JP3684987B2 - スクリーン印刷用のスキージヘッド - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板にクリーム半田や導電性ペーストなどのペーストを印刷するスクリーン印刷用のスキージヘッドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子部品実装工程において、基板上にクリーム半田や導電性ペーストなどのペーストを印刷する方法としてスクリーン印刷が用いられている。この方法は、印刷対象部位に応じてパターン孔が開孔されたマスクプレートを基板上にセットし、スキージングによりマスクプレートのパターン孔を介して基板上にペーストを印刷するものである。
【0003】
このスクリーン印刷のスキージング方法として、密閉型のスキージヘッドを用いる方法が知られている。この方法は、通常のスクリーン印刷と異なりマスクプレート上にペーストを直接供給するのではなく、ペースト貯溜容器を備えたスキージヘッドを用いるものである。この方法では、ペースト貯溜容器の下面に設けられた開口をマスクプレートに当接させた状態で、ペースト貯溜容器内のペーストを加圧することにより、マスクプレートのパターン孔に開口を介してペーストが押し込まれる。そしてスキージヘッドをマスクプレート上で摺動させることにより、各パターン孔に順次ペーストを充填する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この密閉型のスキージヘッドでは、加圧されたペーストを前記開口のみを介してスクリーンマスクに接触させることが求められるため、加圧されたペーストが開口以外から外部へはみ出すことを極力防止しなければならないが、従来の密閉型のスキージヘッドには次のような問題点があった。以下、図面を参照して説明する。図6(a),(b)は従来のスクリーン印刷用スキージヘッドの部分断面図である。
【0005】
図6(a)において、スキージヘッドAは下面に2つの板状の掻き取り部材B,Cを備えており、掻き取り部材B,Cに挟まれた空間は印刷されるペーストを収容する印刷空間となっている。印刷空間の両側端部には閉塞部材Dが掻き取り部材B,Cの内面に接する形態で配設されている。図6(b)に示すようにスキージヘッドA内に貯溜されたペーストは2つの掻き取り部材B,Cの間の開口を介してスクリーンマスクEに接触し、加圧によりスクリーンマスクEのパターン孔に充填される。閉塞部材Dは掻き取り部材B,Cの内面に当接することによりこの印刷時に加圧されたペーストが印刷空間から外部に漏れるのを防止する。
【0006】
ところが、掻き取り部材B,Cは印刷時にスクリーンマスクEに対して押圧されて撓むようになっているため、掻き取り部材B,Cと閉塞部材Dとの当接面は完全に密着した状態にはならず、図6(b)に示すようにスキージヘッドAを下降させて掻き取り部材B,CをスクリーンマスクEに押圧した状態では隙間Sが生じる。このため、印刷時のスキージヘッドAからのペーストの漏れを完全に防止することができず、印刷不良を生じやすいという問題点があった。
【0007】
そこで本発明は、ペーストの漏れを防止して安定した印刷品質を確保することができるスクリーン印刷用のスキージヘッドを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のスクリーン印刷用のスキージヘッドは、内部にペーストを貯溜し前記ペーストを加圧した状態でマスクプレート上を摺動することにより、マスクプレートのパターン孔を介して基板にペーストを印刷するスクリーン印刷用のスキージヘッドであって、ペーストを貯溜するペースト貯溜部と、このペースト貯溜部内のペーストを加圧するペースト加圧手段と、加圧されたペーストを収容しマスクプレートの表面に接触させる印刷空間と、前記印刷空間のスキージング方向の前後壁を形成し下端部が前記マスクプレートの表面に当接して設けられた2つの掻き取り部材と、これら2つの掻き取り部材の両側端部において前記印刷空間を閉塞する弾性材質よりなる閉塞部材と、前記閉塞部材の前記マスクプレート側に前記掻き取り部材の下端部から下方向に所定寸法だけ突出するように設けられた滑り部材とを備え、前記滑り部材をスクリーンマスクに押圧させて前記閉塞部材に圧縮荷重を作用させることにより前記閉塞部材を前記掻き取り部材に対して押しつけて前記掻き取り部材と閉塞部材との当接面を密封する。
【0009】
本発明によれば、閉塞部材の前記マスクプレート側に前記掻き取り部材の下端部から下方向に所定寸法だけ突出するように設けられた滑り部材とを備え、前記滑り部材をスクリーンマスクに押圧させて閉塞部材に圧縮荷重を作用させることにより閉塞部材を掻き取り部材に対して押しつけて掻き取り部材と閉塞部材との当接面を密封する構成とすることにより、掻き取り部材の可撓性を妨げることなくしかも簡単な構造でペーストの漏れを防止することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の正面図、図2は本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の側面図、図3は本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置のスキージヘッドの部分断面図、図4(a)は本発明の一実施の形態のスクリーン印刷用スキージヘッドの部分反転斜視図、図4(b)は本発明の一実施の形態のスクリーン印刷用スキージヘッドの閉塞部材の斜視図、図5は本発明の一実施の形態のスクリーン印刷用スキージヘッドの部分断面図である。
【0011】
まず図1、図2を参照してスクリーン印刷装置の構造を説明する。図1、図2において、基板の位置決め部1は、図示しない移動テーブル上に基板保持部2を配設して構成されている。スクリーン印刷対象の基板3は基板保持部2のクランパ4によって保持されており、図示しない移動テーブルを駆動することにより、基板保持部2に保持された基板3は水平方向および上下方向に位置決めされる。
【0012】
位置決め部1の上方には、スクリーンマスク10が配設されている。スクリーンマスク10はホルダ11にマスクプレート12を装着して構成されており、マスクプレート12には印刷対象の基板3の印刷部位に対応したパターン孔12aが開孔されている。
【0013】
スクリーンマスク10上にはスキージヘッド13がヘッド昇降部20によって昇降自在に配設されている。ヘッド昇降部20はプレート部材21上に立設されたシリンダ22を備えており、シリンダ22のロッド22aの下端部には、結合部材15を介してスキージヘッド13が結合されている。シリンダ22を駆動することにより、スキージヘッド13はマスクプレート12に対して昇降する。ヘッド昇降部20はスキージヘッド13をスクリーンマスク10に対して昇降させる昇降手段となっている。
【0014】
ヘッド昇降部20のプレート部材21の下面には、両端部にスライダ23が固着されており、スライダ23はフレーム25の上面に配設されたガイドレール24にスライド自在に嵌着されている。またプレート部材21の下面にはナット26が結合されており、ナット26に螺合した送りねじ27は、モータ28によって回転駆動される。
【0015】
モータ28を駆動することにより、プレート部材21は水平移動し、したがってヘッド昇降部20に結合されたスキージヘッド13も水平移動する。スキージヘッド13を下降させた状態で、モータ28を駆動することにより、スキージヘッド13はマスクプレート12上で水平移動する。すなわち、モータ28、送りねじ27およびナット26は、スキージヘッド13をマスクプレート12上で水平移動させる移動手段となっている。
【0016】
スキージヘッド13の下部には、マスクプレート12の表面に当接してペーストであるクリーム半田5をパターン孔12aに充填する印刷部14が設けられている。図3を参照して印刷部14の構造を説明する。図3において、30は本体部であり、マスクプレート12の幅方向に細長形状のブロック状部材である。本体部30の長さ寸法は図2に示すように印刷対象の基板3の幅寸法をカバーするように設定される。本体部30には、クリーム半田5が貯溜されたカートリッジ31が着脱自在に装着される凹部30aが形成されている。
【0017】
カートリッジ31は予め所定量のクリーム半田5が貯溜されたクリーム半田5の貯溜部(ペースト貯溜部)となっており、印刷時に本体部30に装着される。カートリッジ31の上面の開口には、内部のクリーム半田5を加圧する加圧板32が嵌入している。加圧板32は上方に配置されたシリンダ16のロッド16aと結合されており、シリンダ16を駆動することにより、加圧板32はカートリッジ31内で上下動するようになっている。
【0018】
また、カートリッジ31の底面はクリーム半田5の押し出し板31aとなっており、押し出し板31aには多数の開口31bが設けられている。加圧板32をシリンダ16で下方に押圧することにより、カートリッジ31内のクリーム半田5は加圧され、押し出し板31aの開口31bを介して下方に押し出される。シリンダ16および加圧板32はクリーム半田5を加圧する加圧手段となっている。
【0019】
本体部30の底部には、カートリッジ31の押し出し板31aと同様に多数の開口34aが設けられた絞り板34が装着されている。シリンダ16によってクリーム半田5が押し出される際には、押し出し板31aの開口31bと絞り板34の開口34aを2段階に通過して下方に移動する。そして押し出されたクリーム半田5は、本体部30の下方に形成された空間、すなわち本体部30の下部に内側斜め方向に配設された2枚の掻き取り部材36A,36Bと本体部30の下面とによって囲まれた印刷空間35に到達する。
【0020】
掻き取り部材36A,36Bは、印刷空間35のスキージング方向の前後壁を形成し、スキージヘッド13を下降させた状態では掻き取り部材36A,36B下端部がマスクプレート12の表面に当接する。印刷動作時には、この印刷空間35は加圧されたクリーム半田5を収容し、掻き取り部材36A,36Bの間の開口を介してクリーム半田5をマスクプレート12の表面に接触させる。
【0021】
加圧板32を押し下げてカートリッジ31内のクリーム半田5を加圧することにより、クリーム半田5は押し出し板31aと絞り板34を通過して印刷空間35内まで移動する。このクリーム半田5の移動経路の途中は、多数の小さい開口31b,34aによって断面積が絞られた絞り部となっており、この絞り部を加圧されたクリーム半田5が通過することにより、クリーム半田5の粘度が低下しスクリーン印刷に適した性状に改質される。
【0022】
スクリーン印刷においては、加圧板32により内部のクリーム半田5が加圧され、上述のように適正粘度に改質されたクリーム半田5が印刷空間35内に満たされた状態のスキージヘッド13を、マスクプレート12上で摺動させる。これにより、印刷空間35内のクリーム半田5は掻き取り部材36A,36Bの間の開口を介してマスクプレート12のパターン孔12a内に充填される。
【0023】
そしてスキージヘッド13を移動させることにより各パターン孔12a内に順次クリーム半田5が充填される。全てのパターン孔12a内にクリーム半田5が充填されたならば、基板保持部2を下降させて、版離れを行わせる。すなわち、パターン孔12a内のクリーム半田5は基板3とともに下降してパターン孔12aから分離し、これにより、基板3へのクリーム半田5のスクリーン印刷が完了する。
【0024】
次に図4を参照して、印刷空間の側端部の構造について説明する。図4(a)において、スキージヘッド13の本体部30の下面(反転状態を示す図4(a)においては上面側)に形成された印刷空間35は、2つの掻き取り部材36A,36Bによってスキージング方向の前後面を囲まれた構成となっている。印刷空間35のスキージング方向についての両側端には、閉塞部材37が設けられている。閉塞部材37は2つの掻き取り部材36A,36Bの間に挟まれ、側面側に設けられた止め部材38によって印刷空間35内に保持される。閉塞部材37は印刷空間35内のクリーム半田5が外部に漏れ出すのを防止する。
【0025】
図4(b)に示すように、閉塞部材37はウレタンゴムなどの弾性材質より成る略台形柱状の成型部材であり、台形の短底面37a、2つの側斜面37bおよび一方側の台形面37cの4面を有する中空部材である。すなわち、台形の長底面(装着状態における上面)37dおよび他方側の台形面(装着状態における中央側面)37eが開放された形状となっている。装着状態における下面(台形の短底面37aに相当する面)には、テフロン板などの自己潤滑性に優れた滑り部材39が貼着されている。滑り部材39は、印刷時にマスクプレート12の上面に当接する。この当接面に自己潤滑性の材質を用いることにより、印刷時のスキージヘッド13の移動を円滑に行わせることができる。
【0026】
閉塞部材37の装着状態について、図4(a)のAA断面を示す図5を参照して説明する。図5(a)に示すように、閉塞部材37は2つの掻き取り部材36A,36Bの内面に沿う形で装着され、装着状態では閉塞部材37の上面(台形の長底面)は本体部30に固定された受け部材40に押し付けられた状態となっている。そして、スキージヘッド13がマスクプレート12から上昇して掻き取り部材36A,36Bの下端部がマスクプレート12から離隔した状態では、下面に貼着された滑り部材39は掻き取り部材36A,36Bの下端部から下方に所定寸法hだけ突出するように形状・寸法が設定されている。
【0027】
次に閉塞部材37の機能について説明する。スキージヘッド13をマスクプレート12上に下降させ、掻き取り部材36A,36Bをマスクプレート12に押圧した状態では、図5(b)に示すように当初突出状態にあった滑り部材39は受け部材40とマスクプレート12の間で押圧されて掻き取り部材36A,36Bの下端部と同一線上に位置する。すなわち、閉塞部材37にはスキージヘッド13の押圧力によって上下方向の圧縮荷重が作用する。
【0028】
そしてこの圧縮荷重が作用すると、可撓性に富む弾性材質より成りしかも中空形状の部材である閉塞部材37は、この上下方向の圧縮荷重により変形し両側の側斜面37bは横方向に変位する。この横方向の変位は閉塞部材37を掻き取り部材36A,36Bの内側に対して押し付けるように、すなわち掻き取り部材36A,36Bと閉塞部材37との当接面を密封するように作用する。
【0029】
すなわち本実施の形態では、マスクプレート12に対して閉塞部材37を押し付けることにより閉塞部材37に圧縮荷重を発生させる構成が、掻き取り部材36A、36Bと閉塞部材37との当接面を密封する密封手段に該当する。なお、閉塞部材37の形状・材質は上記例に限定されず、マスクプレート12に対して押圧された状態で掻き取り部材36A,36Bとの当接面に対して押しつけ力が生じるような形状・材質であればよい。
【0030】
これにより、図5(b)に示すようにスクリーン印刷時に掻き取り部材36A,36Bの下端部がマスクプレート12に押し付けられて撓み変形を生じた状態にあっても、閉塞部材37はこれらの撓み変形に追従して密着し掻き取り部材36A,36Bとの当接部を密封状態を保つことができる。従って、スクリーン印刷時に印刷空間から加圧されたクリーム半田5が漏れ出すことがなく、余分なクリーム半田5の付着を防止することができる。
【0031】
【発明の効果】
本発明によれば、閉塞部材の前記マスクプレート側に前記掻き取り部材の下端部から下方向に所定寸法だけ突出するように設けられた滑り部材とを備え、前記滑り部材をスクリーンマスクに押圧させて閉塞部材に圧縮荷重を作用させることにより閉塞部材を掻き取り部材に対して押しつけて掻き取り部材と閉塞部材との当接面を密封する構成としたので、掻き取り部材の可撓性を妨げることなくしかも簡単な構造でペーストの漏れを防止して安定した印刷品質を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の正面図
【図2】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の側面図
【図3】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置のスキージヘッドの部分断面図
【図4】(a)本発明の一実施の形態のスクリーン印刷用スキージヘッドの部分反転斜視図
(b)本発明の一実施の形態のスクリーン印刷用スキージヘッドの閉塞部材の斜視図
【図5】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷用スキージヘッドの部分断面図
【図6】従来のスクリーン印刷用スキージヘッドの部分断面図
【符号の説明】
3 基板
5 クリーム半田
12 マスクプレート
12a パターン孔
13 スキージヘッド
14 印刷部
16 シリンダ
20 ヘッド昇降部
22 シリンダ
31 カートリッジ
32 加圧板
35 印刷空間
36A、36B 掻き取り部材
37 閉塞部材
Claims (1)
- 内部にペーストを貯溜し前記ペーストを加圧した状態でマスクプレート上を摺動することにより、マスクプレートのパターン孔を介して基板にペーストを印刷するスクリーン印刷用のスキージヘッドであって、ペーストを貯溜するペースト貯溜部と、このペースト貯溜部内のペーストを加圧するペースト加圧手段と、加圧されたペーストを収容しマスクプレートの表面に接触させる印刷空間と、前記印刷空間のスキージング方向の前後壁を形成し下端部が前記マスクプレートの表面に当接して設けられた2つの掻き取り部材と、これら2つの掻き取り部材の両側端部において前記印刷空間を閉塞する弾性材質よりなる閉塞部材と、前記閉塞部材の前記マスクプレート側に前記掻き取り部材の下端部から下方向に所定寸法だけ突出するように設けられた滑り部材とを備え、前記滑り部材をスクリーンマスクに押圧させて前記閉塞部材に圧縮荷重を作用させることにより前記閉塞部材を前記掻き取り部材に対して押しつけて前記掻き取り部材と閉塞部材との当接面を密封することを特徴とするスクリーン印刷用のスキージヘッド。
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JP2000073831A JP3684987B2 (ja) | 2000-03-16 | 2000-03-16 | スクリーン印刷用のスキージヘッド |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2000073831A JP3684987B2 (ja) | 2000-03-16 | 2000-03-16 | スクリーン印刷用のスキージヘッド |
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JP2001260317A JP2001260317A (ja) | 2001-09-25 |
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Country Status (1)
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2000
- 2000-03-16 JP JP2000073831A patent/JP3684987B2/ja not_active Expired - Lifetime
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