JP3695848B2 - 耐熱性フィルム接着剤およびその製造方法 - Google Patents

耐熱性フィルム接着剤およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱性と加工性を併せもち、エレクトロニクス用途、特に半導体実装材料として適したシリコン基板や金属に対する接着力に優れたフィルム接着剤と、その製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体チップが高機能大容量化によって大型化する一方、パッケージの大きさはプリント回路設計上の制約、電子機器小型化の要求などから従来と変わらない、あるいはむしろ小さな外形を要求されている。この傾向に対応して、半導体チップの高密度化と高密度実装に対応した新しい実装方式が幾つか提案されている。一つはメモリー素子に提案されているダイ・パッドのないリードフレームの上にチップを載せるCOL(チップ・オン・リード)構造と、その発展形であるチップの上にリードを載せるLOC(リード・オン・チップ)構造である。一方、論理素子には電源、グランドを別フレームにし、さらに放熱のための金属プレートを多層化した多層リードフレーム構造がある。これらによるとチップ内配線やワイヤー・ボンディングの合理化、配線短縮による信号高速化、消費電力の増大に伴って発生する熱の放散等と素子サイズの小型化を図ることができる。
【0003】
この新しい実装形態では、半導体チップとリードフレーム、リードフレームとプレート、リードフレーム同士など同種異種材質の接着界面が存在し、その接着信頼性が素子の信頼性に非常に大きな影響を与える。素子組立作業時の工程温度に耐える信頼性は勿論のこと、吸湿時、湿熱時などの接着信頼性である。さらに接着作業性も重要な項目である。
【0004】
従来、これらの接着にはペースト状の接着剤や耐熱性基材に接着剤を塗布したものが使用されていた。エポキシ樹脂系、アクリル樹脂系、ゴム−フェノール樹脂系の熱硬化性樹脂が接着剤として使用されているが、イオン性不純物が多い、加熱硬化に高温長時間を必要とし生産性が悪い、加熱硬化時に多量の揮発分が発生しリードを汚染する、吸湿性が高い、など高信頼性接着剤としての要求を満たしているとは言い難く、満足できる材料が見当らない。新しい実装形態に適した接着剤の開発が求められている。その一つの方法としてポリイミド樹脂を用いたホットメルト型のフィルム接着剤が挙げられる(特開平5-105850,112760,112761号 公報参照)。ホットメルトタイプの接着剤であれば、短時間に被着体に熱圧着することが可能であり、接着後の加熱硬化工程が必要ではなくなり、生産性、信頼性の向上に大きく寄与すると考えられる。しかしながら、ホットメルト型であるがため接着剤樹脂のガラス転移温度が高いと加工に非常に高温を要し、被着材に熱損傷を与える恐れが大きい。一方、低温加工性を付与するためガラス転移温度を下げると耐熱性が下がり、よって信頼性が低下するという問題点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、低温での加工性に優れた耐熱性フィルム接着剤を得るべく鋭意研究を重ねた結果、特定構造のポリイミド樹脂にエポキシ化合物および該エポキシ化合物と反応可能な活性水素基を有する多官能性アミノ化合物、およびシランカップリング剤を添加すると、上記課題を解決することができることを見出し、本発明に到達したものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ガラス転移温度が350℃以下の有機溶剤に可溶なポリイミド樹脂100重量部に対して、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物5〜100重量部、該エポキシ化合物と反応可能な活性水素基を有する一般式(1)で表される多官能性アミノ化合物0.1〜20重量部、シランカップリング剤0.1〜20重量部を主たる接着剤樹脂成分とする耐熱性フィルム接着剤およびその製造方法に関する。
【0007】
【化1】
Figure 0003695848
(式中、nは2から10の整数)
【0008】
本発明の接着剤樹脂の必須成分である成分(A)ポリイミド樹脂は、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物およびエチレングリコールビストリメリット酸二無水物、無水ピロメリット酸からなる群より選ばれた1種または2種以上のテトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとを重合させることにより得られたものであることが好ましい。
前記ポリイミドの製造に用いられる芳香族ジアミンとして、例えば、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシ)ヘキサフルオロプロパン、ビス−4−(4−アミノフェノキシ)フェニルスルフォン、ビス−4−(3−アミノフェノキシ)フェニルスルフォンなどを挙げることができ、それらを単独、あるいは併用して使用することができる。
また前記ポリイミドのジアミン成分の一成分として式(2)で表されるシロキサン化合物をジアミン成分総量の5〜50モル%用いることがより好ましい。
【0009】
【化2】
Figure 0003695848
(式中、R1,R2:2価の、炭素数1〜4の脂肪族基または芳香族基
R3,R4,R5,R6:1価の脂肪族基または芳香族基
k:1〜20の整数)
【0010】
式(2)で表されるシロキサン化合物が、ジアミン成分の総量の5モル%より少ないと得られるポリイミドの有機溶剤への溶解性が低下し、50モル%を越えるとガラス転移温度が著しく低下し耐熱性に問題が生じる。さらに、一般式(2)で表されるシロキサン化合物として具体的には、下記一般式(4)で表されるα,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン(APPS)が好ましく、特にkの値が4〜10の範囲が、ガラス転移温度、接着性、耐熱性の点から好ましい。これらのシロキサン化合物は単独で用いることは勿論、2種類以上を併用することもできる。特にk=1と、上記k=4〜10のものをブレンドして用いることは、接着性を重視する用途では好ましい。
【0011】
【化4】
Figure 0003695848
(式中、k:1〜20の整数)
【0012】
重縮合反応における酸成分とアミン成分の当量比は、得られるポリアミック酸の分子量を決定する重要な因子である。ポリマの分子量と物性、特に数平均分子量と機械的性質の間に相関があることは良く知られている。数平均分子量が大きいほど機械的性質が優れている。従って、実用的に優れた強度を得るためには、ある程度高分子量であることが必要である。本発明では、酸成分とアミン成分の当量比rが
0.900 ≦ r ≦ 1.060
より好ましくは
0.975 ≦ r ≦ 1.025
の範囲にあることが好ましい。ただし、r=[全酸成分の当量数]/[全アミン成分の当量数]である。rが0.900未満では、分子量が低くて脆くなるため接着力が弱くなる。また1.06を越えると、未反応のカルボン酸が加熱時に脱炭酸してガス発生、発泡の原因となり好ましくないことがある。
本発明のポリイミド樹脂の分子量制御のため、ジカルボン酸無水物あるいはモノアミンを添加することは、上述の酸/アミン モル比の範囲であれば特にこれを妨げない。
【0013】
テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの反応は、非プロトン性極性溶媒中で公知の方法で行われる。非プロトン性極性溶媒は、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、テトラヒドロフラン(THF)、ジグライム、シクロヘキサノン、1,4−ジオキサン(1,4−DO)などである。非プロトン性極性溶媒は、一種類のみ用いてもよいし、二種類以上を混合して用いてもよい。この時、上記非プロトン性極性溶媒と相溶性がある非極性溶媒を混合して使用しても良い。トルエン、キシレン、ソルベントナフサなどの芳香族炭化水素が良く使用される。混合溶媒における非極性溶媒の割合は、30重量%以下であることが好ましい。これは非極性溶媒が30重量%以上では溶媒の溶解力が低下しポリアミック酸が析出する恐れがあるためである。テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの反応は、良く乾燥したジアミン成分を脱水精製した前述反応溶媒に溶解し、これに閉環率98%、より好ましくは99%以上の良く乾燥したテトラカルボン酸二無水物を添加して反応を進める。
【0014】
このようにして得たポリアミック酸溶液を、続いて有機溶剤中で加熱脱水環化してイミド化しポリイミドにする。イミド化反応によって生じた水は閉環反応を妨害するため、水と相溶しない有機溶剤を系中に加えて共沸させてディーン・スターク(Dean-Stark)管などの装置を使用して系外に排出する。水と相溶しない有機溶剤としてはジクロルベンゼンが知られているが、エレクトロニクス用としては塩素成分が混入する恐れがあるので、好ましくは前記芳香族炭化水素を使用する。また、イミド化反応の触媒として無水酢酸、β-ピコリン、ピリジンなどの化合物を使用することは妨げない。
【0015】
本発明において、イミド閉環は程度が高いほど良く、イミド化率が低いと使用時の熱でイミド化が起こり水が発生して好ましくないため、95%以上、より好ましくは98%以上のイミド化率が達成されていることが望ましい。
【0016】
本発明では、得られたポリイミド溶液にそのままエポキシ化合物や該エポキシ化合物と反応可能な活性水素基を有する多官能性アミノ化合物およびシランカップリング剤を添加し、樹脂ワニスを調整し支持体に塗布しても良いが、該ポリイミド溶液を貧溶媒中に投入してポリイミド樹脂を再沈析出させて未反応モノマを取り除いて精製することが好ましい。精製、乾燥したポリイミド樹脂およびエポキシ化合物や該エポキシ化合物と反応可能な活性水素基を有する化合物およびカップリング剤を有機溶剤に溶解して塗布ワニスとする。この時使用する溶剤は反応溶媒と同じでも良いが、塗布乾燥工程の作業性を考え沸点の低い、好ましくは沸点が200℃以下の溶剤を選択することが好ましい。200℃以下の溶剤として、本発明ではケトン系溶剤として、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンを、エーテル系溶剤として、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグライムを、アミド系溶剤として、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドを挙げることができる。これらの溶剤は単独で使用しても良いし、2種以上を混合して用いることもできる。
【0017】
本発明の接着剤樹脂において使用する成分(B)エポキシ化合物は、少なくとも1分子中に2個のエポキシ基を有するものであれば特に限定されるものではないが、ポリイミド樹脂の溶媒への溶解性が良好なものが好ましい。例えば、ビスフェノールA型のジグリシジルエーテル、ビスフェノールF型のジグリシジルエーテル、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂等が挙げられる。
前記エポキシ樹脂の配合量は成分(A)ポリイミド樹脂100重量部に対して5〜100重量部、特に10〜70重量部の範囲にあることが好ましい。5重量部未満では、未硬化のエポキシ化合物を添加し、樹脂組成物の軟化温度を下げ低温加工性をあげるという効果が現れにくく、100重量部をこえるとポリイミド樹脂の耐熱性を損なうこととなり好ましくない。
【0018】
本発明の接着剤樹脂において使用する成分(C)該エポキシ化合物と反応可能な活性水素基を有する多官能性アミノ化合物は、成分(A)のポリイミド樹脂や成分(B)のエポキシ樹脂との相溶性、ポリイミド樹脂の溶媒への溶解性が良好なものが好ましい。具体的にはアニリン樹脂が挙げられる。成分(C)の配合割合は成分(A)のポリイミド樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部、より好ましくは0.5〜10重量部である。0.1重量部未満では、エポキシ化合物の反応率が極端に低くなり本発明にて望まれる効果が現れない。高温時の樹脂の弾性率が低下している時の樹脂フローの制御が困難である。20重量部を越えると樹脂溶液状態でゲルが生じやすくなり、加工性が損なわれ、また樹脂組成物の耐熱性を損ない好ましくない。さらにアニリン樹脂に求められる特性として軟化点が60〜120℃であることがより好ましい。軟化点が120℃以上では成形加工温度を下げることができず、60℃以下では加工温度を下げることはできても成形物の耐熱性が著しく低下する場合が生じ好ましくない。
【0019】
また本発明の耐熱性樹脂組成物において使用する成分(D)シランカップリング剤は、成分(A)や成分(B)、(C)との相溶性、ポリイミド樹脂の溶媒への溶解性が良好なものが好ましく、特にビニルシラン、エポキシシラン、アミノシラン等が好適に挙げられる。中でも特に一般式(3)で表されるカップリング剤(アミノ系シラン)が好ましい。
【0020】
【化3】
Figure 0003695848
(式中、Yはアミノ基を有する有機基
1は炭素数1〜4の2価の炭化水素基
2は炭素数1〜4のアルキル基
3は炭素数1〜4のアルキル基
mは1〜3の整数を表す。)
【0021】
具体例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン 、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシランなどを挙げることができ、これらは併用することもできる。シランカップリング剤の配合割合は成分(A)のポリイミド樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部、より好ましくは0.5〜10重量部である。0.1重量部未満では、当該樹脂組成物を接着用途に用いる場合、被着材との密着性を向上させる効果が現れない。20重量部をこえると樹脂組成物のライフが短くなり加工性が低下する場合があり、また樹脂組成物の耐熱性を損ない、好ましくない。
【0022】
本発明の耐熱性樹脂組成物にはその加工性、耐熱性を損なわない範囲で微細な無機充填材が配合されていても良い。
樹脂ワニスには表面平滑性を出すための平滑剤、レベリング剤、脱泡剤などの各種添加剤を必要に応じて添加することができる。また、溶剤の蒸発速度を調節するために均一に溶解する範囲で芳香族炭化水素系溶剤を使用することもできる。
本発明において樹脂ワニスをフィルム接着剤とするには、樹脂ワニスを流延あるいは塗布して得られ、例えば耐熱性フィルム基材を支持体として用い、その片面または両面に同様にフィルム層を形成させ、支持体と共にフィルム接着剤としたり、ロール、金属シート、ポリエステルシートなどの離型シートの上にフローコーター、ロールコーターなどによりフィルムを形成させ、加熱・乾燥後剥離してフィルム接着剤とするなどの方法で得ることができる。
【0023】
本発明において使用する耐熱性フィルム基材は、ポリイミド樹脂フィルムが熱膨張係数が小さく温度変化に対する寸法安定性に優れていること、可撓性に富み取り扱い易いこと、本発明の樹脂との密着力が優れている点で好ましい。特にガラス転移温度 350℃以上のポリイミド樹脂は、塗布ワニスを乾燥する工程での作業性、安定性の点で優れている。
樹脂ワニスの塗布・乾燥は、フローコーター、ロールコーターなどの塗布設備と熱風乾燥炉を組み合わせた装置などを用いることができる。樹脂ワニスを支持体に塗工後、熱風乾燥炉に導きワニスの溶剤を揮散させるに十分な温度と風量でもって乾燥する。
本発明のフィルム接着剤の使用方法は特に限定されるものではないが、所定の形状に切断して加熱したヒートブロックで熱圧着して接着するなど、接着テープとして使用することができる。
【0024】
本発明のフィルム接着剤は、有機溶剤に可溶なガラス転移温度が350℃以下のポリイミド樹脂100重量部に対して、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物5〜100重量部、多官能性アミノ化合物0.1〜20重量部、シランカップリング剤0.1〜20重量部を主たる樹脂成分として含有されていることを特徴とする。この樹脂の見かけ上のガラス転移温度は、主成分のポリイミド樹脂のガラス転移温度より低下し低温加工性が向上する。一方、ガラス転移温度より高温域での接着力は該ポリイミド樹脂より向上し、IRリフローなどの熱衝撃を与えても剥離が認められないなどの、高温域での物性が向上する。この特異な現象に対する詳細な機構は未だ明らかではない部分もあるが、エポキシ化合物と該エポキシ化合物と反応可能な活性水素基を有する多官能性アミノ化合物が反応した低分子量の生成物は、特定構造のポリイミド樹脂に対して可塑剤として作用し、該ポリイミド樹脂のガラス転移温度より低温域での弾性率を低下せしめ、よって接着性、加工性など低温での作業性の向上をもたらす。一方、ガラス転移温度より高温域では、その与えられた熱によって三次元網目構造が形成され、ポリイミド樹脂の流動性を低下せしめ、よって該ポリイミド樹脂の耐熱性を維持あるいは向上せしめると考えられる。以上の機構によって低温加工性と高温時の耐熱信頼性の両立がはかられる。また、化学反応を伴う熱硬化性接着剤に比べると極めて短時間に接着可能である。テープ状に加工することにより、接着作業性、接着部の寸法精度を優れたものにすることができる。以下実施例により本発明を詳細に説明するが、これらの実施例に限定されるものではない。
【0025】
【実施例】
(ポリイミド樹脂PI−1の合成)
乾燥窒素ガス導入管、冷却器、温度計、撹拌機を備えた四口フラスコに、脱水精製したNMP791gを入れ、窒素ガスを流しながら10分間激しくかき混ぜる。次に2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン(BAPP)73.8926g(0.180モル)、1,3−ビス(3−アミノフェキシ)ベンゼン(APB)17.5402g(0.060モル)、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン(APPS 式(4))50.2200g(平均分子量837、0.060モル)を投入し、系を60℃に加熱し、均一になるまでかき混ぜる。均一に溶解後、系を氷水浴で5℃に冷却し、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)44.1330g(0.150モル)、エチレングリコールビストリメリット酸二無水物(TMEG)61.5445g(0.150モル)を粉末状のまま15分間かけて添加し、その後3時間撹拌を続けた。この間フラスコは5℃に保った。
【0026】
その後、窒素ガス導入管と冷却器を外し、キシレンを満たしたディーン・スターク管をフラスコに装着し、系にキシレン198gを添加した。油浴に代えて系を 175℃に加熱し発生する水を系外に除いた。4時間加熱したところ、系からの水の発生は認められなくなった。冷却後この反応溶液を大量のメタノール中に投入し、ポリイミド樹脂を析出させた。固形分を濾過後、80℃で12時間減圧乾燥し溶剤を除き、227.79g(収率92.1%)の固形樹脂を得た。KBr錠剤法で赤外吸収スペクトルを測定したところ、環状イミド結合に由来する5.6μmの吸収を認めたが、アミド結合に由来する6.06μmの吸収を認めることはできず、この樹脂はほぼ100%イミド化していることが確かめられた。
【0027】
このようにして得たポリイミド樹脂は、ガラス転移温度が148℃、引っ張り弾性率が180kgf/mm2、ジメチルホルムアミド(DMF)、1,4−ジオキサン(1,4−DO)に良く溶解することが確かめられた。
【0028】
(ポリイミド樹脂PI−2およびPI−3の合成)
前記のポリイミド樹脂PI−1の合成と同様にして、PI−2およびPI−3を得た。得られたポリイミド樹脂PI−1、PI−2およびPI−3の物性を表1に示した。
【0029】
【表1】
Figure 0003695848
【0030】
配合の欄のBTDA、ODPA、DPXは3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、2,5−ジメチル−p−フェニレンジアミンをそれぞれ表し、APDSは1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(式(2)においてk=1)を表す。
溶解性の欄のSは該当する溶媒に溶解することを示す。ガラス転移温度はDSC測定により求めた。引張り試験は室温、引張り速度5mm/minにて測定した。ヤング率は粘弾性スペクトロメーターにより求めた。
【0031】
(実施例1)
(塗布ワニスの調整)
ガラス製フラスコにポリイミド樹脂PI−1、100gとDMF355gを入れ、室温で充分に撹拌し、ポリイミドを完全に溶解させる。均一に溶解した後、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピコート828、油化シェルエポキシ(株)製)40gを加え室温にて2時間撹拌した。その後均一に溶解していることを確認して、シランカップリング剤(トリスメトキシエトキシビニルシラン、KBC1003、信越化学(株)製)5gを加え室温にて1時間撹拌した。均一に溶解していることを確認して、アニリン樹脂PR−AF−S(軟化点78℃、アミノ基含有量10.2重量%、住友デュレズ(株)製)5.0gを系を撹拌しながら徐々に加えた。引き続き2時間撹拌し塗布ワニスを作製した。この溶液組成物は、室温にて5日間放置してもゲル化せず均一な溶液の状態のままであった。
【0032】
(耐熱性フィルム接着剤の製造)
前記のワニスをリバースロールコーターでポリイミドフィルム(商品名ユーピレックスSGA、厚み50μm、宇部興産(株)製)の片面に塗布し、接着剤層の厚みが30μmの接着テープを得た。乾燥温度は最高195℃で乾燥時間20分であった。このフィルム接着剤を42アロイプレートに熱圧着して試験片を作製し(250℃2秒間熱圧着し、圧を解放後250℃で30秒間アニールした。接着面にかかる圧力はゲージ圧力と接着面積から計算の結果4kgf/cm2であった。)、テンシロンにて180度ピール強度を測定した結果を表2に示す。接着強度は常態およびプレッシャークッカー(125℃、48時間、飽和100%)で処理した後の室温での180度ピール強度を測定したものである(引張り速度50mm/min)。試験片の破断面は接着樹脂層が凝集破壊し、発泡は全く認められなかった。
【0033】
(実施例2)
前記のワニスをリバースロールコーターで二軸延伸ポリエステルフィルム(商品名ダイヤホイル、厚さ50μm、ダイアホイルヘキスト(株)製)に塗布し、乾燥後ポリエステルフィルムから剥離し、30μm厚みの支持体なしの均一な単層フィルム接着剤を得た。剥離は容易で特に支障はなかった。実施例1と同様に42アロイのプレートに接着した結果を表2に示す。
【0034】
(実施例3〜5)
実施例1および2と同様にして、表2に示す配合にて塗布ワニスを調整しフィルム接着剤を得た。得られた評価結果を表2に示す。
【0035】
【表2】
Figure 0003695848
【0036】
溶解性の欄のSは、該当する溶媒に溶解することを示す。ガラス転移温度はDSC測定により求めた。引張り試験は室温、引張り速度5 /minにて測定した。ヤング率は粘弾性スペクトロメーターにより求めた。使用する成分(B)エポキシ化合物について、エピコート828はビスフェノールA型エポキシ化合物、油化シェルエポキシ(株)製、YX−4000Hはビフェニル型エポキシ化合物エピコートYX−4000H、油化シェルエポキシ(株)製、EOCN−1020はクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、日本化薬(株)をそれぞれ示している。使用する成分(D)カップリング剤はKBC1003(トリスメトキシエトキシビニルシラン)、、KBE1003(トリエトキシビニルシラン)、KBM573(N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン)信越化学(株)製を使用した。
【0037】
(比較例1、2および3)
ポリイミド樹脂のみの樹脂組成物あるいは成分(B)〜(D)のうちで一種または二種加えた樹脂組成物を調整し、ポリイミドフィルム(ユーピレックス)の片面に塗布し、フィルム接着剤を得た。42アロイプレートとの接着強度を実施例と同様にして測定し、その結果を表3に示した。
【0038】
【表3】
Figure 0003695848
【0039】
表2、3の結果から、実施例のフィルム接着剤の接着強度は吸湿加熱後でもその強度はわずかしか低下していない。、また吸湿後熱時の接着強度は、常態と比べて低下するものの、比較例のそれと比べて強度が大きく低下することを防ぐことが可能である。
以上のことから本発明により、吸熱時の接着強度が大きく低下することを防ぎ、耐熱性と成形加工性に優れたフィルム接着剤を得られることが示される。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、耐熱性と成形加工性を両立させた信頼性の高いフィルム接着剤を提供することが可能である。低沸点溶媒に可溶であるため残留溶媒をほぼ完璧になくすことが可能で、また既にイミド化されているため、加工時にイミド化のための高温過程が不要で水分の発生も無い。またタックのないフィルムとして使用することができるので連続作業性やクリーンな環境を必要とする場合に非常に有効である。このため高信頼性と耐熱性を要求するエレクトロニクス用材料として工業的に極めて利用価値が高い。

Claims (7)

  1. (A)有機溶剤に可溶なガラス転移温度が350℃以下のポリイミド樹脂100重量部、(B)1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物5〜100重量部、(C)一般式(1)で表される多官能性アミノ化合物0.1〜20重量部及び(D)シランカップリング剤0.1〜20重量部を主たる成分とする耐熱性フィルム接着剤。
    Figure 0003695848
    (式中、nは2から10の整数)
  2. 成分(A)が一般式(2)で表されるシロキサン化合物をアミン成分総量の5〜50モル%含有してなるポリイミド樹脂である請求項1記載の耐熱性フィルム接着剤。
    Figure 0003695848
    (式中、R1,R2:2価の、炭素数1〜4の脂肪族基または芳香族基
    R3,R4,R5,R6:1価の脂肪族基または芳香族基
    k:1〜20の整数)
  3. シランカップリング剤が一般式(3)で表されることを特徴とする請求項1記載の耐熱性フィルム接着剤。
    Figure 0003695848
    (式中、Yはアミノ基を有する有機基
    1は炭素数1〜4の2価の炭化水素基
    2は炭素数1〜4のアルキル基
    3は炭素数1〜4のアルキル基
    mは1〜3の整数を表す。)
  4. (A)有機溶剤に可溶なガラス転移温度が350℃以下のポリイミド樹脂100重量部、(B)1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物5〜100重量部、(C)一般式(1)で表される多官能性アミノ化合物0.1〜20重量部及び(D)シランカップリング剤0.1〜20重量部を主たる成分とする樹脂組成物を、支持体の片面又は両面に流延成形する耐熱性フィルム接着剤の製造方法。
  5. (A)有機溶剤に可溶なガラス転移温度が350℃以下のポリイミド樹脂100重量部、(B)1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物5〜100重量部、(C)一般式(1)で表される多官能性アミノ化合物0.1〜20重量部及び(D)シランカップリング剤0.1〜20重量部を主たる成分とする樹脂組成物を、支持体の上に流延成形後、乾燥後、支持体から剥離して得る耐熱性フィルム接着剤の製造方法。
  6. 成分(A)が一般式(2)で表されるシロキサン化合物をアミン成分総量の5〜50モル%含有してなるポリイミド樹脂である請求項4又は5記載の耐熱性フィルム接着剤の製造方法。
  7. シランカップリング剤が一般式(3)で表されることを特徴とする請求項4又は5記載の耐熱性フィルム接着剤の製造方法。
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