JP3688022B2 - 六方晶窒化ほう素焼結体 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高純度、高密度、高曲げ強度の六方晶窒化ほう素焼結体に関する。
【０００２】
六方晶窒化ほう素（ｈ−ＢＮ）は、高耐熱性、高熱伝導性、高耐熱衝撃性、高電気絶縁性など優れた特性を有し、また数少ない易加工性のセラミックスであることから、セラミックス焼結用るつぼ、耐熱用治具、高温絶縁材として用いられているが、自己焼結性がないので他の一般的なセラミックスに比べて機械的強度が小さく、利用が拡大しない一原因となっている。
【０００３】
【従来の技術】
従来、ｈ−ＢＮ焼結体用のｈ−ＢＮ粉の評価は、例えば粒度、比表面積、不純物含有量などで行われているが、その評価結果とｈ−ＢＮ焼結体の特性、例えば焼結体密度、曲げ強度、ＢＮ純度などとの間にはあまり相関が認められず、実験と経験に頼らざるを得なかった。
【０００４】
ｈ−ＢＮ焼結体は、ｈ−ＢＮ粉に焼結助剤を添加し、ＣＩＰ後常圧焼結するか、又はホットプレス、ＨＩＰなどによって製造されている。焼結助剤としては、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、ほう素酸化物、希土類酸化物などが用いられているが、これらの添加によってＢＮ純度が低くなり不純物による汚染、耐熱性の低下、絶縁破壊などを引き起こすので、焼結助剤の使用はできるけ少なくすることが望まれている。
【０００５】
そこで、本出願人は、焼結助剤を添加せずに高純度でかつ高強度のｈ−ＢＮ焼結体を製造する方法として、ｈ−ＢＮ粉末原料として粗粉ｈ−ＢＮと微粉ｈ−ＢＮを混合し、成形後、常圧焼結する方法を先に提案した（特願平６−１０６９１２号明細書）が、この方法によっても焼結体密度が低く、ＢＮ純度も９９. ５％未満であり十分ではなかった。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ＢＮ純度９９．５重量％以上、密度１．９１ｇ／ｃｍ^３以上、常温曲げ強度５０ＭＰａ以上を発現させたｈ−ＢＮ焼結体を提供することにある。
【０００７】
【課題を解決する手段】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、ｈ−ＢＮ粉末原料として、酸素含有量が例えば１．０質量％であり、しかも圧力２７００ｋｇ／ｃｍ^２ で冷間静水圧（ＣＩＰ）成形した場合の成形体密度が１．９５ｇ／ｃｍ^３以上となる充填性の大なるものを用いればよいこと見いだし、本発明を完成させたものである。
【０００８】
すなわち、本発明は、ＢＮ純度９９．５重量％以上、密度１．９１ｇ／ｃｍ^３以上、常温曲げ強度５０ＭＰａ以上であることを特徴とするｈ−ＢＮ焼結体である。
【０００９】
【発明の実施の形態】
以下、更に詳しく本発明について説明する。本発明において、ｈ−ＢＮ焼結体のＢＮ純度、密度及び常温曲げ強度を上記のように限定した理由は以下のとおりである。
【００１０】
ＢＮ純度が９９．５重量％未満では、Ｂ_２ Ｏ_３、焼結助剤、Ｂ_２ Ｏ_３ と焼結助剤との複塩、焼結助剤の分解物などの不純物によって汚染され、ｈ−ＢＮ焼結体本来の諸特性が劣化し機械加工性も低下する。ＢＮ純度は、ｈ−ＢＮをアルカリ分解後ケルダール法による水蒸気蒸留を行い、留出液中の全窒素を中和適定することによって測定することができる。
【００１１】
密度が１．９１ｇ／ｃｍ^３ 未満では、相対密度が８０％未満となり、空隙の多い焼結体組織となってｈ−ＢＮ焼結体本来の優れた物性が低下する。密度はアルキメデス法によって測定することができる。
【００１２】
常温曲げ強度が５０ＭＰａ未満では、取扱い時又は加工時の割れ、クラックを引き起こす。常温曲げ強度はＪＩＳ Ｒ１６０１の三点曲げ強さ試験に準じて測定することができる。
【００１３】
本発明のｈ−ＢＮ焼結体は次のようにして製造することができる。まず、原料ｈ−ＢＮ粉末としては、圧力２７００ｋｇ／ｃｍ^２下におけるＣＩＰ成形体密度が１．９５ｇ／ｃｍ^３ 以上となるｈ−ＢＮ粉を３５重量％以上（１００重量％を含む）含み、酸素含有量が例えば１．０重量％である粉末が使用される。このようなｈ−ＢＮ粉末原料は、圧力２７００ｋｇ／ｃｍ^２ 下におけるＣＩＰ成形体密度が１．９５ｇ／ｃｍ^３以上で酸素含有量１．６重量％以上のｈ−ＢＮ粉に酸素含有量１．６重量％未満のｈ−ＢＮ粉を混合する方法、圧力２７００ｋｇ／ｃｍ^２下におけるＣＩＰ成形体密度１．９５ｇ／ｃｍ^３以上で酸素含有量１．６重量％未満のｈ−ＢＮ粉に酸素含有量１．６重量％以上のｈ−ＢＮ粉を混合する方法などによって入手することができる。混合には振動ミル、ボールミル、リボンブレンダーなどが用いられる。
【００１４】
本発明で使用される圧力２７００ｋｇ／ｃｍ^２下におけるＣＩＰ成形体密度１．９５ｇ／ｃｍ^３以上となるｈ−ＢＮ粉は、普通一般に入手される市販のｈ−ＢＮ粉をジェットミル粉砕することによって得ることができる。このようなＣＩＰ成形体密度を示すｈ−ＢＮ粉は、ｈ−ＢＮ粉末原料中に３５重量％以上（１００重量％を含む）含まれていることが好ましく、３５重量％未満ではｈ−ＢＮ焼結体の密度が１．９１ｇ／ｃｍ^３以上とはならない。
【００１５】
本発明において、ｈ−ＢＮ粉末原料の酸素含有量が１．６重量％をこえるとｈ−ＢＮ焼結体のＢＮ純度が９９．５重量％未満となり、また０．５重量％未満では焼結が起こらず、常温曲げ強度５０ＭＰａ以上のｈ−ＢＮ焼結体を製造することが困難となる。
【００１６】
焼結方法としては一般的な焼結方法、例えばホットプレス法、常圧焼結法、ＨＩＰ法などを採用することができる。焼成温度は１４００℃〜２４００℃が好ましく、１４００℃未満では焼結が不十分となって常温曲げ強度が低下し、また２４００℃をこえるとｈ−ＢＮが気化又は異常粒成長を起こし、常温曲げ強度が低下する。
【００１７】
【実施例】
以下、実施例、比較例をあげて更に具体的に本発明を説明する。
実施例１〜４ 比較例１〜８
市販のｈ−ＢＮ粉又はそれをジェットミル粉砕してなる（ａ）〜（ｇ）の７種のｈ−ＢＮ粉を準備し、それらについて圧力２７００ｋｇ／ｃｍ^２下におけるＣＩＰ成形体密度を測定した。その結果を表１に示す。次いで、これらのｈ−ＢＮ粉を種々混合してｈ−ＢＮ粉末原料を調製し、それを黒鉛製ダイスに充填し、圧力２００ｋｇ／ｃｍ^２、表２に示す焼成温度で１ｈｒ保持しホットプレスを行った。ｈ−ＢＮ粉末原料の酸素含有量と平均粒径（計算値）、及び得られたｈ−ＢＮ焼結体について、ＢＮ純度、密度及び常温曲げ強度を測定した。それらの結果を表２に示す。
【００１８】
【表１】

【００１９】
【表２】

【００２０】
【発明の効果】
本発明によれば、ＢＮ純度９９．５重量％以上、密度１．９１ｇ／ｃｍ^３以上、常温曲げ強度５０ＭＰａ以上の高純度、高密度、高曲げ強度のｈ−ＢＮ焼結体が提供される。

Claims (1)

1. ＢＮ純度９９．５重量％以上、密度１．９１ｇ／ｃｍ^３以上、常温曲げ強度５０ＭＰａ以上であることを特徴とする六方晶窒化ほう素焼結体。