JP3709222B2 - 光学スキャナー用ビーム成形 - Google Patents

Description

【０００１】
【産業上の利用分野】
本発明は、一般には光学スキャナーに関し、特に走査方向とこれと直角方向の両方向に走査ビームを成形する手段が提供されるスキャナーに関する。
【０００２】
【従来の技術】
バーコードスキャナーのような光学スキャナーは、一般に走査ビームを与えるため動かされるレーザーダイオードからの光を使用する。このようなダイオードは強固で比較的安いが、レーザーダイオードから現れるビームが非点収差を有するという欠点がある。非点収差のあるレーザーダイオードは、光学通路に沿って相互に隔離された２つの見かけ光源を持つという特徴がある。１つの光源は水平面にあり、レーザーダイオードチップの内側から来るように見え、低い分散角を有する。他の見かけ光源は、垂直平面内にあり、チップのファセットから来るように見え、高い分散角を有する。一般には相互に約２０μ隔離される２つの見かけ光源は、チップの平面の交差点から測って、異なる平面で異なる方向に２つのビームのくびれ（ウエスト）を形成する。
この効果を示す一般的なレーザービームを図６に示す。この図で、ビーム34はレーザーダイオード33から出るように示される。ビームは次に焦点レンズ32と成形アパーチャー（絞り）45を通過し、読むべきバーコードシンボル100 のある表面102 に衝突する。明らかなように、このレーザービームは非対称であり、光源ｚからの距離によりビームの断面形状が変化する。ｄ１のような比較的短い距離では、ビームはｘ方向に比較的広く、距離ｄ３で幅が最小になるまでビーム幅は距離と共に次第に減少する。幅は、その後より長い距離ｄ４，ｄ５，ｄ６で再度増加し始める。「くびれ」がｄ３の近くで起こることで、ビームはｘ方向に「くびれ」が生じる。
【０００３】
ビームはｙ方向に同様に「くびれ」が生じる。ｄ１のような比較的短い距離では、ビームの高さは比較的高い。距離ｄ４の近くで高さが最小になるまでビーム高さは距離と共に次第に減少する。より長い距離ｄ５，ｄ６で、高さは再度増する。
この例は、ｘとｙの「くびれ」は必ずしも光源から同じ距離で起こるわけではないことを示す。
バーコードシンボルをｘ方向に走査するとき、バーとスペースを適正に識別するためには、バーコードシンボルに衝突する点でビーム幅が比較的小さいのが好ましい。他方、ノイズによる問題を少なくするため、（走査方向に直角の）ｙ方向の大きさは比較的大きいのが好ましい。代表的な例としてノイズは、レーザースペックルの効果、バーコードシンボル内の個々のバーの不完全な印刷、ドットマトリックスプリンターを使用してバーコードシンボルが印刷されたとき生じるドットのような他の印刷生成物の結果として生じる。
ｙ方向のビームのくびれにより生じる困難を緩和するため、過去に様々なアプローチがされた。本出願人が保有するカナダ特許第1324442 号によれば、ある状況では、レーザーの非点収差を補償する必要はなく、可視性を良くする積極的な目的に使用できる。米国特許4,253,735 号（河村ら）、米国特許5,081,639 号（シンダーら）、米国特許453,895 号（ヒギンズら）等の他の先行技術の文書は、適当な形状の円筒形レンズを使用してある程度まで非点収差を補正できるということを開示する。追加の高価な光学要素が必要なので、このタイプの配置は比較的高い。さらに、追加の高価な光学要素は非常に注意深く正確に取り付けなければならず、それにより製造コストが増加する。
【０００４】
ビーム内にアパーチャー（絞り）を設けることにより、ｙ方向にビーム成形を行うことは、知られている。これは、比較的安価であるが、ｙ方向の「くびれ」を減少させるという所望の目的は果たさない。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来技術の問題を緩和することである。
本発明の別の目的は、ｙ方向に所望のようにビームのプロファイル（光源から特定の距離での幅）を調整する簡単で安価な手段を提供することである。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、記号を走査する光学スキャナーにおいて、
ハウジング、
光源からの距離により断面形状が変化する第１外部輪郭を有する光源ビームを生じる前記ハウジング内の光源手段、及び、
前記ハウジングに対して走査運動が可能となるように取り付けられ、前記光源ビームを入力として受け、前記光源からの距離により断面形状が変化する第２外部輪郭を有する走査光ビームを出力として生じるように配置された走査手段、
とを備え、
前記走査光ビームは前記走査手段により、走査される記号を横切ってスイープするようにされ、
前記走査手段は、前記光源ビームの前記第１輪郭を前記第２走査光ビームの前記第２輪郭に非対称に変える非対称のビーム成形手段を含む、光学スキャナーが提供される。
このタイプの配置では、走査手段を回転又は揺動することによりビーム成形が行われ、追加の円筒形レンズのような別の静止非対称ビーム成形要素を設ける必要を無くす。
【０００７】
それゆえ、スキャナー内の静止光学要素は簡単なままにできる。好適な実施例では、ビーム成形手段はビームの輪郭の（走査方向即ちｘ方向に直角な）ｙ方向のみに影響し、それにより、予想する作動距離における走査レーザースポットのｘとｙ方向の大きさを独立に制御することができる。
上述した配置に加えて、回転対称なレンズのような従来のビーム成形手段をビーム中に使用して、ｘとｙ方向の大きさを容易に制御することができる。
【０００８】
【実施例】
典型的な従来のバーコードスキャナーの詳細を図２に示す。レーザーモジュール10がハウジング11を有し、その中にレーザーダイオード12と焦点レンズ14が固定されている。ダイオード12からの光がレンズ14を通り、ビーム成形アパーチャー16を通ってハウジング11から出力ビーム18として現れる。ビーム18が回転又は揺動している走査ミラー20に衝突し、そこで反射して走査ビーム21を成形する。ミラー20の揺動又は回転のため、ビーム21は読むべき記号（図示せず）を横切って矢印ｓの方向に前後に走査する。光は記号から反射して戻り光検出器（図示せず）ヘ行き、走査ビーム21が記号を横切ると光検出器の出力が変化するので記号が何を表すか決まる。
レーザーダイオード12の非点収差のため、ビーム18とそれゆえ走査ビーム21は完全には回転について対称ではない。図１は、スキャナーからの距離（ｚ）と共にビームのｘとｙプロファイルがどう変わるかを表す。この図でｘ方向は、ビーム21の走査方向を表し、ｙ方向はｘとｚにそれぞれ直角な方向を表す。図１と２のライン22は光学スキャナーの先端即ちウィンドー位置を模式的に示す。従って、図１はスキャナーの外の領域でのレーザービームのプロファイルを示すことが分かる。
【０００９】
図１（ｂ）に示すｘプロファイルは、レンズ14の特性を変えることにより制御できる。レンズの強度は、ｘ方向のビーム幅が走査する記号のタイプ、及び記号とスキャナーの予想距離（ｚ）に最適であるように選ぶことができる。他方、図１（ａ）に示すｙビームプロファイルは、まずレーザーの非点収差で決まり、ある程度アパーチャー16の大きさによる。しかし、実際上通常はレーザーの方向によりｙプロファイルは、作動範囲のある部分でより小さい大きさ（即ち「くびれ」）である。これは望ましくない。ノイズの効果を最小にするため、ｙ方向の幅が非常に大きい（典型的には1.5 から2mm)ことが好ましいからである。
図４に行くと、本発明を表す走査配置が示される。図２で使用したのと対応する参照番号を使用する。図４の実施例では、平面の走査ミラー20が平面でないミラー200 好ましくは部分円筒形ミラーで置き換えられる。ミラー200 が揺動又は回転し成形された走査レーザービーム210 を生じる。
要素200 は円筒形ミラーである必要はなく、その代わり他のタイプの、回転又は揺動のため取り付けられ、ビームをｘとｙ方向に非対称に成形するように配置されたビーム成形手段であってもよい。要素200 は例えば、適当な他の光学要素のある回転に非対称なレンズとし、回転又は揺動により静止しているレーザービーム18を成形された走査ビーム210 に変換してもよい。
【００１０】
成形されたビーム210 のｘとｙプロファイルを図３に示す。図３（ｂ）に示すｘプロファイルは、図１（ｂ）に示す従来のｘプロファイルと同じである。しかし、ｙプロファイルは非常に異なる。円筒形走査ミラー200 を導入することで、ｙ方向のビーム幅が増加し、「くびれ」は完全にないか、又は予想作動距離と比較して少なくとも長い距離だけ離れている。
ミラー200 のカーブを適当に選ぶと、ｘ方向のプロファイルと独立にｙ方向のビームプロファイルを所望のように合わせることができる。
例として、図５は本発明の実施例を組み込んだ好適なタイプの手持ちレーザースキャナーを示す。スキャナーは、トリガー539 のついた握ることのできるハンド部分536 を有する本体535 を備える。本体535 内にはレーザーモジュール515 があり、図４に示すレーザーモジュール10と同様であってもよい。レーザーモジュール515 からの光は、揺動ミラー510 （図４のミラー200 のような凸面ミラーが好ましい）を照射するように配置されている。結果のビーム537 は、レンズ512 を通り、ウィンドー538 を通ってハウジングから出ていく。ミラー510 は、ビーム537 が読む記号514 を横切る走査ライン513 を追跡するように配置されている。記号から反射して戻る光はウィンドー538 を通り、集光ミラー526 で集光され、反射して光検出器525 へ戻る。光学信号が電気信号に変換され、記号514 の形態が決まる。勿論、例示の実施例では、ミラー510 はｙ軸ビーム成形を与えるような形状で、円筒形が好ましい。
【００１１】
本発明を１実施例で説明したが、本発明の精神から離れずに、各種改良と構造変化を行うことができるので、ここに示した例に制限する意図ではない。
さらに説明しなくても、前述のことは本発明の要点を表すので、現在の知識を適用すれば、従来技術の観点から本発明の一般的又は特定の面の重要な特性を構成する態様を省略せずに、容易に各種用途に適合させることができる。そして、それゆえこのような用途は特許請求の範囲の均等の範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【図１】典型的な従来技術のスキャナーのＸとＹのビームプロファイルである。
【図２】図１のビームプロファイルを生じる典型的な従来技術のスキャナーである。
【図３】本発明のスキャナーにより生じる好適なビームプロファイルを示す。
【図４】図３のビームプロファイルを生じる本発明のスキャナーである。
【図５】図４の実施例が組み込まれた手持ちスキャナーの例である。
【図６】一般的なレーザービームである。
【符号の説明】
１０・・レーザーモジュール
１１・・ハウジング
１２・・ダイオード
１４・・レンズ
１６・・アパーチャー
１８・・出力ビーム
２０・・ミラー
２２・・ライン

Claims (5)

1. 記号を走査する光学スキャナーにおいて、
   相互に直角なｘ方向とｙ方向の両方向に収束し、前記ｘ方向とｙ方向の両方向にくびれを有する光ビームを生じるために、レーザーダイオードと、焦点レンズと、ビーム形成アパーチャとを含む光源モジュールと、
   走査運動が可能となるように取り付けられ、走査運動において、前記ビームを受取り、前記記号を横切るｘ方向に沿って反射するように配置された走査要素とを備え、
   前記走査要素は、前記ビームをｙ方向に発散させる形状であるビーム形成の凸面ミラー表面を含み、前記発散は、前記ビームのｙ方向の収束を除去するのに十分であり、前記走査要素を離れる前記ビームは、ｘ方向にくびれを持つが、ｙ方向にくびれを持たないことを特徴とする光学スキャナー。
2. 請求項１記載の光学スキャナーであって、前記凸面ミラー表面は、ｘ方向に延びる軸の周りに実質的に円筒形であり、ｙ方向に光の発散を生じることを特徴とする光学スキャナー。
3. 請求項１記載の光学スキャナーであって、前記走査要素を離れる前記ビームは、前記走査要素からさらにビーム成形されずに出てくることを特徴とする光学スキャナー。
4. 請求項１記載の光学スキャナーであって、前記レーザーダイオードから出てくる前記ビームは、回転非対称であることを特徴とする光学スキャナー。
5. 請求項１記載の光学スキャナーであって、前記走査要素はミラーであることを特徴とする光学スキャナー。

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