JP3693323B2 - ミシンにおけるスプレッダーの駆動装置 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ミシンのスプレッダー駆動装置に関し、針棒の昇降動作に同期して起動するステッピングモーターに駆動されるレバーに、例えば上飾り縫い用とかスモック縫い用のスプレッダーを取り付けるとともに、スプレッダーの揺動中心を、上記縫い方の選択に応じた好適な位置に移動できるようにしたことを特長とするものである。
【０００２】
【従来の技術】
本出願人は、前に、上飾り縫い用またはスモック縫い用のスプレッダーをステッピングモーターに駆動させるようにした上飾り縫い装置として、特願２０００−１８９４１７号、特願２００１−１７１３７号を出願している。
上記先願の装置を含めて、一般の上飾り縫い装置は、スモック縫い用と上飾り付き偏平縫い用とに分かれていて、ほとんどがそれぞれ所定の縫い方のみを縫製するように構成されている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、先端にスプレッダーを取り付けてステッピングモーターに駆動されるレバーの揺動中心を、選択された縫い方に応じて、それぞれ最も目飛びの発生がなく、針とスプレッダーとの干渉を回避した最適な位置に移動させられるようにしたスプレッダー駆動装置を提供しようとするものである。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために本発明は、ミシンの押えの背後側に取り付けられるフレームに、ステッピングモーターと支持軸を設け、支持軸に、後端に扇形歯車を具え、前端にスプレッダーを取り付けたレバーを揺動自在に嵌装し、レバーの扇形歯車をステッピングモーターの出力軸に駆動される歯車に噛合させるとともに、針の昇降動作にステッピングモーターの作動を同期させてレバーを揺動させ、その前端に具えたスプレッダーを押えの上面に沿って往復駆動させるようにしたミシンにおけるスプレッダーの駆動装置であって、
前記フレームを、前記ステッピングモーターと前記支持軸および前記レバーを備えた可動フレームと、ミシンへの取付け用の固定フレームとに２分し、両フレーム間に、ミシン側に固定される固定フレームに対して上記可動フレームをミシンの針位置と平行に適宜の距離移動させるとともに、移動先に保持する移動手段を付設して、縫い方に応じて前記スプレッダーの揺動中心を変位できるようにしたスプレッダーの駆動装置を提供するものである。
【０００５】
上記のように構成した本発明スプレッダー駆動装置は、例えば上飾り縫いとかスモック縫いを選択した場合には、選択した縫い方に応じて、ステッピングモーターと支持軸およびレバーを備えた可動フレームを移動させて、スプレッダーの揺動中心となる支持軸の位置を、目飛びの発生がなく、針とスプレッダーとの干渉を回避した最適な位置に移動させられるようにすることができる。
【０００６】
請求項２の発明は、上前支持軸に、それぞれ扇形歯車を具えた前記レバーを上下２段に嵌装し、一方のレバーの扇形歯車を前記ステッピングモーターの出力軸に取り付けた駆動歯車に噛合させ、他方のレバーの扇形歯車を、上記駆動歯車と噛合して該歯車と互いに逆回転する従動歯車に噛合させて、ステッピングモーターの作動により、この上下２段のレバーを上下で互いに逆方向に往復駆動させるように備え、各レバーの先端に、上飾り縫い用スプレッダーとスモック縫い用スプレッダーとを交換可能に取り付け、前記移動手段を操作して、上飾り縫い使用時には、前記支持軸の位置をミシンに向かって右側に変位させて上飾り縫い用スプレッダーを揺動させ、スモック縫い使用時には針位置の中心線上に上記支持軸を変位させて、スモック縫い用スプレッダーを揺動させるようにしたもので、スプレッダーの揺動中心を選択されたそれぞれの縫い方に最適な位置に置けるようにしたものである。
【０００７】
請求項３の発明は、前記移動手段を、可動フレーム上の複数個所に配置した固定ピンと、各固定ピンをそれぞれ嵌合してミシンの針位置と平行に誘導するように前記固定フレームに設けた複数の長孔と、長孔を貫通する上記各固定ピンの上端に止着した止め具によって、可動フレームを固定フレームの裏面に沿って密着させ、かつ、摺動可能に圧接させる押え板と、上記固定フレーム上に立設された支点軸に揺動自在に備えられ、中間に具えた長孔に、上記可動フレーム上に立設した支持ピンを嵌合した切換え操作レバーと、この切換え操作レバーの先端部と上記可動フレームの一端との間に張設されて、上記可動フレームを上飾り縫い位置とスモック縫い位置とに保持するトッグルばねとによって構成したものであって、スプレッダーの揺動中心の移動操作と移動先の位置の保持とが、比較的に簡単な構造で容易にできるようにしたことを特長としている。
【０００８】
請求項４の発明は、支持軸上の一方のレバーの基部に適宜長のロッドを固定し、ロッドの先端に、カウンターバーを着脱自在に連結する一方、前記可動フレームに布送り方向に沿ってスライドガイド部を設け、このスライドガイド部に、上記カウンターバーを摺動を自在にして嵌装するとともに、該バーの先端に、上飾り縫い用の糸案内を取り付けて、この糸案内を、上飾り縫い時に、他方のレバーの揺動に同期させて、針位置の側方で前後に摺動させて、スプレッダーに対する給糸がスムーズに行われるようにすることと、針とスプレッダーとの干渉を可及的に回避できるようにしたことを特長とするのである。
【０００９】
【実施例】
以下に本発明の実施例を図面について説明する。
図１は、実施例の駆動系路の要部とともに、上飾り縫い時の使用状態を説明する一部切欠平面図、図２は、同上の側面図、図３は、実施例をスモック縫いに切り換えた場合の使用状態を説明する一部切欠平面図、図４は同上の側面図である。
【００１０】
図１、２において、１は、図示省略の押えの背後側に備えられ、ステッピングモーター２を断面Ｌ字形をなすフレームの側面に付け、支持軸３を平面上に縦に設置した可動フレーム、４（４ａ、４ｂ）は、支持軸３に揺動自在に嵌装した上下２段のレバー、５は、上段のレバー４ａの前端（図示右側）に取り付けた上飾り縫い用のスプレッダー、６（６ａ、６ｂ）は、レバー４の後端（図示左側）にそれぞれ一体形成した扇形歯車、７は、ステッピングモーター２の出力軸８に傘歯車伝動機構９を介して上段の扇形歯車６ａと噛合し、上段のレバー４ａ、スプレッダー５を押えの上面に沿って往復駆動させる原動歯車、１０は、原動歯車７と、下段の扇形歯車６ｂとに噛み合って、下段のレバー４ｂを上段のレバー４ａに対して同じ振り幅で互いに逆方向に往復駆動させる従動歯車である。
【００１１】
図１に示す上飾り縫い使用状態において、この実施例は、上段のレバー４ａのみにスプレッダー５を取り付け、下段のレバー４ｂの基部に固定したロッド１１の先端に、接続部材１３を介してカウンターバー１２を連結し、カウンターバー１２の中間部を、可動フレーム１の一端（図示右側）に布送り方向に沿って設けたスライドガイド部１４に摺動自在に嵌装し、針位置１５の右側方にあってカウンターバー１２の先端に取り付けた糸案内１６を前後（図示左右）に往復させる。糸案内１６は、スプレッダー５が接近するときに前進していて、後退するスプレッダー５に上飾り糸を引き出させる動作を反復する。
【００１２】
そして、上飾り縫い用スプレッダー５が、振り幅の左位置から右へ反転するのに合わせて、糸案内１６は、最大後退位置から同時に前進し、図２に示すように裏面に回り込むスプレッダー５の先端のフック５’に上飾り糸を掛けさせ、復動するスプレッダー５に上飾り糸を引き出させつつ後退しつつ、図示省略の針の内で針先の高い１乃至２本の針の下を潜って針先の低い左側の針に手前側から上飾り糸を掛けさせて戻るように動作する。
また、糸案内１６は、第２針の針落ち時には右端の針に上飾り糸をループさせつつ前進し、最大に前進した位置で上述のようにして再び上飾り糸をスプレッダー５のフック５’に掛けさせることを反復し、その反復によって上飾り付き偏平縫いが行われる。
【００１３】
次にこの実施例を、図３に示すスモック縫い使用状態に移行させる場合について説明する。
ステッピングモーター２、支持軸３およびレバー４ａ、４ｂ等を搭載した前記可動フレーム１は、図２に示すように、上面に、断面Ｌ字形に形成された固定フレーム１７を重ね合わせていて、両フレーム間に備えた移動手段１８を操作することによって、図３、４に示すスモック縫い使用状態に移行させることができる。
【００１４】
ミシン側に取り付けられる固定フレーム１７に対して、可動フレーム１を縫い方に応じた位置に移動させる移動手段１８には様々な態様が考えられるが、この実施例にあっては、移動手段１８は、図示のように、可動フレーム１上に３個所に配置した固定ピン１９と、各固定ピン１９をそれぞれ嵌合して針位置１５と平行に誘導するよう固定フレーム１７に貫設した同数の長孔２０と、固定フレーム１７に重ね合わされて、各固定ピンの上端に止着した止め具２１によって、可動フレームを固定フレームの裏面に沿って密着させ、かつ、摺動可能に圧接させる押え板と、固定フレーム１７の一端（図１の上部）に立設された支点軸２３に揺動自在に支承され、中間に具えた長孔２４に、上記可動フレーム１上に立設した支持ピン２５を嵌合した切換え操作レバー２６と、切換え操作レバー２６の先端部２６’と可動フレーム１の一端との間に張設されて、可動フレーム１を上飾り縫い位置とスモック縫い位置とに保持するトッグルばね２７とによって構成されている。
【００１５】
切換え操作に先立って、上段のレバー４ａから上飾り縫い用のスプレッダー５と、カウンターバー１２と、糸案内１６を外した後、図１において上部に位置する切換え操作レバー２６を図中虚線矢印方向に切り換えると、各固定ピン１９と長孔２０とに誘導されて、固定フレーム１７の裏面に沿って可動フレーム１が、搭載したステッピングモーター２、支持軸３、レバー４ａ、４ｂとともに、針位置１５と平行に移動して、支持軸３が図１中に示すＰ１点から図３中に示すＰ２点に移動する。
【００１６】
移動後の可動フレーム１は、トッグルばね２７の牽引と止め具２１の密着により所定位置に強固に保持される。この実施例の移動距離Ｌは１０ｍｍで、Ｐ２点に移動した支持軸３は、図３に示すように、針位置１５の中心線Ｓ上に正対する。
【００１７】
上記のようにして、Ｐ２点に支持軸３を移動させた上下のレバー４ａ、４ｂの先端部の差込み孔２８に、上飾り縫いスプレッダー５に代えて、スモック縫い用のスプレッダー５ａ、５ｂを装着することによりスモック縫いの準備が整う。
Ｐ２点に移動後の支持軸３にそれぞれの揺動中心をおく上下のレバー４ａ、４ｂは、起点を針位置１５の中心線Ｓとする振り幅の中で、前記上飾り縫い時と同様に交互に逆方向に揺動する。
なお、スモック縫いの作動の詳細な説明については従来公知の縫製に準ずるので省略する。
【００１８】
なお図中、２９は、下段のレバー４ｂから弧状に延設した検知板、３０は、検知板２９と係合して、レバー４ａ、４ｂを原点復帰させるためのセンサー、３１は、可動フレーム１側に取り付けられるセンサー３０の基板、３２は、固定フレーム１７をミシンの側面に取り付けるためのねじ孔である。
【００１９】
【発明の効果】
前記のように構成され、上記のように用いられるようにした本発明スプレッダーの駆動装置は、１台のミシンを使用して、スモック縫いと上飾り縫いの２通りの縫製ができる。また、その切換え操作も容易であるとともに、選択した縫製に適した位置にスプレッダーの揺動中心を移動させることができるなど、多くの優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図１】図１は実施例の駆動経路の要部とともに、上飾り縫い時の使用状態を説明する一部切欠平面図
【図２】図２は同上の側面図
【図３】図３は上実施例をスモック縫いに切り換えた場合の使用状態を説明する一部切欠平面図
【図４】図４は同上の側面図である。
【符号の説明】
１ 可動フレーム
２ ステッピングモーター
３ 支持軸
４ レバー （４ａ 上段のレバー、 ｂ 下段のレバー）
５ スプレッダー （５ａ 上段のスプレッダー、５ｂ 下段のスプレッダー）
６ 扇形歯車（６ａ 上段、６ｂ 下段）
７ 原動歯車
８ 出力軸
９ 傘歯車伝動機構
１０ 従動歯車
１１ ロッド
１２ カウンターバー
１３ 接続部材
１４ スライドガイド部
１５ 針位置
１６ 糸案内
１７ 固定フレーム
１８ 移動手段
１９ 固定ピン
２０ 長孔
２１ 止め具
２２ 押え板
２３ 支点軸
２４ 長孔
２５ 支持ピン
２６ 切換え操作レバー
２６’ 差込み孔
２７ トッグルばね
２８ 差込み孔
２９ 検知板
３０ センサー
３１ 基板
３２ ねじ孔
Ｐ１、Ｐ２ 移動点
Ｌ 移動距離
Ｓ 中心線
【発明の属する技術分野】
この発明は、ミシンのスプレッダー駆動装置に関し、針棒の昇降動作に同期して起動するステッピングモーターに駆動されるレバーに、例えば上飾り縫い用とかスモック縫い用のスプレッダーを取り付けるとともに、スプレッダーの揺動中心を、上記縫い方の選択に応じた好適な位置に移動できるようにしたことを特長とするものである。
【０００２】
【従来の技術】
本出願人は、前に、上飾り縫い用またはスモック縫い用のスプレッダーをステッピングモーターに駆動させるようにした上飾り縫い装置として、特願２０００−１８９４１７号、特願２００１−１７１３７号を出願している。
上記先願の装置を含めて、一般の上飾り縫い装置は、スモック縫い用と上飾り付き偏平縫い用とに分かれていて、ほとんどがそれぞれ所定の縫い方のみを縫製するように構成されている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、先端にスプレッダーを取り付けてステッピングモーターに駆動されるレバーの揺動中心を、選択された縫い方に応じて、それぞれ最も目飛びの発生がなく、針とスプレッダーとの干渉を回避した最適な位置に移動させられるようにしたスプレッダー駆動装置を提供しようとするものである。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために本発明は、ミシンの押えの背後側に取り付けられるフレームに、ステッピングモーターと支持軸を設け、支持軸に、後端に扇形歯車を具え、前端にスプレッダーを取り付けたレバーを揺動自在に嵌装し、レバーの扇形歯車をステッピングモーターの出力軸に駆動される歯車に噛合させるとともに、針の昇降動作にステッピングモーターの作動を同期させてレバーを揺動させ、その前端に具えたスプレッダーを押えの上面に沿って往復駆動させるようにしたミシンにおけるスプレッダーの駆動装置であって、
前記フレームを、前記ステッピングモーターと前記支持軸および前記レバーを備えた可動フレームと、ミシンへの取付け用の固定フレームとに２分し、両フレーム間に、ミシン側に固定される固定フレームに対して上記可動フレームをミシンの針位置と平行に適宜の距離移動させるとともに、移動先に保持する移動手段を付設して、縫い方に応じて前記スプレッダーの揺動中心を変位できるようにしたスプレッダーの駆動装置を提供するものである。
【０００５】
上記のように構成した本発明スプレッダー駆動装置は、例えば上飾り縫いとかスモック縫いを選択した場合には、選択した縫い方に応じて、ステッピングモーターと支持軸およびレバーを備えた可動フレームを移動させて、スプレッダーの揺動中心となる支持軸の位置を、目飛びの発生がなく、針とスプレッダーとの干渉を回避した最適な位置に移動させられるようにすることができる。
【０００６】
請求項２の発明は、上前支持軸に、それぞれ扇形歯車を具えた前記レバーを上下２段に嵌装し、一方のレバーの扇形歯車を前記ステッピングモーターの出力軸に取り付けた駆動歯車に噛合させ、他方のレバーの扇形歯車を、上記駆動歯車と噛合して該歯車と互いに逆回転する従動歯車に噛合させて、ステッピングモーターの作動により、この上下２段のレバーを上下で互いに逆方向に往復駆動させるように備え、各レバーの先端に、上飾り縫い用スプレッダーとスモック縫い用スプレッダーとを交換可能に取り付け、前記移動手段を操作して、上飾り縫い使用時には、前記支持軸の位置をミシンに向かって右側に変位させて上飾り縫い用スプレッダーを揺動させ、スモック縫い使用時には針位置の中心線上に上記支持軸を変位させて、スモック縫い用スプレッダーを揺動させるようにしたもので、スプレッダーの揺動中心を選択されたそれぞれの縫い方に最適な位置に置けるようにしたものである。
【０００７】
請求項３の発明は、前記移動手段を、可動フレーム上の複数個所に配置した固定ピンと、各固定ピンをそれぞれ嵌合してミシンの針位置と平行に誘導するように前記固定フレームに設けた複数の長孔と、長孔を貫通する上記各固定ピンの上端に止着した止め具によって、可動フレームを固定フレームの裏面に沿って密着させ、かつ、摺動可能に圧接させる押え板と、上記固定フレーム上に立設された支点軸に揺動自在に備えられ、中間に具えた長孔に、上記可動フレーム上に立設した支持ピンを嵌合した切換え操作レバーと、この切換え操作レバーの先端部と上記可動フレームの一端との間に張設されて、上記可動フレームを上飾り縫い位置とスモック縫い位置とに保持するトッグルばねとによって構成したものであって、スプレッダーの揺動中心の移動操作と移動先の位置の保持とが、比較的に簡単な構造で容易にできるようにしたことを特長としている。
【０００８】
請求項４の発明は、支持軸上の一方のレバーの基部に適宜長のロッドを固定し、ロッドの先端に、カウンターバーを着脱自在に連結する一方、前記可動フレームに布送り方向に沿ってスライドガイド部を設け、このスライドガイド部に、上記カウンターバーを摺動を自在にして嵌装するとともに、該バーの先端に、上飾り縫い用の糸案内を取り付けて、この糸案内を、上飾り縫い時に、他方のレバーの揺動に同期させて、針位置の側方で前後に摺動させて、スプレッダーに対する給糸がスムーズに行われるようにすることと、針とスプレッダーとの干渉を可及的に回避できるようにしたことを特長とするのである。
【０００９】
【実施例】
以下に本発明の実施例を図面について説明する。
図１は、実施例の駆動系路の要部とともに、上飾り縫い時の使用状態を説明する一部切欠平面図、図２は、同上の側面図、図３は、実施例をスモック縫いに切り換えた場合の使用状態を説明する一部切欠平面図、図４は同上の側面図である。
【００１０】
図１、２において、１は、図示省略の押えの背後側に備えられ、ステッピングモーター２を断面Ｌ字形をなすフレームの側面に付け、支持軸３を平面上に縦に設置した可動フレーム、４（４ａ、４ｂ）は、支持軸３に揺動自在に嵌装した上下２段のレバー、５は、上段のレバー４ａの前端（図示右側）に取り付けた上飾り縫い用のスプレッダー、６（６ａ、６ｂ）は、レバー４の後端（図示左側）にそれぞれ一体形成した扇形歯車、７は、ステッピングモーター２の出力軸８に傘歯車伝動機構９を介して上段の扇形歯車６ａと噛合し、上段のレバー４ａ、スプレッダー５を押えの上面に沿って往復駆動させる原動歯車、１０は、原動歯車７と、下段の扇形歯車６ｂとに噛み合って、下段のレバー４ｂを上段のレバー４ａに対して同じ振り幅で互いに逆方向に往復駆動させる従動歯車である。
【００１１】
図１に示す上飾り縫い使用状態において、この実施例は、上段のレバー４ａのみにスプレッダー５を取り付け、下段のレバー４ｂの基部に固定したロッド１１の先端に、接続部材１３を介してカウンターバー１２を連結し、カウンターバー１２の中間部を、可動フレーム１の一端（図示右側）に布送り方向に沿って設けたスライドガイド部１４に摺動自在に嵌装し、針位置１５の右側方にあってカウンターバー１２の先端に取り付けた糸案内１６を前後（図示左右）に往復させる。糸案内１６は、スプレッダー５が接近するときに前進していて、後退するスプレッダー５に上飾り糸を引き出させる動作を反復する。
【００１２】
そして、上飾り縫い用スプレッダー５が、振り幅の左位置から右へ反転するのに合わせて、糸案内１６は、最大後退位置から同時に前進し、図２に示すように裏面に回り込むスプレッダー５の先端のフック５’に上飾り糸を掛けさせ、復動するスプレッダー５に上飾り糸を引き出させつつ後退しつつ、図示省略の針の内で針先の高い１乃至２本の針の下を潜って針先の低い左側の針に手前側から上飾り糸を掛けさせて戻るように動作する。
また、糸案内１６は、第２針の針落ち時には右端の針に上飾り糸をループさせつつ前進し、最大に前進した位置で上述のようにして再び上飾り糸をスプレッダー５のフック５’に掛けさせることを反復し、その反復によって上飾り付き偏平縫いが行われる。
【００１３】
次にこの実施例を、図３に示すスモック縫い使用状態に移行させる場合について説明する。
ステッピングモーター２、支持軸３およびレバー４ａ、４ｂ等を搭載した前記可動フレーム１は、図２に示すように、上面に、断面Ｌ字形に形成された固定フレーム１７を重ね合わせていて、両フレーム間に備えた移動手段１８を操作することによって、図３、４に示すスモック縫い使用状態に移行させることができる。
【００１４】
ミシン側に取り付けられる固定フレーム１７に対して、可動フレーム１を縫い方に応じた位置に移動させる移動手段１８には様々な態様が考えられるが、この実施例にあっては、移動手段１８は、図示のように、可動フレーム１上に３個所に配置した固定ピン１９と、各固定ピン１９をそれぞれ嵌合して針位置１５と平行に誘導するよう固定フレーム１７に貫設した同数の長孔２０と、固定フレーム１７に重ね合わされて、各固定ピンの上端に止着した止め具２１によって、可動フレームを固定フレームの裏面に沿って密着させ、かつ、摺動可能に圧接させる押え板と、固定フレーム１７の一端（図１の上部）に立設された支点軸２３に揺動自在に支承され、中間に具えた長孔２４に、上記可動フレーム１上に立設した支持ピン２５を嵌合した切換え操作レバー２６と、切換え操作レバー２６の先端部２６’と可動フレーム１の一端との間に張設されて、可動フレーム１を上飾り縫い位置とスモック縫い位置とに保持するトッグルばね２７とによって構成されている。
【００１５】
切換え操作に先立って、上段のレバー４ａから上飾り縫い用のスプレッダー５と、カウンターバー１２と、糸案内１６を外した後、図１において上部に位置する切換え操作レバー２６を図中虚線矢印方向に切り換えると、各固定ピン１９と長孔２０とに誘導されて、固定フレーム１７の裏面に沿って可動フレーム１が、搭載したステッピングモーター２、支持軸３、レバー４ａ、４ｂとともに、針位置１５と平行に移動して、支持軸３が図１中に示すＰ１点から図３中に示すＰ２点に移動する。
【００１６】
移動後の可動フレーム１は、トッグルばね２７の牽引と止め具２１の密着により所定位置に強固に保持される。この実施例の移動距離Ｌは１０ｍｍで、Ｐ２点に移動した支持軸３は、図３に示すように、針位置１５の中心線Ｓ上に正対する。
【００１７】
上記のようにして、Ｐ２点に支持軸３を移動させた上下のレバー４ａ、４ｂの先端部の差込み孔２８に、上飾り縫いスプレッダー５に代えて、スモック縫い用のスプレッダー５ａ、５ｂを装着することによりスモック縫いの準備が整う。
Ｐ２点に移動後の支持軸３にそれぞれの揺動中心をおく上下のレバー４ａ、４ｂは、起点を針位置１５の中心線Ｓとする振り幅の中で、前記上飾り縫い時と同様に交互に逆方向に揺動する。
なお、スモック縫いの作動の詳細な説明については従来公知の縫製に準ずるので省略する。
【００１８】
なお図中、２９は、下段のレバー４ｂから弧状に延設した検知板、３０は、検知板２９と係合して、レバー４ａ、４ｂを原点復帰させるためのセンサー、３１は、可動フレーム１側に取り付けられるセンサー３０の基板、３２は、固定フレーム１７をミシンの側面に取り付けるためのねじ孔である。
【００１９】
【発明の効果】
前記のように構成され、上記のように用いられるようにした本発明スプレッダーの駆動装置は、１台のミシンを使用して、スモック縫いと上飾り縫いの２通りの縫製ができる。また、その切換え操作も容易であるとともに、選択した縫製に適した位置にスプレッダーの揺動中心を移動させることができるなど、多くの優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図１】図１は実施例の駆動経路の要部とともに、上飾り縫い時の使用状態を説明する一部切欠平面図
【図２】図２は同上の側面図
【図３】図３は上実施例をスモック縫いに切り換えた場合の使用状態を説明する一部切欠平面図
【図４】図４は同上の側面図である。
【符号の説明】
１ 可動フレーム
２ ステッピングモーター
３ 支持軸
４ レバー （４ａ 上段のレバー、 ｂ 下段のレバー）
５ スプレッダー （５ａ 上段のスプレッダー、５ｂ 下段のスプレッダー）
６ 扇形歯車（６ａ 上段、６ｂ 下段）
７ 原動歯車
８ 出力軸
９ 傘歯車伝動機構
１０ 従動歯車
１１ ロッド
１２ カウンターバー
１３ 接続部材
１４ スライドガイド部
１５ 針位置
１６ 糸案内
１７ 固定フレーム
１８ 移動手段
１９ 固定ピン
２０ 長孔
２１ 止め具
２２ 押え板
２３ 支点軸
２４ 長孔
２５ 支持ピン
２６ 切換え操作レバー
２６’ 差込み孔
２７ トッグルばね
２８ 差込み孔
２９ 検知板
３０ センサー
３１ 基板
３２ ねじ孔
Ｐ１、Ｐ２ 移動点
Ｌ 移動距離
Ｓ 中心線
Claims (4)
- ミシンの押えの背後側に取り付けられるフレームに、ステッピングモーターと支持軸を設け、支持軸に、後端に扇形歯車を具え、前端にスプレッダーを取り付けたレバーを揺動自在に嵌装し、レバーの扇形歯車をステッピングモーターの出力軸に駆動される歯車に噛合させるとともに、針の昇降動作にステッピングモーターの作動を同期させてレバーを揺動させ、その前端に備えたスプレッダーを押えの上面に沿って往復駆動させるようにしたミシンにおけるスプレッダーの駆動装置であって、
前記フレームを、前記ステッピングモーターと前記支持軸および前記レバーを備えた可動フレームと、ミシンへの取付け用の固定フレームとに２分し、両フレーム間に、ミシン側に固定される固定フレームに対して上記可動フレームをミシンの針位置と平行に適宜の距離移動させるとともに、移動先に保持する移動手段を付設して、縫い方に応じて前記スプレッダーの揺動中心を変位できるようにしたスプレッダーの駆動装置。 - 前記支持軸に、それぞれ扇形歯車を具えた前記レバーを上下２段に嵌装し、一方のレバーの扇形歯車を前記ステッピングモーターの出力軸に取り付けた駆動歯車に噛合させ、他方のレバーの扇形歯車を、上記駆動歯車と噛合して該歯車と互いに逆回転する従動歯車に噛合させて、ステッピングモーターの作動により、この上下２段のレバーを上下で互いに逆方向に往復駆動させるように備え、各レバーの先端に、上飾り縫い用スプレッダーとスモック縫い用スプレッダーとを交換可能に取り付け、前記移動手段を操作して、上飾り縫い使用時には、前記支持軸の位置をミシンに向かって右側に変位させて上飾り縫い用スプレッダーを揺動させ、スモック縫い使用時には針位置の中心線上に上記支持軸を変位させて、スモック縫い用スプレッダーを揺動させるようにしたことを特徴とする請求項１記載のスプレッダー駆動装置。
- 前記移動手段は、可動フレーム上の複数個所に配置した固定ピンと、各固定ピンをそれぞれ嵌合してミシンの針位置と平行に誘導するように前記固定フレームに設けた複数の長孔と、長孔を貫通する上記各固定ピンの上端に止着した止め具によって、可動フレームを固定フレームの裏面に沿って密着させ、かつ、摺動可能に圧接させる押え板と、上記固定フレーム上に立設された支点軸に揺動自在に備えられ、中間に具えた長孔に、上記可動フレーム上に立設した支持ピンを嵌合した切換え操作レバーと、この切換え操作レバーの先端部と上記可動フレームの一端との間に張設されて、上記可動フレームを上飾り縫い位置とスモック縫い位置とに保持するトッグルばねとによって構成したことを特徴とする請求項２記載のスプレッダーの駆動装置。
- 前記支持軸上の一方のレバーの基部に適宜長のロッドを固定し、ロッドの先端に、カウンターバーを着脱自在に連結する一方、前記可動フレームに布送り方向に沿ってスライドガイド部を設け、このスライドガイド部に、上記カウンターバーを摺動を自在にして嵌装するとともに、該バーの先端に、上飾り縫い用の糸案内を取り付けて、この糸案内を、上飾り縫い時に、他方のレバーの揺動に同期させて、針位置の側方で前後に摺動させるようにしたことを特徴とする請求項２記載のスプレッダーの駆動装置。
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