JP3700532B2 - 演奏情報編集再生装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子楽器などにおいて自動演奏や自動伴奏を行うための演奏情報の編集を行う演奏情報編集再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子楽器やコンピュータミュージックの技術分野において、音高データや例えばタイミングデータなどで構成されたスタイルデータと称する演奏情報を再生することにより自動伴奏を行うものがある。なお、このようなスタイルデータは打楽器やその他の伴奏パートなど複数のパートで構成されている。また、ユーザが複数パートからなるユーザ演奏データを作成し、あるいは編集して、このユーザ演奏データを再生することもできる。
【0003】
そして、このような演奏情報を編集再生する機能において、従来は次のような処理が行われている。
【0004】
複数パートで構成されたスタイルデータを利用してユーザ演奏データを作成するために、スタイルデータをユーザ演奏データとしてコピーする機能があるが、従来はスタイルデータをスタイル単位ですなわちスタイルの全パート一括してユーザ演奏データの記録領域に書き込むようになっている。
【0005】
また、再生時にはユーザ演奏データとスタイルデータとを同時に再生できるようになっている。
【0006】
また、録音スイッチとスタートスイッチの操作により、ユーザ演奏データの指定したパートに対して演奏データを録音(記録)できる録音モードがある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来の各機能では次のような問題がある。スタイルデータをユーザ演奏データに書き込む(コピーする)場合、スタイルの全パートが一括して書き込まれてしまうため、スタイルの一部のパートだけをコピーするなどして多用な演奏データを作成することができず、使い勝手が悪いという問題がある。
【0008】
また、ユーザ演奏データとスタイルデータとを同時に再生するので、ユーザが意図するような演奏を再生できないことがある。特に、スタイルデータとユーザ演奏データとでは、同じ音源チャンネルに重複して設定されるパートがある場合、音源では重複する音源チャンネルのパートをマージした楽曲が再生されてしまい、使い勝手が悪いという問題がある。
【0009】
さらに、録音スイッチとスタートスイッチで録音可能とする録音モードでは、ユーザがパートを指定している場合(記録が行われる場合)とユーザがパートを指定していない場合(記録が行われない場合)とで、表示状態が全く同じであり、演奏データが記録されているか否かを直感的に理解できず、使い勝手が悪いという問題がある。
【0010】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、ユーザ演奏データの作成、編集等を行う際に使い勝手のよい演奏情報編集再生装置を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1の演奏情報編集再生装置は、複数パートで構成されたスタイルデータを複数種類記憶するとともに、複数パートで構成されるユーザ演奏データを作成して記憶できる演奏情報編集再生装置において、画面上の演奏データ表示部に、前記ユーザ演奏データを各パート毎にそれぞれ所定の時間長でなる区間に区切られた時間位置とともにブロック表示するユーザ演奏データ表示手段と、前記複数種類のスタイルデータからスタイルデータを選択するスタイル選択手段と、前記画面上のスタイルデータ表示部に、前記選択されたスタイルデータを各パート毎にブロック表示するスタイルデータ表示手段と、ユーザの操作に応じて前記画面上に表示されたスタイルデータのブロックを指定乃至該指定されたブロックを前記演奏データ表示部上へ移動させる指示をするための操作入力手段と、前記操作入力手段により、前記スタイルデータ表示部上で、前記表示されたスタイルデータの各パートに対応するブロックのうち任意のブロックを指定する手段と、前記操作入力手段により、前記指定されたブロックを、演奏データ表示部に表示されたいずれかのパートの任意の時間位置に移動することによりユーザ演奏データ中のパートと時間位置を指定する手段と、前記指定されたブロックに対応するパートの演奏を行わせるためのデータを、前記指定されたユーザ演奏データ中のパートの時間位置に対応する前記区間の時間長分繰り返して書き込む手段と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項2の演奏情報編集再生装置は、請求項1の構成を備え、前記指定されたブロックに対応するパートの演奏を行わせるためのデータは該指定されたパートの演奏データであって、該演奏データを対応する和音情報に基づいて音高変換して前記ユーザ演奏データの指定されたパートの時間位置に書き込むようにしたことを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項3の演奏情報編集再生装置は、請求項1の構成を備え、前記書き込んだスタイルのデータに対応する前記演奏データ表示部における前記ブロックに前記選択したスタイルデータの前記指定したパートの表示をあわせて行うようにしたことを特徴とする。
【0017】
請求項1の演奏情報編集再生装置によれば、画面上の演奏データ表示部に、ユーザ演奏データの時系列な各パートがブロック表示されるとともに、指定されたスタイルデータを構成するパートがブロック表示される。そして、前記操作入力手段により、表示されたスタイルデータの任意のブロックを指定し、この操作入力手段により、指定したブロックを演奏データ表示部に表示されたいずれかのパートの任意の時間位置に移動するだけで、スタイルデータのうちの指定した所望のパートの演奏を行わせるためのデータを、ユーザ演奏データの任意の指定したパートに書き込むことができるので、多用な演奏データを作成することができ、使い勝手がよくなる。さらに、画面上を見ることで直感的にわかりやすく、変更を意図していない演奏パートの時間位置に誤ってスタイルデータを書き込んでしまうといった事態を未然に防ぐことも期待できる。また、スタイルのパートを繰り返し書き込むことができるので、アルペジオパターン等の繰り返し演奏を行うスタイルを容易にコピーでき、さらに、使い勝手がよくなる。
【0018】
請求項2の演奏情報編集再生装置によれば、請求項1と同様な作用効果が得られるとともに、さらに、コードシーケンス等の和音情報に合った演奏データとして書き込まれるので、再生時にコードシーケンス等を必要としないで単独で所望の演奏を再生するこでができる。
【0019】
請求項3の演奏情報編集再生装置によれば、請求項1と同様な作用効果が得られるとともに、書き込んだスタイルのデータに対応する演奏データ表示部におけるブロックに、選択したスタイルデータの指定したパートの表示をあわせて行うので、ユーザ演奏データの各パートに含まれるデータがスタイルデータからコピーしたものであるか否かを容易に判別できる。
【0020】
なお、スタイルデータのパートを選択するとともにパート表示領域の任意の位置を指定する方法として、スタイルデータのパートのブロックを例えばマウスでドラッグして演奏データ表示部の任意の位置にドロップするという方法を用いることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。図9は本発明の演奏情報編集再生装置をパーソナルコンピュータとソフトウエアで構成した実施形態のブロック図である。パーソナルコンピュータ本体は、CPU1、ROM2、RAM3、タイマ4、外部記憶装置5、検出回路6、表示回路7、通信インターフェース8、MIDIインターフェース9を備えている。
【0025】
検出回路6は入力インターフェースであり、マウス及びキーボード11の操作イベントを入力する。表示回路7はビデオカードやビデオチップ等であり、ディスプレイ12の表示制御を行う。また、通信インターフェース8はLAN(ローカルエリアネットワーク)やインターネットあるいは電話回線等の通信ネットワーク13に接続してサーバコンピュータ等との通信を行う。さらに、MIDIインターフェース9は音源装置(MIDI機器)14とMIDI通信を行い、ユーザ演奏データやスタイルデータの再生時にMIDIデータを音源装置14に出力し、音源装置14はサウンドシステム15から楽音を発生する。なお、タイマ4は、再生記録の割込み処理を行うための各割込み信号、あるいはキーボードの操作イベントの検出のための割込み処理を行うための各種クロック信号を発生する回路である。
【0026】
CPU1は例えば外部記憶装置5のハードディスク装置(HDD)にインストールされたOS(オペレーティングシステム)によりRAM3のワーキングエリアを使用して通常の制御を行う。具体的には、例えばディスプレイ12の表示の制御を行い、マウス及びキーボード11の操作に応じたデータを入力し、ディスプレイ12上のマウスポインタ(カーソル)の表示位置の制御やマウスのクリック操作の検出等を行う。これにより、ユーザによる入力設定操作等をディスプレイ12の表示とマウスの操作による所謂グラフィカル・ユーザ・インターフェース(GUI)の処理で実行する。
【0027】
外部記憶装置5はフロッピィディスク装置(FDD)、ハードディスク装置(HDD)、光磁気ディスク(MO)装置、CD−ROM装置、デジタル多目的ディスク(DVD)装置等であり、例えばこの外部記憶装置5から、演奏情報編集再生プログラムを供給する。また、外部記憶装置5は、作成したユーザ演奏データを保存するために用いたり、ユーザ演奏データの作成時の基本的な情報となる曲テンプレートデータやスタイルデータの各データベースとして利用する。
【0028】
また、通信インターフェース8を介して通信ネットワーク13に接続し、サーバコンピュータから演奏情報編集再生プログラムや曲テンプレートデータあるいはスタイルデータなどの各種データの配信を受けるようにすることもできる。なお、この実施形態では、演奏情報編集再生プログラム、曲テンプレートデータ、スタイルデータは外部記憶装置5のハードディスク装置(HDD)に記憶されており、CPU1は、このハードディスク装置(HDD)の演奏情報編集再生プログラムをRAM3に展開し、このRAM3のプログラムに基づいて演奏情報編集再生の処理を制御する。
【0029】
図3は実施形態におけるユーザ演奏データのフォーマットの一例を示す図であり、ユーザ演奏データは、ユーザが作成する、楽曲再生用のデータである。1つのユーザ演奏データは、メロディパートのパート1、伴奏パートのパート2、打楽器パートのパート3の3つのパートと、伴奏のスタイルの時系列データであるスタイルシーケンス、およびコード進行を示すコードシーケンスで構成されている。
【0030】
各パート1、2、3は、音色やテンポ等の初期情報の後に、タイミングと楽音イベントの情報が順次記録され、最後にエンドデータが記録される。また、スタイルシーケンスは、演奏の進行に合わせてスタイルを順次読み出すための情報であり、タイミングとスタイルを指示する指示イベントが順次記録され、最後にエンドデータが記録される。さらに、コードシーケンスは、演奏の進行に合わせて和音を指示するための情報であり、和音種類、根音、ベース音等を表す情報である和音イベントがタイミングとともに順次記録され、最後にエンドデータが記録される。なお、以下の説明で、パート1、2、3、スタイルシーケンスおよびコードシーケンスの各々を「トラック」ともいう。
【0031】
図4は実施形態におけるスタイルデータのフォーマットの一例を示す図である。このスタイルデータは、予め用意された伴奏再生用のデータであり、ジャズ、ロック等の多数の音楽ジャンル毎に複数種類ずつROM2や外部記憶装置5に記憶されている(つまり、用意されるデータそのものの内容を変更することはできない)。また、スタイルデータは、伴奏パートのパート2、打楽器パートのパート3の2つのパートで構成されており、各パート2、3は、音色等の初期情報の後に、タイミングと楽音イベントの情報が順次記録され、最後にエンドデータが記録される。なお、打楽器パート以外のパート2は、所定の基準和音(例えばCメジャ)に基づいた楽曲の楽譜に対応するデータであり、再生時にこのスタイルデータが読み出されるとコードシーケンスの和音に基づいて楽音イベント中の音高情報が和音に即した音高に変換される。
【0032】
ここで、前記ユーザ演奏データには、パート2、3に伴奏パートと打楽器パートが割り当てられ、さらにスタイルシーケンスによりスタイルデータを読み出して、このスタイルデータによっても伴奏パートおよび打楽器パートを再生できるような構成になっているが、これは、パート1のメロディと、スタイルシーケンスおよびコードシーケンスだけのデータでも、メロディに伴奏音(伴奏+打楽器)を付加できるようにするものである。一方、これとは別に、ユーザ演奏データでは、スタイルシーケンスを使わないで、各パート1、2、3のデータのみでメロディに伴奏音を付加するようにもできる。このような場合、ユーザー演奏データのパート2、3に伴奏パートと打楽器パートのデータを作成する必要があるが、このときスタイルデータから所望のパートをコピー(書込み)できるようにし、編集(作成)作業を容易にし、多様な演奏データを作成できるようにする。
【0033】
なお、ユーザ演奏データのパート2、3と、スタイルデータのパート2、3は、同番号のパート同士が同じ発音チャンネルに対応(アサイン)している。このため、従来のようにユーザ演奏データとスタイルデータとの両方を同時に再生すると、重複する発音チャンネルでマージした楽曲が再生されてしまっていた。
【0034】
図1は本発明の実施形態におけるユーザ演奏データの編集、作成時の表示画面の一例を示す図である。この画面は、図示しない初期画面でユーザ演奏データ(作成途中あるいは作成された演奏データ)を選択すると表示され、選択されたユーザ演奏データのトラック内容を示す演奏データ表示ウィンドウW1が表示される。また、画面スイッチとしてレックスイッチ(REC)SW1、スタートスイッチSW2、ストップスイッチ(STOP)SW3、モードセレクトスイッチ(MODE−SELECT)SW4が表示され、さらに、スタイルを選択する入力ボックスBが表示される。
【0035】
演奏データ表示ウィンドウW1において、PART−NAME表示部には「パート1」、「パート2」、「パート3」の各パート名が表示される。REC−PART表示部は、パート毎の記録モードの設定状況を表示する領域であり、図の例では、○印が表示されているパート2が記録モードに設定されており、パート1およびパート3は記録モードに設定されていないことを示している。なお、各パートに対応するREC−PART表示部でのマウスのクリック操作(以下、単に「クリック」という。)をする毎に、記録モードの設定/非設定が交互に切り換えられる。
【0036】
そして、レックスイッチSW1のクリックかつスタートスイッチSW2のクリックにより記録が開始され、その後入力されたデータは記録モード状態のパートに書き込まれる。このとき、スタートスイッチSW2は、記録開始前は図2の(A) のような表示であるが、スタートスイッチSW2をクリックしたとき、ユーザ演奏データの各パート1、2、3のどのパートも記録モード状態に設定されていなければ、図2の(B) のような表示となり、各パート1、2、3の少なくとも1つのパートが記録モード状態に設定されていると、図2の(C) のような表示となる。すなわち、ユーザ演奏データについてパートが記録用に指定されている場合と、パートが記録用に指定されていない場合とで、録音に係る表示の表示態様が異なるようになる。したがって、演奏データが現在記録されているか否かを直感的に理解することができる。
【0037】
PERFORMANCE−DATA表示部は、演奏データの各トラックの内容をブロックで表示する領域であり、左から右方向の横軸が時間経過方向に対応し、この時間経過方向を例えば小節等に対応する区間に区切る区切り線Lが表示されている。そして、データの記録されている場所(区間)に長円形のバーの形状をしたブロックがパート表示領域として表示されている。このPERFORMANCE−DATA表示部では、所望のブロックをダブルクリックして選択すると、選択されたブロック内の詳細データ(図示省略)が表示され、データの詳細な編集状態となる。なお、スタイルシーケンス、コードシーケンスについても、各シーケンス名が表示されるとともに、各シーケンスデータの内容がブロックにより表示される。
【0038】
図1の例では、パート1のトラックは、第1区間は演奏データがなく、第2および第3区間にユーザ作成による演奏データが記録されていることを示している。パート2のトラックは、第1区間はスタイルAのパート2の演奏データ(コピーしたデータ)が記録され、第2区間には演奏データがなく、第3区間にはユーザ作成による演奏データが記録されていることを示している。パート3のトラックは、第1〜3区間にわたってスタイルCのパート3の演奏データ(コピーしたデータ)が記録されていることを示している。スタイルシーケンスのトラックは、第1区間がスタイルA、第2および第3区間がスタイルBを指示することを示している。また、コードシーケンスのトラックは、第1区間が和音A、第2区間が和音BとC、第3区間が和音Dを指示することを示している。
【0039】
なお、図1中および以下の説明で、「ユーザ作成」、「スタイルA」、「スタイルC」、「スタイルA」、「スタイルB」、「和音A」、「和音B」、「和音C」、「和音D」の表記は、演奏データ名、スタイル名、和音名を一般的に表記するものであり、例えば表示画面(図1)では実際には対応する各名称が表示される。特に和音の「A〜D」は和音の根音に対応するものではない。
【0040】
入力ボックスBのSTYLE−SELECT表示部は、リストメニュー形式でスタイルを選択する領域であり、ダウンスイッチSW5をクリックすると、入力ボックスBの下にリストボックスが表示される。そして、このリストポックスないのリストからスタイルを選択(クリック)すると、その選択されたスタイル名が入力ボックスBに表示される。図の例では「スタイルA」が選択されている。このスタイルが選択されると、STYLE−SELECT表示部の横にスタイルデータ表示ウィンドウW2が表示され、このスタイル表示ウィンドウW2内に、選択されたスタイルを構成するパートがブロックにより表示される。図の例ではスタイルAが短いパート2と長いパート3で構成されていることを示している。
【0041】
そして、このスタイルデータ表示ウィンドウW2内の所望のブロック(パート)をクリックアンドドラッグし、演奏データ表示ウィンドウW1のPERFORMANCE−DATA表示部中の所望パートの所望位置でドロップすると、その位置にドラッグしたブロックのパートのデータが貼り付けられる。図1の例では、スタイルデータ表示ウィンドウW2のスタイルAのパート2のブロックがユーザ演奏データのパート2のトラックの第1区間に貼り付けられたものである。また、同様にして、別のスタイルCのパート3のブロックがユーザ演奏データのパート3のトラックの第1〜第3区間に貼り付けられたことを示している。
【0042】
なお、スタイルデータ表示ウィンドウW2のパート2のブロックの長さはPERFORMANCE−DATA表示部の1つの区間の長さより短いが、この場合、1つの区間に1回貼り付けることにより、その区間内でパート2を繰り返してその区間に合った長さの演奏データおよびブロックの表示とされたものである。また、ユーザ演奏データのパート3のトラックは、貼り付け元のスタイルCのパート3のブロック(図には示していないが図1のスタイルAのパート3と同様なブロック)を第1、第2、第3の各区間にそれぞれ貼り付けることにより、第1〜第3の区間にわたってパート3の繰り返しの演奏データおよびブロックの表示とされたものである。
【0043】
以上の機能により、ユーザ演奏データ中にスタイルデータの所望の1つのパートのデータを書き込むことができる。さらに、図1に示すように、異なるスタイル(スタイルAとスタイルC)のパートを同時間に平行して発音させることのできるユーザ演奏データを作成することも可能になる。
【0044】
ストップスイッチSW3は、再生動作および録音動作を停止するときにクリックするスイッチである。
【0045】
モードセレクトスイッチSW4は、伴奏パートとして読み出すデータを切り換えるときにクリックするスイッチであり、パート2とパート3のデータとして、スタイルデータを選択(採用)するかユーザ演奏データを選択(採用)するかの切り換えを行う。ユーザモード時には、ユーザ演奏データのパート2とパート3が選択され、スタイルモード時には、スタイルデータのパート2とパート3が選択される。なお、モードセレクトスイッチSW4は、ユーザモード時には図5の(A) のような表示となり、スタイルモード時には図5の(B) のような表示となり、表示色が変化する。
【0046】
図6〜図8はCPU1が実行する演奏情報編集再生プログラムのフローチャートであり、各フローチャートに基づいてCPU1の制御動作について説明する。図6のメイン処理を開始すると、まず、ステップS1で、編集対象とするユーザ演奏データの選択あるいは新規作成などの選択をする処理、選択もしくは新規作成されたユーザ演奏データに対応する画面(図1に対応する画面)を表示する処理、各種フラグのリセット等の初期化処理行う。次に、ステップS2でモードセレクトスイッチSW4のクリックイベントの有無を判定し、クリックイベントがなければステップS4に進み、クリックイベントがあればステップS3でMODEフラグの内容を反転(1→0/0→1)するとともに、モードセレクトスイッチSW4の表示態様を図5のように変更してステップS4に進む。なお、MODEフラグは、“0”のときスタイルモード時であり、“1”のときユーザモード時である。
【0047】
ステップS4では、スタートスイッチSW2のクリックイベントの有無を判定し、クリックイベントがなければステップS6に進み、クリックイベントがあればステップS5で、RECフラグの内容とユーザ演奏データのパートが記録モード状態に設定されているか否かに基づいて図2のように表示態様を変更する。また、RUNフラグに“1”をセットするとともに、演奏データの読出開始をセットし、ステップS6に進む。なお、RECフラグは、楽曲再生中に入力されるデータを演奏データに記録するか否かを表すフラグであり、“1”が記録することを示し“0”が記録しないことを示す。なお、RECフラグが“0”であれば、パートの記録モード状態の設定は判別されず、必ず再生状態(図2(B) )となる。また、RUNフラグは、後述の再生記録処理(割込み処理)を起動させるか否かを表すフラグであり、“1”が起動させることを示し、“0”が起動させないことを示す。
【0048】
ステップS6では図7の編集処理を行い、ステップS7でその他処理を行い、ステップS8でメイン処理の終了であるか否かを判定し、終了でなければステップS2に戻り、終了であれば処理を終了する。なお、ステップS7のその他処理では、ストップスイッチSW3のクリックによりRUNフラグを“0”にセットする処理、レックスイッチSW1のクリックでRECフラグの内容を反転する処理、REC−PART表示部のクリックで「○」の表示/非表示の表示態様の変更処理および該クリックに基づいた各パートの記録モード設定/非設定の状態を変更する処理を行う。
【0049】
以上のステップS5の処理により、記録モードの設定/非設定に応じて、スタートスイッチSW2の表示態様を異ならせることができる。
【0050】
図7の編集処理では、ステップS11で、STYLE−SELECT表示部でスタイルが選択されたか否かを判定し、スタイルが選択されなければステップS13に進み、スタイルが選択されれば、ステップS12で、選択されたスタイル構成パートをスタイルデータ表示ウィンドウW2にブロックで表示し、ステップS13に進む。ステップS13では、ブロックの移動(クリックアンドドラッグ)の有無を判定し、移動がなければステップS17に進み、移動があればステップS14でスタイルデータ(パート)のブロックの移動(スタイルデータ表示ウィンドウW2から演奏データ表示ウィンドウW1へのブロック移動)であるか否かを判定し、スタイルデータのブロックの移動でなければステップS16に進み、スタイルデータのブロックの移動であれば、ステップS15で移動位置に対応するコードシーケンサの内容(和音)に基づいて移動されたブロックのパートの音高情報を音高変換する。例えば図1のパート2の第1区間では、コードシーケンストラックの第1区間の和音Aに基づいて音高変換する。
【0051】
そして、ステップS16で、移動されたブロックの対応する演奏データ(ステップS15で音高変換した後のデータを含む)を楽音イベントのデータ形式により図3のユーザ演奏データの対応するパート部分に記録するとともに、表示部の表示(図1)を新たなユーザ演奏データに沿ったものに変換し、ステップS17に進む。例えば、図1のパート2の第1区間では、音高変換した後の演奏データ(スタイルAのパート2のデータ)を楽音イベントのデータ形式で図3のユーザ演奏データのパート2に記録する。
【0052】
ステップS17ではその他処理を行い、メインルーチンに復帰する。なお、ステップS17のその他処理では、ブロック内の詳細データの編集処理、ブロック長の伸張あるいは縮める処理を行い、ブロック長を延ばした場合はその延ばした分だけデータを繰り返して記録し、ブロック長を縮めた場合は余分なデータを削除する。また、このその他処理では、例えば図1のパート1の第2および第3区間あるいはパート2の第3区間のように、新規のブロック(演奏データ)を作成、編集する処理も行う。
【0053】
以上のステップS14、S15、S16の処理により、スタイルデータの一つのパートをユーザ演奏データのコードシーケンスに応じて音高変換してユーザ演奏データに記録(コピー)することができる。
【0054】
図8の再生記録処理は割込み処理でRUNフラグが“1”のとき(再生時)だけ起動され、ステップS21でMODEフラグが“0”であるか否かを判定する。MODEフラグが“0”でなければユーザモード時であるので、ステップS22で、ユーザ演奏データにおける各パートの今回タイミングのイベントについての処理を行なってステップS24に進み、MODEフラグが“0”であればスタイルモード時であるので、ステップS23で、スタイルシーケンスにより指示されるスタイルおよびコードシーケンスに基づいた今回タイミングのイベントと、スタイルデータのパート(前記の例ではパート2、3)と重複しないユーザ演奏データのパート(パート1)における今回タイミングのイベントについての処理を行なってステップS24に進む。
【0055】
ステップS24では、RECフラグが“1”であるか否かを判定し、RECフラグが“1”でなければ録音中でないので、そのまま元のルーチンに復帰し、RECフラグが“1”であれば録音中であるので、ステップS25で、記録モード状態のパートに、入力バッファ内の情報を演奏データのイベントとしてタイミングデータとともに記録し、元のルーチンに復帰する。この入力バッファは、例えばMIDIインターフェース9に接続された電子楽器を用いてのユーザ演奏に対応する情報を逐次記録しておくバッファであり、入力バッファ割込みタイミング毎のユーザ演奏の情報が記録される。そして、このバッファの内容は、ステップS25のパートへの記録処理毎にクリアされる。これにより、例えば図1のパート1のトラックの第2、第3区間やパート2のトラックの第3区間のブロック(演奏データ)を作成することができる。
【0056】
以上のステップS22、S23の処理により、ユーザ演奏データとスタイルデータの重複するパートが同時に再生されることがないので、ユーザの意図するような演奏を再生できる。
【0057】
なお、ユーザ演奏データにおけるパートの内容は実施形態のものに限らないが、実施形態のようにパート番号に対して所定のパート種類(楽器種類)が予め決められていることが好ましい。
【0058】
また、当然のことながら、ユーザ演奏データ中のパート数は実施形態のものに限らず、どうのような数にせよスタイルデータ中のパートと対応がとれていればよい。また、ユーザ演奏データのパートとスタイルデータのパートの対応を、パート番号ではなく、パートに設定された音色が一致するものを対応するパートと決めるようにしてもよい。
【0059】
また、実施形態では、スタイルデータが音楽のジャンル毎に複数種類ずつ記憶されているが、ジャンル毎およびバリエーション毎(イントロ、フィルイン、メイン、エンディングなど)に複数種類ずつ記憶しておいてもよい。
【0060】
さらに、実施形態におけるスタイルデータは複数のパートに対応するパートデータで記憶されているが、パートデータと共にそのスタイルデータに最適なコードシーケンスを記憶しておいてもよい。その場合、ユーザ演奏データへスタイルパート(スタイルブロック)を貼り付ける際には、スタイルデータ中のコードシーケンスにより音高を変換するとよい。
【0061】
スタイルデータをユーザ演奏データへ書き込む場合に、同じパート番号を持つパートにしか書き込めないようにしてもよい。
【0062】
また、スタイルシーケンスとコードシーケンスについても記録モードを各々設定できるようにしてもよい。
【0063】
また、ユーザ演奏データの各パートに記憶されるスタイルパートのデータは、楽音イベントのデータ形式でなく、対応するスタイルパートのデータを指示するデータであってもよい。
【0064】
以上の実施形態はパーソナルコンピュータとソフトウエアで構成したものであるが、本発明を電子楽器に適用することもできる。この場合、鍵盤楽器に限らず、弦楽器タイプ、管楽器タイプ、打楽器タイプ等の形態でもよい。また、自動演奏ピアノに適用してもよい。また、音源装置、シーケンサ、エフェクタなどそれぞれが別体の装置であって、MIDIあるいは各種ネットワーク等の通信手段を用いて各装置を接続するようなものであってもよい。
【0065】
ユーザ演奏データ、スタイルデータ、スタイルシーケンス、コードシーケンスのフォーマットは、イベントの発生時刻を1つ前のイベントからの時間で表した「イベント+相対時間」、イベントの発生時刻を曲や小節内における絶対時間で表した「イベント+絶対時間」、音符の音高と符長あるいは休符と休符長でイベントのタイミングを表した「音高(休符)+符長」、自動演奏の最小分解能毎にメモリの領域を確保し、イベントの発生する時刻に対応するメモリ領域に演奏イベントを記憶した「ベタ方式」等、どのような形式でもよい。
【0066】
また、前記実施形態では、演奏情報編集再生プログラムは外部記憶装置5のハードディスクに記録されている場合について説明したが、特に電子楽器等の場合ROM2に記録しておいてもよい。さらに、フロッピディスク、CD−ROM、MOディスク等の外部記憶装置5を使うようにしてもよい。このようにすると、演奏情報編集再生プログラムの新規インストールや追加あるいはバージョンアップ等が容易に行える。また、フロッピディスク、磁気ディスク(MO)等に演奏情報編集再生プログラムを記録しておいて、RAM3あるいはハードディスクに供給するようにしてもよい。
【0067】
また、通信インターフェース8、MIDIインターフェース9は、RS−232C、USB(ユニバーサル・シリアル・バス)、IEEE1394等の汎用のインターフェースでもよい。
【0068】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の演奏情報編集再生装置によれば、表示されたスタイルデータの任意のブロックを指定し、指定したブロックを演奏データ表示部に表示されたいずれかのパートの任意の時間位置に移動するだけで、スタイルデータのうちの指定した所望のパートの演奏を行わせるためのデータを、ユーザ演奏データの任意の指定したパートに書き込むことができるので、多用な演奏データを作成することができ、使い勝手がよくなるとともに、画面上を見ることで直感的にわかりやすく、変更を意図していない演奏パートの時間位置に誤ってスタイルデータを書き込んでしまうといった事態を未然に防ぐことも期待できる。また、スタイルのパートを繰り返し書き込むことができるので、アルペジオパターン等の繰り返し演奏を行うスタイルを容易にコピーでき、さらに、使い勝手がよくなる。
【0069】
請求項2の演奏情報編集再生装置によれば、請求項1と同様な効果が得られるとともに、さらに、コードシーケンス等の和音情報に合った演奏データとして書き込まれるので、再生時にコードシーケンス等を必要としないで単独で所望の演奏を再生するこでができる。
【0070】
請求項3の演奏情報編集再生装置によれば、請求項1と同様な効果が得られるとともに、書き込んだスタイルのデータに対応する演奏データ表示部におけるブロックに、選択したスタイルデータの指定したパートの表示をあわせて行うので、ユーザ演奏データの各パートに含まれるデータがスタイルデータからコピーしたものであるか否かを容易に判別できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は本発明の実施形態におけるユーザ演奏データの編集、作成時の表示画面の一例を示す図である。
【図2】実施形態におけるスタートスイッチの表示態様の変化を示す図である。
【図3】実施形態におけるユーザ演奏データのフォーマットの一例を示す図である。
【図4】実施形態におけるスタイルデータのフォーマットの一例を示す図である。
【図5】実施形態におけるモードセレクトスイッチの表示態様の変化を示す図である。
【図6】実施形態におけるメイン処理のフローチャートである。
【図7】実施形態における編集処理のフローチャートである。
【図8】実施形態における再生記録処理のフローチャートである。
【図9】本発明の演奏情報編集再生装置をパーソナルコンピュータとソフトウエアで構成した実施形態のブロック図である。
【符号の説明】
1…CPU、2…ROM、3…RAM、W1…演奏データ表示ウィンドウ、W2…スタイルデータ表示ウィンドウ、SW1…レックスイッチ、SW2…スタートスイッチ、SW4…モードセレクトスイッチ
Claims (3)
- 複数パートで構成されたスタイルデータを複数種類記憶するとともに、複数パートで構成されるユーザ演奏データを作成して記憶できる演奏情報編集再生装置において、
画面上の演奏データ表示部に、前記ユーザ演奏データを各パート毎にそれぞれ所定の時間長でなる区間に区切られた時間位置とともにブロック表示するユーザ演奏データ表示手段と、
前記複数種類のスタイルデータからスタイルデータを選択するスタイル選択手段と、
前記画面上のスタイルデータ表示部に、前記選択されたスタイルデータを各パート毎にブロック表示するスタイルデータ表示手段と、
ユーザの操作に応じて前記画面上に表示されたスタイルデータのブロックを指定乃至該指定されたブロックを前記演奏データ表示部上へ移動させる指示をするための操作入力手段と、
前記操作入力手段により、前記スタイルデータ表示部上で、前記表示されたスタイルデータの各パートに対応するブロックのうち任意のブロックを指定する手段と、
前記操作入力手段により、前記指定されたブロックを、演奏データ表示部に表示されたいずれかのパートの任意の時間位置に移動することによりユーザ演奏データ中のパートと時間位置を指定する手段と、
前記指定されたブロックに対応するパートの演奏を行わせるためのデータを、前記指定されたユーザ演奏データ中のパートの時間位置に対応する前記区間の時間長分繰り返して書き込む手段と、
を備えたことを特徴とする演奏情報編集再生装置。 - 前記指定されたブロックに対応するパートの演奏を行わせるためのデータは該指定されたパートの演奏データであって、該演奏データを対応する和音情報に基づいて音高変換して前記ユーザ演奏データの指定されたパートの時間位置に書き込むようにしたことを特徴とする請求項1記載の演奏情報編集再生装置。
- 前記書き込んだスタイルのデータに対応する前記演奏データ表示部における前記ブロックに前記選択したスタイルデータの前記指定したパートの表示をあわせて行うようにしたことを特徴とする請求項1記載の演奏情報編集再生装置。
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