JP3693159B2 - 画像処理方法、画像表示装置および記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、出力画像に対する外部環境の影響を補正する画像処理方法、画像表示装置および記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
プロジェクタなどの画像表示装置を使用する場合、外部環境が変化しても製作者の意図した画像を再現できることが重要である。このような画像の見えを調整する考え方として、デバイスの入出力特性を管理して色を再現するカラーマネージメントという考え方があるが、外部環境の変化を考慮に入れたカラーマネージメントの具体的な手法に関しては明確になっていない。特に、外部環境の変化として、外部照明の明るさ若しくは色、または投影面の色が変化する場合を考慮しなければ適切な色の再現を行うことは困難である。一般的に、外部照明の明るさが増大すると、画像表示装置の出力画像のコントラストが低下して、適切な色再現が不可能となってしまう。また、例えば、同じ白を表示する場合であっても、外部照明の色や投影面の種別によっては、色が変化してしまう場合がある。
【0003】
このような外部環境の変化を把握するために、画像表示装置からスクリーンに対して所望のパッチを出力させ、スクリーンに表示されたパッチをセンサによって測色を行っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、画像表示装置が画像をスクリーンに対して投影している時に、前記所望のパッチをスクリーンに表示させることは困難であり、リアルタイムで外部環境の変化を把握して、これを補正することは困難である。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、リアルタイムで外部環境の変化を把握可能な画像処理方法、画像表示装置および記録媒体を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題に鑑み、請求項1に記載の発明は、画像表示装置に入力される画像入力データに対する画像処理方法であって、表示された画像のデータを測定するデータ測定工程と、前記表示された画像に対応する画像入力データを解析するデータ解析工程と、前記測定されたデータと、前記データ解析工程による解析結果とに基づき、外部環境の影響を求め、前記画像入力データに対する色補正を行う色補正テーブルに対して、前記外部環境の影響を考慮した生成・書換処理を行うことにより、前記外部環境の影響を解消するように構成される。
【0007】
以上のように構成された、画像表示装置に入力される画像入力データに対する画像処理方法によれば、データ測定工程によって、表示された画像のデータが測定され、データ解析工程によって、前記表示された画像に対応する画像入力データが解析される。そして、前記測定されたデータと、前記データ解析工程による解析結果とに基づき、外部環境の影響が求められ、前記画像入力データに対する色補正を行う色補正テーブルに対して、前記外部環境の影響を考慮した生成・書換処理を行うことにより、前記外部環境の影響が解消される。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像処理方法であって、前記データ測定工程において、所定領域内に表示された画像のデータと、画像が表示されていない画像表示面におけるデータとを測定し、前記データ解析工程において、前記所定領域内に表示された画像に対応する画像入力データを解析するように構成される。
【0009】
さらに、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の画像処理方法であって、前記画像データ測定工程において、所定領域内に表示された画像のデータと、画像を表示しない状態での前記所定領域内におけるデータとを測定し、前記データ解析工程において、前記所定領域内に表示された画像に対応する画像入力データを解析するように構成される。
【0010】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の画像処理方法であって、前記データ測定工程において、2つの所定領域内に表示された画像のデータをそれぞれ測定し、前記データ解析工程において、前記2つの所定領域内に表示された画像に対応する画像入力データをそれぞれ解析するように構成される。
【0011】
さらに、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいづれか一項に記載の画像処理方法であって、前記データ解析工程において、画像入力データの各要素色成分の平均値を算出することによって、前記表示された画像に対応する画像入力データを解析するように構成される。
【0012】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいづれか一項に記載の画像処理方法であって、前記データ測定工程と、前記データ解析工程とを順次繰返し、順次測定されたデータと、順次の解析結果とに基づき、外部環境の影響を求め、当該外部環境の影響を解消するように構成される。
【0013】
さらに、請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6のいづれか一項に記載の画像処理方法であって、さらに前記画像表示装置の特性を考慮して、外部環境の影響を求め、当該外部環境の影響を解消するように構成される。
【0014】
また、請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7のいづれか一項に記載の画像処理方法であって、前記画像表示装置が画像投影装置であるように構成される。
【0015】
さらに、請求項9に記載の発明は、請求項1乃至8のいづれか一項に記載の画像処理方法であって、前記外部環境の影響が、外部照明の影響および画像が表示される投影面の影響であるように構成される。
【0016】
また、請求項10に記載の発明は、画像入力データに対して所望の画像処理を行って画像を表示する画像表示装置であって、表示された画像のデータを測定するデータ測定手段と、前記表示された画像に対応する画像入力データを解析するデータ解析手段と、前記測定されたデータと、前記データ解析手段による解析結果とに基づき、外部環境の影響を求め、前記画像入力データに対する色補正を行う色補正テーブルに対して、前記外部環境の影響を考慮した生成・書換処理を行うことにより、前記外部環境の影響を解消するように構成される。
【0017】
以上のように構成された、画像入力データに対して所望の画像処理を行って画像を表示する画像表示装置によれば、データ測定手段によって、表示された画像のデータが測定され、データ解析手段によって、前記表示された画像に対応する画像入力データが解析される。そして、前記測定されたデータと、前記データ解析手段による解析結果とに基づき、外部環境の影響が求められ、前記画像入力データに対する色補正を行う色補正テーブルに対して、前記外部環境の影響を考慮した生成・書換処理を行うことにより、前記外部環境の影響が解消される。
【0018】
さらに、請求項11に記載の発明は、画像表示装置に入力される画像入力データに対する画像処理をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータによって読取可能な記録媒体であって、表示された画像のデータを測定するデータ測定処理と、前記表示された画像に対応する画像入力データを解析するデータ解析処理と、前記測定されたデータと、前記データ解析処理による解析結果とに基づき、外部環境の影響を求め、前記画像入力データに対する色補正を行う色補正テーブルに対して、前記外部環境の影響を考慮した生成・書換処理を行うことにより、前記外部環境の影響を解消する処理と、をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録してコンピュータによって読取可能に構成される。
【0019】
以上のように構成された、コンピュータによって読取可能な記録媒体には、画像表示装置に入力される画像入力データに対する画像処理をコンピュータに実行させるためのプログラムが記録されている。まず、データ測定処理によって、表示された画像のデータが測定され、データ解析処理によって、前記表示された画像に対応する画像入力データが解析される。そして、前記測定されたデータと、前記データ解析処理による解析結果とに基づき、外部環境の影響が求められ、前記画像入力データに対する色補正を行う色補正テーブルに対して、前記外部環境の影響を考慮した生成・書換処理を行うことにより、前記外部環境の影響が解消される。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0021】
システム構成
図1に、本発明の画像表示装置にかかるプロジェクタ20を用いたシステムの概略説明図を示す。本発明の画像表示装置としては、プロジェクタの他、CRT、液晶ディスプレイなども含まれる。
【0022】
スクリーン10のほぼ正面に設けられたプロジェクタ20から、所定の画像が投影される。
【0023】
この場合、スクリーン10の種別や、外部照明80によって投影画像の見え方は大きく異なってしまう。例えば、同じ白を表示する場合であっても、スクリーン10の種別によっては、黄色がかった白に見えたりする。また、同じ白を表示する場合であっても、外部照明80の強度によっては明るい白に見えたり、暗い白に見えたりする。
【0024】
図2に、本発明のプロジェクタ20内の画像処理部100の機能ブロック図を示す。
【0025】
本発明のプロジェクタ内の画像処理部100は、アナログ形式の画像入力信号をデジタル信号に変換するA/D変換部110と、一次元色補正テーブルを各RGB画像入力信号に対して適用して所望の色補正を行う色補正部120と、デジタル信号をアナログ信号に変換するためのD/A変換部130と、液晶ライトバルブを駆動して画像の投影表示を行うためのL/V(ライトバルブ)駆動部140と、暗室内で基準投影面に対して出力した場合のプロジェクタの色特性情報を格納しておくためのデバイス特性保存メモリ160と、プロジェクタおよび外部照明のスクリーンによる反射光の輝度を測定するための光センサ170と、光センサ170の測色値とデバイス特性保存用メモリに格納されている情報とに基づき外部照明の影響を考慮した色補正テーブルを生成する色補正テーブル生成部150と、を備えて構成される。
【0026】
本発明によるプロジェクタでは、パーソナルコンピュータなどから供給されるアナログ形式の画像入力信号が、A/D変換部110によってデジタル画像信号に変換される。そして、当該変換されたデジタル画像信号は、色補正テーブル生成部150によって生成される色補正テーブルを参照して、色補正部120によって外部照明の影響を考慮した所望の色補正がなされる。色補正されたデジタル画像信号は、D/A変換部130によってアナログ信号に変換される。L/V駆動部140は、当該変換されたアナログ信号に基づき、液晶ライトバルブを駆動して画像の投影表示を行う。
【0027】
画像処理部100の動作
次に、図3を参照して、本発明のプロジェクタ20内の画像処理部100の動作を説明する。なお、以下に説明する色補正テーブルの生成・書込処理などの画像処理部100による処理は、プロジェクタ20のプログラム格納部(図示せず)に記録された画像処理プログラムを実行することによって行われる。前記プログラム格納部は、画像処理プログラムを記録した媒体を構成する。さらに、当該画像処理プログラム自体も、本願発明の範囲内に包含される。
【0028】
まず、本発明によるプロジェクタ20の使用が開始されると、色補正テーブル生成部150によって色補正テーブルの生成・書換処理が行われる(ステップ204)。当該色補正テーブルの生成・書換処理に関しては、以下で図4乃至図6を参照して詳細に説明する。
【0029】
そして、色補正テーブルの生成・書換処理の後、書き換えられた色補正テーブルを参照して色補正部120によって色補正された画像信号に基づき、画像の表示が行われる(ステップ206)。ここで、画像の表示を終了せず(ステップ208、No)、前回の色補正テーブルの生成・書換処理終了時から一定時間経過していない場合(ステップ210、No)、ステップ206の画像の表示状態が継続する。一方、画像の表示を終了せず(ステップ208、No)、前回の色補正テーブルの生成・書換処理終了時から一定時間経過した場合(ステップ210、Yes)、時間の経過とともに外部照明の明るさ若しくは色、または投影面の色が変化する場合を考慮して、再度色補正テーブルの生成・書換処理を行い(ステップ204)、画像の表示を行う(ステップ206)。本発明によれば、一定時間毎に外部照明の明るさ若しくは色、または投影面の色の変化を考慮して色補正テーブルを書き換えるので、外部照明の明るさ若しくは色、または投影面の色が変化しても適切な色再現が可能となる。
【0030】
そして、プロジェクタの電源をオフするなどして画像の表示を終了する場合(ステップ208、Yes)には処理を終了する。
【0031】
色補正テーブルの生成・書換処理
次に、図4乃至図6を参照して、本発明のプロジェクタ20内の色補正テーブル生成部150による色補正テーブルの生成・書換処理(図3のステップ204における処理)について説明する。
【0032】
第1実施形態
図4に、本発明の第1実施形態にかかる色補正テーブルの生成・書換処理1を説明するためのフローチャートを示す。第1実施形態では、図7に示すように、画面内の所定領域のおける所望のデータを測定するとともに、画面外のスクリーンの所定領域における所望のデータを測定する。
【0033】
図4に示すように、色補正テーブルの生成・書換処理1において、色補正テーブル生成部150は、まず、デバイス特性保存用メモリ160からデバイスの色特性データを取得する(ステップ220)。
【0034】
プロジェクタ(画像表示装置)20からR(赤)G(緑)B(青)bk(黒)の各色を補正対象投影面に対して出力させ、当該各色出力の補正対象投影面による反射光のXYZ値を光センサ170で予め測定して、デバイス特性保存用メモリ160に格納しておく。これらのデータは、製品の出荷前に予め測定してデータとして格納しておいても良いし、起動時に自動的にパッチを表示させて測定しても良い。
【0035】
そして、プロジェクタのRGB値とXYZ値との間の変換を行うための行列Mを、デバイス特性保存用メモリ160に格納されているプロジェクタの各色のXYZ値から求める。行列Mおよび変換式は、
【0036】
【数1】
となる。ここで、Xc、Yc、Zc(c=R,G,B,bk)はプロジェクタの各R,G,B,bk色のXYZ値、DR,DG,DBはRGBのデジタルの入力値(0〜255)を0から1の範囲に規格化したもの、γはプロジェクタの階調特性である。ガンマは、対象となるプロジェクタの階調特性を実際に測定して求め、その平均的な値を用いるのが適当である。当該実施の形態では、一例として、γ=2.2とする。
【0037】
次に、色補正テーブル生成部150は、画面内のスクリーンの所定領域におけるデータ(XYZ値)を光センサ170によって測定する(ステップ222)。前記画面内のスクリーンの所定領域におけるデータ(XYZ値)をX、Y、Zとする。
【0038】
そして、色補正テーブル生成部150は、画面外のスクリーンの所定領域におけるデータ(XYZ値)を光センサ170によって測定する(ステップ224)。前記画面外のスクリーンの所定領域におけるデータ(XYZ値)をXi、Yi、Ziとする。この際、スクリーン全体に亘って画像を投影しないように留意する必要がある。
【0039】
次に、色補正テーブル生成部150は、ステップ222における画面内のデータ測定領域に対応する入力データ(RGB値)を輝度値に換算して平均化する(ステップ226)。平均化されたRGBの輝度値をそれぞれr0、g0、b0とする。具体的には、以下のように計算をする。
【0040】
r0=(YR−Ybk)<DR 1/ γ>
g0=(YG−Ybk)<DG 1/ γ>
b0=(YB−Ybk)<DB 1/ γ>
ここで、<>は、画面内のスクリーンの所定領域内の全画素で平均をとることを示す。
【0041】
そして、色補正テーブル生成部150は、外部照明およびスクリーンの影響を計算する(ステップ228)。この際に使用するデータは、ステップ222および224において測定された値およびステップ226において求められた平均値である。
【0042】
まず、照明の影響を補正するためのパラメータri、gi、biは式 (34) または式 (57)によって求まる。
【0043】
また、スクリーンの影響を補正するためのパラメータyR’、yG’、yB’は、
yR’=r0/r …(4)
yG’=g0/g …(5)
yB’=b0/b …(6)
によって求まる。ここで、r、g、bは
【0044】
【数2】
より求まり、r0、g0、b0はステップ226において計算されている。
【0045】
以上のようにして求められた各影響を補正するためのパラメータを用いて、RGB各色の1次元色補正テーブルを生成する。
【0046】
RGB各色の1次元色補正テーブルの生成(ステップ230)
色補正テーブルの生成処理
次に、図10を参照して、本発明の第1実施形態にかかるプロジェクタ20内の色補正テーブル生成部150による色補正テーブルの生成処理(図4のステップ230における処理)について説明する。
【0047】
当該色補正テーブルの生成処理では、まず、色補正カーブ計算処理1(外部照明の明るさの変化に対する補正)(ステップ322)、色補正カーブ計算処理2(投影面の色の変化に対する補正)(ステップ323)および色補正カーブ計算処理3(外部照明の色の変化に対する補正)(ステップ324)がそれぞれ行われる。次に、3段階の補正カーブの丸め処理1、2および3が行われる(ステップ325、326および327)。各補正カーブ計算処理および補正カーブ丸め処理については、後に詳述する。
【0048】
そして、計算された補正カーブに基づいて、新たな一次元色補正テーブルが生成され、色補正部120で参照される一次元色補正テーブルが、新たに生成された一次元色補正テーブルによって書き換えられ(ステップ328)、ステップ232に戻る。
【0049】
補正カーブの計算処理1(外部照明の明るさの変化に対する補正)
次に、図11を参照して、補正カーブの計算処理1について説明する。
【0050】
補正カーブの計算処理1の前提として、暗室内でプロジェクタ(画像表示装置)20に白(R=G=B=255階調)を出力させ、そのスクリーン10からの反射光の輝度を輝度計などの光センサ170で予め測定しておく。
【0051】
当該補正カーブの計算処理1では、まず、プロジェクタ20からの出力がない状態で、外部照明のスクリーン10からの反射光の輝度を測定する(ステップ329)。
【0052】
次に、各環境下でγカーブを規格化する(ステップ330)。W(白)、R(赤)、G(緑)、B(青)のいずれの補正カーブも同一のカーブとなるので、当該実施の形態では一例としてWに関して補正カーブを計算する。各環境下(暗室の場合および外部照明が存在する場合)におけるγカーブを以下のように仮定する。ここで、γは対象となるプロジェクタの階調特性である。ガンマは、対象となるプロジェクタの階調特性を実際に測定して求め、その平均的な値を用いるのが適当である。当該実施の形態では、一例として、γ=2.2とする。
暗室の場合:
Fd(Din)=Yw・Dinγ … (8)
外部照明が存在する場合:
Fi(Din)=Yw・Dinγ+Yi … (9)
各環境下におけるγカーブを図12に示す。
【0053】
ここで、Fがスクリーンからの反射光の合計輝度、DinがRGBのデジタル入力値(0〜255階調)を0〜1に規格化したもの、Ywがプロジェクタの白の輝度、Yiが照明の輝度である。そして、これらの式(8)および式(9)を、各環境下でプロジェクタが白を出力した時の輝度(暗室の場合:Yw、外部照明外存在する場合:Yw+Yi)で目が順応しているという仮定の下で規格化する。すなわち、式(8)および式(9)を、各環境下でプロジェクタが白を出力した時の輝度(暗室の場合:Yw、外部照明外存在する場合:Yw+Yi)が1になるように規格化する。具体的には、
暗室の場合:
F’d(Din)=Fd(Din)/Yw=Dinγ … (10)
外部照明が存在する場合:
F’i(Din)=Fi(Din)/(Yw+Yi)=(Yw・Dinγ+Yi)/(Yw+Yi) … (11)
となる。
【0054】
各環境下における規格化されたγカーブを図13に示す。
【0055】
次に、γカーブを基準点Doで重ね合わせる(ステップ332)。図14に示すように、基準点Doで、F’d(Din)がF’i(Din)と同一の値をとるように、F’d(Din)をF’軸方向に{F’i(Do)−F’d(Do)}だけ平行移動させる。具体的には、
とする。ここで、式(10)および式(11)を用いると、
F”d(Din)=Dinγ−Doγ+(Yw・Doγ+Yi)/(Yw+Yi) … (12)
となる。
【0056】
そして、式(12)を用いて第1補正カーブを算出する(ステップ334)。
【0057】
このように当該実施形態では、図14に示すように、基準点Do付近で、外部照明が存在する場合の補正カーブの出力値と、暗室の場合の補正カーブの出力値とが一致するように第1補正カーブを形成する。
【0058】
そして、基準点Do付近での相対的なコントラスト(γカーブの傾き)が、外部照明の有無によって変化しないように入力階調データを補正することによって、外部照明の有無による出力画像の色の変化を小さくする。
【0059】
以上を式で表現すると以下のようになる。
【0060】
F’i(Dout1)=F”d(Din) … (13)
ここで、Dout1は、第1補正カーブによって補正された入力階調データである。
式(11)および式(12)を式(13)に代入すると、
(Yw・Dout1γ+Yi)/(Yw+Yi)=Dinγ−Doγ+(Yw・Doγ+Yi)/(Yw+Yi)
これより、
Dout1=[(1+Yi/Yw)Dinγ−(Yi/Yw)Doγ]1 /γ … (14)
照明によるコントラスト低下を補正する際の中心となる階調Doを変化させることによって第1補正カーブは様々に変化する。一般的に、Doの値が小さいと、図15に示すような第1補正カーブとなり、投影画面が白いように見え、淡い色調となる。一方、Doの値を大きくすると、図16に示すような第1補正カーブとなり、投影画面が黒いように見え、低階調での階調変化がさらに少なくなる(いわゆる、階調のつぶれが顕著になる)。Doを適当な値にすることによって、投影画像の全体的な明るさを補正前とあまり変化させずに、鮮やかさが最も強調されるような補正をかけることができる。実験による評価を行った結果、Doの値は中階調付近(0.25≦Do≦0.50程度)が好適であることを確かめた。
【0061】
さらに、図17に示すように、補正量ΔFをα1倍(0≦α1≦1)して補正量を調整することもできる。補正のかかり過ぎによる、不自然な画像再現を防ぐためである。補正量を調整する場合のDout1の式(14)は、
Dout1=[(1+α1・Yi/Yw)Dinγ−(α1・Yi/Yw)Doγ]1 /γ … (15)
となる。従って、RGBの各色の第1補正カーブの式は、
DRout1=[(1+α1・Yi/Yw)DRinγ−(α1・Yi/Yw)Doγ]1 /γ … (16)
DGout1=[(1+α1・Yi/Yw)DGinγ−(α1・Yi/Yw)Doγ]1 /γ … (17)
DBout1=[(1+α1・Yi/Yw)DBinγ−(α1・Yi/Yw)Doγ]1 /γ … (18)
となる。
【0062】
補正量をα1倍することは、結果として照明の輝度Yiをα1倍することに相当する。なお、α1の値は、0.8≦α1≦1の範囲内であることが好ましい。
【0063】
式(16)〜(18)のように第1補正カーブが計算され(ステップ334)、図10のステップ323に戻り、補正カーブ計算処理2が行われる。
【0064】
補正カーブの計算処理2(投影面の色の変化に対する補正)
次に、図18を参照して、補正カーブの計算処理2について説明する。
【0065】
補正カーブ計算処理2の前提として、暗室内でプロジェクタ(画像表示装置)20からR(赤)、G(緑)、B(青)、bk(黒)の各色を基準投影面に対して出力させ、当該各色出力の基準投影面による反射光の輝度値を光センサ170で予め測定し、デバイス特性保存用メモリ160に格納しておく。ここで、基準投影面とは、例えば、標準拡散板などの可視光領域の反射率が1に近いものを選択することができる。
【0066】
さらに、暗室内でプロジェクタ(画像表示装置)20からR(赤)G(緑)B(青)bk(黒)の各色を補正対象投影面に対して出力させ、当該各色出力の補正対象投影面による反射光の輝度値も光センサ170で予め測定しておく。
【0067】
補正カーブの計算処理2では、まず、予め測定された測定値(R(赤)、G(緑)、B(青)、bk(黒)の基準投影面による反射光の輝度値、およびR(赤)、G(緑)、B(青)、bk(黒)の補正対象投影面による反射光の輝度値)に基づき、各投影面におけるプロジェクタのRGB各色の輝度比を計算する(ステップ342)。計算式は以下のとおりである。
yR=(YR−Ybk)/(YG−Ybk) … (19)
yG=(YG−Ybk)/(YG−Ybk)=1 … (20)
yB=(YB−Ybk)/(YG−Ybk) … (21)
ここで、YR、YG、YB、Ybkは、プロジェクタのR、G、B、bk各色の輝度、yR、yG、yBはRGBの輝度比である。ここでは、Gの輝度に対する比をとっているのでyGが常に1となる。基準投影面におけるRGBの輝度比yR0、yG0、yB0も同様に計算する。
【0068】
次に、第2補正カーブを算出する(ステップ346)。プロジェクタの一次色(RGB)は、二次色、三次色に比べて投影面の違いによる色度の変化を受けにくいので、対象となる投影面の輝度比yR、yG、yBを、基準となる投影面の輝度比yR0、yG0、yB0と一致するように補正をかければ、全ての色において投影面の違いによる色度の変化が補正される。補正前のRGBのデジタルの入力値を0〜1の範囲に規格化したものをDRin2、DGin2、DBin2とし、補正後のRGBのデジタルの入力値を0〜1の範囲に規格化したものをDRout2、DGout2、DBout2とすると、補正カーブの式は、
となる。ここで、max(yR’、yG’、yB’)はyR’、yG’、yB’の最大値を示している。このように補正することによって、投影面による色度の変化を測色的に補正することができる。
【0069】
このようにして、測色的には投影面による色度の変化を補正することができるが、人間の目の順応度や対比の効果を加味して補正量α3(0<α3<1)を調整する場合、補正カーブは、
となる。
【0070】
ここで、
ΔRgain=yR’/max(yR’、yG’、yB’)
ΔGgain=yG’/max(yR’、yG’、yB’)
ΔBgain=yB’/max(yR’、yG’、yB’)
とすると、(25)〜(27)は、
DRout2={1−α3(1−ΔRgain)}1 /γ×DRin2 … (28)
DGout2={1−α3(1−ΔGgain)}1 /γ×DGin2 … (29)
DBout2={1−α3(1−ΔBgain)}1 /γ×DBin2 … (30)
となる。
【0071】
測定によって得られた投影面の色に対して100%(α3=1)の補正をかけると測色的には正しい補正が行われる。しかしながら、外部照明がある場合は投影画像の周囲に投影面の色が存在するため、投影画像と投影面との色の対比や外部照明に対する眼の順応の効果などによって、実際よりも補正が強くかかっているように見える。この現象を解消するために、補正量を調整する。補正量α3は、各環境下において実際に画像の評価を行いながら調整する必要がある。α3の値としては、0.5〜1.0が好適である。
【0072】
式(28)〜(30)のように第2補正カーブが計算され(ステップ346)、図10のステップ324に戻り、補正カーブ計算処理3が行われる。
【0073】
ここで、補正カーブ計算処理1と補正カーブ計算処理2とは、ともに入力値を相対的に補正するための処理である。すなわち、第1補正カーブの式(16)〜(18)と、第2補正カーブの式(28)〜(30)とにおいて、入力値に対して補正パラメータが掛け算されて出力値が得られる。従って、補正カーブ計算処理1と、補正カーブ計算処理2とを逆の順番で行うこと、すなわち、図10のステップ322とステップ323とを入れ換えることができる。
【0074】
補正カーブ計算処理3(外部照明の色の変化に対する補正)
次に、図19を参照して、補正カーブの計算処理3について説明する。
【0075】
補正カーブ計算処理3の前提として、暗室内でプロジェクタ(画像表示装置)20からR(赤)G(緑)B(青)bk(黒)の各色を出力させ、当該各色出力のスクリーンによる反射光のXYZ値を輝度計などの光センサ170で予め測定してデバイス特性保存用メモリ160に格納しておく。また、プロジェクタ20からの出力がない状態で、外部照明のスクリーン10からの反射光のXYZ値も予め測定しておく。
【0076】
当該補正カーブの計算処理3では、まず、上記のように予め測定された値(プロジェクタの各色のXYZ値)をRGB値に変換する(ステップ350)。当該実施形態では、照明の色をプロジェクタのRGB値で表現するために、プロジェクタのRGB値とXYZ値との間の変換を行うための行列Mを、上記のように測定されたプロジェクタの各色のXYZ値から求める。行列Mおよび変換式は、
【0077】
【数3】
となる。ここで、Xc、Yc、Zc(c=R,G,B,bk)はプロジェクタの各R,G,B,bk色のXYZ値、DR,DG,DBはRGBのデジタルの入力値(0〜255)を0から1の範囲に規格化したもの、γはプロジェクタの階調特性である。ガンマは、補正カーブの計算処理1と同様に、対象となるプロジェクタの階調特性を実際に測定して求め、当該実施の形態では、一例として、γ=2.2とする。
【0078】
そして、照明のXYZ値をXiYiZiとすると、照明の色をプロジェクタの混色として表現する場合のRGB値ri,gi,biは、
【0079】
【数4】
となる。
【0080】
次に、ri,gi,biを用いて第3補正カーブを算出する(ステップ354)。完全な等色の再現は、式(34)で求められるri,gi,biをそのままプロジェクタのRGBの出力からオフセットとして減算することによって実現される。しかしながら、この方法では、プロジェクタの階調が大きくつぶれてしまい現実的ではない。
【0081】
そこで、当該実施形態では、図20に示すように、ri,gi,biの平均値からの差ΔRoffset、ΔGoffset、ΔBoffsetをオフセットとして差し引くという方法をとる。これによって照明の色とオフセットの色とを重ね合せた色がプロジェクタのグレイと同一の色度となる。
【0082】
このようにして、測色的には照明の色の影響を補正することができるが、人間の目の順応度や対比の効果を加味して補正量を調整する場合は、ΔRoffset、ΔGoffset、ΔBoffsetの値を(α2)倍(0<α2<1)する。測定によって得られた照明の色に対して100%(α2=1)の補正をかけると測色的には正しい補正が行われるが、補正のかかり過ぎによって不自然な画像再現になってしまう場合がある。この現象を解消するために、補正量を調整する。補正量α2は、各環境下において実際に画像の評価を行いながら調整する必要がある。α2の値としては、0.2〜0.5が好適である。
【0083】
ところで、プロジェクタのRGB出力をr,g,b、補正後のプロジェクタの出力をr’,g’,b’として、当該補正処理を式によって表現すると、以下のようになる。但し、説明を簡単にするためRの式のみを示す。すなわち、式(33)より、
プロジェクタのRの出力
r(DR)(=DR γ) … (35)
を補正量α2を用いて調整すると、プロジェクタのRの補正後の出力r’(DR)は、
r’(DR)=DR γ−α2ΔRoffset … (36)
ΔRoffset=ri−(ri+gi+bi)/3
となる。以上より、補正前の入力値をDRin3、補正後の入力値をDRoutとすれば、第3補正カーブは、
r(DRout)=r’(DRin3) … (37)
となる。式(36)および式(37)より、
DRout=(DRin3γ−α2ΔRoffset)1/γ … (38)
となる。同様に、DGoutおよび DBoutは、
DGout=(DGin3γ−α2ΔGoffset)1/γ … (39)
DBout=(DBin3γ−α2ΔBoffset)1/γ … (40)
となる。
【0084】
以上のようにして求められた、第1補正カーブ、第2補正カーブおよび第3補正カーブをつなぎ合わせて、最終的な補正カーブを求める(ステップ356)。すなわち、式(16)〜(18)および式(28)〜(30)において、
DRin2=DRout1
DGin2=DGout1
DBin2=DBout1
とするとともに、式(28)〜(30)および式(38)〜(40)において、
DRin3=DRout2
DGin3=DGout2
DBin3=DBout2
とすると、最終的な補正カーブは、
DRout=[{1−α3(1−ΔRgain)}×{(1+α1・Yi/Yw)DRinγ−(α1・Yi/Yw)Doγ}−α2ΔRoffset) ]1/γ … (41)
DGout=[{1−α3(1−ΔGgain)}×{(1+α1・Yi/Yw)DGinγ−(α1・Yi/Yw)Doγ}−α2ΔGoffset) ]1/γ … (42)
DRout=[{1−α3(1−ΔBgain)}×{(1+α1・Yi/Yw)DBinγ−(α1・Yi/Yw)Doγ}−α2ΔBoffset) ]1/γ … (43)
となる。
【0085】
最終的な補正カーブの一例を図21に示す。
【0086】
式(41)〜(43)のように最終的な補正カーブが求められ(ステップ356)、図10のステップ325における補正カーブの丸め処理1が行われる。
【0087】
補正カーブの丸め処理1
次に、補正カーブの丸め処理1を行う(ステップ325)。
【0088】
図21に示すように、式(41)で求めた補正カーブでは、低階調および高階調の領域でDoutが0のまま変化しない階調が存在する。そこで、以下の手順で補正カーブに丸め処理を施す。まず、以下の式
Dout4=[Dout−|(Dout−Din)|β] (Dout>Din) … (44)
Dout4=[Dout+|(Dout−Din)|β] (Dout<Din) … (45)
を用いて、DoutからDout4を計算する。ここで、βは丸めの程度を調整するためのパラメータである。画像を実際に見ながら行った評価結果によればβ=1.5程度が適当であることを確かめた。式(44)および式(45)によって、Doutが0のまま変化しない階調がなくなる。このようにして、補正カーブの丸め処理1を終了後、補正カーブの丸め処理2を行なう。
【0089】
補正カーブの丸め処理2
次に、補正カーブの丸め処理2を行う(ステップ326)。
【0090】
補正カーブの丸め処理2では、式(44)または式(45)のそれぞれの値について、その前後2点を加えた計5点での値の平均値を計算する。
【0091】
Din×255=128の場合を例にとると、
となる。当該補正カーブの丸め処理2を行うことによって補正カーブが滑らかになる。
【0092】
但し、以下のDin×255=0、8、248、255の4点に関しては
Dout5(0)= Dout4(0) … (47)
Dout5(8)=[Dout4(0)+Dout4(8)+Dout4(16)]/3 … (48)
Dout5(248)=[Dout4(240)+Dout4(248)+Dout4(255)]/3 … (49)
Dout5(255)= Dout4(255) … (50)
とする。このようにして、補正カーブの丸め処理2を終了後、補正カーブの丸め処理3を行なう。
【0093】
補正カーブの丸め処理3
次に、補正カーブの丸め処理3を行う(ステップ327)。
【0094】
補正カーブの丸め処理3では、以下の式
を用いて、Dout6を計算する。このDout6が最終的な補正結果となる。
【0095】
この結果を図22に示す。図22に示すように、Din×255=0、255の付近では、補正をかけないことになり、プロジェクタの最高輝度およびコントラストは維持される。式(51)および式(52)のθは、Din×255=0、255付近での補正量の減衰の程度を調整するためのパラメータであり、画像を実際に見ながら行った評価結果によればθ=5.0程度が適当であることを確かめた。
【0096】
なお、Dout5(0)およびDout5(255)が既に0になっている場合には、補正カーブの丸め処理3(ステップ327)を行わずに、
Dout6=Dout5
とする。
【0097】
そして、補正カーブの丸め処理3の終了後、新たに生成された一次元色補正テーブルによって、RGB各色の一次元色補正テーブルの書換が行われ(ステップ232)、図3のステップ206の処理に戻る。
【0098】
第2実施形態
図5に、本発明の第2実施形態にかかる色補正テーブルの生成・書換処理2を説明するためのフローチャートを示す。第2実施形態では、図8に示すように、画面内の所定領域のおける所望のデータを測定するとともに、使用者が知覚できない程度に投影画像を瞬間的に消して前記所定領域と同一の領域における所望のデータを測定する。
【0099】
図5に示すように、第1実施形態と同様に、色補正テーブルの生成・書換処理2において、色補正テーブル生成部150は、まず、デバイス特性保存用メモリ160からデバイスの色特性データを取得する(ステップ240)。
【0100】
第1実施形態と同様に、プロジェクタ(画像表示装置)20からR(赤)G(緑)B(青)bk(黒)の各色を補正対象投影面に対して出力させ、当該各色出力の補正対象投影面による反射光のXYZ値を光センサ170で予め測定して、デバイス特性保存用メモリ160に格納しておく。これらのデータは、製品の出荷前に予め測定してデータとして格納しておいても良いし、起動時に自動的にパッチを表示させて測定しても良い。
【0101】
そして、プロジェクタのRGB値とXYZ値との間の変換を行うための行列Mを、デバイス特性保存用メモリ160に格納されているプロジェクタの各色のXYZ値から求める。行列Mおよび変換式は、式(1)〜式(3)に示すとおりである。ここで、Xc、Yc、Zc(c=R,G,B,bk)はプロジェクタの各R,G,B,bk色のXYZ値、DR,DG,DBはRGBのデジタルの入力値(0〜255)を0から1の範囲に規格化したもの、γはプロジェクタの階調特性である。ガンマは、対象となるプロジェクタの階調特性を実際に測定して求め、その平均的な値を用いるのが適当である。当該実施の形態では、一例として、γ=2.2とする。
【0102】
次に、色補正テーブル生成部150は、画面内のスクリーンの所定領域におけるデータ(XYZ値)を光センサ170によって測定する(ステップ242)。前記画面内のスクリーンの所定領域におけるデータ(XYZ値)をX、Y、Zとする。
【0103】
そして、色補正テーブル生成部150は、画面外のスクリーンの所定領域におけるデータ(XYZ値)を光センサ170によって測定する(ステップ244)。前記画面外のスクリーンの所定領域におけるデータ(XYZ値)をXi、Yi、Ziとする。この際、スクリーン全体に亘って画像を投影しないように留意する必要がある。
【0104】
次に、色補正テーブル生成部150は、ステップ242における画面内のデータ測定領域に対応する入力データ(RGB値)を輝度値に換算して平均化する(ステップ246)。平均化されたRGBの輝度値をそれぞれr0、g0、b0とする。具体的には、以下のように計算をする。
【0105】
r0=(YR−Ybk)<DR 1/ γ>
g0=(YG−Ybk)<DG 1/ γ>
b0=(YB−Ybk)<DB 1/ γ>
ここで、<>は、画面内のスクリーンの所定領域内の全画素で平均をとることを示す。
【0106】
次に、色補正テーブル生成部150は、画面内のスクリーンの所定領域におけるデータ(XYZ値)を光センサ170によって測定する(ステップ242)。
【0107】
そして、色補正テーブル生成部150は、使用者が知覚できない程度に投影画像を瞬間的に消して前記所定領域と同一の領域における所望のデータ(照明のXYZ値(XiYiZiの値))を光センサ170によって測定する(ステップ244)。
【0108】
次に、色補正テーブル生成部150は、ステップ242における画面内のデータ測定領域に対応する入力データのRGB値(輝度値)を平均化する(ステップ246)。平均化されたRGB値をそれぞれr0、g0、b0とする。具体的には、データ測定領域の画素毎に平均値をとり、その合計値を求める。
【0109】
そして、色補正テーブル生成部150は、外部照明およびスクリーンの影響を計算する(ステップ248)。この際に使用するデータは、ステップ242および244において測定された値およびステップ246において求められた平均値である。
【0110】
また、スクリーンの影響を補正するためのパラメータyR’、yG’、yB’は、式(4)〜式(6)によって求まる。この際、r、g、bは式(7)より求まり、r0、g0、b0はステップ246において計算されている。
【0111】
以上のようにして求められた各影響を補正するためのパラメータを用いて、RGB各色の1次元色補正テーブルを生成する。
【0112】
第2実施形態におけるRGB各色の1次元色補正テーブルの生成(ステップ250)およびその書換(ステップ252)は、第1実施形態におけるステップ230およびステップ232における処理と同様であり、その説明を省略する。
【0113】
第3実施形態
図6に、本発明の第3実施形態にかかる色補正テーブルの生成・書換処理3を説明するためのフローチャートを示す。第3実施形態では、図9に示すように、画面内の2つの所定領域のおける所望のデータを測定する。
【0114】
図6に示すように、第1および第2実施形態と同様に、色補正テーブルの生成・書換処理2において、色補正テーブル生成部150は、まず、デバイス特性保存用メモリ160からデバイスの色特性データを取得する(ステップ260)。
【0115】
第1および第2実施形態と同様に、プロジェクタ(画像表示装置)20からR(赤)G(緑)B(青)bk(黒)の各色を補正対象投影面に対して出力させ、当該各色出力の補正対象投影面による反射光のXYZ値を光センサ170で予め測定して、デバイス特性保存用メモリ160に格納しておく。これらのデータは、製品の出荷前に予め測定してデータとして格納しておいても良いし、起動時に自動的にパッチを表示させて測定しても良い。
【0116】
そして、プロジェクタのRGB値とXYZ値との間の変換を行うための行列Mを、デバイス特性保存用メモリ160に格納されているプロジェクタの各色のXYZ値から求める。行列Mおよび変換式は、式(1)〜式(3)に示すとおりである。ここで、Xc、Yc、Zc(c=R,G,B,bk)はプロジェクタの各R,G,B,bk色のXYZ値、DR,DG,DBはRGBのデジタルの入力値(0〜255)を0から1の範囲に規格化したもの、γはプロジェクタの階調特性である。ガンマは、対象となるプロジェクタの階調特性を実際に測定して求め、その平均的な値を用いるのが適当である。当該実施の形態では、一例として、γ=2.2とする。
【0117】
次に、色補正テーブル生成部150は、画面内の2つの所定領域におけるデータ(XYZ値)を光センサ170によって測定する(ステップ262)。前記2つの所定領域におけるデータ(XYZ値)をそれぞれ、X1、Y1、Z1およびX2、Y2、Z2とする。
【0118】
次に、色補正テーブル生成部150は、ステップ262における画面内の2つのデータ測定領域に対応する2つの入力データ(RGB値)を輝度値に換算して平均化する(ステップ266)。各データ測定領域に対応する平均化されたRGBの輝度値をそれぞれr01、g01、b01およびr02、g02、b02とする。具体的には、以下のように計算をする。
【0119】
r01=(YR1−Ybk)<DR1 1/ γ>
g01=(YG1−Ybk)<DG1 1/ γ>
b01=(YB1−Ybk)<DB1 1/ γ>
r02=(YR2−Ybk)<DR2 1/ γ>
g02=(YG2−Ybk)<DG2 1/ γ>
b02=(YB2−Ybk)<DB2 1/ γ>
ここで、<>は、画面内のスクリーンの所定領域内の全画素で平均をとることを示す。
【0120】
そして、色補正テーブル生成部150は、外部照明およびスクリーンの影響を計算する(ステップ268)。この際に使用するデータは、ステップ262において測定された値およびステップ266において求められた平均値である。
【0121】
外部照明およびスクリーンの影響を計算するための基本方程式は、前記2つの所定領域に対してそれぞれ
【0122】
【数5】
によって与えられる。
【0123】
そして、式(53)および式(54)より、スクリーンの影響を補正するためのパラメータyR’、yG’、yB’は、
【0124】
【数6】
によって計算される。ここで、
【0125】
【数7】
である。
【0126】
また、同様に、照明の影響を補正するためのパラメータri、gi、biは、
【0127】
【数8】
によって計算される。
【0128】
以上のようにして求められた各影響を補正するためのパラメータを用いて、RGB各色の1次元色補正テーブルを生成する。
【0129】
第3実施形態におけるRGB各色の1次元色補正テーブルの生成(ステップ270)およびその書換(ステップ272)は、第1および第2実施形態におけるステップ230およびステップ232における処理と同様であり、その説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の一例にかかるプロジェクタ20を用いたシステムの概略説明図である。
【図2】本発明のプロジェクタ20内の画像処理部の機能ブロック図である。
【図3】本発明のプロジェクタ20内の画像処理部100の動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明のプロジェクタ20内の色補正テーブル生成部150による色補正テーブルの生成・書換処理1を説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明のプロジェクタ20内の色補正テーブル生成部150による色補正テーブルの生成・書換処理2を説明するためのフローチャートである。
【図6】本発明のプロジェクタ20内の色補正テーブル生成部150による色補正テーブルの生成・書換処理3を説明するためのフローチャートである。
【図7】第1実施形態にかかる色補正テーブルの生成・書換処理1のデータ測定領域を説明するための図である。
【図8】第2実施形態にかかる色補正テーブルの生成・書換処理2のデータ測定領域を説明するための図である。
【図9】第3実施形態にかかる色補正テーブルの生成・書換処理3のデータ測定領域を説明するための図である。
【図10】本発明の第1実施形態にかかるプロジェクタ20内の色補正テーブル生成部150による色補正テーブルの生成処理を説明するためのフローチャートである。
【図11】本発明による補正カーブ計算処理1(外部照明の明るさの変化に対する補正)を説明するためのフローチャートである。
【図12】各環境下におけるγカーブを示すグラフ図である。
【図13】各環境下における規格化されたγカーブを示すグラフ図である。
【図14】各環境下における規格化されたγカーブを基準点Doで合わせた状態を示すグラフ図である。
【図15】 Doを変化させた場合の補正カーブの一例を示すグラフ図(1)である。
【図16】 Doを変化させた場合の補正カーブの一例を示すグラフ図(2)である。
【図17】第1補正カーブの補正量α1の調整を説明するための図である。
【図18】本発明による補正カーブ計算処理2(投影面の色の変化に対する補正)を説明するためのフローチャートである。
【図19】本発明による補正カーブ計算処理3(外部照明の色の変化に対する補正)を説明するためのフローチャートである。
【図20】第3補正カーブの算出原理を説明するための図である。
【図21】補正カーブの一例(丸め処理前)の一例を示すグラフ図である。
【図22】補正カーブの一例(丸め処理後)の一例を示すグラフ図である。
【符号の説明】
10 スクリーン
20 プロジェクタ
50 照明器具
60 光センサ
80 外部照明
100 画像処理部
110 A/D変換部
120 色補正部
130 D/A変換部
140 L/V駆動部
150 色補正テーブル生成部
170 光センサ
Claims (11)
- 画像表示装置に入力される画像入力データに対する画像処理方法であって、
表示された画像のデータを測定するデータ測定工程と、
前記表示された画像に対応する画像入力データを解析するデータ解析工程と、
前記測定されたデータと、前記データ解析工程による解析結果とに基づき、外部環境の影響を求め、前記画像入力データに対する色補正を行う色補正テーブルに対して、前記外部環境の影響を考慮した生成・書換処理を行うことにより、前記外部環境の影響を解消する画像処理方法。 - 請求項1に記載の画像処理方法であって、
前記データ測定工程において、所定領域内に表示された画像のデータと、画像が表示されていない画像表示面におけるデータとを測定し、
前記データ解析工程において、前記所定領域内に表示された画像に対応する画像入力データを解析する、画像処理方法。 - 請求項1に記載の画像処理方法であって、
前記画像データ測定工程において、所定領域内に表示された画像のデータと、画像を表示しない状態での前記所定領域内におけるデータとを測定し、
前記データ解析工程において、前記所定領域内に表示された画像に対応する画像入力データを解析する、画像処理方法。 - 請求項1に記載の画像処理方法であって、
前記データ測定工程において、2つの所定領域内に表示された画像のデータをそれぞれ測定し、
前記データ解析工程において、前記2つの所定領域内に表示された画像に対応する画像入力データをそれぞれ解析する、画像処理方法。 - 請求項1乃至4のいづれか一項に記載の画像処理方法であって、
前記データ解析工程において、画像入力データの各要素色成分の平均値を算出することによって、前記表示された画像に対応する画像入力データを解析する、画像処理方法。 - 請求項1乃至5のいづれか一項に記載の画像処理方法であって、
前記データ測定工程と、前記データ解析工程とを順次繰返し、順次測定されたデータと、順次の解析結果とに基づき、外部環境の影響を求め、当該外部環境の影響を解消する画像処理方法。 - 請求項1乃至6のいづれか一項に記載の画像処理方法であって、
さらに前記画像表示装置の特性を考慮して、外部環境の影響を求め、当該外部環境の影響を解消する画像処理方法。 - 請求項1乃至7のいづれか一項に記載の画像処理方法であって、
前記画像表示装置が画像投影装置である、画像処理方法。 - 請求項1乃至8のいづれか一項に記載の画像処理方法であって、
前記外部環境の影響が、外部照明の影響および画像が表示される投影面の影響である、画像処理方法。 - 画像入力データに対して所望の画像処理を行って画像を表示する画像表示装置であって、
表示された画像のデータを測定するデータ測定手段と、
前記表示された画像に対応する画像入力データを解析するデータ解析手段と、
前記測定されたデータと、前記データ解析手段による解析結果とに基づき、外部環境の影響を求め、前記画像入力データに対する色補正を行う色補正テーブルに対して、前記外部環境の影響を考慮した生成・書換処理を行うことにより、前記外部環境の影響を解消する画像表示装置。 - 画像表示装置に入力される画像入力データに対する画像処理をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータによって読取可能な記録媒体であって、
表示された画像のデータを測定するデータ測定処理と、
前記表示された画像に対応する画像入力データを解析するデータ解析処理と、
前記測定されたデータと、前記データ解析処理による解析結果とに基づき、外部環境の影響を求め、前記画像入力データに対する色補正を行う色補正テーブルに対して、前記外部環境の影響を考慮した生成・書換処理を行うことにより、前記外部環境の影響を解消する処理と、
をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータによって読取可能な記録媒体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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