JP3712464B2 - カートリッジフィルター及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は製薬・食品工業等における液体濾過用に好適な円筒状のカートリッジフィルター及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
カートリッジフィルターは、通常、濾過層が中空円筒状に形成され、液体が濾過層を通過する間にこの濾過層が液体中の微粒子を捕捉する構造になっている。そしてこのカートリッジフィルターは、製薬工業、電子工業等における精製水の濾過、あるいは食品工業における飲料水製造工程内での液体濾過、自動車工業における塗装剤の濾過等、各種業界において広く利用されている。
【0003】
そこで、従来より、様々な態様のカートリッジフィルターが提案されている。例えば、実開昭59−162914号公報や実開昭60−79521号公報には多孔性芯筒に糸を巻き付けたカートリッジフィルターが、また特開平2−21918号公報には熱接着性繊維を含むカードウェブを加熱しながら芯筒に巻き付けたものが提案されている。
【0004】
また、高い濾過精度が要求される分野においては、濾材となるシート状物がひだ状に折りたたまれながら芯筒に巻き付けられてなる、いわゆるプリーツタイプのカートリッジフィルターが使用されている。このプリーツタイプのカートリッジフィルターにおいても濾材として紙や不織布等の繊維質シートが使用されることが多く、高い濾過精度を担保するには、繊維間に形成される空隙(一般的にポアサイズで表される)が小さく、かつその空隙のサイズが均一なものを濾材として用いることが好ましいとされている。
【0005】
そこでかかる条件を満たすものとして、例えば、▲1▼メルトブロー不織布やスパンボンド不織布にカレンダー加工を施して繊維間空隙を小さくしたもの、▲2▼不織布にアクリル系やエポキシ系の樹脂を含浸させたもの、▲3▼四フッ化エチレンやガラス繊維を素材としたもの、等が提案され実用に供されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これらの濾材には以下のような問題がある。まず、スパンボンド不織布はその製造工程上、繊度の小さな繊維からなるものを得ることが難しく、これにカレンダー加工を施しても繊維間空隙を小さくさせるのには限界がある。
【0007】
これに対し、メルトブロー不織布は1デニール以下の極細繊維で構成することができ繊維間空隙を小さくすることが可能であるため、濾材として最も汎用されている。しかし、その製造工程上、不織布中の繊維の繊度が不均一になりやすく、その結果繊維間空隙のサイズの分布が広くなる。従ってこれにカレンダー加工を施しても、空隙の大きな箇所が残存するおそれがある。繊維間空隙を小さくするためにはカレンダー加工を高温高圧で行うとよいが、温度及び圧力をあまり高くすると微細な繊維間空隙が閉塞されてしまうために濾過流量が減少するという不都合が生じる。つまり、メルトブロー不織布を用いる場合、濾過精度か濾過流量のいずれか一方を犠牲にせざるを得ないのである。
【0008】
一方、不織布にアクリル系、エポキシ系の樹脂を含浸させると、繊維間空隙が小さくなると同時にその分布のばらつきが是正されるので前記不都合は解消されるが、これらの樹脂は耐薬品性に劣るため用途が限定されるという問題がある。
【0009】
また、四フッ化エチレンやガラス繊維を素材とするものは耐薬品性および濾過性能ともに優れているが、非常に高価であるため特殊用途にのみ限定使用されている。
【0010】
即ち、濾過精度および耐薬品性に優れ、かつ経済的なプリーツタイプのカートリッジフィルターは未だ得られていないのが実情である。
【0011】
本発明はかかる実情に鑑みてなされたものであり、耐薬品性、濾過性能、経済性いずれにも優れたカートリッジフィルターを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明のカートリッジフィルターは、繊維長20mm以下の短繊維からなり、かつ構成繊維同士が交絡している不織布であって、構成繊維中に単糸繊度1.0デニール以下の極細繊維が含まれてなる不織布により濾過層が形成されていることを特徴とする。かかる不織布には極細繊維が含まれているため、不織布中に形成される繊維間空隙が微細なものとなる。従って、この不織布を濾材として用いれば濾過精度を向上させることができる。
【0013】
さらに、本発明のカートリッジフィルターにおいては、上記不織布が、融点が10℃以上異なる二種類以上の極細繊維を含み、かつ少なくとも一種類の極細繊維によって繊維間が熱接着されていることが望ましい。繊維間が熱接着されることにより、繊維間空隙がより微細なものとなり、濾過精度がより向上される。
【0014】
そして、上記不織布は湿式不織布であることが望ましい。湿式不織布は、比較的短い繊維を水中に分散させたスラリーを抄紙して得られるものである。この不織布は、優れた均一性を有し、繊維間空隙のサイズ分布の範囲はメルトブロー不織布等のそれよりも狭い。従って、これを濾材として用いれば濾過精度をより向上させることができる。
【0015】
また、前記極細繊維は分割型複合繊維の分割により形成されたものであることが望ましい。極細繊維を用いて繊維ウェブを形成する場合に比べて均一なウェブを得ることができるからである。
【0016】
また、分割型複合繊維は、ポリ4−メチルペンテン−1を第一成分、ポリエチレンを第二成分とし、図1〜図4に示すような繊維断面を有するものであることが望ましい。かかる分割型複合繊維はオレフィン系樹脂のみで構成されているため耐薬品性に優れており、またポリ4−メチルペンテン−1の硬度が比較的高いため、他のオレフィン系樹脂のみからなる分割型複合繊維よりも分割しやすいという利点がある。
【0017】
本発明において、濾過層を形成する不織布の目付は、濾過性能の担保、およびカートリッジフィルターを組み立てる際の取り扱い性の点から、50g/m2 以上200g/m2 未満であることが望ましい。
【0018】
本発明においては、前記不織布を、芯筒上にひだ状に折りたたみながら巻き付けてプリーツタイプのカートリッジフィルターとすることが特に好ましい。かかる態様のフィルターにおいてこそ、この不織布の利点が最も効果的に発揮されるからである。
【0019】
本発明のカートリッジフィルターの好ましい製造方法は、分割型複合繊維を含む繊維ウェブを湿式抄紙法により製造し、これに高圧水流処理を施して、分割型複合繊維を分割させて極細繊維を形成せしめると同時に繊維同士を交絡させた不織布を形成し、この不織布を用いて濾過層を形成する方法である。かかる方法により、微細な繊維間空隙を均一に形成させた濾過層を有するフィルターを得ることができる。
【0020】
また、融点差が10℃以上の二種類以上の成分からなる分割型複合繊維を含む繊維ウェブを湿式抄紙法により製造し、これに高圧水流処理を施して分割型複合繊維を分割させて極細繊維を形成せしめると同時に繊維同士を交絡させた後、分割型複合繊維を構成する成分のうち最も融点が低いものの軟化点よりも高くかつ最も融点が高いものの融点よりも低い温度で加熱加圧処理を施して繊維同士を熱接着させた不織布を用いて濾過層を形成することにより、繊維間空隙をより微細なものにすることができる。さらに、この方法によれば、加熱加圧処理の条件を適宜変更することにより繊維間空隙のサイズを任意に変更させることできる。
以下、本発明の内容を具体的に説明する。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明ではカートリッジフィルターの濾材として、繊維長20mm以下の短繊維からなり、かつ構成繊維同士が交絡している不織布を採用する。そして、かかる不織布は、湿式不織布であることが最も望ましい。湿式抄紙法によれば均一な不織布、即ち繊維間空隙のサイズのばらつきが比較的小さな不織布を得ることができるからである。そして本発明においては、不織布強力の向上を図るべく、構成繊維同士を交絡させることを特徴としている。繊維同士の交絡は後述するように水流の作用によって行うことが望ましい。
【0022】
前記不織布には単糸繊度1デニール以下、より好ましくは0.5デニール以下の極細繊維が含まれていることが望ましい。繊維間空隙を微細なものにするためである。ここで極細繊維の素材は特に限定されず、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ4−メチルペンテン−1等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン6やナイロン66等のポリアミド系樹脂、等からなる繊維を任意に使用することができる。
【0023】
また、融点が10℃以上異なる二種類以上の極細繊維を用いて不織布を構成し、少なくとも一種類の極細繊維により繊維間を熱接着させれば、繊維間空隙をより微細なものにすることができる。この場合、熱接着性および耐薬品性の点から、ポリエチレン、ポリプロピレン等からなる繊維を熱接着性繊維として用いることが望ましい。
【0024】
ここで熱接着性の極細繊維が不織布全体に占める割合は50重量%以下であることが好ましい。より好ましくは35〜40重量%である。50重量%を超えると熱接着による繊維間空隙の閉塞が無視できなくなり、濾過流量の低下を招くからである。
【0025】
極細繊維を得ることは技術的に難しく、また極細繊維を用いて湿式不織布を得ようとしても、細い繊維はスラリー中において絡み合いやすく不織布の均一性が低下する場合がある。そこで本発明においては、分割型複合繊維を用いて繊維ウェブを製造し、分割型複合繊維を分割することによって極細繊維を形成させることが望ましい。
【0026】
ここで、分割型複合繊維とは二種類以上の成分が交互に配列されてなり、物理的あるいは化学的な処理によって各構成成分に分割するようなものをいう。汎用されている分割型複合繊維は、第一成分(1)と第二成分(2)とからなり、図1から図4に示すような繊維断面を有するものである。そして第一成分と第二成分の組み合わせとしてはポリプロピレン/ポリエチレン、ポリ4−メチルペンテン−1/ポリエチレン、ポリ4−メチルペンテン−1/ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート/ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート/ナイロン等が挙げられる。
【0027】
本発明においては第一成分/第二成分がポリ4−メチルペンテン−1/ポリエチレンの組み合わせからなる分割型複合繊維を使用することが望ましい。この分割型複合繊維は、ポリオレフィン系樹脂のみで構成されており、またポリ4−メチルペンテン−1の硬度が比較的高いため、他のポリオレフィン系樹脂同士の組み合わせからなるものよりも容易に分割させることができるからである。また、この繊維を使用すれば、ポリエチレンが熱接着性繊維として作用するため好都合である。
【0028】
分割型複合繊維は、その単糸繊度が1〜20デニールであって、分割により形成される極細繊維の単糸繊度が1デニール以下となるようなものが好ましい。より好ましくは単糸繊度1〜8デニール、分割後の極細繊維の繊度が0.5デニール以下となるものである。
【0029】
本発明においては、極細繊維が不織布に占める割合は70重量%以上であることが好ましい。70重量%未満では濾過精度を向上させるに至らないからである。より好ましくは75〜90重量%である。従って、分割型複合繊維を使用する場合は、分割後に形成される極細繊維の占める割合が上述した範囲内になるよう、分割率等を考慮してその含有量を決定する必要がある。
【0030】
極細繊維が前述した範囲内の割合で占められていれば、湿式不織布には他の繊維が含まれていても良い。他の繊維として、例えば湿式抄紙する際に糊剤として作用する繊維、いわゆるバインダー繊維を使用すれば不織布強度を高めることができる。バインダー繊維の素材としてはビニロン、エチレンビニルアルコール共重合体、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等が挙げられる。また、三井石油化学工業(株)から販売されている「SWP(商品名)」のようなポリオレフィン系のパルプ状多分岐繊維は、水中分散性、抄紙性が良好で、ポリ4−メチルペンテン−1のような硬い樹脂からなる繊維を含む場合でも不織布に柔軟性を付与しうることから好ましく用いられる。
【0031】
バインダー繊維を使用する場合もその繊度はできるだけ小さいことが望ましい。繊度の大きな繊維が不織布中に存在すると大きな繊維間空隙が形成されやすくなり、濾過性能に好ましくない影響を及ぼすからである。また、バインダー繊維の含有量は30重量%以下であることが好ましく、より好ましくは5〜20重量%である。含有量が30重量%を超えても効果に変わりはなく、また極細繊維の占める割合が減って濾過性能が低下するため好ましくない。
【0032】
以上説明した極細繊維およびバインダー繊維も含め、湿式不織布を構成する繊維の繊維長は20mm以下であることが望ましい。より好ましくは3mm以上20mm以下である。3mm未満では繊維同士が交絡しにくく、20mmを超えるとスラリー中で繊維同士が絡み合いやすくなり、均一な不織布を得ることが難しくなる。
【0033】
本発明では、不織布の目付は、50g/m2 以上200g/m2 未満であることが望ましい。目付が50g/m2 未満の不織布においては、均一な繊維間空隙が形成されにくく、これを用いれば濾過性能が低下するおそれがある。また200g/m2 を超えると不織布の厚みが増して、カートリッジフィルターを組み立てる際の取り扱い性が悪くなる。特にプリーツタイプのカートリッジフィルターを製造する場合には、濾材の厚みが増すと折りたたみにくくなる。また、濾材の厚みが増すと、一定周長におけるプリーツの山数が少なくなる。このことは濾過面積の減少に繋がり好ましくない。
【0034】
次に、本発明のカートリッジフィルターを製造する方法について説明する。
不織布は通常の湿式抄紙法に従って製造することができる。分割型複合繊維を用いる場合はスラリー調製の際に加えられる叩解力によって分割がある程度進行するが、あまり進行しすぎると分割された繊維同士がスラリー中で絡み合って、最終的に得られる不織布の均一性が低下することに留意する必要がある。従って、ここでは分割率を30%以下に抑えることが望ましい。
【0035】
スラリーは長網式あるいは丸網式の抄紙機を用いて抄紙される。そして抄紙されたウェブに高圧水流処理を施し、繊維同士を交絡させる。ここで分割型複合繊維を用いた場合は、高圧水流によって交絡と同時に分割も進行することとなる。高圧水流処理の条件は使用する繊維の特性に応じて決定することができる。例えば、ポリ4−メチルペンテン−1/ポリエチレンの組み合わせからなる分割型複合繊維を使用する場合は、水圧50〜120Kg/cm2 の柱状水流を、孔径0.05〜0.5mmのオリフィスが0.5〜1.5mm間隔で設けられたノズルから噴射して処理するとよい。
【0036】
高圧水流処理が施された不織布は、乾燥工程を経てそのまま濾材とすることもできるが、不織布中に融点が10℃以上異なる2種類以上の極細繊維が含まれる場合は、さらに加熱加圧処理を施して、少なくとも一種類の繊維を熱接着させ、繊維間空隙を小さくすることが望ましい。
【0037】
加熱加圧処理は、一対の熱ロールを用いて行うと良い。この場合、温度とロール間の圧力を適宜変更することにより繊維間空隙の大きさを任意に変更することができる。一般に、温度、圧力を高くするほど微細化は促進される。特に圧力を高くすると不織布構造そのものの緻密化が促進されるので、比較的低い温度でも繊維間空隙の微細化が可能になる。
【0038】
加熱温度は複数種の極細繊維のうち、最も融点が低い繊維の軟化点よりも高く、最も融点が高い繊維の融点よりも低い温度で行うと良い。但し、加熱温度を高くすると繊維が溶融してフィルム化し、空隙が塞がって通気性を失うので注意する必要がある。そこで、本発明においては、最も融点が低い繊維の軟化点よりも高くかつその融点よりも低い温度で処理を施すことが望ましい。また、最も融点が低い繊維の軟化点もしくは融点よりも高くかつ他の極細繊維の融点よりも低い温度で処理を施してもよい。さらに、極細繊維以外に繊度の大きい繊度を含む場合には、上記条件に加えて、繊度の大きい繊維が軟化もしくは溶融しないような条件で加熱加圧処理を施すことが望ましい。繊度の大きな繊維の軟化もしくは溶融により、繊維間空隙が過度に閉塞され、濾過流量の低下等を招くおそれがあるためである。このような加熱加圧処理が施された不織布は、繊維間の熱接着によって繊維間空隙が微細化しているとともに、毛抜け防止性および不織布強力が向上され、また厚みが減少しているため、特にプリーツ加工性に優れたものとなる。
【0039】
このようにして得られた不織布を、芯筒の周囲に濾材として位置させることにより本発明のカートリッジフィルターとなすことができる。本発明においては、図5のように、この不織布(3)をスパンボンド不織布やネット状シートのような補強材とともに芯筒(4)の周囲にひだ状に折りたたみながら巻き付け、いわゆるプリーツタイプのカートリッジフィルター(5)とすることが最も望ましい。勿論、この不織布を連続的に供給しながら芯筒の周囲に一定径になるまで巻き付けた、いわゆる深層濾過タイプのカートリッジフィルターとすることも可能である。また図6のように他の濾材シート(7)と併用し、この不織布(6)が精密濾過層として一部巻きこまれるようにしても良い。また、他の濾材と重ね合わせて積層体とし、これを芯筒に巻き付けてもよい。
【0040】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明する。実施例中、不織布の物性および濾過性能は以下の方法により評価した。
【0041】
(ポアサイズ) ASTM F316−86のバブルポイント法に基づいて測定した。
【0042】
(通気度) フラジール型試験機を用い、JIS L 1096に準じて測定した。
【0043】
(濾過効率) 試験用ダストJIS11種とJIS8種を等量ずつ混合したダストを水中に投入し、その濃度が50ppmになるように調製した懸濁液1リットルを、面積9.2cm2 の濾材で吸引濾過し、濾過後の懸濁液を乾燥させて含まれているダスト重量(A)を測定し、これと濾過前の懸濁液中のダスト重量(B)から次式、濾過効率(%)=[(B−A)/B]×100より算出した。
【0044】
(濾過精度) 濾過効率の測定と同様にして懸濁液を吸引濾過し、濾過後の懸濁液中の粒子径別の粒子個数(N)を粒度分布測定機(商品名 コールターカウンターZM型:コールターエレクトロニクス社製)を用いて測定する。また同様にして濾過前の懸濁液中の粒子径別の粒子個数(M)を測定し、式[(M−N)÷M]×100から各粒子径別の遮断率を算出し、遮断率が99%の粒子径を濾過精度とした。
【0045】
(濾過流量) 濾過精度の測定と同様にして懸濁液1リットルを吸引濾過し、濾過開始から懸濁液の全量が濾材を通過するのに要した時間を測定し、この結果より、単位面積・単位時間あたりの流量を算出した。
【0046】
[参考例1]
ポリ4−メチルペンテン−1を第一成分、ポリエチレンを第二成分とし、図1に示す繊維断面を有する繊度2.5デニール、繊維長5mmの16分割型複合繊維85重量%と、繊度1デニール、繊維長3mmのビニロン繊維5重量%と、パルプ状多分岐繊維(商品名 SWP:三井石油化学工業(株)製)10重量%とをパルパーで混合してスラリーを調製し、これを用いて湿式抄紙法により目付100g/m2 の繊維ウェブを作成した。続いてこのウェブに、孔径0.13mmのオリフィスが0.6mm間隔で穿設されたノズルから水圧80kg/cm2 の高圧柱状水流を噴射し、分割型複合繊維を分割させると同時に繊維同士を交絡させた後、乾燥させた。得られた不織布においては分割型複合繊維の分割により繊度0.16デニールの極細繊維が形成され、全量の約80重量%を占めていた。
【0047】
[実施例2]
実施例1の不織布に、金属ロールとコットンロールからなる加工機(以下の実施例及び比較例においても同じものを使用)を用いて加熱温度120℃、線圧40kg/cmでカレンダー加工を施したものを濾材として評価した。
【0048】
[実施例3]
高圧水流処理を、孔径0.13mmのオリフィスが1.0mm間隔で穿設されたノズルから水圧100kg/cm2 の高圧柱状水流を噴射して行う以外は実施例1と全く同様にして湿式不織布を製造し、これに加熱温度120℃、線圧40kg/cmでカレンダー加工を施した。得られた不織布においては分割型複合繊維の分割により繊度0.16デニールの極細繊維が形成され、全量の約80重量%を占めていた。
【0049】
[比較例1]
平均繊度0.16デニールのポリプロピレン繊維からなる目付100g/m2 のメルトブロー不織布(商品名 ミクロフレックス:(株)クラレ製)に加熱温度70℃、線圧17kg/cmでカレンダー加工を施したものを濾材として評価した。
【0050】
[比較例2]
比較例1で使用したものと同じメルトブロー不織布に、加熱温度70℃、線圧30kg/cmでカレンダー加工を施したものを濾材として評価した。
【0051】
[比較例3]
実施例1で使用したものと同じ分割型複合繊維70重量%と、芯成分/鞘成分がポリプロピレン/中密度ポリエチレンであり、繊度2デニール、繊維長5mmの芯鞘型複合繊維30重量%とをパルパーで混合して水中に分散させ、スラリーを調製し、これを用いて湿式抄紙法により目付100g/m2 の繊維ウェブを作成した。続いてこのウェブに、孔径0.13mmのオリフィスが0.6mm間隔で穿設されたノズルから水圧80kg/cm2 の高圧柱状水流を噴射し、分割型複合繊維を分割させると同時に繊維同士を交絡させた後、加熱温度120℃、線圧40kg/cmでカレンダー加工を施した。得られた不織布においては分割型複合繊維の分割により繊度0.16デニールの極細繊維が形成され、全量の約65重量%を占めていた。
【0052】
実施例1〜3、および比較例1〜3の各不織布の物性および濾過性能を表1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】
実施例1と比較例1は目付および厚みがほぼ同じであるが、比較例1の方が、繊維間空隙のサイズ、即ちポアサイズの分布範囲が広いため、濾過効率、濾過精度、濾過流量とも実施例1よりも劣っている。実施例3と比較例2は濾過流量がほぼ同じであるが、濾過精度は実施例3の方が高い。これは比較例2の方が平均ポアサイズが大きく、またポアサイズの分布が広範囲に亘っているためであると考えられる。また比較例3は、繊度の大きな繊維を多く含んでいるためにサイズの大きな繊維間空隙が多数形成され、そのため濾過精度が劣っているものと考えられる。また繊度の大きな繊維の軟化により部分的に繊維間空隙が塞がれて濾過流量が小さくなっていると考えられる。
【0055】
【発明の効果】
本発明のカートリッジフィルターは、湿式不織布のような均一性に優れた不織布を濾材として採用し、かつこの不織布は極細繊維を含んでなるものであるから、濾過層においては微細な繊維間空隙が均一に形成され、かつその大きさが比較的揃っている。従って、本発明のカートリッジフィルターは濾過精度が高いという利点を有する。また、不織布中の少なくとも一種類の極細繊維を軟化させて繊維間を熱接着することにより、繊維間空隙を閉塞することなく微細化することが可能となるため、濾過流量を大幅に減少させることなく濾過精度を向上させることができる。また熱接着により不織布強力が向上されるためプリーツ加工性も良くなる。かかる不織布は分割型複合繊維を使用することにより容易に製造することができるので、本発明によれば優れた濾過性能を有するカートリッジフィルターを安価に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用できる分割型複合繊維の一例の断面拡大図である。
【図2】本発明で使用できる分割型複合繊維の一例の断面拡大図である。
【図3】本発明で使用できる分割型複合繊維の一例の断面拡大図である。
【図4】本発明で使用できる分割型複合繊維の一例の断面拡大図である。
【図5】本発明のカートリッジフィルターの一例の一部破断斜視図である。
【図6】本発明のカートリッジフィルターの一例の一部破断斜視図である。
【符号の説明】
1 第一成分
2 第二成分
3 不織布
4 芯筒
5 プリーツタイプのカートリッジフィルター
Claims (4)
- 繊維長20mm以下の短繊維からなり、かつ構成繊維同士が高圧水流処理により交絡している不織布であって、
前記不織布は、構成繊維中に分割型複合繊維の分割により形成された単糸繊度1.0デニール以下で融点が10℃以上異なる二種類以上の極細繊維が70重量%以上で含み、湿式抄紙用のバインダー繊維が30重量%以下で含まれており、かつ前記極細繊維のうち少なくとも一種類の極細繊維が熱接着性の極細繊維であり、熱接着性の極細繊維が不織布全体で50重量%以下の割合で占めており、前記熱接着性の極細繊維の融点よりも低い温度の加熱加圧により構成繊維同士が熱接着している湿式不織布であり、
前記湿式不織布は、ひだ状に折りたたまれながら芯筒に巻き付けられて濾過層を形成していることを特徴とするカートリッジフィルター。 - 前記分割型複合繊維が、ポリ4−メチルペンテン−1を第一成分、ポリエチレンを第二成分とするものである請求項1記載のカートリッジフィルター。
- 前記湿式不織布の目付が50g/m2 以上200g/m2 未満である請求項1または2に記載のカートリッジフィルター。
- 融点差が10℃以上の二種類以上の成分からなる分割型複合繊維を含み、湿式抄紙用のバインダー繊維が30重量%以下で含む繊維ウェブを湿式抄紙法により製造し、
これに高圧水流処理を施して、単糸繊度1.0デニール以下で融点が10℃以上異なる二種類以上の極細繊維が70重量%以上形成せしめるように分割型複合繊維を分割させると同時に繊維同士を交絡させた後、
前記極細繊維のうち最も融点が低い成分からなり不織布全体で50重量%以下の割合を占めてなる熱接着性の極細繊維の軟化点よりも高く、かつ熱接着性の極細繊維の融点よりも低い温度で加熱加圧処理を施して繊維同士を熱接着させた湿式不織布を得て、
前記湿式不織布を濾過層とし、ひだ状に折りたたみながら芯筒に巻き付けることを特徴とするカートリッジフィルターの製造方法。
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