JP3697322B2 - 改質プロピレン(共)重合体組成物およびその製造方法 - Google Patents

改質プロピレン(共)重合体組成物およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、改質プロピレン(共)重合体組成物に係り、さらに詳しくは優れた成形性を有する改質プロピレン(共)重合体組成物とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
結晶性プロピレン重合体は、機械的性質、耐薬品性等に優れ、また経済性とのバランスにおいて極めて有用なため各成形分野に広く用いられている。しかしながら、溶融張力が不足し、中空成形、発泡成形、押し出し成形、熱成形等の成形性に劣る場合がある。
【0003】
結晶性プロピレン重合体の溶融張力や結晶化温度を高くする方法として、結晶性ポリプロピレンに有機過酸化物と架橋助剤を混合し、該混合物を押出機により溶融混練する方法(特開昭59−93711号公報、特開昭61−152754号公報)があるが、架橋助剤を用いているため該方法によって得られた被処理結晶性ポリプロピレン組成物の用途が限られる。
【0004】
一方、特開平2−298536号公報には、酸素不存在下で半結晶性ポリプロピレンに電子線を照射して、自由端長鎖分岐を有しゲルを含まないポリプロピレンを得る方法が開示されている。しかし、半結晶性ポリプロピレンを使用するため成形品の剛性その他の物性に劣る場合がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記したように、公知発明の方法で得られた溶融張力や結晶化温度を高くされたプロピレン重合体は架橋助剤の使用のため用途が限られるほか、電子線による改質効率がさほど高くない等の課題を有していた。
【0006】
本発明者等は、上述の公知技術のような問題がなく、製造法が容易で、しかも溶融張力の不足による成形性不良の問題のないポリプロピレン樹脂を見出すべく鋭意研究を行なった。
その結果、いわゆるチーグラー・ナッタ触媒すなわち、遷移金属触媒成分と周期律表第I族〜第III 族金属の有機金属化合物触媒成分とからなる触媒をオレフィンとジアルケニルシラン類とで予備活性化処理して得られた予備活性化触媒を使用してプロピレンを重合又はプロピレンと他のオレフィンを共重合すると得られたプロピレン重合体組成物又はプロピレン・オレフィン共重合体組成物について次の関係が成立することが分かった。
すなわち、該プロピレン重合体組成物又はプロピレン・オレフィン共重合体組成物の230℃における溶融張力(MS)と固有粘度〔η〕(135℃、テトラリン中)との間に、
log(MS)>4.24log〔η〕−0.962・・・(I)
なる関係を有し、通常のものより高い溶融張力が得られた(後述式(II)参照)。
本発明においては、該プロピレン重合体組成物又はプロピレン・オレフィン共重合体組成物にさらに所要量の電離性放射線を照射することにより、さらに溶融時の強度と成形性が改善された改質プロピレン重合体組成物又は改質プロピレン・オレフィン共重合体組成物を得ることができることを見出し本発明に到達した。
以上の記述から明らかなように、本発明の目的は、上記公知発明の有する課題を解決し、中空成形、発泡成形、押出し成形、熱成形等に適するように溶融時の強度の改善された改質プロピレン(共)重合体組成物およびその製造法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は以下の(1)〜(6)の各構成を有する。
【0008】
(1)(a)オレフィン−ジアルケニルシラン類共重合体0.01〜5重量部、および(b)プロピレン単独重合体またはプロピレンと他のオレフィンとの共重合体100重量部、からなる230℃における溶融張力(MS)と固有粘度〔η〕(135℃、テトラリン中)との間に、log(MS)>4.24log〔η〕−0.962なる関係を有する高溶融張力を有するプロピレン(共)重合体組成物に電離性放射線を0.1〜100kGy照射し、ひきつづき80〜300℃で加熱処理してなる改質プロピレン(共)重合体組成物。
【0009】
(2)電離性放射線がγ線もしくは電子線である前記(1)に記載の組成物。
【0010】
(3)オレフィン−ジアルケニルシラン類共重合体中のジアルケニルシラン重合単位とオレフィン重合単位の重量比が0.001〜50%である前記(1)もしくは(2)に記載の組成物。
【0011】
(4)(i)遷移金属化合物触媒成分と(ii)周期律表第I族〜第III族から選ばれる金属を含む有機金属化合物触媒成分(RM1)、および必要に応じて、(iii)電子供与体(E1)を組み合わせてなる触媒系のもとに、オレフィンとジアルケニルシラン類を、該(i)遷移金属化合物触媒成分1g当たり0.01g〜5000g共重合してプロピレン(共)重合体製造用予備活性化触媒〔I〕を調製し、この〔I〕プロピレン(共)重合体製造用予備活性化触媒と〔II〕有機金属化合物触媒成分(RM2)、および必要に応じて、〔III〕電子供与体(E2)とからなるプロピレン(共)重合体製造用触媒の存在下に、プロピレンの単独重合、またはプロピレンと他のオレフィンとを共重合させ、(a)オレフィン−ジアルケニルシラン類共重合体0.01〜5重量部、および(b)プロピレン単独重合体またはプロピレンと他のオレフィンとの共重合体100重量部、からなる230℃における溶融張力(MS)と固有粘度〔η〕(135℃、テトラリン中)との間に、log(MS)>4.24log〔η〕−0.962なる関係を有する高溶融張力を有するプロピレン(共)重合体組成物を製造し、該組成物に更に電離性放射線を0.1〜100kGy照射し、しかる後80〜300℃で加熱処理することを特徴とする改質プロピレン(共)重合体組成物の製造方法。
【0012】
(5)電離性放射線がγ線もしくは電子線である前記(4)に記載の組成物の製造法。
【0013】
(6)プロピレン(共)重合体製造用予備活性化触媒〔I〕に含有されるオレフィン−ジアルケニルシラン類共重合体中のジアルケニルシラン重合単位とオレフィン重合単位の重量比が0.01〜50%である前記(4)もしくは(5)に記載の組成物の製造法。
【0014】
本発明の構成と効果について以下に詳述する。
なお、本発明に使用するプロピレン(共)重合体との用語はプロピレン単独重合体のみならず、重合体中にプロピレン以外のオレフィン重合単位を30重量%以下含んでいるプロピレン−オレフィンランダム共重合体およびプロピレン−オレフィンブロック共重合体も包含しており、以下プロピレン(共)重合体との記述はこうした意味で用いる。
【0015】
本発明の改質プロピレン(共)重合体組成物は、高溶融張力を有するプロピレン(共)重合体組成物に電離性放射線を照射することにより得られるが、前述のようにこの照射前のプロピレン(共)重合体組成物は、本発明の予備活性化を行なわずに得られる通常公知の直鎖状プロピレン重合体の溶融張力よりも高い溶融張力を有することが必須要件である。
因に、本発明の予備活性化を行なわずに得られる通常公知の直鎖状プロピレン重合体の230℃における溶融張力(MS)とテトラリン中で135℃で測定した固有粘度〔η〕との関係は、
log(MS)=4.24log〔η〕−1.217・・・(II)
で示される関係にあることが判明した。
したがって、高溶融張力を有するプロピレン(共)重合体組成物の230℃における溶融張力(MS)とテトラリン中で135℃で測定した固有粘度〔η〕との関係は、上記式(II)で表される要件を満足することは勿論であるが、更に
log(MS)>4.24×log〔η〕−0.962・・・(I)
で示される関係になければならない。
このようなプロピレン(共)重合体組成物にさらに電離性放射線を照射することにより、さらに成形性が改善され、本発明の顕著な効果を奏するものとなる。
【0016】
本発明においては、230℃における溶融張力(MS)は、(株)東洋精機製作所製メルトテンションテスター2型を用いて、装置内にて樹脂を230℃に加熱し、溶融した樹脂を直径2.095mmのノズルから20mm/分の速度で23℃の大気中に押し出してストランドとし、このストランドを3.14m/分の速度で引き取る際の糸状樹脂の張力を測定し、溶融張力(MS)とした。
【0017】
本発明で用いるプロピレン(共)重合体製造用予備活性化触媒〔I〕は、▲1▼遷移金属化合物触媒成分と▲2▼周期律表第I族〜第III 族から選択される金属を含む有機金属化合物触媒成分(RM1)、および必要に応じて、▲3▼電子供与体(E1)を組み合わせてなる触媒系のもとに、オレフィンとジアルケニルシラン類化合物とを共重合させることにより製造される。
ここで用いられるジアルケニルシラン類としては、特に限定はされないが、具体的には、ジメチルジアリルシラン、ジアリルシラン、ジメチルジビニルシラン、ジメチルジブテニルシラン、ジブテニルシラン、ジメチルジペンテニルシラン、ジペンテニルシラン等が挙げら、特にジメチルジアリルシランが好ましく挙げられる。これらのジアルケニルシラン類は1種のみならず2種以上用いることも可能である。
【0018】
また、ここで用いられるオレフィンとしては、特に限定はされないが、炭素数2〜12のオレフィンが好ましく用いられる。具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン等が挙げられ、なかでも、エチレン、プロピレン、1−ブテン、および4−メチル−1−ペンテンを用いることがより好ましく、更に好ましくは、エチレンが挙げられ、これらのオレフィンは1種のみならず2種以上使用することが可能であり、主オレフィンとしてエチレンを用い、共重合用オレフィンとしてプロピレンを用いることは本発明の好ましい態様である。
【0019】
なお、オレフィンを2種以上用いる場合には、予備活性化によって生成するオレフィン−ジアルケニルシラン類共重合体中のジアルケニルシラン類を除く全オレフィン成分中の主オレフィンが50〜99.99重量%、好ましく70〜99.99重量%、特に好ましくは90〜99.99重量%となるように2種以上のオレフィンの使用量を調整することが好ましい。
【0020】
本発明で使用されるプロピレン(共)重合体製造用予備活性化触媒〔I〕を得る際に行なわれる予備活性化は、該▲1▼遷移金属化合物触媒成分1g当たり0.01g〜5000gの量で、オレフィン−ジアルケニルシラン類共重合体を生成するように行なわれる。このオレフィン−ジアルケニルシラン類共重合体中のジアルケニルシランの重合単位の含有率は、最終的に得られるプロピレン(共)重合体組成物の溶融張力の向上効果の面から、0.001重量%〜50重量%となることが好ましい。より好ましくは0.005重量%〜40重量%、最も好ましくは0.01重量%〜30重量%である。
【0021】
オレフィン−ジアルケニルシラン類共重合による触媒の予備活性化は、重合容積1リットルあたり、▲1▼遷移金属化合物触媒成分を該触媒成分中の遷移金属原子に換算して、0.001〜5000ミリモル、好ましくは0.01〜1000ミリモル使用する。また、▲1▼遷移金属触媒成分中の遷移金属1モルに対し、▲2▼周期律表第I族〜第III 族から選択される金属を含む有機金属化合物を0.01〜1000モル、好ましくは0.05〜500モル用い、▲1▼遷移金属化合物触媒成分1gに対し、溶媒0〜100リットルを用いる。
なお、該予備活性化はブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、デカン、ドデカン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素、他にガソリン留分や水素化ジーゼル油留分等の不活性溶媒中や、オレフィン自身を溶媒とした液相中で行うこともでき、また、溶媒を用いずに気相中で行うことも可能である。
【0022】
予備活性化の条件は、▲1▼遷移金属化合物触媒成分1g当たり0.01g〜5000gの量で、(a)オレフィン−ジアルケニルシラン類共重合体を生成し、このオレフィン−ジアルケニルシラン類共重合体中のジアルケニルシラン類の重合単位の含有率が、得られるプロピレン(共)重合体組成物の溶融張力向上効果の面から、0.001重量%〜50重量%となれば、どのような予備活性化条件でもよい。
しかし、−40℃〜40℃、好ましくは−20℃〜30℃、更に好ましくは−10〜25℃の温度下、0.1MPa〜5MPa、好ましくは0.11〜4.5MPa、特に好ましくは0.12MPa〜4.0MPaの圧力下で、1分〜24時間、好ましくは5分〜18時間、特に好ましくは10分〜12時間かけて、予備活性下を行うのが望ましい。
【0023】
上述した予備活性化の前もしくは後に、付加的にオレフィンによる予備活性化処理を▲1▼遷移金属化合物触媒成分1gあたり100g以下の反応量で行うことも可能である。このときの有機金属化合物、溶媒の使用量は上記した本発明に係るオレフィン−ジアルケニルシラン類共重合による予備活性化と同様な範囲が適当である。
また、上記の付加的な予備活性化に使用される有機金属化合物、溶媒の種類および必要に応じて用いられる電子供与体については、本発明にかかるオレフィン−ジアルケニルシラン類共重合による予備活性化と同様なものが使用可能である。
【0024】
本発明で使用される予備活性化触媒〔I〕を製造する際に使用する▲1▼遷移金属化合物触媒成分としては、周期律表第III 族〜第VIII族から選択される遷移金属を含む化合物を挙げることができ、具体的にはTi、Zr、Hf、Nb、Ta、CrおよびVから選択される1種以上の遷移金属を含む化合物が挙げられる。
【0025】
このような▲1▼遷移金属化合物触媒成分としては、公知のオレフィン重合用触媒成分を挙げることができるが、具体的にはチタン化合物、マグネシウム化合物、および必要に応じて、分子内に酸素、窒素、燐、硫黄のいずれか1種以上を含む電子供与体を接触して得られる、チタン、マグネシウム、ハロゲンおよび必要に応じて電子供与体からなる担持型触媒成分や、四塩化チタンを還元して得られた三塩化チタン組成物と四価のチタン化合物および/または電子供与体を接触して得られる三塩化チタン系触媒成分が挙げられる。
また、シクロペンタジエニル化合物と遷移金属化合物を接触して得られるメタロセン化合物も使用可能である。該メタロセン化合物は更にSiO2 、Al23 等の無機化合物あるいはポリエチレン、ポリプロピレン等の高分子化合物に担持したものも使用可能である。
【0026】
また、上記の予備活性化触媒〔I〕を製造する際に使用されるもう一つの成分である▲2▼周期律表第I族〜第III 族から選択される金属を含む有機金属化合物触媒成分〔RM1〕としては、有機アルミニウム化合物、硼素系有機金属化合物が好適であり、有機アルミニウム化合物としては、下記の一般式〔1〕、〔2〕、〔3〕の化合物が挙げられる。
【0027】
【化1】
Figure 0003697322
(式中、R1 、R2 は炭化水素基またはアルコキシ基を、Xはハロゲンを表し、またp,qは0<p+q≦3の任意の整数を表す。)
【0028】
【化2】
Figure 0003697322
【0029】
【化3】
Figure 0003697322
(式中、R3 は炭化水素基を表し、pは4〜30の整数を表す。)
【0030】
一般式〔1〕の有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリn−プロピルアルミニウム、トリn−ブチルアルミニウム、トリn−ヘキシルアルミニウム、トリイソへキシルアルミニウム、トリn−オクチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、ジn−プロピルアルミニウムクロライド、ジイソブチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムブロマイド、ジエチルアルミニウムアイオダイド等のジアルキルアルミニウムモノハライド、ジエチルアルミニウムハイドライド等のジアルキルアルミニウムハイドライド、エチルアルミニウムセスキクロライド等のアルキルアルミニウムセスキハライド、エチルアルミニウムジクロライド等のモノアルキルアルミニウムジハライドなどが挙げられる。
また、他にジエトキシモノエチルアルミニウム等のアルコキシアルキルアルミニウムも挙げられる。これらのうちで好ましいものは、トリアルキルアルミニウムおよびジアルキルアルミニウムモノハライドである。これらの有機アルミニウム化合物は1種だけでなく、2種以上を混合して用いることもできる。
【0031】
一般式〔2〕、〔3〕の有機アルミニウム化合物の具体例としては、R3 がメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基、アリル基、2−メチルアリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、およびアリール基等である化合物が挙げられる。
これらのうち特に好ましいのは、アルキル基であり、各R3 は同一でも異なっていても良い。また、pは4〜30の整数であるが、好ましくは6〜30、特に好ましくは8〜30である。
【0032】
なお、▲2▼周期律表第I族〜第III 族から選択される金属を含む有機金属化合物触媒成分〔RM1〕として、有機アルミニウム化合物のほかに、硼素系有機金属化合物も好適であるが、この硼素系有機金属化合物は、遷移金属化合物と硼素原子を含むイオン性化合物とを反応させることにより得られる。
このとき用いられる遷移金属化合物としては、予備活性化触媒〔I〕を製造する際に使用する▲1▼遷移金属化合物触媒成分と同様なものが使用可能であるが、好ましく用いられるのは、シクロペンタジエニル化合物と遷移金属化合物を接触して得られるメタロセン化合物である。
また、硼素原子を含むイオン性化合物としては、具体的には、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリエチルアンモニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリ−n−ブチルアンモニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリフェニルアンモニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸メチルアニリウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ジメチルアニリウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリメチルアニリウム等が挙げられる。
【0033】
更に上記の予備活性化触媒〔I〕を製造する際に必要に応じて用いられる▲3▼電子供与体〔E1〕としては、分子内に酸素、窒素、燐、硫黄のいずれか1種以上を含む化合物が挙げられ、具体的にはSi−O結合を有する有機ケイ素化合物、エステル、エーテル等が好ましく用いられる。
【0034】
上記の予備活性化触媒〔I〕と周期律表第I族〜第III 族から選ばれる金属を含む〔II〕有機金属化合物触媒成分(RM2)、および必要に応じて〔III 〕電子供与体〔E2〕を組み合わせてなる触媒を用いてプロピレンを単独重合またはプロピレンと他のオレフィンと共重合することにより、プロピレン(共)重合体組成物は得られる。
【0035】
(b)プロピレン単独重合体またはプロピレンと他のオレフィンとの共重合体は、プロピレン単独重合、プロピレンと他のオレフィンとのランダム共重合や、プロピレンの単独重合、若しくはプロピレン以外のオレフィン含有量が3重量%以下となるようなプロピレンと少量のプロピレン以外のオレフィンとの共重合後に、プロピレンとプロピレン以外のオレフィンとのランダム共重合を実施する、いわゆるブロック共重合により得られる。
【0036】
プロピレン共重合体の重合に用いられるプロピレン以外のオレフィンとしては、特に限定はされないが、炭素数2〜12のオレフィンが好ましく用いられる。具体的には、エチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1等の直鎖モノオレフィン類、4−メチルペンテン−1、2−メチルペンテン−1等の枝鎖モノオレフィン類、更にはスチレン類等が挙げられ、なかでも、エチレン、1−ブテン、および4−メチル−1−ペンテンを用いることがより好ましく、更に最も好ましくは、エチレンを用いる態様が挙げられる。
【0037】
共重合に使用されるプロピレン以外のオレフィンは1種類にかぎらず2種類以上含まれていても差し支えない。具体的にはプロピレン−エチレン共重合、プロピレン−ブテン−1共重合、プロピレン−ヘキセン−1共重合、プロピレン−オクテン−1共重合、プロピレン−4−メチルペンテン−1共重合、プロピレン−エチレン−ブテン−1共重合、プロピレン−エチレン−4−メチルペンテン−1共重合、プロピレン−エチレン−ヘキセン−1共重合、プロピレン−エチレン−オクテン−1共重合等があげられる。
プロピレン共重合体中のプロピレン以外のオレフィン含有量は特に限定されないが、本来のプロピレン重合体の特徴を発揮させる関点から、30重量%以下であることが望ましい。
【0038】
本発明で使用されるプロピレン(共)重合体組成物を得るのに、上で詳述した予備活性化触媒〔I〕とともに必要な周期律表第I族〜第III 族から選択される〔II〕有機金属触媒成分(RM2)としては、予備活性化触媒〔I〕を得るのに用いられた▲2▼周期律表第I族〜第III 族から選ばれる金属を含む有機金属化合物触媒成分(RM1)と同様なものが使用可能であるが、具体的には、トリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムハライドハライド、アルキルアルミニウムセスキハライド、アルミノキサン等の有機アルミニウム化合物が好ましく用いられる。
【0039】
更に必要に応じて用いられる〔III 〕電子供与体〔E2〕としては、分子内に酸素、窒素、燐、硫黄のいずれか1種以上を含む化合物が挙げられ、具体的にはSi−O結合を有する有機ケイ素化合物、エステル、エーテル等が好ましく用いられる。
【0040】
以上の予備活性化触媒〔I〕と周期律表第I族〜第III 族から選択される金属を含む〔II〕有機金属化合物触媒成分(RM2)、および必要に応じて〔III 〕電子供与体〔E2〕を組み合わせてなる触媒を用いて、プロピレンの単独重合またはプロピレンと他のオレフィンとの共重合を、不活性溶媒中で実施するスラリー重合、プロピレン自身を溶媒とするバルク重合、プロピレンガスを主体とする気相重合やこれらを組み合わせた公知の重合方法によって、行うことにより得られるプロピレン(共)重合体組成物が本発明で使用されるプロピレン(共)重合体組成物である。
【0041】
上記のいずれの重合プロセスを使用する場合も、重合条件として特に制限はないが、重合温度は20℃〜120℃、好ましくは30〜100℃、特に好ましくは40〜100℃の範囲、重合圧力は0.1MPa〜5MPa、好ましくは0.3MPa〜5MPaの範囲において、連続的、半連続的、若しくはバッチ的に、重合時間は5分〜24時間程度の範囲で実施されるのが好ましい。
なお、重合時に水素を用いることで、得られる重合体の分子量を調節することが可能なことは、公知のオレフィンの重合法と同様である。また、使用する予備活性化触媒に由来する(a)オレフィン−ジアルケニルシラン類共重合体が、(b)プロピレン単独重合体またはプロピレンと他のオレフィンとの共重合体100重量部に対して、0.01重量部〜5重量部となるように重合条件を選定することが、本発明の効果を発揮するより好ましい態様である。
【0042】
本発明で使用されるプロピレン(共)重合体組成物のパウダーは、溶融混練機で溶融混練され、引き続いて粒状に切断し、ペレット化した後、各種用途に用いても構わない。なお、溶融混練機としては公知の通常の溶融混練機が用いられる。たとえば、一軸押出機、二軸押出機、これらとギヤポンプを組み合わせた押出機、ブラベンダー、バンバリーミキサー等である。
また溶融混練の際には、必要に応じて加熱溶融前に酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、造核剤、滑剤、難燃剤、アンチブロッキング剤、着色剤、無機質または有機質の充填剤等の各種添加剤を配合することができる。
【0043】
以上の方法により得られるプロピレン(共)重合体組成物は、前述した必須要件を満足していなければならない。
【0044】
かくして得られたプロピレン(共)重合体組成物は通常公知の方法で得られたプロピレン(共)重合体樹脂よりも溶融張力が高く、成形性に優れ、特に、中空成形、発泡成形、押出し成形、熱成形等に好適であるが、該成形分野に限らず、射出成形、T−ダイ成形により、各種工業用部品、中空容器等の各種容器、フィルム、シート、パイプ、繊維等の各種成形品に供することができる。
【0045】
本発明においては、該プロピレン(共)重合体組成物に電離性放射線を照射することにより、さらに成形性の優れた改質プロピレン(共)重合体組成物が得られる。
本発明の改質プロピレン(共)重合体組成物が、上述のプロピレン(共)重合体組成物よりもさらに中空成形、押出し成形、熱成形、発泡成形等に優れるには、改質プロピレン(共)重合体組成物の溶融時の強度がさらに上述のプロピレン(共)重合体組成物よりも改善されていることが必須要件である。
【0046】
具体的には、230℃における溶融張力(MS)とテトラリン中で135℃で測定した固有粘度〔η〕との関係が、
log(MS)>4.24×log〔η〕−0.740・・・(I’)
で示される関係を満たすことが好ましい。しかし、厳密には、用途により好ましい溶融時の強度が異なるため、上記のような溶融張力では、評価できない場合もある。例えば、発泡成形等においては、電離性放射線の照射線量等の照射条件を調節することによりゲル分を多量に発生させて、溶融時の強度を極端に変化させた方が成形性がよくなる場合もある。
このように、ゲル分の発生量が多量になると、溶融張力が測定できなくなり、溶融時の強度の改善を上記のような溶融張力と固有粘度の関係式で表せなくなるが、この場合も、成形性の改善がなされてさえいれば、本発明の範囲外とはならない。
【0047】
本発明に使用する電離性放射線としては、α線、β線、γ線、X線、電子線が挙げられるが、好ましいのは、γ線と電子線であり、実用上もっとも好ましいのは、電子線である。これらの電離性放射線の照射線量率は特に規定されないが、γ線の場合は、照射線量率として約2.6×10-2C・kg-1/h程度、また電子線の場合は、γ線の500倍以上の照射線量率での照射が可能になる。高線量率での照射が可能な電子線の場合には短時間で多量の改質プロピレン(共)重合体組成物が得られるので経済的に好ましい。
【0048】
プロピレン(共)重合体組成物に吸収させる電離性放射線の線量については、特に制限はないが、溶融時の強度の改善と経済性の面から、0.1〜100kGyとなる範囲が適当であり、より好ましくは0.5〜80kGyであり、最も好ましくは1〜60kGyである。
用途により、要される溶融時の強度も異なるので、それにあわせて吸収される電離性放射線の線量も調節されるのであるが、いずれの用途も上述の線量範囲であれば充分である。ただし、その範囲の中で、発泡成形は、他の用途よりも要される線量は、高くなる傾向にある。
【0049】
ここで(Gy)とは通常、放射線源に無関係に被照射物1Kgあたり、1Jのエネルギーの吸収を生じる電離性放射線の量と定義される。本発明においては、吸収線量は直接測定されないが、被照射物の表面におかれた公知の通常の線量計が吸収し、測定表示された線量と等価であることを意味する。
【0050】
プロピレン(共)重合体組成物への電離性放射線照射時の温度は、−10〜80℃、好ましくは−5〜60℃、特に好ましくは0〜50℃の範囲であれば適当である。また、照射時の雰囲気としては、空気中でも実施することが可能であるが、得られる改質プロピレン(共)重合体組成物の固有粘度のコントロール性と溶融粘弾性の改善の面から、不活性ガス雰囲気下、たとえば窒素雰囲気下において実施することが好ましい。
【0051】
本発明の方法において上記の電離性放射線照射後の被照射物は、引き続いて80〜300℃にて加熱処理を実施される。該加熱処理は被照射物中の残留ラジカルを消滅させる目的で実施されるが、加熱処理の1態様は、溶融混練機を用いて190〜350℃、より好ましくは190〜300℃、最も好ましくは200〜280℃にて加熱溶融混練することである。該溶融混練時間は、溶融混練機により異なり特定されないが、通常20秒〜30分程度で充分である。通常、溶融混練後は、引き続いて粒状に切断しペレット化される。
なお、溶融混練機としては公知の通常の溶融混練機が用いられる。たとえば、一軸押出機、二軸押出機、これらとギヤポンプを組み合わせた押出機、ブラベンダー、バンバリーミキサー等である。また溶融混練の際には、必要に応じて加熱溶融前に酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、造核剤、滑剤、難燃剤、アンチブロッキング剤、着色剤、無機質または有機質の充填剤等の各種添加剤を配合することができる。
【0052】
加熱処理の別の態様として、80〜150℃、より好ましくは100〜150℃にて加熱処理する方法がある。該態様は、得られる改質プロピレン(共)重合体組成物をパウダー状態で成形品製造の用に供する場合に好ましい態様である。さらにまた、80〜150℃の加熱処理後、さらに190〜350℃にて溶融混練する方法も本発明のより好ましい態様である。
【0053】
上記の加熱処理は、空気中でも実施することが可能であるが、得られる改質プロピレン(共)重合体組成物の固有粘度のコントロール性と溶融時の強度の改善の面から、不活性ガス雰囲気下、例えば窒素雰囲気下において実施することがより好ましい。
該加熱処理を実施しないと、得られる改質プロピレン(共)重合体組成物は経時劣化の大きい不安定なものとなってしまう。
【0054】
以上の方法により得られる改質プロピレン(共)重合体組成物が、本発明の目的を達成するには、前述した必須要件を有していなければならない。
【0055】
かくして得られた本発明の改質プロピレン(共)重合体組成物は、溶融時の強度が改善され、成形性に優れ、特に中空成形、発泡成形、押し出し成形、熱成形等に好適であるが、該成形分野に限らず、射出成形、T−ダイ成形により、各種工業用部品、中空容器等の各種容器、フィルム、シート、パイプ、繊維等の各種成形品の用に供することができる。
【0056】
【実施例】
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。実施例、比較例において用いられている用語の定義および測定方法は以下の通りである。
(1)固有粘度:〔η〕、記述の方法により測定した。(単位:dl/g)
(2)溶融張力:(MS)、記述の方法により測定した。(単位:cN)
【0057】
実施例1
「予備活性化触媒〔I〕の調製」
傾斜羽根を備えた撹拌機付きの容量1000mlの反応器に窒素ガス雰囲気下精製ヘキサン200ml、トリエチルアルミニウム3ミリモルおよび特開昭62−104812号公報における実施例1記載の方法で得られた塩化マグネシウム担持型チタン触媒成分をチタン原子換算で1.1ミリモル添加した後、25℃の温度でプロピレンを0.13MPaの圧力で73分間、この反応器に供給することにより、プロピレン6.6グラム重合させた。
プロピレンの供給が終了したところで反応器内を窒素で置換し、上澄み液の除去および精製ヘキサンの添加からなる操作を3回行った後、精製ヘキサン200mlで再懸濁して、窒素雰囲気を保ってジエチルアルミニウムエトキサイトを7.0ミリモル、ジメチルジアリルシランを30ミリモル添加した。
その後、エチレンを0.17MPaの圧力、20℃の温度で100分間供給することにより、エチレンが25.2グラム反応するまで、ジメチルジアリルシランと共重合させた。
エチレンの供給が終わったところで、反応器内を窒素で置換し、上澄み液の除去および精製ヘキサンの添加からなる洗浄操作を5回行った後、精製ヘキサン200mlで再懸濁して予備活性化触媒〔I〕を得た。
【0058】
「プロピレン重合体組成物の製造」
内容積3リットルのオートクレープに窒素ガス雰囲気下、精製ヘキサン1500ml、トリエチルアルミニウム3.0ミリモル、ジイソプロピルジメトキシシラン0.3ミリモルおよび予備活性化触媒〔I〕をTi原子換算で0.042ミリモル挿入した後、70℃の温度で水素300mlをプロピレン圧で封入し、その後、反応器の圧力を0.79MPaに保って、60分間、プロピレンを供給した。重合終了後、生成固体を含む固体を濾過し、白色粉末と液相に分離した。この白色粉末を乾燥した後、プロピレン重合体組成物を346g得た。
【0059】
「プロピレン重合体組成物パウダーへの電子線の照射」
得られたプロピレン重合体組成物のパウダーをコック付きポリエチレンテレフタレート製の袋に200g入れた。ついで袋内を真空にしてから窒素ガスを大気圧まで供給する操作を10回繰り返して袋内を窒素ガス雰囲気とし、電子線照射用コンベア上にプロピレン重合体組成物の厚みが1cmとなるように袋を固定した。
電子線照射はコッククロフト・ウォルトン型電子線加速器を使用し、加速電圧2MV、電流値1.0mAの条件下で照射窓下20cmのところを、コンベア上のポリエチレンテレフタレート製の袋に入れたプロピレン重合体組成物の吸収線量が10.0kGyとなるようにコンベアを通過させることにより(コンベア速度:0.97m/分)行なった。このときの照射時の温度は25℃であった。
続いて電子線照射後のプロピレン重合体組成物を、ポリエチレンテレフタレート製の袋に入った窒素雰囲気の状態のままオーブン内に持ち込み、同オーブン内にて135℃の温度条件下、30分間加熱処理することにより、改質プロピレン重合体組成物のパウダーを得た。
【0060】
「改質プロピレン重合体組成物パウダーの造粒」
該改質プロピレン重合体組成物100重量部に対して、テトラキス[メチレン−3−(3’−5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン0.1重量部、およびステアリン酸カルシウム0.1重量部を混合し、該混合物をスクリュー径15mmの押出造粒機を用いて230℃にて溶融混練、造粒し、ペレット化された改質プロピレン重合体組成物を得た。
【0061】
比較例1
実施例1の電子線の照射工程のみを省いた他は、実施例1と同様にして、ペレット化されたプロピレン重合体組成物を得た。
【0062】
比較例2
実施例1の予備活性化触媒〔I〕の調製工程において、ジメチルジアリルシランを用いないことと、実施例1の電子線照射工程を省くこと以外は、実施例1と同様にして、ペレット化されたプロピレン重合体組成物を得た。
【0063】
比較例3
実施例1のエチレンとジメチルジアリルシランとによる予備活性化工程と、電子線照射工程とを省くこと以外は、実施例1と同様にして、ペレット化されたプロピレン重合体を得た。
【0064】
比較例4
実施例1の予備活性化触媒〔I〕の調製工程において、ジメチルジアリルシランを用いないこと以外は、実施例1と同様にして、ペレット化されたプロピレン重合体組成物を得た。
【0065】
比較例5
実施例1のエチレンとジメチルジアリルシランとによる予備活性化工程を省いた以外は、実施例1と同様にしてペレット化されたプロピレン重合体を得た。
以上の実施例1、比較例1、2、3、4、5の条件および結果を表1に示す。
【0066】
【表1】
Figure 0003697322
【0067】
実施例2
実施例1と同様にして得た改質プロピレン重合体組成物のペレットについて、260℃にてT−ダイ付きのスクリュー径が65mmである押出機を用いて、押出シーティングを行い、厚さ0.5mmのシートを得た。次にシートの加熱真空成形性をモデル的に評価するため、該シートを40cm四方の枠に固定し、210℃の恒温室に入れて、挙動を観察した。
シートは加熱により、中央部が垂下し始め、38mm垂下したところで、垂下が停止し、逆に垂下部が上昇した。垂下停止後11秒間を経過すると再びシートは垂下し始め、以後は垂下するのみであった。垂下量が少なくまた再垂下開始までの時間が11秒間と長く、該シートは加熱真空成形性に極めて優れていることが判明した。
【0068】
比較例6
比較例1と同様にして得たプロピレン重合体組成物のペレットについて、260℃にてT−ダイ付きのスクリュー径が65mmである押出機を用いて、押出シーティングを行い、厚さ0.5mmのシートを得た。次にシートの加熱真空成形性をモデル的に評価するため、該シートを40cm四方の枠に固定し、210℃の恒温室に入れて、挙動を観察した。
シートは加熱により、中央部が垂下し始め、40mm垂下したところで、垂下が停止し、逆に垂下部が上昇した。垂下停止後7秒間を経過すると再びシートは垂下し始め、以後は垂下するのみであった。
【0069】
比較例7
比較例2と同様にして得たプロピレン重合体組成物のペレットについて、260℃にてT−ダイ付きのスクリュー径が65mmである押出機を用いて、押出シーティングを行い、厚さ0.5mmのシートを得た。次にシートの加熱真空成形性をモデル的に評価するため、該シートを40cm四方の枠に固定し、210℃の恒温室に入れて、挙動を観察した。
シートは加熱により、中央部が垂下し始め、43mm垂下したところで、垂下が停止し、逆に垂下部が上昇した。垂下停止後4秒間を経過すると再びシートは垂下し始め、以後は垂下するのみであった。上記実施例2に比較して、垂下量が大きく、また再垂下開始までの時間が4秒間と短く、該シートは加熱真空成形性に劣っていた。
【0070】
比較例8
比較例3と同様にして得たプロピレン重合体のペレットについて、260℃にてT−ダイ付きのスクリュー径が65mmである押出機を用いて、押出シーティングを行い、厚さ0.5mmのシートを得た。次にシートの加熱真空成形性をモデル的に評価するため、該シートを40cm四方の枠に固定し、210℃の恒温室に入れて、挙動を観察した。
シートは加熱により、中央部が垂下し始め、45mm垂下したところで、垂下が停止し、逆に垂下部が上昇した。垂下停止後3秒間を経過すると再びシートは垂下し始め、以後は垂下するのみであった。上記実施例2に比較して、垂下量が大きく、また再垂下開始までの時間が3秒間と短く、該シートは加熱真空成形性に劣っていた。
【0071】
比較例9
比較例4と同様にして得たプロピレン重合体のペレットについて、260℃にてT−ダイ付きのスクリュー径が65mmである押出機を用いて、押出シーティングを行い、厚さ0.5mmのシートを得た。次にシートの加熱真空成形性をモデル的に評価するため、該シートを40cm四方の枠に固定し、210℃の恒温室に入れて、挙動を観察した。
シートは加熱により、中央部が垂下し始め、48mm垂下したところで、垂下が停止し、逆に垂下部が上昇した。垂下停止後3秒間を経過すると再びシートは垂下し始め、以後は垂下するのみであった。上記実施例2に比較して、垂下量が大きく、また再垂下開始までの時間が3秒間と短く、該シートは加熱真空成形性に劣っていた。
【0072】
比較例10
比較例5と同様にして得たプロピレン重合体のペレットについて、260℃にてT−ダイ付きのスクリュー径が65mmである押出機を用いて、押出シーティングを行い、厚さ0.5mmのシートを得た。次にシートの加熱真空成形性をモデル的に評価するため、該シートを40cm四方の枠に固定し、210℃の恒温室に入れて、挙動を観察した。
シートは加熱により、中央部が垂下し始め、49mm垂下したところで、垂下が停止し、逆に垂下部が上昇した。垂下停止後3秒間を経過すると再びシートは垂下し始め、以後は垂下するのみであった。上記実施例2に比較して、垂下量が大きく、また再垂下開始までの時間が3秒間と短く、該シートは加熱真空成形性に劣っていた。
【0073】
【発明の効果】
本発明において、予備活性化触媒の存在化に製造される高溶融張力を有するプロピレン(共)重合体組成物に、電離性放射線を照射して得られる改質プロピレン(共)重合体組成物は、前記実施例にも示したように、溶融時の強度が改善されているので、成形性に優れている。
特に中空成形、発泡成形、押出し成形、熱成形等に好適であるが、これらの成形分野に限らず、射出成形、T−ダイ成形により、各種工業用部品、中空容器等の各種容器、フィルム、シート、パイプ、繊維等の各種成形品の用に供することができる。したがって、プロピレン系重合体の利用分野が大幅に拡大される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るプロピレン(共)重合体組成物の製造方法を例示するフローシートである。

Claims (6)

  1. (a)オレフィン−ジアルケニルシラン類共重合体0.01〜5重量部、および(b)プロピレン単独重合体またはプロピレンと他のオレフィンとの共重合体100重量部、からなる230℃における溶融張力(MS)と固有粘度〔η〕(135℃、テトラリン中)との間に、log(MS)>4.24log〔η〕−0.962なる関係を有する高溶融張力を有するプロピレン(共)重合体組成物に電離性放射線を0.1〜100kGy照射し、ひきつづき80〜300℃で加熱処理してなる改質プロピレン(共)重合体組成物。
  2. 電離性放射線がγ線もしくは電子線である請求項1に記載の組成物。
  3. オレフィン−ジアルケニルシラン類共重合体中のジアルケニルシラン重合単位とオレフィン重合単位の重量比が0.001〜50%である請求項1もしくは請求項2に記載の組成物。
  4. (i)遷移金属化合物触媒成分と(ii)周期律表第I族〜第III族から選ばれる金属を含む有機金属化合物触媒成分(RM1)、および必要に応じて、(iii)電子供与体(E1)を組み合わせてなる触媒系のもとに、オレフィンとジアルケニルシラン類を、該(i)遷移金属化合物触媒成分1g当たり0.01g〜5000g共重合してプロピレン(共)重合体製造用予備活性化触媒〔I〕を調製し、この〔I〕プロピレン(共)重合体製造用予備活性化触媒と〔II〕有機金属化合物触媒成分(RM2)、および必要に応じて、〔III〕電子供与体(E2)とからなるプロピレン(共)重合体製造用触媒の存在下に、プロピレンの単独重合、またはプロピレンと他のオレフィンとを共重合させ、(a)オレフィン−ジアルケニルシラン類共重合体0.01〜5重量部、および(b)プロピレン単独重合体またはプロピレンと他のオレフィンとの共重合体100重量部、からなる230℃における溶融張力(MS)と固有粘度〔η〕(135℃、テトラリン中)との間に、log(MS)>4.24log〔η〕−0.962なる関係を有する高溶融張力を有するプロピレン(共)重合体組成物を製造し、該組成物に更に電離性放射線を0.1〜100kGy照射し、しかる後80〜300℃で加熱処理することを特徴とする改質プロピレン(共)重合体組成物の製造方法。
  5. 電離性放射線がγ線もしくは電子線である請求項4に記載の組成物の製造法。
  6. プロピレン(共)重合体製造用予備活性化触媒〔I〕に含有されるオレフィン−ジアルケニルシラン類共重合体中のジアルケニルシラン重合単位とオレフィン重合単位の重量比が0.01〜50%である請求項4もしくは請求項5に記載の組成物の製造法。
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