JP3706809B2 - 多気筒エンジン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、多気筒エンジンに関し、特に、カムシャフトの軸線に沿って並ぶ吸気弁および第1点火プラグと、前記カムシャフトの軸線に沿って並ぶ排気弁および第2点火プラグとが、各燃焼室毎にシリンダヘッドに配設される多気筒エンジンに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、かかる多気筒エンジンは、たとえば特公昭60─10163号公報等で既に良く知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の多気筒エンジンでは、吸気ポートの上流端中央部の位置と、排気ポートの下流端中央部の位置とがカムシャフトの軸線に沿う方向でずれており、カムシャフトの軸線に沿う方向でシリンダヘッドが大型化せざるを得ない。
【0004】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、カムシャフトの軸線に沿う方向でシリンダヘッドの小型化を図り得るようにした多気筒エンジンを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、カムシャフトの軸線に沿って並ぶ吸気弁および第1点火プラグと、前記カムシャフトの軸線に沿って並ぶ排気弁および第2点火プラグとが、各燃焼室毎にシリンダヘッドに配設され、そのシリンダヘッドには、燃焼室との間に吸気弁を介在させて吸気ポートが設けられるとともに、燃焼室との間に排気弁を介在させて排気ポートが設けられてなる多気筒エンジンにおいて、第1点火プラグは、カムシャフトの軸線と直交する方向で排気ポートの上流端と並ぶように、また第2点火プラグは、カムシャフトの軸線と直交する方向で吸気ポートの下流端と並ぶようにそれぞれ配置され、吸気ポートの上流端が同吸気ポートの下流端から、カムシャフトの軸線に沿う方向で一方側に偏倚して配置され且つ排気ポートの下流端が同排気ポートの上流端から、カムシャフトの軸線に沿う方向で他方側に偏倚して配置されていて、該吸気ポートの上流端中央部の位置と該排気ポートの下流端中央部の位置とが、カムシャフトの軸線に沿う方向で同一に設定されることを特徴とする。
【0006】
このような請求項1記載の発明の構成によれば、吸気ポートの上流端中央部および排気ポートの下流端中央部が、カムシャフトの軸線に沿う方向で同一位置に在るので、各気筒間の間隔を短く設定し得るようにし、カムシャフトの軸線に沿う方向でシリンダヘッドを小型化することができる。また吸気ポートの上流端が同吸気ポートの下流端から、カムシャフトの軸線に沿う方向で一方側に偏倚して配置され且つ排気ポートの下流端が同排気ポートの上流端から、カムシャフトの軸線に沿う方向で他方側に偏倚して配置されることにより、吸気ポートの下流端の燃焼室への開口面積ならびに排気ポートの上流端の燃焼室への開口面積を極力大きく確保しつつ、吸気ポートからの吸気流が燃焼室内でスワール流を生じるようにして、燃焼効率を向上することができる。
【0007】
また請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明の構成に加えて、排気ポートを流通する排気ガスの一部を導くEGR通路が、前記カムシャフトの軸線に沿う一端側でシリンダヘッドに設けられ、排気ポートをEGR通路との間に挟む位置に第2点火プラグが配置され、吸気ポートが、第1点火プラグを前記EGR通路との間に挟む位置でシリンダヘッドに設けられることを特徴とし、かかる構成によれば、排気ポートおよびEGR通路間の連通構造を単純化しつつ、吸気ポートを流通する空気にEGR通路からの熱による悪影響が及ぶことを抑制することができる。
【0008】
請求項3記載の発明は、上記請求項1または2記載の発明の構成に加えて、前記吸気ポートの上流端が開口する側のシリンダヘッドの側壁に、EGRガスの流通を制御するEGR弁が取付けられ、EGR弁との間に第1点火プラグを挟む位置でシリンダヘッドに吸気ポートが設けられることを特徴とし、かかる構成によれば、吸気ポートを流通する空気にEGR弁からの熱による悪影響が及ぶことを抑制することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した本発明の一実施例に基づいて説明する。
【0011】
図1〜図13は本発明の一実施例を示すものであり、図1はエンジンの上部縦断面図であって図3の1−1線に沿う断面図、図2はエンジンの上部縦断面図であって図3の2−2線に沿う断面図、図3は図2の3−3線に沿うシリンダヘッドの横断面図、図4は動弁室内の構成を示すための図1の4−4線に沿う平面図、図5は図4の5矢視方向から見たシリンダヘッドの側面図、図6は図5の6矢視方向から見たシリンダヘッドの底面図、図7は図3の7−7線に沿うシリンダヘッドの断面図、図8は図1の8矢視平面図、図9はヘッドカバーの全体平面図、図10はシリンダヘッドの吸気側締結面、ガスケットおよびプレート間でのEGRガスの流通を説明するための図、図11は図5の11−11線断面図、図12はエンジン冷間時の冷却水の流れを示す冷却水系統図、図13はエンジン熱間時の冷却水の流れを示す冷却水系統図である。
【0012】
先ず図1〜図6において、このエンジンは、多気筒たとえば4気筒のSOHC型エンジンであり、シリンダブロック21と、該シリンダブロック21の上面にガスケット24を介して締結されるシリンダヘッド22と、シリンダヘッド22の上面にガスケット25を介して締結されるとともにシリンダヘッド22との間に動弁室26を形成するヘッドカバー23とを備えて車両に搭載される。
【0013】
シリンダブロック21には、車両の前進方向31と直交する横方向に直列して並ぶ4つのシリンダボア27…が設けられ、シリンダヘッド22の下面には、各シリンダボア27…にそれぞれ摺動自在に嵌合されるピストン28…の頂部を臨ませる第1〜第4燃焼室29A,29B,29C,29Dをシリンダブロック21との間にそれぞれ形成する凹部30…が直列して並ぶようにして設けられる。
【0014】
図7を併せて参照して、前記第1〜第4燃焼室29A〜29Dの配列方向と直交する方向の略中央部でシリンダヘッド22の上部には、第1〜第4燃焼室29A〜29Dをそれぞれ相互間に挟むようにして5つのシャフト軸受部32…が一体に設けられ、これらのシャフト軸受部32…には、円形の軸受孔33…が同軸にそれぞれ設けられる。一方、第1〜第4燃焼室29A〜29Dの配列方向と平行に延びる軸線を有するカムシャフト34が各燃焼室29A〜29Dの上方で動弁室26に配置されるものであり、該カムシャフト34が前記各シャフト軸受部32…で回転自在に支承される。すなわちカムシャフト34には、シャフト軸受部32…に対応するようにして軸方向に間隔をあけた5つの円形の支持部34a…が半径方向外方に張出すようにして一体に設けられており、それらの支持部34a…が各軸受孔33…に挿通、支持されることでカムシャフト34がシリンダヘッド22に回転自在に支承される。
【0015】
シリンダヘッド22の両側には、シリンダブロック21よりも外側方に突出する突出部22a,22bが、各燃焼室29A〜29Dに共通にしてそれぞれ一体に設けられており、両突出部22a,22bのうち車両の前進方向31に沿う前方側に臨む一方の突出部22aの外端にはカムシャフト34と平行な平坦面である吸気側締結面35が形成され、車両の前進方向31に沿う後方側に臨む他方の突出部22bの外端には排気側締結面36がカムシャフト34と平行な平坦面として形成される。
【0016】
シリンダヘッド22には各燃焼室29A〜29D毎に吸気ポート40…および排気ポート41…がそれぞれ1つずつ設けられており、各吸気ポート40…の外端は吸気側締結面35に開口され、各排気ポート41…の外端は排気側締結面36に開口される。
【0017】
吸気側締結面35には吸気装置42が締結されるものであり、該吸気装置42は、各吸気ポート40…に共通なフランジ43aを有する吸気マニホールド43と、各吸気ポート40…に個別に対応した通路46を有して前記フランジ43aに当接されるプレート44とを備え、プレート44および吸気側締結面35との間にガスケット45を介在させようにして前記吸気側締結面35に締結される。また排気側締結面36には排気装置(図示せず)が締結される。
【0018】
シリンダヘッド22には、吸気ポート40…の内端および燃焼室29A〜29D間に介在する吸気弁47…が開閉作動可能に配設されるとともに、各排気ポート41…の内端および燃焼室29A〜29D間に介在する排気弁48…が開閉作動可能に配設される。
【0019】
吸気弁47の弁軸47aは、シリンダヘッド22に設けられたガイド筒49に摺動自在に嵌合されて動弁室26に突出するものであり、弁軸47aの上端に設けられたリテーナ50およびシリンダヘッド22間に縮設される弁ばね51で吸気弁47は閉弁方向にばね付勢される。また排気弁48の弁軸48aは、シリンダヘッド22に設けられたガイド筒52に摺動自在に嵌合されて動弁室26に突出するものであり、弁軸48aの上端に設けられたリテーナ53およびシリンダヘッド22間に縮設される弁ばね54で排気弁48は閉弁方向にばね付勢される。
【0020】
動弁室26には、カムシャフト34と平行な軸線を有する単一のロッカシャフト55が配置されており、このロッカシャフト55は、前記カムシャフト34の上方でシリンダヘッド22に固定配置される。すなわちロッカシャフト55は、カムシャフト34を回転自在に支承すべくシリンダヘッド22に設けられているシャフト軸受部32…の上面にボルト56…でそれぞれ締結される。
【0021】
各燃焼室29A〜29D毎の吸気弁47…および排気弁48…は、カムシャフト34およびロッカシャフト55の軸線に沿ってずれた位置に配置されており、カムシャフト34には、吸気弁47…に対応した吸気側カム57…と、排気弁48…に対応した排気側カム58…とが各燃焼室29A〜29D毎にそれぞれ一体に設けられる。而して吸気側カム57…および排気側カム58…の頂部が描く円形軌跡の半径は、カムシャフト34が備える支持部34aの半径よりも小さく設定されており、これによりカムシャフト34をシリンダヘッド22の前記シャフト軸受部32…に挿通、支持することが可能となる。
【0022】
ロッカシャフト55には、カムシャフト34の吸気側カム57…に従動して吸気弁47…を駆動する吸気側ロッカアーム59…、ならびにカムシャフト34の排気側カム58…に従動して排気弁48…を駆動する排気側ロッカアーム60…が揺動自在に支承される。
【0023】
吸気側ロッカアーム59は、ロッカシャフト55で揺動可能に支承される円筒状のボス部59aと、ロッカシャフト55の軸線に直交する方向に延びてボス部に一体に連設される腕部59bとを備えるものであり、腕部59bの一端側に軸支されるローラ61が吸気側カム57にころがり接触し、腕部59bの他端に進退位置を調節可能として螺合されるタペットねじ62が、吸気弁47における弁軸47aの上端に当接される。
【0024】
また排気側ロッカアーム60は、ロッカシャフト55で揺動可能に支承される円筒状のボス部60aと、ロッカシャフト55の軸線に直交する方向に延びてボス部60aに一体に連設される腕部60bとを備えるものであり、腕部60bの一端側に軸支されるローラ63が排気側カム58にころがり接触し、腕部60bの他端に進退位置を調節可能として螺合されるタペットねじ64が、排気弁48における弁軸48aの上端に当接される。
【0025】
吸気側ロッカアーム59および排気側ロッカアーム60は、ロッカシャフト55を囲繞するばね65を両ロッカアーム59,60のボス部59a,60a間に介在させるとともに、前記両ボス部59a,60aの軸方向移動をシリンダヘッド22のシャフト軸受部32…で規制するようにしてロッカシャフト55で揺動可能に装着されるものであり、ロッカシャフト55の軸線に沿う方向での吸気側ロッカアーム59および排気側ロッカアーム60の位置決めを1つのばね65で果すことができ、ばねを前記シャフト軸受部32…との間にそれぞれ介在させるものに比べて部品点数を低減することができる。
【0026】
またボス部59a,60aは、腕部59b,60bからシャフト軸受部32…側に延びるように形成されてシャフト軸受部32…に直接摺接されるものであり、そのような構造とすることにより、ボス部59a,60aおよびシャフト軸受部32…間にカラーをそれぞれ介在させるものに比べて部品点数を低減することができる。
【0027】
また吸気側カム57および排気側カム58と、吸気弁47および排気弁48との間に介装される腕部59b,60bは、ロッカシャフト55の軸線に直交する方向に延びるように形成されており、腕部が彎曲しているものに比べると、動弁荷重が作用する腕部59b,60bの剛性を高めることが可能になるとともに、カムシャフト34の軸線に沿う方向で吸気側ロッカアーム59および排気側ロッカアーム60の設置に必要なスペースを小さく抑え、カムシャフト34の軸線に沿う方向でのシリンダヘッド22の小型化に寄与することができる。
【0028】
シリンダヘッド22には、カムシャフト34の軸線に直交する平面内に軸線を配置した第1および第2点火プラグ66…,67…が、シリンダヘッド22に設けられたねじ孔66a…,67a…に螺合されるようにして第1〜第4燃焼室29A〜29D毎に配設されており、カムシャフト34の軸線と直交する方向で排気弁48と並ぶ第1点火プラグ66がカムシャフト34の軸線に沿って吸気弁47と並ぶように配置され、カムシャフト34の軸線と直交する方向で吸気弁47と並ぶ第2点火プラグ67がカムシャフト34の軸線に沿って排気弁48と並ぶように配置される。
【0029】
すなわちカムシャフト34の軸線と直交する方向で排気ポート41の上流端と並ぶ第1点火プラグ66がカムシャフト34の軸線に沿って吸気弁47と並ぶように配置され、またカムシャフト34の軸線と直交する方向で吸気ポート40の下流端と並ぶ第2点火プラグ67がカムシャフト34の軸線に沿って排気弁48と並ぶように配置されておる。また吸気ポート40の上流端はカムシャフト34の軸線に沿う方向で該吸気ポート40の下流端から一方側に偏倚して配置され、排気ポート41の下流端はカムシャフト34の軸線に沿う方向で該排気ポート41の上流端から他方側に偏倚して配置される。
【0030】
このように、吸気および排気ポート40,41ならびに第1および第2点火プラグ66,67の配置を定めることにより、吸気ポート40の下流端の燃焼室29A〜29Dへの開口面積ならびに排気ポート41の上流端の燃焼室29A〜29Dへの開口面積を極力大きく確保しつつ、吸気ポート40からの吸気流が燃焼室29A〜29D内でスワール流を生じるようにして、燃焼効率を向上することができる。
【0031】
しかも各吸気ポート40…および各排気ポート41…は、吸気ポート40…の上流端中央部すなわち外端中央部の位置PIと、排気ポート41…の下流端中央部すなわち外端中央部の位置POとがカムシャフト34の軸線に沿う方向で同一となるように彎曲して、シリンダヘッド22に設けられる。
【0032】
シリンダヘッド22には、第1点火プラグ66…の挿脱をガイドする第1挿脱ガイド部68…が各燃焼室29A〜29D毎に一体に設けられるとともに、第2点火プラグ67…の挿脱をガイドする第2挿脱ガイド部69…が各燃焼室29A〜29D毎に一体に設けられる。
【0033】
第1挿脱ガイド部68は、その少なくとも上部、この実施例では上下方向中間部を除く上部および下部においてカムシャフト34とは反対側(車両の前進方向31に沿う前方側)を開放した円弧状の横断面形状を有するように形成されており、このように第1挿脱ガイド部68の形状を定めることにより、シリンダヘッド22の鋳造成形が容易となる。また第2挿脱ガイド部69は、その少なくとも上端部、この実施例では全長を円筒状として、シリンダヘッド22に一体に設けられる。
【0034】
図1に特に注目して、第1挿脱ガイド部68および吸気弁47はカムシャフト34の軸線に直交する平面への投影図上で少なくとも一部を重ねるようにして配置され、第2挿脱ガイド部69および排気弁48は前記平面への投影図上で少なくとも一部を重ねるようにして配置される。しかも前記投影図上での吸気弁47および排気弁48の弁軸47a,48aの少なくとも一方(この実施例では両方)と、カムシャフト34との間の最短距離よりも、第1および第2挿脱ガイド部68,69の少なくとも一方(この実施例では両方)と前記カムシャフト34との間の最短距離が小さく設定されている。すなわち、この実施例では、前記投影図上での吸気弁47の弁軸47aおよびカムシャフト34間の最短距離をL1とし、前記投影図上での第1挿脱ガイド部68とカムシャフト34との間の最短距離をL2としたときに、L2<L1となるように設定されるのであり、排気弁48の弁軸48aおよび第2挿脱ガイド部69とカムシャフト34との相対位置関係も同様に設定される。
【0035】
第1および第2挿脱ガイド部68,69の上端部の少なくとも一方、この実施例では両方は、シリンダヘッド22およびヘッドカバー23間の動弁室26内に張出すように彎曲して形成される。
【0036】
図4に特に注目して、シリンダヘッド22は、カムシャフト34の軸線方向に間隔をあけて両側に複数本たとえば5本ずつ配置されるヘッドボルト70…で、シリンダブロック21に締結され、それらのヘッドボルト70…と、吸気弁47…および排気弁48…の少なくとも一方(この実施例では両方)との間に、第1および第2挿脱ガイド部68…,69…の少なくとも一部が配置されており、吸気弁および排気弁47…,48…と、その側方に配置されるヘッドボルト70…との間のスペースに、第1および第2挿脱ガイド部68…,69…の少なくとも一部を彎曲することで効果的に配置するようにして、カムシャフト34の軸線と直交する幅方向でのシリンダヘッド22のコンパクト化に寄与することができる。
【0037】
また吸気弁47…および排気弁48…の少なくとも一方と、吸気弁47…および排気弁48…の少なくとも一方に隣接するヘッドボルト70…との間に、第1および第2挿脱ガイド部68…,69…の少なくとも一方の少なくとも一部が配置される。而してこの実施例では、吸気弁47と、吸気弁47に隣接するヘッドボルト70との間に、第1挿脱ガイド部68の一部が配置され、排気弁48と、排気弁48に隣接するヘッドボルト70との間に、第2挿脱ガイド部69の一部が配置される。これにより吸気弁47および排気弁48と、その側方に配置されるヘッドボルト70…との間のスペースに、第1および第2挿脱ガイド部68…,69…の一部を効果的に配置するようにして、カムシャフト34の軸線方向でシリンダヘッド22をコンパクト化するのに寄与することができる。
【0038】
またシリンダヘッド22のシャフト軸受部32…と、吸気弁47…および排気弁48…の少なくとも一方との間に、第1および第2挿脱ガイド部67…,68…の少なくとも一方の少なくとも一部が配置される。而してこの実施例では、シャフト軸受部32…および吸気弁47…間に、第1挿脱ガイド部68…の一部が配置され、シャフト軸受部32…および排気弁48…間に、第2挿脱ガイド部69…の一部が配置されており、このような配置によれば、吸気弁47…と、その側方に配置されるシャフト軸受部32…との間のスペースに第1挿脱ガイド部68…の一部を効果的に配置し、また排気弁48…と、その側方に配置されるシャフト軸受部32…との間のスペースに第2挿脱ガイド部69…の一部を効果的に配置して、カムシャフト34の軸線方向でシリンダヘッド22をより一層コンパクト化することができる。
【0039】
さらに第1および第2挿脱ガイド部68…,69…の上部は動弁室26側に張出すように彎曲して形成されるのであるが、それらの張出し部は、シリンダヘッド22上に形成されるオイルバス71(図1および図2参照)中に一部を浸漬させた吸気側カム57…および排気側カム58…と、吸気側ロッカアーム59…および排気側ロッカアーム60…がそれぞれ備えるローラ61…,63…との接触部に対応する位置に配置されている。
【0040】
このため、カムシャフト34が図1および図2の矢印で示す回転方向72に回転するのに応じて排気側カム58…によりオイルバス71中のオイルが第2挿脱ガイド部69…の動弁室26側への張出し部に衝突し、動弁室26内にオイルが効果的に飛散することになる。しかも第1および第2挿脱ガイド部68…,69…の動弁室26側への張出し部は、吸気側カム57…および排気側カム58…と、吸気側ロッカアーム59…のローラ61…および排気側ロッカアーム60…のローラ63…との接触部に対応する位置にあるので、動弁室26内に飛散したオイルが前記各張出し部に衝突して前記接触部側に効率的に供給されることになり、効果的な潤滑が可能となる。
【0041】
第1および第2点火プラグ66,67は、第1および第2挿脱ガイド部68,69にそれぞれ挿脱可能に挿入される棒状の第1および第2プラグホルダ73,74の下端に装着される。
【0042】
第1挿脱ガイド部68は、その上下方向中間部に円筒部68aを有するものであり、第1プラグホルダ73は、円筒部68aの内周全周に弾発的に接触するシール部73aを中間部に有して第1挿脱ガイド部68に挿入され、この第1プラグホルダ73の上部はシリンダヘッド22から突出される。また第2プラグホルダ74は、円筒状である第2挿脱ガイド部69に挿入される。一方、ヘッドカバー23には、円筒状にしてシリンダヘッド22に設けられる第2挿脱ガイド部69…の上端に下端を同軸に連ならせる円筒部75…が設けられており、第2挿脱ガイド部69…よりも上方で第2プラグホルダ74…は前記円筒部75…に挿入される。
【0043】
図8および図9を併せて参照して、第1挿脱ガイド部68…に挿入されてシリンダヘッド22から上方に突出する第1プラグホルダ73…の上端部に個別に連なる点火コイル76…が、各燃焼室29A〜29D毎に1つのコイル用ボルト77…でヘッドカバー23に締結される。
【0044】
而して第1プラグホルダ73…の上部はシリンダヘッド22から上方に突出しており、前記コイル用ボルト77…で点火用コイル76…をヘッドカバー23に締結する際に、第1プラグホルダ73…のうちシリンダヘッド22から上方への突出部に、前記コイル用ボルト77…の締付方向に回る力が作用して前記突出部に無理な荷重がかかるのを阻止すべく、ヘッドカバー23には、第1プラグホルダ73…の上端部外周に接触する回り止め部78…が、たとえば第1プラグホルダ73…の上端部を挿通させる筒状にして一体に設けられる。このため、点火コイル76…の取付作業性を向上することができるとともに、回り止めのための部品点数が増加することも回避することができる。
【0045】
而して第1プラグホルダ73…を挿入している第1挿脱ガイド部68…の上部は、第1プラグホルダ73…の上部を外部に曝すようにして車両の前進方向31に沿う前方側に開いた円弧状の横断面形状を有するものであり、車両の前進に伴なう走行風が第1プラグホルダ73…の上部に直接当たることになり、第1プラグホルダ73…が効果的に冷却されることになる。
【0046】
一方、第2プラグホルダ74…の上端部に個別に連なる点火コイル79…が、各燃焼室29A〜29D毎に1つのコイル用ボルト80…でヘッドカバー23に締結される。而して、第2プラグホルダ74…の上部はヘッドカバー23の円筒部75…に挿入されているので、コイル用ボルト80…の締付時に第2プラグホルダ74…の上部にかかる力は円筒部75…で受けられる。また第2プラグホルダ74…は円筒状にして相互に連なる第2挿脱ガイド部69…および円筒部75…で外部から覆われるものであり、円筒部75…は、図示しない排気装置と点火コイル79…との間に介在するものであるので、排気装置からの放熱による悪影響が第2プラグホルダ74…および点火コイル79…に及ぶことが極力抑制される。
【0047】
ところでヘッドカバー23は、その周方向に間隔をあけた複数箇所たとえば7箇所でシリンダヘッド22に締結されるものであり、ヘッドカバー23に設けられた挿通孔81…に挿通されるボルト82…が、シリンダヘッド22の上面に設けられたねじ孔83…に螺合される。
【0048】
複数箇所に配置される挿通孔81…、ボルト82…およびねじ孔83…のうち、たとえば3箇所の挿通孔81…、ボルト82…およびねじ孔83…は、前記各回り止め部79…相互間に配置されている。この結果、ヘッドカバー23をシリンダヘッド22に締結するためにシリンダヘッド22側に設けられる部分がシリンダヘッド22の側面から側方に極力張り出さないようにして、シリンダヘッド22のコンパクト化に寄与することができるとともに、シリンダヘッド22の軽量化を図りつつ第1プラグホルダ73…に無理な荷重が作用するのを防止することができる。
【0049】
しかも各回り止め部79…相互間に配置されている3つの挿通孔81…は、3つの回止め部79…に直接連なる被締結部84…に設けられており、被締結部84…および回り止め部79…の剛性を増大することができる。
【0050】
また上記挿通孔81…、ボルト82…およびねじ孔83…のうち、たとえば2箇所の挿通孔81…、ボルト82…およびねじ孔83…は、円筒形である第2挿脱ガイド部69…間に配置される。これによってもヘッドカバー23をシリンダヘッド22に締結するためにシリンダヘッド22側に設けられる部分がシリンダヘッド22の側面から側方に極力張り出さないようにして、シリンダヘッド22のコンパクト化により一層寄与することができる。
【0051】
ところでヘッドカバー23は、カムシャフト34の軸線方向に沿う一端側でシリンダヘッド22からはみ出すはみ出し部23aを有しており、このはみ出し部23aは、動力伝達機構を覆うカバーであるチェーンカバー(図示せず)に締結される。而してはみ出し部23aには、オイルフィラーキャップ85で着脱可能に閉じられるオイル供給筒86が上方に突出するようにして一体に設けられるとともに、オイル供給筒86の両側に配置される締結ボス部87,87が一体に設けられ、締結ボス部87,87にそれぞれ挿通されるボルト88,88が前記チェーンカバーに螺合される。このためオイルフィラーキャップ85の着脱作業性を向上することができるとともに、剛性の高いオイル供給筒86により、ヘッドカバー23およびチェーンカバーの締結剛性も増大することができる。
【0052】
しかもオイル供給筒86および両締結ボス部87,87間を結ぶリブ90,90がはみ出し部23aの上面に一体に形成されており、これらのリブ90,90により、オイル供給筒86および両締結ボス部87,87の剛性が増大することになる。 カムシャフト34の軸線に沿う一端側でシリンダヘッド22には、カムシャフト34の軸線と直交する方向に延びる第1のEGR通路94が設けられ、第1のEGR通路94の一端は、シリンダヘッド22に設けられた連通孔95を介して第1燃焼室29Aの排気ポート41に連通され、第1のEGR通路94の他端は、吸気側締結面35に開口する。
【0053】
而して第1のEGR通路94は、第1燃焼室29Aの排気ポート41を第1燃焼室29Aの第2挿脱ガイド部69すなわち第2点火プラグ67との間に挟む位置に配置されるものであり、直線状に延びる連通孔95で排気ポート41を第1のEGR通路94に連通させるようにして、排気ポート41および第1のEGR通路94間の連通構造を単純化することができる。また第1のEGR通路94は、第1燃焼室29Aの第1挿脱ガイド部68すなわち第1点火プラグ66を吸気ポート40との間に挟む位置に配置されるものであり、吸気ポート40を流通する空気に第1のEGR通路94からの熱による悪影響が及ぶことを抑制することができる。
【0054】
図10において、カムシャフト34の軸方向に沿う一端側で吸気側締結面35には、第1のEGR通路94に通じる入口側通路96を有する通路部材97が締結される。この通路部材97には、前記入口側通路96と、通路部材97に設けられている出口側通路98との間でEGRガスの流通を制御するEGR弁99が取付けられる。すなわち吸気ポート40の上流端が開口する側のシリンダヘッド22の側壁にEGRガスの流通を制御するEGR弁99が取付けられることになり、第1燃焼室29Aの吸気ポート40は、第1燃焼室29Aの第1挿脱ガイド部68すなわち第1点火プラグ66とEGR弁99との間に配置されることになる。これによっても第1燃焼室29Aの吸気ポート40を流通する空気にEGR弁99からの熱による悪影響が及ぶことを抑制することができる。
【0055】
図11をさらに併せて参照して、通路部材97に対応する部分でシリンダヘッド22には、通路部材97の出口側通路98に通じるようにして吸気側締結面35に外端を開口する連通孔100が設けられるとともに、連通孔100の内端に通じる第2のEGR通路101が設けられる。この第2のEGR通路101は、カムシャフト34の軸線方向に沿うシリンダヘッド22の一端寄りの部分から前記カムシャフト34の軸線方向に沿うシリンダヘッド22の略中央部までの間にわたってカムシャフト34と平行に延びるようにして形成されるものであり、その大部分は吸気側締結面35に開口される。但し、第2のEGR通路101の吸気側締結面35への開口部の大部分は、吸気側締結面35およびプレート44間に挟まれるガスケット45で閉じられる。
【0056】
一方、シリンダヘッド22の突出部22aには、各吸気ポート40…に燃料を噴射する燃料噴射弁102…を取付けるためのボス103…が設けられており、第2のEGR通路102は、シリンダヘッド22のコンパクト化により一層寄与するために、第1および第2燃焼室29A,29Bに対応する部分で吸気ポート40および燃料噴射弁102間のスペースに効果的に配置される。
【0057】
しかも第2のEGR通路101は、第1および第2燃焼室29A,29Bに対応した燃料噴射弁102の近傍でカムシャフト34の軸線と平行に延びるものであり、第1および第2燃焼室29A,29Bに対応する部分で燃料噴射弁102を取付けるためにシリンダヘッド22に設けられているボス103の一部は突入部103aとして第2のEGR通路101内に突入する。
【0058】
一方、第2のEGR通路101の内端部の延長上で吸気側締結面35に開口するとともにガスケット45で閉じられる凹部108が、軽量化のためにシリンダヘッド22に設けられており、第3燃焼室29Cに対応する部分で燃料噴射弁102を取付けるためにシリンダヘッド22に設けられているボス103の一部は、肉厚を確保するために突入部103bとして凹部108内に突入する。
【0059】
図10に特に注目して、吸気側締結面35に当接するガスケット45には、第2のEGR通路101の内端に通じる連通路104が設けられており、ガスケット45を吸気側締結面35との間に挟むプレート44のガスケット45側の面には、前記連通路104に中央部を通じさせて左右両側に延びる共通溝105と、該共通溝105の両端に連なる分岐溝106,106が設けられる。而して共通溝105の一端部は、第1および第2燃焼室29A,29Bの吸気ポート40,40間に対応する位置に設定され、また共通溝105の他端部は、第3および第4燃焼室29C,29Dの吸気ポート40,40間に対応する位置に設定されており、一方の分岐溝106は共通溝105の一端部から第1および第2燃焼室29A,29Bの吸気ポート40,40側に延びるように形成され、他方の分岐溝106は共通溝105の他端部から第3および第4燃焼室29C,29Dの吸気ポート40,40側に延びるように形成されている。
【0060】
しかも前記共通溝105の連通路104に対応する部分を除く部分、ならびに分岐溝106,106の大部分は、吸気側締結面35およびプレート44間に挟まれるガスケット45で塞がれるものであり、ガスケット45には、各吸気ポート40…に個別に通じる通路107…が、前記各106,106の先端に通じて通路107…に連なる切欠き部107a…を備えるようにして設けられ、各吸気ポート40…の吸気側締結面35への開口端には、前記切欠き107a…に通じる切欠き40a…が吸気ポート40…に連なるようにして設けられる。
【0061】
すなわち第1燃焼室29Aの排気ポート41から連通孔95、第1のEGR通路94、入口側通路96、EGR弁99、出口側通路98および連通孔100を経て第2のEFR通路101に導かれたEGRガスは、ガスケット45の連通路104から共通溝105に導かれ、さらに一対の分岐溝106,106に分岐して切欠き107a…,40a…から各燃焼室29A〜29Dの吸気ポート40…に分配されることになる。
【0062】
シリンダヘッド22には、第1点火プラグ66…の一部を臨ませて各燃焼室29A〜29Dに対応した点火プラグ室109A,109B,109C,109Dが、該シリンダヘッド22の突出部22aに一部を配置するとともに吸気側締結面35に開口するようにして形成されており、各点火プラグ室109A,109B,109C,109Dの吸気側締結面35への開口部はガスケット45で閉じられる。しかも点火プラグ室109A,109Bは燃焼室29A,29Bと第2のEGR通路101との間に介在するようにしてシリンダヘッド22に形成される。
【0063】
ところで、第1点火プラグ66は、第1挿脱ガイド部68の中間部の円筒部68aに弾発的に接触するシール部73aを有して第1挿脱ガイド部68に挿入される第1プラグホルダ73の下端に装着されるものであるが、前記シール部73aによる完全なシールを得ることはできず、シール部73aおよび円筒部68a間からの各点火プラグ室109A,109B,109C,109Dへの水の進入は避け難い。
【0064】
そこで各点火プラグ室109A〜109Dに浸入した水を抜くための水抜孔110A,110B,110C,110Dが、その一端を各点火プラグ室109A〜109D内の下部に開口するとともに他端を突出部22aの下部外面に開口するようにして、シリンダヘッド22の突出部22aに設けられる。
【0065】
第3燃焼室29Cに対応する部分でシリンダヘッド22には、突出部22aに吸気装置42を複数の締結ボス115…の1つで締結するための袋穴状の締結ボス111が、点火プラグ室109C内の下部に突入するようにして設けられる。しかもカムシャフト34の軸線に沿う方向で点火プラグ66および締結ボス111間で点火プラグ室109Cの下部に一端を開口するように水抜き孔110Cの位置が設定される。
【0066】
このような締結ボス111および水抜き孔110Cの配置によれば、シリンダヘッド22の大型化を回避することができる。すなわち締結ボスを点火プラグ室109Cからずらした位置に配置したときには、シリンダヘッドの大型化が不可避となるが、締結ボス111を点火プラグ室109Cの下部に突入させることでシリンダヘッド22の大型化を回避することができるのである。しかも第1点火プラグ66のまわりから点火プラグ室109Cに浸入した水を締結ボス111が邪魔にならないようにして水抜き孔110C側に導くことができる。
【0067】
第1燃焼室29Aに対応する部分でシリンダヘッド22には、突出部22aに吸気装置42を締結するための締結ボス112が、点火プラグ室109C内の下部に突入するようにして設けられる。しかもカムシャフト34の軸線に沿う方向で締結ボス112を第1点火プラグ66との間に挟む位置で点火プラグ室109Aの下部には、水抜き孔110Aの一端が開口され、点火プラグ室109Aの内壁および締結ボス112間に、第1点火プラグ66まわりに浸入した水を水抜き孔110A側に案内する案内壁113が設けられる。
【0068】
このような締結ボス112、水抜き孔110Cおよび案内壁113の配置によっても、シリンダヘッド22の大型化を回避することができ、第1点火プラグ66のまわりから点火プラグ室109Aに浸入した水を、締結ボス112が邪魔にならないように案内壁113で水抜き孔110A側に導くことができ、また締結ボス112の剛性を案内壁113によって増大することができる。
【0069】
さらに前記締結ボス112および案内壁113は、突出部22aの突出端すなわち吸気側締結面35側で点火プラグ室109Aの内面の下部に位置してカムシャフト34と平行な平坦面114を形成するものであり、締結ボルト115を螺合するねじ孔116が、吸気側締結面35および前記平坦面114間にわたって設けられる。
【0070】
したがって第1点火プラグ66のまわりから点火プラグ室109Aに浸入した水は、締結ボルト115の締結部が邪魔にならないように平坦面114で水抜き孔110A側に導くことができる。
【0071】
図12および図13を併せて参照して、シリンダヘッド22には、シリンダブロック21に設けられたブロック側水ジャケット119に通じるヘッド側水ジャケット118が設けられており、カムシャフト34の軸方向他端側でヘッド側水ジャケット118に通じるポート120は、管路121を介してヒータコア122に接続される。また前記カムシャフト34の軸方向他端側でシリンダヘッド22に設けられた装着凹部134(図3参照)にはサーモスタット126が装着されており、前記ヒータコア122は管路123を介してサーモスタット126に接続され、シリンダヘッド22内のヘッド側水ジャケット118もバイパス通路133を介してサーモスタット126に接続される。
【0072】
また前記ポート120には、管路125の一端が接続されており、中間部でスロットルボディ124等の補機に温水を供給した後の前記管路125は管路136に接続される。この管路136の一端は、サーモスタット126の出口側に連なってシリンダヘッド22に設けられるポート135に接続されるものであり、該管路136の他端はウォータポンプ131の吸入側に接続される。またシリンダヘッド22のヘッド側水ジャケット118からの冷却水の一部を導く管路132もウォータポンプ131の吸入側に接続される。而してウォータポンプ31の吐出側は、シリンダヘッド22のヘッド側水ジャケット118に接続される。
【0073】
またシリンダヘッド22には、シリンダブロック21のブロック側水ジャケット119に通じるポート127が設けられており、このポート127は管路128を介してラジエータ129の入口側に接続され、ラジエータ129の出口側は管路130を介してサーモスタット126に接続される。
【0074】
このような冷却水回路において、サーモスタット126は、エンジンの冷間時には管路136および管路130間を遮断するとともに、管路123およびバイパス通路133を管路136に連通させることになり、ウォータポンプ131からヘッド側水ジャケット118に供給された冷却水の大部分は、図12の実線矢印で示すようにヒータコア122や、スロットルボディ124等の補機に送られることになり、ラジエータ129に冷却水が供給されることはない。
【0075】
一方、サーモスタット126は、エンジンの熱間時にはバイパス通路133および管路130間を遮断するとともに、管路123,130を管路136に連通させることになり、ウォータポンプ131からヘッド側水ジャケット118に供給された冷却水は、図13の実線矢印で示すように、ヒータコア122や、スロットルボディ124等の補機に送られるとともに、ブロック側水ジャケット119に供給されることになり、ブロック側水ジャケット119からラジエータ129に送られることで放冷された冷却水がウォータポンプ131に吸入される。
【0076】
次にこの実施例の作用について説明すると、カムシャフト34に設けられた吸気側カム57に従動して吸気弁47を駆動する吸気側ロッカアーム59、ならびにカムシャフト34に設けられた排気側カム58に従動して排気弁48を駆動する排気側ロッカアーム60を共通に支承する単一のロッカシャフト55が、カムシャフト34の上方でシリンダヘッド22に固定配置され、第1点火プラグ66の挿脱をガイドする第1挿脱ガイド部68および吸気弁47がカムシャフト34の軸線に直交する平面への投影図上で少なくとも一部を重ねて配置され、第2点火プラグ67の挿脱をガイドする第2挿脱ガイド部69および排気弁48が前記平面への投影図上で少なくとも一部を重ねて配置されている。
【0077】
このため吸気弁47および第1挿脱ガイド部68と、排気弁48および第2挿脱ガイド部69とを、カムシャフト34側に寄せて配置することが可能となり、カムシャフト34の軸線に直交する方向でのシリンダヘッド22の幅を、一対のロッカシャフトを有する従来のSOHC型エンジンに比べて小さく設定することができる。
【0078】
また前記投影図上での吸気弁47および排気弁48の弁軸47a,48aの少なくとも一方とカムシャフト34との間の最短距離L1よりも、第1および第2挿脱ガイド部68,69の少なくとも一方とカムシャフト34との間の最短距離L2が小さく設定されるので、第1および第2挿脱ガイド部68,69の少なくとも一方をカムシャフト34側により近接させて配置するようにして、カムシャフト34の軸線に直交する方向でのシリンダヘッドの幅をより小さく設定することができ、この実施例のように、吸気弁47および排気弁48の弁軸47a,48aとカムシャフト34との間の最短距離L1よりも、第1および第2挿脱ガイド部68,69とカムシャフト34との間の最短距離L2が小さく設定されることにより、第1および第2挿脱ガイド部68,69を共にカムシャフト34側により近接させて配置するようにして、カムシャフト34の軸線に直交する方向でのシリンダヘッド22の幅を、より一層小さく設定することが可能となる。
【0079】
またシリンダヘッド22と一体である第1および第2挿脱ガイド部68,69の上端部が、動弁室26内に張出すように彎曲して形成されるので、第1および第2挿脱ガイド部68,69の上端のシリンダヘッド22側面から外方への張出し量を小さく抑えることができ、シリンダヘッド22のコンパクト化に寄与することができるとともに、シリンダヘッド22の側壁上端部の剛性を高めることができ、しかも第1および第2点火プラグ66,67の傾斜を小さく抑えて点火性を向上することができる。
【0080】
さらにシリンダヘッド22には、吸気ポート40に燃料を噴射する燃料噴射弁102を取付けるボス103が設けられているのであるが、EGRガスを導く第2のEGR通路101が、燃料噴射弁102の近傍でカムシャフト34の軸線と平行に延びるとともにボス103の一部を突入させてシリンダヘッド22に設けられており、第2のEGR通路101側でボス103の肉厚を確保しつつ燃料噴射弁102の近傍でシリンダヘッド22に第2のEGR通路101を設けることができ、ボス103の剛性を確保するとともに第2のEGR通路101を流通する高温のEGRガスによる悪影響が燃料噴射弁102に及ぶことを抑制して第2のEGR通路101を燃料噴射弁102の近傍に配置し、シリンダヘッド22のコンパクト化を図ることができる。
【0081】
またシリンダヘッド22に設けられる吸気ポート40の上流端中央部の位置P1と、排気ポート41の下流端中央部の位置POとが、カムシャフト34の軸線に沿う方向で同一に設定されており、多気筒エンジンの各気筒間の間隔を短く設定し得るようにし、カムシャフト34の軸線に沿う方向でシリンダヘッド22を小型化することができる。
【0082】
さらにシリンダヘッド22には、シリンダブロック21よりも外側方に突出する突出部22aが一体に設けられており、第1点火プラグ66の一部を臨ませて各燃焼室29A〜29Dに対応した点火プラグ室109A,109B,109C,109Dが、突出部22aに一部を配置するようにしてシリンダヘッド22に形成されており、点火プラグ室109A〜109Dの容積を比較的大きく設定してシリンダヘッド22の軽量化を図ることが可能である。
【0083】
しかも一端を点火プラグ室109A〜109Dの下部に開口するとともに他端を突出部22aの下部外面すなわちシリンダブロック21の外方でシリンダヘッド22の下部外面に開口する水抜き孔110A,110B,110C,110Dがシリンダヘッド22に設けられるので、長さを短くするとともに単純化した水抜き孔110A〜110Dにより、点火プラグ室109A〜109Dに浸入した水を確実に排出することができる。
【0084】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0085】
【発明の効果】
以上のように請求項1記載の発明によれば、吸気ポートの上流端中央部および排気ポートの下流端中央部が、カムシャフトの軸線に沿う方向で同一位置に在るので、各気筒間の間隔を短く設定し得るようにし、カムシャフトの軸線に沿う方向でシリンダヘッドを小型化することができる。また吸気ポートの上流端が同吸気ポートの下流端から、カムシャフトの軸線に沿う方向で一方側に偏倚して配置され且つ排気ポートの下流端が同排気ポートの上流端から、カムシャフトの軸線に沿う方向で他方側に偏倚して配置されることにより、吸気ポートの下流端の燃焼室への開口面積ならびに排気ポートの上流端の燃焼室への開口面積を極力大きく確保しつつ、燃焼室内でスワール流を生じさせて燃焼効率を向上することができる。
【0086】
また請求項2記載の発明によれば、排気ポートおよびEGR通路間の連通構造を単純化しつつ、吸気ポートを流通する空気にEGR通路からの熱による悪影響が及ぶことを抑制することができる。
【0087】
請求項3記載の発明によれば、吸気ポートを流通する空気にEGR弁からの熱による悪影響が及ぶことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】エンジンの上部縦断面図であって図3の1−1線に沿う断面図である。
【図2】エンジンの上部縦断面図であって図3の2−2線に沿う断面図である。
【図3】図2の3−3線に沿うシリンダヘッドの横断面図でる。
【図4】動弁室内の構成を示すための図1の4−4線に沿う平面図である。
【図5】図4の5矢視方向から見たシリンダヘッドの側面図である。
【図6】図5の6矢視方向から見たシリンダヘッドの底面図でる。
【図7】図3の7−7線に沿うシリンダヘッドの断面図である。
【図8】図1の8矢視平面図である。
【図9】ヘッドカバーの全体平面図である。
【図10】シリンダヘッドの吸気側締結面、ガスケットおよびプレート間でのEGRガスの流通を説明するための図である。
【図11】図5の11−11線断面図である。
【図12】エンジン冷間時の冷却水の流れを示す冷却水系統図である。
【図13】エンジン熱間時の冷却水の流れを示す冷却水系統図である。
【符号の説明】
22・・・シリンダヘッド
29A,29B,29C,29A・・・燃焼室
34・・・カムシャフト
40・・・吸気ポート
41・・・排気ポート
47・・・吸気弁
48・・・排気弁
66・・・第1点火プラグ
67・・・第2点火プラグ
94・・・EGR通路
99・・・EGR弁
Claims (3)
- カムシャフト(34)の軸線に沿って並ぶ吸気弁(47)および第1点火プラグ(66)と、前記カムシャフト(34)の軸線に沿って並ぶ排気弁(48)および第2点火プラグ(67)とが、各燃焼室(29A,29B,29C,29A)毎にシリンダヘッド(22)に配設され、
そのシリンダヘッド(22)には、燃焼室(29A〜29D)との間に吸気弁(47)を介在させて吸気ポート(40)が設けられるとともに、燃焼室(29A〜29D)との間に排気弁(48)を介在させて排気ポート(41)が設けられてなる多気筒エンジンにおいて、
第1点火プラグ(66)は、カムシャフト(34)の軸線と直交する方向で排気ポート(41)の上流端と並ぶように、また第2点火プラグ(67)は、カムシャフト(34)の軸線と直交する方向で吸気ポート(40)の下流端と並ぶようにそれぞれ配置され、
吸気ポート(40)の上流端が同吸気ポート(40)の下流端から、カムシャフト(34)の軸線に沿う方向で一方側に偏倚して配置され且つ排気ポート(41)の下流端が同排気ポート(41)の上流端から、カムシャフト(34)の軸線に沿う方向で他方側に偏倚して配置されていて、該吸気ポート(40)の上流端中央部の位置と該排気ポート(41)の下流端中央部の位置とが、カムシャフト(34)の軸線に沿う方向で同一に設定されることを特徴とする多気筒エンジン。 - 排気ポート(41)を流通する排気ガスの一部を導くEGR通路(94)が、前記カムシャフト(34)の軸線に沿う一端側でシリンダヘッド(22)に設けられ、排気ポート(41)をEGR通路(94)との間に挟む位置に第2点火プラグ(67)が配置され、吸気ポート(40)が、第1点火プラグ(66)を前記EGR通路(94)との間に挟む位置でシリンダヘッド(22)に設けられることを特徴とする、請求項1記載の多気筒エンジン。
- 前記吸気ポート(40)の上流端が開口する側のシリンダヘッド(22)の側壁に、EGRガスの流通を制御するEGR弁(99)が取付けられ、EGR弁(99)との間に第1点火プラグ(66)を挟む位置でシリンダヘッド(22)に吸気ポート(40)が設けられることを特徴とする、請求項1または2記載の多気筒エンジン。
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