JP3703263B2 - ポリオキシアルキレンポリオールの製造方法 - Google Patents

ポリオキシアルキレンポリオールの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリオキシアルキレンポリオールの製造方法に関する。詳しくは、特定の構造を有するホスファゼン化合物を触媒として、活性水素化合物にアルキレンオキサイドを付加重合した粗製ポリオキシアルキレンポリオールの精製操作を特定の条件で行った、過酸化物濃度、アセトアルデヒド含有量、およびプロピオンアルデヒド含有量の低い高品質のポリオキシアルキレンポリオールの製造方法に関する。ポリオキシアルキレンポリオールは、ポリウレタンフォーム、ポリウレタンエラストマー、塗料、シーリング材、接着剤、床材等のポリウレタン樹脂等の原料、または界面活性剤、作動油、潤滑油、化粧品、サニタリー用品、医薬品あるいはポリウレタン以外の合成樹脂の原料として広く用いられている。
【0002】
【従来の技術】
ポリオキシアルキレンポリオールは、アルカリ金属化合物である水酸化カリウム(以下、KOHと略する。)触媒存在下、活性水素化合物にアルキレンオキサイドを付加重合して工業的に製造されている。KOH触媒と重合開始剤である活性水素化合物を仕込んだ反応機にアルキレンオキサイドを連続的に装入しながら、反応温度105〜150℃、最大反応圧力5〜6kgf/cm2(490〜588kPa)の条件で、所定の分子量が得られるまで反応させ、粗製ポリオキシアルキレンポリオールを得る。次いで、粗製ポリオキシアルキレンポリオール中のカリウムアルコラートを無機酸等の酸で中和後、脱水、乾燥し、析出したカリウム塩の濾過による後処理精製工程を経て製造されている。
【0003】
ポリオキシアルキレンポリオールの生産性を高めるため、従来から種々の方法が検討されている。モノマーであるアルキレンオキサイドの反応速度を高めるため、反応時のアルキレンオキサイド濃度や、反応温度を高めたり、触媒の量を増やす方法が知られている。しかし、このような方法によると、アルキレンオキサイドとして最も広く使用されているプロピレンオキサイドを用いる場合、KOH触媒ではポリオキシアルキレンポリオールの分子量の増加と共に、分子末端に不飽和基(例えば、アリル基やプロペニル基が挙げられる。)を有するモノオールが副生することが知られている。このモノオールは、ポリウレタンフォーム、あるいはエラストマー、シーリング等の非発泡ポリウレタンの力学物性等を低下させる原因となる。
【0004】
ポリオキシアルキレンポリオールの品質を低下させる要因として、不飽和基を有したモノオールの他に、過酸化物(パーオキサイド化合物)やアルデヒド化合物(例えば、プロピオンアルデヒドやアセトアルデヒドが例示される。)の副生が挙げられる。ポリオキシアルキレンポリオールは、分子中に多数のエーテル基を有しているため、酸化防止剤を添加しないと酸化されやすく、ポリオール中に微量のアルデヒド成分や過酸化物が副生する。過酸化物は、軟質ポリウレタンフォーム製造時のスコーチ(こげ)の発生の原因となる。一方、微量のアルデヒド化合物はポリオキシアルキレンポリオールの臭気の原因となることが知られている。微量のアルデヒド成分や過酸化物は、主にポリオキシアルキレンポリオールの精製工程において生成しやすいため、これらの化合物の副生を抑制する製造方法が提案されてきた。
【0005】
更に、モノオールの副生を抑制し、しかも、ポリオキシアルキレンポリオールの高速生産が可能な触媒につき、従来より種々検討されている。本発明者らは、プロピレンオキサイドの重合活性が高く、且つ、エチレンオキサイド等の他のアルキレンオキサイドとの共重合が可能な触媒であるホスファゼン化合物を見出した(EP−0763555号公報)。更に、該公報には、ホスファゼン化合物は臭気を残留させない触媒であることが記載されている(2頁、33〜35行)。しかし、EP−0763555号公報で述べられている臭気とは、触媒に由来するアミン系成分の臭いを指している(2頁、30〜32行)。EP−0763555号公報には、本発明の目的としている過酸化物濃度が0.28mmol/kg以下で、アセトアルデヒドおよびプロピオンアルデヒド等のアルデヒド臭が少ない高品質のポリオキシアルキレンポリオールの製造方法について開示されていない。
【0006】
Macromol.Rapid Commun.17,143−148(1996)にはポリイミノホスファゼンベース(t−Bu−P4)を触媒としたエチ レンオキサイドの重合に関して報告されている。しかし、該文献にも、本発明の目的とする過酸化物濃度、アセトアルデヒド含有量およびプロピオンアルデヒド含有量が特定量以下の高品質のポリオキシアルキレンポリオールの製造方法に関する教示はない。
【0007】
特開昭62−267326号公報には、アルカリ性触媒の存在下に合成された粗製ポリエーテルに鉱酸を加えて中和後、抗酸化剤を添加し、次いで、リン酸類でpH5以下に調整し、生成した塩および過剰の酸を除去するポリエーテルの精製法が例示されている。該公報中には、抗酸化剤を添加しない場合には、精製したポリエーテルの過酸化物(POV)が高くなり、イソシアネートとの反応性を悪くさせることが記載されている(第3頁、左下欄17〜19行)。特開昭62−267326号公報の他に、ポリオキシアルキレンポリオールの精製法に関しては、活性水素含有化合物にアルキレンオキサイドをアルカリ触媒の存在下で付加させた後、未中和のままこれにアルミナゲルを加える方法(特公昭48−26391号公報)、アルカリ性触媒の存在下で合成された粗製ポリオキシアルキレンポリオールに、鉱酸を加えて中和後、吸着剤を用いて吸着精製するに際して、吸着剤としてナトリウム含量が0.5重量%以下の合成ケイ酸マグネシウムを使用する方法(特開平3−195728号公報)、あるいはアルカリ性触媒の存在下で合成された粗製ポリオキシアルキレンポリオールに、鉱酸を加えて中和後、吸着剤を用いて吸着精製するに際して、吸着剤を分割装入する方法(特開平4−185635号公報)等が挙げられる。しかし、これらの方法では、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属を触媒としているため、ポリオキシアルキレンポリオール中のモノオール副生量が多く(総不飽和度が高く)、本発明者らの目的を満たさない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ホスファゼン化合物を触媒として、アルキレンオキサイドの付加重合を行った際に、過酸化物濃度、アセトアルデヒド及びプロピオンアルデヒド等のアルデヒド含有量が特定量以下の高品質のポリオキシアルキレンポリオールの製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ホスファゼン化合物を触媒として、活性水素化合物にアルキレンオキサイドを付加重合した粗製ポリオキシアルキレンポリオールの精製操作を行う際に、中和反応を行った後、特定量の酸化防止剤を添加し、粗製ポリオキシアルキレンポリオールに不活性ガスを導入しながら、特定の条件下で減圧処理を行い、且つ、中和反応から減圧処理に至る工程の気相部の酸素濃度を5000ppm以下に維持することにより、過酸化物濃度、アセトアルデヒド及びプロピオンアルデヒド等のアルデヒド含有量を特定量以下に制御できることを見出し、本発明に到った。
【0010】
すなわち、本発明により、部分構造式(1)〔化3〕
【0011】
【化3】
Figure 0003703263
(式中、Qは、炭素原子数1〜20の炭化水素基を表す。)で表されるホスファゼン化合物を触媒として、活性水素化合物にアルキレンオキサイドを付加重合した粗製ポリオキシアルキレンポリオールの精製操作を行うに際し、粗製ポリオキシアルキレンポリオールに無機酸、無機酸酸性塩及び有機酸から選ばれた少なくとも1種の中和剤を添加して中和反応を行った後、粗製ポリオキシアルキレンポリオールに対して酸化防止剤100〜4000ppmを添加し、更に、粗製ポリオキシアルキレンポリオールに不活性ガスを導入しながら、70〜160℃、300mmHgabs.(39.9kPa)以下の条件下で減圧処理を行い、且つ、中和反応から減圧処理に至る工程の気相部の酸素濃度を5000ppm以下に維持し、ポリオキシアルキレンポリオール中の過酸化物濃度を0.28mmol/kg以下、アセトアルデヒド含有量を2ppm以下、及びプロピオンアルデヒド含有量を6ppm以下に制御することを特徴とするポリオキシアルキレンポリオールの製造方法が提供される。
【0012】
上記ポリオキシアルキレンポリオールの製造方法における好ましい態様は、ホスファゼン化合物として化学式(2)〔化4〕
【0013】
【化4】
Figure 0003703263
〔化学式(2)中、l、mおよびnは、それぞれ0〜3の正の整数を表す。Dは同種または異種の炭素数1〜20の炭化水素基、アルコキシ基、フェノキシ基、チオフェノール残基、一置換アミノ基、二置換アミノ基または5乃至6員環の環状アミノ基である。Qは、炭素原子数1〜20の炭化水素基である。さらには、同一リン原子上の、もしくは異なる二個のリン原子上の二個のDが互いに結合し、またDとQとが互いに結合して、それぞれ環構造を形成することもできる。〕で表される化合物を用いる方法である。
【0014】
また、前記製造方法において、酸化防止剤を装入した後、粗製ポリオキシアルキレンポリオール100重量部に対して、0.05〜1.5重量部の吸着剤を添加する方法が挙げられる。さらに、該吸着剤として、合成ケイ酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、合成ケイ酸アルミニウム・マグネシウム、活性白土、ゼオライト、酸性白土等を用いる方法が挙げられる。これらの吸着剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0015】
ホスファゼン化合物を触媒として、活性水素化合物にアルキレンオキサイドを付加重合した粗製ポリオキシアルキレンポリオールの精製操作を行うに際して、上記各条件を組み合わせて採用することにより、過酸化物濃度が0.28mmol/kg以下、アセトアルデヒド含有量が2ppm以下、及びプロピオンアルデヒド含有量が6ppm以下である、高品質のポリオキシアルキレンポリオールが得られるのである。
【0016】
アルデヒド含有量を特定量以下に制御することにより、ポリオキシアルキレンポリオールの臭気が低減される。また、前述した条件で精製を行ったポリオキシアルキレンポリオールの60℃、7日間後の酸価は、精製直後の値とほぼ同じであり、貯蔵安定性に優れている。更に、過酸化物濃度を0.28mmol/kg以下に制御したポリオキシアルキレンポリオールは、ライズタイムが短く、内部にひび割れ等のない品質の安定した軟質ポリウレタンフォームを与える他、硬度、伸び、反発弾性等の力学物性に優れた軟質ポリウレタンフォームを提供し得る優れたポリオキシアルキレンポリオールである。
【0017】
従って、本発明の製造方法で得られたポリオキシアルキレンポリオールは、ポリウレタンフォーム、ポリウレタンエラストマー、塗料、シーリング材、接着剤、床材等のポリウレタン樹脂の原料、及び界面活性剤、作動油、潤滑油、化粧品、サニタリー用品、医薬品あるいはポリウレタン以外の合成樹脂の原料として広く使用できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明における部分構造式(1)および化学式(2)で表されるホスファゼン化合物は強い塩基性を有していることはよく知られている。部分構造式(1)および化学式(2)中のQや化学式(2)中のDは、本発明の反応を阻害しなければ如何なる置換基を含んでいてもよい。
【0019】
まず、本発明で用いるホスファゼン化合物について説明する。部分構造式(1)および化学式(2)中のQの炭素原子数1〜20の炭化水素基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、tert−オクチル、ノニルまたはデシル等のアルキル基、アリル、2−メチルアリル、ベンジル、フェネチル、o−アニシル、1−フェニルエチル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチルまたはシンナミル等の不飽和結合もしくは芳香族基を有するアルキル基、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、3−プロピルシクロヘキシル、4−フェニルシクロヘキシル、シクロヘプチルまたは1−シクロヘキセニル等の脂環族基、ビニル、スチリル、プロペニル、イソプロペニル、2−メチル−1−プロペニルまたは1,3−ブタジエニル等のアルケニル基、エチニルまたは2−プロピニル等のアルキニル基、フェニル、o−トリル、m−トリル、p−トリル、2,3−キシリル、2,4−キシリル、3,4−キシリル、メシチル、o−クメニル、m−クメニル、p−クメニル、1−ナフチル、2−ナフチルまたはp−メトキシフェニル等の芳香族基が挙げられる。
【0020】
化学式(2)中のDの炭素原子数1〜20の炭化水素基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、tert−オクチル、ノニルまたはデシル等のアルキル基、アリル、2−メチルアリル、ベンジル、フェネチル、o−アニシル、1−フェニルエチル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチルまたはシンナミル等の不飽和結合もしくは芳香族基を有するアルキル基、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、3−プロピルシクロヘキシル、4−フェニルシクロヘキシル、シクロヘプチルまたは1−シクロヘキセニル等の脂環族基、ビニル、スチリル、プロペニル、イソプロペニル、2−メチル−1−プロペニルまたは1,3−ブタジエニル等のアルケニル基、エチニルまたは2−プロピニル等のアルキニル基、フェニル、o−トリル、m−トリル、p−トリル、2,3−キシリル、2,4−キシリル、3,4−キシリル、メシチル、o−クメニル、m−クメニル、p−クメニル、1−ナフチル、2−ナフチルまたはp−メトキシフェニル等の芳香族基が挙げられる。
【0021】
Dのアルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、アリルオキシ、シクロヘキシルオキシまたはベンジルオキシ等の炭素数1〜20を含むアルコキシ基、Dのフェノキシ基としては、例えば、フェノキシ、4−メチルフェノキシ、3−プロピルフェノキシまたは1−ナフチルオキシ等の炭素数6〜20を含むフェノキシ基、Dのチオール残基としては、例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、イソブチルチオ、tert−ブチルチオ、ペンチルチオ、ヘキシルチオ、ヘプチルチオ、オクチルチオ、tert−オクチルチオ、ノニルチオまたはデシルチオ等の炭素数1〜20を含むチオール残基が挙げられる。
【0022】
Dのチオフェノール残基としては、例えば、フェニルチオ、o−トルイルチオ、m−トルイルチオ、p−トルイルチオ、2,3−キシリルチオ、2,4−キシリルチオ、3,4−キシリルチオ、4−エチルフェニルチオまたは2−ナフチルチオ等の炭素数6〜20を含むチオフェノール残基、Dの一置換アミノ基としては、例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、ブチルアミノ、イソブチルアミノ、tert−ブチルアミノ、ペンチルアミノ、ヘキシルアミノ、ヘプチルアミノ、オクチルアミノ、tert−オクチルアミノ、ノニルアミノ、デシルアミノ、1−エチルプロピルアミノ、1−エチルブチルアミノ、アニリノ、o−トルイルアミノ、m−トルイルアミノ、p−トルイルアミノ、2,3−キシリノアミノ、2,4−キシリノアミノまたは3,4−キシリノアミノ等の炭素数1〜20を含む一置換アミノ基が挙げられる。
【0023】
Dの二置換アミノ基としては、例えばジメチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルエチルアミノ、ジプロピルアミノ、メチルプロピルアミノ、ジイソプロピルアミノ、ジブチルアミノ、メチルブチルアミノ、ジイソブチルアミノ、ジ−sec−ブチルアミノ、ジペンチルアミノ、ジヘキシルアミノ、エチルヘキシルアミノ、ジヘプチルアミノ、ジオクチルアミノ、ジ−tert−オクチルアミノ、エチル−tert−オクチルアミノ、ジノニルアミノ、ジデシルアミノ、ジフェニルアミノ、メチルフェニルアミノ、エチルフェニルアミノ、ジ−o−トルイルアミノ、ジ−2,3−キシリルアミノまたはフェニルトルイルアミノ等の同種もしくは異種の炭素数1ないし20の炭化水素基が二置換したアミノ基、1−ピロリジニル、3−メチル−1−ピロリジニル、1−ピロリル、3−エチル−1−ピロリル、1−インドリル、1−ピペリジル、3−メチル−1−ピペリジル、1−ピペラジニル、4−メチル−1−ピペラジニル、1−イミダゾリジニルまたは4−モルホリニル等の5ないし6員環の環状アミノ基が挙げられる。
【0024】
同一りん原子上のまたは異なる二個のりん原子上の二個のDの全てまたは一部が互いに結合して環構造を形成している場合、りん原子上の二価の基(D−D)としては、エチレン、ビニレン、プロピレン、1,2−シクロヘキサニレン、1,2−フェニレン、トリメチレン、プロペニレン、テトラメチレン、2,2’−ビフェニレン、1−ブテニレン、2−ブテニレンまたはペンタメチレン等の飽和もしくは不飽和の脂肪族の二価の炭化水素基で挙げられる。
【0025】
さらには、該二価の基の両端とりん原子間の結合の一方または両方に、酸素原子、硫黄原子、および、水素原子またはメチル基、エチル基、ブチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、またはフェニル基等の脂肪族や芳香族炭化水素基が結合した窒素原子からなる群のうちの任意の一個または二個が挿入した形の二価の基が挙げられる。
【0026】
それらの二価の基の具体例としては、例えば、メチレンオキシ、エチレン−2−オキシ、トリメチレン−3−オキシ、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、トリメチレン−1,3−ジオキシ、シクロヘキサン−1,2−ジオキシ、ベンゼン−1,2−ジオキシ、メチレンチオ、エチレン−2−チオ、トリメチレン−3−チオ、テトラメチレン−4−チオ、メチレンジチオ、エチレンジチオ、トリメチレン−1,3−ジチオ、イミノメチレン、2−イミノエチレン、3−イミノトリメチレン、4−イミノテトラメチレン、N−エチルイミノメチレン、N−シクロヘキシル−2−イミノエチレン、N−メチル−3−イミノトリメチレン、N−ベンジル−4−イミノテトラメチレン、ジイミノメチレン、1,2−ジイミノエチレン、1,2−ジイミノビニレン、1,3−ジイミノトリメチレン、N,N’−ジメチルジイミノメチレン、N,N’−ジフェニル−1,2−ジイミノエチレン、N,N’−ジメチル−1,2−ジイミノエチレン、N−メチル−N’−エチル−1,3−ジイミノトリメチレン、N,N’−ジエチル−1,4−ジイミノテトラメチレンまたはN−メチル−1,3−ジイミノトリメチレン等の基が挙げられる。
【0027】
また、DとQの全てまたは一部が互いに結合して環構造を形成している場合の、窒素原子およびりん原子を繋ぐ二価の基(D−Q)としては、上記に示したりん原子上の二価の基と同一の飽和もしくは不飽和の脂肪族の二価の炭化水素基が挙げられる。さらには、該二価の炭化水素基とりん原子間の結合に、酸素原子、硫黄原子、および、水素原子またはメチル基、エチル基、ブチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、またはフェニル基などの脂肪族や芳香族炭化水素基が結合した窒素原子からなる群のうちの任意の一個が挿入した形の二価の基が挙げられる。
【0028】
それらの二価の基の具体例としては、例えば、メチレンオキシ、エチレン−2−オキシ、メチレンチオ、エチレン−2−チオ、イミノメチレン、2−イミノエチレン、N−メチルイミノメチレン、N−エチル−2−イミノエチレン、N−メチル−3−イミノトリメチレンまたはN−フェニル−2−イミノエチレン等の基が挙げられる。
【0029】
化学式(2)で表される構造を持つホスファゼン化合物の具体例を挙げると、Dが同種または異種のアルキル基である場合の例としては、例えば、1−tert−ブチル−2,2,2−トリメチルホスファゼンまたは1−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−2,2,4,4,4−ペンタイソプロピル−2λ5 ,4λ5 −カテナジ(ホスファゼン)等が挙げられる。Dが不飽和結合もしくは芳香族基を有するアルキル基である場合の例としては、例えば、1−tert−ブチル−2,2,2−トリアリルホスファゼン、1−シクロヘキシル−2,2,4,4,4−ペンタアリル−2λ5 ,4λ5 −カテナジ(ホスファゼン)または1−エチル−2,4,4,4−トリベンジル−2−トリベンジルホスフォラニリデンアミノ−2λ5 ,4λ5 −カテナジ(ホスファゼン)等が挙げられる。
【0030】
Dが脂環族基である場合の例としては、例えば、1−メチル−2,2,2−トリシクロペンチルホスファゼンまたは1−プロピル−2,2,4,4,4−シクロヘキシル−2λ5 ,4λ5 −カテナジ(ホスファゼン)等が挙げられる。Dがアルケニル基である場合の例としては例えば、1−ブチル−2,2,2−トリビニルホスファゼンまたは1−tert−ブチル−2,2,4,4,4−ペンタスチリル−2λ5 ,4λ5 −カテナジ(ホスファゼン)等が挙げられる。
【0031】
Dがアルキニル基である場合の例としては例えば、1−tert−ブチル−2,2,2−トリ(2−フェニルエチニル)ホスファゼン等が挙げられ、Dが芳香族基である場合の例としては例えば、1−イソプロピル−2,4,4,4−テトラフェニル−2−トリフェニルホスフォラニリデンアミノ−2λ5 ,4λ5 −カテナジ(ホスファゼン)等が挙げられる。
【0032】
Dがアルコキシ基である場合の例としては、例えば、1−tert−ブチル−2,2,2−トリメトキシホスファゼン、1−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−2,2,4,4,4−ペンタイソプロポキシ−2λ5 ,4λ5 −カテナジ(ホスファゼン)または1−フェニル−2,2,4,4,4−ペンタベンジルオキシ−2λ5 ,4λ5 −カテナジ(ホスファゼン)等が挙げられる。Dがフェノキシ基である場合の例としては、例えば、1−メチル−2,2,2−トリフェノキシホスファゼンまたは1−tert−ブチル−2,2,4,4,4−ペンタ(1−ナフチルオキシ)−2λ5 ,4λ5 −カテナジ(ホスファゼン)等が挙げられる。
【0033】
Dがチオール残基である場合の例としては、例えば、1−tert−ブチル−2,2,2−トリメチルチオホスファゼンまたは1−メチル−2,4,4,4−テトライソプロピルチオ−2−トリイソプロピルチオホスフォラニリデンアミノ−2λ5 ,4λ5 −カテナジ(ホスファゼン)等が挙げられる。Dがチオフェノール残基である場合の例としては例えば、1−アリル−4,4,4−トリフェニルチオ−2,2−ビス(トリフェニルチオホスフォラニリデンアミノ)−2λ5 ,4λ5 −カテナジ(ホスファゼン)等が挙げられる。
【0034】
Dが一置換アミノ基である場合の例としては、例えば、1−tert−ブチル−2,2,2−トリ(メチルアミノ)ホスファゼン、1−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−2,2,4,4,4−ペンタ(イソプロピルアミノ)−2λ5 ,4λ5 −カテナジ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−2,4,4,4−テトラ(メチルアミノ)−2−トリ(メチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ−2λ5 ,4λ5 −カテナジ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−2,4,4,4−テトラ(イソプロピルアミノ)−2−トリ(イソプロピルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ−2λ5 ,4λ5 −カテナジ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−2,4,4,4−テトラ(tert−ブチルアミノ)−2−トリ(tert−ブチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ−2λ5,4λ5 −カテナジ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−2,4,4,4−テトラ(アリルアミノ)−2−トリ(アリルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ−2λ5 ,4λ5 −カテナジ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−4,4,4−トリ(メチルアミノ)−2,2−ビス〔トリ(メチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ〕−2λ5 ,4λ5 −カテナジ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−4,4,4−トリ(イソプロピルアミノ)−2,2−ビス〔トリ(イソプロピルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ〕−2λ5 ,4λ5 −カテナジ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−4,4,4−トリ(tert−ブチルアミノ)−2,2−ビス〔トリ(tert−ブチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ〕−2λ5 ,4λ5 −カテナジ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−4,4,6,6,6−ペンタ(メチルアミノ)−2,2−ビス〔トリ(メチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ〕−2λ5 ,4λ5 ,6λ5 −カテナトリ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−4,4,6,6,6−ペンタ(イソプロピルアミノ)−2,2−ビス〔トリ(イソプロピルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ〕−2λ5 ,4λ5 ,6λ5 −カテナトリ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−4,4,6,6,6−ペンタ(tert−ブチルアミノ)−2,2−ビス〔トリ(tert−ブチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ〕−2λ5 ,4λ5 ,6λ5 −カテナトリ(ホスファゼン)または1−tert−ブチル−4,4,6,6,6−ペンタ(メチルアミノ)−2−〔2,2,2−トリ(メチルアミノ)ホスファゼン−1−イル〕−2−〔2,2,4,4,4−ペンタ(メチルアミノ)−2λ5 ,4λ5 −カテナジ(ホスファゼン)−1−イル〕−2λ5 ,4λ5 ,6λ5 −カテナトリ(ホスファゼン)等が挙げられる。
【0035】
Dが二置換アミノ基である場合の例としては、例えば、1−tert−ブチル−2,2,2−トリス(ジメチルアミノ)ホスファゼン、1−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−2,2,2−トリス(ジメチルアミノ)ホスファゼン、1−エチル−2,2,4,4,4−ペンタキス(ジメチルアミノ)−2λ5 ,4λ5 −カテナジ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−2,4,4,4−テトラキス(ジメチルアミノ)−2−トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ−2λ5 ,4λ5 −カテナジ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−2,4,4,4−テトラキス(ジイソプロピルアミノ)−2−トリス(ジイソプロピルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ−2λ5 ,4λ5 −カテナジ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−2,4,4,4−テトラキス(ジ−n−ブチルアミノ)−2−トリス(ジ−n−ブチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ−2λ5 ,4λ5 −カテナジ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−4,4,4−トリス(ジメチルアミノ)−2,2−ビス〔トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ〕−2λ5 ,4λ5 −カテナジ(ホスファゼン)、1−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−4,4,4−トリス(ジメチルアミノ)−2,2−ビス〔トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ〕−2λ5 ,4λ5 −カテナジ(ホスファゼン)、1−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−4,4,4−トリス(メチルエチルアミノ)−2,2−ビス〔トリス(メチルエチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ〕−2λ5 ,4λ5 −カテナジ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−4,4,4−トリス(ジエチルアミノ)−2,2−ビス〔トリス(ジエチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ〕−2λ5 ,4λ5 −カテナジ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−4,4,4−トリス(ジイソプロピルアミノ)−2,2−ビス〔トリス(ジイソプロピルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ〕−2λ5 ,4λ5 −カテナジ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−4,4,4−トリス(ジ−n−ブチルアミノ)−2,2−ビス〔トリス(ジ−n−ブチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ〕−2λ5 ,4λ5 −カテナジ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−4,4,6,6,6−ペンタキス(ジメチルアミノ)−2,2−ビス〔トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ〕−2λ5 ,4λ5 ,6λ5 −カテナトリ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−4,4,6,6,6−ペンタキス(ジエチルアミノ)−2,2−ビス〔トリス(ジエチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ〕−2λ5 ,4λ5 ,6λ5 −カテナトリ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−4,4,6,6,6−ペンタキス(ジイソプロピルアミノ)−2,2−ビス〔トリス(ジイソプロピルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ〕−2λ5 ,4λ5 ,6λ5 −カテナトリ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−4,4,6,6,6−ペンタキス(ジ−n−ブチルアミノ)−2,2−ビス〔トリス(ジ−n−ブチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ〕−2λ5 ,4λ5 ,6λ5 −カテナトリ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−4,4,6,6,6−ペンタキス(ジメチルアミノ)−2−〔2,2,2−トリス(ジメチルアミノ)ホスファゼン−1−イル〕−2−〔2,2,4,4,4−ペンタキス(ジメチルアミノ)−2λ5 ,4λ5 −カテナジ(ホスファゼン)−1−イル〕−2λ5 ,4λ5 ,6λ5 −カテナトリ(ホスファゼン)または1−フェニル−2,2−ビス(ジメチルアミノ)−4,4−ジメトキシ−4−フェニルアミノ−2λ5 ,4λ5 −カテナジ(ホスファゼン)等が挙げられる。
【0036】
Dが5ないし6員環の環状アミノ基である場合の例としては、例えば、1−tert−ブチル−2,2,2−トリ(1−ピロリジニル)ホスファゼン、1−tert−ブチル−2,2,4,4,4−ペンタ(1−ピロリジニル)−2λ5 ,4λ5 −カテナジ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−2,2,4,4,4−ペンタ(4−モルホリニル)−2λ5 ,4λ5 −カテナジ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−2,2,4,4,4−ペンタ(1−ピペリジニル)−2λ5 ,4λ5 −カテナジ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−2,2,4,4,4−ペンタ(4−メチル−1−ピペリジニル)−2λ5 ,4λ5 −カテナジ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−2,2,4,4,4−ペンタ(1−イミダゾリル)−2λ5 ,4λ5 −カテナジ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−2,4,4,4−テトラ(1−ピロリジニル)−2−トリ(1−ピロリジニル)ホスフォラニリデンアミノ−2λ5 ,4λ5 −カテナジ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−2,4,4,4−テトラ(1−ピペリジニル)−2−トリ(1−ピペリジニル)ホスフォラニリデンアミノ−2λ5 ,4λ5 −カテナジ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−2,4,4,4−テトラ(4−モルホリニル)−2−トリ(4−モルホリニル)ホスフォラニリデンアミノ−2λ5 ,4λ5 −カテナジ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−2,4,4,4−テトラ(4−メチル−1−ピペラジニル)−2−トリ(4−メチル−1−ピペラジニル)ホスフォラニリデンアミノ−2λ5 ,4λ5 −カテナジ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−2,4,4,4−テトラ(1−イミダゾリル)−2−トリ(1−イミダゾリル)ホスフォラニリデンアミノ−2λ5 ,4λ5 −カテナジ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−4,4,4−トリ(1−ピロリジニル)−2,2−ビス〔トリ(1−ピロリジニル)ホスフォラニリデンアミノ〕−2λ5 ,4λ5 −カテナジ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−4,4,4−トリ(4−モルホリニル)−2,2−ビス〔トリ(4−モルホリニル)ホスフォラニリデンアミノ〕−2λ5 ,4λ5 −カテナジ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−4,4,4−トリ(1−ピペリジニル)−2,2−ビス〔トリ(1−ピペリジニル)ホスフォラニリデンアミノ〕−2λ5 ,4λ5 −カテナジ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−4,4,4−トリ(4−メチル−1−ピペラジニル)−2,2−ビス〔トリ(4−メチル−1−ピペラジニル)ホスフォラニリデンアミノ〕−2λ5 ,4λ5 −カテナジ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−4,4,4−トリ(1−イミダゾリル)−2,2−ビス〔トリ(1−イミダゾリル)ホスフォラニリデンアミノ〕−2λ5 ,4λ5 −カテナジ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−4,4,6,6,6−ペンタ(1−ピロリジニル)−2,2−ビス〔トリ(1−ピロリジニル)ホスフォラニリデンアミノ〕−2λ5 ,4λ5 ,6λ5 −カテナトリ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−4,4,6,6,6−ペンタ(1−ピペリジニル)−2,2−ビス〔トリ(1−ピペリジニル)ホスフォラニリデンアミノ〕−2λ5 ,4λ5 ,6λ5 −カテナトリ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−4,4,6,6,6−ペンタ(4−モルホリニル)−2,2−ビス〔トリ(4−モルホリニル)ホスフォラニリデンアミノ〕−2λ5 ,4λ5 ,6λ5 −カテナトリ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−4,4,6,6,6−ペンタ(4−メチル−1−ピペラジニル)−2,2−ビス〔トリ(4−メチル−1−ピペラジニル)ホスフォラニリデンアミノ〕−2λ5 ,4λ5 ,6λ5 −カテナトリ(ホスファゼン)または1−tert−ブチル−4,4,6,6,6−ペンタ(1−ピロリジニル)−2−〔2,2,4,4,4−ペンタ(1−ピロリジニル)−2λ5 ,4λ5 −カテナジ(ホスファゼン)−1−イル〕−2−〔2,2,2−トリ(1−ピロリジニル)ホスファゼン−1−イル〕−2λ5 ,4λ5 ,6λ5 −カテナトリ(ホスファゼン)等が挙げられる。
【0037】
さらに、同一りん原子上のまたは異なる二個のりん原子上のDが互いに結合して環構造を形成している場合の例としては、例えば、2−(tert−ブチルイミノ)−2−ジメチルアミノ−1,3−ジメチル−1,3−ジアザ−2λ5 −ホスフィナン等が挙げられる。
【0038】
また、DとQとが互いに結合して環構造を形成している場合の例としては、例えば、5,7,11−トリメチル−1,5,7,11−テトラアザ−6λ5 −ホスファスピロ〔5,5〕ウンデカ−1(6)−エン、7−エチル−5,11−ジメチル−1,5,7,11−テトラアザ−6λ5 −ホスファスピロ〔5.5〕ウンデカ−1(6)−エン、6,8,13,−トリメチル−1,6,8,13−テトラアザ−7λ5 −ホスファスピロ〔6,6〕トリデカ−1(7)−エン、7−メチル−1,7−ジアザ−5,11−ジオキサ−6λ5 −ホスファスピロ〔5,5〕ウンデカ−1(6)−エン、7−メチル−1,7−ジアザ−5−オキサ−11−チア−6λ5 −ホスファスピロ〔5,5〕ウンデカ−1(6)−エン、1−tert−ブチルイミノ−1−ジメチルアミノ−1,3−ジホスファー2−アザ−3,3−ジメチル−2−シクロヘキセン、6λ5 −ホスファスピロ−〔5,5〕ウンデカ−1(6)−エンまたは1−ジメチルアミノ−1−(2−ジメチルアミノ−2,2−トリメチレンジアミノホスファゼン−1−イル)−1λ5 −ホスファー2,6−ジアザ−1−シクロヘキセン等が挙げられる。
【0039】
こららのホスファゼン化合物の合成法は、エイチ、アール、アールコック著「ホスフォラス−ナイトロジェン コンパウンド」アカデミック プレス出版、1972年(H.R.Allcock,Phosphorus−NitrogenCompounds,Academic Press 1972)またはラインハルド シュベジンガー「ナヒリテン ヘミー テクニック ラボラトリウム」38巻10号1214〜1226頁1990年〔Reinhard Schwesinger,Nachr.Chem.Tec.Lab.,38(1990),Nr.10,1214−1226〕およびラインハルド シュベジンガー他、「ヘミッシュ ベリヒテ」127巻2435〜2454頁1994年(Reinhard Schwesinger,Chem.Ber.,1994,127,2435−2454)などに詳しく記載されている。
【0040】
例えば、1−tert−ブチル−2,2,2−トリアリルホスファゼンは、上記エイチ、アール、アールコック著書114頁に示されているように、エーテル中、トリアリルホスフィンとtert−ブチルアジドを反応させることにより容易に合成でき、例えば、1−フェニル−2,2−ビス(ジメチルアミノ)−4,4−ジメトキシ−4−フェニルアミノ−2λ5 ,4λ5 −カテナジ(ホスファゼン)は同書の115頁に示されているように、ビス(ジメチルアミノ)クロロホスフィンとフェニルアジドを反応させ、次いで、トリエチルアンモニウムアジドと反応させて得られる1−フェニル−2−アジド−2,2−ビス(ジメチルアミノ)ホスファゼンを、さらにジメトキシフェニルアミノホスフィンと反応させることによって合成できる。
【0041】
本発明における化学式(2)で表されるホスファゼン化合物中のl、mおよびnはそれぞれ0〜3の正の整数を示す。好ましくは0〜2の正の整数である。より好ましくはl、mおよびnがその順序に関わらず、(2、1、1)、(1、1、1)、(1、1、0)、(1、0、0)または(0、0、0)から選ばれる組み合わせの中の数である。
【0042】
化学式(2)で表されるホスファゼン化合物中のDが、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20を含むアルコキシ基、炭素数6〜20を含むフェノキシ基、炭素数1〜20を含む一置換アミノ基、同種もしくは異種の炭素数1〜20の炭化水素基が二置換したアミノ基および5ないし6員環環状アミノ基よりなる群からから選ばれる同種または異種の基であるものが好ましく、なかでも、Dが、例えばジメチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルエチルアミノ、ジプロピルアミノ、メチルプロピルアミノ、ジイソプロピルアミノ、ジブチルアミノ、メチルブチルアミノ、ジイソブチルアミノ、ジ−sec−ブチルアミノ等の同種もしくは異種の炭素数1〜6のアルキル基が二置換したアミノ基、および、例えば1−ピロリジニル、1−ピロリル、1−ピペリジル、1−ピペラジニルまたは4−モルホリニル等の5ないし6員環環状アミノ基から選ばれる同種または異種の置換基であるものがより好ましい。Dが、ジメチルアミノ、メチルエチルアミノまたはジエチルアミノから選ばれる二置換アミノ基であるものが更に好ましい。部分構造式(1)および化学式(2)中のQは、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、tert−オクチル、ノニルまたはデシル等の炭素数1〜10のアルキル基が好ましい。
【0043】
また、化学式(2)中の同一りん原子上のもしくは、異なる二個のりん原子上の二個のDが互いに結合して環構造を形成している場合の、りん原子上の二価の基(D−D)としては、好ましくは、1,2−ジイミノエチレン、1,3−ジイミノトリメチレンまたは1,4−ジイミノテトラメチレンの二個の窒素原子にメチル基またはエチル基が一個ずつ置換した二価のN,N’−メチルまたはエチル−α,ω−ジイミノアルキレン基である。
【0044】
さらに、化学式(2)中のDとQとが互いに結合して環構造を形成している場合の、窒素原子およびりん原子を繋ぐ二価の基(D−Q)としては、好ましくは、イミノメチレン、2−イミノエチレンまたは3−イミノトリメチレンの窒素原子にメチル基またはエチル基が置換した二価のN−メチルまたはエチル−ω−イミノアルキレン基である。これらのホスファゼン化合物として、好ましくは、1−tert−ブチル−2,2,2−トリス(ジメチルアミノ)ホスファゼン、1−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−2,2,2−トリス(ジメチルアミノ)ホスファゼン、1−エチル−2,2,4,4,4−ペンタキス(ジメチルアミノ)−2λ5 ,4λ5 −カテナジ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−4,4,4−トリス(ジメチルアミノ)−2,2−ビス〔トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ〕−2λ5 ,4λ5 −カテナジ(ホスファゼン)、1−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−4,4,4−トリス(ジメチルアミノ)−2,2−ビス〔トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ〕−2λ5 ,4λ5 −カテナジ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−2,2,2−トリ(1−ピロリジニル)ホスファゼン、7−エチル−5,11−ジメチル−1,5,7,11−テトラアザ−6λ5 −ホスファスピロ〔5.5〕ウンデカ−1(6)−エンである。
【0045】
本発明の方法においては、これらのホスファゼン化合物を単独で、もしくは2種以上を併用しても構わない。
前述したホスファゼン化合物を触媒として、ポリオキシアルキレンポリオールの製造を行う。部分構造式(1)および化学式(2)で表されるホスファゼン化合物とともに共存させる活性水素化合物としては、アルコール類、フェノール化合物、ポリアミン類、アルカノールアミン類などがある。例えば、メタノール、エタノール、ブタノール類等の1価アルコール類、水、およびエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール等の2価アルコール類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール等の多価アルコール類、グルコース、ソルビトール、デキストロース、フラクトース、蔗糖、α−メチルグルコシド、α−ヒドロキシエチルグルコシド等の糖類またはその誘導体、エチレンジアミン、ジ(2−アミノエチル)アミン、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪酸アミン類、トルイレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン等の芳香族アミン類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ノボラック、レゾール、ヒドロキノン、レゾルシン、カテコール等のフェノール化合物等が挙げられる。これらの活性水素化合物は2種以上併用して使用することもできる。さらにこれらの活性水素化合物に従来公知の方法でアルキレンオキサイドを活性水素基1当量あたり約2〜8当量付加重合して得られる化合物も使用できる。
【0046】
部分構造式(1)および化学式(2)で表されるホスファゼン化合物と活性水素化合物との接触を効果的にするために溶媒を用いても構わない。それらの溶媒としては、アルキレンオキサイド付加重合反応を阻害しなければいかなる溶媒でも構わないが、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエンまたはキシレン等の脂肪族または芳香族の炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、ブロモホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、オルトジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、酢酸エチル、プロピオン酸メチルまたは安息香酸メチル等のエステル類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテルまたはトリエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、アセトニトリルまたはプロピオニトリル等のニトリル類、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ヘキサメチルリン酸トリアミドまたは1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の極性非プロトン溶媒等が挙げられる。
【0047】
これらの溶媒は、反応に用いる原料の化学的安定性に応じて選ばれる。好ましくは、n−ヘキサン、n−ヘプタン、ベンゼン、トルエンまたはキシレン等の脂肪族または芳香族炭化水素類であり、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンまたはエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類であり、アセトニトリル等のニトリル類である。溶媒は、単独でも2種以上混合して使用しても良い。原料が溶解していることが好ましいが、懸濁状態でも構わない。
【0048】
温度は用いる活性水素化合物およびホスファゼン化合物の種類、量および濃度等により一様ではないが、通常150℃以下であり、好ましくは0〜150℃、より好ましくは10〜110℃の範囲である。反応圧力は減圧、常圧および加圧の何れでも実施できるが、好ましくは0.1〜10kgf/cm2(絶対圧、以 下同様 9.8〜980kPa)であり、より好ましくは1〜3kgf/cm2 (98〜294kPa)の範囲である。反応時間は、通常1分〜24時間の範囲であり、好ましくは1分〜10時間、より好ましくは5分〜6時間である。
【0049】
ホスファゼン化合物の存在下、活性水素化合物へ付加重合させるアルキレンオキサイドとしては、プロピレンオキサイド、エチレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、メチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、トリフルオロプロピレンオキサイド等が挙げられる。これらは単独、もしくは2種以上併用してもよい。これらのうち、好ましくはプロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、エチレンオキサイドである。
【0050】
ホスファゼン化合物存在下、活性水素化合物へアルキレンオキサイドを付加重合させたポリオキシアルキレンポリオールは、下記の条件を満たすことが好ましい。
a.水酸基価(OHV)が2〜200mgKOH/gの範囲である。
b.ポリオキシアルキレンポリオール中の総不飽和度(C=C)が0.0001〜0.07meq./gである。
c.プロピレンオキサイド付加重合によるポリオキシアルキレンポリオールのヘッド−トウ−テイル(Head−to−Tail)結合選択率が95モル%以上である。
【0051】
ポリオキシアルキレンポリオールのOHVは2〜200mgKOH/gが好ましい。より好ましくは9〜120mgKOH/gである。最も好ましくは11〜100mgKOH/gである。OHVが2mgKOH/gより小さくなるまでアルキレンオキサイド、特にプロピレンオキサイドの付加重合を行うとポリオキシアルキレンポリオールの反応時間が長くなる。また、OHVが200mgKOH/gより大きくなると我々が着目しているポリオキシアルキレンポリオールの総不飽和度(C=C)は従来のKOH触媒系で得られるポリオキシアルキレンポリオールと有意差がなくなる。
【0052】
ポリオキシアルキレンポリオール中の総不飽和度は主としてプロピレンオキサイドの副反応により生成した分子末端に不飽和基を有するモノオール量の指標となる。C=Cは0.0001〜0.07meq./gが好ましい。より好ましくは0.0001〜0.05meq./gである。最も好ましくは0.001〜0.03meq./gの範囲である。モノオール(C=C)は全くないことが好ましいが、上記OHVの範囲でモノオール(C=C)を全くなくするためには反応温度、圧力等の条件を緩和しなければならないため、反応時間が長くなる。C=Cが0.07meq./gより大きくなると軟質ポリウレタンフォーム、エラストマーおよびシーリング等のポリウレタン樹脂の力学物性、硬化特性等が低下する。
【0053】
この様な総不飽和度(モノオール含有量)の低いポリオキシアルキレンポリオールにおけるプロピレンオキサイド付加重合によるヘッド−トウ−テイル(Head−to−Tail)結合選択率が95%より少なくなるとヘッド−トウ−テイル(Head−to−Tail)結合選択率低下に伴うポリオキシアルキレンポリオールの粘度の上昇、あるいはシリコーン整泡剤等の助剤との相溶不良による軟質ポリウレタンフォームの成形性悪化等の問題が生じる。また、ポリオキシアルキレンポリオールを高分子量化した際の粘度上昇により、ポリイソシアネート化合物との反応により得られるプレポリマーの粘度も上昇するため作業性が低下する。
【0054】
以上のように構造が制御されたポリオキシアルキレンポリオールを製造する条件として下記条件が好ましく例示される。すなわち、活性水素化合物1モルに対する化学式(2)で表されるホスファゼン化合物は5×10-5〜1モル、好ましくは1×10-4〜5×10-1モル、より好ましくは1×10-3〜5×10-2モルの範囲である。ポリオキシアルキレンポリオールを高分子量化する際には、活性水素化合物に対するホスファゼン化合物の濃度を上記範囲内で高めることが好ましい。活性水素化合物1モルに対して化学式(2)で表されるホスファゼン化合物が5×10-5モルより低い場合には、アルキレンオキサイドの重合速度が低下し、ポリオキシアルキレンポリオールの製造時間が長くなる。活性水素化合物1モルに対して化学式(2)で表されるホスファゼン化合物が1モルより多くなると、ポリオキシアルキレンポリオール製造コストに占めるホスファゼン化合物のコストが高くなる。
【0055】
また、アルキレンオキサイドの反応温度は15〜130℃が好ましい。より好ましくは40〜120℃、最も好ましくは50〜110℃の範囲である。アルキレンオキサイドの反応温度を上記範囲内で低い温度で行う場合は、活性水素化合物に対するホスファゼン化合物の濃度を先に述べた範囲内で高めることが好ましい。耐圧反応機に仕込んだホスファゼン化合物を触媒とする活性水素化合物へのアルキレンオキサイド供給方法は、必要量のアルキレンオキサイドの一部を一括して供給する方法、または連続的にもしくは間欠的にアルキレンオキサイドを供給する方法が用いられる。必要量のアルキレンオキサイドの一部を一括して供給する方法においては、アルキレンオキサイド重合反応初期の反応温度は上記範囲内でより低温側とし、アルキレンオキサイド装入後に次第に反応温度を上昇する方法が好ましい。反応温度が15℃より低い場合には、アルキレンオキサイドの重合速度が低下し、ポリオキシアルキレンポリオールの製造時間が長くなる。反応温度が130℃を越えるとアルキレンオキサイドとしてプロピレンオキサイドを用いた場合、総不飽和度(C=C)が0.07meq./gより高くなる。
【0056】
アルキレンオキサイドの反応時の最大圧力は9kgf/cm2(882kPa 、絶対圧、以下同様)が好適である。通常、耐圧反応機によりアルキレンオキサイドの反応が行われる。アルキレンオキサイドの反応は減圧状態から開始しても、大気圧の状態から開始してもよい。大気圧状態から反応を開始する場合には、窒素またはヘリウム等の不活性気体存在下で行うことが望ましい。アルキレンオキサイドの最大反応圧力が9kgf/cm2(882kPa)を越えると副生モ ノオール量が増加する。最大反応圧力として好ましくは7kgf/cm2(686kPa)、より好ましくは5kgf/cm2(490kPa)である。アルキ レンオキサイドとして、プロピレンオキサイドを用いる場合には、最大反応圧力は5kgf/cm2(490kPa)が好ましい。
【0057】
アルキレンオキサイド付加重合反応に際して、必要ならば溶媒を使用することもできる。使用する場合の溶媒としては、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ペプタン等の脂肪族炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類またはジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒等である。溶媒を使用する場合には、ポリオキシアルキレンポリオールの製造コストを上げないためにも、製造後に溶媒を回収し再利用する方法が望ましい。また、ポリオキシアルキレンポリオールからの溶媒の回収には、加熱減圧法あるいは水洗処理等の従来公知の方法が適用できる。
【0058】
次に、ホスファゼン化合物を触媒として活性水素化合物にアルキレンオキサイドを付加重合した後の粗製ポリオキシアルキレンポリオールの精製方法について述べる。
e.粗製ポリオキシアルキレンポリオール100重量部に対して、水を1〜40重量部加えた後、粗製ポリオキシアルキレンポリオール中のホスファゼン化合物1モルに対して、無機酸、無機酸酸性塩及び有機酸から選ばれる少なくとも1種の中和剤を0.5〜2.5モル使用して50〜130℃でホスファゼニウム化合物を中和する。その後、粗製ポリオキシアルキレンポリオールに対して100〜4000ppmの酸化防止剤を添加し、さらに粗製ポリオキシアルキレンポリオールに不活性ガスを導入しながら、70〜160℃、300mmHgabs.(39.9kPa)以下の条件で減圧処理を行い、且つ、中和反応から減圧処理に至る工程の気相部の酸素濃度を5000ppm以下に維持する。
f.粗製ポリオキシアルキレンポリオール100重量部に対して、ポリオキシアルキレンポリオールに不活性な有機溶剤および水を1〜40重量部加えた後、粗製ポリオキシアルキレンポリオール中のホスファゼニウム化合物1モルに対して、無機酸、無機酸酸性塩及び有機酸から選ばれる少なくとも1種の中和剤を0.5〜2.5モル使用して50〜130℃でホスファゼニウム化合物を中和する。その後、粗製ポリオキシアルキレンポリオールに対して100〜4000ppmの酸化防止剤を添加し、さらに粗製ポリオキシアルキレンポリオールに不活性ガスを導入しながら、70〜160℃、300mmHgabs.(39.9kPa)以下の条件下で減圧処理を行い、且つ、中和反応から減圧処理に至る工程の気相部の酸素濃度を5000ppm以下に維持する。
【0059】
粗製ポリオキシアルキレンポリオールの精製工程の気相の酸素濃度は5000ppm以下である。好ましくは、3000ppm以下、最も好ましくは、1000ppm以下である。気相中の酸素濃度が5000ppmを超えると、水、または水と有機溶剤の混合物を加熱減圧除去する際に、過酸化物及びアルデヒド化合物が副生しやすい。気相中の酸素濃度の制御は、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスによる置換操作を行うことが好ましい。気相中の酸素濃度を低減することにより、粗製ポリオキシアルキレンポリオール(液相)中の酸素濃度も低減するため、過酸化物及びアルデヒド化合物の副生を抑制することができる。
【0060】
通常、粗製ポリオキシアルキレンポリオールの精製操作は撹拌装置を装着した反応機で実施する。反応機内を不活性ガスで数回、加圧置換する操作、あるいは、反応機内を減圧状態、例えば、50mmHgabs.(6650Pa)以下の状態とし、しばらく放置した後、不活性ガスで加圧置換する操作を数回繰り返すことにより、気相中の酸素濃度を5000ppm以下にする。その際、微量酸素分析計〔例えば、三菱化学(株)製TAI−311型が挙げられる。〕にて、気相中の酸素濃度を測定しながら、酸素濃度の制御を行う。特に、反応機内を減圧状態とし、次いで、不活性ガスによる加圧置換操作を行うことにより、液相中の酸素濃度は著しく低減する。このような操作を行った後の液相中の酸素濃度は1.3ppm以下が好ましい。
【0061】
e法、f法について詳述する。e法は水単独で、f法は水とポリオキシアルキレンポリオールに不活性な有機溶剤を併用する方法である。本願記載のOHVが低い(OHV2〜30mgKOH/gの範囲)ポリオキシアルキレンポリオールはその分子量が高く、しかも親水性の水酸基の濃度が低い。アルキレンオキサイドの重合反応において、活性水素化合物に対するホスファゼン化合物の使用量が多い場合は、ホスファゼン化合物の中和の際に用いる水、あるいは水と有機溶剤が、ポリオキシアルキレンポリオール中からホスファゼン化合物濃度を低減するために効果的である。
【0062】
中和の際には、水(e法)またはポリオキシアルキレンポリオールに不活性な有機溶剤と水の混合物(f法)を1〜40重量部用いることが好ましい。好ましくは1〜30重量部、最も好ましくは1.2〜20重量部である。ポリオキシアルキレンポリオールに不活性な有機溶剤および水を用いる際に該混合溶媒中の水は少なくとも20重量%は必要である。ポリオキシアルキレンポリオール中に親水基であるオキシエチレン基が10モル%以上あるときは水の使用量は少なくてもよい。オキシエチレン基がないときには水の使用量を増加することが好ましい。
【0063】
ポリオキシアルキレンポリオールに不活性な有機溶剤とは、炭化水素系溶剤の中でトルエン、ヘキサン類、ペンタン類、ヘプタン類、ブタン類、低級アルコール類、シクロヘキサン、シクロペンタン、キシレン類などが挙げられる。これらの有機溶剤をポリオキシアルキレンポリオールから留去するには加熱減圧操作により実施する。温度は100〜140℃で減圧度を10mmHgabs.(1330Pa)以下にする方法が好ましい。
【0064】
ホスファゼン化合物を中和する際の酸として無機酸、無機酸酸性塩及び有機酸から選ばれる少なくとも1種の中和剤を使用する。無機酸としては、例えば、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ピロリン酸、塩酸、硫酸、亜硫酸およびそれらの水溶液が挙げられる。無機酸酸性塩としては、例えば、リン酸二リチウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸一水素リチウム、リン酸一水素ナトリウム、リン酸一水素カリウム、硫酸水素リチウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、酸性ピロリン酸ナトリウム等が挙げられる。有機酸としては、例えば、ギ酸、シュウ酸、コハク酸、酢酸、マレイン酸およびそれらの水溶液が挙げられる。特に、好ましくはリン酸、硫酸、マレイン酸、シュウ酸であり、水溶液の形態で用いることが良い。
【0065】
これらの酸は粗製ポリオキシアルキレンポリオール中に含まれるホスファゼン化合物の1モルに対して、0.5〜2.5モル使用する。好ましくは、0.7〜2.5モル、より好ましくは0.9〜2.4モルである。中和は50〜130℃の範囲で実施する。特に好ましくは70〜95℃である。中和時間は反応スケールにもよるが、0.5〜3時間である。ホスファゼン化合物1モルに対して酸の量が2.5モルに近いときは酸吸着剤を併用するのが好ましい。0.5モルより少ないときは製品のポリオキシアルキレンポリオールのホスファゼン化合物濃度が高くなる傾向にある。2.5モルより多くなると酸を除去するための吸着剤使用量が多くなる。
【0066】
中和反応終了後、粗製ポリオキシアルキレンポリオールに対して、100〜4000ppmの酸化防止剤を使用する。好ましくは、150〜3000ppm、最も好ましくは、200〜1800ppmである。酸化防止剤が100ppm未満だと、過酸化物及びアルデヒド化合物が副生しやすい。4000ppmより多くなると、ポリオールのコストに占める酸化防止剤のコストが大きくなる。
【0067】
酸化防止剤としては、フェノール系化合物、アミン系化合物、亜リン酸エステル系化合物が例示できる。フェノール系化合物としては、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(以下、BHTと略する。)、2−tert−ブチル−4−メトキシフェノール(以下、BHAと略する。)、6−tert−ブチル−2.4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)プロピオネート、6−(4−オキシ−3,5−ジ−tert−ブチル−アニリノ)−2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−o−クレゾール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチル−フェノール)、2,2’−チオビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、1,6−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)メシチレン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)メシチレン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、テトラキス[ β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル]メタン等が挙げられる。
【0068】
亜リン酸エステル系化合物としては、ジオクタデシル−4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルベンジルホスホネート、ジエチル−4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルベンジルホスホネート、2−エチルヘキシルホスファイト等が挙げられる。また、アミン系化合物としては、n−ブチル−p−アミノフェノール、4,4’−ジメチルジフェニルアミン、4,4’−ジオクチルジフェニルアミン(以下、DOAと略する。)、4,4’−ビス−α、α’−ジメチルベンジルジフェニルアミン等が挙げられる。これらの酸化防止剤は単独、もしくは2種類以上併用しても構わない。
【0069】
これらの酸化防止剤の中で好ましくは、BHT、BHA、エチルヘキシルホスファイト、DOA、4,4’−ビス−α、α’−ジメチルベンジルジフェニルアミン、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノールである。
【0070】
酸化防止剤と共に、吸着剤を使用することが好ましい。吸着剤の装入時期は、酸化防止剤を装入した後、あるいは酸化防止剤を装入し、減圧操作を行う工程の途中のどちらでもよい。粗製ポリオキシアルキレンポリオール100重量部に対して酸およびアルカリ成分を吸着する吸着剤を0.005〜1.5重量部添加する。好ましくは、0.02〜1.2重量部、より好ましくは0.03〜1.1重量部である。
【0071】
吸着剤としては、例えば合成ケイ酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、合成ケイ酸アルミニウム・マグネシウム、活性白土、ゼオライト、酸性白土等が用いられる。吸着剤を製造する工程で水酸化ナトリウムによる処理を行っていることから、ナトリウム溶出分が少ない吸着剤が好ましい。具体的な吸着剤としては、トミックスシリーズ、例えば、トミックスAD−100、トミックスAD−200、トミックスAD−300、トミックスAD−400、トミックスAD−500、トミックスAD−600、トミックスAD−700、トミックスAD−800、トミックスAD−900〔富田製薬(株)製〕、キョウワードシリーズ、例えば、キョーワード200、キョーワード300、キョーワード400、キョーワード500、キョーワード600、キョーワード700、キョーワード1000、キョーワード2000〔協和化学工業(株)製〕、MAGNESOL(DALLAS社製)等各種の商品名で市販されている。これらの吸着剤は単独、もしくは2種類以上併用しても構わない。
【0072】
酸化防止剤装入後は、用いた水、または水と有機溶剤とを減圧条件下で留去する。特に、低分子量のアルデヒド化合物の除去を行うため、酸化防止剤を添加した後、粗製ポリオキシアルキレンポリオール(液相)中に、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスを導入して、70〜160℃、300mmHgabs.(39.9kPa)、好ましくは、200mmHgabs.(26.6kPa)、より好ましくは、100mmHgabs.(13.3kPa)以下の条件で減圧処理を行う。減圧処理時間は、反応スケールにもよるが、通常、2〜15時間行う。不活性ガスを粗製ポリオキシアルキレンポリオールに導入することにより、アルデヒド化合物の除去率が向上する。
【0073】
不活性ガスの導入は、化学工学等の分野で用いられる常用の方法、例えば、管等を用いて液相中に導入する方法(ガスバブリング方法)が適用できる。減圧処理操作は、真空ポンプによる方法、あるいは薄膜蒸発方法等が挙げられる。その際、強制循環式撹拌膜型の蒸発器、あるいは流下膜式分子蒸留装置などを用いることができる(参考文献;「化学工学便覧」:化学工学協会編集 出版社 丸善株式会社)。
【0074】
減圧処理後、ろ過操作により、ポリオキシアルキレンポリオールの回収を行う。その際に、けいそう土、セライトなどのろ過助剤を用いても良い。このような操作により得られるポリオキシアルキレンポリオール中の過酸化物濃度は0.28mmol/kg以下、好ましくは、0.20mmol/kg以下、最も好ましくは、0.15mmol/kg以下である。過酸化物濃度が0.28mmol/kgを超えると、ポリイソシアネート化合物との反応に際して、錫系触媒を使用する場合、過酸化物により錫系触媒の活性が低下するため、ポリウレタンの成形性、力学物性が低下する。
【0075】
また、過酸化物濃度が0.28mmol/kgを超えるポリオキシアルキレンポリオールを空気中で放置していると、過酸化物が酸性化合物となり、ポリオキシアルキレンポリオール中の酸価が増加する。酸価が高くなると、ポリイソシアネート化合物との反応性が低下し、得られるポリウレタンの物性が悪化、あるいは臭気が強くなる。ポリオキシアルキレンポリオールの貯蔵安定性を向上させるため、過酸化物濃度は0.28mmol/kg以下であると共に、ポリオール中の酸化防止剤濃度は100〜4000ppmであることが好ましい。また、このような操作により得られたポリオキシアルキレンポリオールの酸価は0.05mgKOH/g以下が好ましい。
【0076】
前述した操作を行った後のポリオキシアルキレンポリオール中のアセトアルデヒド含有量は2ppm以下で、プロピオンアルデヒド含有量は6ppm以下である。より好ましくは、アセトアルデヒド含有量は1ppm以下で、プロピオンアルデヒド含有量は4ppm以下、特に好ましくは、両成分とも全く存在しないことである。アセトアルデヒドおよびプロピオンアルデヒドともにポリオールの原料であるアルキレンオキサイド、特にプロピレンオキサイドに約3〜約60ppm程度含有されているが、アルキレンオキサイド付加重合後のモノマー回収工程で、ある程度留去できる。しかし、ポリオールの臭気を弱くするためには、ポリオールの精製工程で前述した操作を行うことが好ましい。また、このようなアルデヒド化合物の量を測定する方法として、通常、化学分析で行われているヘッドスペースガスクロマトグラフィー法が挙げられる。
【0077】
さらに、前述した方法により粗製ポリオキシアルキレンポリオールからホスファゼン化合物の除去操作を行った後のポリオキシアルキレンポリオール中のホスファゼン化合物由来のリンの含有量は3000ppm以下のものが好ましい。より好ましくは600ppm以下、最も好ましくは100ppm以下のものである。本発明の方法で得られたポリオキシアルキレンポリオールを化粧品、医療品等に使用する場合には、前述したリンの含有量は50ppm以下、好ましくは20ppm以下である。この時のリンには、ホスファゼニウム塩の形態で残存しているものも含まれる。ポリオキシアルキレンポリオールをポリイソシアネート化合物と反応させたプレポリマーに供する場合には、300ppm以下、好ましくは100ppm以下のものが好ましい。ポリオキシアルキレンポリオール中のホスファゼン化合物由来のリンの含有量が3000ppmより多くなるとポリオキシアルキレンポリオール中のホスファゼン化合物の濃度が増加するため、ポリオキシアルキレンポリオールが着色しやすい。
【0078】
本発明の製造方法で得られたポリオキシアルキレンポリオールは、ポリウレタンフォーム、特に、軟質ポリウレタンフォーム、ポリウレタンエラストマー、塗料、シーリング材、接着剤、床材等のポリウレタン樹脂等の原料、または界面活性剤、作動油、潤滑油、化粧品、サニタリー用品、医薬品あるいはポリウレタン以外の合成樹脂の原料として広く使用できる。特に、アルデヒド含有量が低いポリオキシアルキレンポリオールを用いることにより、得られるポリウレタンフォームのアルデヒド臭が低減する。さらに、本発明の製造方法で得られたポリオキシアルキレンポリオールを用いてポリマー分散ポリオール、イソシアネート基末端プレポリマー、ポリエーテルエステルポリオール及びポリオキシアルキレンポリアミン等のポリウレタン原料も製造することができる。
【0079】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示し、本発明の熊様を明らかにするが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例、比較例のポリオキシアルキレンポリオールの水酸基価(以下、OHVと略する。:単位mgKOH/g)、総不飽和度(以下、C=Cと略する。:単位meq./g)、ならびに酸価(以下、AVと略する。:単位mgKOH/g)はJIS K−1557記載の方法により求めた。
【0080】
過酸化物濃度(以下、POVと略する。:単位mmol/kg)は、以下の方法により求めた。一定量の試料を秤量し、一定量のイソプロパノール、氷酢酸ならびに沃化ナトリウムのイソプロパノール溶液を加え溶解させた後、室温にて10分間放置する。生成する沃素をチオ硫酸ナトリウム水溶液を用いて滴定する。ポリオキシアルキレンポリオール中のアセトアルデヒド含有量(以下、AAと略する。単位:ppm)、ならびにプロピオンアルデヒド含有量(以下、PAと略する。単位:ppm)は、島津製作所(株)製GC−14Aを用いたヘッドスペースガスクロマトグラフィー(以下、HS−GCと略する。)により定量を行った。さらに、ポリオキシアルキレンポリオールの貯蔵安定性を調べる目的で、精製処理後のポリオキシアルキレンポリオールを金属製の容器に密閉し、60℃のオーブン中で7日間放置した後のポリオキシアルキレンポリオールの酸価の測定を行った。また、精製ポリオキシアルキレンポリオールの臭気の評価を行った。精製ポリオキシアルキレンポリオールを1Lの金属製容器に密閉し、40℃のオーブン中で4時間放置後のポリオールの臭いを官能評価した。アルデヒド臭がないときは○で、アルデヒド臭を感じるときは×で評価を行った。
【0081】
ポリオキシアルキレンポリオールの合成において、Fulka社製の商品名ホスファゼンベースP<t/4>−t−Octの1.00Mに調整されたn−ヘキサン溶液を用いた。本化合物は部分構造式(1)および化学式(2)において、Qがtert−オクチル基で、Dがジメチルアミノ基、(l、m、n)の順に(1、1、1)であるホスファゼン化合物である。以降、該化合物をP4−t−Octと略する。
【0082】
以下に、ポリオキシアルキレンポリオールの合成結果について詳述する。
ポリオキシアルキレンポリオールの合成ならびに精製装置は、攪拌機、温度計、圧力計、窒素装入口、気相中の酸素測定用ラインおよびモノマーであるアルキレンオキサイド装入口を装着した内容積2.5L、6Lならびに9Lの耐圧製オートクレーブ(日東高圧製)を使用した。以下、該合成装置をオートクレーブと略する。ポリオキシアルキレンポリオールの合成ならびに精製時には、回転数100〜350r.p.m.の条件で撹拌を行った。さらに、粗製ポリオキシアルキレンポリオールの精製工程における気相中の酸素濃度は、微量酸素分析計〔型式TAI−311型、三菱化学(株)製〕を使用した。ポリオキシアルキレンポリオールの合成ならびに精製時には、純度99.99%の窒素〔テイサン(株)製〕を使用した。断りのない限り、以下の記述における窒素とは、純度99.99%のものを示す。酸化防止剤として、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(以下、BHTと略する。)、ならびに4,4’−ジオクチルジフェニルアミン(以下、DOAと略する。)を用いた。
【0083】
製造例1
粗製ポリオキシアルキレンポリオールA
攪拌装置、窒素導入管および温度計を装備した500mlの4つ口フラスコにグリセリン1モルに対して0.021モルのP4−t−Oct(1.00Mのn−ヘキサン溶液の形態)を加え、窒素をキャピラリー管で導入し、105℃、10mmHgabs.(1330Pa)以下の条件で4時間、減圧脱トルエン操作を行った。その後、フラスコ内容物をオートクレーブに仕込み、窒素置換を行った後、大気圧状態から反応温度を80℃とし、反応時の最大圧力が4.0kgf/cm2(392kPa)の条件でOHV39.0mgKOH/gになるまでプ ロピレンオキサイドの多段付加重合を行った。オートクレーブの内圧の変化が無くなった時点で105℃、5mmHgabs.(665Pa)、10分間減圧処理を行い、ホスファゼン化合物を含んだ状態の粗製ポリオキシアルキレンポリオールを得た。以下、該粗製ポリオキシアルキレンポリオールを粗製ポリオールAと称する。
【0084】
実施例1
ポリオキシアルキレンポリオールA
製造例1で得られた粗製ポリオールAをオートクレーブに仕込み、80℃に昇温後、同温度でオートクレーブ内を10mmHgabs.(1330Pa)の減圧状態とし、同条件にて、5分間保持した。次いで、窒素により、4.0kgf/cm2(392kPa)まで加圧した後、放圧し、大気圧状態とした。該操作 を4回繰り返すことにより、気相中の酸素濃度を200ppmとした。次に、粗製ポリオールA 100重量部に対して、4重量部のイオン交換水を加え、次いで粗製ポリオールA中のホスファゼン化合物1モルに対して2.1モルのリン酸(75.1重量%の水溶液の形態)を素早く装入し、80℃で2時間の中和反応を行った。中和反応終了後に、粗製ポリオールAに対して、900ppmのBHTを装入後、粗製ポリオールA 100重量部に対して、0.2重量部の吸着剤KW−700〔協和化学工業(株)製〕を素早く装入した。酸化防止剤、吸着剤装入後の気相中の酸素濃度は、780ppmであった。その後、減圧下で脱水を行い、最終的に、液相中に窒素を通気しながら、110℃、10mmHgabs.(1.33kPa)の条件で4時間、減圧窒素バブリングを行った。窒素により減圧から大気圧状態にした後、アドバンテック東洋株式会社製の5Cろ紙(保持粒径1μ)により減圧ろ過を行い、ポリオキシアルキレンポリオールの精製を行った。
精製操作後のポリオキシアルキレンポリオールの水酸基価(OHV)は39.1mgKOH/g、総不飽和度(C=C)0.011meq./g、酸価(AV)0.013mgKOH/g、過酸化物濃度(POV)0.02mmol/kg、アセトアルデヒド(AA)含有量、プロピオンアルデヒド(PA)含有量ともに、検出限界以下(0.1未満)であった。貯蔵安定性試験後のポリオキシアルキレンポリオールの酸価(AV)は0.015mgKOH/gであり、試験前とほぼ同じであった。ポリオキシアルキレンポリオールの臭気は○であった。
【0085】
実施例2
ポリオキシアルキレンポリオールB
製造例1で得られた粗製ポリオールAをオートクレーブに仕込み、80℃に昇温後、同温度でオートクレーブ内を350mmHgabs.(46.6kPa)の減圧状態とし、同条件にて、8分間保持した。次いで、窒素により、4.0kgf/cm2(392kPa)まで加圧した後、放圧し、大気圧状態とした。該 操作を3回繰り返すことにより、気相中の酸素濃度を340ppmとした。次に、粗製ポリオールA 100重量部に対して、4重量部のイオン交換水を加え、次いで粗製ポリオールA中のホスファゼン化合物1モルに対して2.1モルのリン酸(75.1重量%の水溶液の形態)を素早く装入し、80℃で2時間の中和反応を行った。中和反応終了後に、粗製ポリオールAに対して、1200ppmのDOAを装入後、粗製ポリオールA 100重量部に対して、0.3重量部の吸着剤KW−700〔協和化学工業(株)製〕を装入した。酸化防止剤、吸着剤装入後の気相中の酸素濃度は、980ppmであった。
その後、減圧下で脱水を行い、最終的に、液相中に窒素を通気しながら、110℃、200mmHgabs.(26.6kPa)の条件で5時間、減圧窒素バブリングを行った。窒素により減圧から大気圧状態にした後、アドバンテック東洋株式会社製の5Cろ紙(保持粒径1μ)により減圧ろ過を行い、ポリオキシアルキレンポリオールの精製を行った。
精製操作後のポリオキシアルキレンポリオールの水酸基価(OHV)は39.1mgKOH/g、総不飽和度(C=C)0.011meq./g、酸価(AV)0.015mgKOH/g、過酸化物濃度(POV)0.12mmol/kg、アセトアルデヒド(AA)含有量は0.8ppm、ならびにプロピオンアルデヒド(PA)含有量は1.2ppmであった。貯蔵安定性試験後のポリオキシアルキレンポリオールの酸価(AV)は0.017mgKOH/gであり、試験前とほぼ同じであった。ポリオキシアルキレンポリオールの臭気は○であった。
【0086】
実施例3
ポリオキシアルキレンポリオールC
製造例1で得られた粗製ポリオールAをオートクレーブに仕込み、80℃に昇温後、同温度でオートクレーブ内を450mmHgabs.(59.9kPa)の減圧状態とし、同条件にて、5分間保持した。次いで、窒素により、4.0kgf/cm2(392kPa)まで加圧した後、放圧し、大気圧状態とした。該 操作を3回繰り返すことにより、気相中の酸素濃度を730ppmとした。次に、粗製ポリオールA 100重量部に対して、4重量部のイオン交換水を加え、次いで粗製ポリオールA中のホスファゼン化合物1モルに対して2.1モルのリン酸(75.1重量%の水溶液の形態)を素早く装入し、80℃で2時間の中和反応を行った。中和反応終了後に、粗製ポリオールAに対して、600ppmのBHTを装入後、粗製ポリオールA 100重量部に対して、0.4重量部の吸着剤KW−700〔協和化学工業(株)製〕をゆっくりと装入した。酸化防止剤、吸着剤装入後の気相中の酸素濃度は、4100ppmであった。その後、減圧下で脱水を行い、最終的に、液相中に窒素を通気しながら、110℃、100mmHgabs.(13.3kPa)の条件で5時間、減圧窒素バブリングを行った。窒素により減圧から大気圧状態にした後、アドバンテック東洋株式会社製の5Cろ紙(保持粒径1μ)により減圧ろ過を行い、ポリオキシアルキレンポリオールの精製を行った。
精製操作後のポリオキシアルキレンポリオールの水酸基価(OHV)は39.1mgKOH/g、総不飽和度(C=C)0.011meq./g、酸価(AV)0.014mgKOH/g、過酸化物濃度(POV)0.27mmol/kg、アセトアルデヒド(AA)含有量は0.2ppm、ならびにプロピオンアルデヒド(PA)含有量は0.5ppmであった。貯蔵安定性試験後のポリオキシアルキレンポリオールの酸価(AV)は0.016mgKOH/gであり、試験前とほぼ同じであった。ポリオキシアルキレンポリオールの臭気は○であった。
【0087】
以下に、比較例を示す。比較例では、製造例1で得られた粗製ポリオールAを用いて、気相中の酸素濃度が5000ppmより高く、酸化防止剤の添加量が100ppm未満で、かつ不活性ガスによる減圧操作を実施しない条件により、ポリオキシアルキレンポリオールの精製を行った。
比較例1
ポリオキシアルキレンポリオールD
製造例1で得られた粗製ポリオールAをオートクレーブに仕込み、80℃に昇温後、同温度でオートクレーブ内を窒素により、4.0kgf/cm2(392 kPa)まで加圧した後、放圧し、大気圧状態とした。該操作を3回繰り返し、次いで、純度99.9%の酸素(以下、単に酸素という。)を用いることにより、気相中の酸素濃度を6000ppmに調整した。次に、粗製ポリオールA 100重量部に対して、4重量部のイオン交換水を加え、次いで粗製ポリオールA中のホスファゼン化合物1モルに対して、2.1モルのリン酸(75.1重量%の水溶液の形態)を装入し、80℃で2時間の中和反応を行った。中和反応終了後に、粗製ポリオールAに対して、10ppmのBHTを装入後、粗製ポリオールA 100重量部に対して、0.1重量部の吸着剤KW−700〔協和化学工業(株)製〕をゆっくりと装入した。酸化防止剤、吸着剤装入後の気相中の酸素濃度は、7100ppmであった。その後、減圧下で脱水を行い、最終的に、液相中へ不活性ガスを導入せずに、110℃、15mmHgabs.(1.99kPa)の条件で4時間、減圧操作を行った。窒素により減圧から大気圧状態にした後、アドバンテック東洋株式会社製の5Cろ紙(保持粒径1μ)により減圧ろ過を行い、ポリオキシアルキレンポリオールの精製を行った。
精製操作後のポリオキシアルキレンポリオールの水酸基価(OHV)は39.1mgKOH/g、総不飽和度(C=C)0.011meq./g、酸価(AV)0.025mgKOH/g、過酸化物濃度(POV)0.35mmol/kg、アセトアルデヒド(AA)含有量は3.7ppm、プロピオンアルデヒド(PA)含有量は9.5ppmであった。貯蔵安定性試験後のポリオキシアルキレンポリオールの酸価(AV)は0.053mgKOH/gであり、試験前と比較して高くなっていた。ポリオキシアルキレンポリオールの臭気は×であった。
【0088】
比較例2
ポリオキシアルキレンポリオールE
製造例1で得られた粗製ポリオールAをオートクレーブに仕込み、80℃に昇温後、同温度でオートクレーブ内を窒素により、2.0kgf/cm2(196 kPa)まで加圧した後、放圧し、大気圧状態とした。該操作を2回繰り返し、次いで、酸素により、気相中の酸素濃度を6400ppmに調整した。次に、粗製ポリオールA 100重量部に対して、4重量部のイオン交換水を加え、次いで粗製ポリオールA中のホスファゼン化合物1モルに対して、2.1モルのリン酸(75.1重量%の水溶液の形態)を装入し、80℃で2時間の中和反応を行った。中和反応終了後に、粗製ポリオールAに対して、20ppmのBHTを装入し、次いで、粗製ポリオールA 100重量部に対して、0.3重量部の吸着剤KW−700〔協和化学工業(株)製〕をゆっくりと装入した。酸化防止剤、吸着剤装入後の気相中の酸素濃度は、8500ppmであった。その後、減圧下で脱水を行い、最終的に、不活性ガスを導入せずに、110℃、20mmHgabs.(2.66kPa)の条件で4時間、減圧操作を行った。窒素により減圧から大気圧状態にした後、アドバンテック東洋株式会社製の5Cろ紙(保持粒径1μ)により減圧ろ過を行い、ポリオキシアルキレンポリオールの精製を行った。
精製操作後のポリオキシアルキレンポリオールの水酸基価(OHV)は39.1mgKOH/g、総不飽和度(C=C)0.011meq./g、酸価(AV)0.020mgKOH/g、過酸化物濃度(POV)0.42mmol/kg、アセトアルデヒド(AA)含有量は2.9ppm、プロピオンアルデヒド(PA)含有量は8.5ppmであった。貯蔵安定性試験後のポリオキシアルキレンポリオールの酸価(AV)は0.048mgKOH/gであり、試験前と比較して約2倍になっていた。ポリオキシアルキレンポリオールの臭気は×であった。
【0089】
比較例3
ポリオキシアルキレンポリオールF
製造例1で得られた粗製ポリオールAをオートクレーブに仕込み、80℃に昇温後、同温度でオートクレーブ内を窒素により、3.0kgf/cm2(294 kPa)まで加圧した後、放圧し、大気圧状態とした。同操作を2回繰り返し、次いで、酸素により気相中の酸素濃度を7600ppmに調整した。次に、粗製ポリオールA 100重量部に対して、4重量部のイオン交換水を加え、次いで粗製ポリオールA中のホスファゼン化合物1モルに対して2.1モルのリン酸(75.1重量%の水溶液の形態)を装入し、80℃で2時間の中和反応を行った。中和反応終了後に、粗製ポリオールA 100重量部に対して、0.5重量部の吸着剤KW−700〔協和化学工業(株)製〕をゆっくりと装入した。酸化防止剤は使用しなかった。吸着剤装入後の気相中の酸素濃度は、9800ppmであった。その後、減圧下で脱水を行い、最終的に、不活性ガスを導入せずに、110℃、30mmHgabs.(3.99kPa)の条件で4時間、減圧操作を行った。窒素により減圧から大気圧状態にした後、アドバンテック東洋株式会社製の5Cろ紙(保持粒径1μ)により減圧ろ過を行い、ポリオキシアルキレンポリオールの精製を行った。
精製操作後のポリオキシアルキレンポリオールの水酸基価(OHV)は39.1mgKOH/g、総不飽和度(C=C)0.011meq./g、酸価(AV)0.041mgKOH/g、過酸化物濃度(POV)0.62mmol/kg、アセトアルデヒド(AA)含有量は4.2ppm、プロピオンアルデヒド(PA)含有量は12.1ppmであった。貯蔵安定性試験後のポリオキシアルキレンポリオールの酸価(AV)は0.125mgKOH/gであり、試験前と比較して約2倍になっていた。ポリオキシアルキレンポリオールの臭気は×であった。
【0090】
実施例、比較例で得られたポリオキシアルキレンポリオール(以下、ポリオールと略する。)の水酸基価(OHV)、総不飽和度(C=C)、酸価(AV)、過酸化物濃度(POV)、ポリオキシアルキレンポリオール中のアセトアルデヒド(AA)含有量、プロピオンアルデヒド(PA)含有量、ならびにポリオールの貯蔵安定性試験後の酸価(AV)を〔表1〕に示す。
<表中の記号の説明>
〔表1〕中の開始剤で、Glyはグリセリンの略号である。アルキレンオキサイド(AO)重合触媒として用いたホスファゼン化合物のP4−t−OctはPNと略する。POはプロピレンオキサイドの略号である。さらに、粗製ポリオールの精製工程における気相中の酸素濃度及び酸化防止剤を〔表1〕に示す。酸化防止剤は、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールをBHTと、4,4’−ジオクチルジフェニルアミンを、DOAと略する。
【0091】
【表1】
Figure 0003703263
【0092】
<実施例の考察1>
〔表1〕より、ホスファゼン化合物を触媒として、活性水素化合物にアルキレンオキサイドを付加重合した粗製ポリオキシアルキレンポリオールの精製操作を行うに際して、中和反応を行った後、粗製ポリオキシアルキレンポリオールに対して酸化防止剤100〜4000ppmを添加し、更に、粗製ポリオキシアルキレンポリオールに不活性ガスを導入しながら、70〜160℃、300mmHgabs.(39.9kPa)以下の条件下で減圧処理を行い、且つ、中和反応から減圧処理に至る工程の気相部の酸素濃度を5000ppm以下に維持することにより、過酸化物濃度が0.28mmol/kg以下、アセトアルデヒド含有量が2ppm以下、及びプロピオンアルデヒド含有量が6ppm以下の高品質のポリオキシアルキレンポリオールが得られる。
アルデヒド含有量を上記値以下に制御することにより、ポリオキシアルキレンポリオールの臭気が低減される。また、前述した条件で精製を行ったポリオキシアルキレンポリオールの、60℃、7日間後の酸価は精製直後の値とほぼ同じであり、貯蔵安定性に優れている。
【0093】
実施例4〜6、比較例4〜6
<軟質ポリウレタンフォームの製造>
ポリオキシアルキレンポリオール中の過酸化物濃度の影響を明らかにするため、有機錫系触媒を用いた軟質ポリウレタンフォームの製造を行った。本発明はこれら実施例に限定されるものではない。実施例、比較例に用いた原料、略語、および分析法を以下に説明する。
(ポリオール);実施例4(A)、実施例5(B)、実施例6(C)、および比較例4(D)、比較例5(E)、比較例6(F)。
(ポリマー分散ポリオール)POP−9020;三井東圧化学(株)製の水酸基価が37mgKOH/gのポリマー分散ポリオール。
(触媒−1)L−1020;活材ケミカル(株)製3級アミン触媒(トリエチレンジアミンの33%ジエチレングリコール溶液)。
(触媒−2)ネオスタンU−28;日東化成(株)製の有機錫触媒(スタナスオクトエート)。
(整泡剤)SZ−1142;日本ユニカー(株)製シリコーン整泡剤。
(発泡剤)水
(イソシアネート)コスモネート T−80;三井東圧化学(株)製のトリレンジイソシアネート。レジンプレミックス中の活性水素とイソシアネート基との当量比(以下、NCOインデックスと略する。)が1.10となる量を使用した。軟質ポリウレタンフォームの諸物性;JIS K−6301およびJIS K−6401記載の方法により求めた。
【0094】
ポリオール 50重量部およびPOP−9020 50重量部の混合ポリオール100重量部に対して、水を2.8重量部、L−1020を0.15重量部、SZ−1142を0.8重量部を加え、攪拌混合し、25℃に調製した。次いで、ネオスタンU−28を0.25重量部加え、10秒間撹拌混合し、レジンプレミックスとした。予め、25℃に調整したコスモネート T−80を先に調製したレジンプレミックスと6秒間激しく攪拌混合し、木製の箱(内寸300×300×300mm)に注入し、フリー発泡を行った。得られた軟質ポリウレタンフォームの性状を〔表2〕に示す。ライズタイム(単位;秒)、フォームの内部(断面)状態を観察した。正常に発泡しているときは○で、ややひび割れが観察されているときは△で、明らかな割れが観察されているときは×で評価した。さらに、フォームのコア密度、硬度、伸び、反発弾性の測定を行った。
【0095】
【表2】
Figure 0003703263
【0096】
<実施例の考察2>
〔表2〕より、ポリオキシアルキレンポリオール中の過酸化物濃度(POV)が増加するに従い、フォームのライズタイムが遅くなり、フォームの内部にひび割れが観測されることがわかる。ポリオキシアルキレンポリオール中のPOVが増加するに従い、軟質ポリウレタンフォームの硬度、伸び、反発弾性が低下する。品質の安定した軟質ポリウレタンフォームを得るためには、ポリオール中のPOVは0.28mmol/kg以下にする必要がある。
【0097】
【発明の効果】
ホスファゼン化合物を触媒として、活性水素化合物にアルキレンオキサイドを付加重合した粗製ポリオキシアルキレンポリオールの精製操作を行うに際して、中和反応を行った後、粗製ポリオキシアルキレンポリオールに対して酸化防止剤100〜4000ppmを添加し、更に、粗製ポリオキシアルキレンポリオールに不活性ガスを導入しながら、70〜160℃、300mmHgabs.(39.9kPa)以下の条件下で減圧処理を行い、且つ、中和反応から減圧処理に至る工程の気相部の酸素濃度を5000ppm以下に維持することにより、過酸化物濃度が0.28mmol/kg以下、アセトアルデヒド含有量が2ppm以下、及びプロピオンアルデヒド含有量が6ppm以下の高品質のポリオキシアルキレンポリオールが得られる。
アルデヒド含有量を上記値以下に制御することにより、ポリオキシアルキレンポリオールの臭気が低減される。また、前述した条件で精製を行ったポリオキシアルキレンポリオールの、60℃、7日間後の酸価は精製直後の値とほぼ同じであり、貯蔵安定性に優れている。
更に、過酸化物濃度を0.28mmol/kg以下に制御したポリオキシアルキレンポリオールは、ライズタイムが短く、内部にひび割れ等のない品質の安定した軟質ポリウレタンフォームを与える他、硬度、伸び、反発弾性等の力学物性に優れた軟質ポリウレタンフォームを提供し得る優れたポリオキシアルキレンポリオールである。
従って、本発明の製造方法で得られたポリオキシアルキレンポリオールは、ポリウレタンフォーム、ポリウレタンエラストマー、塗料、シーリング材、接着剤、床材等のポリウレタン樹脂の原料、及び界面活性剤、作動油、潤滑油、化粧品、サニタリー用品、医薬品あるいはポリウレタン以外の合成樹脂の原料として広く使用できる。

Claims (3)

  1. 化学式(2)〔化2〕
    Figure 0003703263
    〔化学式(2)中、l、mおよびnは、それぞれ0〜3の正の整数を表す。Dは同種または異種の炭素数1〜20の炭化水素基、アルコキシ基、フェノキシ基、チオフェノール残基、一置換アミノ基、二置換アミノ基または5乃至6員環の環状アミノ基である。Qは、炭素原子数1〜20の炭化水素基である。さらには、同一リン原子上の、もしくは異なる二個のリン原子上の二個のDが互いに結合し、またDとQとが互いに結合して、それぞれ環構造を形成することもできる。〕で表されるホスファゼン化合物を触媒として、活性水素化合物にアルキレンオキサイドを付加重合した粗製ポリオキシアルキレンポリオールの精製操作を行うに際し、粗製ポリオキシアルキレンポリオールに無機酸、無機酸酸性塩及び有機酸から選ばれた少なくとも1種の中和剤を添加して中和反応を行った後、粗製ポリオキシアルキレンポリオールに対して酸化防止剤100〜4000ppmを添加し、更に、粗製ポリオキシアルキレンポリオールに不活性ガスを導入しながら、70〜160℃、300mmHgabs.(39.9kPa)以下の条件下で減圧処理を行い、且つ、中和反応から減圧処理に至る工程の気相部の酸素濃度を5000ppm以下に維持し、ポリオキシアルキレンポリオール中の過酸化物濃度を0.28mmol/kg以下、アセトアルデヒド含有量を2ppm以下、プロピオンアルデヒド含有量を6ppm以下に制御することを特徴とするポリオキシアルキレンポリオールの製造方法。
  2. ポリオキシアルキレンポリオールの精製操作において、酸化防止剤を装入した後、粗製ポリオキシアルキレンポリオール100重量部に対して、0.05〜1.5重量部の吸着剤を添加することを特徴とする請求項1記載のポリオキシアルキレンポリオールの製造方法。
  3. 吸着剤が、合成ケイ酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、合成ケイ酸アルミニウム・マグネシウム、活性白土、ゼオライト及び酸性白土よりなる群から選ばれた少なくとも1種の吸着剤であることを特徴とする請求項2記載のポリオキシアルキレンポリオールの製造方法。
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