JP3691496B2 - 板状ワークのこば面角部の面取り方法、及びその装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、板状のワークの隣接する端面の交叉部であるこば面角部を略円弧状に面取り加工する方法、及びその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、橋梁は、主部材、主部材どうしを継ぐための継ぎ部材、主部材に一体溶接されてこれを補強する補強部材等で構成されており、いずれも鋼板で形成されている。橋梁を構成する上記各部材は、その全体が塗装される。ここで、図28の(イ)に示されるように、鋼板で構成された上記各部材(ワークW)における前端面1aと奥側の側端面1bとで形成される直角状角部の端面であるこば面角部K1 が角状のままであると、塗装剥離が生じ易くなる。これを防止するため、前記こば面角部K1 は、面取り中心C1 として、面取り半径R1 でアール面取りされる。従来、このアール面取りは、作業者の手作業によって行われており、その作業が大変である。また、図28の(イ)に示されるように、ワークWの後端面を1cと記載すると共に、ワークWの上面(板面)を1dと記載する。
【0003】
また、ワークWには、図28の(イ)に示されるように、平面視において、略方形状のものの他に、同図の(ロ)に示されるように、平面視において、略平行四辺形状のものも存している。このようなワークWの場合、鋭角状角部の端面、及び鈍角状角部の端面がこば面角部K’となっている。鋼板を使用するに当り、上記した各こば面角部K1,K’のアール面取りを行う必要がある。
【0004】
前記こば面角部K1 を機械的にアール面取りする装置として、各種の技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、前記特許文献1に開示されたものは、制動力に抗して面取り工具を旋回させるものである。よって、アール面取りの形状は、鋼板の板厚、制動力によって個々にバラツキが生ずる。ここで、塗装剥離防止の観点から最も重要なことは、こば面角部K1 がアール面取りされるのみならず、このアール面取りされた面の両端と、これと接続する端面とが連続面で接続されることである。
【0005】
しかし、従来装置では、面取り工具に旋回方向の制動力を加えているのみであるため、こば面角部K1 そのものは、アール面取りされても、これと接続するワークWの前端面1aとが非連続面となって、図28の(ハ)に示されるように、その交叉部に鈍角状角部91が残ることがある。また、鋭角状角部及び鈍角状角部の各こば面角部K’をアール面取りすることは困難である。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−219638号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した不具合に鑑み、板状ワークのこば面角部を、高精度に面取り加工できるようにすることを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、板状のワークの隣接する端面の交叉部であるこば面角部を略円弧状に面取りする方法であって、ワークの板面に対して垂直な面内に配置された面取り工具が、前記板面に対して垂直な旋回軸を中心にして旋回可能であり、しかもトルク制御手段により旋回トルクを制御してこば面角部に面取可能な圧力で押圧する面取り工具ユニットを使用し、前記面取り工具ユニットをこば面角部を形成する一方の端面の方向であるY軸方向に直線移動させて、前記面取り工具がこば面角部に接触して、面取り工具ユニットが加工開始位置に達したことを検出する加工開始位置検出工程と、前記加工開始位置において、面取り工具がワークのこば面角部を押圧した状態で、こば面角部の面取り中心を中心にして面取り工具が略円弧運動をし得るように、面取り工具ユニットのY軸方向への送りと、ワークに対する面取り工具ユニットの前記Y軸方向と直交するX軸方向への相対送りとを合成させてこば面角部に面取り加工を施す面取り工程とを含むことを特徴としている。
【0009】
この発明によれば、面取り工具ユニットがY軸方向に直線移動して、その面取り工具がワークのこば面角部を形成する他方の端面に接触すると、面取り加工の開始位置が定められる。前記面取り工具ユニットが加工開始位置に位置した状態では、面取り工具は、ワークのこば面角部を形成する他方の端面に面接触しており、この状態で、トルク制御手段により、面取り工具がワークのこば面角部を所定圧力で押圧した状態で、こば面角部の面取り中心を中心にして面取り工具が略円弧運動をし得るように、面取り工具ユニットのY軸方向への送りと、ワークに対する面取り工具ユニットの前記Y軸方向と直交するX軸方向への相対送りとを合成させると、ワークのこば面角部は、設定半径で略円弧状に面取りされる。このため、ワークのこば面角部の面取り加工の精度が良好である。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明を前提として、ワークのこば面角部は、これを形成する二つの端面のいずれもがX軸方向に沿っていない鈍角状角部に形成されたものであって、前記こば面角部の一方を形成する傾斜端面のY軸方向に対する角度よりも小さな角度で面取り工具を傾斜させた状態で、面取り工具ユニットをY軸方向に直線移動させて、面取り工具がこば面角部に接触する位置によって、こば面角部のY軸方向に沿った位置を検出するY軸方向位置検出工程と、前記Y軸方向位置検出工程の後に、面取り工具ユニットをY軸方向に沿って上記と逆方向に所定量だけ後退した位置において、前記面取り工具を前記傾斜端面に接触するまで反旋回方向に旋回させて、この接触位置における面取り工具のY軸方向に対する角度と面取り工具の前記後退位置におけるY軸方向の位置とによって、前記こば面角部が形成されている鈍角状角部の角度を検出する角度検出工程とによって面取り工具ユニットの加工開始位置を求めることを特徴としている。
【0011】
この発明では、上記各工程によって、こば面角部のY軸方向に沿った位置と、前記こば面角部が形成されているワークの鈍角コーナ部の角度との双方が検出されるので、加工開始時における面取り工具のY軸方向に対する傾斜角度、及び加工開始時におけるY軸方向の位置との双方が確定される。このため、ワークの鈍角状角部に形成されているこば面角部であっても、該こば面角部を確実に面取り加工することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明を前提として、X軸方向に沿ったワークに対する面取り工具の加工開始位置を徐変させて、面取り工具の加工部位を徐変させることを特徴としている。X軸方向に沿ったワークに対する面取り工具の加工開始位置を徐変させると、ワークに対する面取り工具の加工部位が徐変されて偏磨耗が防止され、その寿命が長くなる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、板状のワークの隣接する端面の交叉部であるこば面角部を略円弧状に面取りする装置であって、ワークをX軸方向に制御送りさせる第1制御手段を備えたワーク搬送装置と、面取り工具を備えた面取り工具ユニットと、前記面取り工具ユニットをX軸方向と直交し、かつワーク板面に平行なY軸方向に制御送りさせる第2制御手段を備えた面取り工具ユニット移動装置とを有し、前記面取り工具ユニットは、XY平面に垂直な面内で回転する前記面取り工具が、XY平面に垂直なZ軸方向の旋回軸を中心にして旋回可能であって、しかもトルク制御手段により旋回トルクを制御してワークのこば面角部に面取可能な圧力で押圧する構成であり、加工位置で停止しているワークに対して面取り工具ユニットをY軸方向に移動させて、面取り工具がワークのこば面角部を形成する一方の端面に当接した加工開始位置を工具当接検出手段により検出し、前記加工開始位置において、ワークのこば面角部の面取り中心を中心にして面取り工具ユニットが略円弧運動をし得るように、前記第1制御手段によるワークのX軸方向の送りと、前記第2制御手段による面取り工具ユニットのY軸方向の送りとを合成させて、前記面取り工具を旋回トルクの作用方向と逆方向に旋回させることを特徴としている。
【0014】
この発明の作用を説明する。ワーク搬送装置によりワークをX軸方向に移動させて、X軸方向の原点位置である加工位置でワークを停止させる。次に、面取り工具ユニット移動装置により、面取り工具ユニットをY軸方向に移動させて、面取り工具がワークのこば面角部を形成する一方の端面に当接した加工開始位置に達したことが工具当接検出手段により検出される。そして、前記加工開始位置において、ワークの面取り中心を中心にして面取り工具ユニットが略円弧運動をし得るように、第1制御手段によるワーク搬送装置のX軸方向の送りと、第2制御手段による面取り工具ユニットのY軸方向の送りとを合成させて、面取り工具を旋回トルクの作用方向と逆方向に旋回させると、ワークのこば面角部に円弧状の面取り加工が施される。
【0015】
この発明によれば、前記面取り工具ユニットがY軸方向に移動中において、工具当接検出手段により、面取り工具ユニットのY軸方向に沿った加工開始位置を正確に検出して、ワークのこば面角部の面取り中心を中心として面取り工具を略円弧運動させられる。このため、ワークの板厚、材質等の面取り加工条件とは無関係に、こば面角部の面取りを、設定した面取り半径で略円弧状に正確に面取りできる。また、ワークのこば面角部の面取り半径は、その瞬間におけるX軸方向及びY軸方向の各送り速度の比率を変更させて、ワークに対する面取り工具ユニットの相対軌跡を変更させること(略円弧状の相対軌跡の半径を変更させること)により、変更可能となる。更に、ワークをX軸方向に制御送りさせる第1制御手段は、ワークをX軸方向に移動させるワーク搬送装置に備え付けられているので、第1制御手段は、ワーク搬送装置の駆動手段を兼用することとなる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、板状のワークの隣接する端面の交叉部であるこば面角部を略円弧状に面取りする装置であって、ワークをX軸方向に移動させるワーク搬送装置と、面取り工具を備えた面取り工具ユニットと、前記面取り工具ユニットをX軸方向、及びこれと直交し、かつワークの板面に平行なY軸方向の両方向に制御送りさせる第1及び第2の各制御手段を備えた面取り工具ユニット移動装置とを有し、前記面取り工具ユニットは、XY平面に垂直な面内で回転する前記面取り工具が、XY平面に垂直なZ軸方向の旋回軸を中心にして旋回可能であって、しかもトルク制御手段により旋回トルクを制御してワークのこば面角部に面取可能な圧力で押圧する構成であり、加工位置で停止しているワークに対して面取り工具ユニットをY軸方向に移動させて、面取り工具がワークのこば面角部を形成する一方の端面に当接した加工開始位置を工具当接検出手段により検出し、前記加工開始位置において、ワークの面取り中心を中心にして面取り工具が略円弧運動をし得るように、第1及び第2の各制御手段による面取り工具ユニットのX軸方向及びY軸方向の各送りを合成させて、前記面取り工具を旋回トルクの作用方向と逆方向に旋回させることを特徴としている。
【0017】
この発明は、「第1制御手段は、ワーク搬送装置の駆動手段を兼用することとなる」点を除いて、「請求項4の作用効果」と実質的に同一である。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項4又は5に記載の発明を前提として、工具当接検出手段は、面取り工具がワークのこば面角部を形成する一方の端面に当接して、旋回軸が旋回方向に微小角度だけ旋回したことを検出可能な回転角度検出器であることを特徴としている。この発明では、回転角度検出器により、旋回軸が旋回方向に微小角度だけ旋回したことを検出する構成であるため、加工開始位置の検出精度が高まって、加工精度が高まる。
【0019】
請求項7に記載の発明は、請求項4又は5に記載の発明を前提として、面取り工具ユニットは、ワークの全幅を超えてY軸方向に横移動して、ワークが加工位置に固定された状態で、Y軸方向に沿って隣接している二箇所のこば面角部を加工可能であることを特徴としている。この発明によれば、同一の面取り工具ユニットにより、ワークが加工位置に固定された状態で、Y軸方向に沿って隣接している二箇所のこば面角部を加工できる。このため、加工効率が良好である。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、実施形態をあげて、本発明を更に詳細に説明する。図1は本発明に係る面取り装置Aの概略構成を示す平面図、図2は本発明に係る面取り装置Aの正面図、図3は同じく一部を破断した平面図、図4は図3のX矢視図、図5は図4のY−Y線断面図、図6はワーク搬送装置Bの平面図、図7は同じく正面図、図8は一部を破断した面取り工具ユニットUの正面図、図9は幅寄せ装置Eの正面図、図10はワーク押え装置Fの正面図である。最初に、本実施形態の面取り装置Aの全体構成について説明する。図1ないし図4に示されるように、本実施形態の面取り装置Aは、搬送側の補助テーブル2aに載置され、図示しない手段によって搬送された板状のワークWを保持すると共に、該ワークWを送り速度Vxでもって制御送りするためのワーク搬送装置Bと、ワークWのこば面角部K1 に面取り加工を施すための面取り工具装置3が取付けられた面取り工具ユニットUと、前記面取り工具ユニットUを、前記ワークWの搬送方向(X軸方向)と直交する方向(Y軸方向)に送り速度Vyでもって制御送りするための面取り工具ユニット移動装置Dと、前記ワーク搬送装置BにおけるワークWの位置を定めるための幅寄せ装置Eと、同じく位置決めされたワークWを保持するためのワーク押え装置Fとから構成されている。なお、図2において、2bは、排出側の補助テーブルである。
【0021】
ワーク搬送装置Bについて説明する。図1ないし図4に示されるように、装置フレーム4の上面には、その奥行き方向(Y軸方向)に所定の間隔をおいて、一対のガイドブラケット5a,5b が取付けられている。一対のガイドブラケット5a,5b には、X軸方向に所定間隔をおいて複数本(本実施形態の場合、8本)の駆動ローラ6が回転自在にして支承されている。ワークWは、前記複数本の駆動ローラ6に支持され、各駆動ローラ6の駆動回転によりX軸方向に沿って移動される。本実施形態のワーク搬送装置Bでは、幅方向(X軸方向)における中央部に、面取り工具ユニットUの下端部に取付けられた面取り工具装置3をY軸方向に沿って移動させるための面取り工具ユニット移動空間部Qが形成されている。このため、ワーク搬送装置Bは、中央部において恰も分断された形態となっている。そして、前記複数本の駆動ローラ6において、中央部寄り(面取り工具ユニット移動空間部Qに近い側)に支承された2本の駆動ローラ6の間には、ワークWを確実に支持するための従動ローラ7が取付けられている。搬送側の各駆動ローラ6及び従動ローラ7は、ワークWの前端面1aのこば面角部K1 を面取り加工する際に該ワークWの前部を支持するという機能を有しており、また、排出側の各駆動ローラ6及び従動ローラ7は、面取り加工が終了して排出されるワークWを支持すると共に、ワークWの後端面1cのこば面角部K1 を面取り加工する際に該ワークWの後部を支持するという機能を有している。ワーク搬送装置Bにおける両側部分の構成は、対称形状になっていることを除いてほとんど同一であるため、以降、正面視における左側(ワークWの搬送側)の構成についてのみ説明する。
【0022】
図6に示されるように、各駆動ローラ6における手前側の端部は、ガイドブラケット5aから突出されていて、それぞれ駆動歯車8が装着されている。また、前記装置フレーム4の正面部で、幅方向のほぼ中央部には、ブラケット9を介してワーク搬送モータM1 が、そのモータ軸11(図7参照)の軸心をY軸方向に沿わせて取付けられている。図7に示されるように、前記モータ軸11には、モータ歯車12が装着されている。そして、手前側のガイドブラケット5aにおいて、前記モータ歯車12の両側には、一対の中間歯車13が取付けられていて、各中間歯車13は、ワーク搬送モータM1 のモータ歯車12、及び中央部寄りの各駆動ローラ6に取付けられた駆動歯車8に噛合されている。また、各駆動ローラ6に取付けられた駆動歯車8は、それらの間に取付けられた各中間歯車14と噛合されている。このため、ワーク搬送モータM1 を作動させて、モータ歯車12を所定方向(正面視において時計回りの方向)に回転させると、一対の中間歯車13を介して中央部寄りの各駆動ローラ6に取付けられた駆動歯車8が、モータ歯車12と同方向に駆動回転される。更に、各中間歯車14を介して隣接する各駆動ローラ6に取付けられた駆動歯車8も同方向に駆動回転される。ここで、前記ワーク搬送モータM1 はサーボモータであるため、無段変速特性、発生トルク特性、速度調整特性が良好である。この結果、ワーク搬送モータM1 のモータ軸11の回転数を、容易に、しかも、設定通りに変化させることができ、各駆動ローラ6に支持されて搬送されるワークWの送り速度Vx、送り量及び送り方向が自在に調整される。
【0023】
また、図3に示されるように、装置フレーム4の手前側と奥側で、ワークWの加工位置に対応する部分には、当該加工位置におけるワークWの有無を検出するためのワーク位置検出センサ10が取付けられている。このワーク位置検出センサ10は、例えば透過型の光電センサであって、その投光部からY軸方向に沿って投射された光10aが、受光部に入射される。ワーク搬送装置Bに支持されて、X軸方向に沿って移動されるワークWが加工位置に達すると、ワーク検出センサ10の光10aを遮断する。これにより、ワークWが検出される。すると、ワーク搬送モータM1 の駆動が停止され、ワークWが停止される。これにより、ワークWの直角状角部のこば面角部K1 が加工位置に配置される。
【0024】
次に、面取り工具ユニット移動装置Dについて説明する。図2ないし図4に示されるように、装置フレーム4における各駆動ローラ6の直上の部分には、鋼管より成る2本の梁部材15a,15b が、Y軸方向に沿って取付けられている。2本の梁部材15a,15b のうち、排出側(正面視における右側)の梁部材15bは、搬送側(同じく左側)の梁部材15aよりも高くなっていて、この梁部材15bにおいて、面取り工具ユニット移動空間部Qに臨む内側面部には、面取り工具ユニットUをY軸方向に沿って移動させるための面取り工具ユニット移動装置Dが取付けられている。即ち、前記梁部材15bの内側面部には、高さ方向に所定の間隔をおいて2本のガイドレール16が敷設されている。そして、両ガイドレール16のほぼ中央部分には、各ガイドレール16と平行にしてボールねじ17が取付けられている。このボールねじ17の手前側の端部は、支持ブロック18により回転自在に支持されていると共に、奥側の端部は、面取り工具ユニット移動モータM2 (後述)と連結されている。
【0025】
図5及び図8に示されるように、前記各ガイドレール16には、それぞれガイド体21が装着されている。各ガイド体21は、面取り工具ユニットUを構成するハウジング22に固着されている。更に、前記ボールねじ17は、前記ハウジング22に取付けられたナット部材23に螺合されている。このため、面取り工具ユニット移動モータM2 を作動させることにより、前記面取り工具ユニットU全体をY軸方向に沿って移動させることができる。この面取り工具ユニット移動モータM2 は、ワーク搬送モータM1 と同様にサーボモータであるため、回転数制御が容易である。この結果、一対のガイドレール16にガイドされて移動される面取り工具ユニットUの送り速度Vy、送り量及び送り方向が自在に調整される。
【0026】
次に、面取り工具ユニットUについて説明する。図8に示されるように、面取り工具ユニットUを構成するハウジング22の内部には、旋回軸24が高さ方向(Z軸方向)に沿って取付けられていて、該旋回軸24は、前記ハウジング22に内装された軸受(図示せず)により回転自在である。この旋回軸24の上端部には歯車25が装着されていて、該歯車25は、旋回モータM3 のモータ軸(図示せず)に装着されたモータ歯車26に噛合されている。旋回モータM3 を作動させることにより、旋回軸24が回転される。この旋回モータM3 もサーボモータであり、回転数制御が容易である。また、前記ハウジング22の上部には、前記歯車25と軸心同一にしてエンコーダ27が取付けられている。このため、旋回軸24の旋回角度θ(図13参照)を検出することができる。また、該旋回モータM3 には、軸回転角度検出器(エンコーダ27)が取付けられているため、旋回軸24の旋回角度θ(図13参照)を検出することができる。
【0027】
また、前記旋回軸24の下端部には、ブラケット28が取付けられていて、該ブラケット28に面取り工具装置3が、高さ方向に沿って取付けられている。本実施形態の面取り工具装置3は、サンダーである。このため、前記旋回モータM3 を作動させると、前記面取り工具装置3が、旋回軸24の旋回中心24aを中心としてXY平面内で旋回される。また、その面取りカッター3aは、板状のワークWの上面1dに対して垂直な面内(Z軸を含む面内)で、高速回転可能である。本実施形態の面取り工具ユニットUでは、前記面取りカッター3aは、ワークWのこば面角部K1 とほぼ同一の高さ位置に配置される(図4参照)。そして、この面取りカッター3aの外径は、ワークWの板厚よりも大きい。なお、図8において、面取りカッター3aの正面形状を二点鎖線で示す。また、面取りカッター3aの旋回半径を、Rcと記載する。
【0028】
次に、幅寄せ装置Eについて説明する。図2、図4及び図9に示されるように、一対の梁部材15a,15b の底面部には、それぞれ同一構成の幅寄せ装置Eが配設されている。この幅寄せ装置Eは、ワークWの手前側の側端面1bを押すための幅寄せ装置本体29と、該幅寄せ装置本体29をY軸方向に沿って移動させるためのボールねじ装置31とから構成されている。前記幅寄せ装置本体29は、各梁部材15a,15b の下方に設けられた略L字状の幅寄せブラケット32と、その先端部に支承された複数個(本実施形態の場合、6個)の幅寄せローラ33とから成る。これらの幅寄せローラ33は、各駆動ローラ6の直上に配置されていて、その端縁部は、前記幅寄せブラケット32の先端部より僅かに突出されている。
【0029】
幅寄せ装置Eのボールねじ装置31について説明する。図4、図5及び図9に示されるように、各梁部材15a,15b の底面部には、幅方向(X軸方向)に所定間隔をおいて、一対のガイドレール34が敷設されている。一対のガイドレール34どうしの間のほぼ中央部には、ボールねじ35が取付けられている。このボールねじ35の手前側の端部は、各梁部材15a,15b の底面部に固着された支持ブロック36(図4参照)に回転自在に支承されていると共に、手前側の端部は、支持ナット37を介して、幅寄せモータM4 のモータ軸(図示せず)に連結されている。また、一対のガイドレール34には、それぞれガイド体39が装着されていて、各ガイド体39には、前述した幅寄せブラケット32が取付けられている。そして、幅寄せブラケット32の上面部にはナット部材41(図9参照)が取付けられていて、該ナット部材41に前記ボールねじ35が螺合されている。
【0030】
また、図10に示されるように、装置フレーム4に取付けられた奥側のガイドブラケット5bの上面部で、各駆動ローラ6どうしの間には、各ストッパローラ42が、高さ方向に沿って取付けられた支持軸43に回転自在に支承されている。各ストッパローラ42の外径は同一であり、しかも、各支持軸43の取付位置は、X軸方向に沿った同一直線上に存している。このため、各ストッパローラ42の端縁部は、同一位置に配置される。前記幅寄せモータM4 を作動させると、ボールねじ35が回転し、一対のガイドレール34にガイドされた幅寄せブラケット32が、Y軸方向に沿って移動される。各幅寄せローラ33が、ワークWの手前側の側端面1bに当接するとワークWが奥側に押し込まれる。ワークWは、各駆動ローラ6に支持されたままY軸方向に沿って移動され、その奥側の側端面1bが、各ストッパローラ42の端縁部に当接される。このようにして、各駆動ローラ6に支持されたワークWの位置が定められる。
【0031】
次に、ワーク押え装置Fについて説明する。図10に示されるように、装置フレーム4における奥側のガイドブラケット5bの更に奥側には、ワーク押えブラケット44が取付けられている。このワーク押えブラケット44の背面部から、シリンダ支持アーム45が取付けられている。そして、該シリンダ支持アーム45の上端部に、エアシリンダ46が、垂直面内で回動可能にして取付けられている。また、前記ワーク押えブラケット44の正面部には、回動支持部材47が取付けられていて、該回動支持部材47に、略L字状のベルクランクレバー48が回動可能に支承されている。そして、このベルクランクレバー48の一端部(上端部)には、エアシリンダ46のシリンダロッド46aの先端部に装着された二股金具49が回動可能にして支承されていると共に、他端部には、幅広のワーク押え板51が固着されている。このワーク押え板51において、各駆動ローラ6及び従動ローラ7と対応する部分には、それぞれワーク押えローラ52が取付けられている。前記エアシリンダ46のシリンダロッド46aを前進させると、前記ベルクランクレバー48が時計回りの方向に回動される。このため、各ワーク押えローラ52が、ワークWの奥側の上面1dを強固に押圧する。この結果、ワークWは、奥側の側端面1bを各ストッパローラ42に当接させた位置決め状態で保持される。このように、本実施形態のワーク押え装置Fは、ワークWの上面1dを、各ワーク押えローラ52によって上方から押圧する形態であるため、ワークWの板厚に関係なく押圧することができる。なお、前記ワークWの位置決め状態において、該ワークWの底面部は各駆動ローラ6と従動ローラ7に支持されている。また、ワークWの奥側の側端面1bは、各ストッパローラ42に当接していて、同じく奥側の上面1dは各ワーク押えローラ52に押圧されている。このため、前記各駆動ローラ6を駆動回転させることにより、前記ワークWをX軸方向に沿って送ることができる。
【0032】
本発明に係る面取り装置Aを使用して、ワークWのこば面角部K1 に面取り加工をする場合の作用について説明する。最初に、ワークWの設置状態で、こば面角部K1 を形成する一方の端面(ワークWの奥側の側端面1b)がX軸方向に沿っていて、しかも、該こば面角部K1 が直角状角部に形成されている場合について説明する。図3に示されるように、搬送側の補助テーブル2aから、図示しない搬送手段により、ワークWがX軸方向に沿って搬送され、ワーク搬送装置Bを構成する複数本の駆動ローラ6に支持される。このとき、面取り工具ユニットUは、面取り装置Aの奥側で、ワークWと干渉しない位置に退避されている。幅寄せ装置Eを構成する幅寄せモータM4 を作動させ、ワークWをY軸方向に押し込み、ワークWの奥側の側端面1bを各ストッパローラ42に当接させる。この状態で、ワーク搬送装置Bを構成するエアシリンダ46を作動させて、そのシリンダロッド46aを突出させる。すると、ベルクランクレバー48が回動され、各ワーク押えローラ52によってワークWの奥側の上面1dが押圧される。この結果、ワークWにおけるY軸方向の位置が定められる。
【0033】
続いて、ワーク搬送装置Bを構成するワーク搬送モータM1 を作動させ、各駆動ローラ6を駆動回転させて、ワークWを前進させる。そして、一対のワーク位置検出センサ10によって、ワークWの前端面1aが加工位置に達したことが検出されると、その位置でワークWが停止される。これにより、前記ワークWのこば面角部K1 が加工位置に配置される。ここで、ワークWが前進する(搬送側から排出側に移動する)方向をX軸の正方向とすると共に、面取り工具ユニットUが前進する(奥側から手前側に移動する)方向をY軸の正方向とする。そして、このときのこば面角部K1 の座標を原点(0,0)とすると共に、ワークWの前端面1aから面取りカッター3aの旋回中心24aまでのX軸方向の距離を、x0 とする。
【0034】
図11及び図12に示されるように、面取り工具装置3を旋回させ、面取りカッター3aの前面(加工面)を、Y軸方向に沿わせて配置する。続いて、面取り工具ユニット移動モータM2 を作動させて、面取り工具ユニットUをY軸方向に低速で前進させる。すると、面取りカッター3aの前面部の端面が、ワークWのこば面角部K1 の一方の面である奥側の側端面1bに当接する。この状態で、面取り工具ユニットUは、なおも前進しようとするため、面取りカッター3aが旋回中心24aを中心として旋回しようとする。このときの微小な旋回角度がエンコーダ27によって検出され、前記旋回角度が設定値を超えると、前記エンコーダ27から回転角度検出開始信号が出力される。これにより、面取り工具ユニットUは、その面取りカッター3aがこば面角部K1 に当接した状態で、いったん停止される。そして、前記面取り工具ユニットUは、加工開始位置Pに配置される(加工開始位置検出工程)。この状態で、面取りカッター3aの旋回中心24aは、原点(0,0)に対して位置(x0,−Rc) に配置されている。
【0035】
続いて、ワーク搬送モータM1 を作動させて、ワークWをX軸方向に沿って、送り速度Vxで制御送りさせると共に、面取り工具ユニット移動モータM2 を作動させて、面取り工具ユニットUをY軸方向に沿って、送り速度Vyで制御送りさせる。そして、図13に示されるように、前記ワークWの送りと前記面取り工具ユニットUの送りとを合成しながら、面取りカッター3aを、ワークWのこば面角部K1 の面取り中心C1 を中心に略円弧運動をさせる。これにより、ワークWのこば面角部K1 に、前記面取り中心C1 を中心とする略円弧状の面取り加工がされる(面取り工程)。
【0036】
このとき、面取りカッター3aにおけるワークWとの接触部分には、ワークWからの反力(即ち、面取りカッター3aを逆方向に旋回させようとする旋回トルク)が作用している。特に、ワークWが厚い場合、或いは、ワークWが硬い場合、この反力が大きくなり、こば面角部K1 の面取り加工の精度が低下するおそれがある。即ち、こば面角部K1 が略円弧状に面取り加工されないおそれがある。これを防止するため、本実施形態の面取り工具ユニットUでは、その面取りカッター3aに、前記反力に対抗する微小な反旋回トルクを作用させている。即ち、旋回モータM3 はサーボモータであり、トルク制御が容易である。このため、前記旋回モータM3 のトルクを制御することにより、自在に反旋回トルクを発生させることができる。これにより、面取りカッター3aを、常に、こば面角部K1 に押圧させた状態で面取り加工をすることができる。この結果、ワークWのこば面角部K1 は、正確な略円弧状に面取り加工される。
【0037】
前記面取りカッター3aが、面取り中心C1 を中心として所定の旋回角度θ(本実施形態の場合、θ=90°)だけ旋回され、旋回モータM3 のエンコーダ27から回転角度検出停止信号が出力されると、前記面取りカッター3aの旋回が停止され、面取り加工が終了する。
【0038】
図13及び図14を参照しながら、このときの作用を、更に詳細に説明する。図13は、ワークWの直角状角部のこば面角部K1 を、面取り半径R1 で面取り加工する場合におけるワークWに対する面取り工具ユニットUの相対軌跡を示す図である。即ち、図13において53は、ワークWのこば面角部K1 を、面取り半径R1 で面取り加工する場合の面取り中心C1 を中心とする面取り工具ユニットUの旋回軸24の旋回中心24aを中心とする円弧状をした相対軌跡を示す。そして、角度θ1 は、加工開始位置Pにおける面取り工具ユニットUの旋回軸24の旋回中心24aとワークWの面取り中心C1 を結ぶ線分54のX軸に対する傾斜角度を示す。
【0039】
ここで、ワークWに対して面取り工具ユニットUを、所定の送り速度(V)で前記面取り中心C1 を中心にして相対的に円弧運動させるのに必要なワークW及び面取り工具ユニットUの各送り速度Vx,Vy は、以下のようにして求められる。即ち、図13に示されるように、加工開始位置Pから面取り工具ユニットUがワークWに対して任意角度(θ)だけ相対的に旋回した場合における前記各送り速度Vx,Vy は、それぞれ[V×sin(θ−θ1)],[V×cos(θ−θ1)]であって、それらの速度曲線が図14に示されている。このため、ワークW及び面取り工具ユニットUをそれぞれX軸及びY軸の各方向に制御送りさせるワーク搬送モータM1 及び面取り工具ユニット移動モータM2 の各サーボモータの時間に対する回転速度を図14に示されるように回転制御させれば、ワークWに対して面取り工具ユニットUは、送り速度Vで相対的に円弧運動を行って、ワークWの直角状角部のこば面角部K1 は、面取り半径R1 で面取り加工される。
【0040】
そして、図15は、ワークWと面取り工具ユニットUを制御送りさせたときの両者の移動を表示する工程図である。図15の(イ)に示されるように、加工開始位置Pに配置された面取り工具ユニットUを、送り速度VyでY軸方向に沿って制御送りさせる。同時に、ワークWを、送り速度VxでX軸方向に沿って制御送りさせる。このとき、面取り工具ユニットUを構成する面取りカッター3aは、ワークWのこば面角部K1 を、面取り中心C1 を中心として略円弧状に面取り加工しながら、その旋回中心24aを中心に、時計回りの方向に旋回される[図15の(ロ)]。ここで、前記面取り中心C1 と前記面取りカッター3aの旋回中心24aとを結ぶ線分54の長さは常に一定であるため、ワークWは、面取り工具ユニットUの送りに伴い、X軸方向に沿って後退し、後退端に配置される[図15の(ハ)]。このとき、面取り中心C1 と面取りカッター3aの旋回中心24aとの各Y座標の値は、同一である。
【0041】
更に、ワークWと面取り工具ユニットUが制御送りされる。ワークWは、再び前進される[図15の(ニ)]。また、面取りカッター3aは更に旋回され、ワークWのこば面角部K1 を略円弧状に面取り加工しながら、ワークWの前端面1aに近接する。前記面取りカッター3aの旋回角度θが90°に達し、それ以上旋回不能となったことが、旋回モータM3 に取付けられたエンコーダ27の機能によって検出されると、その停止信号が発せられ、ワークWの送りと面取り工具ユニットUの送りが停止される。このとき、面取りカッター3aの前面(加工面)は、ワークWの前端面1aに面接触状態で当接されている[図15の(ホ)]。ワークWのこば面角部K1 は、上記した工程を経て、面取り中心C1 を中心とする略円弧状に面取り加工される。
【0042】
また、ワークWにおける手前側の直角状角部に形成されたこば面角部K1 を面取り加工する場合には、図11に示されるように、いったん、面取り工具ユニットUをY軸方向に沿って移動させ、ワークWの全幅Lを超えた位置で面取りカッター3aを180°旋回させた後、そのままY軸方向に沿って後退させて、前記面取りカッター3aをワークWの手前側の側端面1bに当接させる。これにより、面取り工具ユニットUは、ワークWの手前側のこば面角部K1 に対する加工開始位置Pに配置される。この状態で、面取りカッター3aの旋回中心24aは、原点(0,0)に対して位置(x0,L+Rc) に配置されている。そして、前述した場合と同様に、ワークWの送りと面取り工具ユニットUの送りとを合成しながら、面取りカッター3aを、ワークWのこば面角部K1 の面取り中心C1 を中心に略円弧運動をさせる。これにより、ワークWにおいて、Y軸方向に沿って隣接する二箇所のこば面角部K1 を、同一工程で略円弧状に面取り加工することができる。
【0043】
次に、ワークWの後部に設けられたこば面角部K1 を面取り加工する場合の作用について説明する。この場合、図16に示されるように、ワークWをX軸方向に沿って移動させ、該ワークWを排出側の駆動ローラ6及び従動ローラ7に支持させる。そして、排出側のワーク押え装置FによってワークWの奥側の上面1dを押圧する。この状態で、X軸方向におけるワークWを移動させながら、ワーク位置検出センサ10によって、ワークWの後端面1cを検出する。その状態のワークWを、図16において一点鎖線で示す。続いて、ワークWを所定距離だけ前進させて加工位置に配置させると共に、面取り工具ユニットUをY軸方向に沿って前進させ、面取りカッター3aの端面部をワークWの奥側の側端面1bに当接させて加工開始位置Pに配置させる。そして、前述した場合と同様に、ワークWの送りと面取り工具ユニットUの送りとを合成しながら、面取りカッター3aを、ワークWのこば面角部K1 の面取り中心C1 を中心に略円弧運動をさせる。これにより、ワークWの後部のこば面角部K1 を、前部のこば面角部K1 と同様に略円弧状に面取り加工することができる。
【0044】
次に、ワークWの面取り半径R1 を変更する場合について説明する。図17及び図18に示される例では、面取り半径R2 は、前記面取り半径R1 よりも大きいので、加工開始位置Pにおける面取り工具ユニットUの旋回中心24aと、ワークWの面取り中心C1 とを結ぶ線分55のX軸に対する傾斜角度θ2 は、前述した線分54の傾斜角度θ1 よりも大きい。従って、図17において、ワークWのこば面角部K2 を面取り半径R2 で面取り加工する場合には、ワークW及び面取り工具ユニットUの各送り速度V'x,V'yは、面取り半径R1 で面取り加工する場合の各送り速度Vx,Vyの曲線に対して、旋回角度θの位相が(θ2 −θ1)だけずれることになる。これは、ワークW及び面取り工具ユニットUの各送り速度Vx,Vyの比[sin(θ−θ1)/cos(θ−θ1)]を異ならしめることにより、面取り半径R1,R2 が自在に調整できることを意味する。即ち、前記各送り速度Vx,Vyの比を制御することにより、前記こば面角部K2 を正確な円弧状に面取り加工することは勿論のこと、該こば面角部K2 を近似円弧形状に面取り加工することもできる。なお、図17において、56は、ワークWのこば面角部K2 を、面取り半径R2 で面取り加工する場合の面取り工具ユニットUの旋回中心24aの相対軌跡である。また、図18における(θ2 −θ1)は、理解を容易にするために、図17におけるそれよりも大きく図示してある。
【0045】
次に、ワークWの設置状態で、こば面角部K3 を形成する一方の端面(ワークWの奥側の側端面1b)がX軸方向に沿っていて、しかも、該こば面角部K3 が鋭角状角部に形成されている場合について説明する。そして、この鋭角状角部の角度を(90°−α)とする。図19の(イ)に示されるように、ワーク位置検出センサ10によって位置決めされたワークWが、加工位置に配置される。このとき、こば面角部K3 は、原点(0,0)に配置されている。続いて、面取り工具ユニットUがY軸方向に沿って前進され、こば面角部K3 に対する加工開始位置Pに配置される。このときの作用は、前述した直角状角部のこば面角部K1 の場合と全く同様である。この状態で、面取りカッター3aの旋回中心24aは、位置(x0,−Rc) に配置されている。前述した直角状角部のこば面角部K1 を面取り加工する場合とほとんど同様に、前記面取り工具ユニットUが、ワークWの面取り中心C3 を中心とする略円弧状の相対軌跡57を生じるように、ワークWの送りと面取り工具ユニットUの送りとを合成しながら両者を制御送りさせる。前記面取りカッター3aが、ワークWの前端面1aに面接触状態で当接すると、旋回モータM3 のエンコーダ27から停止信号が発せられ、ワークW、及び面取り工具ユニットUの送りが停止される。これにより、ワークWのこば面角部K3 が略円弧状に面取り加工される。
【0046】
次に、ワークWの設置状態で、こば面角部K4 を形成する一方の端面(ワークWの奥側の側端面1b)がX軸方向に沿っていて、しかも、該こば面角部K4 が鈍角状角部に形成されている場合について説明する。そして、この鈍角状角部の角度を(90°+α)とする。この場合、図19の(ロ)に示されるように、前記こば面角部K3 は、位置(−Ltanα,L)に配置されている。このため、いったん、ワークWを後退させた後、面取り工具ユニットUをY軸方向に沿って前進させ、ワークWの全幅Lを超えた位置で、面取りカッター3aを180°旋回させる。続いて、ワークWを再び前進させ、こば面角部K4 を、位置(0,L)に配置させる。この状態で、面取り工具ユニットUを後退させ、面取りカッター3aをワークWの手前側の側端面1bに当接させる。これにより、面取り工具ユニットUが、こば面角部K4 に対する加工開始位置Pに配置される。そして、前述した場合と同様に、ワークWの送りと面取り工具ユニットUの送りとを合成しながら、面取りカッター3aを、ワークWのこば面角部K4 の面取り中心C4 を中心に略円弧運動をさせる。これにより、ワークWのこば面角部K4 が略円弧状に面取り加工される。なお、図19の(ロ)において、58は、面取りカッター3aの旋回中心24aの相対軌跡である。
【0047】
次に、ワークWの設置状態で、こば面角部K5 を形成する二つの端面のいずれもがX軸方向に沿っていない鈍角状角部に形成されている場合について説明する。そして、この鈍角状角部の形成角度を(180°−β)とする。この場合、面取り工具ユニットUを、こば面角部K5 に対する加工開始位置P(図23参照)に配置させる前に、前記鈍角状角部の補角βの大きさを検出する必要がある。次に、補角βの大きさを検出する第1の方法について説明する。図20に示されるように、予め、面取りカッター3aは、Y軸に対して所定角度γだけ傾斜されて、退避位置に配置されている。この角度γは、前記補角βよりも小さい。また、面取りカッター3aの外径をdとすると、面取りカッター3aの旋回中心24aとその端縁部3bとを結ぶ線分60の長さGは、[(d/2)2+Rc2]1/2 で表される。そして、前記線分60とY軸とが成す角度を、δと記載する。更に、ワークWにおける前端面1aと奥側の側端面1bとの交点の仮想位置を原点(0,0)とし、面取りカッター3aの旋回中心24aの座標を(x0,y0)とする。
【0048】
前記退避位置において、面取りカッター3aを所定角度γだけ旋回させた状態の面取り工具ユニットUを、Y軸方向に沿って前進させる。すると、前記面取りカッター3aの端面部が、ワークWのこば面角部K5 に当接する。このときの面取り工具ユニットUの移動量(y0 +y1)は、面取り工具ユニット移動モータM2 に取付けられたエンコーダ(図示せず)の機能により計測可能である。そして、そのまま、前記面取り工具ユニットUを、Y軸方向に沿って、距離(y1 −y2)だけ後退させる。これにより、前記面取り工具ユニットUの旋回中心24aは、(x0,y2)の位置に配置される(Y軸方向位置検出工程)。
【0049】
図21に示されるように、その旋回中心24aが、こば面角部K5 のY座標と同一Y座標位置に配置された面取り工具ユニットUを、ワークWの傾斜端面59に向かって回動させる。すると、面取りカッター3aの端縁部3bが、こば面角部K5 を形成する傾斜端面59に当接して停止する。このときの面取り工具ユニットUの旋回角度εは、面取り工具ユニットUを構成するエンコーダ27の機能により求められる。そして、前記面取りカッター3aの端縁部3bとを結ぶ線分60におけるX軸への投影長さGxは、G×cos(90°−δ−ε)=G×sin(δ+ε)で表される。同様にして、前記線分60におけるY軸への投影長さGyは、G×sin(90°−δ−ε)=G×cos(δ+ε)で表される。この結果、こば面角部K5 の補角βは、tan -1(Gx/Gy)=tan -1[{G×cos(δ+ε)−x0 }/G×sin(δ+ε)]で表される。なお、上式において、G=[(d/2)2+Rc2]1/2 である。これにより、鈍角状角部の補角βが求められる(角度検出工程)。
【0050】
そして、図22に示されるように、前記面取りカッター3aを、時計回りの方向に補角βの角度分だけ旋回させる。これにより、面取りカッター3aの前面は、傾斜端面59と平行に配置される。この状態で、面取り工具ユニットUをY軸方向に沿って前進させ、その面取りカッター3aの前面を、前記傾斜端面59に面接触状態で当接させる。この当接は、直角状角部のこば面角部K1 を面取り加工するときの作用で記載したように、面取りカッター3aの微小な旋回角度が、旋回モータM3 のエンコーダ27によって検出され、前記旋回角度が設定値を超えると、前記エンコーダ27から回転角度検出開始信号が出力されることにより検出される。これにより、面取りカッター3aが、こば面角部K5 に対する加工開始位置Pに配置される(図23参照)。
【0051】
そして、図23及び図24に示されるように、ワークWと面取り工具ユニットUの各送りの合成が、面取り中心C5 を中心とする略円弧状の相対軌跡61となるように、ワークWをX軸方向に送り速度Vxでもって制御送りさせると共に、面取り工具ユニットUをY軸方向に送り速度Vyでもって制御送りさせる。図23及び図24は、前述した直角状角部のこば面角部K1 を面取り加工する場合に使用した図13及び図15と同種の図である。このときの作用は、旋回角度θが異なることを除いて、前述した直角状角部のこば面角部K1 の場合とほとんど同様である。
【0052】
この結果、図24の(イ)〜(ホ)に示されるように、面取り工具ユニットUを構成する面取りカッター3aは、ワークWのこば面角部K5 を、面取り中心C5 を中心として略円弧状に面取り加工しながら、その旋回中心24aを中心に、時計回りの方向に旋回される。このとき、面取りカッター3aに微小な反旋回トルクを作用させていることは、前述した場合と同様である。この結果、ワークWの鈍角状角部のこば面角部K5 が、略円弧状に面取り加工される。なお、本実施形態の場合、加工開始位置Pにおいて、こば面角部K5 の面取り中心C5 と面取りカッター3aの旋回中心24aとを結ぶ線分62は、こば面角部K5 を通ってX軸に平行な直線よりも下方に配置されているため、面取り加工中においてワークWが後退することはない。
【0053】
次に、補角βの大きさを検出する第2の方法について説明する。図25に示されるように、予め、面取りカッター3aは、Y軸に対して所定角度γだけ傾斜されて、退避位置に配置されている。ここでは、前述した第1の方法と異なる部分についてのみ説明する。前記退避位置において、面取りカッター3aを所定角度γだけ旋回させた状態の面取り工具ユニットUを、Y軸方向に沿って前進させる。すると、前記面取りカッター3aの端面部が、ワークWのこば面角部K5 に当接する。このときの面取り工具ユニットUの移動量(y0 +y1)は、面取り工具ユニット移動モータM2 に取付けられたエンコーダ(図示せず)の機能により計測可能である。ここで、前記こば面角部K5 のY座標の値y2 を求めると、y2 =y1 +(Rc/sinγ) −(x0 /tanγ)となる。この結果、こば面角部K5 の座標は、[0,y1 +(Rc/sinγ) −(x0 /tanγ)]である(Y軸方向位置検出工程)。
【0054】
図26に示されるように、いったん面取り工具ユニットUを退避位置に後退させ、面取りカッター3aの前面(加工面)がX軸方向に沿うように、その旋回中心24aを中心として旋回させる。そして、そのまま、面取り工具ユニットUをY軸方向に沿って前進させる。すると、面取りカッター3aの端縁部3bが、こば面角部K5 を形成する傾斜端面59に当接して停止する。このときの面取り工具ユニットUの移動量を(y0 +y3)とすると、鈍角状角部の補角βは、β=tan -1{[(d/2) −x0 ]/[y2 −(y3 +Rc)]}である。これにより、鈍角状角部の補角βが求められる(角度検出工程)。これ以降の作用は、第1の方法の場合と全く同様である。
【0055】
上記した各こば面角部K1 〜K5 の面取り加工において、加工開始位置Pにおける面取りカッター3aと、対応するこば面角部K1 〜K5 との接触部分がほぼ同一である場合、前記面取りカッター3aにおける当該接触部分の磨耗が促進される。このため、ワークWに対する面取りカッター3aの加工開始位置PをX軸方向に徐変させて、前記面取りカッター3aと各こば面角部K1 〜K5 との接触部分を変化させることが望ましい。これにより、面取りカッター3aの偏磨耗が防止され、その寿命が長くなると共に、加工面の精度が良好になる。
【0056】
本実施形態の面取り装置Aでは、面取りカッター3aがワークWの側端面1bに当接したことを、ハウジング22の上面部に取付けられたエンコーダ27によって検出する構成である。しかし、前記エンコーダ27以外の手段によって、面取りカッター3aがワークWに当接したことを検出しても構わない。例えば、前記旋回モータM3 はサーボモータであるため、発生トルク値の監視が容易である。もし、面取りカッター3aがワークWに当接すると、旋回トルクが変化する。このため、面取りカッター3aの旋回トルクの変化を検出することにより、該面取りカッター3aがワークWに当接したことが検出される。
【0057】
また、光電センサによって、ワークWと面取りカッター3aとの当接を検出しても構わない。特に、こば面角部K1 を形成する一方の端面(側端面1b)がX軸に沿っているワークWの場合、図27に示されるように、前記ワークWの側端面1bからわずかに離れた部分に一対の光電センサ63を配置する。一対の光電センサ63のうち、一方側の投光部から受光部に向けて、光63aが投射されている。面取り工具ユニットUがY軸方向に沿って移動され、前記ワークWの側端面1bに接近すると、その面取りカッター3aによって、前記光63aが遮断される。これにより、面取り工具ユニットUの移動が停止される。該面取りカッター3aは、ワークWの側端面1bにほぼ当接状態に配置される。前記一対の光電センサ63は、その光63aをX軸方向に沿わせて配置されている。このため、こば面角部K1 を形成する一方の端面(側端面1b)がX軸に沿っているすべてのワークWに対応可能である。しかし、前記一対の光電センサ63が、ワークWのこば面角部K1 の近傍に高さ方向に沿って取付けられていても構わない。
【0058】
更に、リミットスイッチ、近接スイッチ等のスイッチ類によって、ワークWと面取りカッター3aとが当接したことを検出しても構わない。
【0059】
本実施形態の面取り装置Aでは、ワークWの送りと面取り工具ユニットUの送りとを、それぞれ別の装置(ワーク搬送装置Bと面取り工具ユニット移動装置D)で行う構成である。即ち、ワーク搬送装置Bを構成するワーク搬送モータM1 は、ワークWをX軸方向に制御送りさせる機能と、面取り加工終了後のワークWを排出させるために、該ワークWを移動させる機能とを有している。しかし、例えば、ワークWを固定状態に保持しておき、面取り工具ユニットUのみをX軸方向及びY軸方向に制御送りさせる構成、または、その逆の構成であっても構わない。
【0060】
【発明の効果】
本発明に係る板状ワークのこば面角部の面取り方法は、加工開始位置において、ワークのこば面角部を中心として面取り工具ユニットが略円弧運動をし得るように、ワークをX軸方向に送る第1制御手段と、面取り工具ユニットをY軸方向に送る第2制御手段との各回転数を制御して、X軸及びY軸の両方向の送りを合成させることにより、面取り工具を旋回トルクの作用方向と逆方向に旋回させて、ワークのこば面角部を面取りする構成であるので、以下の作用効果が奏される。(1)ワークの厚さ、材質等の諸加工条件とはほぼ無関係に、ワークのこば面角部を設定した面取り半径で略円弧状に面取りできる。(2)第1及び第2の各制御手段の回転数の比の制御、即ち、ワークのX軸方向の送りと、面取り工具ユニットのY軸方向の送りとの比の制御によって、こば面角部の面取り半径を自在に変更できる。(3)こば面角部の面取り形状は、正確に円弧状の場合は勿論のこと、設定した近似円弧状にも正確に加工できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る面取り装置Aの概略構成を示す平面図である。
【図2】本発明に係る面取り装置Aの正面図である。
【図3】同じく一部を破断した平面図である。
【図4】図3のX矢視図である。
【図5】図4のY−Y線断面図である。
【図6】ワーク搬送装置Bの平面図である。
【図7】同じく正面図である。
【図8】一部を破断した面取り工具ユニットUの正面図である。
【図9】幅寄せ装置Eの正面図である。
【図10】ワーク押え装置Fの正面図である。
【図11】加工位置に配置されたワークWと、加工開始位置Pに配置された面取りカッター3aの位置関係を示す平面図である。
【図12】加工工程を示すフローチャートである。
【図13】ワークWの直角状角部のこば面角部K1 を、面取り半径R1 で面取り加工する場合におけるワークWに対する面取り工具ユニットUの相対軌跡53を示す図である。
【図14】面取りカッター3aの旋回角度θとワークWの送り速度Vx、及び面取り工具ユニットUの送り速度Vyの関係を示すグラフである。
【図15】ワークWと面取り工具ユニットUを制御送りさせたときの両者の移動を表示する工程図である。
【図16】ワークWの後部のこば面角部K1 を面取り加工する場合の作用説明図である。
【図17】ワークWの直角状角部のこば面角部K2 を、面取り半径R2 で面取り加工する場合におけるワークWに対する面取り工具ユニットUの相対軌跡56を示す図である。
【図18】図17の場合おける面取りカッター3aの旋回角度θとワークWの送り速度Vx、及び面取り工具ユニットUの送り速度Vyの関係を示すグラフである。
【図19】(イ)は、鋭角状角部のこば面角部K3 を面取り加工する状態の作用説明図であり、(ロ)は、鈍角状角部のこば面角部K4 を面取り加工する状態の作用説明図である。
【図20】第1の方法でワークWの鈍角状角部の補角βを検出するために、傾斜状態の面取りカッター3aを、傾斜端面59に当接させる状態の作用説明図である。
【図21】鈍角状角部の補角βを検出する第1の方法を示す作用説明図である。
【図22】面取りカッター3aを旋回させて、傾斜端面59と平行にさせる状態の作用説明図である。
【図23】ワークWのこば面角部K5 を面取り加工する状態の作用説明図である。
【図24】ワークWと面取り工具ユニットUを制御送りさせたときの両者の移動を表示する工程図である。
【図25】第2の方法でワークWの鈍角状角部の補角βを検出するために、傾斜状態の面取りカッター3aを、傾斜端面59に当接させる状態の作用説明図である。
【図26】鈍角状角部の補角βを検出する第2の方法を示す作用説明図である。
【図27】一対の光電センサ63によって、ワークWと面取りカッター3aとの当接を検出する状態の作用説明図である。
【図28】(イ),(ロ)は、ワークWの平面図であり、(ハ)は、従来の面取り装置で面取り加工した場合の加工面の拡大平面図である。
【符号の説明】
A:面取り装置
B:ワーク搬送装置
C1 〜C5 :面取り中心
D:面取り工具ユニット移動装置
K1 〜K5 :こば面角部
L:全幅
M1 :ワーク搬送モータ(第1制御手段)
M2 :面取り工具ユニット移動モータ(第2制御手段)
M3 :旋回モータ(トルク制御手段)
P:加工開始位置
U:面取り工具ユニット
W:ワーク
β:補角(角度)
γ:角度
θ:旋回角度
1a:前端面(端面)
1b:側端面(端面)
1d:上面(板面)
3a:面取りカッター(面取り工具)
24:旋回軸
24a:旋回中心(中心)
27:エンコーダ(回転角度検出器)
59:傾斜端面
Claims (7)
- 板状のワークの隣接する端面の交叉部であるこば面角部を略円弧状に面取りする方法であって、
ワークの板面に対して垂直な面内に配置された面取り工具が、前記板面に対して垂直な旋回軸を中心にして旋回可能であり、しかもトルク制御手段により旋回トルクを制御してこば面角部に面取可能な圧力で押圧する面取り工具ユニットを使用し、
前記面取り工具ユニットをこば面角部を形成する一方の端面の方向であるY軸方向に直線移動させて、前記面取り工具がこば面角部に接触して、面取り工具ユニットが加工開始位置に達したことを検出する加工開始位置検出工程と、
前記加工開始位置において、面取り工具がワークのこば面角部を押圧した状態で、こば面角部の面取り中心を中心にして面取り工具が略円弧運動をし得るように、面取り工具ユニットのY軸方向への送りと、ワークに対する面取り工具ユニットの前記Y軸方向と直交するX軸方向への相対送りとを合成させてこば面角部に面取り加工を施す面取り工程と、
を含むことを特徴とする板状ワークのこば面角部の面取り方法。 - ワークのこば面角部は、これを形成する二つの端面のいずれもがX軸方向に沿っていない鈍角状角部に形成されたものであって、
前記こば面角部の一方を形成する傾斜端面のY軸方向に対する角度よりも小さな角度で面取り工具を傾斜させた状態で、面取り工具ユニットをY軸方向に直線移動させて、面取り工具がこば面角部に接触する位置によって、こば面角部のY軸方向に沿った位置を検出するY軸方向位置検出工程と、
前記Y軸方向位置検出工程の後に、面取り工具ユニットをY軸方向に沿って上記と逆方向に所定量だけ後退した位置において、前記面取り工具を前記傾斜端面に接触するまで反旋回方向に旋回させて、この接触位置における面取り工具のY軸方向に対する角度と面取り工具の前記後退位置におけるY軸方向の位置とによって、前記こば面角部が形成されている鈍角状角部の角度を検出する角度検出工程と、
によって面取り工具ユニットの加工開始位置を求めることを特徴とする請求項1に記載の板状ワークのこば面角部の面取り方法。 - X軸方向に沿ったワークに対する面取り工具の加工開始位置を徐変させて、面取り工具の加工部位を徐変させることを特徴とする請求項1又は2に記載の板状ワークのこば面角部の面取り方法。
- 板状のワークの隣接する端面の交叉部であるこば面角部を略円弧状に面取りする装置であって、
ワークをX軸方向に制御送りさせる第1制御手段を備えたワーク搬送装置と、
面取り工具を備えた面取り工具ユニットと、
前記面取り工具ユニットをX軸方向と直交し、かつワーク板面に平行なY軸方向に制御送りさせる第2制御手段を備えた面取り工具ユニット移動装置とを有し、
前記面取り工具ユニットは、XY平面に垂直な面内で回転する前記面取り工具が、XY平面に垂直なZ軸方向の旋回軸を中心にして旋回可能であって、しかもトルク制御手段により旋回トルクを制御してワークのこば面角部に面取可能な圧力で押圧する構成であり、
加工位置で停止しているワークに対して面取り工具ユニットをY軸方向に移動させて、面取り工具がワークのこば面角部を形成する一方の端面に当接した加工開始位置を工具当接検出手段により検出し、
前記加工開始位置において、ワークのこば面角部の面取り中心を中心にして面取り工具ユニットが略円弧運動をし得るように、前記第1制御手段によるワークのX軸方向の送りと、前記第2制御手段による面取り工具ユニットのY軸方向の送りとを合成させて、前記面取り工具を旋回トルクの作用方向と逆方向に旋回させることを特徴とする板状ワークのこば面角部の面取り装置。 - 板状のワークの隣接する端面の交叉部であるこば面角部を略円弧状に面取りする装置であって、
ワークをX軸方向に移動させるワーク搬送装置と、
面取り工具を備えた面取り工具ユニットと、
前記面取り工具ユニットをX軸方向、及びこれと直交し、かつワークの板面に平行なY軸方向の両方向に制御送りさせる第1及び第2の各制御手段を備えた面取り工具ユニット移動装置とを有し、
前記面取り工具ユニットは、XY平面に垂直な面内で回転する前記面取り工具が、XY平面に垂直なZ軸方向の旋回軸を中心にして旋回可能であって、しかもトルク制御手段により旋回トルクを制御してワークのこば面角部に面取可能な圧力で押圧する構成であり、
加工位置で停止しているワークに対して面取り工具ユニットをY軸方向に移動させて、面取り工具がワークのこば面角部を形成する一方の端面に当接した加工開始位置を工具当接検出手段により検出し、
前記加工開始位置において、ワークの面取り中心を中心にして面取り工具が略円弧運動をし得るように、第1及び第2の各制御手段による面取り工具ユニットのX軸方向及びY軸方向の各送りを合成させて、前記面取り工具を旋回トルクの作用方向と逆方向に旋回させることを特徴とする板状ワークのこば面角部の面取り装置。 - 工具当接検出手段は、面取り工具がワークのこば面角部を形成する一方の端面に当接して、旋回軸が旋回方向に微小角度だけ旋回したことを検出可能な回転角度検出器であることを特徴とする請求項4又は5に記載の板状ワークのこば面角部の面取り装置。
- 面取り工具ユニットは、ワークの全幅を超えてY軸方向に横移動して、ワークが加工位置に固定された状態で、Y軸方向に沿って隣接している二箇所のこば面角部を加工可能であることを特徴とする請求項4又は5に記載の板状ワークのこば面角部の面取り装置。
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