JPH09225228A - カートリッジフィルター及びその製造方法 - Google Patents

カートリッジフィルター及びその製造方法

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JPH09225228A
JPH09225228A JP6202096A JP6202096A JPH09225228A JP H09225228 A JPH09225228 A JP H09225228A JP 6202096 A JP6202096 A JP 6202096A JP 6202096 A JP6202096 A JP 6202096A JP H09225228 A JPH09225228 A JP H09225228A
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fiber
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義治 薄井
Hiroki Hisamori
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 濾過性能、経済性いずれにも優れたカートリ
ッジフィルターを提供する。 【解決手段】 ポリ4−メチルペンテン−1を第一成分
とし、ポリエチレンを第二成分とするような分割型複合
繊維を含む繊維ウェブを湿式抄紙法により製造し、これ
に高圧水流処理を施して、分割型複合繊維を分割させて
極細繊維を形成せしめると同時に繊維同士を交絡させた
不織布を形成し、これを、例えば芯筒上にひだ状に折り
たたみながら巻き付けて濾過層を形成し、カートリッジ
フィルターを得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は製薬・食品工業等に
おける液体濾過用に好適な円筒状のカートリッジフィル
ター及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】カートリッジフィルターは、通常、濾過
層が中空円筒状に形成され、液体が濾過層を通過する間
にこの濾過層が液体中の微粒子を捕捉する構造になって
いる。そしてこのカートリッジフィルターは、製薬工
業、電子工業等における精製水の濾過、あるいは食品工
業における飲料水製造工程内での液体濾過、自動車工業
における塗装剤の濾過等、各種業界において広く利用さ
れている。
【0003】そこで、従来より、様々な態様のカートリ
ッジフィルターが提案されている。例えば、実開昭59
−162914号公報や実開昭60−79521号公報
には多孔性芯筒に糸を巻き付けたカートリッジフィルタ
ーが、また特開平2−21918号公報には熱接着性繊
維を含むカードウェブを加熱しながら芯筒に巻き付けた
ものが提案されている。
【0004】また、高い濾過精度が要求される分野にお
いては、濾材となるシート状物がひだ状に折りたたまれ
ながら芯筒に巻き付けられてなる、いわゆるプリーツタ
イプのカートリッジフィルターが使用されている。この
プリーツタイプのカートリッジフィルターにおいても濾
材として紙や不織布等の繊維質シートが使用されること
が多く、高い濾過精度を担保するには、繊維間に形成さ
れる空隙(一般的にポアサイズで表される)が小さく、
かつその空隙のサイズが均一なものを濾材として用いる
ことが好ましいとされている。
【0005】そこでかかる条件を満たすものとして、例
えば、メルトブロー不織布やスパンボンド不織布にカ
レンダー加工を施して繊維間空隙を小さくしたもの、
不織布にアクリル系やエポキシ系の樹脂を含浸させたも
の、四フッ化エチレンやガラス繊維を素材としたも
の、等が提案され実用に供されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの濾材
には以下のような問題がある。まず、スパンボンド不織
布はその製造工程上、繊度の小さな繊維からなるものを
得ることが難しく、これにカレンダー加工を施しても繊
維間空隙を小さくさせるのには限界がある。
【0007】これに対し、メルトブロー不織布は1デニ
ール以下の極細繊維で構成することができ繊維間空隙を
小さくすることが可能であるため、濾材として最も汎用
されている。しかし、その製造工程上、不織布中の繊維
の繊度が不均一になりやすく、その結果繊維間空隙のサ
イズの分布が広くなる。従ってこれにカレンダー加工を
施しても、空隙の大きな箇所が残存するおそれがある。
繊維間空隙を小さくするためにはカレンダー加工を高温
高圧で行うとよいが、温度及び圧力をあまり高くすると
微細な繊維間空隙が閉塞されてしまうために濾過流量が
減少するという不都合が生じる。つまり、メルトブロー
不織布を用いる場合、濾過精度か濾過流量のいずれか一
方を犠牲にせざるを得ないのである。
【0008】一方、不織布にアクリル系、エポキシ系の
樹脂を含浸させると、繊維間空隙が小さくなると同時に
その分布のばらつきが是正されるので前記不都合は解消
されるが、これらの樹脂は耐薬品性に劣るため用途が限
定されるという問題がある。
【0009】また、四フッ化エチレンやガラス繊維を素
材とするものは耐薬品性および濾過性能ともに優れてい
るが、非常に高価であるため特殊用途にのみ限定使用さ
れている。
【0010】即ち、濾過精度および耐薬品性に優れ、か
つ経済的なプリーツタイプのカートリッジフィルターは
未だ得られていないのが実情である。
【0011】本発明はかかる実情に鑑みてなされたもの
であり、耐薬品性、濾過性能、経済性いずれにも優れた
カートリッジフィルターを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明のカートリッジフ
ィルターは、繊維長20mm以下の短繊維からなり、かつ
構成繊維同士が交絡している不織布であって、構成繊維
中に単糸繊度1.0デニール以下の極細繊維が含まれて
なる不織布により濾過層が形成されていることを特徴と
する。かかる不織布には極細繊維が含まれているため、
不織布中に形成される繊維間空隙が微細なものとなる。
従って、この不織布を濾材として用いれば濾過精度を向
上させることができる。
【0013】さらに、本発明のカートリッジフィルター
においては、上記不織布が、融点が10℃以上異なる二
種類以上の極細繊維を含み、かつ少なくとも一種類の極
細繊維によって繊維間が熱接着されていることが望まし
い。繊維間が熱接着されることにより、繊維間空隙がよ
り微細なものとなり、濾過精度がより向上される。
【0014】そして、上記不織布は湿式不織布であるこ
とが望ましい。湿式不織布は、比較的短い繊維を水中に
分散させたスラリーを抄紙して得られるものである。こ
の不織布は、優れた均一性を有し、繊維間空隙のサイズ
分布の範囲はメルトブロー不織布等のそれよりも狭い。
従って、これを濾材として用いれば濾過精度をより向上
させることができる。
【0015】また、前記極細繊維は分割型複合繊維の分
割により形成されたものであることが望ましい。極細繊
維を用いて繊維ウェブを形成する場合に比べて均一なウ
ェブを得ることができるからである。
【0016】また、分割型複合繊維は、ポリ4−メチル
ペンテン−1を第一成分、ポリエチレンを第二成分と
し、図1〜図4に示すような繊維断面を有するものであ
ることが望ましい。かかる分割型複合繊維はオレフィン
系樹脂のみで構成されているため耐薬品性に優れてお
り、またポリ4−メチルペンテン−1の硬度が比較的高
いため、他のオレフィン系樹脂のみからなる分割型複合
繊維よりも分割しやすいという利点がある。
【0017】本発明において、濾過層を形成する不織布
の目付は、濾過性能の担保、およびカートリッジフィル
ターを組み立てる際の取り扱い性の点から、50g/m
2 以上200g/m2 未満であることが望ましい。
【0018】本発明においては、前記不織布を、芯筒上
にひだ状に折りたたみながら巻き付けてプリーツタイプ
のカートリッジフィルターとすることが特に好ましい。
かかる態様のフィルターにおいてこそ、この不織布の利
点が最も効果的に発揮されるからである。
【0019】本発明のカートリッジフィルターの好まし
い製造方法は、分割型複合繊維を含む繊維ウェブを湿式
抄紙法により製造し、これに高圧水流処理を施して、分
割型複合繊維を分割させて極細繊維を形成せしめると同
時に繊維同士を交絡させた不織布を形成し、この不織布
を用いて濾過層を形成する方法である。かかる方法によ
り、微細な繊維間空隙を均一に形成させた濾過層を有す
るフィルターを得ることができる。
【0020】また、融点差が10℃以上の二種類以上の
成分からなる分割型複合繊維を含む繊維ウェブを湿式抄
紙法により製造し、これに高圧水流処理を施して分割型
複合繊維を分割させて極細繊維を形成せしめると同時に
繊維同士を交絡させた後、分割型複合繊維を構成する成
分のうち最も融点が低いものの軟化点よりも高くかつ最
も融点が高いものの融点よりも低い温度で加熱加圧処理
を施して繊維同士を熱接着させた不織布を用いて濾過層
を形成することにより、繊維間空隙をより微細なものに
することができる。さらに、この方法によれば、加熱加
圧処理の条件を適宜変更することにより繊維間空隙のサ
イズを任意に変更させることできる。以下、本発明の内
容を具体的に説明する。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明ではカートリッジフィルタ
ーの濾材として、繊維長20mm以下の短繊維からなり、
かつ構成繊維同士が交絡している不織布を採用する。そ
して、かかる不織布は、湿式不織布であることが最も望
ましい。湿式抄紙法によれば均一な不織布、即ち繊維間
空隙のサイズのばらつきが比較的小さな不織布を得るこ
とができるからである。そして本発明においては、不織
布強力の向上を図るべく、構成繊維同士を交絡させるこ
とを特徴としている。繊維同士の交絡は後述するように
水流の作用によって行うことが望ましい。
【0022】前記不織布には単糸繊度1デニール以下、
より好ましくは0.5デニール以下の極細繊維が含まれ
ていることが望ましい。繊維間空隙を微細なものにする
ためである。ここで極細繊維の素材は特に限定されず、
ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ4−メチルペンテ
ン−1等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフ
タレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステ
ル系樹脂、ナイロン6やナイロン66等のポリアミド系
樹脂、等からなる繊維を任意に使用することができる。
【0023】また、融点が10℃以上異なる二種類以上
の極細繊維を用いて不織布を構成し、少なくとも一種類
の極細繊維により繊維間を熱接着させれば、繊維間空隙
をより微細なものにすることができる。この場合、熱接
着性および耐薬品性の点から、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン等からなる繊維を熱接着性繊維として用いること
が望ましい。
【0024】ここで熱接着性の極細繊維が不織布全体に
占める割合は50重量%以下であることが好ましい。よ
り好ましくは35〜40重量%である。50重量%を超
えると熱接着による繊維間空隙の閉塞が無視できなくな
り、濾過流量の低下を招くからである。
【0025】極細繊維を得ることは技術的に難しく、ま
た極細繊維を用いて湿式不織布を得ようとしても、細い
繊維はスラリー中において絡み合いやすく不織布の均一
性が低下する場合がある。そこで本発明においては、分
割型複合繊維を用いて繊維ウェブを製造し、分割型複合
繊維を分割することによって極細繊維を形成させること
が望ましい。
【0026】ここで、分割型複合繊維とは二種類以上の
成分が交互に配列されてなり、物理的あるいは化学的な
処理によって各構成成分に分割するようなものをいう。
汎用されている分割型複合繊維は、第一成分(1)と第
二成分(2)とからなり、図1から図4に示すような繊
維断面を有するものである。そして第一成分と第二成分
の組み合わせとしてはポリプロピレン/ポリエチレン、
ポリ4−メチルペンテン−1/ポリエチレン、ポリ4−
メチルペンテン−1/ポリプロピレン、ポリエチレンテ
レフタレート/ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタ
レート/ナイロン等が挙げられる。
【0027】本発明においては第一成分/第二成分がポ
リ4−メチルペンテン−1/ポリエチレンの組み合わせ
からなる分割型複合繊維を使用することが望ましい。こ
の分割型複合繊維は、ポリオレフィン系樹脂のみで構成
されており、またポリ4−メチルペンテン−1の硬度が
比較的高いため、他のポリオレフィン系樹脂同士の組み
合わせからなるものよりも容易に分割させることができ
るからである。また、この繊維を使用すれば、ポリエチ
レンが熱接着性繊維として作用するため好都合である。
【0028】分割型複合繊維は、その単糸繊度が1〜2
0デニールであって、分割により形成される極細繊維の
単糸繊度が1デニール以下となるようなものが好まし
い。より好ましくは単糸繊度1〜8デニール、分割後の
極細繊維の繊度が0.5デニール以下となるものであ
る。
【0029】本発明においては、極細繊維が不織布に占
める割合は70重量%以上であることが好ましい。70
重量%未満では濾過精度を向上させるに至らないからで
ある。より好ましくは75〜90重量%である。従っ
て、分割型複合繊維を使用する場合は、分割後に形成さ
れる極細繊維の占める割合が上述した範囲内になるよ
う、分割率等を考慮してその含有量を決定する必要があ
る。
【0030】極細繊維が前述した範囲内の割合で占めら
れていれば、湿式不織布には他の繊維が含まれていても
良い。他の繊維として、例えば湿式抄紙する際に糊剤と
して作用する繊維、いわゆるバインダー繊維を使用すれ
ば不織布強度を高めることができる。バインダー繊維の
素材としてはビニロン、エチレンビニルアルコール共重
合体、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等が挙
げられる。また、三井石油化学工業(株)から販売され
ている「SWP(商品名)」のようなポリオレフィン系の
パルプ状多分岐繊維は、水中分散性、抄紙性が良好で、
ポリ4−メチルペンテン−1のような硬い樹脂からなる
繊維を含む場合でも不織布に柔軟性を付与しうることか
ら好ましく用いられる。
【0031】バインダー繊維を使用する場合もその繊度
はできるだけ小さいことが望ましい。繊度の大きな繊維
が不織布中に存在すると大きな繊維間空隙が形成されや
すくなり、濾過性能に好ましくない影響を及ぼすからで
ある。また、バインダー繊維の含有量は30重量%以下
であることが好ましく、より好ましくは5〜20重量%
である。含有量が30重量%を超えても効果に変わりは
なく、また極細繊維の占める割合が減って濾過性能が低
下するため好ましくない。
【0032】以上説明した極細繊維およびバインダー繊
維も含め、湿式不織布を構成する繊維の繊維長は20mm
以下であることが望ましい。より好ましくは3mm以上2
0mm以下である。3mm未満では繊維同士が交絡しにく
く、20mmを超えるとスラリー中で繊維同士が絡み合い
やすくなり、均一な不織布を得ることが難しくなる。
【0033】本発明では、不織布の目付は、50g/m
2 以上200g/m2 未満であることが望ましい。目付
が50g/m2 未満の不織布においては、均一な繊維間
空隙が形成されにくく、これを用いれば濾過性能が低下
するおそれがある。また200g/m2 を超えると不織
布の厚みが増して、カートリッジフィルターを組み立て
る際の取り扱い性が悪くなる。特にプリーツタイプのカ
ートリッジフィルターを製造する場合には、濾材の厚み
が増すと折りたたみにくくなる。また、濾材の厚みが増
すと、一定周長におけるプリーツの山数が少なくなる。
このことは濾過面積の減少に繋がり好ましくない。
【0034】次に、本発明のカートリッジフィルターを
製造する方法について説明する。不織布は通常の湿式抄
紙法に従って製造することができる。分割型複合繊維を
用いる場合はスラリー調製の際に加えられる叩解力によ
って分割がある程度進行するが、あまり進行しすぎると
分割された繊維同士がスラリー中で絡み合って、最終的
に得られる不織布の均一性が低下することに留意する必
要がある。従って、ここでは分割率を30%以下に抑え
ることが望ましい。
【0035】スラリーは長網式あるいは丸網式の抄紙機
を用いて抄紙される。そして抄紙されたウェブに高圧水
流処理を施し、繊維同士を交絡させる。ここで分割型複
合繊維を用いた場合は、高圧水流によって交絡と同時に
分割も進行することとなる。高圧水流処理の条件は使用
する繊維の特性に応じて決定することができる。例え
ば、ポリ4−メチルペンテン−1/ポリエチレンの組み
合わせからなる分割型複合繊維を使用する場合は、水圧
50〜120Kg/cm2 の柱状水流を、孔径0.05〜
0.5mmのオリフィスが0.5〜1.5mm間隔で設けら
れたノズルから噴射して処理するとよい。
【0036】高圧水流処理が施された不織布は、乾燥工
程を経てそのまま濾材とすることもできるが、不織布中
に融点が10℃以上異なる2種類以上の極細繊維が含ま
れる場合は、さらに加熱加圧処理を施して、少なくとも
一種類の繊維を熱接着させ、繊維間空隙を小さくするこ
とが望ましい。
【0037】加熱加圧処理は、一対の熱ロールを用いて
行うと良い。この場合、温度とロール間の圧力を適宜変
更することにより繊維間空隙の大きさを任意に変更する
ことができる。一般に、温度、圧力を高くするほど微細
化は促進される。特に圧力を高くすると不織布構造その
ものの緻密化が促進されるので、比較的低い温度でも繊
維間空隙の微細化が可能になる。
【0038】加熱温度は複数種の極細繊維のうち、最も
融点が低い繊維の軟化点よりも高く、最も融点が高い繊
維の融点よりも低い温度で行うと良い。但し、加熱温度
を高くすると繊維が溶融してフィルム化し、空隙が塞が
って通気性を失うので注意する必要がある。そこで、本
発明においては、最も融点が低い繊維の軟化点よりも高
くかつその融点よりも低い温度で処理を施すことが望ま
しい。また、最も融点が低い繊維の軟化点もしくは融点
よりも高くかつ他の極細繊維の融点よりも低い温度で処
理を施してもよい。さらに、極細繊維以外に繊度の大き
い繊度を含む場合には、上記条件に加えて、繊度の大き
い繊維が軟化もしくは溶融しないような条件で加熱加圧
処理を施すことが望ましい。繊度の大きな繊維の軟化も
しくは溶融により、繊維間空隙が過度に閉塞され、濾過
流量の低下等を招くおそれがあるためである。このよう
な加熱加圧処理が施された不織布は、繊維間の熱接着に
よって繊維間空隙が微細化しているとともに、毛抜け防
止性および不織布強力が向上され、また厚みが減少して
いるため、特にプリーツ加工性に優れたものとなる。
【0039】このようにして得られた不織布を、芯筒の
周囲に濾材として位置させることにより本発明のカート
リッジフィルターとなすことができる。本発明において
は、図5のように、この不織布(3)をスパンボンド不
織布やネット状シートのような補強材とともに芯筒
(4)の周囲にひだ状に折りたたみながら巻き付け、い
わゆるプリーツタイプのカートリッジフィルター(5)
とすることが最も望ましい。勿論、この不織布を連続的
に供給しながら芯筒の周囲に一定径になるまで巻き付け
た、いわゆる深層濾過タイプのカートリッジフィルター
とすることも可能である。また図6のように他の濾材シ
ート(7)と併用し、この不織布(6)が精密濾過層と
して一部巻きこまれるようにしても良い。また、他の濾
材と重ね合わせて積層体とし、これを芯筒に巻き付けて
もよい。
【0040】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明する。実施
例中、不織布の物性および濾過性能は以下の方法により
評価した。
【0041】(ポアサイズ) ASTM F316−8
6のバブルポイント法に基づいて測定した。
【0042】(通気度) フラジール型試験機を用い、
JIS L 1096に準じて測定した。
【0043】(濾過効率) 試験用ダストJIS11種
とJIS8種を等量ずつ混合したダストを水中に投入
し、その濃度が50ppmになるように調製した懸濁液
1リットルを、面積9.2cm2 の濾材で吸引濾過し、濾
過後の懸濁液を乾燥させて含まれているダスト重量
(A)を測定し、これと濾過前の懸濁液中のダスト重量
(B)から次式、濾過効率(%)=[(B−A)/B]
×100より算出した。
【0044】(濾過精度) 濾過効率の測定と同様にし
て懸濁液を吸引濾過し、濾過後の懸濁液中の粒子径別の
粒子個数(N)を粒度分布測定機(商品名 コールター
カウンターZM型:コールターエレクトロニクス社製)
を用いて測定する。また同様にして濾過前の懸濁液中の
粒子径別の粒子個数(M)を測定し、式[(M−N)÷
M]×100から各粒子径別の遮断率を算出し、遮断率
が99%の粒子径を濾過精度とした。
【0045】(濾過流量) 濾過精度の測定と同様にし
て懸濁液1リットルを吸引濾過し、濾過開始から懸濁液
の全量が濾材を通過するのに要した時間を測定し、この
結果より、単位面積・単位時間あたりの流量を算出し
た。
【0046】[実施例1]ポリ4−メチルペンテン−1
を第一成分、ポリエチレンを第二成分とし、図1に示す
繊維断面を有する繊度2.5デニール、繊維長5mmの1
6分割型複合繊維85重量%と、繊度1デニール、繊維
長3mmのビニロン繊維5重量%と、パルプ状多分岐繊維
(商品名 SWP:三井石油化学工業(株)製)10重
量%とをパルパーで混合してスラリーを調製し、これを
用いて湿式抄紙法により目付100g/m2 の繊維ウェ
ブを作成した。続いてこのウェブに、孔径0.13mmの
オリフィスが0.6mm間隔で穿設されたノズルから水圧
80kg/cm2 の高圧柱状水流を噴射し、分割型複合繊維
を分割させると同時に繊維同士を交絡させた後、乾燥さ
せた。得られた不織布においては分割型複合繊維の分割
により繊度0.16デニールの極細繊維が形成され、全
量の約80重量%を占めていた。
【0047】[実施例2]実施例1の不織布に、金属ロ
ールとコットンロールからなる加工機(以下の実施例及
び比較例においても同じものを使用)を用いて加熱温度
120℃、線圧40kg/cmでカレンダー加工を施したも
のを濾材として評価した。
【0048】[実施例3]高圧水流処理を、孔径0.1
3mmのオリフィスが1.0mm間隔で穿設されたノズルか
ら水圧100kg/cm2 の高圧柱状水流を噴射して行う以
外は実施例1と全く同様にして湿式不織布を製造し、こ
れに加熱温度120℃、線圧40kg/cmでカレンダー加
工を施した。得られた不織布においては分割型複合繊維
の分割により繊度0.16デニールの極細繊維が形成さ
れ、全量の約80重量%を占めていた。
【0049】[比較例1]平均繊度0.16デニールの
ポリプロピレン繊維からなる目付100g/m2のメル
トブロー不織布(商品名 ミクロフレックス:(株)ク
ラレ製)に加熱温度70℃、線圧17kg/cmでカレンダ
ー加工を施したものを濾材として評価した。
【0050】[比較例2]比較例1で使用したものと同
じメルトブロー不織布に、加熱温度70℃、線圧30kg
/cmでカレンダー加工を施したものを濾材として評価し
た。
【0051】[比較例3]実施例1で使用したものと同
じ分割型複合繊維70重量%と、芯成分/鞘成分がポリ
プロピレン/中密度ポリエチレンであり、繊度2デニー
ル、繊維長5mmの芯鞘型複合繊維30重量%とをパルパ
ーで混合して水中に分散させ、スラリーを調製し、これ
を用いて湿式抄紙法により目付100g/m2 の繊維ウ
ェブを作成した。続いてこのウェブに、孔径0.13mm
のオリフィスが0.6mm間隔で穿設されたノズルから水
圧80kg/cm2 の高圧柱状水流を噴射し、分割型複合繊
維を分割させると同時に繊維同士を交絡させた後、加熱
温度120℃、線圧40kg/cmでカレンダー加工を施し
た。得られた不織布においては分割型複合繊維の分割に
より繊度0.16デニールの極細繊維が形成され、全量
の約65重量%を占めていた。
【0052】実施例1〜3、および比較例1〜3の各不
織布の物性および濾過性能を表1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】実施例1と比較例1は目付および厚みがほ
ぼ同じであるが、比較例1の方が、繊維間空隙のサイ
ズ、即ちポアサイズの分布範囲が広いため、濾過効率、
濾過精度、濾過流量とも実施例1よりも劣っている。実
施例3と比較例2は濾過流量がほぼ同じであるが、濾過
精度は実施例3の方が高い。これは比較例2の方が平均
ポアサイズが大きく、またポアサイズの分布が広範囲に
亘っているためであると考えられる。また比較例3は、
繊度の大きな繊維を多く含んでいるためにサイズの大き
な繊維間空隙が多数形成され、そのため濾過精度が劣っ
ているものと考えられる。また繊度の大きな繊維の軟化
により部分的に繊維間空隙が塞がれて濾過流量が小さく
なっていると考えられる。
【0055】
【発明の効果】本発明のカートリッジフィルターは、湿
式不織布のような均一性に優れた不織布を濾材として採
用し、かつこの不織布は極細繊維を含んでなるものであ
るから、濾過層においては微細な繊維間空隙が均一に形
成され、かつその大きさが比較的揃っている。従って、
本発明のカートリッジフィルターは濾過精度が高いとい
う利点を有する。また、不織布中の少なくとも一種類の
極細繊維を軟化させて繊維間を熱接着することにより、
繊維間空隙を閉塞することなく微細化することが可能と
なるため、濾過流量を大幅に減少させることなく濾過精
度を向上させることができる。また熱接着により不織布
強力が向上されるためプリーツ加工性も良くなる。かか
る不織布は分割型複合繊維を使用することにより容易に
製造することができるので、本発明によれば優れた濾過
性能を有するカートリッジフィルターを安価に供給する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用できる分割型複合繊維の一例の断
面拡大図である。
【図2】本発明で使用できる分割型複合繊維の一例の断
面拡大図である。
【図3】本発明で使用できる分割型複合繊維の一例の断
面拡大図である。
【図4】本発明で使用できる分割型複合繊維の一例の断
面拡大図である。
【図5】本発明のカートリッジフィルターの一例の一部
破断斜視図である。
【図6】本発明のカートリッジフィルターの一例の一部
破断斜視図である。
【符号の説明】
1 第一成分 2 第二成分 3 不織布 4 芯筒 5 プリーツタイプのカートリッジフィルター

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維長20mm以下の短繊維からなり、か
    つ構成繊維同士が交絡している不織布であって、構成繊
    維中に単糸繊度1.0デニール以下の極細繊維が含まれ
    てなる不織布により濾過層が形成されていることを特徴
    とするカートリッジフィルター。
  2. 【請求項2】 繊維長20mm以下の短繊維からなり、か
    つ構成繊維同士が交絡している不織布であって、構成繊
    維中に単糸繊度1.0デニール以下で融点が10℃以上
    異なる二種類以上の極細繊維が含まれており、かつ少な
    くとも一種類の極細繊維によって構成繊維同士が熱接着
    している不織布により濾過層が形成されていることを特
    徴とするカートリッジフィルター。
  3. 【請求項3】 不織布が湿式不織布である請求項1もし
    くは請求項2記載のカートリッジフィルター。
  4. 【請求項4】 極細繊維が不織布中、70重量%以上含
    まれている請求項1〜3いずれか一項記載のカートリッ
    ジフィルター。
  5. 【請求項5】 極細繊維が分割型複合繊維の分割により
    形成されたものである請求項1〜4いずれか一項記載の
    カートリッジフィルター。
  6. 【請求項6】 分割型複合繊維が、ポリ4−メチルペン
    テン−1を第一成分、ポリエチレンを第二成分とするも
    のである請求項5記載のカートリッジフィルター。
  7. 【請求項7】 不織布の目付が50g/m2 以上200
    g/m2 未満である請求項1〜6いずれか一項記載のカ
    ートリッジフィルター。
  8. 【請求項8】 不織布がひだ状に折りたたまれながら芯
    筒に巻き付けられて濾過層を形成している請求項1〜7
    いずれか一項記載のカートリッジフィルター。
  9. 【請求項9】 分割型複合繊維を含む繊維ウェブを湿式
    抄紙法により製造し、これに高圧水流処理を施して分割
    型複合繊維を分割させて極細繊維を形成せしめると同時
    に繊維同士を交絡させた不織布を用いて濾過層を形成す
    ることを特徴とするカートリッジフィルターの製造方
    法。
  10. 【請求項10】 融点差が10℃以上の二種類以上の成
    分からなる分割型複合繊維を含む繊維ウェブを湿式抄紙
    法により製造し、これに高圧水流処理を施して分割型複
    合繊維を分割させて極細繊維を形成せしめると同時に繊
    維同士を交絡させた後、分割型複合繊維を構成する成分
    のうち最も融点が低いものの軟化点よりも高くかつ最も
    融点が高いものの融点よりも低い温度で加熱加圧処理を
    施して繊維同士を熱接着させた不織布を用いて濾過層を
    形成することを特徴とするカートリッジフィルターの製
    造方法。
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