JP3717473B2 - チェーン張力付与装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用エンジンの内部で掛け回される伝動チェーンに適正な張力を付与するために用いられるチェーン張力付与装置に関し、特に、クランクシャフト側スプロケットとカムシャフト側スプロケットとの間で回転を伝達するタイミングチェーンに用いられるチェーンテンショナと称するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のチェーン張力付与装置500は、図12乃至図15に示すように、走行するチェーンに向けて進退自在に突出する円柱状プランジャ520と、円柱状プランジャ520を進退自在に嵌挿するプランジャ摺動用円筒孔511が形成されたハウジング本体510と、ハウジング本体510に対して円柱状プランジャ520を突出方向に付勢する突出付勢用バネ530と、プランジャ摺動用円筒孔511の開口先端側に形成したカムガイド溝512内に遊挿されて前記円柱状プランジャ520の外周を二分割する対向位置にそれぞれ刻設したラック521に噛合する楔状カムチップ540と、円柱状プランジャ520に遊嵌して楔状カムチップ540をプランジャ摺動用円筒孔511に押し込むように付勢するカム付勢用バネ550と、プランジャ摺動用円筒孔511の開口先端側に当接配置してカム付勢用バネ550を支持する封止プレート560とを備え、エンジン運転時にチェーンが伸びてくると、円柱状プランジャ520が一歯分ずつ順次前進することによって、適切なバックストップ量(バックラッシュ量)を規制し、チェーンに発生しがちな騒音を抑制するとともに適正なチェーン張力を維持するようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特願2002−091895号明細書(第1頁、図2−図3)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のチェーン張力付与装置500は、円柱状プランジャ520がチェーン張力に応じて前進および後退する際に生じる突出付勢用バネ530の伸縮動作に誘発されて、円柱状プランジャ520がプランジャ摺動用円筒孔511内で自己回転すると、図14に示すような円柱状プランジャ520のラック521に対する楔状カムチップ540の整合した安定な噛み合い状態から、図15に示すような円柱状プランジャ520のラック521に対して楔状カムチップ540が片当たりした不安定な噛み合い状態となり、円柱状プランジャ520のラック521と楔状カムチップ540の少なくともいずれかに偏摩耗や歯欠けXなどが発生し、最終的にバックストップ機構が効かなくなるという問題があった。
【0005】
さらに、従来のチェーン張力付与装置500は、楔状カムチップ540をプランジャ摺動用円筒孔511に押し込むように付勢して楔状カムチップ540のプランジャ突出方向への飛び出しを規制するため、カム付勢用バネ550を楔状カムチップ540よりも先端側に配置しなければならず、テンショナ本体のコンパクト化が望めず、エンジンレイアウト上の狭いスペースにテンショナが対応できないという取り扱い上の問題があった。
【0006】
また、チェーン張力が調整される際に、カム付勢用バネ550が螺旋状形態で弾性変形するため、このカム付勢用バネ550のカム側端面において相対する位置で当接している楔状カムチップ540、540は、円柱状プランジャ520のラック521を同時に一歯分乗り越えることができず、片側の楔状カムチップ540のみでチェーン張力による負荷を受けるという状態が発生し、上述したような偏摩耗や歯欠けなどを加速助長させる恐れがあるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、前述したような従来技術の問題点を解消するものであって、円柱状プランジャのラックと楔状カムチップとの噛み合いを常時整合させて偏摩耗や歯欠けを防止するとともにバックストップ機構の耐久性を発揮し、しかも、コンパクトで取り扱いが簡便なチェーン張力付与装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のチェーン張力付与装置は、走行するチェーンに向けて進退自在に突出する円柱状プランジャと、該円柱状プランジャを進退自在に嵌挿するプランジャ摺動用円筒孔が円柱状プランジャと同心円状に設けられたハウジング本体と、該ハウジング本体に対して円柱状プランジャを突出方向に付勢する突出付勢用バネと、前記プランジャ摺動用円筒孔の先端開口側で同心円状に設けられた拡径凹部内で円柱状プランジャに外嵌して円柱状プランジャの軸方向に変位するとともに前記拡径凹部と同心円状に設けられたカム受けリングと、該カム受けリングを円柱状プランジャの突出方向に付勢するカム受けリング付勢用バネと、前記カム受けリングに形成されたスロープ状カムガイド溝内を滑動するとともに前記円柱状プランジャの外周に刻設された複数のラックにそれぞれ噛合する複数の楔状カムチップと、前記プランジャ摺動用円筒孔の拡径凹部内で円柱状プランジャに外嵌して複数の楔状カムチップの噛み外れを誘導規制するカム誘導用リングと、前記円柱状プランジャを進退自在に嵌挿するとともに前記プランジャ摺動用円筒孔の拡径凹部内に順次配置したカム受けリング付勢用バネとカム受けリングと楔状カムチップとカム誘導用リングを移動自在に封入する封止プレートとを備えたことによって、前述したような課題を解決するものである。
【0009】
なお、本発明のチェーン張力付与装置は、内装式と称するエンジン内部に密閉装着されるチェーン張力付与装置、外装式と称するエンジン外部から挿入装着されるチェーン張力付与装置の何れであっても良い。
【0010】
また、本発明のチェーン張力付与装置における突出付勢用バネについては、ハウジング本体に対して円柱状プランジャを突出方向に付勢することが可能であれば、円柱状プランジャの先端部と封止プレートとの間、若しくは、円柱状プランジャの後端部とプランジャ摺動用円筒孔の底部との間のいずれに介在させても構わないが、後者の方がテンショナ本体のコンパクト化を更に一段と実現することができる。
【0011】
さらに、本発明のチェーン張力付与装置は、エンジンのクランクシャフト側スプロケットとカムシャフト側スプロケットとの間に掛け回される伝動用タイミングチェーンを対象にして説明しているが、このような伝動用タイミングシステムに限らずエンジン内部のバランサーシステムやオイルポンプシステムなどに掛け回されるチェーンにも適用可能であり、また、伝動用タイミングベルトに対しても同様に適用可能であることは言うまでもない。
【0012】
【作用】
本発明のチェーン張力付与装置によれば、エンジン運転時にチェーンが伸びてくると、円柱状プランジャが一歯分ずつ順次前進することによって、適切なバックストップ量(バックラッシュ量)を規制し、始動時の異音を防止するとともにチェーンの張り過ぎ時に発生するヒュー音を防止して、適正なチェーン張力を維持する。
【0013】
すなわち、本発明のチェーン張力付与装置は、走行するチェーンが弛緩してくると、円柱状プランジャの後退変位を阻止していたバックストップ状態から、突出付勢用バネが伸長して円柱状プランジャが直ちに前進していく。
【0014】
このとき、プランジャ摺動用円筒孔の拡径凹部内のカム受けリングも、カム受けリング付勢用バネによって円柱状プランジャの突出方向に変位し、このカム受けリングの変位に伴って複数の楔状カムチップも円柱状プランジャのラックに噛合したまま円柱状プランジャの突出方向に変動する。そうすると、この複数の楔状カムチップが、カム誘導用リングを前記拡径凹部内で円柱状プランジャの外周面上を摺接しながら円柱状プランジャの突出方向に変位させる。
【0015】
つぎに、前記カム誘導用リングがプランジャ摺動用円筒孔の拡径凹部内で封止プレートの裏面に当接して行き止まると、楔状カムチップはカム受けリングのスロープ状カムガイド溝内を滑動してカム受けリングを円柱状プランジャの突出方向と逆方向へバックラッシュ、すなわち、押し戻しながら、円柱状プランジャのラックとの噛合が外れるまでリング外周側に向けて迫り上がる。
【0016】
そして、楔状カムチップと円柱状プランジャのラックとの噛合が外れた瞬間、カム誘導用リングが封止プレートの裏面に当接して行き止まっているため、楔状カムチップは、一変してカム受けリングのスロープ状カムガイド溝内を滑動して円柱状プランジャのラックと一歯分だけズレた位置で噛合するまで円柱状プランジャの軸芯側に向けて潜り込み、その反動によって相対的にカム受けリングが円柱状プランジャの突出方向へ再び変位する。
【0017】
このような状態において、本発明のチェーン張力付与装置にチェーン側から円柱状プランジャを押し戻すような外力が加わると、円柱状プランジャのラックを一歯分だけ乗り越えた複数の楔状カムチップは、円柱状プランジャのラックを一歯分だけ乗り越える前と同様に、円柱状プランジャに対してクサビ作用を奏して、円柱状プランジャの後退変位を阻止するバックストップ機能を発揮する。
【0018】
そして、上記バックストップ機能が作動するとき、円柱状プランジャの外周を少なくとも二分割する対向位置にそれぞれ刻設した複数のラックに噛合する楔状カムチップを備えていることによって、前述した円柱状プランジャを介して押し戻される力が楔状カムチップに均等に付加されて分散される。
【0019】
そこで、本発明のチェーン張力付与装置が最も特徴とする円柱状プランジャのラックと楔状カムチップとの噛み合いについて詳述すると、ハウジング本体のプランジャ摺動用円筒孔が円柱状プランジャと同心円状に設けられているとともにカム受けリングがプランジャ摺動用円筒孔の拡径凹部と同心円状に設けられて楔状カムチップに向けてカム受けリング付勢用バネで付勢されていることによって、円柱状プランジャがチェーン張力に応じて前進および後退する際に生じる突出付勢用バネの伸縮動作に誘発されてプランジャ摺動用円筒孔内で自己回転しても、この円柱状プランジャに追従して楔状カムチップとカム受けリングとが一体となってプランジャ摺動用円筒孔の拡径凹部内で回転するため、円柱状プランジャのラックに対して楔状カムチップが片当たりせずに整合した安定な噛み合い状態を維持するので、バックストップ機構が確実に作動する。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のチェーン張力付与装置の好ましい実施の形態にある一実施例を図面に基づいて説明する。ここで、図1は、本発明の一実施例であるチェーン張力付与装置の設置図であり、図2は、図1に示すチェーン張力付与装置を一部破断した概要図であり、図3は、図1に示すチェーン張力付与装置の分解組み立て図であり、図4は、図2に示すチェーン張力付与装置の要部を拡大した断面図であり、図5乃至図11は、図1に示すチェーン張力付与装置の作動状態を示す図であって、図5は、バックストップ機能の作動状態を示した断面図であり、図6は、楔状カムチップがプランジャのラックから噛み外れを開始するまでの作動状態を示した断面図であり、図7は、楔状カムチップがプランジャのラックを一歯乗り越える直前の作動状態を示した断面図であり、図8は、プランジャがラックの一歯分だけ前進した直後の作動状態を示した断面図であり、図9は、プランジャがラックの一歯分だけ前進した後のバックストップ機能の作動状態を示した断面図であり、さらに、図10は、本実施例においてプランジャが回転していない場合の楔状カムチップとの噛み合い状態を拡大視した横断面図であり、図11は、本実施例においてプランジャが回転した場合の楔状カムチップとの噛み合い状態を拡大視した横断面図である。
【0021】
本実施例のチェーン張力付与装置100は、図1に示すような自動車用エンジンのクランクシャフト側スプロケットS1とカムシャフト側スプロケットS2との間に掛け回されたタイミングチェーンTCの走行時に生じる振動を抑止し、かつ、適正な張力を維持するために、エンジン外部から挿入装着する外装式チェーン張力付与装置として用いたものであって、エンジンブロック壁Eに装着されるハウジング本体110の前方を走行するタイミングチェーンTCに向けて突出してバネ付勢される円柱状プランジャ120がエンジンブロック壁Eに揺動自在に軸支されているテンショナレバーTLの揺動端近傍の背面を押圧することにより、テンショナレバーTLのシュー面がタイミングチェーンTCの弛み側に摺動接触して張力を付加するようになっている。
なお、図1における符号TGは、エンジンブロック壁Eに固定されてタイミングチェーンTCをバタツカないように走行案内するテンショナガイドである。
【0022】
そこで、本実施例のチェーン張力付与装置100は、図2乃至図4に示すように、円柱状プランジャ120を進退自在に嵌挿するプランジャ摺動用円筒孔111が形成されたハウジング本体110と、このハウジング本体110に対して円柱状プランジャ120を突出方向に付勢する突出付勢用バネ130と、前記プランジャ摺動用円筒孔111の先端開口側で同心円状に設けられた拡径凹部111a内で円柱状プランジャ120に外嵌して円柱状プランジャ120の軸方向に変位するとともに前記拡径凹部111aと同心円状に設けられたカム受けリング140と、該カム受けリング140を円柱状プランジャ120の突出方向に付勢するカム受けリング付勢用バネ150と、前記カム受けリング140に形成されたスロープ状カムガイド溝141内を滑動するとともに前記円柱状プランジャ120の外周を二分割する対向位置にそれぞれ刻設された二筋のラック121、121にそれぞれ噛合する一対の楔状カムチップ160、160と、前記プランジャ摺動用円筒孔111の拡径凹部111a内で円柱状プランジャ120に外嵌して一対の楔状カムチップ160、160の噛み外れを誘導規制する樹脂製のカム誘導用リング170と、前記円柱状プランジャ120を進退自在に嵌挿するとともに前記プランジャ摺動用円筒孔111の拡径凹部111a内に順次配置したカム受けリング付勢用バネ150とカム受けリング140と楔状カムチップ160、160とカム誘導用リング170を移動自在に封入する封止プレート180とを備えている。
なお、本実施例のカム誘導用リング170は合成樹脂製のものを採用することによって、楔状カムチップ160との摩擦係数を低く抑え、楔状カムチップ160の挙動を滑らかに作動させて、その追従性を向上させているが、金属製のものであっても何ら差し支えない。
【0023】
前記突出付勢用バネ130の設置形態については、円柱状プランジャ120の後端部とプランジャ摺動用円筒孔111の底部との間に介在させた設置形態を採用しているが、ハウジング本体110に対して円柱状プランジャ120を突出方向に付勢することが可能であれば、円柱状プランジャ120の先端部と封止プレート180との間に介在させても良い。また、前記突出付勢用バネ130は、走行するチェーン張力に応じてハウジング本体110に対して円柱状プランジャ120を突出方向に付勢するためのバネであるから、単に、カム受けリング140を円柱状プランジャ120の突出方向に付勢するためのカム受けリング付勢用バネ150よりも、大きな付勢力を充分に発揮することができることは言うまでもない。
【0024】
前記ハウジング本体110の後端部には、図示しない外部油供給源から油圧を円柱状プランジャ120の後端部に作用させて円柱状プランジャ120の突出付勢力をきめ細かに調整するための油圧バルブ機構190が設けられ、この油圧バルブ機構190は、後述するリテーナ193に圧入されたボールシート191と、このボールシート191に対して当接自在となるチェックボール192と、このチェックボール192を保持するリテーナ193などから構成されており、プランジャ摺動用円筒孔111と円柱状プランジャ120の後端部との間に形成される高圧油室195への油の流入を許容し逆に高圧油室195からの油の逆流を阻止して、円柱状プランジャ120を介したチェーン張力の付与と維持をよりきめ細かに達成することができるようになっている。
【0025】
以上のようにして得られた本実施例のチェーン張力付与装置100は、図5に示すような円柱状プランジャ120のバックストップ機能が作動した状態から、タイミングチェーンTCが弛緩してくると、図6に示すように、突出付勢用バネ130によって突出方向に付勢されている円柱状プランジャ120が直ちに前進する。
【0026】
すなわち、バックストップ状態から、円柱状プランジャ120が走行するタイミングチェーンTCに向けて前進していくと、図6に示すように、拡径凹部111a内のカム受けリング140も、カム受けリング付勢用バネ150の付勢力によって円柱状プランジャ120の突出方向に変位し、このようなカム受けリング140の変位に伴って一対の楔状カムチップ160、160とカム誘導用リング170もプランジャ摺動用円筒孔111の拡径凹部111a内を円柱状プランジャ120の突出方向に変動する。
【0027】
つぎに、前記カム誘導用リング170が、プランジャ摺動用円筒孔111の拡径凹部111a内で封止プレート180の裏面に当接して行き止まると、図7で示すように、一対の楔状カムチップ160、160は、カム受けリング140に形成された二筋のスロープ状カムガイド溝141、141内をそれぞれ滑動してカム受けリング140を円柱状プランジャ120の突出方向と逆方向へ押し戻しながら、円柱状プランジャ120のラック121、121との噛合が外れるまでリング外周側に向けて迫り上がる。
【0028】
そして、一対の楔状カムチップ160、160と円柱状プランジャ120のラック121、121との噛合が外れた瞬間、カム誘導用リング170がプランジャ摺動用円筒孔111の拡径凹部111a内で封止プレート180の裏面に当接して行き止まった状態となっているため、図8に示すように、一対の楔状カムチップ160、160は、一変してカム受けリング140のスロープ状カムガイド溝141、141内をそれぞれ滑動して円柱状プランジャ120のラック121、121と一歯分だけズレた位置で噛合するまで円柱状プランジャ120の軸芯側に向けて潜り込み、その反動によって、相対的にカム受けリング140が円柱状プランジャ120の突出方向へ再び変位する。
【0029】
このような状態において、本実施例のチェーン張力付与装置100にチェーン側から円柱状プランジャ120を押し戻すような外力Fが加わると、円柱状プランジャ120のラック121を一歯分だけ乗り越えた一対の楔状カムチップ160、160は、図9に示すように、円柱状プランジャ120のラック121を一歯分だけ乗り越える前と同様に、円柱状プランジャ120に対してクサビ作用f1を奏して、円柱状プランジャ120の後退変位を阻止するバックストップ機能を発揮する。
【0030】
つぎに、本発明のチェーン張力付与装置が最も特徴とする円柱状プランジャ120のラック121と楔状カムチップ160との噛み合いについて詳述すると、ハウジング本体110のプランジャ摺動用円筒孔111が円柱状プランジャ120と同心円状に設けられているとともにカム受けリング140がプランジャ摺動用円筒孔111の拡径凹部111aと同心円状に設けられていることによって、円柱状プランジャ120がチェーン張力に応じて前進および後退する際に生じる突出付勢用バネ130の伸縮動作に誘発されてプランジャ摺動用円筒孔111内で自己回転しても、この円柱状プランジャ120に追従して楔状カムチップ160とカム受けリング140とが一体となってプランジャ摺動用円筒孔111の拡径凹部111a内で回転することができるため、図10のように円柱状プランジャ120のラック121に対して楔状カムチップ160が片当たりせず、図11に示すような円柱状プランジャ120のラック121と楔状カムチップ160とが整合した安定な噛み合い状態を維持するので、バックストップ機構が確実に作動する。
【0031】
このようにして、本実施例のチェーン張力付与装置100は、適切なバックストップ機能を発揮してチェーンのバタツキによるバタツキ音、及び円柱状プランジャ120の過飛出しによって発生するチェーンの張り過ぎによるヒュー音を防止し、適正なチェーン張力を維持することができるとともに、円柱状プランジャ120がチェーン張力に応じて前進および後退する際に生じる突出付勢用バネ130の伸縮動作に誘発されても、この円柱状プランジャ120に追従して楔状カムチップ160、160とカム受けリング140とが一緒に回転して、円柱状プランジャ120のラック121に対して楔状カムチップ160、160が片当たりせずに整合した安定な噛み合い状態を維持することができるので、円柱状プランジャ120のラック121や楔状カムチップ160、160に生じがちな偏摩耗や歯欠けを防止するとともにバックストップ機構の耐久性を長期に亙って発揮することができるなど、その効果は甚大である。
【0032】
【発明の効果】
本発明のチェーン張力付与装置は、スロープ状カムガイド溝内を滑動するとともにプランジャ外周のラックに噛合する複数の楔状カムチップを備えていることにより、エンジン運転時のチェーンが伸びてくると、円柱状プランジャが一歯分ずつ順次前進することによって、適切なバックストップ量(バックラッシュ量)を規制して、始動時の異音を防止し、また、チェーンの張り過ぎによるヒュー音を防止して、適正なチェーン張力を維持することができ、これに加えて、以下のような特有の効果を奏する。
【0033】
まず、ハウジング本体のプランジャ摺動用円筒孔が円柱状プランジャと同心円状に設けられているとともにカム受けリングがプランジャ摺動用円筒孔の拡径凹部と同心円状に設けられて楔状カムチップに向けてカム受けリング付勢用バネで付勢されていることによって、円柱状プランジャがチェーン張力に応じて前進および後退する際に生じる突出付勢用バネの伸縮動作に誘発されても、この円柱状プランジャに追従して楔状カムチップとカム受けリングとが一緒に回転し、円柱状プランジャのラックに対して楔状カムチップが片当たりせずに整合した安定な噛み合い状態を維持することができるので、円柱状プランジャのラックや楔状カムチップに生じがちな偏摩耗や歯欠けを防止するとともにバックストップ機構の耐久性を長期に亙って発揮することができる。
【0034】
そして、プランジャ摺動用円筒孔の拡径凹部内で円柱状プランジャの軸方向に変移するカム受けリングと、該カム受けリングを付勢するカム受けリング付勢用バネと、前記カム受けリングのスロープ状カムガイド溝内を滑動するとともに円柱状プランジャのラックに噛合する楔状カムチップと、該楔状カムチップの噛み外れを誘導規制するカム誘導用リングとを備えたことによって、複数の楔状カムチップをカム誘導用リングで位置決めすることができるため、従来のカム付勢用バネを使用していた場合に比較すると、それぞれの楔状カムチップのアンバランスな動きがなくなり、一方の楔状カムチップのみが円柱状プランジャのラックに噛み合うという現象が回避され、カムの耐久性が一段と向上する。
【0035】
さらに、従来のカム付勢用バネに換えてカム誘導用リングを採用できるような構造にしたことによって、楔状カムチップより先端側のテンショナ構造を簡素化することができるとともに、ラックが刻設されたより先端側のプランジャ長を短くすることができるので、コンパクトで取り扱いが簡便なチェーン張力付与装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例であるチェーン張力付与装置の設置図。
【図2】 図1に示すチェーン張力付与装置を一部破断した概要図。
【図3】 図1に示すチェーン張力付与装置の分解組み立て図。
【図4】 図2に示すチェーン張力付与装置の要部を拡大した断面図。
【図5】 バックストップ機能の作動状態を示した断面図。
【図6】 楔状カムチップがプランジャのラックから噛み外れを開始するまでの作動状態を示した断面図。
【図7】 楔状カムチップがプランジャのラックを一歯乗り越える直前の作動状態を示した断面図。
【図8】 プランジャがラックの一歯分だけ前進した直後の作動状態を示した断面図。
【図9】 プランジャがラックの一歯分だけ前進した後のバックストップ機能の作動状態を示した断面図。
【図10】 本実施例においてプランジャが回転していない場合の楔状カムチップとの噛み合い状態を拡大視した横断面図。
【図11】 本実施例においてプランジャが回転した場合の楔状カムチップとの噛み合い状態を拡大視した横断面図。
【図12】 従来のチェーン張力付与装置を一部破断した概要図。
【図13】 図12に示すチェーン張力付与装置の分解組み立て図。
【図14】 従来のチェーン張力付与装置においてプランジャが回転していない場合の楔状カムチップとの噛み合い状態を拡大視した横断面図。
【図15】 従来のチェーン張力付与装置においてプランジャが回転した場合の楔状カムチップとの噛み合い状態を拡大視した横断面図。
【符号の説明】
100,500 ・・・ チェーン張力付与装置
110,510 ・・・ ハウジング本体
111,511 ・・・ プランジャ摺動用円筒孔
111a ・・・ プランジャ摺動用円筒孔111の拡径凹部
120,520 ・・・ 円柱状プランジャ
121,521 ・・・ ラック
130,530 ・・・ 突出付勢用バネ
140 ・・・ カム受けリング
141,512 ・・・ スロープ状カムガイド溝
150 ・・・ カム受けリング付勢用バネ
160,540 ・・・ 楔状カムチップ
170 ・・・ カム誘導用リング
180,560 ・・・ 封止プレート
190,570 ・・・ 油圧バルブ機構
191,571 ・・・ ボールシート
192,572 ・・・ チェックボール
193,573 ・・・ リテーナ
195,580 ・・・ 高圧油室
S1 ・・・ 駆動軸側スプロケット
S2 ・・・ 従動軸側スプロケット
TC ・・・ タイミングチェーン
TG ・・・ テンショナガイド
TL ・・・ テンショナレバー
E ・・・ エンジンブロック壁
X ・・・ 偏摩耗や歯欠け

Claims (1)

  1. 走行するチェーンに向けて進退自在に突出する円柱状プランジャと、該円柱状プランジャを進退自在に嵌挿するプランジャ摺動用円筒孔が円柱状プランジャと同心円状に設けられたハウジング本体と、該ハウジング本体に対して円柱状プランジャを突出方向に付勢する突出付勢用バネと、前記プランジャ摺動用円筒孔の先端開口側で同心円状に設けられた拡径凹部内で円柱状プランジャに外嵌して円柱状プランジャの軸方向に変位するとともに前記拡径凹部と同心円状に設けられたカム受けリングと、該カム受けリングを円柱状プランジャの突出方向に付勢するカム受けリング付勢用バネと、前記カム受けリングに形成されたスロープ状カムガイド溝内を滑動するとともに前記円柱状プランジャの外周に刻設された複数のラックにそれぞれ噛合する複数の楔状カムチップと、前記プランジャ摺動用円筒孔の拡径凹部内で円柱状プランジャに外嵌して複数の楔状カムチップの噛み外れを誘導規制するカム誘導用リングと、前記円柱状プランジャを進退自在に嵌挿するとともに前記プランジャ摺動用円筒孔の拡径凹部内に順次配置したカム受けリング付勢用バネとカム受けリングと楔状カムチップとカム誘導用リングを移動自在に封入する封止プレートとを備えたことを特徴とするチェーン張力付与装置。
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