JP3685170B2 - 冷却装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、回路基板に搭載された半導体チップなど発熱体を冷却するための冷却装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の冷却装置は、ワイヤボンディング装置を用いて半導体チップの背面にワイヤを取り付けて複数の熱伝導要素を形成したもので、半導体チップと一体になっている。また、ワイヤとストレートの上部基板とは広い間隙を有し、バイパス流れが形成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−176654号公報(第5−10頁、第1図、第4図、第10−12図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ワイヤボンディングされる箇所がフリップチップの上面または回路基板の導体パターン上面であり、電気的に導通した箇所となるため、冷却媒体(冷媒)が絶縁性液体に限定されるという課題があった。また、大半の流れはワイヤ部を通過せず、ワイヤ頂上部と上部基盤の間隙を流れるバイパス流れとなるため、冷媒の流量が増加するという課題があった。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、第1の目的は、冷媒が絶縁性液体に限定されることなく、導電性の液体、絶縁性の液体、気体と冷媒の種類を選ばない導電性の冷媒にも適した冷却装置を得るものである。また、第2の目的は、冷媒の流量を増加することなく、効率的な冷却機能を備えた冷却装置を得るものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る冷却装置においては、ベース板と、ベース板に複数の弧状のそれぞれの両端が接合されたワイヤと、ベース板との間で冷媒が流れる流路部を形成しワイヤと接触あるいは接近して配置された蓋部と、流路部に対する冷媒の流入口および流出口とを備え、ワイヤが冷媒の流れの方向に複数並び、それぞれの接合箇所が冷媒の流れを横切る方向に相互にずれていることを特徴とするものである。
また、この発明に係る冷却装置においては、ベース板と、このベース板に複数の弧状のそれぞれの両端が接合されたワイヤと、ベース板との間で冷媒が流れる流路部を形成しワイヤと接触あるいは接近して配置された蓋部と、流路部に対する冷媒の流入口および流出口とを備え、ワイヤは第1および第2のワイヤであって、第2のワイヤは第1のワイヤの接合箇所の上で接合されていることを特徴とするものである。
【0007】
また、この発明に係る冷却装置においては、ベース板と、ベース板に複数の弧状のそれぞれの両端が接合されたワイヤと、ベース板との間で冷媒が流れる流路部を形成しベース板に向かって突起部を設けた蓋部と、流路部に対する冷媒の流入口および流出口とを備え、ワイヤが冷媒の流れの方向に複数並び、それぞれの接合箇所が冷媒の流れを横切る方向に相互にずれていることを特徴とするものである。
また、この発明に係る冷却装置においては、ベース板と、このベース板に複数の弧状のそれぞれの両端が接合されたワイヤと、ベース板との間で冷媒が流れる流路部を形成しベース板に向かって突起部を設けた蓋部と、流路部に対する冷媒の流入口および流出口とを備え、ワイヤは第1および第2のワイヤであって、第2のワイヤは第1のワイヤの接合箇所の上で接合されていることを特徴とするものである。
【0008】
また、この発明に係る冷却装置においては、第1および第2のベース板と、第1および第2のベース板に複数の弧状のそれぞれの両端が接合されたワイヤと、第1および第2のベース板との間で冷媒が流れる流路部を形成する囲い部と、流路部に対する冷媒の流入口および流出口とを備えたものである。
【0009】
また、この発明に係る冷却装置においては、平坦部と突起部とを設けた第1および第2のベース板と、平坦部に複数の弧状のそれぞれの両端が接合されたワイヤと、第1および第2のベース板との間で冷媒が流れる流路部を形成する囲い部と、流路部に対する冷媒の流入口および流出口とを備えたものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は、この発明を実施するための実施の形態1による冷却装置を説明するための図であり、より具体的には冷却装置の斜視図である。図において、1は冷却の対象となる発熱体の面に接するベース板、2はベース板1との間で冷媒が流れる流路部を形成する蓋部、3は流路部に対する冷媒の流入口、4は流路部に対する冷媒の流出口である。また、x,y,zで示される矢印は、以下の図において断面を検討する上での方向を示している。なお、冷媒はy軸の負から正の方向に流れている。また、冷却装置は、ヒートシンクと呼称されることがある。
【0011】
ベース板1は、冷却の対象となる発熱体、例えば、回路基板に搭載された半導体チップ、半導体モジュールなど発熱体に接している。ベース板1の発熱体と接する面は、通常、平面で構成されるが、発熱体ととの接触面積を稼ぐために凹凸がある場合もある。ベース板1の材質は、熱伝導性が良好なものであり、例えば、銅、アルミ、銀その他の金属、合金であったり、ダイヤモンド部材、CF−Al(炭素フッ化アルミ)の複合材料、炭素繊維の複合材料であったりする。CF−Alの複合材料、炭素繊維の複合材料は、線膨張係数が小さく、ベース板1と半導体モジュールの絶縁材料との半田接合時には、強度上の信頼性が高くなる。
【0012】
また、ベース板1は板と表現しているが、発熱体と接触する面が平面であるだけで、例えば、板の端が折れ曲がっていて冷媒(冷却媒体)の流入口あるいは流出口が設けられることもあり、ベース部といえるものである。
【0013】
また、ベース板1と蓋部2とで形成される冷媒の流路部は、流入口3および流出口4以外では気密性が保たれている。なお、ベース板1および蓋部2以外の構成物を備えることで、流路部の気密性を保つことを否定するものではない。また、流入口3および流出口4は、それぞれ1個に限られるものではない。
【0014】
図2は、この発明を実施するための実施の形態1による冷却装置を説明するための図であり、より具体的には冷却装置のxz面の断面図である。図において、5はベース板1に複数の弧状のそれぞれの両端が接合されたワイヤ、6は冷媒が流れる流路部、7はベース板1とワイヤ5とが接合されている接合箇所である。ワイヤ5に蓋部2が接触して配置されている。なお、×の印を丸(○)で囲んだものは、紙面の表面から裏面へ向かう冷媒の流れを示す記号である。
【0015】
ワイヤ5は、弧状を連続させたものである。ここで、弧状とは、円弧状の弧、楕円状の楕円弧、その他の曲率を持った弧状のもの一切を含めたものである。弧状を連続させるにあたって、弧状のそれぞれの両端をベース板1に接合している。また、ワイヤ5の弧状となる形状は、ベース板1に対して垂直、あるいは概ね垂直になるように形成されている。また、ワイヤ5は線状のものであるが、断面は円状とは限らず、楕円あるいは角があるものでもよい。
【0016】
ワイヤ5に蓋部2が確実に接触して配置されるようにするには、例えば、ワイヤ5の高さ(z方向)をベース板1と蓋部2との間で形成される流路部の間隙(ベース板1と蓋部2との間の距離)よりも長くとっておけばよい。例えば、ワイヤ5の高さをベース板1と蓋部2との間隙の1割増しにすることで、確実にワイヤ5が蓋部2に接触することになる。また、蓋部2とベース板1とをろう付けで接合する場合は、ワイヤ5と蓋部2とが接触している箇所も同時にろう付けすることもできる。これによって、蓋部2側にも熱を逃がすことができ、より冷却効果が高まる。
【0017】
ワイヤ5の材質としては、金、銅、アルミ、銀など熱伝導性の優れた金属である。ワイヤ5とベース板1との接合をするには、溶接、ろう付けなど以外に、金線、銅線、アルミ線などは、半導体製造装置であるワイヤボンディング装置を用いて、共晶結合で接合することができる。ワイヤボンディング装置を用いたワイヤ5の接合の場合、ワイヤ5の直径は、数μmから数百μm(1mm程度を含む)まであり、接合箇所7は金属の共晶結合を利用して接合される。なお、ワイヤボンディング装置を利用する場合、ベース板1の接合箇所7には、事前に接合に適した表面処理、例えば、金メッキなどを施している。なお、ワイヤ5がリボン状のものであれば、リボンボンディング装置を使用する。
【0018】
また、ワイヤボンディング装置を用いて接合する場合、一つの弧状を形成する毎にワイヤ5を切断することなく、次の弧状を描いて次の接合箇所7に向かうことができる。このようにすれば、連続して弧状を描くことができるので、冷却装置の作成時の作業が効率的である。なお、線材を解放した状態で連続して接合するような使用の仕方は通常、ワイヤボンディング装置では行われていない使い方である。
【0019】
図3は、この発明を実施するための実施の形態1による冷却装置を説明するための図であり、より具体的には冷却装置のxz面の断面図である。ワイヤ5に蓋部2が接近して配置されていることを示している。ここで、接近とは、ベース板1と蓋部2との間で形成される流路部のz方向の間隙に対して、数パーセント、少なくとも2割以内であることを意味している。冷媒の流れから見ると、ワイヤ5と蓋部2との間に、層流状態のバイパス流路が発生せず、乱流状態になるようにワイヤ5と蓋部2とが接近していることを意味している。ワイヤ5に蓋部2が接近して配置されることで、冷媒はワイヤ5を迂回してワイヤ5と蓋部2との間を通過するバイパス流れが抑えられ、冷媒の流れは、ワイヤ5の影響を確実に受けることになる。
【0020】
図4および図5は、この発明を実施するための実施の形態1による冷却装置を説明するための図である。より具体的には、図4は、ワイヤ5に蓋部2が接触して配置されている冷却装置のyz面の断面図であり、図5は、ワイヤ5に蓋部2が接近して配置されている冷却装置のyz面の断面図である。図4は図2に、図5は図3にそれぞれ対応している。図では、接合箇所7近傍のワイヤ5は接合前の断面である円状を保ったように描いているが、例えば、ワイヤボンディング装置を利用した場合、接合箇所7では実際にはワイヤ5がつぶれたような形状になってへら状に広がっている。
【0021】
図6は、この発明を実施するための実施の形態1による冷却装置を説明するための図であり、より具体的には冷却装置のxy面の断面図である。図において、5aおよび5bはワイヤ5であり、7aおよび7bは接合箇所7であり、説明の便宜上、添え字の英文字を付けたものである。ワイヤ5aとワイヤ5bとは、冷媒の流れの方向に隣接して並んでいる状態を示している。ワイヤ5aの接合箇所7aとワイヤ5bの接合箇所7bとは、接合箇所が冷媒の流れを横切る方向に相互にずれている状態を示している。すなわち、ワイヤ5が冷媒の流れの方向に複数並び、それぞれの接合箇所7が冷媒の流れを横切る方向に相互にずれるように配置されており、接合箇所7は千鳥足状の配置になっている。なお、ワイヤ5は冷媒の流れの方向(y軸)に対して複数の列を持つが、一本のワイヤを蛇行させる形で回すことで、複数の列(ワイヤ5の群)を形成することもできる。
【0022】
図7は、この発明を実施するための実施の形態1による冷却装置を説明するための図であり、より具体的には冷媒の流れを示す模式図である。図において、8は冷媒の流れを示す矢印であり、8a,8b,8cも冷媒の流れを示す矢印であり、説明の便宜上、添え字の英文字を付けたものである。冷媒の流れ8,8a,8b,8cは、どれもワイヤ5をまたいで流れるものである。逆にいえば、冷媒の流れ8を横切る方向にワイヤ5が接合されている。
【0023】
もっとも、主となる冷媒の流れは、ワイヤ5で形成される弧状を含む面(弧状の面)に垂直となる冷媒の流れ8である。冷媒の流れとしては8で示されるワイヤ5の弧状の面(xz面)に対して垂直である方が望ましい。なぜならば、冷媒の流れ8と比較して、冷媒の流れ8cではワイヤ5による流れを遮る度合いが大きく、必要以上の圧力損失を招くことがあるからである。
【0024】
なお、図において、同一の符号を付したものは、同一またはこれに相当するものであり、このことは明細書の全文において共通することである。また、明細書全文に表れている構成要素の形容は、あくまで例示であってこれらの記載に限定されるものではない。
【0025】
次に、動作について説明する。発熱体の熱をまず冷却装置のベース板1が吸収し、ワイヤ5を介して冷媒に伝熱することで放熱されるのが、主たる熱の流れである。中には、ベース板1から冷媒に直接伝熱されるものもあれば、ベース板1および蓋部2の外気と触れる面からも冷却装置の外部に放熱はされる。
【0026】
冷媒の流れ8にとっては障害物となるワイヤ5が冷媒の流路部にあるため、冷媒の流れは層流とならず、乱流となっている。従来例のように層流状態のバイパス流れが存在すると、バイパス流路部では圧損が低いため、大半の冷媒はワイヤ5を迂回して、バイパス流路を通過することになる。したがって、ワイヤ5が存在する箇所を通過する冷媒の量は少なくなるため、ワイヤ5を介しての熱伝達は期待できなくなる。これでは、冷却能力が劣るので、ワイヤ5が存在する箇所へ流入する冷媒の量を増やさなければならなくなる。しかしながら、ワイヤ5が存在する箇所を通過する冷媒の流量を増加させると同時にパイパス流路へ流れる流量も増加してしまうため、全体の流量は極端に増加させなければならなくなる。
【0027】
これに対して、冷媒の流れ8に対して障害となるワイヤ5が、ベース板1から蓋部2に接触あるいは接近している位置にまで配置されているので、バイパス流路部へ流れる流量は抑えられ、冷媒はすべてワイヤ5の影響を受けて乱れながら流れることになる。したがって、冷媒がワイヤ5が存在する箇所を通過する時に生じる高い熱伝達率が期待できる。なぜならば、ワイヤ5は冷媒の流れ8を横切る形にウエーブ状(波状)に流路部6の幅(x軸方向)一杯に配置されており、高さ方向(z軸方向)にも、幅方向にも、冷媒の流れ8にとって抵抗としてワイヤ5が存在する。しかも、ワイヤ5は、冷媒の流れ8に対して、概ね垂直となるようにワイヤ5の群が次々とあらわれることになるが、そのワイヤ5の群の配列が、x軸方向にずれているため、この点からも冷媒の流れ8は、乱されることになる。
【0028】
したがって、ワイヤ5が存在する箇所を通過する冷媒は、常に流路断面全体で乱流状態が保たれ、乱流特有の高い熱伝達率の効果が期待できる。なお、正確には、層流、乱流の区別は、境界線が画一的にあるわけではなく相対的なものであり、冷却装置の内部形状だけでは一律に規定できるものではなく、流速(流量)、冷媒の密度などによっても変わるものである。
【0029】
冷媒の材質は、冷却装置の内部に半導体素子を内蔵するものではないので、特に限定されるものではない。具体的には、冷却効率の点からは、冷媒は液体が望ましく、例えば、純水を含めて水、エチレングリコール水溶液その他の導電性流体、フロン、フロリナート、自然冷媒(二酸化炭素であるCO2の液体)その他の絶縁性流体がある。したがって、導電性の液体、絶縁性の液体、気体と冷媒の種類を選ばない導電性の冷媒にも適した冷却装置である。
【0030】
流体がフィンに沿って流れるとき、前縁効果と呼ばれる現象で、フィン面上の前縁部からの距離が短い領域では温度境界層が発達していないため、熱伝達が高くなる。このため、フィンの流路に沿っての長さが短いほど、高い熱伝達率となる。ワイヤ5の径に対しても同様のことがいえ、ワイヤ5の径は小さいほど、例えば、100μm以下の場合、フィン周りにおける前縁効果によって温度境界層の厚みが薄くなり、熱伝達特性が向上する。径が小さな1mm以下のワイヤ5を確実に、かつ作業の効率良く、ベース板1に接合するには、ワイヤボンディング装置を使用することは実に効果的である。
【0031】
また、ベース板1の材料として、絶縁性材料のもの(例えば、ダイヤモンド)を使用すれば、発熱体として半導体素子、いわゆるチップ単体(半導体モジュールではない)をベース板1に直接設けることができる。また、ベース板1と半導体素子の間に、絶縁基板などを挿入して使用することもできる。絶縁材料の熱伝導率が悪くても、発熱体とベース板1との距離を縮めた方が、トータルとしての熱抵抗を下げられる場合があるからである。
【0032】
また、冷媒の流れがワイヤ5を横切らないとすれば、例えば、図6において、ワイヤ5aとワイヤ5bとの間を冷媒が流れることになる。これでは、ワイヤ5はヒートシンク内で流路を区切る板状のフィンと同じことになり、冷媒の流れと接触する伝熱面積が極端に少なくなるため、冷却効率が下がることになる。ベース板1とワイヤ5とで囲まれた領域を冷媒が流れること、ベース板1にワイヤ5が接合された側に冷媒が流れること、冷媒の流れを横切る方向にワイヤ5が接合されていることが、板状のフィンとは大きく異なるところである。ワイヤ5の一群を横切りながら冷媒へ伝熱すること、ワイヤ5には冷媒の流れ8を乱す効果があることなどは、板状のフィンとは違った働きをしている。
【0033】
また、ピンフィンの場合、主としてピンフィンの左右方向(x軸の正負の方向)に冷媒の流れ8を乱すことはできるが、高さ方向の上下(z軸の正負の方向)には、冷媒の流れ8を乱すことはできない。これに対して、ワイヤ8は弧状であり曲率を持つ弧であるため、xz面のどの方向に対しても冷媒の流れ8を乱すことができ、乱流を発生させ、冷却効率を向上させることができる。また、ピンフィンの場合は、1mm以下の径の細いものを削り出しで制作することは、極めて困難であるため加工費も高くなっている。また、径が数mmあるようなピンフィンの場合、伝熱面積を多くとるためには本数を増加せねばならない。そのためピンフィンとピンフィンとの間のフィン間距離も小さくなるため、圧力損失が大きくなってしまう。しかしながら、ワイヤ5は径が小さいため、圧力損失が大きくならず、この点からも有利な冷却装置である。
【0034】
また、ワイヤ5の高さ(z方向)を高くしても、所定の高さを超えてくると、接合箇所7のワイヤ5の温度に対して、蓋部2側となるワイヤ5の先端部は、温度が降下しており、冷媒への伝熱面積として寄与する割合が低下する。
【0035】
したがって、ベース板と、ベース板に複数の弧状のそれぞれの両端が接合されたワイヤと、ベース板との間で冷媒が流れる流路部を形成しワイヤと接触あるいは接近して配置された蓋部と、流路部に対する冷媒の流入口および流出口とを備えた冷却装置なので、導電性の冷媒を用いることができ、ワイヤ高さを低くしても、冷媒の流れを乱流にさせる効果は変わらず、また、フィン効率(熱伝達率)の減少も抑えられ、冷媒の流量を増加することなく効率的な冷却機能を得ることができる。
【0036】
また、ワイヤは、弧状を連続させているので、冷媒の流れを確実に乱すことができ、冷媒の流量を増加することなく効率的な冷却機能を得ることができる。
【0037】
また、冷媒の流れを横切る方向にワイヤが接合されているので、ワイヤの前面で冷媒の流れ衝突させることができ、冷媒の流量を増加することなく効率的な冷却機能を得ることができる。
【0038】
また、ワイヤが冷媒の流れの方向に複数並び、それぞれの接合箇所が冷媒の流れを横切る方向に相互にずれているので、冷媒の流れを流れの方向に垂直な面(xz面)となる方向に乱れさすことができ、冷媒の流量を増加することなく効率的な冷却機能を得ることができる。
【0039】
また、ワイヤとベース板との接合には、ワイヤボンディング装置を用いたので、伝熱効率の良い直径が1mm以下のワイヤでも、作業の効率良く接合することができる。
【0040】
なお、実施の形態1で述べたことを含め、先の実施の形態で一度説明した内容でそれ以降の実施の形態でも当てはまることは、以下の説明では重ねて述べないこととする。
【0041】
実施の形態2.
実施の形態2は、実施の形態1に対して、蓋部2が相違し、ワイヤ5との位置関係も異なっている。図8は、この発明を実施するための実施の形態2による冷却装置を説明するための図である。より具体的には、ワイヤ5に蓋部2が接触して配置されている冷却装置のyz面の断面図である。図において、9は蓋部2に設けられたものでベース板に向かって突き出している突起部である。また、9a,9b,9cは、突起部9であり、説明の便宜上、添え字の英文字を付けたものである。
【0042】
具体的には、突起部9はワイヤ5とワイヤ5との間に設置した四角柱の突起であり、突起部9aはワイヤ5に接近して設置した突起である。また、突起部9bは断面が四角のものに限らず冷媒の流れ8を遮るような働きをするものであれば形状は任意であることを示したものである。また、突起部9cはワイヤ5に接触して配置されたものであり、突起部9dは突き出した方向にワイヤ5がないためワイヤ5には接触してはいないが、ワイヤ5とベース板1とで囲まれた弧状内の領域を流れる冷媒を遮るように配置したものである。このように、突起部9は冷媒の流れ8を遮るように冷媒の流れに対して垂直になるように突き出しているため、冷媒の流れ8が蓋部2の近傍でバイパス流れ(層流)になることはなく、流路部6の全ての流路断面にわたってワイヤ5が冷媒の流れ8を乱すことができる。例えば、突起部9が四角柱の突起であれば、突起部9と一体となった蓋部2のyz断面は矩形波状のバックステップを備えることになる。
【0043】
また、突起部9は蓋部2に設けられたものであるが、蓋部2と一体として削り出しなどで成形されても、後から蓋部2に溶接、接着その他の接合方法で接合しても、設けることができる。
【0044】
このようにして突起部9を設けることで、冷媒の流れ8に対して垂直となる面の断面積が変化すること、すなわち、流路部6の流路面の形状(流路断面の面積)が変化することになる。したがって、流量を一定と仮定した場合、流路部6の流路断面が小さくなれば、この箇所の冷媒の流速は上がる。流速が上がった箇所の突起部9の壁面およびその箇所に設置されたワイヤ5の表面は他の箇所に比して高い熱伝達率が得られる。また、冷媒が突起部9を抜けた後、流路部6の流路断面が拡大するとき、その拡大の度合いが大きければ、冷媒の流れ8は噴流となるため、自由噴流として蓋部2およびベース板1に再付着することになり、この部分での熱伝達が促進される。また、再付着点となる壁面にワイヤ5を配置させれば、流速の上がった冷媒をワイヤ5が配置された箇所を通過させることができるため熱伝達特性は特に向上する。
【0045】
また、数値解析によれば、突起部9を抜けた後の噴流は、周期的に向きを変えながら上下に振れまわり、自励振動が生じることを確認している。蓋部2にもベース板1に設けたワイヤ5に相当するワイヤを設けることで、さらに冷媒の流れ8が乱され、高い熱伝達率が期待できる。
【0046】
以上のように、突起部9が存在することで、層流状態のバイパス流れは発生せず、冷媒の流れ8が乱れることによって、ワイヤ5への熱伝達が促進され、さらにベース板1および蓋部2への熱伝達も促進されるので、冷媒の流量を増加することなく効率的な冷却機能を得ることができる。
【0047】
よって、ベース板と、ベース板に複数の弧状のそれぞれの両端が接合されたワイヤと、ベース板との間で冷媒が流れる流路部を形成しベース板に向かって突起部を設けた蓋部と、流路部に対する冷媒の流入口および流出口とを備えた冷却装置なので、導電性の冷媒を用いることができ、冷媒の流量を増加することなく効率的な冷却機能を得ることができる。
【0048】
実施の形態3.
図9は、この発明を実施するための実施の形態3による冷却装置を説明するための図であり、より具体的には冷却装置の斜視図である。流入口3は、ベース板1に対して垂直となるように配置されている。また、流出口4は二カ所に設置されている。また、図10は、この発明を実施するための実施の形態3による冷却装置を説明するための図であり、より具体的には円盤形の冷却装置の斜視図である。流入口3は、ベース板1に対して垂直となるように配置されている。また、流出口4は四カ所に設置されている。
【0049】
冷却装置の外観形状としては、直方体に限らず、円柱状のものある。また、冷媒の温度は、流入口3側が最も低く、流出口4側が最も高くなる。この場合、流入口3からベース板1への流体の衝突噴流による熱伝達促進効果が期待できるため、より冷却効果を高めることができる。また、冷媒の流路との関係で、満遍なく冷媒が流れるように、流出口4を複数設けることで冷却効果を高めることができる。
【0050】
図11は、この発明を実施するための実施の形態3による冷却装置を説明するための図であり、より具体的には流入口3からの冷媒の流れ8を示す冷却装置の模式図である。図において、10aはベース板1に対して垂直に設置された流入口3から流路部6に流入した直後における冷媒の流れを示す矢印、10bは冷媒の流れ10aがベース板1に衝突をして衝突噴流となったベース板1に衝突をした直後における冷媒の流れを示す矢印、10cはベース板1へ衝突した後の冷媒の流れで、冷媒の流れ10bがワイヤ5を横切って流れ、流出口4へと向かっていく冷媒の流れを示す矢印である。なお、冷媒の流れ10aがベース板1に衝突する箇所にはワイヤ5を設けていないが、この位置にもワイヤ5を設けることができる。また、突起部9を設けたり、ワイヤ5と蓋部2とが接触あるいは接近したりすれば、前述した通りバイパス流れが抑えられ、さらに効果的に冷却ができる。
【0051】
流入口3からベース板1の中央部に最も近い位置(発熱体の中央部に最も近い位置)に向かって噴出した冷媒は、冷媒の流れ10aからベース板に衝突した直後の冷媒の流れ10bに切り替わるときに、衝突噴流が発生し、しかも、衝突箇所としてもベース板1全体に広がっているので伝熱面積としては広い範囲で、衝突噴流による高い熱伝達が期待できる。また、その後の冷媒の流れ10cも、ワイヤ5に順次衝突を繰り返すので、冷媒の流れ8が乱され、効率よく伝熱することができ、冷却効果が高くなる。
【0052】
図12は、この発明を実施するための実施の形態3による冷却装置を説明するための図であり、より具体的には円盤形の冷却装置の断面図である。流入口3から流入した冷媒が放射状に広がり、三カ所の流出口4から流出することになる。ここでは、ワイヤ5の群は、同心円上に設けられており、ワイヤ5の径は流出口4に近付くほど太くなり、また一個の弧状の接合箇所7同士の間隔、すなわち弧状に対する弦も長くなっている。このように、ワイヤ5の径は一定しているとは限らず、また、弧状の形状も一定しているとは限らない。
【0053】
ワイヤ5の径は小さいほど前述のとおり前縁効果によって伝熱効率は高く、また、ワイヤ5が密集しているほど伝熱面積が増加するので伝熱効率は高くなる。このため、例えば、円盤状のシリコンウエハ一枚で一つの半導体モジュールを構成するパワエレモジュールの場合、中央部に熱がこもりやすく、図12のような構成にすることは、特に有効である。なお、流入口3は、ベース板1の中央に向かって配置させてなくてもよく、ベース板1に接している発熱体の発熱密度の分布によって、発熱体の中でも発熱密度の大きい箇所に効果的に配置させることができるものである。
【0054】
また、冷媒は放射状に流れるため、冷媒の流れ8を横切る方向にワイヤ5が接合されており、ワイヤ5が冷媒の流れ8の方向に複数並び、それぞれの接合箇所7が冷媒の流れ8を横切る方向に相互にずれている構成になっている。これによって、確実に乱流が発生し、ワイヤ5から冷媒への熱伝達が促進される。
【0055】
よって、流入口は、ベース板に対して垂直となるように配置されたので、衝突噴流領域がベース板の広い領域で発生し、冷媒の流量を増加することなく効率的な冷却機能を得ることができる。
【0056】
実施の形態4.
図13は、この発明を実施するための実施の形態4による冷却装置を説明するための図であり、より具体的には両面に高い冷却機能を備えた両面冷却タイプの冷却装置の斜視図である。図において、1aは第1のベース板、1bは第2のベース板であり、11はベース板1a,1bとの間で冷媒が流れる流路部6を形成する囲い部である。また、x,y,zで示される矢印は、以下の図において断面を検討する上での方向を示している。なお、冷媒はy軸の負から正の方向に流れている。
【0057】
第1のベース板1aは、図面上の下方(z軸の負の方向)から第1の発熱体の熱を吸収し、第2のベース板1bは、図面上の上方(z軸の正の方向)から第2の発熱体の熱を吸収することで、冷却装置の厚み方向(z軸方向)の両面から発熱体の熱を吸収する冷却装置で、冷却装置の両面の冷却機能が特に高いものをここでは、両面冷却タイプの冷却装置と称している。なお、発熱体を第1および第2とここでは区別したが、発熱体の形状によっては1個の発熱体となることもある。
【0058】
なお、ベース板1a,1bはベース板1に相当するものであり、機能、効果、作用の面において基本的に異なるところはなく、ベース板1a,1bには、複数の弧状のそれぞれの両端が接合されたワイヤ5が設けられている。また、ベース板1a,1bと囲い部11とで形成される冷媒の流路部は、流入口3および流出口4以外では気密性が保たれている。なお、ベース板1a,1b、囲い部11以外の構成物を備えることで、流路部の気密性を保つことを否定するものではない。また、ベース板1a,1bの外周部の形状によっては、ベース板1a,1bが囲い部11を兼ねることもできる。
【0059】
図14は、この発明を実施するための実施の形態4による冷却装置を説明するための図であり、より具体的には両面冷却タイプの冷却装置のxz面の断面図である。図において、5cは複数の弧状のそれぞれの両端がベース板1aに接合されたワイヤ、5dは複数の弧状のそれぞれの両端がベース板1bに接合されたワイヤであり、ワイヤ5c,5dは、ワイヤ5と同一またはこれに相当するものであり、説明の便宜上、添え字の英文字を付けたものである。
【0060】
ベース板1aに接合されたワイヤ5cの弧状の山と、ベース板1bに接合されたワイヤ5dの弧状の山とが、x軸方向に交互にずれていることを示している。冷媒の流れ8に対して垂直となる面で、ワイヤ5がずれて配置されることによって、流路断面がより細かく分割され、冷媒の流れ8を乱すことができるので、冷却効果を高めることができる。
【0061】
図15は、この発明を実施するための実施の形態4による冷却装置を説明するための図であり、より具体的には、両面冷却タイプの冷却装置のyz面の断面図である。ワイヤ5cとワイヤ5dとが、同一平面(xz平面)上にあり、両者が交互に弧状の山同士がずれて、接近あるいは接触している配置を示している。流路部6のxz断面をワイヤ5c,5dで分割するようにして、冷媒の流れ8を乱している。
【0062】
図16は、この発明を実施するための実施の形態4による冷却装置を説明するための図であり、より具体的には、ワイヤが他方のベース板に接近している配置の両面冷却タイプのyz面の断面図である。ワイヤ5cはベース板1aに接近し、一方、ワイヤ5dはベース板1bに接近しており、流路断面の分割を一平面(xz平面)内ではなく、ワイヤ5cおよびワイヤ5dのそれぞれの接合箇所7が冷媒の流れを横切る方向に相互にずれているので、さらに冷媒の流れ8が乱れることになり、高い熱伝達率が期待できる。接合箇所7がy軸方向に相互にずれているのは当然であるが、x軸方向(冷媒の流れの幅方向)にもずれることで、一層乱れが生じ、冷却効果を増すことができる。
【0063】
図17は、この発明を実施するための実施の形態4による冷却装置を説明するための図であり、より具体的には、図16の配置をさらにすすめて、ワイヤが他方のベース板に接触している配置とした両面冷却タイプのyz面の断面図である。ワイヤ5cはベース板1aに接触し、一方、ワイヤ5dはベース板1bに接触している。
【0064】
また、ベース板1a,1bと囲い部11とをろう付けで組み立てる場合、ワイヤ5c,5dを接合する側のベース板1a,1bに、ろうを流すことで、ワイヤ5cをベース板1aに接合し、ワイヤ5dをベース板1bに接合することができる。通常の接合箇所7以外に弧状の山の頂点でも接合するため、接合の状態の信頼性が高まり、発熱体の発熱量に差がある場合、発熱量の高い発熱体が設置されている方のベース板から発熱量の低い発熱体が設置されている方のベース板へと熱を逃がすことができ、高い方の発熱体をより効率よく冷却することができる。
【0065】
よって、第1および第2のベース板と、第1および第2のベース板に複数の弧状のそれぞれの両端が接合されたワイヤと、第1および第2のベース板との間で冷媒が流れる流路部を形成する囲い部と、流路部に対する冷媒の流入口および流出口とを備えたので、両面冷却の機能を備えながら、冷媒の流量を増加させることなく、高機能な冷却装置を得ることができる。
【0066】
実施の形態5.
図18は、この発明を実施するための実施の形態5による冷却装置を説明するための図であり、より具体的には、ベースのワイヤ接合側の面に突起部を設けた両面冷却タイプの冷却装置におけるyz面の断面図である。図において、12はベース板1a,1bの平坦部であり、流入口3から流出口4に向かって厚みに変化を持たせていないベース板1a,1bの面である。また、13はベース板1aまたはベース板1bに設けられた突起部で、もう一方のベース板1a,1bに向かって突き出している突起部である。また、13a,13b,13cは、突起部13であり、説明の便宜上、添え字の英文字を付けたものである。
【0067】
よって、実施の形態4のベース板1a,1bに対して、突起部13を設けたことが異なる点である。より具体的には、突起部13はワイヤ5cとワイヤ5dとの間に設置した四角柱の突起であり、突起部13aと突起部13bとは、互いに接近することで流路部6の流路断面積を小さくしている。また、突起部13cはワイヤ5に接近して配置された突起である。なお、突起部13は、実施の形態2で説明した突起部9と構造、機能、効果、作用の面で基本的に同一またはこれに相当するものであるが、以下では異なる点を中心にして述べていくことにする。
【0068】
突起部13同士が互いに接近して流路部6の流路断面積を狭くすることで、例えば、突起部13aと突起部13bとの組み合わせで、冷媒の流れ8が加速され、突起部13の壁面の近傍では高い伝熱特性が得られるようになる。この考え方をさらにすすめ、流路部6の流路を狭くする位置をベース板1aに寄せた次にはベース板1bに寄せ、その次はベース板1aに寄せることを繰り返すことで、冷媒の流れ8は冷却装置の厚み方向(z軸方向)に上下するため、蛇行流となる。この蛇行流により冷媒の流れ8が激しく乱れることで、冷媒の流れ8がワイヤ5、ベース板1a,1b、突起部13との衝突を繰り返すため、熱伝達率が向上することになる。
【0069】
また、突起部13によって、流路部8が小さくなった箇所(流路断面が小さい)では冷媒の流れ8が加速され、突起部13を抜けた箇所では慣性によって、そのままワイヤ5に衝突するので、ワイヤ5でも熱伝達率が増加する。したがって、全体として熱伝達の優れた冷却装置を提供することができる。また、流速が早いので熱伝達が良く、突起部13を抜けた箇所では冷媒の流れ8が乱された状態でさらにワイヤ5との衝突があるので、ここでも熱伝達が良いため、冷却効率の良い冷却装置となる。
【0070】
よって、平坦部と突起部とを設けた第1および第2のベース板と、平坦部に複数の弧状のそれぞれの両端が接合されたワイヤと、第1および第2のベース板との間で冷媒が流れる流路部を形成する囲い部と、流路部に対する冷媒の流入口および流出口とを備えたので、流路の断面積が変化することにより、流路の断面積が小さくなる突起部では流速が増加して熱伝達が向上し、さらに流路の断面積が大きくなる箇所では、ワイヤへの衝突で熱伝達が向上するため、冷媒の流量を増加することなく効率的な冷却機能を得ることができる。
【0071】
実施の形態6.
図19は、この発明を実施するための実施の形態6による冷却装置を説明するための図であり、より具体的には、ワイヤの説明図である。図において、14は一個の弧状の両端が接合されたワイヤである。
【0072】
ワイヤ5は、一本のワイヤで複数の弧状が連続したものを中心に説明してきたが、ワイヤ14のように、一本のワイヤで弧状の山を一個だけ構成しても、ワイヤ14を所定の周期で数多く設置することでワイヤ5と同様の効果を得ることができる。
【0073】
また、ワイヤ14およびワイヤ5の弧状の山の高さ(z軸方向)は、一定である必要はない。さらに、一個の弧状の両端に位置する接触箇所7と隣り合う接触箇所7との間隔(弧状の弦、弧状のピッチに相当)も一定である必要はない。これらのことは、ワイヤ14およびワイヤ5を設ける箇所に応じて適宜選択すれば良いものである。
【0074】
よって、ワイヤは、弧状を連続させたものと同様の効果が、弧状を連続させずとも、所定の周期で複数の弧状のワイヤを設けることで得ることができる。
【0075】
実施の形態7.
図20は、この発明を実施するための実施の形態7による冷却装置を説明するための図であり、より具体的には、ダブルワイヤの説明図である。図において、15は第1のワイヤ、16は第2のワイヤである。ワイヤ15およびワイヤ16は、ワイヤ5と機能、作用、効果の面で基本的には、同一またはワイヤ5に相当するものである。
【0076】
第2のワイヤ16は第1のワイヤ15の接合箇所7の上で接合されている。弧状の山の高さが違うワイヤ15とワイヤ16とを重ね合わせることになる。なお、ワイヤ15の上にワイヤ16を重ねる際には、同一の弧状の弦(ピッチ)とする必要はなく、ワイヤ16のピッチをワイヤ15のピッチの整数倍とすることもできる。また、ワイヤの重ね合わせは、二段階に限らず、三段階以上であってもよい。このようにすることで、同一のベース板1の面積に対するワイヤの表面積を増やすことができ、熱伝達特性を向上させることができる。また、第2のワイヤ16の断面積を第1のワイヤ15の断面積よりも大きくしてやることもできる。これによって、ワイヤ16の高さがあり、しかも断面積がワイヤ15よりも大きいため、ワイヤ16のフィン効率(熱伝達率)の減少を抑えることが可能となる。
【0077】
よって、ワイヤは第1および第2のワイヤであって、第2のワイヤは第1のワイヤの接合箇所の上で接合されているので、ベース板1における接合箇所を面積比として多くとることなく、ワイヤの表面積を増大させ、効率的な冷却機能を得ることができる。
【0078】
この発明は以上説明したように、ベース板と、ベース板に複数の弧状のそれぞれの両端が接合されたワイヤと、ベース板との間で冷媒が流れる流路部を形成しワイヤと接触あるいは接近して配置された蓋部と、流路部に対する冷媒の流入口および流出口とを備え、ワイヤが冷媒の流れの方向に複数並び、それぞれの接合箇所が冷媒の流れを横切る方向に相互にずれていることを特徴とする冷却装置なので、導電性の冷媒を用いることができ、冷媒の流量を増加することなく効率的な冷却機能を得ることができる。
また、ベース板と、このベース板に複数の弧状のそれぞれの両端が接合されたワイヤと、ベース板との間で冷媒が流れる流路部を形成しワイヤと接触あるいは接近して配置された蓋部と、流路部に対する冷媒の流入口および流出口とを備え、ワイヤは第1および第2のワイヤであって、第2のワイヤは第1のワイヤの接合箇所の上で接合されていることを特徴とする冷却装置なので、導電性の冷媒を用いることができ、冷媒の流量を増加することなく効率的な冷却機能を得ることができる。
【0079】
また、ベース板と、ベース板に複数の弧状のそれぞれの両端が接合されたワイヤと、ベース板との間で冷媒が流れる流路部を形成しベース板に向かって突起部を設けた蓋部と、流路部に対する冷媒の流入口および流出口とを備え、ワイヤが冷媒の流れの方向に複数並び、それぞれの接合箇所が冷媒の流れを横切る方向に相互にずれていることを特徴とする冷却装置なので、導電性の冷媒を用いることができ、冷媒の流量を増加することなく効率的な冷却機能を得ることができる。
また、ベース板と、このベース板に複数の弧状のそれぞれの両端が接合されたワイヤと、ベース板との間で冷媒が流れる流路部を形成しベース板に向かって突起部を設けた蓋部と、流路部に対する冷媒の流入口および流出口とを備え、ワイヤは第1および第2のワイヤであって、第2のワイヤは第1のワイヤの接合箇所の上で接合されていることを特徴とする冷却装置なので、導電性の冷媒を用いることができ、冷媒の流量を増加することなく効率的な冷却機能を得ることができる。
【0080】
また、第1および第2のベース板と、第1および第2のベース板に複数の弧状のそれぞれの両端が接合されたワイヤと、第1および第2のベース板との間で冷媒が流れる流路部を形成する囲い部と、流路部に対する冷媒の流入口および流出口とを備えた冷却装置なので、導電性の冷媒を用いることができ、冷媒の流量を増加することなく効率的な冷却機能を得ることができる。
【0081】
また、平坦部と突起部とを設けた第1および第2のベース板と、平坦部に複数の弧状のそれぞれの両端が接合されたワイヤと、第1および第2のベース板との間で冷媒が流れる流路部を形成する囲い部と、流路部に対する冷媒の流入口および流出口とを備えた冷却装置なので、導電性の冷媒を用いることができ、冷媒の流量を増加することなく効率的な冷却機能を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1の冷却装置の斜視図である。
【図2】 実施の形態1の冷却装置のxz面の断面図である。
【図3】 実施の形態1の冷却装置のxz面の断面図である。
【図4】 実施の形態1の冷却装置のyz面の断面図である。
【図5】 実施の形態1の冷却装置のyz面の断面図である。
【図6】 実施の形態1の冷却装置のxy面の断面図である。
【図7】 実施の形態1の冷媒の流れを示す模式図である。
【図8】 実施の形態2の冷却装置のyz面の断面図である。
【図9】 実施の形態3の冷却装置の斜視図である。
【図10】 実施の形態3の円盤形の冷却装置の斜視図である。
【図11】 実施の形態3の冷媒の流れを示す冷却装置の模式図である。
【図12】 実施の形態3による円盤形の冷却装置の断面図である。
【図13】 実施の形態4による両面冷却タイプの冷却装置の斜視図である。
【図14】 実施の形態4による両面冷却タイプの冷却装置のxz面の断面図である。
【図15】 実施の形態4による両面冷却タイプの冷却装置のyz面の断面図である。
【図16】 実施の形態4による両面冷却タイプの冷却装置のyz面の断面図である。
【図17】 実施の形態4による両面冷却タイプの冷却装置のyz面の断面図である。
【図18】 実施の形態5による突起部付きの冷却装置のyz面の断面図である。
【図19】 実施の形態6によるワイヤの説明図である。
【図20】 実施の形態7によるダブルワイヤの説明図である。
【符号の説明】
1 ベース板、1a ベース板、1b ベース板、2 蓋部、3 流入口、4 流出口、5 ワイヤ、5a ワイヤ、5b ワイヤ、5c ワイヤ、5d ワイヤ、6 流路部、7 接合箇所、7a 接合箇所、7b 接合箇所、8 冷媒の流れ、8a 冷媒の流れ、8b 冷媒の流れ、8c 冷媒の流れ、9 突起部、9a 突起部、9b 突起部、9c 突起部、10 冷媒の流れ、10a 冷媒の流れ、10b 冷媒の流れ、10c 冷媒の流れ、11 囲い部、12 平坦部、13 突起部、13a 突起部、13b 突起部、13c 突起部、14 ワイヤ、15 ワイヤ、16 ワイヤ。
Claims (11)
- ベース板と、このベース板に複数の弧状のそれぞれの両端が接合されたワイヤと、前記ベース板との間で冷媒が流れる流路部を形成し前記ワイヤと接触あるいは接近して配置された蓋部と、前記流路部に対する冷媒の流入口および流出口とを備え、前記ワイヤが冷媒の流れの方向に複数並び、それぞれの接合箇所が冷媒の流れを横切る方向に相互にずれていることを特徴とする冷却装置。
- ベース板と、このベース板に複数の弧状のそれぞれの両端が接合されたワイヤと、前記ベース板との間で冷媒が流れる流路部を形成し前記ワイヤと接触あるいは接近して配置された蓋部と、前記流路部に対する冷媒の流入口および流出口とを備え、前記ワイヤは第1および第2のワイヤであって、第2のワイヤは第1のワイヤの接合箇所の上で接合されていることを特徴とする冷却装置。
- ベース板と、このベース板に複数の弧状のそれぞれの両端が接合されたワイヤと、前記ベース板との間で冷媒が流れる流路部を形成し前記ベース板に向かって突起部を設けた蓋部と、前記流路部に対する冷媒の流入口および流出口とを備え、前記ワイヤが冷媒の流れの方向に複数並び、それぞれの接合箇所が冷媒の流れを横切る方向に相互にずれていることを特徴とする冷却装置。
- ベース板と、このベース板に複数の弧状のそれぞれの両端が接合されたワイヤと、前記ベース板との間で冷媒が流れる流路部を形成し前記ベース板に向かって突起部を設けた蓋部と、前記流路部に対する冷媒の流入口および流出口とを備え、前記ワイヤは第1および第2のワイヤであって、第2のワイヤは第1のワイヤの接合箇所の上で接合されていることを特徴とする冷却装置。
- 第1および第2のベース板と、前記第1および第2のベース板に複数の弧状のそれぞれの両端が接合されたワイヤと、前記第1および第2のベース板との間で冷媒が流れる流路部を形成する囲い部と、前記流路部に対する冷媒の流入口および流出口とを備えたことを特徴とする冷却装置。
- 平坦部と突起部とを設けた第1および第2のベース板と、前記平坦部に複数の弧状のそれぞれの両端が接合されたワイヤと、前記第1および第2のベース板との間で冷媒が流れる流路部を形成する囲い部と、前記流路部に対する冷媒の流入口および流出口とを備えたことを特徴とする冷却装置。
- ワイヤが冷媒の流れの方向に複数並び、それぞれの接合箇所が冷媒の流れを横切る方向に相互にずれていることを特徴とする請求項5または6に記載の冷却装置。
- ワイヤは第1および第2のワイヤであって、第2のワイヤは第1のワイヤの接合箇所の上で接合されていることを特徴とする請求項5から7のいずれかに記載の冷却装置。
- ワイヤは、弧状を連続させたことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の冷却装置。
- 冷媒の流れを横切る方向にワイヤが接合されていることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の冷却装置。
- 接合にはワイヤボンディング装置を用いたことを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の冷却装置。
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