JP3690211B2 - 自律移動台車及びその自己位置推定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自律移動台車及びその自己位置推定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の自律移動台車の自己位置推定方法としては、自律移動台車の各車輪の車軸にエンコーダを設け、エンコーダの出力から車軸の回転数、すなわち走行距離を検出して、その検出結果から現在位置を推定する方法があった。
【0003】
この自律移動台車の自己位置推定方法では、エンコーダの出力から検出した走行距離に検出誤差が含まれているので、走行距離が長くなると、実際の走行距離に対する累積の誤差が大きくなるという問題があった。
【0004】
そこで、自律移動台車の走行する経路に光を反射する標識を予め設置しておき、標識に対して光を照射する光源と、標識によって反射された反射光を受光する受光手段と、自律移動台車の走行する通路を示す地図情報や地図上における標識の設置位置を示す標識設置情報を記憶する記憶部とを自律移動台車に設け、標識によって反射された反射光を受光部で受光することによって、記憶部に記憶された地図情報及び標識設置情報から現在位置を推測するようにした自律移動台車も提供されている(例えば、特開平6−66942号公報参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述した自律移動台車の自己位置推定方法では、通路に予め設置された標識を検出することにより、記憶部に記憶された地図情報及び標識設置情報から現在位置を推測しているので、標識の設置された場所でしか自己の現在位置を推定できないという問題があった。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、自己の現在位置を正確に推定することのできる自律移動台車及びその自己位置推定方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明では、台車の走行距離を検出するために台車の各車輪を駆動する駆動手段に設けられた走行距離検出手段と、台車の移動する通路及び周囲の地図情報を記憶する記憶手段と、光を照射する発光手段及び該発光手段から照射された光の反射光を受光する受光手段の組からなる複数組の受発光部と、走行距離検出手段の検出信号から走行距離を検出する走行距離演算プログラム、光を反射する少なくとも1つの反射部と光を反射しない非反射部とを複数組み合わせて構成された標識識別部並びに標識識別部とは別に1乃至複数個の反射部又は非反射部から構成される誤り検出部を有し標識識別部の反射部と非反射部の組み合わせによって複数の種類が設けられた標識であって予め通路に沿って設置されその設置位置を示す標識設置情報が記憶手段に記憶された複数の標識に対して発光手段から光を照射すると共に標識によって反射された反射光を受光手段で受光した受光結果から標識の種類を識別する受光確認プログラム、及び、走行距離演算プログラムと受光確認プログラムの実行結果から記憶手段に記憶された地図上における自己の現在位置を推定する自己位置推定プログラムを実行する制御手段とを備える自律移動台車において、標識の誤り検出部に対して光を照射する誤り検出用の発光手段と、誤り検出部によって反射された反射光を受光する誤り検出用の受光手段の組を、誤り検出部を構成する反射部又は非反射部の数と同数備え、制御手段は、標識識別部による反射光を受光する複数の受光手段の受光結果と、誤り検出部による反射光を受光する誤り検出用の受光手段の受光結果とから受光結果の誤りを検出することを特徴としている。
【0008】
このように、通路に設置された標識は反射部及び非反射部を複数組み合わせて構成され、反射部及び非反射部の組み合わせによって種類の異なる複数の標識が存在するので、制御手段では、受光確認プログラムを実行することによって、各受光手段の受光結果から検出した標識の種類を識別して、記憶手段に記憶された地図情報及び標識設置情報から検出した標識の地図上における設置位置を検出することができ、且つ、走行距離演算プログラムを実行することによって、台車の走行距離を検出することができ、さらに自己位置推定プログラムを実行することによって、検出した標識の設置位置及びその設置位置からの走行距離より自己の現在位置を推定しているので、走行距離のみから自己の現在位置を推定する場合に比べ、標識を検出した時点で自己の現在位置を補正することができ、現在位置の推定精度を向上させた自律移動台車を実現することができる。また、標識の種類を識別するための標識識別部とは別に誤り検出部を設けているので、誤り検出用の受光手段の受光結果から標識識別部の識別結果が正しいか否かを判断でき、標識の種類を誤って識別するのを防止できる。
【0009】
請求項2の発明では、台車の走行距離を検出するために台車の各車輪を駆動する駆動手段に設けられた走行距離検出手段と、台車の移動する通路及び周囲の地図情報を記憶する記憶手段と、光を照射する発光手段及び該発光手段から照射された光の反射光を受光する受光手段の組からなる複数組の受発光部と、走行距離検出手段の検出信号から走行距離を検出する走行距離演算プログラム、予め通路に設置された複数の標識に対して発光手段から光を照射すると共に標識によって反射された反射光を受光手段で受光した受光結果から標識の種類を識別する受光確認プログラム、及び、走行距離演算プログラムと受光確認プログラムの実行結果から記憶手段に記憶された地図上における現在の自己の位置を推定する自己位置推定プログラムを実行する制御手段とを備えた自律移動台車の自己位置推定方法において、前記標識は、光を反射する反射部を少なくとも1つ含み、反射部及び光を反射しない非反射部を複数組み合わせて構成された標識識別部と、標識識別部とは別に1乃至複数個の反射部又は非反射部から構成される誤り検出部とを有し、標識識別部の反射部と非反射部の組み合わせによって複数の種類の標識を設けるとともに、誤り検出部に対して光を照射する誤り検出用の発光手段と、誤り検出部によって反射された反射光を受光する誤り検出用の受光手段の組を、誤り検出部を構成する反射部又は非反射部の数と同数設け、前記記憶手段に各標識の設置位置及びその種類を示す標識設置情報と地図情報とを組み合わせて記憶させ、制御手段は、走行距離演算プログラムを実行して台車の走行距離を検出するとともに、受光確認プログラムを実行して検出した標識の種類を識別した後、自己位置推定プログラムを実行して、台車の走行距離及び検出した標識の種類から、記憶手段に記憶された標識設置情報及び地図情報に基づいて自己の現在位置を推定し、標識識別部による反射光を受光する複数の受光手段の受光結果と、誤り検出部による反射光を受光する誤り検出用の受光手段の受光結果とから受光結果の誤りを検出することを特徴としている。
【0010】
このように、通路に設置された標識は反射部及び非反射部を複数組み合わせて構成され、反射部及び非反射部の組み合わせによって種類の異なる複数の標識が存在するので、制御手段では、受光確認プログラムを実行することによって、各受光手段の受光結果から検出した標識の種類を識別して、記憶手段に記憶された地図情報及び標識設置情報から検出した標識の地図上における設置位置を検出することができ、且つ、走行距離演算プログラムを実行することによって、台車の走行距離を検出することができ、さらに自己位置推定プログラムを実行することによって、検出した標識の設置位置及びその設置位置からの走行距離より自己の現在位置を推定しているので、走行距離のみから自己の現在位置を推定する場合に比べ、標識を検出した時点で自己の現在位置を補正することができ、現在位置の推定精度を向上させることができる。また、標識の種類を識別するための標識識別部とは別に誤り検出部を設けているので、誤り検出用の受光手段の受光結果から標識識別部の識別結果が正しいか否かを判断でき、標識の種類を誤って識別するのを防止できる。
【0012】
請求項3の発明では、請求項2の発明において、通路が複数に分岐する分岐点において、分岐点に通じる各通路をそれぞれ通って分岐点に進入する際に進入方向前方となる通路の部位に、種類の互いに異なる標識を夫々設置し、制御手段は、受光確認プログラムの実行結果から各標識の種類を識別し、分岐点における自己の現在位置を推定することを特徴とし、分岐点に進入する際に進入方向前方に設置された標識の種類が、分岐点に通じる各通路毎に異なっているので、検出した標識の種類から分岐点における自己の現在位置及び進行方向を正確に推定することができる。
【0013】
請求項4の発明では、請求項2の発明において、通路において分岐点と隣接する別の分岐点との間の部位に、種類の異なる複数の標識を一定の間隔で設置し、制御手段は、受光確認プログラムの実行結果から標識の種類を識別し、隣接する2つの分岐点の間の通路における自己の現在位置を推定することを特徴とし、隣接する2つの分岐点の間の通路の部位に、種類の異なる複数の標識が一定の間隔で設置されているので、検出した標識の種類から両分岐点間の自己の現在位置を正確に検出することができる。
【0014】
請求項5の発明では、請求項2の発明において、通路において分岐点と隣接する別の分岐点との間の部位に設けられた部屋の入口に、分岐点に設置された標識と種類の異なる標識を設置し、制御手段は、受光確認プログラムの実行結果から標識の種類を識別し、標識の種類から分岐点と部屋の入口とを識別することを特徴とし、分岐点に設置された標識と種類の異なる標識が部屋の入口に設置されているので、検出した標識の種類から分岐点と部屋の入口とを識別することができ、部屋の入口を分岐点と誤検出するのを防止できる。
【0015】
請求項6の発明では、請求項1の発明において、標識を構成する複数の反射部及び非反射部は鉛直方向に並べて通路に設置され、複数組の受発光部は鉛直方向に並べて台車に取り付けられることを特徴とし、標識を構成する複数の反射部及び非反射部や、複数組の受発光部は鉛直方向に設置されており、水平面内において台車の進行方向と略平行な方向に並設される場合には、通路に対する台車の傾き具合によって受発光部の受光部で、隣接する別の受発光部の光源から放射された光を受光する虞があり、標識の誤検出を招く虞があるが、標識を構成する複数の反射部及び非反射部や、複数組の受発光部は鉛直方向に設置されているので、受発光部の受光部で、隣接する別の受発光部の光源から放射された光を受光するのを防止でき、標識の誤検出を防止できる。
【0016】
請求項7の発明では、請求項6の発明において、複数組の受発光部を鉛直方向に沿って移動させる移動手段を台車に設け、記憶手段に各標識の設置位置とその設置高さを示す標識設置情報を記憶させ、制御手段は記憶手段に記憶された標識設置情報に基づいて複数組の受発光部と標識の高さが一致するように移動手段を駆動することを特徴とし、移動手段により複数組の受発光部の高さを変化させることができるので、標識の設置高さをその設置場所に応じて変化させることができ、標識の設置高さの自由度を高めることができる。
【0017】
請求項8の発明では、請求項7の発明において、制御手段は、走行距離から推定した現在位置が、次に検出する予定の標識の設置位置に達した時点で、受光手段により標識を検出できなかった場合、記憶手段に記憶された標識設置情報に基づいて、その次に検出する予定の標識と複数組の受発光部との高さが一致するよう移動手段を駆動することを特徴とし、走行距離から推定した現在位置が次に検出する予定の標識の設置位置に達した時点で、その標識を検出できなかった場合、障害物などによってその標識を検出できなかったと判断し、移動手段を用いて、その次に検出する予定の標識の設置高さに複数組の受発光部の高さを一致させているので、障害物などが存在したとしても自己の現在位置を見失うのを防止できる。
【0018】
請求項9の発明では、請求項2の発明において、前記標識の断面形状を直角二等辺三角形とし、底辺となる面が通路の壁に沿うようにして通路に設置されており、発光手段は、車体の進行方向に対して斜め前方略45度の左右2方向に光を照射することを特徴とし、発光手段は車体の進行方向に対して斜め前方略45度の左右2方向に光を照射すると共に、断面略二等辺三角形の標識は底辺となる面を通路の壁に沿わして設置されているので、通路内を何れの方向に通過したとしても、発光手段からの光を標識の側面に照射させることができ、同じ標識を用いて自己の現在位置を推定することができるから、標識の数を減らすことができる。
【0019】
請求項10の発明では、請求項9の発明において、台車の進行方向において略同じ位置となる通路両側の部位にそれぞれ標識が設置され、通路の進行方向に対して左右何れの側に設置された標識であるかを判別するための反射部又は非反射部からなる左右判別部を標識に設け、制御手段は、左右判別部により検出した標識が通路の何れの側に設置された標識であるかを判別し、通路の一方の側に配置された標識を検出した位置と、該標識と通路を挟んで対向する位置に配置された標識を検出した位置との間の距離から、通路における進行方向と略直交する方向において自己の現在位置の偏りを検出することを特徴とし、進行方向と略直交する方向において台車の位置が偏っていると、通路の一方の壁と台車との間の距離と、通路の他方の壁と台車との間の距離とが異なり、進行方向に向かって左斜め前方45度の方向に照射された光が進行方向左側の壁に当たる位置と、進行方向に向かって右斜め前方45度の方向に照射された光が進行方向右側の壁に当たる位置とが異なるので、左右判別部の判別結果から検出した標識が通路の左右何れの側に設置された標識であるかを判別し、通路の一方の側に配置された標識を検出した位置と、該標識と通路を挟んで対向する位置に配置された標識を検出した位置との間の距離から、通路における台車の偏り具合を検出することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態並びに本発明に関連した参考例を図面を参照して説明する。
【0021】
(参考例1)
本参考例の自律移動台車を図1乃至図5を参照して説明する。図1は自律移動台車Aのブロック図であり、自律移動台車Aの車体には台車の各車輪をそれぞれ駆動する複数の駆動モータMが取り付けられている。駆動モータMは例えば左右の駆動車輪に設けられており、両駆動モータMを共に前転又は後転させることによって、台車を前進又は後進させることができ、さらに両駆動モータMの回転量を異ならせることによって台車を回転させるこもできる。尚、駆動車輪の車軸には走行距離を測定するためのエンコーダ17が取り付けられている。
【0022】
また自律移動台車Aは、各駆動モータMの回転を制御する速度制御信号を内部に設けたモータ速度レジスタ10aに出力する例えばマイクロコンピュータから構成される制御部10と、モータ速度レジスタ10aに入力された速度制御信号に応じて駆動モータMを回転させるドライバ16と、制御部10の動作プログラムや自律移動台車Aの走行する通路の地図(環境地図)を示す地図情報を記憶するメモリ(記憶手段)18とを有しており、台車の車体には、車体周辺部のセンシングを行う複数のセンサ131,132…13nや、進行方向前方の映像を撮像する撮像手段としてのCCDカメラ14が取り付けられている。センサ131,132…13nは例えば超音波センサや赤外線センサやレーザセンサのような非接触式の距離検知センサからなり、車体の前後及び左右にそれぞれ取り付けられ、前方と後方並びに左右の側方にある障害物や通路に沿った壁までの距離を検出できるようになっている。またCCDカメラ14は、台車の車体に進行方向前方に向けて取り付けられており、CCDカメラ14で撮像された画像は画像処理部15によって画像処理される。尚、CCDカメラ14は台車の車体に回転自在に取り付けられているので、撮像方向を切り換えることができ、後退時にも進行方向前方の画像を撮像することができる。
【0023】
さらに、台車の車体には、指向性の鋭い光を照射する光源(発光手段)及び光源から照射された光の標識による反射光を受光する受光部(受光手段)の組からなる受発光部111,112…11nが複数組(n組)設けられており、これらn組の受発光部111,112…11nから標識検出部12が構成される。尚、受発光部111,112…11nは、図2に示すように、台車の進行方向Cと平行な方向(即ち水平方向)に並べて車体に並設されている。
【0024】
一方、自律移動台車Aが移動する通路の要所には複数個の標識B1,B2…B(2n−1)が予め設置されている。図4(a)〜(c)に示すように、各標識B1,B2…B(2n−1)には、n組の受発光部111,112…11nに対応してn個の区画21がそれぞれ設けられており、少なくとも一つの区画21は光を反射する反射体が設置されて反射部22となり、反射体の設置されていない区画221は光を反射しない非反射部23となる。尚、図4(a)(b)の斜線部は反射体が設置されていない区画21(非反射部23)を示している。
【0025】
上述のように各標識B1,B2…B(2n−1)には反射部22と非反射部23とが合わせてn個設けられているので、反射部22と非反射部23との組み合わせによって(2n−1)種類の標識が形成される。受発光部111,112…11nでは、各光源から標識B1,B2…B(2n−1)に対して光を照射し、その反射光を受光部で受光しているので、反射光の有無から反射部22及び非反射部23の組み合わせを判別でき、個々の標識B1,B2…B(2n−1)を判別することができる。したがって、自律移動台車Aの通過する通路の要所に、反射部22及び非反射部23の組み合わせが異なる標識B1,B2…B(2n−1)を配置し、その配置を示す標識設置情報を地図情報と組み合わせてメモリ18に記憶させておけば、各標識B1,B2…B(2n−1)を検出した時点で自律移動台車Aの地図上の位置を正確に検出できる。そして、各標識B1,B2…B(2n−1)を検出した地点からの走行距離を検出することにより、自律移動台車Aの地図上の現在位置を正確に検出できる。つまり、台車の走行距離だけから自己の現在位置を検出する場合は、走行距離が長くなるにつれて累積の検出誤差が大きくなるが、本参考例では台車の走行距離から自己の現在位置を推定するとともに、通路に設置された標識B1,B2…B(2n−1)を検出することによって、自己の現在位置を補正しているので、累積の検出誤差が大きくなるのを防止でき、現在位置を正確に検出することができる。
【0026】
ところで、上述した標識検出部12は、図3(a)(b)に示すように、自律移動台車Aの車体前部の左右両側に1台づつ設けられており、各標識検出部12は、自律移動台車Aの進行方向Cに対して斜め前方略45度の左右2方向に光を照射している。一方、標識Bは断面形状が略直角二等辺三角形に形成されており、底辺を構成する面が通路30の壁に沿うようにして通路30に設置されている。而して、自律移動台車Aが通路30を図中左側から右側へ移動する際は、受発光部111…からの光は標識Bの図中左側の側面に照射される。一方、自律移動台車Aが通路30を図中右側から左側へ移動する際は、受発光部111…からの光は標識Bの右側の側面に照射される。したがって、自律移動台車Aが通路30を何れの方向に移動する場合でも、同じ標識Bを用いて自己の現在位置を推定することができ、通路30内に設置する標識Bの数を少なくできる。
【0027】
ここで、制御部10の動作について図5のフローチャートを参照して説明する。制御部10は、先ず各種のセンサ131,132…13nから入力される検出信号を信号処理する信号処理プログラムを実行して(ステップS11)、車体の前方、後方並びに左右の側方にある障害物や現在走行している通路30の左右両側にある壁までの距離を検出した後、CCDカメラ14の撮像した画像を画像処理する画像処理プログラムを実行して(ステップS12)、通路30の左右両側の通路端38a,38bを検出すると共に(図6参照)、通路端38a,38bの切れ目から通路30の分岐点34を検出し、さらに左右の通路端38a,38bを示す直線又はその延長線の後転の座標と、ステップS12で検出した左右の壁までの距離とから車体の通路30に対する傾きを検出する。次に制御部10は、メモリ18に設定された走行コースに従って移動台車の移動、停止、方向転換等の走行制御を行うと共に、信号処理プログラム及び画像処理プログラムの実行結果から通路に対して車体方向を略平行にする平行補償や障害物の回避などの走行制御を行う走行制御プログラムを実行し(ステップS13)、各駆動モータMの回転を制御する速度制御信号をモータ速度レジスタ10aに出力する。
【0028】
その後、制御部10は、エンコーダ17の出力から走行距離を演算する走行距離演算プログラムを実行すると共に(ステップS14)、各受発光部111,112…11nで反射光を受光したか否かを検出して、その受光結果から標識の有無及び検出した標識の種類を識別する受光確認プログラムを実行し(ステップS15)、走行距離演算プログラム及び受光確認プログラムの実行結果から、検出した標識Bの設置位置とその設置位置からの走行距離とに基づいて地図上の自己の現在位置を推定する自己位置推定プログラムを実行する(ステップS16)。
【0029】
このように、本参考例の自律移動台車Aでは、走行距離から現在位置を推定すると共に、通路の要所に標識B1,B2…B(2n−1)を予め設置しておき、各標識B1,B2…B(2n−1)を検出した時点で自己の現在位置を補正しているので、自己の現在位置を正確に検出することができ、台車の移動する経路を指示する誘導帯などを予め設置することなく、目的の場所まで無人で運転させることができる。
【0030】
(実施形態)
参考例1では、各標識B1,B2…B(2n−1)に反射部22と非反射部23とが合わせてn個設けられているので、反射部22及び非反射部23の組み合わせから、(2n−1)個の標識B1,B2…B(2n−1)を判別することができるが、本実施形態では、標識判別用の反射部22及び非反射部23とは別に、各標識B1,B2…B(2n−1)に設けられた反射部22の数が偶数個になるよう、誤り検出用の反射部22又は非反射部23を設けている。
【0031】
図7に示すように、標識Bには、個々の標識B1,B2…B(2n−1)を判別するための標識識別部20aと、受発光部111…の検出誤りを訂正するための誤り検出部20bとが設けられている。ここで、標識識別部20aは合わせて4個の反射部22又は非反射部23から構成され、誤り検出部20bは、標識Bに設けた反射部22の数が偶数個になるように設けられた反射部22又は非反射部23から構成される。すなわち、図7に示すように、標識識別部20aに設けられた反射部22の数が3個(奇数個)の場合は、標識Bに設けられた反射部22の数が偶数個になるよう、誤り検出部20bとして反射部22を設けている。一方、標識識別部20aに設けられた反射部22の数が偶数個の場合は、標識Bに設けられた反射部22の数が偶数個になるよう、誤り検出部20bとして非反射部23を設けている。
【0032】
ところで、自律移動台車Aには、標識Bに設けた合わせた5個の反射部22又は非反射部23に対応して、受発光部111,112…115が5個設けられている。受発光部111,112…115では、反射光の有無によって反射部22又は非反射部23を検出しており、検出した反射部22の数が偶数個であれば、正常に検出できたものと判断する。そして、標識識別部20aを構成する反射部22又は非反射部23に対応する受発光部111〜114の検出結果から個々の標識Bを判別することができる。尚、本実施形態では標識識別部20aを合わせて4個の反射部22又は非反射部23から構成しているので、反射部22及び非反射部23の組み合わせによって最大15種類の標識Bを判別することができる。
【0033】
ここで、例えば受発光部114から照射された光が何らかの原因で遮光されると、受発光部114は反射部22を検出できなくなり、受発光部111〜115によって検出された反射部22の個数が奇数個(3個)になるため、制御部10では、受発光部111〜115で検出誤りが発生したことを検出できる。
【0034】
尚、本実施形態では標識Bに設けた反射部22の数が偶数個となるように(偶数パリティ)、誤り検出部20bとして反射部22又は非反射部23を1個設けており、自律移動台車Aの受発光部111,112…115で検出された反射部22の数が奇数個になることから、検出誤りがあったと判断しているが、標識Bに設けた反射部22の数が奇数個となるように(奇数パリティ)、誤り検出部20bとして反射部22又は非反射部23を1個設けても良く、自律移動台車Aの受発光部111,112…115で検出された反射部22の数が偶数個になることから、検出誤りがあったと判断することができる。また、標識Bに誤り検出部20bとして反射部22又は非反射部23を2個以上設け、検出誤りの発生を検出するだけでなく、検出誤りが発生した受発光部111…を特定して、その検出結果を訂正することもできる。
【0035】
(参考例2)
本参考例の自律移動台車Aの自己位置推定方法について図8乃至図9を参照して説明する。
【0036】
ところで、自律移動台車Aの通過する経路に十字路やT字路などの分岐点がある場合、自律移動台車Aが分岐点に進入すると、通路の片側或いは両側にある壁がなくなり、通路と壁との境界線が途切れるため、センサ131〜13nによって左右の側方にある壁が検出できなくなったり、CCDカメラ14によって通路と壁との境界線が検出できなくなったりして、自己の現在位置を見失う虞がある。
【0037】
そこで、本参考例では、図8(a)に示すように、通路30と通路31とが十字に交差している十字路32において、交差点の各コーナー部に標識B1〜B4をそれぞれ設置している。図9(a)〜(d)に示すように、標識B1〜B4には合わせて3個の反射部22又は非反射部23が設けられており、反射部22及び非反射部23の組み合わせは互いに異なっているので、反射部22及び非反射部23の組み合わせから個別の標識B1〜B4を判別することができる。例えば自律移動台車Aが通路30を図8(a)中の左側から右側に向かって移動し、十字路32に進入した場合、自律移動台車Aに設けられた受発光部111…の光源11aは、進行方向前方に設置された標識B2,B4に光を照射し、標識B2,B4によって反射された反射光を受光部11bで受光しており、その受光結果から進行方向前方に設置された標識B2,B4を判別することができるので、標識B2,B4が夫々設置されたコーナー部に向かって交差点32内に進入していることが分かり、自己の現在位置を正確に推定することができる。
【0038】
このように十字路32の交差点において、交差点の各コーナー部に種類の異なる標識B1〜B4を設置しているので、何れの方向から十字路32に進入したとしても、自律移動台車Aに設けた受発光部111…では、進行方向の前方にある何れかの標識B1〜B4から反射光を受光することができ、進行方向の前方にある標識を判別することによって、自己の現在位置を見失いやすい十字路32などの交差点においても自己の現在位置を正確に推定することができる。
【0039】
尚、本参考例では十字路32を例にして説明を行ったが、図8(b)に示すように、通路30と通路31とがT字状に交差するようなT字路33の場合は、T字路33の交差点において、通路30と通路31とのコーナー部にそれぞれ標識B3,B4を設置するとともに、交差点を挟んで標識B3,B4と反対側の位置にそれぞれ標識B1,B2を設置すれば良い。ここで、図9(a)〜(d)に示すように、各標識B1〜B4に反射部22及び非反射部21の組み合わせが異なるものを用いることにより、何れの方向からT字路33に進入したとしても、自律移動台車Aに設けた受発光部111…では、進行方向の前方にある何れかの標識B1〜B4から反射光を受光することができ、進行方向の前方にある標識を判別することによって、現在位置を見失いやすいT字路33などの交差点においても自己の現在位置を正確に推定することができる。
【0040】
(参考例3)
本参考例の自律移動台車Aの自己位置推定方法について図10乃至図11を参照して説明する。
【0041】
本参考例では、図10に示すように、自律移動台車Aの移動する通路30に対して通路31a,31bがそれぞれ十字に交差し、十字路のような分岐点34a,34bが設けられた通路30において、分岐点34aと分岐点34bとの間に一定の間隔で複数個(例えば5個)の標識B1〜B5を設置している。図11(a)〜(e)に示すように、標識B1〜B5には合わせて3個の反射部22又は非反射部23が設けられており、反射部22及び非反射部23の組み合わせは互いに異なっているので、反射部22及び非反射部23の組み合わせから個々の標識を判別できるようになっている。したがって、自律移動台車Aでは各受発光部111…の受光結果から個々の標識を判別することができ、分岐点34aと分岐点34bとの間の通路30において、自己の現在位置を正確に推定することができる。
【0042】
また、分岐点34aとその前の分岐点との間の通路30や、分岐点34bとその次の分岐点との間の通路30にも、5個の標識B1〜B5を分岐点34a,34b間に設置された順番で一定の間隔をおいて設置すれば良く、自律移動台車Aでは各受発光部111…の受光結果から個々の標識を判別することができ、隣接する2つの分岐点の間の通路30において、自己の現在位置を正確に推定することができる。尚、上述のように、通路30の複数箇所に、反射部22及び非反射部23の組み合わせが同じ標識B1〜B5を設置すれば、標識の種類を少なくできる。さらに標識の種類を少なくすることにより、各標識を構成する反射部22及び非反射部23の個数を少なくでき、それに対応して自律移動台車Aに設けた受発光部111…の数を少なくできる。
【0043】
(参考例4)
本参考例の自律移動台車Aの自己位置推定方法について図12(a)(b)を参照して説明する。
【0044】
図12(b)に示すように、通路30及び通路31aが十字に交差する十字路32と、通路30及び通路31cがT字状に交差するT字路33との間の通路30において、通路30の壁に部屋35の入口35aが設けられており、この入口35aを開閉自在に閉じる扉36が開いている場合、自律移動台車Aが通路30を十字路32側からT字路33側へ移動して、入口35aに差し掛かると、通路30と入口35a側の壁との境界線が途切れることから、T字路33に差し掛かったと誤認識する虞がある。尚、扉36の開閉状態は変化するため、その開閉状態を示す情報をメモリ18に予め記憶させておくことはできなかった。
【0045】
そこで、本参考例では、十字路32とT字路33との間の通路30において、十字路32側のコーナー部に標識B1を設置し、T字路33側のコーナー部に標識B3を設置すると共に、入口35aの十字路32側の開口縁に標識B2を設置している。尚、標識B1〜B3は、反射部22及び非反射部23の組み合わせを夫々異ならせているので、自律移動台車Aでは受発光部111…の受光結果から個々の標識B1〜B3を識別することができる。したがって、自律移動台車Aが通路30を十字路32側からT字路33側へ移動し、入口35aに差し掛かると、受発光部111…の受光結果から標識B2の存在を検出することができるので、扉36の開閉状態に関係なく、現在位置が十字路32とT字路33との間の途中であることを正確に検出することができる。
【0046】
(参考例5)
参考例1の自律移動台車Aでは、n個の受発光部111…を車体の進行方向Cと略平行な方向(即ち水平方向)に並べて車体に取り付けていたが、本参考例では、図13に示すように、n個の受発光部111…を自律移動台車Aの進行方向と略直交する方向(即ち鉛直方向)Dに並べて車体に取り付けている。
【0047】
n個の受発光部111…を自律移動台車Aの進行方向と略平行な方向に並べて設置した場合、台車の車体が通路に対して傾斜していると、各受発光部111…の受光部で、隣接する別の受発光部111…の光源から照射された光の反射光を受光する虞があり、標識Bを誤検出する虞があった。それに対して本参考例では、n個の受発光部111…を鉛直方向に並べて車体に取り付けているので、鉛直方向において、標識検出部12の受発光部111…と、標識Bを構成する反射部22又は非反射部23との位置を合わせておけば、自律移動台車Aが水平方向に移動したとしても、各受発光部111…の受光部が、隣接する別の受発光部111…の光源から照射された光の反射光を受光する虞はなく、標識Bの誤検出を防止できる。
【0048】
(参考例6)
上述した参考例5の自律移動台車Aでは、n個の受発光部111…を鉛直方向Dに並べて自律移動台車Aの車体に取り付けているが、n個の受発光部111…の鉛直方向における高さ位置が一定のため、通路30に設置された各標識B1…の鉛直方向における設置高さが、環境地図上における設置位置に応じて異なっていると、標識B1…の検出を行えない場合がある。
【0049】
そこで、本参考例では、上述した参考例5の自律移動台車Aにおいて、図14に示すように、n個の受発光部111…が鉛直方向Dに並設された標識検出部12を鉛直方向Dにおいて昇降させる昇降部19を車体に設けている。また、各標識B1…の環境地図上における設置位置及び設置高さを示す標識設置情報をメモリ18に記憶させており、制御部10では、環境地図上における自己の現在位置とメモリ18に記憶された各標識B1…の設置位置の情報とに基づいて、次に現在位置の推定に利用する標識B1…の設置高さの情報をメモリ18から読み込み、その標識B1…の設置高さと標識検出部12の高さとが一致するよう、昇降部19を用いて標識検出部12を鉛直方向に昇降させている。したがって、通路30に設置された標識B1…の設置高さに応じて標識検出部12の高さ位置を変化させることができ、標識B1…の設置高さの自由度が向上する。
【0050】
(参考例7)
本参考例の自律移動台車Aの自己位置推定方法について図15及び図16を参照して説明する。上述した各参考例及び実施形態の自己位置推定方法では、自律移動台車Aの移動する通路30に設置された標識B1…を検出することによって、自己の現在位置を推定していたが、図15に示すように標識B2の近傍に障害物37が放置されていると、この障害物37によって受発光部111…から照射された光が遮光され、標識B2を検出できない場合がある。そこで本参考例の自己位置推定方法では、障害物37などによって標識B1…を検出できなかった場合、制御部10は、エンコーダ17の出力から検出した走行距離に基づいて自己の現在位置を推定するようにしている。
【0051】
以下に、制御部10の動作について図16のフロー図を参照して説明する。先ず制御部10は、受発光部111…の検出結果を読み込み(ステップS21)、各受発光部111…で反射光を受光したか否かを判断する(ステップS22)。ここで、各受発光部111…が反射光を受光していれば、制御部10は、その検出結果から標識B1…の種類を判別し、メモリ18に記憶された標識B1…の設置位置の情報から自己の現在位置を推定する(ステップS23)。その後、制御部10は、次に自己位置の推定に利用する標識B1…の設置高さの情報をメモリ18から読み込み、その設置高さと標識検出部12の高さ位置とが一致するよう、昇降部19を用いて標識検出部12の高さ位置を変化させた後(ステップS24)、エンコーダ17の出力から台車の走行距離を演算する(ステップS25)。一方、ステップS22において各受発光部111…が反射光を受光していなければ、制御部10はステップS25の処理を実行する。
【0052】
次に制御部10は、ステップS25で算出した台車の走行距離から、次に自己位置の推定に利用する予定の標識B1…を通過したか否かを判断し(ステップS26)、予定の標識B1…を通過していれば、障害物などによって受発光部111…の光が遮光されるなどして予定の標識B1…を検出できなかったものと判断して、予定の標識B1…による自己位置の推定を断念し、次に自己位置の推定に利用する標識B1…の設置高さの情報をメモリ18から読み込み、その設置高さと標識検出部12の高さ位置とが一致するよう、昇降部19を用いて標識検出部12の高さ位置を変化させる(ステップS27)。その後、制御部10は目的地に到達したか否かを判断し(ステップS28)、目的地に到達していなければ、ステップS21に戻って上述の処理を繰り返し実行する。一方、ステップS26において予定の標識B1…を通過していなければ、制御部10はステップS28に移行して、上述と同様の処理を実行する。
【0053】
このように、通路30に放置された障害物37などにより受発光部111…からの光が遮光されるなどして標識B1…を検出できなかった場合、制御部10は、エンコーダ17の出力から求めた走行距離に基づいて、自己位置の推定に利用する予定の標識B1…を通過したものと判断し、次に自己位置の推定に利用する予定の標識B1…の設置高さに合わせて標識検出部12を鉛直方向に昇降させているので、障害物などによって標識B1…を検出できなかったとしても、自律移動台車Aが自己の現在位置を見失う虞はない。したがって、自律移動台車Aの移動する通路30から障害物を全て撤去する必要はなく、通路30の整備及び保守に要する手間を少なくできる。
【0054】
(参考例8)
本参考例の自律移動台車Aの自己位置推定方法を図17及び図18を参照して説明する。本参考例では、図17に示すように、自律移動台車Aが通過する通路30において、進行方向Cに向かって右側の壁に複数の標識B1R,B2R…を所定の間隔で設置するとともに、進行方向Cに向かって左側の壁における通路30を挟んで標識B1R,B2R…と対向する位置に標識B1L,B2L…をそれぞれ設置している。
【0055】
ここで、通路30を挟んで対向する標識B1R…と標識B1L…とは、自律移動台車Aの進行方向Cにおいて同一の位置に設置された標識であることが識別できるように、反射部22及び非反射部23の組み合わせが設定されている。すなわち、通路30を挟んで対向する2個1組の標識B1R…,B1L…は、図18(a)(b)に示すように、複数の反射部22及び非反射部23の組み合わせから構成されており、標識B1R…,B1L…の各組を判別するための複数の反射部22及び非反射部23の組み合わせからなる標識識別部20aとは別に、進行方向に向かって通路30の左右何れの側に設置された標識であるかを示す左右判別部20cが設けられている。
【0056】
ここで、通路30を挟んで対向する標識B1R…,B1L…の各組では、左右判別部20c以外の反射部22及び非反射部23の組み合わせ、すなわち標識識別部20aを構成する反射部22及び非反射部23の組み合わせは等しくなっている。そして、標識B1R…,B1L…の組毎に標識識別部20aを構成する反射部22及び非反射部23の組み合わせを異ならせているので、反射部22及び非反射部23の組み合わせを判別することによって、標識B1R…,B1L…が何れの組であるかを識別でき、自律移動台車Aの現在の自己位置を推定することができる。また、左右判別部20cは1個の反射部22又は非反射部23からなり、例えば進行方向に向かって左側の壁に設置された標識B1Lの左右判別部20cは1個の反射部22から構成され、進行方向に向かって右側の壁に設置された標識B1Rの左右判別部20cは1個の非反射部23から構成される。
【0057】
したがって、自律移動台車Aでは各受発光部111…の受光した反射光の有無から、反射部22及び非反射部23の組み合わせを判別し、左右判別部20c以外の反射部22及び非反射部23の組み合わせから、標識B1R…,B1L…の組を識別して、環境地図上における自己の現在位置を推定する。また、左右判別部20cの検出結果から、検出した標識が、進行方向に向かって通路の左側に設置された標識B1Lであるか、進行方向に向かって通路の右側に設置された標識B1Rであるかを判別することができる。
【0058】
ところで、参考例1で説明したように、自律移動台車Aの制御部10は、センサ131…の検出結果やCCDカメラ14の撮像した映像に基づいて、通路30に対して進行方向が略平行になるように制御しているが、通路30において自律移動台車Aが進行方向に向かって左側又は右側に偏って走行する場合があり、その場合、進行方向と略直交する方向において、自律移動台車Aと進行方向に向かって左側の壁との間の距離と、自律移動台車Aと進行方向に向かって右側の壁との間の距離とが異なってしまう。ここで、自律移動台車Aの標識検出部12は、参考例1で説明したように、進行方向に対して斜め前方45度の左右2方向に光を照射しているので、自律移動台車Aが進行方向に向かって左側又は右側に偏って走行していると、自律移動台車Aから進行方向に対して左斜め前方45度の方向に照射される光が進行方向に向かって左側の壁に当たる位置と、自律移動台車Aから進行方向に対して右斜め前方45度の方向に照射される光が進行方向に向かって右側の壁に当たる位置とが自律移動台車Aの進行方向において異なってしまう。すなわち、自律移動台車Aの進行方向において、進行方向に向かって左側に設置された標識B1L…を検出した時点での自律移動台車Aの位置と、進行方向に向かって右側に設置された標識B1R…を検出した時点での自律移動台車Aの位置とが、自律移動台車Aの進行方向において異なってしまう。
【0059】
例えば、図17に示すように、自律移動台車Aが進行方向に向かって左側に偏って走行している場合、進行方向と略直交する方向において、自律移動台車Aと進行方向に向かって右側の壁との間の距離に比べて、自律移動台車Aと進行方向に向かって左側の壁との間の距離の方が短くなる。したがって、自律移動台車Aから進行方向に対して左斜め前方45度の方向に照射される光に比べて、進行方向に対して右斜め前方45度の方向に照射される光の方が、自律移動台車Aの進行方向においてより前方まで届くことになる。すなわち、自律移動台車Aが進行方向に向かって右側に設置された標識B1Rを検出した時点での、自律移動台車Aと標識B1Rとの間の距離L1に比べて、自律移動台車Aが進行方向に向かって左側に設置された標識B1Lを検出した時点での、自律移動台車Aと標識B1Lとの間の距離L2の方が短くなるので、距離L1と距離L2との差から通路30における自律移動台車30の走行位置の偏りを検出することができる。
【0060】
【発明の効果】
上述のように、請求項1の発明は、台車の走行距離を検出するために台車の各車輪を駆動する駆動手段に設けられた走行距離検出手段と、台車の移動する通路及び周囲の地図情報を記憶する記憶手段と、光を照射する発光手段及び該発光手段から照射された光の反射光を受光する受光手段の組からなる複数組の受発光部と、走行距離検出手段の検出信号から走行距離を検出する走行距離演算プログラム、光を反射する少なくとも1つの反射部と光を反射しない非反射部とを複数組み合わせて構成された標識識別部並びに標識識別部とは別に1乃至複数個の反射部又は非反射部から構成される誤り検出部を有し標識識別部の反射部と非反射部の組み合わせによって複数の種類が設けられた標識であって予め通路に沿って設置されその設置位置を示す標識設置情報が記憶手段に記憶された複数の標識に対して発光手段から光を照射すると共に標識によって反射された反射光を受光手段で受光した受光結果から標識の種類を識別する受光確認プログラム、及び、走行距離演算プログラムと受光確認プログラムの実行結果から記憶手段に記憶された地図上における自己の現在位置を推定する自己位置推定プログラムを実行する制御手段とを備える自律移動台車において、標識の誤り検出部に対して光を照射する誤り検出用の発光手段と、誤り検出部によって反射された反射光を受光する誤り検出用の受光手段の組を、誤り検出部を構成する反射部又は非反射部の数と同数備え、制御手段は、標識識別部による反射光を受光する複数の受光手段の受光結果と、誤り検出部による反射光を受光する誤り検出用の受光手段の受光結果とから受光結果の誤りを検出することを特徴としている。
【0061】
このように、通路に設置された標識は反射部及び非反射部を複数組み合わせて構成され、反射部及び非反射部の組み合わせによって種類の異なる複数の標識が存在するので、制御手段では、受光確認プログラムを実行することによって、各受光手段の受光結果から検出した標識の種類を識別して、記憶手段に記憶された地図情報及び標識設置情報から検出した標識の地図上における設置位置を検出することができ、且つ、走行距離演算プログラムを実行することによって、台車の走行距離を検出することができ、さらに自己位置推定プログラムを実行することによって、検出した標識の設置位置及びその設置位置からの走行距離より自己の現在位置を推定しているので、走行距離のみから自己の現在位置を推定する場合に比べ、標識を検出した時点で自己の現在位置を補正することができ、現在位置の推定精度を向上させた自律移動台車を実現できるという効果がある。また、標識の種類を識別するための標識識別部とは別に誤り検出部を設けているので、誤り検出用の受光手段の受光結果から標識識別部の識別結果が正しいか否かを判断でき、標識の種類を誤って識別するのを防止できるという効果がある。
【0062】
請求項2の発明は、台車の走行距離を検出するために台車の各車輪を駆動する駆動手段に設けられた走行距離検出手段と、台車の移動する通路及び周囲の地図情報を記憶する記憶手段と、光を照射する発光手段及び該発光手段から照射された光の反射光を受光する受光手段の組からなる複数組の受発光部と、走行距離検出手段の検出信号から走行距離を検出する走行距離演算プログラム、予め通路に設置された複数の標識に対して発光手段から光を照射すると共に標識によって反射された反射光を受光手段で受光した受光結果から標識の種類を識別する受光確認プログラム、及び、走行距離演算プログラムと受光確認プログラムの実行結果から記憶手段に記憶された地図上における現在の自己の位置を推定する自己位置推定プログラムを実行する制御手段とを備えた自律移動台車の自己位置推定方法において、前記標識は、光を反射する反射部を少なくとも1つ含み、反射部及び光を反射しない非反射部を複数組み合わせて構成された標識識別部と、標識識別部とは別に1乃至複数個の反射部又は非反射部から構成される誤り検出部とを有し、標識識別部の反射部と非反射部の組み合わせによって複数の種類の標識を設けるとともに、誤り検出部に対して光を照射する誤り検出用の発光手段と、誤り検出部によって反射された反射光を受光する誤り検出用の受光手段の組を、誤り検出部を構成する反射部又は非反射部の数と同数設け、前記記憶手段に各標識の設置位置及びその種類を示す標識設置情報と地図情報とを組み合わせて記憶させ、制御手段は、走行距離演算プログラムを実行して台車の走行距離を検出するとともに、受光確認プログラムを実行して検出した標識の種類を識別した後、自己位置推定プログラムを実行して、台車の走行距離及び検出した標識の種類から、記憶手段に記憶された標識設置情報及び地図情報に基づいて自己の現在位置を推定し、標識識別部による反射光を受光する複数の受光手段の受光結果と、誤り検出部による反射光を受光する誤り検出用の受光手段の受光結果とから受光結果の誤りを検出することを特徴としている。
【0063】
このように、通路に設置された標識は反射部及び非反射部を複数組み合わせて構成され、反射部及び非反射部の組み合わせによって種類の異なる複数の標識が存在するので、制御手段では、受光確認プログラムを実行することによって、各受光手段の受光結果から検出した標識の種類を識別して、記憶手段に記憶された地図情報及び標識設置情報から検出した標識の地図上における設置位置を検出することができ、且つ、走行距離演算プログラムを実行することによって、台車の走行距離を検出することができ、さらに自己位置推定プログラムを実行することによって、検出した標識の設置位置及びその設置位置からの走行距離より自己の現在位置を推定しているので、走行距離のみから自己の現在位置を推定する場合に比べ、標識を検出した時点で自己の現在位置を補正することができ、現在位置の推定精度を向上するという効果がある。また、標識の種類を識別するための標識識別部とは別に誤り検出部を設けているので、誤り検出用の受光手段の受光結果から標識識別部の識別結果が正しいか否かを判断でき、標識の種類を誤って識別するのを防止できるという効果がある。
【0065】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、通路が複数に分岐する分岐点において、分岐点に通じる各通路をそれぞれ通って分岐点に進入する際に進入方向前方となる通路の部位に、種類の互いに異なる標識を夫々設置し、制御手段は、受光確認プログラムの実行結果から各標識の種類を識別し、分岐点における自己の現在位置を推定することを特徴とし、分岐点に進入する際に進入方向前方に設置された標識の種類が、分岐点に通じる各通路毎に異なっているので、検出した標識の種類から分岐点における自己の現在位置及び進行方向を正確に推定できるという効果がある。
【0066】
請求項4の発明は、請求項2の発明において、通路において分岐点と隣接する別の分岐点との間の部位に、種類の異なる複数の標識を一定の間隔で設置し、制御手段は、受光確認プログラムの実行結果から標識の種類を識別し、隣接する2つの分岐点の間の通路における自己の現在位置を推定することを特徴とし、隣接する2つの分岐点の間の通路の部位に、種類の異なる複数の標識が一定の間隔で設置されているので、検出した標識の種類から両分岐点間の自己の現在位置を正確に検出できるという効果がある。
【0067】
請求項5の発明は、請求項2の発明において、通路において分岐点と隣接する別の分岐点との間の部位に設けられた部屋の入口に、分岐点に設置された標識と種類の異なる標識を設置し、制御手段は、受光確認プログラムの実行結果から標識の種類を識別し、標識の種類から分岐点と部屋の入口とを識別することを特徴とし、分岐点に設置された標識と種類の異なる標識が部屋の入口に設置されているので、検出した標識の種類から分岐点と部屋の入口とを識別することができ、部屋の入口を分岐点と誤検出するのを防止できるという効果がある。
【0068】
請求項6の発明は、請求項1の発明において、標識を構成する複数の反射部及び非反射部は鉛直方向に並べて通路に設置され、複数組の受発光部は鉛直方向に並べて台車に取り付けられることを特徴とし、標識を構成する複数の反射部及び非反射部や、複数組の受発光部は鉛直方向に設置されており、水平面内において台車の進行方向と略平行な方向に並設される場合には、通路に対する台車の傾き具合によって受発光部の受光部で、隣接する別の受発光部の光源から放射された光を受光する虞があり、標識の誤検出を招く虞があるが、標識を構成する複数の反射部及び非反射部や、複数組の受発光部は鉛直方向に設置されているので、受発光部の受光部で、隣接する別の受発光部の光源から放射された光を受光するのを防止でき、標識の誤検出を防止できるという効果がある。
【0069】
請求項7の発明は、請求項6の発明において、複数組の受発光部を鉛直方向に沿って移動させる移動手段を台車に設け、記憶手段に各標識の設置位置とその設置高さを示す標識設置情報を記憶させ、制御手段は記憶手段に記憶された標識設置情報に基づいて複数組の受発光部と標識の高さが一致するように移動手段を駆動することを特徴とし、移動手段により複数組の受発光部の高さを変化させることができるので、標識の設置高さをその設置場所に応じて変化させることができ、標識の設置高さの自由度を高めることができるという効果がある。
【0070】
請求項8の発明は、請求項7の発明において、制御手段は、走行距離から推定した現在位置が、次に検出する予定の標識の設置位置に達した時点で、受光手段により標識を検出できなかった場合、記憶手段に記憶された標識設置情報に基づいて、その次に検出する予定の標識と複数組の受発光部との高さが一致するよう移動手段を駆動することを特徴とし、走行距離から推定した現在位置が次に検出する予定の標識の設置位置に達した時点で、その標識を検出できなかった場合、障害物などによってその標識を検出できなかったと判断し、移動手段を用いて、その次に検出する予定の標識の設置高さに複数組の受発光部の高さを一致させているので、障害物などが存在したとしても自己の現在位置を見失うのを防止できるという効果がある。
【0071】
請求項9の発明は、請求項2の発明において、前記標識の断面形状を直角二等辺三角形とし、底辺となる面が通路の壁に沿うようにして通路に設置されており、発光手段は、車体の進行方向に対して斜め前方略45度の左右2方向に光を照射することを特徴とし、発光手段は車体の進行方向に対して斜め前方略45度の左右2方向に光を照射すると共に、断面略二等辺三角形の標識は底辺となる面を通路の壁に沿わして設置されているので、通路内を何れの方向に通過したとしても、発光手段からの光を標識の側面に照射させることができ、同じ標識を用いて自己の現在位置を推定することができるから、標識の数を減らすことができるという効果がある。
【0072】
請求項10の発明は、請求項9の発明において、台車の進行方向において略同じ位置となる通路両側の部位にそれぞれ標識が設置され、通路の進行方向に対して左右何れの側に設置された標識であるかを判別するための反射部又は非反射部からなる左右判別部を標識に設け、制御手段は、左右判別部により検出した標識が通路の何れの側に設置された標識であるかを判別し、通路の一方の側に配置された標識を検出した位置と、該標識と通路を挟んで対向する位置に配置された標識を検出した位置との間の距離から、通路における進行方向と略直交する方向において自己の現在位置の偏りを検出することを特徴とし、進行方向と略直交する方向において台車の位置が偏っていると、通路の一方の壁と台車との間の距離と、通路の他方の壁と台車との間の距離とが異なり、進行方向に向かって左斜め前方45度の方向に照射された光が進行方向左側の壁に当たる位置と、進行方向に向かって右斜め前方45度の方向に照射された光が進行方向右側の壁に当たる位置とが異なるので、左右判別部の判別結果から検出した標識が通路の左右何れの側に設置された標識であるかを判別し、通路の一方の側に配置された標識を検出した位置と、該標識と通路を挟んで対向する位置に配置された標識を検出した位置との間の距離から、通路における台車の偏り具合を検出できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考例1の自律移動台車のブロック図である。
【図2】 同上の受発光部の取付状態を説明する図である。
【図3】(a)(b)は同上の移動方向と標識の設置状態との関係を説明する説明図である。
【図4】(a)〜(c)は同上の移動する通路に設置された標識を示す図である。
【図5】 同上の動作を説明するフロー図である。
【図6】 同上の動作を説明する説明図である。
【図7】 実施形態の自律移動台車の移動する通路に設置された標識を示す図である。
【図8】(a)(b)は参考例2の自律移動台車の自己位置推定方法を説明する説明図である。
【図9】(a)〜(d)は同上に用いる標識を示す図である。
【図10】 参考例3の自律移動台車の自己位置推定方法を説明する説明図である。
【図11】(a)〜(e)は同上に用いる標識を示す図である。
【図12】(a)(b)は参考例4の自律移動台車の自己位置推定方法を説明する説明図である。
【図13】 参考例5の自律移動台車の受発光部の取付状態を説明する説明図である。
【図14】 参考例6の自律移動台車の受発光部の取付状態を説明する説明図である。
【図15】 参考例7の自律移動台車の自己位置推定方法を説明する説明図である。
【図16】 同上の動作を説明するフロー図である。
【図17】 参考例8の自律移動台車の自己位置推定方法を説明する説明図である。
【図18】(a)(b)は同上に用いる標識を示す図である。
【符号の説明】
A 自律移動台車
10 制御手段
111… 受発光部
17 エンコーダ
18 メモリ
Claims (10)
- 台車の走行距離を検出するために台車の各車輪を駆動する駆動手段に設けられた走行距離検出手段と、台車の移動する通路及び周囲の地図情報を記憶する記憶手段と、光を照射する発光手段及び該発光手段から照射された光の反射光を受光する受光手段の組からなる複数組の受発光部と、走行距離検出手段の検出信号から走行距離を検出する走行距離演算プログラム、光を反射する少なくとも1つの反射部と光を反射しない非反射部とを複数組み合わせて構成された標識識別部並びに標識識別部とは別に1乃至複数個の反射部又は非反射部から構成される誤り検出部を有し標識識別部の反射部と非反射部の組み合わせによって複数の種類が設けられた標識であって予め通路に沿って設置されその設置位置を示す標識設置情報が記憶手段に記憶された複数の標識に対して発光手段から光を照射すると共に標識によって反射された反射光を受光手段で受光した受光結果から標識の種類を識別する受光確認プログラム、及び、走行距離演算プログラムと受光確認プログラムの実行結果から記憶手段に記憶された地図上における自己の現在位置を推定する自己位置推定プログラムを実行する制御手段とを備える自律移動台車において、標識の誤り検出部に対して光を照射する誤り検出用の発光手段と、誤り検出部によって反射された反射光を受光する誤り検出用の受光手段の組を、誤り検出部を構成する反射部又は非反射部の数と同数備え、制御手段は、標識識別部による反射光を受光する複数の受光手段の受光結果と、誤り検出部による反射光を受光する誤り検出用の受光手段の受光結果とから受光結果の誤りを検出することを特徴とする自律移動台車。
- 台車の走行距離を検出するために台車の各車輪を駆動する駆動手段に設けられた走行距離検出手段と、台車の移動する通路及び周囲の地図情報を記憶する記憶手段と、光を照射する発光手段及び該発光手段から照射された光の反射光を受光する受光手段の組からなる複数組の受発光部と、走行距離検出手段の検出信号から走行距離を検出する走行距離演算プログラム、予め通路に設置された複数の標識に対して発光手段から光を照射すると共に標識によって反射された反射光を受光手段で受光した受光結果から標識の種類を識別する受光確認プログラム、及び、走行距離演算プログラムと受光確認プログラムの実行結果から記憶手段に記憶された地図上における現在の自己の位置を推定する自己位置推定プログラムを実行する制御手段とを備えた自律移動台車の自己位置推定方法において、前記標識は、光を反射する反射部を少なくとも1つ含み、反射部及び光を反射しない非反射部を複数組み合わせて構成された標識識別部と、標識識別部とは別に1乃至複数個の反射部又は非反射部から構成される誤り検出部とを有し、標識識別部の反射部と非反射部の組み合わせによって複数の種類の標識を設けるとともに、誤り検出部に対して光を照射する誤り検出用の発光手段と、誤り検出部によって反射された反射光を受光する誤り検出用の受光手段の組を、誤り検出部を構成する反射部又は非反射部の数と同数設け、前記記憶手段に各標識の設置位置及びその種類を示す標識設置情報と地図情報とを組み合わせて記憶させ、制御手段は、走行距離演算プログラムを実行して台車の走行距離を検出するとともに、受光確認プログラムを実行して検出した標識の種類を識別した後、自己位置推定プログラムを実行して、台車の走行距離及び検出した標識の種類から、記憶手段に記憶された標識設置情報及び地図情報に基づいて自己の現在位置を推定し、標識識別部による反射光を受光する複数の受光手段の受光結果と、誤り検出部による反射光を受光する誤り検出用の受光手段の受光結果とから受光結果の誤りを検出することを特徴とする自律移動台車の自己位置推定方法。
- 通路が複数に分岐する分岐点において、分岐点に通じる各通路をそれぞれ通って分岐点に進入する際に進入方向前方となる通路の部位に、種類の互いに異なる標識を夫々設置し、制御手段は、受光確認プログラムの実行結果から各標識の種類を識別し、分岐点における自己の現在位置を推定することを特徴とする請求項2記載の自律移動台車の自己位置推定方法。
- 通路において分岐点と隣接する別の分岐点との間の部位に、種類の異なる複数の標識を一定の間隔で設置し、制御手段は、受光確認プログラムの実行結果から標識の種類を識別し、隣接する2つの分岐点の間の通路における自己の現在位置を推定することを特徴とする請求項2記載の自律移動台車の自己位置推定方法。
- 通路において分岐点と隣接する別の分岐点との間の部位に設けられた部屋の入口に、分岐点に設置された標識と種類の異なる標識を設置し、制御手段は、受光確認プログラムの実行結果から標識の種類を識別し、標識の種類から分岐点と部屋の入口とを識別することを特徴とする請求項2記載の自律移動台車の自己位置推定方法。
- 標識を構成する複数の反射部及び非反射部は鉛直方向に並べて通路に設置され、複数組の受発光部は鉛直方向に並べて台車に取り付けられることを特徴とする請求項1記載の自律移動台車。
- 複数組の受発光部を鉛直方向に沿って移動させる移動手段を台車に設け、記憶手段に各標識の設置位置とその設置高さを示す標識設置情報を記憶させ、制御手段は記憶手段に記憶された標識設置情報に基づいて複数組の受発光部と標識の高さが一致するように移動手段を駆動することを特徴とする請求項6記載の自律移動台車。
- 制御手段は、走行距離から推定した現在位置が、次に検出する予定の標識の設置位置に達した時点で、受光手段により標識を検出できなかった場合、記憶手段に記憶された標識設置情報に基づいて、その次に検出する予定の標識と複数組の受発光部との高さが一致するよう移動手段を駆動することを特徴とする請求項7記載の自律移動台車。
- 前記標識の断面形状を直角二等辺三角形とし、底辺となる面が通路の壁に沿うようにして通路に設置されており、発光手段は、車体の進行方向に対して斜め前方略45度の左右2方向に光を照射することを特徴とする請求項2記載の自律移動台車の自己位置推定方法。
- 台車の進行方向において略同じ位置となる通路両側の部位にそれぞれ標識が設置され、通路の進行方向に対して左右何れの側に設置された標識であるかを判別するための反射部又は非反射部からなる左右判別部を標識に設け、制御手段は、左右判別部により検出した標識が通路の何れの側に設置された標識であるかを判別し、通路の一方の側に配置された標識を検出した位置と、該標識と通路を挟んで対向する位置に配置された標識を検出した位置との間の距離から、通路における進行方向と略直交する方向において自己の現在位置の偏りを検出することを特徴とする請求項9記載の自律移動台車の自己位置推定方法。
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