JP2700786B2 - 高温高強度窒化珪素質焼結体及びその製造方法 - Google Patents
高温高強度窒化珪素質焼結体及びその製造方法Info
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- JP2700786B2 JP2700786B2 JP8177448A JP17744896A JP2700786B2 JP 2700786 B2 JP2700786 B2 JP 2700786B2 JP 8177448 A JP8177448 A JP 8177448A JP 17744896 A JP17744896 A JP 17744896A JP 2700786 B2 JP2700786 B2 JP 2700786B2
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高温で耐酸化性及
び高強度を有する窒化珪素質焼結体及びその製造方法に
関する。
び高強度を有する窒化珪素質焼結体及びその製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】窒化珪素質焼結体は、高強度、高耐熱
性、高耐熱衝撃性、高耐摩耗性、耐酸化性などの点か
ら、ガスタービン部材等高温での使用条件が苛酷な構造
用セラミックスとしての利用が期待されている。しかし
ながら窒化珪素自身は単味では焼結しにくい材料である
ことから、各種の焼結助剤を添加することにより緻密化
されている。しかし焼結助剤が窒化珪素の粒界に低融点
のガラス相を生成し、高温強度が損なわれることが多
い。そのため以下のような方法が提案された。 (1) 酸化イットリウム等の希土類元素の酸化物を添加す
る。 (2) 酸化イットリウム等の希土類元素の酸化物と酸化ア
ルミニウム等の酸化物を複合添加する(例えば、特公昭
49−21091 号公報)。 (3) 酸化イットリウムと酸化アルミニウムおよび窒化珪
素からなる系の配合割合を制御することにより1400℃で
の耐酸化性を向上させる(特願昭62−16283 号)。
性、高耐熱衝撃性、高耐摩耗性、耐酸化性などの点か
ら、ガスタービン部材等高温での使用条件が苛酷な構造
用セラミックスとしての利用が期待されている。しかし
ながら窒化珪素自身は単味では焼結しにくい材料である
ことから、各種の焼結助剤を添加することにより緻密化
されている。しかし焼結助剤が窒化珪素の粒界に低融点
のガラス相を生成し、高温強度が損なわれることが多
い。そのため以下のような方法が提案された。 (1) 酸化イットリウム等の希土類元素の酸化物を添加す
る。 (2) 酸化イットリウム等の希土類元素の酸化物と酸化ア
ルミニウム等の酸化物を複合添加する(例えば、特公昭
49−21091 号公報)。 (3) 酸化イットリウムと酸化アルミニウムおよび窒化珪
素からなる系の配合割合を制御することにより1400℃で
の耐酸化性を向上させる(特願昭62−16283 号)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの方法
には、以下に記すような種々の欠点があり、実用上から
みた場合まだ問題がある。
には、以下に記すような種々の欠点があり、実用上から
みた場合まだ問題がある。
【0004】酸化イットリウムを添加する方法(1) は上
記の欠点(低融点ガラス相の生成)を改善するものであ
って、確かに窒化珪素の粒界が例えば高粘性のガラスあ
るいはSi3 N 4 ・Y 2 O 3 のような結晶質組成物で結合
されるため、高温強度、高温耐クリープ性が損なわれる
ことは少なく、この点では効果のあるものである。しか
しながら、高温強度等が不十分であり、また焼結が困難
であり、常圧焼結が適用できない。
記の欠点(低融点ガラス相の生成)を改善するものであ
って、確かに窒化珪素の粒界が例えば高粘性のガラスあ
るいはSi3 N 4 ・Y 2 O 3 のような結晶質組成物で結合
されるため、高温強度、高温耐クリープ性が損なわれる
ことは少なく、この点では効果のあるものである。しか
しながら、高温強度等が不十分であり、また焼結が困難
であり、常圧焼結が適用できない。
【0005】酸化イットリウムと酸化アルミニウムを添
加する方法(2) では、焼結が促進され、常温焼結におい
ても高密度、高強度の焼結体が得られるが、高温強度の
低下が著しく、結晶化処理等の操作後ホットプレス法等
の特殊な焼結方法を採用しないと、緻密で高温強度の優
れた焼結体は得られない。
加する方法(2) では、焼結が促進され、常温焼結におい
ても高密度、高強度の焼結体が得られるが、高温強度の
低下が著しく、結晶化処理等の操作後ホットプレス法等
の特殊な焼結方法を採用しないと、緻密で高温強度の優
れた焼結体は得られない。
【0006】1400℃での耐酸化性を向上するために酸化
イットリウムと酸化アルミニウムおよび窒化珪素からな
る系の配合割合を制御する方法(3) により得られた焼結
体においては、添加剤の配合量が非常に少ないため緻密
化するのに1850℃以上の焼結温度を必要とし、その結果
焼結体組織中に異常に成長した結晶粒が現われる。その
ため、1400℃における耐酸化性及び強度の低下がないも
のの、室温における強度が十分に向上しないという問題
点がある。
イットリウムと酸化アルミニウムおよび窒化珪素からな
る系の配合割合を制御する方法(3) により得られた焼結
体においては、添加剤の配合量が非常に少ないため緻密
化するのに1850℃以上の焼結温度を必要とし、その結果
焼結体組織中に異常に成長した結晶粒が現われる。その
ため、1400℃における耐酸化性及び強度の低下がないも
のの、室温における強度が十分に向上しないという問題
点がある。
【0007】従って本発明の目的は、上記問題点を解消
し、高温で優れた耐酸化性及び高強度を有する窒化珪素
質焼結体及びその製造方法を提供することである。
し、高温で優れた耐酸化性及び高強度を有する窒化珪素
質焼結体及びその製造方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】以上の目的に鑑み鋭意研
究の結果、本発明者等は上記方法(3) に注目し、焼結体
組織内の結晶粒の異常成長を防止して組織中の粒子の短
軸径が最大でも6μm以下となるように制御することに
より、室温及び1400℃での強度が向上した窒化珪素質セ
ラミックが得られることを発見し、本発明を完成した。
究の結果、本発明者等は上記方法(3) に注目し、焼結体
組織内の結晶粒の異常成長を防止して組織中の粒子の短
軸径が最大でも6μm以下となるように制御することに
より、室温及び1400℃での強度が向上した窒化珪素質セ
ラミックが得られることを発見し、本発明を完成した。
【0009】すなわち、本発明の窒化珪素質焼結体は、
1.5 〜2.8 重量%のY 2 O 3 と、0.4 〜1.0 重量%のAl
2 O 3 と残部窒化珪素粉末とを焼結してなるもので、Y
2 O3 /Al2 O 3 の重量比が 2.5以上の組成を有し、か
つ前記窒化珪素粉末が1.1 重量%以下の酸素含有量と、
9〜11 m2 /gの比表面積と、 200ppm 以下の金属不純物
量とを有し、もって 3.0g/cm3 以上の焼結密度及び45
MPa 以下の残留応力を有し、かつ組織中の粒子の短軸径
が6μm以下であることを特徴とする。
1.5 〜2.8 重量%のY 2 O 3 と、0.4 〜1.0 重量%のAl
2 O 3 と残部窒化珪素粉末とを焼結してなるもので、Y
2 O3 /Al2 O 3 の重量比が 2.5以上の組成を有し、か
つ前記窒化珪素粉末が1.1 重量%以下の酸素含有量と、
9〜11 m2 /gの比表面積と、 200ppm 以下の金属不純物
量とを有し、もって 3.0g/cm3 以上の焼結密度及び45
MPa 以下の残留応力を有し、かつ組織中の粒子の短軸径
が6μm以下であることを特徴とする。
【0010】また本発明の方法は、組織中の粒子の短軸
径が6μm以下であり、かつ 3.0g/cm3 以上の焼結密
度及び45MPa 以下の残留応力を有する窒化珪素質焼結体
を製造するもので、 1.5〜2.8 重量%のY 2 O 3 粉末
と、0.4 〜1.0 重量%のAl2 O3 粉末と、残部窒化珪素
粉末とからなり、Y 2 O 3 / Al2 O 3 の重量比が2.5 以
上の組成を有し、かつ前記窒化珪素粉末が1.1 重量%以
下の酸素含有量と、9〜11 m2 /gの比表面積と、 200pp
m 以下の金属不純物量とを有する混合粉末を作製し、前
記混合粉末を窒素雰囲気中で1900〜2100℃の温度及び5
kg/cm2 G以上の圧力で焼結することを特徴とする。
径が6μm以下であり、かつ 3.0g/cm3 以上の焼結密
度及び45MPa 以下の残留応力を有する窒化珪素質焼結体
を製造するもので、 1.5〜2.8 重量%のY 2 O 3 粉末
と、0.4 〜1.0 重量%のAl2 O3 粉末と、残部窒化珪素
粉末とからなり、Y 2 O 3 / Al2 O 3 の重量比が2.5 以
上の組成を有し、かつ前記窒化珪素粉末が1.1 重量%以
下の酸素含有量と、9〜11 m2 /gの比表面積と、 200pp
m 以下の金属不純物量とを有する混合粉末を作製し、前
記混合粉末を窒素雰囲気中で1900〜2100℃の温度及び5
kg/cm2 G以上の圧力で焼結することを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明を以下詳細に説明する。本
発明において、Y 2 O 3 の含有量が2.8 重量%を上回る
と高温での耐酸化性が低下し、一方1.5 重量%を下回る
と焼結体の緻密化が進行せず、耐酸化性、高強度化の本
来の要求が満たされない。また、Al2 O 3 の含有量が1.
0 重量%を上回ると耐酸化性および高温強度が低下し、
また0.4 重量%を下回ると、同様に高温強度を十分高い
ものとすることができず、過度に下回ると緻密化に対し
ても悪影響を及ぼす。
発明において、Y 2 O 3 の含有量が2.8 重量%を上回る
と高温での耐酸化性が低下し、一方1.5 重量%を下回る
と焼結体の緻密化が進行せず、耐酸化性、高強度化の本
来の要求が満たされない。また、Al2 O 3 の含有量が1.
0 重量%を上回ると耐酸化性および高温強度が低下し、
また0.4 重量%を下回ると、同様に高温強度を十分高い
ものとすることができず、過度に下回ると緻密化に対し
ても悪影響を及ぼす。
【0012】さらにY 2 O 3 /Al2 O 3 の重量比は 2.5
以上という要件を満たす必要がある。この重量比が 2.5
未満であると1400℃において十分な耐酸化性が得られな
い。
以上という要件を満たす必要がある。この重量比が 2.5
未満であると1400℃において十分な耐酸化性が得られな
い。
【0013】本発明の窒化珪素質焼結体の密度は3.0g/
cm3 以上である必要があり、これは理論密度のおよそ93
%以上に相当する。密度がこれより低いと十分な強度が
得られない。
cm3 以上である必要があり、これは理論密度のおよそ93
%以上に相当する。密度がこれより低いと十分な強度が
得られない。
【0014】焼結体組織中の粒子の短軸径が6μm以上
となるような異常粒成長があると、組織の不均一性が増
大し、焼結体中の歪み量が増大し、その結果マトリック
ス中の残留応力が増大する。残留応力の絶対値は45MPa
以下であることが必要である。マトリックス中に発生し
た残留応力は焼結体中の亀裂の進展を促進し、焼結体の
機械的強度を低下させるという問題点を生じさせる。そ
こで組織中の異常粒成長を抑制し、微細な組織とするこ
とにより、室温および高温での高強度化を達成すること
ができる。
となるような異常粒成長があると、組織の不均一性が増
大し、焼結体中の歪み量が増大し、その結果マトリック
ス中の残留応力が増大する。残留応力の絶対値は45MPa
以下であることが必要である。マトリックス中に発生し
た残留応力は焼結体中の亀裂の進展を促進し、焼結体の
機械的強度を低下させるという問題点を生じさせる。そ
こで組織中の異常粒成長を抑制し、微細な組織とするこ
とにより、室温および高温での高強度化を達成すること
ができる。
【0015】異常粒成長を防止するには、Y 2 O 3 及び
Al2 O 3 を上記条件を満たすように添加するとともに、
出発原料として使用する窒化珪素粉末が、(a) 1.1 重量
%以下の酸素含有量、(b) 9〜11m2 /gの比表面積、及
び(c) 200ppm以下の金属不純物量の条件を満たす必要が
あり、さらに出発原料の混合粉末を、(d) 1900〜2100℃
の温度、(e) 5kg/cm2 G以上の圧力の条件で、窒素雰
囲気中で焼結することが必要である。
Al2 O 3 を上記条件を満たすように添加するとともに、
出発原料として使用する窒化珪素粉末が、(a) 1.1 重量
%以下の酸素含有量、(b) 9〜11m2 /gの比表面積、及
び(c) 200ppm以下の金属不純物量の条件を満たす必要が
あり、さらに出発原料の混合粉末を、(d) 1900〜2100℃
の温度、(e) 5kg/cm2 G以上の圧力の条件で、窒素雰
囲気中で焼結することが必要である。
【0016】窒化珪素粉末の酸素含有量が1.1 重量%を
超えると、粒界に高酸素含有相が生成し、また金属不純
物総量が200 ppm を超えると粒界における不純物相が生
成して高温において軟化しやすくなる。したがって焼結
体の耐酸化性が低下する。
超えると、粒界に高酸素含有相が生成し、また金属不純
物総量が200 ppm を超えると粒界における不純物相が生
成して高温において軟化しやすくなる。したがって焼結
体の耐酸化性が低下する。
【0017】さらに、本発明の組成範囲内においても、
窒化珪素粉末の比表面積が上記範囲を上回ると、焼結体
組織中の粒子の短軸径が6μmを超えるような異常粒成
長が認められ、上記範囲を下回ると緻密化しない。
窒化珪素粉末の比表面積が上記範囲を上回ると、焼結体
組織中の粒子の短軸径が6μmを超えるような異常粒成
長が認められ、上記範囲を下回ると緻密化しない。
【0018】本発明の製造方法における焼結温度は、19
00〜2100℃でなければならず、温度が低すぎると、焼結
体の緻密化は十分に進行せず、焼結体の密度は上がらな
い。また、逆に高すぎると窒化珪素の分解が進み好まし
くない。
00〜2100℃でなければならず、温度が低すぎると、焼結
体の緻密化は十分に進行せず、焼結体の密度は上がらな
い。また、逆に高すぎると窒化珪素の分解が進み好まし
くない。
【0019】本発明の焼結体は一般的に以下の方法によ
り製造することができる。まず上記条件を満たすSi3 N
4 粉末とY 2 O 3 粉末及びAl2 O 3 粉末を所定量混合す
る。Si3 N 4 粉末の平均粒径は0.3 〜0.4 μm程度であ
り、Y 2 O 3 粉末の平均粒径は0.5 〜2μm程度であ
り、Al2 O 3 粉末は0.4 〜0.5 μm程度であるのが好ま
しい。これらの粉末の混合はボールミル、分散機等によ
り行うことができる。
り製造することができる。まず上記条件を満たすSi3 N
4 粉末とY 2 O 3 粉末及びAl2 O 3 粉末を所定量混合す
る。Si3 N 4 粉末の平均粒径は0.3 〜0.4 μm程度であ
り、Y 2 O 3 粉末の平均粒径は0.5 〜2μm程度であ
り、Al2 O 3 粉末は0.4 〜0.5 μm程度であるのが好ま
しい。これらの粉末の混合はボールミル、分散機等によ
り行うことができる。
【0020】得られた混合粉は金型プレス又は冷間静水
圧プレス(CIP)等により成形体とする。成形に際
し、必要に応じてポリビニルアルコール溶液等の成形助
剤を添加する。
圧プレス(CIP)等により成形体とする。成形に際
し、必要に応じてポリビニルアルコール溶液等の成形助
剤を添加する。
【0021】成形体の焼結には公知の加圧による方法を
適宜用いることができ、例えば、ガス圧焼結法や熱間静
水圧プレス(HIP)法等を用いることができる。
適宜用いることができ、例えば、ガス圧焼結法や熱間静
水圧プレス(HIP)法等を用いることができる。
【0022】このようにして得られる本発明の窒化珪素
質焼結体は 3.0g/cm3 以上の密度を有し、かつ組織中
の粒子の短軸径は最大でも6μm以下である。
質焼結体は 3.0g/cm3 以上の密度を有し、かつ組織中
の粒子の短軸径は最大でも6μm以下である。
【0023】上記の条件を満たす窒化珪素質焼結体によ
り本発明の効果が得られる理由については、必ずしも明
らかではないが、以下のような理由によるものと思われ
る。
り本発明の効果が得られる理由については、必ずしも明
らかではないが、以下のような理由によるものと思われ
る。
【0024】まず組成については、酸化アルミニウムの
含有量が 0.4〜1.0 重量%であっても、酸化イットリウ
ムの添加量が前述したように 2.8重量%を超えると高温
強度を損なうが、これは、これらの添加剤を含んだ粒界
が十分に結晶化せず、ガラス状の部分を含むために、粒
界を通して酸化が進み、高温での強度低下が起こるため
であると考えられる。
含有量が 0.4〜1.0 重量%であっても、酸化イットリウ
ムの添加量が前述したように 2.8重量%を超えると高温
強度を損なうが、これは、これらの添加剤を含んだ粒界
が十分に結晶化せず、ガラス状の部分を含むために、粒
界を通して酸化が進み、高温での強度低下が起こるため
であると考えられる。
【0025】また、焼結体組織中の異常粒成長の存在と
焼結体の残留応力の絶対値は相関関係があり、焼結体組
織に異常粒成長が認められると、残留応力の絶対値が45
MPaを上回り、その結果焼結体中の亀裂の伝播が促進さ
れ、機械的強度が十分に向上しない。
焼結体の残留応力の絶対値は相関関係があり、焼結体組
織に異常粒成長が認められると、残留応力の絶対値が45
MPaを上回り、その結果焼結体中の亀裂の伝播が促進さ
れ、機械的強度が十分に向上しない。
【0026】なお、焼結助剤の添加割合が前述の範囲で
あっても、窒化珪素粉末の比表面積が大きすぎると焼結
体の残留応力の絶対値が大きくなり、粒界に不均一な応
力場が発生し、焼結体組織の不均一を誘発するものと考
えられる。
あっても、窒化珪素粉末の比表面積が大きすぎると焼結
体の残留応力の絶対値が大きくなり、粒界に不均一な応
力場が発生し、焼結体組織の不均一を誘発するものと考
えられる。
【0027】以上の理由から、本発明のように酸化イッ
トリウムと酸化アルミニウムの量を制限した領域で緻密
化した焼結体の粒界は結晶化しており、さらに焼結体組
織の微細化を達成し、1400℃という高温においても高強
度を有し、高温耐クリープ性を有することとなるものと
考えられる。
トリウムと酸化アルミニウムの量を制限した領域で緻密
化した焼結体の粒界は結晶化しており、さらに焼結体組
織の微細化を達成し、1400℃という高温においても高強
度を有し、高温耐クリープ性を有することとなるものと
考えられる。
【0028】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明するが、本発明
はこれらに限定されるものではない。実施例1〜2、比較例1〜10 窒化珪素粉末として、シリコンイミドの熱分解法により
合成した窒化珪素粉末(東ソー(株)製、酸素含有量0.
9 〜1.3 重量%、金属不純物総量80ppm 、BET比表面
積8〜12 m2 /g)と、酸化イットリウム粉末(三菱化成
工業(株)製、微粒品)と、酸化アルミニウム粉末(住
友化学工業(株)製、 AKP30)とを用いて、表1に示す
配合比で窒化珪素製のポットミル中で24時間混合した。
このようにして得られた各混合物を1500kg/mm2 の圧力
で50mm×30mm×5mmの成形体に静水圧プレスし、窒化ホ
ウ素粉末中に収めて、実施例1〜2、比較例1〜6及び
8〜10では1950℃、比較例7は1850℃で、それぞれ窒素
雰囲気中で4時間焼成した。
はこれらに限定されるものではない。実施例1〜2、比較例1〜10 窒化珪素粉末として、シリコンイミドの熱分解法により
合成した窒化珪素粉末(東ソー(株)製、酸素含有量0.
9 〜1.3 重量%、金属不純物総量80ppm 、BET比表面
積8〜12 m2 /g)と、酸化イットリウム粉末(三菱化成
工業(株)製、微粒品)と、酸化アルミニウム粉末(住
友化学工業(株)製、 AKP30)とを用いて、表1に示す
配合比で窒化珪素製のポットミル中で24時間混合した。
このようにして得られた各混合物を1500kg/mm2 の圧力
で50mm×30mm×5mmの成形体に静水圧プレスし、窒化ホ
ウ素粉末中に収めて、実施例1〜2、比較例1〜6及び
8〜10では1950℃、比較例7は1850℃で、それぞれ窒素
雰囲気中で4時間焼成した。
【0029】得られた各焼結体について、JIS R 1601-1
981 に従って室温および1400℃において3点曲げテスト
を行い、強度を測定した。さらに1400℃、 100hrでの酸
化増量を測定することにより耐酸化性を評価した。得ら
れた結果を表1に示す。
981 に従って室温および1400℃において3点曲げテスト
を行い、強度を測定した。さらに1400℃、 100hrでの酸
化増量を測定することにより耐酸化性を評価した。得ら
れた結果を表1に示す。
【0030】また焼結体組織の例として、実施例1及び
比較例2の焼結体の破断面の走査型電子顕微鏡写真を図
1及び図2に示す。図1から、本発明の窒化珪素質焼結
体は6μm以下の粒子短軸径を有することがわかる。
比較例2の焼結体の破断面の走査型電子顕微鏡写真を図
1及び図2に示す。図1から、本発明の窒化珪素質焼結
体は6μm以下の粒子短軸径を有することがわかる。
【0031】
【表1】
【0032】以上の通り、Y 2 O 3 量、Al2 O 3 量、Y
2 O 3 /Al2 O 3 の重量比、窒化珪素粉末の酸素含有
量、比表面積及び金属不純物量、焼結密度、並びに粒子
の短軸径に関する本発明の要件を満たさないと、1400℃
での高い高温強度及び耐酸化性を達成できない。
2 O 3 /Al2 O 3 の重量比、窒化珪素粉末の酸素含有
量、比表面積及び金属不純物量、焼結密度、並びに粒子
の短軸径に関する本発明の要件を満たさないと、1400℃
での高い高温強度及び耐酸化性を達成できない。
【0033】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の窒化珪素
質焼結体は1400℃という高温で非常に高い耐酸化性及び
強度を有するセラミックスであって、従来の窒化珪素質
焼結体の使用範囲を拡張することが可能となり、高温高
強度用エンジニアリングセラミック部材として使用でき
る。
質焼結体は1400℃という高温で非常に高い耐酸化性及び
強度を有するセラミックスであって、従来の窒化珪素質
焼結体の使用範囲を拡張することが可能となり、高温高
強度用エンジニアリングセラミック部材として使用でき
る。
【図1】実施例1の窒化珪素質焼結体の破断面における
結晶構造を示す走査型電子顕微鏡写真である。
結晶構造を示す走査型電子顕微鏡写真である。
【図2】比較例2の窒化珪素焼結体の破断面における結
晶構造を示す走査型電子顕微鏡写真である。
晶構造を示す走査型電子顕微鏡写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−185863(JP,A) 特開 平2−59471(JP,A)
Claims (2)
- 【請求項1】 1.5 〜2.8 重量%のY 2 O 3 と、 0.4〜
1.0 重量%のAl2 O 3と残部窒化珪素粉末とを焼結して
なる窒化珪素質焼結体であって、Y 2 O 3 /Al2 O 3 の
重量比が 2.5以上の組成を有し、かつ前記窒化珪素粉末
が1.1 重量%以下の酸素含有量と、9〜11 m2 /gの比表
面積と、 200ppm 以下の金属不純物量とを有し、もって
3.0g/cm3 以上の焼結密度及び45MPa 以下の残留応力
を有し、かつ組織中の粒子の短軸径が6μm以下である
ことを特徴とする窒化珪素質焼結体。 - 【請求項2】 組織中の粒子の短軸径が6μm以下であ
り、かつ 3.0g/cm3以上の焼結密度及び45MPa 以下の
残留応力を有する窒化珪素質焼結体の製造方法であっ
て、 1.5〜2.8 重量%のY 2 O 3 粉末と、0.4 〜1.0 重
量%のAl2 O 3 粉末と、残部窒化珪素粉末とからなり、
Y 2 O 3 / Al2 O 3 の重量比が2.5 以上の組成を有し、
かつ前記窒化珪素粉末が1.1 重量%以下の酸素含有量
と、9〜11 m2 /gの比表面積と、 200ppm 以下の金属不
純物量とを有する混合粉末を作製し、前記混合粉末を窒
素雰囲気中で1900〜2100℃の温度及び5kg/cm2 G以上
の圧力で焼結することを特徴とする方法。
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JP8177448A JP2700786B2 (ja) | 1996-06-17 | 1996-06-17 | 高温高強度窒化珪素質焼結体及びその製造方法 |
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- 1996-06-17 JP JP8177448A patent/JP2700786B2/ja not_active Expired - Fee Related
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