係る技術とは別に、一般のスチルカメラでは自動でピント合せを行うオートフォーカスや磁気記録可能なフィルムの提案等、新しい技術の導入が図られている。
このような流れの中で、一般的な使用者でも簡単に効果的な立体写真撮影を楽しめる立体写真撮影可能なカメラの実現が嘱望されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した特開昭59−142537号公報により開示された技術は、マイクロレンズ板、即ちレンチキュラーや光学系に関する点に主眼をおいており、上記使用者とのヒューマンインターフェースに関する技術については何等記載されていなかった。
【0004】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、測距情報を有効に利用して、一般的な使用者でも立体感のある写真を簡易・迅速にに撮影可能とすることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様では、立体画像を形成することが可能なカメラにおいて、複数ポイントの距離分布を検出する測距手段と、異なる複数の位置から被写体を撮影する撮影手段と、上記測距手段により検出された主要被写体距離の次に近い距離又は上記主要被写体距離の次に遠い距離の一方に基づいて上記複数撮影位置の位置差を制御する制御手段と、上記測距手段の距離分布結果に基づいて立体画像を形成することが可能であるか否かを判断する判断手段と、上記判断手段により立体画像を形成することが不可能であると判断された場合に警告を行う警告手段と、を具備することを特徴とするカメラが提供される。
【0006】
第2の態様では、上記第1の態様において、上記複数の撮影位置にて撮影した画像に対応する上記画像記録媒体内の記録部に、上記複数の画像が1つの立体画像を形成することを示す情報を記録する記録手段を具備することを特徴とするカメラが提供される。
【0007】
第3の態様では、被写体までの距離を測距する測距手段と、異なる複数の位置から上記被写体を撮影するための撮影レンズを有する撮影手段と、上記撮影レンズの画角と上記測距手段による測距結果および上記撮影位置の位置差から、撮影された画像中、立体画像を形成するのに有効な画像有効範囲を演算する演算手段と、上記演算手段による演算の結果、立体画像を形成するのに不必要な部分を画像記録媒体内の記録部に記録する記録手段と、を有することを特徴とするカメラが提供される。
【0008】
【作用】
即ち、本発明の第1の態様では、立体画像を形成することが可能なカメラにおいて、測距手段により複数ポイントの距離分布が検出され、撮影手段により異なる複数の位置から被写体が撮影され、制御手段により、上記測距手段により検出された主要被写体距離の次に近い距離又は上記主要被写体距離の次に遠い距離の一方に基づいて上記複数撮影位置の位置差が制御され、判断手段により上記測距手段の距離分布結果に基づいて立体画像を形成することが可能であるか否かが判断され、警告手段により上記判断手段により立体画像を形成することが不可能であると判断された場合に警告が行われる。
【0009】
第2の態様では、上記第1の態様において、記録手段により、上記複数の撮影位置にて撮影した画像に対応する上記画像記録媒体内の記録部に上記複数の画像が1つの立体画像を形成することを示す情報が記録される。
【0010】
第3の態様では、測距手段により被写体までの距離が測距され、撮影手段により異なる複数の位置から上記被写体が撮影され、演算手段により、上記撮影レンズの画角と上記測距手段による測距結果および上記撮影位置の位置差から、撮影された画像中、立体画像を形成するのに有効な画像有効範囲が演算され、記録手段により上記演算手段による演算の結果、立体画像を形成するのに不必要な部分が画像記録媒体内の記録部に記録される。
【0011】
【実施例】
以下、図面を参照して、本発明の実施例について説明する。
先ず図1には本発明の第1の実施例に係る立体写真撮影可能なカメラの構成を示し説明する。この図1に示されるように、測距部1は演算制御部10に電気的に接続されており、該演算制御部10の出力は撮影位置切換部3を介して写真撮影部2に接続されると共に、記録部4の入力にも接続されている。この演算制御部10にはモードスイッチ5とレリーズスイッチ7とが配設されている。
【0012】
このような構成において、測距部1は被写体までの距離を所定のタイミングで測定し、該情報を制御部10に出力する。そして、上記写真撮影部2は撮影レンズやピント合せ装置、シャッタ等からなり、撮影位置切換部3は該写真撮影部2が異なる位置から同じ被写体を少なくとも2回撮影できるように撮影位置を切り換える。上記演算制御部10は、カメラ全体のシーケンス制御を司るものでワンチップマイコン等からなる。
【0013】
そして、上記レリーズスイッチ7を使用者が操作すると測距及び撮影が開始される。上記モードスイッチ5は立体写真撮影時に使用者が操作するスイッチである。さらに、記録部4は写真フィルム上に撮影した写真が立体用かどうか、また立体撮影時には左目用のプリントか右目用のプリントか等を記録するためのものである。
【0014】
このように立体写真用の複数の写真の組み合せを該記録部4に書き込むことにより、必ずしもフィルム上の隣接位置に撮影を行う必要がなくなるという利点もある。従って、本実施例に係る立体写真撮影可能なカメラは、カメラのレイアウトの自由度を増し、カメラの小型化を実現する。
【0015】
次に図2には第1実施例に係る立体写真撮影可能なカメラの外観図を示し説明する。この図2において、上記測距部1や撮影用レンズ9等を有するカメラ8は、撮影者がレリーズスイッチ7を操作すると被写体の測距を行い、スライド式雲台6の上をスライドして位置を変えて2回撮影を行う。本発明の第1の実施例の特徴は上記スライド量を上記測距結果により可変としたことにある。
【0016】
以下、図3を参照して、上記スライド量を測距結果により可変とした理由を説明する。図3(a)は被写体20までの距離が短い時の例、図3(b)は被写体距離が長い時の例を図示したものである。
【0017】
この図3(a)に示すように、被写体20は立体でΔlの凸凹を有する。立体写真撮影では該凸凹を立体的に表現しなければならないが、図3(a)のような被写体距離では、ST1の距離を隔てて撮影を行えば、撮影レンズ9bを介して被写体のΔlの奥行きはフィルム22b上にΔxの差として記録できる。
【0018】
このΔxが小さいと、フィルム22a,22bを拡大してプリントした時に使用者はこの差を認知できず、立体的に見ることができない。そして、このΔlとΔxの関係は撮影レンズの焦点距離fT 、撮影レンズ9a,9bの位置差ST1より次式で示される。
【0019】
そして、この(1/l−1/(l+Δl))をΔ1/lとして表現すれば、上記(1)式は次式で示される。
【0020】
Δx=ST1・fT ・Δ1/l …(2)
このような関係から、lが大きくなると、Δlが同じであればΔ1/lがそれに応じて小さくなってしまう。従って、ST1,fT が一定だと、上記(2)式よりΔxも小さくなっていき、ついには目視ではプリント上でもΔxが認識できなくなってしまう。これでは立体写真が撮影できるとは言い難い。
【0021】
かかる点に鑑みて、本発明では、図3(b)に示すようにST1→ST2のように撮影レンズ位置差を可変制御として対策した。つまり、被写体距離lが大きい時には、ST2も大きくすることとした。
【0022】
次に図4には、このような撮影レンズ位置差をレンズ位置時分割制御にて達成する第1の実施例に係る立体写真撮影可能なカメラの構成を更に詳細に示し説明する。図4において、符号1は図1の測距部1に対応し、被写体20に対し、測距用の赤外光を集光投光するための投光レンズ12、赤外発光ダイオード(IRED)11があり、これは投光回路16を介してCPU10により制御される。
【0023】
このIRED11の光は被写体20から反射して、受光レンズ13を介して光位置検出素子(PSD)14上に入射する。この入射位置は三角測距の原理により被写体距離lに依存するので、PSD14はこの光位置に依存した2つの電流信号を出力し、測距回路15がこの2つの信号電流を演算して距離lに依存した信号をCPU10に対して出力する。
【0024】
そして、符号2は図1の写真撮影部2に対応し、撮影レンズ9を被写体20にピント合せするピント合せ部17、フィルム上に撮影レンズからの光を露光制御するシャッタ18等からなる。
【0025】
さらに、符号3は図1の撮影位置切換部3に相当し、CPU10がモータードライバ30を介してモーター31を回転させると、ギア32,33によって図2のカメラ9全体がスライド式雲台6の上を矢印の方向に移動する。このギア33の回転数をフォトカプラ等からなる回転数検出器35で検知することにより、CPU10はカメラのスライド量、つまりカメラの撮影位置差を制御することができる。この撮影ポイントは磁気記録回路23と磁気ヘッド21を介してフィルム22に記録される。
【0026】
ここで、図5を参照して、フィルム22に記録される撮影ポイント情報について説明する。図5において、符号9A,9Bは、撮影レンズの2ケ所の撮影位置を示している。そして、これらのレンズとフィルム22A,22BのサイズWから撮影可能な画角が決まるが、立体写真に使えるのは撮影位置9Aの画角θA と、撮影位置9Bの画角θB の共通部分である画角θC の部分だけである。
【0027】
従って、図中、画角θ3 ,θ4 の部分は立体写真には不必要となる。この画角θ3 ,θ4 の部分は、フィルム上に画示すると、図6(a)に示すように2つの画像の不要なアンバランス部分θF3,θF4として現れる。
【0028】
本発明では、こうした無駄な部分を生じないように、測距結果lと移動量ST より上記θF3,θF4を算出し、該算出量に係る情報をフィルム上に記録し、プリントの際には該記録結果に従って該部分を無視して焼きつけないようにする。
【0029】
このθF3とθF4は次式で示される。尚、fT は撮影レンズの焦点距離である。
θF3=θF4=ST ・fT /l …(3)
また、ST は一般に次のように設定するのが良いとされている。
【0030】
ST =1/50・l …(4)
従って、この時(3)式は、
θF3=θF4=fT /50 …(5)
となる。但し、上記(4)式でのST は、風景写真等では大きな値となってしまうので、リミッタを設けるようにする。
【0031】
また、カメラ8のスライド方向とフィルムの巻き上げ方向によっては、図6(a),(b)に示すようにフィルムと左右の像が逆転する事があるので、これを正しくすべく、フィルム22の磁気記録部にプリント時に像が正しく並ぶように左右の像を識別する情報を記録する。以上説明した左右判別情報及び上記(3)式の不要部分指定情報を「撮影ポイント情報」と称する。
【0032】
以下、図7のフローチャートを参照して、第1の実施例に係る立体写真撮影可能なカメラの動作を詳細に説明する。不図示のパワースイッチがオンされ電源が供給されると、CPU10は先ずレリーズスイッチ7の入力状態を検出し(ステップS1)、当該レリーズスイッチの入力が検出されると、モードスイッチ5によって、立体写真を撮影するためのモード(以下、3Dモードと略す)が設定されているかどうかを判定する(ステップS2)。そして、3Dモードが選択されていない時は、測距部1を用いて被写体距離を検出し(ステップS14)、ピント合せ部17を制御し(ステップS15)、シャッタを作動させ露光を行った後(ステップS16)、ステップS13に移行する。
【0033】
一方、上記ステップS2にて、3Dモードが設定されている時には、測距を行った後(ステップS3)、測距結果lの1/50の距離ST を求める(ステップS4)。そして、このST が20cmを越える場合は(ステップS5)、ST を20cmに固定しリミッタとする(ステップS6)。
【0034】
続いて、撮影レンズのピント調整を行いピントを固定し(ステップS7)、露光を行い(ステップS8)、フィルムの露光位置を変えるためフィルム巻き上げ動作を行い(ステップS9)、撮影位置を変え(ステップS10)、再度露光する。(ステップS11)。この時、同時にフィルム上の磁気記録部に先に説明した撮影ポイント情報を記録部4に書きこむ(ステップS12)。この動作はステップS8の露光の後もステップS9にて同様に行われる。こうしてステップS6で固定していたピント合せ用レンズの位置を初期化し(ステップS13)、全ての動作を終了する(ステップS17)。
【0035】
以上説明したように、第1の実施例によれば、磁気記録機能付のカメラ8に移動式雲台6を組み合わせ、カメラ制御用のCPUに適当なプログラムを追加するだけで簡単に立体写真が撮影できる立体写真撮影可能なカメラが提供できる。
【0036】
次に図8には本発明の第2の実施例に係る立体写真撮影可能なカメラの構成を示し説明する。第2の実施例は1つの撮影レンズ9の瞳を分割し、立体写真を得るカメラに関し、前述した第1実施例に比してスライド式雲台が不要である利点がある。ここでは、瞳分割のためのマスク40a,40bの間隔が、第1実施例の撮影位置差STとなるので、これをモーター31、モータードライバ30等からなる撮影位置切換部3によって切換制御する。また、分割した光線でフィルム22の別の場所に露光するためにミラー41を配置している。
【0037】
そして、磁気記録部4を有し、プリント時にはミラーによって反転された像を反転してプリントすることにより正しい画像にするための情報や、マスク40a,40bの間隔切換による画像位置のズレを補正するための情報を入力できるようになっている。さらに、警告部43を具備し、適当な立体効果が得られないと判断される時は、LEDの点灯やブザーの発音によって、使用者にそれを認知させるように工夫している。
【0038】
また、レリーズ釦の押下に連動して2つのスイッチ7a,7bが順次ONするようにして、撮影に先立つタイミング、撮影を行うタイミングをCPU10が検知できるようになっており、それらのスイッチを各々1stレリーズスイッチ、2ndレリーズスイッチと称する。
【0039】
また、測距部1には所謂「マルチAF」を採用し、画面内の複数のポイントを測距できるようになっている。このマルチAFは、図9に示すようにIRED11を水平方向にスキャン、各ポイントで発光させることによって順次異なるポイントに測距用光45を投射できるようにしたものである。
【0040】
さらに、投受光レンズ12,13をカメラの上下に配置しPSD14の光入射位置の検出方向を上下方向にとることによって、各方向から入射する信号光の入射位置を時分割で検出し、三角測距の原理に従って各ポイントの測距が行われるようにした。
【0041】
ここで、図9(a)は、これらの測距用光学系、撮影レンズ9、ミラー31、フィルム22の配置を示したものである。これをカメラボディ8にレイアウトすると図9(b)に示すようになる。このようなマルチAFを採用することにより、例えば図10(a)のようなシーンで46の範囲を測距することにより、被写体がどのような距離分布を持つかを知ることができる。尚、この被写***置xと距離lの関係は図10(b)に示す通りである。
【0042】
以下、図12のフローチャートを参照して、第2の実施例に係る立体写真撮影可能なカメラの動作を説明する。
不図示のパワースイッチがオンされ、電源が供給されると、CPU10は先ず1stレリーズスイッチ7aの状態を検出し(ステップS30)、該1stレリーズスイッチ7aがオンすると、IRED11をスキャン、順次PSD14が信号光入射位置を検出し、その結果よりCPU10が各ポイントの距離を求めていく(ステップS31)。そして、1m〜3mの距離で同じ距離を示すポイントが多い距離を主要被写体距離lPとする(ステップS32)。このステップS32により図10の人物20を測距した3ポイントの距離がlPとして検出される。
【0043】
続いて、このlP の次に遠い距離、lP の次に近い距離と、lP との逆数の差をそれぞれ検出し、各々Δ1/l1 ,Δ1/l2 とする(ステップS33,S34)。そして、このΔ1/l1 ,Δ1/l2 より値の小さい方を選択し、上記(2)式より得られた、
ST =Δx/(fT ・Δ1/l) …(6)
に従って、マスク40a,40bの開口部間距離ST を決定する。この時、Δxは固定の0.05mmとし、撮影レンズの焦点距離fT も固定としている(ステップS35)。
【0044】
例えば、lP =2m、木が50cm後方にある時には、
Δ1/l=1/2−1/2.5=0.1(1/m)
となる。また、fT =35mmとすると、
ST =0.5/(35・0.1・10-3)=14.3mm
となり、マスク40a,40bの開口部間距離ST は14.3mmとなる。
【0045】
次いで、この計算結果STをカメラが設定可能なSTの最大値と比較し(ステップS36)、これを越える時は立体写真がとれないとして、警告を発する(ステップS37)。これは、ST切換機能のない立体カメラもで、応用可能な考え方であって、所定のSTと測距結果からその撮影状況が立体撮影に相応しいか相応しくないかを判定し、警告を発するというのも本発明の一部である。
【0046】
続いて、こうして得られたST に開口部が設定されるように両マスクを制御し(ステップS38)、2ndレリーズスイッチの入力を検出すると(ステップS39)、露光を行い(ステップS40)、巻き上げ及び磁気記録を行う(ステップS41)。本実施例では、図8で明らかなように、フィルムの異なる位置に露光を行うので、フィルムを順次送って巻き上げる方式では2重露光が起こったり、フィルムの無駄使いとなってしまう恐れがあった。
【0047】
そこで、図11(a)乃至(c)に示すように、フィルム22の未使用部分を詰めて無駄なく撮影ができるように、磁気記録結果を磁気ヘッド21等で検出し、これに従って巻き上げ及びフィルム停止制御を行う(ステップS43)。こうして全ての動作を終了する(ステップS44)。
【0048】
以上説明したように、第2の実施例では、1つのレンズの瞳を分割して、フィルムの異なる部分に立体写真用の2つの像を記録するが、フィルム上の異なる部分の2つの像が1つとなって立体写真になることや、ミラーの反転補正用の情報等をフィルム上に磁気記録できるように構成したので、従来の立体カメラのように光学系の工夫によって2つの像をフィルム上に隣接させたり、光路中のミラーによる反転を補正したりする必要がなく、よりコンパクトなカメラとして提供することが可能となる。また、画面内の複数のポイントの測距結果より、被写体の距離分布を検出し、そのシーンが立体写真に相応しいかどうかを判定できるようにしたので、失敗のない立体写真撮影が誰にでも楽しめるカメラが提供できる。
【0049】
次に図13には本発明の第3実施例に係る立体写真撮影可能なカメラの構成を示し説明する。第3の実施例は、上記(2)式を次式に変更して、撮影レンズの焦点距離fT を制御して、より立体らしく見える立体写真を撮影できるようにするものである。
【0050】
fT =Δx/(ST ・Δ1/l) …(7)
つまり、第3の実施例はマルチAF部1、警告部43、フィルム22への磁気記録部4、シャッタ部18に加え、2つの撮影レンズ9A,9Bの焦点距離を切り換えるズーム制御部45がCPU10に接続されている。そして、このズーム制御部45により、撮影レンズ9A,9Bはその焦点距離を切り換えるようになっている。
【0051】
以下、図14のフローチャートを参照して、第3の実施例に係る立体写真撮影可能なカメラの動作を説明する。
不図示のパワースイッチがONされ、電源が供給されると、先ずCPU10はモード切換スイッチ5が操作されており、立体写真を撮影する3Dモードになっているかを判定する(ステップS50)。ここで、3Dモードが選択されていない場合には片方のレンズで通常撮影を行った後(ステップS65)、ステップS63に移行する。
【0052】
上記ステップS50にて、3Dモードが選択されている場合には、続いてレリーズスイッチの半押し状態で閉成する1stレリーズスイッチのON/OFFを判定する(ステップS51)。そして、当該スイッチがONされると、画面内の複数のポイントを測距する多点測距を行い(ステップS52)、図12と同様1mから3mの距離の間にあって同じ測距結果を示す測距ポイントの数が最も多い距離を主要被写体距離lP とする(ステップS53)。
【0053】
続いて、測距結果より最遠、最近の距離を選択し、これらの逆数とlP の逆数の差をΔ1/l1 ,Δ1/l2 として算出する(ステップS54,S55)。この時、最遠距離は風景等の無限遠と言われる距離を除いて考えてもよい。
【0054】
次いで、このようにして得られたΔ1/l1 ,Δ1/l2 の小さい方をΔ1/lとして、上記(7)式に従って撮影レンズのズーミング位置fT を計算し(ステップS56)、このfT が撮影レンズが取り得るf1 値を越えるかどうかを判定する(ステップS57)。これを「Y」に分岐すると、警告部43を作動させる(ステップS58)。
【0055】
次にカメラ撮影レンズの焦点距離をズーミング制御し(ステップS59)、2ndレリーズスイッチの入力が検出されると(ステップS60)、露光を行う(ステップS62)。この後のステップS63,S64は、図12のステップS42,S43と同様である。尚、撮影等のレンズ絞りはステップS59において小さくなるように設定しておき、通常撮影に比べ被写界深度を深くとって立体写真に適合させている。
【0056】
ここで、図15には第3の実施例の立体写真撮影可能なカメラのレンズやシャッタの構成及び外観を示し説明する。
図15(a)のように2つの撮影レンズ9A,9Bの後方にシャッタ18A,18Bが設けられており、各々電磁アクチュエータ等からなる第1,第2シャッタ制御部を介して開口径(絞り)及び開口時間をCPU10が制御する。従って、3DモードがSW5によって設定されていない時には、第1又は第2のシャッタ制御部を独立に制御して、通常の撮影が行えるようになっている。
【0057】
この時、フィルムは3D撮影時の半分しか使われないので、使用状態を磁気記録しておき、次の撮影では無駄なくフィルム巻き上げした位置に露光するようにする。これが図14のステップS64の処理であり、通常撮影が行われた後は、3D撮影後の半分だけ巻き上げて、次の撮影に備えるようにする。
【0058】
また、図15(c)にシャッタの開口の時間変化を示している。即ち通常撮影時は図のようにシャッタ絞りは開口していき、所定量の露光が終了した時点でシャッタを閉じるようにCPU10が制御する。
【0059】
一方、3D撮影時には、2つのシャッタ絞りを所定の開口で止めて被写界深度を稼ぐように制御する。このようなカメラの外観図を図15(b)に示す。
この図15(b)に示されるように、カメラボディ5の前面に2つの撮影レンズ9A,9BとAF用投受光レンズ12,13、ファインダ対物レンズ32、ストロボ発口部51が配置されている。尚、符号7はレリーズボタンであり、符号5は3Dモード設定スイッチである。
【0060】
また、測距用光は投光レンズ12から45に示したように順次異なる方向に投射されマルチAFを行う。この時、図示するように2つの撮影レンズ9A,9Bの並び方向とマルチAFの測距用光のスキャン方向を揃えて立体写真の効果を判定し易いようにしている。
【0061】
以上説明したように、第3の実施例においては、2つの撮影レンズに各々設けられたシャッタの作動制御を同時制御か一方のみの制御かに切り換えることにより、簡単に通常撮影と3D撮影が切り換えることができる。
【0062】
そして、撮影レンズのズーム位置切換は、従来のコンパクトカメラ等でも採用された技術であるので、2つの撮影レンズ用のスペースがあれば第2実施例より簡単に従来技術にて採用することができる。
【0063】
さらに、同様の構成にて警告表示を逆の仕様としたカメラも提供できる。つまり、通常は立体カメラではない通常撮影のモードとしており、1stレリーズスイッチON時の測距結果、立体写真に相応しい距離分布が得られた時、CPU10がこれを判定し、使用者に3Dモードで撮影するように警告部で促すようにする。このような仕様により、一般使用者に手軽に立体写真撮影を楽しんでもらえるカメラが提供できる。
【0064】
以上、本発明の実施例について説明いたが、本発明はこれに限定されることなく、種々の改良・変更が可能であることは勿論である。
例えば上記実施例において、プリント時の色調や明るさ等立体写真を構成する2つの画像の間に差があってはならないので、磁気記録部4を用いて、現像や焼きつけが同一条件で成されるような情報を対応するフィルム部分に書き込んでおくようにするのも効果的である。
【0065】
尚、本発明の上記実施態様によれば、以下のごとき構成が得られる。
(1)撮影画面上の複数のポイントを測距する測距手段と、
上記複数の測距結果から、主要被写体距離とその他の被写体距離との差を判定する判定手段と、
異なる複数の位置から被写体を撮影するズームレンズを有する撮影手段と、
からなるカメラにおいて、
上記判定手段の出力に従って上記ズームレンズの焦点距離を制御するズームレンズ制御手段を有するカメラ。
(2)撮影に先立って閉成するレリーズスイッチと、
画面中央部の被写体距離を測距する測距手段と、
異なる複数の位置から被写体を撮影する撮影手段と、
上記測距結果と、上記複数の撮影位置の差に従って、上記レリーズスイッチ操作時に警告を発する警告手段とからなることを特徴とするカメラ。
(3)時分割で順次複数の位置から同一の被写体を撮影するカメラにおいて、
該被写体の距離を測定する測距装置を具備し、
上記測距装置は上記時分割の最初の撮影に先立って上記測距装置を作動させ、2回目以降は作動させないことを特徴とするカメラ。
(4)被写体までの距離を測定する測距手段と、
異なる複数の撮影位置から上記被写体を撮影するための撮影レンズを有する撮影手段と、
上記撮影レンズの画角と上記測距結果及び上記複数の撮影位置の差から露光像の有効範囲を演算する演算手段と、
磁気記録可能なフィルムに対し、磁気記録を行う記録手段と、
を有するカメラにおいて、
上記記録手段により上記演算手段の出力を対応するフィルム位置に記録することを特徴とするカメラ。
(5)画面内の複数のポイントを測距するために、順次測距用光を投射するための投光手段を有する測距装置と、
同一被写体を複数の位置から撮影できるように設けられた複数の撮影レンズと、
を有するカメラにおいて、
上記測距用光を順次移動させる方向と上記複数の撮影レンズの並び方向を揃えたことを特徴とするカメラ。
(6)同一被写体を同時に複数の位置から撮影できるように設けられた複数の撮影レンズと、
上記複数の撮影レンズとフィルムの間にそれぞれ設けられた複数のシャッタと、
スイッチの操作状況に従って上記複数のシャッタの一方のみを制御するモードと、上記複数のシャッタのすべてを同時に制御するモードを切り替え制御する切り替え手段と、
上記シャッタ制御後に上記フィルムを巻き上げる巻き上げ手段と、
を有するカメラにおいて、
上記巻き上げ手段が上記操作手段に従って上記フィルム巻き上げ量を制御することを特徴とするカメラ。
(7)上記シャッタの最大開口の大きさを上記スイッチの操作状況に従って切り替え制御する開口径切り替え手段を有することを特徴とする上記(6)に記載のカメラ。
(8)撮影画面内に複数の測距ポイントを有する測距手段と、
上記測距手段の出力に応じてフィルムへの露光光束をシフト可能なシフト手段と、
上記シフト手段による露光光束に関して、少なくともシフトしない光束とシフトした光束とを上記フィルムの異なる位置にそれぞれ露光する制御手段と、
撮影情報を上記フィルムに記録する記録手段と、
を備えたことを特徴とする立体写真撮影可能なカメラ。
(9)上記(1)に記載のカメラにおいて、
上記シフト手段は、フィルムに対して入射角の異なる被写体光束を与え、結像状態を変化させることを特徴とする。
(10)撮影画面内に複数の測距ポイントを有する測距手段と、
カメラの撮影位置を所定の第1位置から上記測距手段の出力に応答した第2位置へと変位する位置変更手段と、
撮影情報をフィルムに記録する記録手段と、
を備え、
上記第1位置で撮影した後、同一被写体を上記第2位置で再度撮影することを特徴とする立体写真撮影可能なカメラ。
(11)撮影画面内に複数の測距ポイントを有する測距手段と、
撮影レンズの一対の分割された射出瞳位置を通過した被写体光束をそれぞれ光路変更する光学手段と、
上記測距手段の出力に応答して上記一対の瞳間隔を制御する瞳制御手段と、
撮影情報をフィルムに記録する記録手段と、
を備えたことを特徴とする立体写真撮影可能なカメラ。
(12)被写体距離を測定する測距手段と、
上記測距手段の出力に応答して焦点合わせされ、所定の間隔をおいて配された一対の撮影光学系と、
撮影情報をフィルムに記録する記録手段と、
を備えたことを特徴とする立体写真撮影可能なカメラ。
【0066】
【発明の効果】
本発明によれば、測距情報を有効に利用して、一般的な使用者でも立体感のある写真を簡易・迅速にに撮影可能とする立体写真撮影可能なカメラを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例に係る立体写真撮影可能なカメラの構成を示す図である。
【図2】第1の実施例に係る立体写真撮影可能なカメラの外観図である。
【図3】第1の実施例において、雲台のスライド量を測距結果により可変とした理由を説明するための図である。
【図4】第1の実施例に係る立体写真撮影可能なカメラの構成を更に詳細に示す図である。
【図5】第1の実施例において、フィルム22に記録される撮影ポイント情報について説明するための図である。
【図6】第1の実施例において、画像の不要なアンバランス部分θF3,θF4を示す図である。
【図7】第1の実施例に係る立体写真撮影可能なカメラの動作を詳細に説明するためのフローチャートである。
【図8】第2の実施例に係る立体写真撮影可能なカメラの構成をし示す図である。
【図9】(a)は測距用光学系や撮影レンズ9、ミラー31、フィルム22等の詳細な配置を示す図、(b)はこれらをカメラボディ8にレイアウトする様子を示す図である。
【図10】(a)は一例に係る撮影シーンを示す図、(b)は被写***置xと距離lとの関係を示す図である。
【図11】第2の実施例によるフィルム上の記録方式を示す図である。
【図12】第2の実施例に係る立体写真撮影可能なカメラの動作を説明するための図である。
【図13】第3実施例に係る立体写真撮影可能なカメラの構成を示す図である。
【図14】第3の実施例に係る立体写真撮影可能なカメラの動作を説明するためのフローチャートである。
【図15】第3の実施例の立体写真撮影可能なカメラのレンズやシャッタの構成及び外観を示す図である。
【符号の説明】
1…測距部、2…撮影部、3…撮影位置切換部、4…記録部、5…モードスイッチ、6…雲台、7…レリーズスイッチ、8…カメラ、9…撮影レンズ、10…制御部。
Claims (3)
- 立体画像を形成することが可能なカメラにおいて、
複数ポイントの距離分布を検出する測距手段と、
異なる複数の位置から被写体を撮影する撮影手段と、
上記測距手段により検出された主要被写体距離の次に近い距離又は上記主要被写体距離の次に遠い距離の一方に基づいて上記複数撮影位置の位置差を制御する制御手段と、
上記測距手段の距離分布結果に基づいて立体画像を形成することが可能であるか否かを判断する判断手段と、
上記判断手段により立体画像を形成することが不可能であると判断された場合に警告を行う警告手段と、
を具備することを特徴とするカメラ。 - 上記複数の撮影位置にて撮影した画像に対応する上記画像記録媒体内の記録部に、上記複数の画像が1つの立体画像を形成することを示す情報を記録する記録手段を具備することを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
- 被写体までの距離を測距する測距手段と、
異なる複数の位置から上記被写体を撮影するための撮影レンズを有する撮影手段と、
上記撮影レンズの画角と上記測距手段による測距結果および上記撮影位置の位置差から、撮影された画像中、立体画像を形成するのに有効な画像有効範囲を演算する演算手段と、
上記演算手段による演算の結果、立体画像を形成するのに不必要な部分を画像記録媒体内の記録部に記録する記録手段と、
を有することを特徴とするカメラ。
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