JP3712873B2 - 密閉形鉛蓄電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無停電電源装置などに用いられる密閉形鉛蓄電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の急速な情報化社会への進展にともない、その中心となるコンピュータをバックアップする電源として無停電電源装置が広く使用されている。この無停電電源装置の設定電圧や温度、湿度等の使用条件は、広範囲にわたっている。従って、無停電電源装置に組み込まれている密閉形鉛蓄電池の寿命は、それらの使用条件によって大きく左右される。一般に、無停電電源装置に使用される密閉形鉛蓄電池は、常時充電される、いわゆるトリクル充電で使用される頻度が高い。特に、高温低湿条件下においてトリクル充電で使用される場合、電池寿命モードは、電解液の減少による電池内部抵抗の早期増加であることが確認されている。
特に、無停電電源装置が本体内に熱源を有することや室内に設置されることなどから、電池の劣化モードは、電解液の減少によるところが大きく、早期に寿命に至ることがあった。
【0003】
従来の密閉形鉛蓄電池の電槽および蓋の材料は、ガラスから始まり現在ではほとんどが樹脂になった。樹脂製電槽は、近年の電池の小型・軽量化には欠かせないものとなっている。しかし、樹脂製電槽を使用すれば、水分の減少は避けることができない。
この樹脂製電槽からの水分の逸散を抑制するために、一般に電池の電槽や蓋によく使用されるアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(以下ABS樹脂と云う)に透湿性のない物質である雲母を添加したり(特開昭62−71166号公報)、ガラスフレークを添加したり(実開平6−77152号公報)、あるいはポリフェニレンエーテル系樹脂にグラスフレークを添加する(特開平6−203814号公報に開示)方法が試みられていた。
【0004】
電槽外部からの水分の補給ができない構造となっている密閉形鉛蓄電池にとって、電池内部からの水分逸散を抑制することは電池の長寿命化に欠かせない課題である。上記のように、樹脂の水分透過性を抑制する添加剤を充填すると、樹脂の機械的な強度は増加するが、樹脂の耐衝撃強度が大きく低下するという問題がある。電池の小形軽量化が進行する中で、電池が落下した場合等における衝撃に対する強度の低下は、致命的な問題である。
また、一般に密閉形鉛蓄電池においては、電槽蓋は電解液の注液口を有し、その注液口に装着した安全弁を覆う上蓋を超音波溶着により電槽蓋に溶着している。ところが、電槽蓋や上蓋の樹脂材料を変更したり添加剤を添加したりした場合、樹脂同士の超音波による溶着条件は変わり、溶着強度も大きく低下する傾向にあった。
【0005】
バックアップ用途の密閉形鉛蓄電池は、常に充電状態であることが必要である。そのため、自己放電分を補うだけのトリクル充電が常になされている。密閉式鉛蓄電池を充電すると、電槽内部では正極から酸素が常に発生する。この酸素は負極により吸収されるものの、電槽内部の圧力は、多くの場合、特に40℃以上の高温雰囲気中においては、大気圧よりも大であるから、トリクル充電中は弁には開く方向へ圧力が作用している。よって、上蓋には電槽蓋との溶着部を引き剥がす方向の応力が作用するから、上蓋と電槽蓋との溶着強度を十分に確保する必要がある。上蓋が電槽蓋から剥離すると、安全弁の密閉性が損なわれ、電解液が急激に減少するとともに負極板が大気中の酸素と結合し不活性化し、電池の容量が急激に低下する。
【0006】
一般に、バックアップ用途に用いられる密閉形鉛蓄電池は、複数のモノブロック電池を直列接続して組電池とすることにより高電圧を出力できるようにされている。このような用途においては、組電池を構成するモノブロック電池に一箇所でも上記のような電槽蓋と上蓋との溶着部での剥がれが発生して気密性が損なわれると、そのモノブロック電池が急激に性能低下するのみならず組電池全体が容量低下する。また、このような気密性が損なわれたモノブロック電池は、内部抵抗が急激に増大するため、組電池全体の充電受け入れ性が著しく低下する。このような状態で使い続けた場合、気密性の損なわれない正常なモノブロック電池も充電不足状態に陥り、気密性が損なわれたモノブロック電池を正常なものに交換してももはや回復できない状態になるおそれがある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような問題点を解決するもので、樹脂の衝撃度の低下を最小限にとめ、高温低湿の条件下で使用されても電池内部から水分の逸散を少なく、これにより電池の内部抵抗の上昇が抑制され、トリクル寿命の長い密閉形鉛蓄電池を提供することを目的とする。
また、本発明は、電槽蓋とその安全弁装着部を覆う上蓋とを超音波溶着により強固に接合できるようにして、信頼生の向上された密閉形鉛蓄電池を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
発明は、極板群を収納する電槽、前記電槽の開口部に樹脂接着剤により接着されて電槽の開口部を封じる電槽蓋、および前記電槽蓋の安全弁装着部を覆い、電槽蓋に超音波溶着される突部を有する上蓋を具備し、前記電槽が、非透湿性の薄片状無機物質を添加した、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂からなり、前記電槽蓋および上蓋が前記非透湿性の薄片状無機物質を含まないアクリロニトリルーブタジエンースチレン系樹脂からなる密閉形鉛蓄電池を提供する。
【0009】
ここにおいて、前記非透湿性の薄片状無機材料としては、雲母またはタルク{Mg3(Si410)(OH)2}が好ましい。
また、前記変性ポリフェニレンエーテル系樹脂としては、ポリフェニレンエーテル系樹脂とポリスチレン系樹脂とのポリマーアロイ、特に30〜80重量%のポリフェニレンエーテル系樹脂と70〜20重量%のポリスチレン系樹脂とのポリマーアロイが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の密閉形鉛蓄電池は、上記のように、極板群を収容する電槽が非透湿性の薄片状無機物質を添加した変性ポリフェニレンエーテル系樹脂からなる。ポリフェニレンエーテル系樹脂(以下PPE樹脂という)は、次の一般式で表される重合体の総称であって、この一般式で表される重合体の一種単独であっても、複数種の重合体が組み合わされたものであってもよい。
【0011】
【化1】
Figure 0003712873
【0012】
(式中R1、R2、R3ならびにR4は、水素、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子とフェニル環との間に少なくとも2個の炭素原子を有するハロアルキル基、および、第3級α−炭素を含まないハロアルコキシ基からなる群より選んだ一価置換基を示し、nは重合度を表す整数である。)
【0013】
好ましい例は、R1およびR2が炭素原子数1〜4のアルキル基であり、R3およびR4が水素または炭素原子数1〜4のアルキル基である。具体的には、たとえば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エ−テル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エ−テル、ポリ(2−メチル−6−ジエチル−1,4−フェニレン)エ−テル、ポリ(2−メチル−6−プロピル−1,4−フェニレン)エ−テル、ポリ(2,6−ジプロピル−1,4−フェニレン)エ−テル、ポリ(2−エチル−6−プロピル−1,4−フェニレン)エ−テルなどが上げられる。特に好ましいポリフェニレンエ−テル樹脂は、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エ−テルである。また、ポリフェニレンエ−テル共重合体としては、上記ポリフェニレンエ−テル繰り返し単位中にアルキル三置換フェノ−ル、例えば2,3,6−トリメチルフェノ−ルを一部含有する共重合体を上げることができる。
【0014】
ポリスチレン系樹脂は、スチレンまたはその誘導体、例えばビニルトルエン、エチルビニルトルエン、α−メチルスチレンおよびこれらの混合物の重合体が用いられる。これらの重合体が、ブチルゴム、エチレン−プロピレン共重合体、天然ゴムなどの天然または合成エラストマ−によって変性されたものも用いられる。
電槽に用いられる好ましい変性PPE樹脂は、前記のPPE樹脂と前記のポリスチレン系樹脂のポリマーアロイであって、PPE樹脂30〜95重量%、ポリスチレン系樹脂70〜5重量%である。PPE樹脂は、機械的強度、耐熱性および電気的性質に優れ、吸水性も極めて小さいが、成形性に劣るため、少なくとも5重量%のポリスチレン系樹脂を必要とする。より好ましいポリマーアロイは、PPE樹脂30〜80重量%、ポリスチレン系樹脂70〜20重量%のポリマーアロイである。このポリマーアロイは、耐衝撃強度が、従来から電槽材料に用いられてきた代表的な材料ABS樹脂と同程度であり、成形性も良好である。
【0015】
前記の樹脂材料に添加される非透湿性の薄片状無機物質は、造岩ケイ酸塩鉱物の一種である雲母、またはタルクが好ましく用いられる。雲母は、それ自体の劈開性により薄片状とすることが容易であるという利点を有する。これらの薄片状無機物質の前記樹脂に対する添加割合は、電槽の非透湿性および耐衝撃強度の点から5〜15重量%が好ましく、特に8〜15重量%の範囲が好ましい。
雲母およびタルクは、その形状が鱗片状であるから、これを添加した樹脂材料を電槽に成形する際、金型内に樹脂材料を射出すると、雲母やタルクは樹脂の流れの方向に沿うように配向する。従って、成形された電槽では、雲母やタルクは、優先的に、電槽の壁面に対して平行に配向している。これによって電槽を透過することによる水分の逸散を少なくすることができる。従って、本発明によれば、高温低湿条件下で使用されても、電池内部から電槽を通過して水分が逸散するのを少なくできるから、内部抵抗の上昇が抑制され、トリクル寿命が改善された密閉形鉛蓄電池が得られる。
【0016】
図1は、本発明の密閉形鉛蓄電池に用いられる電槽および電槽蓋の構造の概略を示す。
1は上部を開口させた電槽を表す。この電槽1に極板群(図示せず)を収納した後、電槽蓋2により封じる。電槽蓋2は、その下端面に電槽1の開口端面を受け入れる凹部を有している。この電槽蓋を逆さに固定し、前記の凹部にエポキシ系接着剤3を充填し、そこに反転させた電槽の開口端面を嵌合させ、加熱により接着剤を硬化させる。こうして電槽と電槽蓋とは強固に接着される。電槽蓋2は、段付きの凹部4を有し、その凹部4の底部4b中央には注液口5が設けられている。また、凹部4の底部4bには、安全弁を構成する板状のゴム弁6および弁押さえマット7が挿入され、凹部4の段部4a上には上蓋8が超音波溶着により固定されている。ゴム弁6は例えばネオプレンゴムからなる。弁押さえマット7は、エチレンープロピレンージエン三元重合体配合物のスポンジからなる。
【0017】
上蓋8は、電槽蓋に溶着しようとする部分に突部9を有している。この突部9は、図3の紙面に対して垂直な方向に伸びた、例えば長さ5mm、根本部の幅1mmの寸法である。このような突部が上蓋の四辺に、それぞれの辺に沿って5mm間隔に設けられている。超音波の振動エネルギにより突部9が溶融して電槽蓋2の段部4aに溶着される。9aはその溶着部を示す。電槽蓋と上蓋との間には、前記の溶着部以外の所に、ガスを逃散させる隙間が形成される。
段部4a上に固定された上蓋8は、弁押さえマット7を押圧し、マット7の弾性力によりゴム弁6を凹部4の底部4bに押しつけている。ゴム弁6と電槽蓋の底部4bとが接する部分にはシリコーンオイルが塗着されている。従って、注液口5は、通常はゴム弁6により気密に密閉されているが、異常なガス発生などにより電池内部の圧力が所定値を越えると、電池内部のガスは、弁押さえマット7の弾性力に抗してゴム弁6と凹部4の底部4bとの隙間および電槽蓋と上蓋との隙間を通して外部に逃散する。
【0018】
電槽蓋の安全弁の構造は、図1のものに限らず、例えば図4のような構造のものも用いられる。図4の電槽蓋12は、注液口15をかこむ筒部15bを有し、この筒部15bの上端にキャップ状のゴム弁16をかぶせている。この例では、上蓋18は、段部14a上に超音波溶着され、弁16を軽く押圧している。電池内部のガス圧が異常に上昇したときには、ガスはゴム弁と筒部との隙間および電槽蓋と上蓋との隙間を通して外部に逃散する。
【0019】
上記のように、上蓋は電槽蓋との間に、安全弁動作時にガスを逃散させる隙間を有するように、電槽蓋に部分的に溶着することにより固定される。従って、上蓋と電槽蓋との溶着部分は、十分な強度をもっていなければならない。溶着強度が不十分で、上蓋が電槽蓋から外れると、安全弁部分の気密性が損なわれる。
安全弁はセル毎に設けられるが、上蓋は2セルあるいはそれ以上のセルの安全弁を覆うような大きさに形成される。後述の実施例においては、6セルの電池で上記の寸法の突部を有する長さ128mm、幅33mm、厚さ1.5mmの一枚の上蓋を用いた。
【0020】
本発明は、上記のような構成の密閉形鉛蓄電池において、電槽材料として、雲母またはタルクのような薄片状無機物質を添加した変性PPE樹脂を用い、電槽の開口部を封じる電槽蓋および電槽蓋の安全弁装着部を覆う上蓋の材料として前記薄片状無機物質を含まないABS樹脂を用い、電槽蓋と上蓋とを超音波溶着により結合するものである。
電槽蓋および上蓋の樹脂材料にタルクや雲母のような薄片状の表面積が大である物質を含有させると、超音波溶着時の振動エネルギーが有効に熱エネルギーに変換されず、溶着に適切な条件が得られない。これは樹脂とタルクや雲母との接合部で振動エネルギーが熱エネルギーに変換されることにより、振動エネルギーの損出が発生することによると考えられる。これはタルクや雲母のような薄片状であるがゆえに体積あるいは重量当たりの表面積が大である物質に特に顕著である。
【0021】
【実施例】
次に具体的な実施例を説明する。
《実施例1》
密閉形鉛蓄電池は、電圧12V、20時間率の放電容量が7.2Ahのものを用いた。電池の寸法は、長さ151mm、幅64.5mm、高さ94mmである。PPE樹脂のポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルとポリスチレン樹脂との重量比40:60のポリマーアロイに、マグネシウム含ケイ酸塩鉱物である燐片状のタルクを10重量%の割合で添加した材料を射出成形して、厚み2.3mmの電槽を作製した。また、電槽蓋および上蓋は、ともにABS樹脂により成形した。ここに用いたタルクは、ほぼ円盤状のもので、代表的には厚み0.5μm、直径2.5μmである。
そして、電槽と電槽蓋とは、エポキシ樹脂接着剤により接合し、電槽蓋と上蓋とは超音波溶着により接合した。超音波溶着の原理は、超音波の振動エネルギーを溶着される2つの部品、電槽蓋と上蓋の接合面に強力な摩擦熱を発生させることにより熱エネルギーに変換し、この熱により樹脂を溶融し、溶着するのである。
超音波溶着の条件は、通常、ABS樹脂同士を溶着する場合と同条件である圧力1.0〜1.5kg/cm2 、ウエルド時間0.3秒とした。
本実施例による密閉形鉛蓄電池をaとする。
【0022】
《比較例》
電槽、電槽蓋および上蓋を、実施例1の電池aの電槽と同じ材料、すなわちポリフェニレンエーテル樹脂とスチレン樹脂とのポリマーアロイでタルクを10重量%含有する材料で作製した電池をb、電槽、電槽蓋および上蓋は前記と同じポリマーアロイでタルクを含まない材料で作製した電池をcとする。
電槽、電槽蓋および上蓋を、タルクを10重量%添加したABS樹脂で作製した電池をd、電槽は前記と同じであるが、電槽蓋および上蓋はタルクを含まないABS樹脂で作製した電池をeとする。さらに、電槽、電槽蓋および上蓋がタルクを含まないABS樹脂で作製した電池をfとする。
比較例においても、実施例1と同じ条件で電槽蓋と上蓋とをそれぞれ超音波溶着した。
【0023】
上記の各電池について、10kgwの力で上蓋を電槽蓋から引き離す方向へ引っ張り、上蓋が電槽蓋から離れなければ溶着良とし、上蓋が電槽蓋から離れた場合は溶着不良とした。各50個についてテストした結果を表1に示す。
【0024】
【表1】
Figure 0003712873
【0025】
表1から明らかなように、タルクを含まないABS樹脂からなる電槽蓋および上蓋を用いた本実施例の電池aおよび比較例の電池e、fでは、上蓋を電槽蓋に十分な強度で超音波溶着できた。しかし、電池bでは、タルクを10重量%含有する前記ポリマーアロイからなる電槽蓋と上蓋はほとんど溶着しなかった。超音波条件を変えて試験を行ったところ、タルクを含有する前記ポリマーアロイの適切な溶着条件を見つけることは困難であった。タルクを含有しない前記ポリマーアロイを電槽蓋および上蓋に用いた電池cでは、条件を非常に狭い範囲に限定することにより電槽蓋と上蓋の溶着が可能ではあった。しかし、ABS樹脂に比較して高い超音波出力を必要とするので、ABS樹脂を用いる場合に比べて、製造上明らかに不利であった。ABS樹脂でもタルクを含む場合は、十分な強度で溶着するのは困難であった。
【0026】
次に、前記の電池a、b、c、およびfについて、60℃の雰囲気中においてトリクル寿命試験を行った。同時に水分の減少による電池の重量減を測定した。試験条件は、60℃の雰囲気中において13.80±0.1Vの定電圧で連続充電し、3週間毎に放電容量をチェックした。3.0CAの電流で電池電圧が9.6Vに低下するまでの放電容量が初期容量の50%を切った時点で寿命とした。そして、実使用においては、放電容量が初期容量の50%を切っても引き続き充電状態におかれることが多いので、寿命終了後、さらに3週間トリクル寿命試験を継続した。結果を図5に示す。試験電池数はそれぞれ5個であり、図5にはその平均値、最大値および最小値をプロットした。
図5から、本発明の電池aおよび比較例の電池bはほぼ同等の電池寿命であり、電槽にタルクを含有しない比較例の電池c、fに比較して電解液の減量が少なく、寿命特性に優れている。しかし、比較例の電池bについては、寿命終了後急激に容量が低下するとともに、減液量も急激に増大した。この電池bは、電槽蓋と上蓋との溶着部が一部外れているところが見られ、そこから安全弁の気密性が低下してこのような急激な容量の低下と減液量の増大が発生したと考えられる。
【0027】
《実施例2》
実施例1に用いた変性ポリフェニレン樹脂に各種の割合でタルクを添加し、それを射出成形してアイゾット衝撃試験用試験片を作製した。これらの試験片について、JISのK7110に準じてアイゾット衝撃強度試験を行った。その結果を図6に示す。図6からわかるように、タルクの添加割合が増加するにつれて樹脂試料の強度は徐々に低下し、15重量%を超えるとアイゾット衝撃強度が大幅に劣化する。これはPPE樹脂の絶対的な強度がタルクの増加により維持できなくなったためである。また、タルクを10重量%添加したABS樹脂のアイゾット衝撃強度は5kg・cm/cm2と劣るものであった。
【0028】
《実施例3》
実施例2の材料を用いて実施例1と同じ構成の電槽、および電槽蓋を作製した。両者を接着剤で接着した後、注液口から各セルに蒸溜水を70cc/セル注入し、注液口を密封して蒸溜水が漏れないようにした。こうして各電槽・電槽蓋組立体を温度75℃、湿度30±10%の恒温恒湿の環境に2ヵ月間静置し、その重量減を測定した。その結果を図6に示す。図6から明らかなように、タルクを5重量%添加すると水分透過量は極端に減少し、さらに添加割合を増やせば比例的に水分透過量が減少する効果が認めらる。これは薄片状であるタルクが樹脂成形時に樹脂の流れの方向に沿って配向しているため、水分を透過する経路を複雑化することにより、水分の透過を抑制するためと考えられる。
【0029】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、電池内部からの水分の逸散が少なく、トリクル寿命の長い密閉形鉛蓄電池を提供することができる。また、電槽蓋とその安全弁装着部を覆う上蓋との超音波溶着部の強度が大きく、信頼生の向上された密閉形鉛蓄電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における密閉形鉛蓄電池の電槽および電槽蓋の縦断面図である。
【図2】同電槽蓋の要部の縦断面図である。
【図3】同要部の上蓋溶着前の縦断面図である。
【図4】他の実施例における電槽蓋の要部の縦断面図である。
【図5】本発明の実施例および比較例の密閉形鉛蓄電池のトリクル寿命特性と電解液の減量を示す図である。
【図6】変成ポリフェニレンエーテル系樹脂のタルク添加割合とアイゾット衝撃強度および水分透過量の関係を示す図である。
【符号の説明】
1 電槽
2、12 電槽蓋
3 接着剤
4 凹部
4a、14a 段部
4b 底部
5、15 注液口
6、16 ゴム弁
7 弁押さえマット
8、18 上蓋
9 突部
9a 溶着部
15b 筒部

Claims (7)

  1. 極板群を収納する電槽、前記電槽の開口部に樹脂接着剤により接着されて電槽の開口部を封じる電槽蓋、および前記電槽蓋の安全弁装着部を覆い、電槽蓋に超音波溶着される突部を有する上蓋を具備し、前記電槽が、非透湿性の薄片状無機物質を添加した変性ポリフェニレンエーテル系樹脂からなり、前記電槽蓋および上蓋が前記非透湿性の薄片状無機物質を含まないアクリロニトリルーブタジエンースチレン樹脂からなることを特徴とする密閉形鉛蓄電池。
  2. 前記非透湿性の薄片状無機物質が、雲母およびタルクの少なくとも一方である請求項1記載の密閉形鉛蓄電池。
  3. 前記電槽の前記非透湿性の薄片状無機物質の添加割合が5〜15重量%である請求項1記載の密閉形鉛蓄電池。
  4. 前記変性ポリフェニレンエーテル系樹脂が、ポリフェニレンエーテル系樹脂とポリスチレン系樹脂とのポリマーアロイからなる請求項1記載の密閉形鉛蓄電池。
  5. 前記ポリマーアロイが、30〜95重量%のポリフェニレンエーテル系樹脂と70〜5重量%のポリスチレン系樹脂からなる請求項記載の密閉形鉛蓄電池。
  6. 前記ポリマーアロイが、30〜80重量%のポリフェニレンエーテル系樹脂と70〜20重量%のポリスチレン系樹脂からなる請求項記載の密閉形鉛蓄電池。
  7. 前記突部が前記電槽蓋に超音波溶着されることにより、前記上蓋が前記電槽蓋に固定されている請求項1記載の鉛蓄電池。
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