JP3684692B2 - 耐熱耐圧性に優れた自立容器 - Google Patents

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  • Containers Having Bodies Formed In One Piece (AREA)
  • Blow-Moulding Or Thermoforming Of Plastics Or The Like (AREA)

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、樹脂の二軸延伸ブロー成形により形成されていて、耐熱耐圧性と自立性に優れた耐熱耐圧自立容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレンテレフタレート(PET)の如き熱可塑性ポリエステルの二軸延伸ブロー成形容器は、優れた透明性や表面光沢を有すると共に、瓶に必要な耐衝撃性、剛性、ガスバリヤー性をも有しており、各種液体の瓶詰容器、即ちボトルとして利用されている。
【0003】
一般に、瓶詰製品の製造に際しては、内容物の保存性を高めるために、内容物を熱間充填し或いは内容物を充填した後、加熱殺菌乃至滅菌することが必要である。しかしながら、ポリエステル製ボトルは耐熱性に劣るという欠点があり、内容物を熱間充填する際の熱変形や容積の収縮変形を生じるため、二軸延伸ブロー容器を成形後に熱固定(ヒート・セット)する操作が行われている。
【0004】
しかしながら、自生圧力を有する内容物を充填密封後、加熱殺菌乃至滅菌する用途(耐熱圧ボトル)では、ボトル底部に圧力と熱とが同時に作用して熱クリープ現象により膨出変形を生じるため、前述した熱固定程度では不十分であり、ボトル底部を丸底とし、この底に別体のハカマ部品(ベースカップ)を取り付けることが行われている(実開昭55−142433号公報、及び特公昭61−30982号公報)。
【0005】
また、このようなツーピース型の耐熱圧ボトルにおいて、底部の熱及び圧力による変形を最小限にとどめるため、特公平6−22862号公報には、未延伸乃至低延伸の底中心部を加熱により熱結晶化させることが記載され、更に底中央部および口頸部を熱結晶化させたプリフォーム成形体を二軸延伸ブロー成形することにより、熱結晶化部を除く容器全体を高延伸倍率にて延伸加工でき、特に、半球状の底部が延伸加工により、底中央部を除き薄肉化できることが記載されている。
【0006】
ワンピース構造で耐圧性を有するポリエステルボトル、即ちペタロイドタイプのボトルも既に提案されており、例えば特開平4−154535号公報には、複数の脚片を等間隔に膨出設すると共に該脚片の間に谷線壁を形成したペタロイドタイプの底部を有する二軸延伸ブロー成形瓶体であって、前記底部の延伸中心点を含む中央平坦部の周囲に位置する未延伸周縁部を含む中央部分を、該中央部分の壁の内面側よりも外面側の密度を高めた形態で結晶化させた二軸延伸ブロー成形瓶体が記載されている。
【0007】
また、特開平5−147637号公報には、二軸延伸されたビン本体と、該ビン本体の下方に膨出する曲面底及び該曲面底の周辺部に該曲面底を一体的に下方に突出させて設けたビン本体を自立させる複数の中空の脚部を有する二軸延伸された底部と、該ビン本体の情報の外周部に設けたネジ形成部を有する無延伸の口部とから成るポリエチレンテレフタレート樹脂製ビン体において、該曲面底が最低部ではビン本体との直径と同一の直径を有する仮想真曲面と一致し、周辺部では該仮想真曲面よりも下方に膨出する形状を有することを特徴とするポリエチレンテレフタレート樹脂製ビン体が記載されている。
【0008】
更に、特開平6−032340号公報には、接地部を形成する複数の脚部が一体的に形成されて成る耐圧性の自立容器において、前記容器の底部は、下方に凸の滑らかな曲面状の底部中央部分と、前記底部中央部分の周囲に周方向に等間隔に形成された複数の脚部とを有し、各脚部の下端面は、径外方部分において幅広く、内方になるにつれてその幅を狭める台形様の輪郭を有しており、前記脚部の下端面内の径外方部分には、前記容器の無充填時に容器支持面と接触する平坦な接地面部が形成されていると共に、前記接地面部の内側に前記接地面部と連続して、容器内方に向けて上方に傾斜する実質的に平坦な傾斜面部が形成されており、各脚部と前記底部中央部分の間には上方に凸の滑らかな曲面部が形成されて前記脚部と前記底部中央部分とをスムーズに接続していることを特徴とする耐圧自立容器が記載されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
延伸加工により薄肉化された半球状底部を有する容器は耐熱耐圧性に優れており、炭酸飲料等の内圧が加わる内容物を充填し、充填品に上部より熱湯を流す加熱殺菌処理(法上65℃で10分以上)に十分耐えうるが、容器とは別体としてベースカップを製造し、これを容器に接着等により固定しなければならないという煩わしさがある。
【0010】
ペタロイド型底部、即ち足一体型底部を有する自立性容器は、ベースカップの製造やその取り付けが不要であるという利点を有するが、その耐熱性、特に底部の耐熱耐圧性が未だ不十分であるという欠点を有している。即ち、このタイプの容器においては、未延伸或いは低延伸の厚肉部が必ず存在し、この部分が熱と圧力とが同時に作用する条件では熱クリープ変形を生じて、容器の自立性を損なうのである。
【0011】
すなわち、足一体型底部を有する自立性容器の成形に際し、口頸部を熱結晶化させたプリフォーム成形体を一度に二軸延伸ブロー成形すると、底部形状が複雑であるため底部全体を高延伸下に薄肉化することが困難であり、どうしても比較的厚肉の低延伸部が残存するのを避け得ない。この比較的厚肉の低延伸部は耐熱耐圧性に劣り、その様な容器に内容品を充填し加熱殺菌処理すると、自立性を確保することが困難となる。
この様に低延伸状態の厚肉部が残存する底部において、前記の特開平6−0323340公報の3ページにも記載されるように、容器の自立性を得るために、いたづらに容器底部を凹凸に成形しようとすれば、その凹凸部分の境界に無理が生じて、ストレスクラック、クレーズ等の欠陥が発生しやすくなる問題が生じる。
【0012】
更に、容器に自立性を与える足部は、半球面上に位置する谷部よりも底方向に突出するように形成されるため、足部の肉厚がどうしても薄くなり、ブロー成型時に足部が破裂したり、或いは足部の耐圧強度が低下するという問題もある。
【0013】
従って、本発明の目的は、底部全体が延伸により薄肉化されながら足部の過度の薄肉化が防止され、加熱殺菌時における底部の熱クリープ現象が完全に防止され、且つ容器底部の凹凸部を含む部位にて欠陥を生じることがなく、総合的に優れた耐熱耐圧性、耐衝撃性及び自立性の組み合わせを有する二軸延伸樹脂容器を提供するにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、樹脂の二軸延伸ブロー成形によって形成された口頚部、肩部、胴部及び複数の谷部及び足部とよりなる底部を備えた自立性容器において、前記足部が、底部中央にて谷部に接続する足部付け根部と、該足部付け根部の中央より放射状に延びていると共に足部の接地部よりも径内方側で終結している細溝部と、該細溝部を間に挟んで細溝部より外方に張り出した一対の凸状部とから構成され、且つ前記足部の一対の凸状部と谷部とは前記足部付け根部の位置で不連続な曲線となるように接続されていることを特徴とする耐熱耐圧性に優れた自立容器が提供される。
【0015】
本発明の自立容器においては、
1.前記細溝部は、足部付け根部の中央の位置で、小径の曲率部(R 3 =2〜8mm)を介して谷部と円滑に接続されていること、
2.前記足部付け根部は、細溝部により、二山の足部付け根部に分離されていること、
3.足部の一対の凸状部が細溝部に対して実質上対称に形成されていること、
4. 前記細溝部の底部の溝幅が5mm以下であり、底中心部と底中心部の上方に位置する細溝部の開始端との上下方向の距離H 1 が1乃至4mmの範囲にあること、
.この容器に内容物を充填し、熱殺菌を施した後に、底中心部と底中心部の上方に位置する細溝部の開始端との上下方向の距離H2 が0.5mm以上、特に1mm以上であること、
が好ましい。
【0016】
【発明の実施形態】
[新規な底形状と作用]
本発明の耐熱耐圧自立性容器を示す図1(一部断面側面図)において、この容器は、樹脂の二軸延伸ブロー成形によって形成された口頚部1、肩部2、胴部3及び底部4を備えており、底部4は底中心部5aを含みその近傍に広がる底中央谷部5を有し且つ周辺に複数の谷部6と複数の足部7とを交互に有している。谷部6は底方向に凸の仮想曲面上に位置しており、一方谷部間に位置する足部7は、谷部6よりも底方向に突出して設けられている。足部7は中央の付け根部8から径方向且つ下方にのびている先端部9が接地部となっている。
【0017】
この容器における底部の谷部と足部との配置の詳細を説明するための図2(底部の底面図)及び図9(底部の斜視図)において、本発明では、足部7を、底部中央5にて谷部6に接続する足部付け根部8と、該足部付け根部8の中央より放射状に延びている細溝部10と、該細溝部10を間に挟んで細溝部より外方に張り出した一対の凸状部11a、11bとから構成する。
【0018】
前記足部付け根部8の中央に、細溝部10が存在することにより、足部付け根部8は、二山の足部付け根部8a、8bに分離されることになり、また足部の一対の凸状部11a、11bが細溝部10に対して実質上対称に形成されていることになる。図2に示すとおり、細溝部10は足部の接地部9よりも径内方側で終結していることが好ましい。
【0019】
図2のB−B断面を示す図4から明らかなとおり、前記足部の一対の凸状部11a、11bと谷部6(底中央5)とは前記足部付け根部8(8a、8b)の位置で不連続な曲線となるように接続されていることも重要である。即ち、谷部6は外方に凸な曲面(球面)となっており、一方足部7も下方に凸な曲面となっているが、両者は不連続な曲線、即ち微分係数が不連続な曲線となって接続される。足部7の断面形状は鷲鼻状(鉤鼻状)となっていることが了解されよう。
【0020】
一方、図2のA−A断面を示す図3から明らかなとおり、前記細溝部10は、足部付け根部8の中央の位置で、小径の曲率部(R3 =2〜8mm)12を介して谷部6と円滑に接続されていることが好ましい。
【0021】
本発明では、上記の特定のペタロイド型底部を形成することにより、耐熱耐圧性と自立性に優れた二軸延伸ブロー成形容器を提供することができる。即ち、この底形状では、底部全体を高延伸配向状態に薄肉化することができ、それにより、底部の70℃における単位長さ当たりの降伏強度、すなわち耐熱耐圧強度が著しく向上し、耐熱耐圧容器として使用することができる。
【0022】
従来公知の低延伸配向部を有するペタロイド型底部では、上記の耐熱耐圧強度が著しく低くなり、使用の際に、内圧或いは殺菌温度などの制約を受ける。一方、低延伸配向部を熱固定してその結晶化度を上げれば、底部の耐熱耐圧強度は向上するが、熱固定のさい球晶化による白化が進行し、白化した部分では耐衝撃性が著しく低下するという問題を生じる。
【0023】
本発明のように、底部の高延伸薄肉化を行おうとすると、特に耐転倒性の確保と成形性の確保が問題となる。即ち、容器底部を薄肉化すると、底部が厚肉のものに比べて、空容器の重心が多少上方に移行し、転倒しやすくなる。耐転倒性の観点から、底部の接地部径或いは接地部幅を多少大きくする必要がある。
また、容器底部の耐熱耐圧性を重視しすぎて、例えば足先端部と底谷部との距離が比較的大きい様なペタロイド型底形状を採用すると、特に足先端部が過延伸状態にて極端に薄肉化する或いは白化する傾向があり、足先端部の耐圧強度が不足したり、美観上好ましくないことがある。さらに、耐転倒性を考慮して上記のように接地部径或いは接地部幅を従来のものより多少大きくする必要があるが、これは足先端部の薄肉化或いは過延伸による白化を助長することになり、底部の成形性を低下させる方向に作用する。一方、足先端部の成形性を重視して、ペタロイド底型を決めた場合、通常耐熱耐圧性及び耐転倒性に対しては不利な方向となる。
【0024】
本発明の耐熱耐圧自立容器においては、足先端部の成形性、耐熱耐圧性及び耐転倒性を満足するペタロイド型底部形状が提供されるものである。
【0025】
本発明者らは、種々の形状のペタロイド型底形状の耐熱耐圧性の解析シュミレーションを行い、それに基づく幾つかのペタロイド底型を試作し、その耐熱耐圧性を評価した。
その結果、ペタロイド底部に加わる応力としては、谷部及び谷部と足部の境界に大きな力が作用しており、さらに、底中央谷部及び底中央から足部が始まる足付け根部にかけて、特に大きな力が集中していること、及び底谷部中央の変形には応力集中の大きな底谷部の形状及び足付け根部の形状が大きく関与することが判った。
以上のことから、
A.底中央における足付け根部までの底中央谷部の直径DF をできるだけ大きくすること、
B.底中央谷部を耐圧性のある球面状とすること、
C.底中央の足付け根部と底中央谷部との接続幅をできるだけ小さくすること、が極めて耐熱耐圧性を向上させるために有効であることが判った。
【0026】
図15に示すとおり、底中央の足付け根部8の先端を比較的小さな曲率半径の円弧形状として、底中央谷部5との接続幅を小さくし、且つ底中央谷部5の径を大きくすれば、耐熱耐圧性能を向上させることができる。しかし、足の本数が比較的少ないと、上記の底形状を採用した場合、足部に延伸加工されるべき樹脂の量が少なくなり、足先端部9の成形性を確保することが難しくなる。
【0027】
一方、図6に示すとおり、ブロー成形性を考慮した底形状であって、底中央の足付け根部8と底中央谷部5との接続幅Wを比較的大きくすると、内容品の充填殺菌後、その接続部の中央の膨らみが特に大きく、その膨らみが底中心部をさらに下方に膨らます結果となり、耐熱耐圧性が低下する。
さらに図7に示すとおり、底中央谷部5を平坦状とすると、内容物の充填殺菌後には底中央谷部5は平坦状から概ね球面状にまで変形する。その結果、始めから球面状である底中央谷部に比べて、平坦状である底中央谷部の変形量は相対的に大きくなり、耐熱耐圧性が低下する。
従って、図7のように底中央谷部が平坦状であり、且つ図6のように比較的広い接続幅Wにて底中央部と足付け根部が接続している底形状では、本発明におけるように底部全体を高延伸配向させ高強度化したとしても、好ましい耐熱耐圧性能を得ることが難しい。特に、内容物充填殺菌工程にて比較的厳しい条件、例えば充填ガス圧が比較的高い或いは熱水シャワー温度が比較的に高いような場合では、空容器では底中央谷部5と足接地部9との間に高さH0 を維持しうるとしても(図7)、内容物の充填殺菌時には図8に示すとおり、底中心部5aの変形が大きくなり、逆に接地部9よりも中心部5aが高さHだけ違法に突出するようになって、自立性を保持することが難しくなる。
【0028】
本発明者らは、鋭意検討の結果、底中央の足付け根部8と底中央谷部5との接続幅Wを比較的大きくし、その接続部の中央に細幅の溝部10を設けることにより、容器の耐熱耐圧性と足先端部の成形性の両方を満足させうることを見いだした。
図2に示すとおり、足7中央の細幅の溝部10は足付け根部8(8a、8b)の中央より接地部9に向かって放射状に延びており、好ましくは接地部9の手前にて終了している。
【0029】
足中央の細溝部10は、耐熱耐圧性の向上に大きく寄与するものである。容器に内容物を充填殺菌した場合、最も大きな力が底中央谷部5及び足付け根部8近傍に作用する。この際、足中央の細溝部10はその両脇の凸状部11a、11bよりも少し奥まって底中央谷部5と滑らかに接続されており、その結果、足付け根部8の内でも、最も直径の小さな一対の凸状部8a、8b近傍に力が集中する。その際、図2に示されるように足付け根部8の一対の凸状部8a、8bと底中央谷部5とは各々が比較的小さな曲率半径の曲線にて接続されており、それらの間の細溝部10は谷部6並の強度を有することから、これらの局部的な変形量は比較的小さくなり、結果的に耐熱耐圧性が向上することになる。
【0030】
実際に、底中心部5aと底中心部の上方に位置する細溝部10の開始端(径内方向の端部)との上下方向の距離H1 (図3)と内容物を充填殺菌後の底中心部5aと底中心部の上方に位置すると細溝部10の開始端との上下方向の距離H2 と(図5)の変化量は、底中心部と接地部9の上下方向の距離(空容器では図3のH0 、加熱充填後では図5のH)の変化量に比較して、極めて小さくなっており、足中央の細溝部10により、足付け根部8の変形が抑えられている。この様に足付け根部8の変形を抑えることにより、底中心部5aと接地部9の上下方向の距離の変化量が比較的少なくなっており、足中央の細溝部10が耐熱耐圧性の確保に対して有効に作用することが了解される。
【0031】
さらに、足中央の細溝部10を挟む部位11a、11bを外方に凸状の形状とし、足付け根部8a、8bにおいて底中央谷部5と不連続な曲線にて接続することは、二軸延伸ブロー成形の際の足部7の成形性を向上する上で極めて有効に作用する。
【0032】
すなわち、ペタロイド型底部のブロー成形過程において、最初にブロー成形品は底中央及び谷部にて金型に接触し、その接触位置が足先端部の方向に放射状に広がる。そのブロー成形段階で、一旦金型と接触した成形品の部位は金型にて拘束され、冷却されるので、その後の延伸が限定される。ブロー成形段階にて、底足部での金型と成形品の接触が底中央から周辺部に時間差をつけて順次に行われた場合、足先端部では、局部的な延伸状態にて過大な延伸度となり、厚みが極端に薄くなり、好ましい成形が行われない。
【0033】
これに対し、足部底形状を外方に凸状にし且つ不連続な曲線にて足部と谷部とを接続させると、ブロー成形段階にて足底面に成形品が到達する時間を遅らせることができ、その結果として、足先端部が局部的な過延伸状態になるのを防止することが可能となる。かくして、本発明によれば、足先端部が過延伸になるのを抑制し、その足先端部の肉厚を厚くし、成形性を向上させるという作用を得ることができる。
【0034】
本発明の場合、凸状部11a、11bの中央に細溝部10が存在し、上記のブロー成形段階にて、成形品は細溝部10に対応する金型部分に早い段階にて接触するが、溝の底部の幅が細く接触面積が小さいため、冷却の程度が比較的少ないこと、及び溝の存在のために返って、その両脇の凸状部11a、11bが対応する金型部分に接触する時間が遅れることのために、足中央の細溝部10の存在は足先端部の成形性を向上させる上で有効に作用する。
【0035】
また、本発明の容器における二山の下方に凸状の足底形状は、直線形状である場合に比べて長さが長いので、内容物の充填及びその後の熱殺菌処理に伴う相対的な変形度合いが大きく、底谷中央部5と足接地部9との距離である足高さHが増加する方向に変形する。その結果、耐熱耐圧性能の向上をもたらす効果を有する。
【0036】
本発明の足中央細溝部10は、特に底中央足部にて有効に作用するものであり、接地部9の手前にて終了することが好ましい。特に、接地部9にまで或いは接地部外方にまで延びる細溝部を有する場合、その両脇の一対の接地部の成形時の賦形性が左右にて異なる現象が生じやすい。その結果、極端な場合には、一対の接地部の片方のみが接地することになり、空容器の耐転倒性が低下することになる。
【0037】
本発明の容器において、前記細溝部10の底部の溝幅は5mm以下、特に2mm以下であり、底中心部5aと底中心部の上方に位置する細溝部の開始端との上下方向の距離H1 が1乃至4mm、特に1乃至3mmの範囲にあることが好ましい。
さらに、内容物を充填後殺菌を施した容器において、底中心部5aと底中心部の上方に位置する細溝部の開始端との上下方向の距離H2 が0.5mm以上、特に1mm以上の範囲にあることが好ましい。
また、細溝部10によって分離された二山の足付け根部8a、8bはその先端において1乃至10mm程度の曲率半径(図2のR4 )を有していることが好ましい。
【0038】
[ペタロイド型底部の物性]
本発明の容器では、底中心部5aを除き、底部全体が高延伸配向状態にて薄肉化されている。即ち、底中心部5aを除き、結晶化度が20%以上、特に25%以上となるように高配向結晶化され、肉厚が0.15〜1.0mm、好ましくは0.2〜0.8mmになるように延伸により薄肉化されている。底中心部5a(ゲート部)も、上記の配向結晶化度及び薄肉範囲となるように延伸薄肉化されていることが好ましい。
【0039】
ブロー成形工程或いはそれに続く熱処理工程で底部を加熱して、結晶化をさらに向上させることも重要である。延伸部を加熱することにより、実質的に白化のない透明な底部を形成させることができる。
少なくとも胴径D0 の50%以内に含まれる谷部の結晶化度を30%以上とすることが、耐熱耐圧性の点で好ましい。
なお、容器各部の結晶化度Xc は、密度法により測定されるが、測定部位の密度ρ(g/cm3 )を密度勾配管により測定し、結晶体密度ρc (1.455g/cm3 )および非晶体密度ρam(1.335g/cm3 )の値を使用し、下記の式にて換算して求める。
Figure 0003684692
【0040】
本発明では、底部を高延伸配向状態とし、さらに加熱により結晶化度を向上させることにより、底谷部を高強度にすることができ、底谷部の70℃での降伏荷重を25kg/cm以上、特に30kg/cm以上とすることができる。
上記の底谷部の70℃での降伏荷重値を満足するには、底中央谷部5を含む底谷部の厚みは0.3mm以上とすることが好ましい。この際、底谷部、特に底中央部5の厚みが0.3mmを下回り、その薄肉谷部位が比較的広範囲に存在する場合、70℃での降伏荷重値が低下するため、充填殺菌後にその部位の変形が過大となり好ましくない。
【0041】
一方、底部の厚みが1mmを越えるときには、通常延伸加工に伴う配向結晶化度は10%以下の数値となり、60〜70℃の温度域での好ましい降伏応力強度を得ることが難しくなる。また、底部に比較的大きな未配向の或いは低配向の厚肉部が存在すると、熱処理に際して熱結晶化(白化)が進行して、耐熱性は向上するとしても、耐衝撃性が低下する。さらに、低延伸配向厚肉部が底部の凹凸部に来る場合、その凹凸部分の境界に無理が生じて、ストレスクラック、クレーズ等の欠陥が発生しやすくなる。
これに対して、本発明では、前記底形状を採用することにより、足部の局部的な薄肉化を防止しながら、底部の高度の延伸配向が可能となり、これを高配向結晶化させることにより、70℃の温度での降伏応力強度を十分高めて、65〜70℃程度温度で熱殺菌処理を行う耐熱耐圧容器として十分に使用できるのである。さらに、本発明容器の底部では高強度であるとともに柔軟性に富んでおり、底部の凹凸部位でのストレスクラック、クレーズ等の欠陥の発生は皆無となる。
【0042】
上記したように、本発明容器では底部全体が高延伸状態にて1mm以下の肉厚に薄肉化されることが好ましいが、70℃での降伏荷重が25kg/cm以上である限りにおいて、比較的小さな領域にて1mmを越える厚肉部が存在してもかまわない。特に、底中心部5a(ゲート部)が厚肉部として残存している場合には、その厚肉部の径が比較的小さく且つ底谷部の降伏荷重が本発明の範囲を満足する限りにおいて、比較的に好ましい耐熱耐圧性能を有することができる。
【0043】
[底谷部及び底中央足付け根部の寸法関係]
本発明の容器では、底中央の谷部5が球面の一部からなっている。足先端部の肉厚を確保する成形上の観点から、図3において、底中央付近の谷部の曲率半径R1 を胴部の半径R0 (D0 /2)よりも大きくし、底部周縁の谷部の曲率半径R2 を小さくして胴部と滑らかに接続することが好ましい。即ち、底中央谷部5は、底中心軸上に中心を有する曲率半径R1 である球面上に位置しており、その球面の範囲は底中心部5aを含み、球面の中心点と足先端部を結ぶ直線上にその球谷面が含まれることが好ましい。また、底中央谷部5の曲率半径R1 は胴部半径 R0 の1.3乃至2倍が好ましい。
【0044】
底中央付近の谷部の曲率半径R1 が1.3×R0 を下回ると足部の成形性が劣り、足先端部の肉厚を確保することが難しくなる。一方、谷部の曲率半径R1 が2×R0 を上回ると、底部の耐熱耐圧強度が低下し、充填後の谷部の変形が大きくなりすぎる傾向にある。
【0045】
曲率半径R1 である谷部6の範囲は、その谷球面の中心と足接地部とを結ぶ直線と仮想谷球面とが交わる円の直径をD1 としたとき、式
1 /D0 =0.55〜0.75
を満足する範囲となっていることが好適である。
【0046】
谷部6は下に凸状で底中心部5aが最下点であり、底中心部5aより底中央5にて足部が始まる足付け根部8に至るまでは球面に沿って谷部は上昇すると共に、足付け根部よりも径方向外方では放射状に上昇し、足の付け根部より放射状に延びる足部は谷部とは逆に接地部に至るまで降下する曲線形状より成る。
【0047】
[その他の底形状]
本発明の容器では、耐熱圧性の点で、成形性を損なわない範囲で谷部の表面積を増加させるように配慮している。
【0048】
容器底部における諸寸法の説明をも兼ねる図2(要部拡大断面図)において、この容器の底部直上の胴部3はD0 の胴径を有しており、底部4はDF の底中央部直径を有している。底の中心から胴径D0 の40%の直径の円を描き、この円内に含まれる谷部4の表面積をSとし、その胴径40%の直径内に含まれる底部全体を谷部曲面にて覆った仮想曲面の表面積をS0 とする。また、底の中心から胴径D0 の80%の直径の円を描き、この円内に含まれる谷部4の表面積をS’とし、その胴径80%の直径内に含まれる底部全体を谷部曲面にて覆った仮想曲面の表面積をS0 ’とする。
【0049】
本発明では、谷部形状を、足部の成形性を損なわない範囲で谷部の面積を増やすように寸法を定める。即ち、底中央足付け根部の径DF を適正値に保つこと、即ち、耐熱圧性の向上、成形性の確保を目的として、下記式
0.35D0 ≧DF ≧0.23D0
を満足する範囲としている。
【0050】
また、胴径D0 の40%の直径に含まれる谷部の表面積Sを
S/S0 =0.65〜0.9、好ましくは0.7〜0.85
とし、胴径D0 の80%の直径に含まれる谷部の表面積S’
S’/S0 ’=0.2〜0.45、好ましくは0.3〜0.40
としている。
【0051】
本発明では、図9に示すとおり、隣り合った足部間7,7を横切り且つ谷部6に垂直な面において、谷部6の一方の端とこれに対応する足部7の端とを結ぶ線aと、谷部6の他方の端とこれに対応する足部7の端とを結ぶ線a’との間に、足部を挟む足部開き角度θを規定する。
【0052】
本発明者らは、鋭意研究を行った結果、特に足部間を横切り且つ谷部に垂直な面において足先端部に至る谷部を挟む足部開き角度θに着目した。例えば上記足部開き角度θが55°である容器に3ガスボリュームの内容物を充填すると、足部開き角度θは58°に広がった。その充填品に70℃の熱水シャワーを掛けて、底中心部が65℃の温度で15分間となる条件にて熱殺菌を行った場合、底部が変形して上記の足部開き角度θが90°にまで広がってしまう観測結果が得られた。
【0053】
本発明者らは熱殺菌時の上記足部開き角度θの著しい拡大が谷部の比較的大きな変形、すなわち谷部の膨張を生じさせると考えた。そこで、足先端部に至る足部位における谷部を挟む足部開き角度θを予めある程度以上に大きくしておけば、結果的に熱殺菌時の谷部の変形が抑制できることを思いつき、実験を行った。
実験の結果、上記足部開き角θを65°以上とした容器では、熱殺菌処理時の谷部の変形が極めて小さくできることを見いだしたのである。
【0054】
谷部を挟む足部開き角θを大きくすることは、例えば球面等の曲面の一部からなる谷部を足部が引っ張り上げるように作用する力の作用方向を球面の方向に近づけるものであり、そのため、球面状谷部に垂直に働く力成分、すなわち谷部を変形させる力成分を減じることになる。その結果、谷部の変形を減じることができるのである。
【0055】
本発明では、足部間を横切り且つ谷部に垂直な面において足先端部に至る底谷部を挟む足部開き角度θを65°以上、特に好ましくは70°乃至90°の範囲とする。足部開き角度θが65°を下回った容器では、内容物の充填、熱殺菌処理後の足部開き角度θが大きく拡大し、それに伴って谷部の変形量も大きくなりすぎる。以上のように耐熱耐圧性能上は足部開き角度θを大きくすることが好ましいが、一方、足部開き角度θが大きくなりすぎると足先端接地部の幅が細くなる傾向にある。この足先端接地部が細くなりすぎると、特に充填前の空容器にて転倒しやすくなる傾向にあり、好ましくない。従って、足部開き角度θは90°以下とすることが好ましい。
【0056】
本発明では、さらに、底中心から足接地部までの高さである足高さH0 (図3)は3mm乃至6mmであることが好ましい。足高さH0 が3mmを下回ると、内容物の充填及び熱殺菌処理後の容器の自立性を有効に確保することが難しく、また、足高さH0 が6mmを上回ると、谷部から足部までの距離が長くなり、足部先端の厚みを確保することが難しくなる。
【0057】
足部の本数は3乃至6本、特に4乃至5本であることが好ましい。足部の本数があまりにも少ない場合、足角度θを比較的大きく取るため、足接地部の幅を大きくすることが難しく、そのため空容器が転倒しやすくなる問題が生じる。一方、足部の本数を7本以上とすると、足角度θ及び谷部幅を好ましい範囲に収めることが難しくなり、さらに足部の幅が狭くなることにより、足部の成形性が劣ることになる。
【0058】
[容器の製造法]
本発明の自立容器は、一度のブロー成形にて最終製品形状とする1段ブロー成形法或いは二度のブロー成形にて製品を得る2段ブロー成形法において、最終段のブロー成形型として、前述した容器底形状に対応した底形状の金型を用いることにより製造できる。
【0059】
一般に2段ブロー成形法を用いることが好ましく、1次ブロー成形にてプリフォーム成形品から概ね底がフラットな2次成形品を作成し、その2次成形品の底部及び底部に連なる胴部の一部を加熱収縮させて3次成形品とし、さらにその3次成形体品を前記底形状の金型内で2次ブロー成形して最終形状とする工程を採用するのがよい。
【0060】
[プリフォーム]
本発明において、プラスチック材料としては、延伸ブロー成形及び熱結晶化可能なプラスチック材料であれば、任意のものを使用し得るが、熱可塑性ポリエステル、特にエチレンテレフタレート系熱可塑性ポリエステルが有利に使用される。勿論、ポリカーボネートやアリレート樹脂等を用いることもできる。
【0061】
本発明に用いるエチレンテレフタレート系熱可塑性ポリエステルは、エステル反復単位の大部分、一般に70モル%以上、特に80モル%以上をエチレンテレフタレート単位を占めるものであり、ガラス転移点(Tg)が50乃至90℃、特に55乃至80℃で、融点(Tm)が200乃至275℃、特に220乃至270℃にある熱可塑性ポリエステルが好適である。
【0062】
ホモポリエチレンテレフタレートが耐熱圧性の点で好適であるが、エチレンテレフタレート単位以外のエステル単位の少量を含む共重合ポリエステルも使用し得る。
【0063】
テレフタル酸以外の二塩基酸としては、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸;コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、ドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸;の1種又は2種以上の組合せが挙げられ、エチレングリコール以外のジオール成分としては、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物等の1種又は2種以上が挙げられる。
【0064】
また、エチレンテレフタレート系熱可塑性ポリエステルにガラス転移点の比較的高い例えばポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート或いはポリアリレート等を5%〜25%程度をブレンドした複合材を用いることができ、それにより比較的高温時の材料強度を高めることができる。
さらに、ポリエチレンテレフタレートと上記のガラス転移点の比較的高い材料とを積層化して用いることができる。
【0065】
用いるエチレンテレフタレート系熱可塑性ポリエステルは、少なくともフィルムを形成するに足る分子量を有するべきであり、用途に応じて、射出グレード或いは押出グレードのものが使用される。その固有粘度(I.V.)は一般的に0.6乃至1.4dl/g、特に0.63乃至1.3dl/gの範囲にあるものが望ましい。
【0066】
本発明の容器の製造では、先ず有底筒状のプリフォームを成形し、このプリフォームの口頸部を加熱して、局部的に熱結晶化部を設ける。
【0067】
本発明に用いるプリフォームの一例1次ブロー金型と共に示す図10において、このプリフォーム20は、口部21、胴部22及び閉塞底部23から成っており、口部21には、ネジ等の蓋締結機構24及び容器保持のためのサポートリング25等(図1参照)が設けられており、口部21は熱結晶化すなわち球晶化されている。この球晶化された口部21は、図1の容器口頸部1となるものである。
【0068】
プラスチック材料のプリフォーム20への成形には、射出成形を用いることができる。即ち、プラスチックを冷却された射出型中に溶融射出して、過冷却された非晶質のプラスチックプリフォームに成形する。
【0069】
射出機としては、射出プランジャーまたはスクリューを備えたそれ自体公知のものが使用され、ノズル、スプルー、ゲートを通して前記ポリエステルを射出型中に射出する。これにより、ポリエステル等は射出型キャビティ内に流入し、固化されて延伸ブロー成形用のプリフォームとなる。
【0070】
射出型としては、容器形状に対応するキャビティを有するものが使用されるが、ワンゲート型或いはマルチゲート型の射出型を用いるのがよい。
射出温度は270乃至310℃、圧力は28乃至110kg/cm2 程度が好ましい。
【0071】
プリフォーム20の口部21の球晶化は、これらの部分をそれ自体公知の手段で選択的に加熱することにより行うことができる。ポリエステル等の熱結晶化は、固有の結晶化温度で顕著に生じるので、一般にプリフォームの対応する部分を、結晶化温度に加熱すればよい。加熱は、赤外線加熱或いは誘電加熱等により行うことができ、一般に延伸すべき胴部を熱源から断熱材により遮断して、選択的加熱を行うのがよい。
【0072】
上記の球晶化は、プリフォーム20の延伸温度への予備加熱と同時に行っても或いは別個に行ってもよい。
【0073】
プリフォームの延伸温度は、一般に85乃至135℃、特に90乃至130℃の温度が適当であり、その加熱は、赤外線加熱、熱風加熱炉、誘電加熱等のそれ自体公知の手段により行うことができる。また、口部球晶化は、プリフォーム口部を、他の部分と熱的に絶縁した状態で、一般に140乃至220℃、特に160乃至210℃の温度に加熱することにより行うことができる。プリフォーム口部の結晶化度は25%以上であるのがよい。
【0074】
尚、プリフォームからの延伸ブロー成形には、成形されるプリフォーム成形品に与えられた熱、即ち余熱を利用して、プリフォーム成形に続いて延伸ブロー成形を行う方法も使用できるが、一般には、一旦過冷却状態のプリフォーム成形品を製造し、このプリフォームを前述した延伸温度に加熱して延伸ブロー成形を行う方法が好ましい。
【0075】
二段ブロー成形法によれば、このように口部球晶化及び延伸のための予備加熱を行ったプリフォームを1次ブロー金型内にて二軸延伸ブロー成形して、概ねフラットな底部を形成すると共に、プリフォームの口部球晶化及びその近傍以外の部分を高延伸倍率に延伸した2次成形品とし(図11);この2次成形品の底部及び底部に連なった胴部の少なくともその一部を加熱して、該底部及び一部胴部が収縮した3次成形品とし(図12A、B、C);次いでこの3次成形品を2次ブロー金型内にてブロー成形して、複数の谷部及び足部から成り、高延伸により薄肉化された底部を有する最終製品とする(図13及び図14)。
【0076】
[1次ブロー成形]
1次ブロー成形工程を示す図10(成形前)及び図11(成形後)において、プリフォーム20は、コア金型31によりその口部を支持されており、閉じた割金型32内に保持される。コア金型の反対側には、2次成形品の底形状を規定する底金型33も配置されている。プリフォーム20内に延伸棒34を挿入し、その先端をプリフォーム底部に押し当てて、プリフォーム20を軸方向に引っ張り延伸すると共に、プリフォーム20内に流体を吹き込んで、プリフォームを高さ及び周方向に膨張延伸させる。この際、延伸棒34と同軸に、底金型33の側にプレス棒35を配置して、引っ張り延伸に際して、プリフォームの底部23が延伸棒34とプレス棒35とにより狭持され、プリフォームの底部23が形成される2次成形品36の中心に位置するように位置規制する。底金型33は、2次成形品36の底形状を、続いて行う熱処理工程で底形状が以下に説明する好適な形に規制するためのものである。
【0077】
即ち、図10に示すとおり、底金型33は概ねフラットな底形成部37と、その中央において小径で突出した底凹部形成部38とを備えている。これは、2次成形品36の底部の収縮に際して、底部の中心側へのくぼみを抑制して、最終成形品の底形状に近い半球状面を形成するように作用するからである。
【0078】
更に、図11に示すとおり、1次ブロー成形に際して、2次成形品36の底部の中央部外面に比較的小さな凹部39を設けておくと、熱処理工程で、3次成形品の底肩部が径内方側に過度に引き込まれて底肩部径が小さくなり過ぎるのを防止する。これは、前記凹部39が熱収縮時に底中央部を概ね平坦状に収縮させる作用をしているためと思われる。凹部39の寸法は、径が最終容器の胴径D0 の15乃至60%程度、深さが0.5乃至5mm程度が適当である。この凹部39の形成は、底金型33の中央部内面に内向きの突起38を形成しておくことにより達成される。
【0079】
延伸倍率は、軸方向延伸倍率を2乃至5倍、特に2.2乃至4倍、周方向延伸倍率を2.5乃至6.6倍、特に3乃至6倍とするのがよい。軸方向延伸倍率は、プリフォーム成形品の軸方向の長さと延伸棒のストローク長とによって決定されるが、周方向の延伸倍率は、プリフォームの径と金型キャビティの径とにより決定される。圧力流体としては、室温或いは加熱された空気や、その他のガス、例えば窒素、炭酸ガス或いは水蒸気等を使用することができ、その圧力は、通常10乃至40kg/cm2 ゲージ、特に15乃至30kg/cm2 ゲージの範囲にあるのがよい。
【0080】
本発明では一次ブロー成形工程にて底部を比較的高延伸にて薄肉化することが好ましい。本発明では、延伸加工が終了する直前までの間でのプリフォーム底部の延伸棒とプレス棒とでの挟み込み部の温度低下を40℃以内、より好ましくは25℃以内とすることにより、その挟み込み部及びその周縁を比較的に高延伸状態にて薄肉化できる。
上記温度低下が25℃以下の場合、底中心部5aを含めた底全体が比較的高延伸状態にて、通常1mm以下の肉厚に薄肉化することができ、最終的に好ましい耐熱耐圧性能を有する容器を得ることができる。
また、上記温度低下が25℃を越え40℃以内の場合、通常延伸棒とプレス棒とでの挟み込み部、すなわち底中心部5aの周辺は比較的高延伸状態にて薄肉化されるが、その挟み込み部はその周辺よりも比較的厚肉状にて残る。しかし、その挟み込み部の肉厚は通常1.5mm以下で、且つ比較的小径であるため、底中心部5aが完全に高延伸状態に薄肉化された場合よりも多少性能が低下するが、最終的に比較的に好ましい耐熱耐圧性能を有することができる。
【0081】
延伸加工が終了する直前までの間に、プリフォーム底部の挟み込み部の温度低下が40℃を越えると、ブロー成形時のその挟み込み部周縁の延伸が困難となり、比較的低延伸状態で比較的厚肉のままで残ってしまう。すなわち、底中央以外の温度低下の少ない部分のみが比較的高延伸状態に延伸加工されることになる。
【0082】
プリフォーム底部の挟み込み部の温度低下を低くするための手段として、延伸棒及びプレス棒からの過剰な熱伝導を防止することが有効である。具体的には、少なくとも延伸棒或いはプレス棒の先端部を断熱性能を有する耐熱性プラスチック材またはセラミック材とすることが好ましい。
また、プレス棒或いは延伸棒を加温し、比較的高温に温度制御する手段も有効である。プレス棒及び延伸棒の加温は、通常プリフォームの延伸温度に対応して60℃乃至130℃とすることが好ましい。
その加温方式としては、電気ヒータ、高周波誘導加熱などによる電気的加熱方式、高温液体の循環による流体加熱方式、ヒートパイプなどの熱伝導方式等を採用することができる。
【0083】
熱処理工程の詳細を示す図12Aにおいて、2次成形品36はコア金型31に支持させて自転しており、この2次成形品の底部37及び底部に連なった胴部の少なくとも一部と対面するように第1の赤外線放射体42が設けられている。第1の赤外線放射体42は、2次成形品36の底部40の上方に位置し、胴部41に概ね垂直に置かれており、この底部用赤外線放射体42により、2次成形品の底部及び底部に連なる胴部の一部を最初に加熱収縮させる。
【0084】
底部用赤外線放射体42により先行して行われる2次成形品の加熱では、図12のBに示すとおり、主に2次成形品の底部及び胴部と底部の連結部が収縮するが、底部が中心部に向かって収縮し、且つ胴部と底部の連結部は底部用赤外線放射体42に近い部位、即ち中心部に近い部位からその外側の部位に順次に収縮する。この段階では、胴部の円周方向への収縮は少ないため、底部の収縮形状は比較的径の大きな制御された底肩部43を有するものとなる。
【0085】
次に、少なくとも胴部の周囲に位置し、胴部に概ね平行に置かれた胴部用赤外線放射体44により、2次成形品の底部に連なる胴部の一部を加熱収縮させる。12図のB及びCにおいて、胴部の他の部分を胴部用赤外線放射体44から遮蔽するために熱遮蔽板45が設けられている。
【0086】
底部が収縮して得られた底肩部43は、次の胴部用赤外線放射体44による加熱において、さほど収縮することなく概ねその形状を確保することができる。
胴部用赤外線放射体44による加熱は、底部が収縮して得られた底肩部43より下方の胴部を加熱収縮させること及び底肩部43近傍の温度を上昇させることに寄与する。
【0087】
この様にして得られた3次成形品46の加熱収縮部は、図12のCに示すとおり、底面が中心部より底肩部43にかけて概ね平坦状乃至は凸状の比較的大きな曲率半径を有する曲面であり、底肩部43より外側の部分47は概ね円筒状乃至円錐台に近い形状にて急激に折れ曲がっている。
さらに、3次成形品46の加熱された底肩部より内側の成分、底肩部近傍及び底肩部下方の円筒部は、2次ブロー成形に最適な温度レベルに保持される。
【0088】
続いて行う2次ブロー成形において、3次成形品の底肩部43及びその近傍が最終成形品の足先端部に来ることになる。従って、この底肩部43を2次ブロー底型の谷部及び足先端部にできるだけ接近させること、及び底肩部を挟む底部及び円筒部の温度を上げて延び易くすることが重要であり、それにより2次ブロー成形時の好ましい成形性を確保することができる。
【0089】
2次成形品36の底部及び一部胴部の加熱は、120乃至200℃の温度で行うのがよく、これにより、これらの部分の熱収縮と熱固定を有効に行うことができる。赤外線放射体からの加熱では、非接触式加熱であるので、底部及び一部胴部の収縮が、拘束なしに行われ、また、2次成形品の表面に照射された赤外線は、その一部が板厚分を通過し、照射部位に対向する反対側の内面側に至ってその一部がさらに吸収され内面側から器壁の赤外線による加熱が極めて効率良く短時間内に均一に行われる。
【0090】
また、前記熱処理工程の赤外線放射体42、44を、2次成形品が移動する通路にそって、該通路の上部及び側面に配置し、該赤外線放射体で囲まれた空間内を2次成形品を軸方向に自転させて加熱しながら移動すれば、2次成形品の加熱収縮と工程間の移動が同時にできるので、ロスタイムなしで熱処理を行うことができると共に、生産性を向上させることができる。
【0091】
赤外線放射体は400〜1000℃程度に加熱された比較的放射効率に優れた且つ比較的表面積の大きな面状の表面を有するものを組み合わせて使用するとよい。これにより、比較的高エネルギー密度の赤外線を2次成形品に照射することができ、短時間加熱が可能となる。特に、2次成形品の加熱部位は高延伸により薄肉化されているため、前記赤外線加熱体により例えば10秒以下の短時間にて所定の温度とすることができる。その赤外線加熱体としては具体的には炭素鋼或いはステンレス鋼等の金属面、アルミナ、マグネシア或いはジルコニア等のセラミック面、セラミックとカーボン等の複合材面などの固体表面或いはガスを燃焼して得られる気体表面などが利用できる。固体からなる赤外線加熱体の表面は埋め込んだ電熱ヒータによる加熱或いは高周波誘導加熱などにより所定の温度とする。
【0092】
一次ブロー成形にて高延伸により薄肉化された2次成形品の底部は比較的成形性に乏しく、2次ブロー成形を良好に行うためには成形部の温度を120〜200℃とすることが必要である。また、3次成形品の加熱部位を120〜200℃の温度に加熱して熱固定を行うことにより、最終的に容器の底谷部の結晶化度を前述した範囲にすることができる。底部高延伸配向による耐熱圧強度の向上を加えて、この底部結晶化によりさらに耐熱圧強度を高めることができる。
【0093】
2次ブロー成形工程の詳細を示す図13において、3次成形品46は、コア金型31によりその首部を支持されており、閉じた割金型51内に保持される。コア金型の反対側には、最終容器の底形状を規定する底金型52も配置されている。3次成形品46内に流体を吹き込んで、3次成形品を2次ブロー成形し、所定の谷部及び足部を備えた最終容器(5本足)50の底形状に形成する。成形された容器50は、それ自体公知の取り出し機構(図示せず)により、開いた2次ブロー金型51から外部に取り出される。
【0094】
2次ブロー成形工程では、熱処理工程での成形品(3次成形品)を2次ブロー成形型中でブロー成形して、前記足部と谷部とが交互に配置された底部に成形する。この2次ブロー成形に際して、当然のことながら、用いる2次ブロー成形金型のキャビテイは3次成形品よりも大きく、自立性底形状を含めて、最終成形品の寸法及び形状に合致するものでなければならない。
【0095】
また、3次成形品では、熱処理による結晶化で、弾性率が増加しているので、高い流体圧を用いて行うのがよく、一般に15乃至45kg/cm2 の圧力を用いるのが好ましい。
【0096】
2次ブロー成形に際して、金型の温度は、5乃至135℃の温度に維持して、成形後直ちに冷却が行われるようにしてもよいし、或いは、最終成形品中に冷風等を流して冷却が行われるようにしてもよい。
【0097】
本発明の耐熱圧ポリエステルボトルは、自生圧力を有する内容物を充填し、加熱殺菌乃至滅菌する用途に有用であり、炭酸入り飲料や窒素充填飲料乃至調味料等を充填保存する容器として有用である。耐熱耐圧用容器として、ガス容量は3VOL程度まで可能であり、加熱殺菌温度は、60乃至80℃が適当である。
【0098】
【実施例】
本発明を次の具体例及び比較例により、更に説明する。
【0099】
比較試験1
図10乃至図13に示されるような2段ブロー成形法の装置を用いて、最終成形品の最大胴径D0 が92.5mm、全高さが303mm、容量が1500mlで、底部が5本の足部及び谷部とから構成される図1に示されるようなポリエチレンテレフタレート(PET)製の容器を作成した。
【0100】
有底状のプリフォームを用意し、図10に示されるような、高さが318mmで、底部に連なる胴部の直径が92.5mmであり、且つ中央部が内方に、径が30mmで深さが2mmの凹状部を有する底型よりなるブロー金型を用いて、1次ブロー成形を行った。その1次ブロー成形では、最初にプリフォームを100℃の延伸温度に加熱して金型内に導入し、次にプリフォームの底部を内部に設置された延伸棒と外部に設置されたプレス棒とで挟み込み、延伸棒でプリフォーム底部を突き上げながら同時に20kgf/cm2 の圧縮空気をプリフォーム内に吹き込んでブロー成形し、2次成形品を得た。その際、延伸棒及びプレス棒の先端の材質を断熱性の良好なポリテトラフルオロエチレン製(TF製)とした。
得られた2次成形品の底部は中央に凹み(径が30mm、深さが2mm)を有し、且つ底中心部を含んで0.35〜0.6mmの肉厚に高延伸配向されていた。その際の底部の結晶化度は25〜35%であった。
【0101】
次に、セラミック内に電熱ヒータを組み込んだ面状の赤外線加熱体を第1段階の底面に平行に配置した底部用赤外線放射体と、第2段階の底面に平行な底部用赤外線放射体と胴面に平行に配置した胴部用赤外線放射体とを組み合わせて成るトンネル状の熱処理装置中を2次成形品を自転させながら移動させることにより、2次成形品の底部及び底部に連なる胴部の一部を図12に示すように加熱収縮させて、3次成形品を得た。赤外線加熱体の温度は底部用が950℃で、胴部用が900℃であり、トータルの加熱時間は8秒間であった。得られた3次成形品の加熱部位は2次ブロー成形金型の底谷曲面に極く近接しており、且つ十分収まる形状であった。
【0102】
最後に、加熱状態にある3次成形品を所定の5足の底形状を有する2次ブロー金型を用いて、40kgf/cm2 の圧縮空気にて2次ブロー成形して前記容器を得た。
その際、2次ブロー金型の5足底型として、図2に示されるように5本の足部中央に底幅が0.5〜1mmで深さH1 が1.6mmの細溝を有しており、且つ底中央部が球面の一部である底形状の実施例1の底型と、図6に示されるように比較的大きな幅の足部付け根部を有し、且つ底中央部が平坦状である、すなわち底中心部と足付け根部が同一平面上にある底形状の比較例1の底型とを用意した。
また、いずれの底型においても底中心部から足接地部までの高さH0 が4.5mm、足付け根部幅Wが10mm、底中央を横切る谷部の曲率半径R1 が85mm、足部間を横切り且つ谷部に垂直な面において谷部を挟む足角度が70°、胴径D0 の40%の直径内に含まれる底谷部の合計表面積Sと胴径D0 の40%の直径内に含まれる底部仮想曲面の表面積S0 との比S/S0 が0.8、胴径D0 の80%の直径内に含まれる底谷部の合計表面積S’と胴径D0 の80%の直径内に含まれる底部仮想曲面の表面積S0 ’との比S’/S0 ’が0.34、及び足付け根部内側にある底中央谷部の直径を28mmとした。
【0103】
いずれの場合も得られた容器の底部の肉厚は0.22〜0.6mmの範囲であった。その内、底中央谷部の肉厚は0.45〜0.5mmであり、その部位の結晶化度は40〜45%であった。また、足先端部の肉厚は0.22〜0.3mmであり、過延伸に伴う白化は一切見られなかった。
【0104】
得られた容器の性能試験として、各例とも10本の容器に2.8ガスボリューム(GV)及び2.3ガスボリューム(GV)の炭酸水を充填してキャッピングした後、70℃の熱湯を容器上部から30分間流すことにより内容物の加熱殺菌処理を行った。その加熱殺菌処理において底中心部は最大69℃までの温度上昇が見られた。加熱殺菌処理の終了し冷却した容器底部の変形量を測定し、足高さ(H)がマイナスである、すなわち底中心部が足よりも下方に出ている自立性に欠ける容器の本数を調べた。結果を表1に示す。
また、実施例1の容器では、2.8GVのガス圧にて加熱殺菌処理した容器底部の底足高さHが0.5乃至0.7mmであり、底中心部と足付け根部中央の細溝部の最上部との高さ方向の距離H2 が1.2乃至1.5mmであった。このように、実施例1の本発明容器では充填殺菌後も上記の細溝部の深さが余り変化することなく残されており、それが足付け根部及びそれに連なる底中心部の充填殺菌後の変形を抑制して、好ましい耐熱耐圧性が得られた。
一方、比較例1の容器では、2.8GVのガス圧にて加熱殺菌処理した容器底部の底足高さHは−0.3乃至−0.8mmと、底中心部が足部よりも下方に突出しており、さらに底中心部の変形に同期して足付け根部も下方に大きな変形を生じていた。このように、比較例1の容器では充填殺菌に伴い底中央平坦部が概ね球面状に変形を行い、足付け根部にはその変形を抑制する能力が欠けていた。
【0105】
【表1】
Figure 0003684692
【0106】
比較試験2
2段ブロー成形法により、最終成形品の最大胴径D0 が92.5mm、全高さが303mm、容量が1500mlで、底部が5本の足部及び谷部とから構成されポリエチレンテレフタレート(PET)製容器を作成した。
容器の作成は比較試験1に準じて行った。
その際、容器の底形状となる2次ブロー金型の底型として、実施例2、実施例3及び比較例2からなる3種類の底型を用意した。その内、実施例2及び実施例3では、図2に示されるような5本の足部中央に底幅が0.5〜1mmで底中心部からの深さH1 が約1.6mmの細溝を設けた。一方、比較例2では、図15に示されるように底中央の足付け根部が比較的小さな曲率半径の円弧からなるようにした。さらに、その3種類の底型にて、足部間を横切り且つ谷部に垂直な面において谷部を挟む足角度θ、底中央近傍における谷底部の曲率半径R1 と胴部半径R0 との比率R1 /R0 、足付け根部の径DF (mm)、胴径D0 の40%の直径内に含まれる底谷部の合計表面積Sと胴径D0 の40%の直径内に含まれる底部仮想曲面の表面積S0 との比S/S0 、及び胴径D0 の80%の直径内に含まれる底谷部の合計表面積S’と胴径D0 の80%の直径内に含まれる底部仮想曲面の表面積S0 ’との比S’/S0 ’の数値を適当に組み合わせた。
本比較試験に供した3つの2次ブロー金型の底形状の数値を表2に示す。なお、その3種類の底型では底中心部から足接地部までの高さH0 を4.5mmとした。
【0107】
何れの場合も得られた容器の底中心部を含めた半径30mm内の底谷部の厚みは0.4〜0.6mmであり、その部位の結晶化度は30〜47%であった。得られた容器の足先端部の厚みTの測定値を表2に併せて示す。
【0108】
容器性能評価試験として、試作した各例とも10本の容器に2.6ガスボリューム(GV)の炭酸水を充填してキャッピングした後、70℃の熱湯を容器上部から30分間流すことにより内容物の加熱殺菌処理を行った。その加熱殺菌処理において底中心部は最大69℃までの温度上昇が見られた。加熱殺菌処理の終了し冷却した容器底部の変形量を測定し、足高さ(H)がマイナスである、すなわち底中央が足よりも下方に出ている自立性に欠ける容器の本数を調べた。その結果を表2に併せて示す。
【0109】
【表2】
Figure 0003684692
【0110】
以上の比較試験1及び2の試験結果から本発明容器は耐熱耐圧性に優れていることが理解される。
【0111】
【発明の効果】
本発明によれば、樹脂の二軸延伸ブロー成形によって形成された口頚部、肩部、胴部及び複数の谷部及び足部とよりなる底部を備えた自立性容器において、前記足部を、底部中央にて谷部に接続する足部付け根部と、該足部付け根部の中央より放射状に延びている細溝部と、該細溝部を間に挟んで細溝部より外方に張り出した一対の凸状部とから構成し、且つ前記足部の一対の凸状部と谷部とを前記足部付け根部の位置で不連続な曲線となるように接続したことにより、底部全体が延伸により薄肉化されながら足部の過度の薄肉化が防止され、加熱殺菌時における底部の熱クリープ現象が完全に防止され、しかも優れた耐熱耐圧性、耐衝撃性及び自立性の組み合わせを有する二軸延伸樹脂容器を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の自立容器の一部断面側面図である。
【図2】図1の自立容器の底面図である。
【図3】容器底部の図2におけるA−A断面図である。
【図4】容器底部の図2におけるB−B断面図である。
【図5】内容物充填状態での容器底部の図3に対応する断面図である。
【図6】容器底部の足部と底中央谷部との接続幅を示す説明図である。
【図7】底中央谷部が平坦となった容器底部(比較例)の断面図である。
【図8】内容物充填状態での図7の容器底部の断面図である。
【図9】図1の自立容器の底部の斜視図である。
【図10】1次ブロー成形工程を説明するための断面図であって、成形開始前の状態を示す。
【図11】1次ブロー成形工程を説明するための断面図であって、成形開始後の状態を示す。
【図12】熱処理工程を説明するための断面図であって、Aは一段目の熱処理、Bは二段目の熱処理、Cは熱処理終了後の状態を示す。
【図13】2次ブロー成形工程を説明するための断面図であって、成形終了後の状態を示す。
【図14】最終成形品を示す側面図である。
【図15】容器底部の足部と底中央谷部との接続幅(本発明範囲外)を示す説明図である。
【記号の説明】
1 口頚部
2 肩部
3 胴部
4 底部
5 底中央谷部
5a 底中心部
6 谷部
7 足部
8 付け根部
9 接地部
10 細溝部
11a、11b 凸状部
20 プリフォーム20
21 口部
22 胴部
23 閉塞底部
24 蓋締結機構
25 サポートリング
31 コア金型
32 割金型
33 底金型
34 延伸棒
36 2次成形品
37 底形成部
38 底凹部形成部
39 凹部
40 底部
41 胴部
42 底部用赤外線放射体
43 底肩部
44 赤外線放射体
45 熱遮蔽板45
46 3次成形品
47 部分
50 容器
51 割金型
52 底金型

Claims (7)

  1. 樹脂の二軸延伸ブロー成形によって形成された口頚部、肩部、胴部及び複数の谷部及び足部とよりなる底部を備えた自立性容器において、前記足部が、底部中央にて谷部に接続する足部付け根部と、該足部付け根部の中央より放射状に延びていると共に足部の接地部よりも径内方側で終結している細溝部と、該細溝部を間に挟んで細溝部より外方に張り出した一対の凸状部とから構成され、且つ前記足部の一対の凸状部と谷部とは前記足部付け根部の位置で不連続な曲線となるように接続されていることを特徴とする耐熱耐圧性に優れた自立容器。
  2. 前記細溝部は、足部付け根部の中央の位置で、小径の曲率部(R3 =2〜8mm)を介して谷部と円滑に接続されている請求項1記載の自立容器。
  3. 前記足部付け根部は、細溝部により、二山の足部付け根部に分離されている請求項1又は2に記載の自立容器。
  4. 足部の一対の凸状部が細溝部に対して実質上対称に形成されている請求項1乃至の何れかに記載の自立容器。
  5. 前記細溝部の底部の溝幅が5mm以下であり、底中心部と底中心部の上方に位置する細溝部の開始端との上下方向の距離H1 が1乃至4mmの範囲にある請求項1乃至4の何れかに記載の自立容器。
  6. 前記容器に内容物を充填し、熱殺菌を施した後に、底中心部と底中心部の上方に位置する細溝部の開始端との上下方向の距離H2 が0.5mm以上である請求項1乃至5の何れかに記載の自立容器。
  7. 前記容器に内容物を充填し、熱殺菌を施した後に、底中心部と底中心部の上方に位置する細溝部の開始端との上下方向の距離H2 が1mm以上である請求項6記載の自立容器。
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