JP3680193B2 - 中空二重壁構造体およびその製造方法 - Google Patents
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- Moulds For Moulding Plastics Or The Like (AREA)
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性プラスチックをブロー成形することにより得られる中空二重壁構造体、およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、建築物の内装壁、パーティション、扉、あるいは自動車のフロアトランクリッドやリヤーパーセルシュエルフなどを構成するプラスチック製の中空二重壁構造体において、中空部内に形成するインナーリブに平板状でかつ曲面状の棒状体をインサートすることにより、強度および剛性を向上させる技術は、特開平9−155957号公報に記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前掲の特開平9−155957号公報に記載されている技術は、本出願人が開発したものであるが、その後の検討の結果、主にブロー成形上、次のような問題点のあることが分かった。
【0004】
すなわち、特開平9−155957号公報に記載されている技術においては、ブロー成形される中空二重壁構造体にインサートされる棒状体が平板状でかつ曲面状のものであるところから、ブロー成形後に中空二重壁構造体が冷却する過程で生じる冷却収縮が、インサートされている棒状体によって部分的に妨げられる現象を呈し、この現象による収縮差が変形歪みの原因となることである。
【0005】
一方、この種の中空二重壁構造体のように、プラスチックの成形体に金属のパイプをインサートしたものにおいては、その廃棄処理時に、材料の再生利用のうえからプラスチック材と金属材とに分ける処理が求められるが、前掲従来のものでは、金属体がプラスチックの成形体の内部に完全に埋没しているうえ金属体が外側から全く見えないので、プラスチック材から金属材を分別する作業が容易でない。
【0006】
そこで、本発明は、上述のような課題を解決しようとするものであって、中空部内には真っ直ぐなパイプを配設することと、パイプが包囲される包囲壁と一体を成す裏壁のパイプの端部に対応する部位に、パイプの端面に対する遊び間隔を保持する凹部を設けたことにより、軽量で剛性を有する中空二重壁構造体が得られるとともに、ブロー成形後において中空二重壁構造体が冷却収縮する過程で、パイプに接している部位の収縮にともなうパイプの表面に対する滑り性が良くて、しかもパイプの長さが相対的に増大する分を裏壁の凹部において逃がすことができ、パイプをインサートすることにより強度および剛性の向上を図ったものであっても成形後の冷却収縮による変形歪みを生じない中空二重壁構造体を得ることを第1の目的とするものである。
【0007】
また、本発明は、パイプの全長にわたってその周面の一部を裏壁側に露出させる溝部を形成する包囲壁で包囲したことにより、中空二重壁構造体にインサートした金属パイプの一部を外部から見えるようにし、中空二重壁構造体の廃棄時に、プラスチックの成形体から金属体を確実に分別することができるとともに、その作業を容易にすることを第2の目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る中空二重壁構造体は、表壁と、表壁に間隔をおいて対向する裏壁と、表壁および裏壁との間に中空部を形成する周囲壁とで構成される中空二重壁構造体であって、中空部内には真っ直ぐなパイプが配設されるとともに、パイプの周囲は、少なくとも裏壁と一体に連なり、かつパイプの全長にわたってその周面の一部を裏壁側に露出させる溝部を形成する包囲壁で包囲されており、裏壁のパイプの端部に対応する部位にはパイプの端面に対する遊び間隔を保持する凹部を形成して成ることを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明に係る中空二重壁構造体の製造方法は、表壁と、表壁に間隔をおいて対向する裏壁と、表壁および裏壁との間に中空部を形成する周囲壁とで構成される中空二重壁構造体をブロー成形する方法であって、一対の分割金型のうち裏壁を形成する金型のキャビティに、パイプの外直径より幅が小さいパイプの保持体をキャビティから突出するように設け、パイプをパイプ保持体に保持して金型にインサートしてブロー成形することを特徴とするものである。
【0010】
本発明に係る中空二重壁構造体の製造方法においては、パイプ保持体は磁石で成り、金型にインサートするパイプは強磁性体から成ることが好適である。
【0011】
なお、本発明において、真っ直ぐなパイプとは、必ずしも厳密な意味での真直性を有するもののことではなく、パイプの表面に対する樹脂の滑り性を妨げることのない直線性を有すればよい。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1および図2は本発明の一実施の形態に係る中空二重壁構造体であって、図1は裏面側から見た斜視図、図2は図1のA−A線拡大断面図である。
【0013】
また、図3は本発明の他の実施の形態に係る図2に対応する部分の拡大断面図である。
【0014】
図4、図5および図6は本発明の一実施の形態に係る中空二重壁構造体のブロー成形態様を示し、図4は型閉め過程を示す一部の断面図、図5は型閉め後のブロー成形態様を示す一部の断面図、第6図はブロー成形後型開き状態を示す一部の断面図である。
【0015】
図1において、1は中空二重壁構造体である。この中空二重壁構造体1はパネル状を成しており、2は表壁、3は裏壁、4は周囲壁であって、図2に示すように、表壁2に対して裏壁3は間隔をおいて対向しており、周囲壁4によって表壁2および裏壁3との間に中空部5が形成されている。
【0016】
上記中空二重壁構造体1の中空部5内には、真っ直ぐなパイプ6が配設されるとともに、このパイプ6は裏壁3と一体に連なる包囲壁7でその周面が包囲されており、包囲壁7の裏壁3側には、パイプ6の周面の一部を外部に露出させる溝部8がパイプ6の全長にわたって形成されている。
【0017】
図1に示すように、裏壁3のパイプ6の両端部に対応する部位には、パイプ6の端面に対する遊び間隔を保持する凹部9,9が形成されている。したがって、上記溝部8は凹部9,9間にわたって設けられているものである。
【0018】
図3には、本発明の他の実施の形態が示されている。この実施の形態においては、パイプ6の包囲壁7が裏壁3と一体に連なっているとともに、包囲壁7は表壁2に溶着されており、10はその溶着部である。その他の構成は本発明の一実施の態様と同構成であるから、同構成の部位には同符号を付して説明を省略する。
【0019】
図示の実施の形態では、パイプ6として円筒状のものを用いたが、パイプ6はこれに限られるものでななく、例えば、三角筒状、四角筒状、多角筒状あるいは楕円筒状のものであってもよい。何れにしてもパイプ6は真っ直ぐな形状であればよい。
【0020】
本発明に係る中空二重壁構造体1は、ABS樹脂、変性ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等、ブロー成形可能な熱可塑性樹脂で構成される。また、パイプ6は強磁性体の金属製であり、必要に応じて表面の滑り性を良くするため、メッキなどの表面処理を施すものとする。
【0021】
本発明に係る中空二重壁構造体1は、図4ないし図6に示すようにブロー成形される。表壁2を成形する一方の分割金型11と裏壁3を成形する他方の分割金型12の間に、他方の分割金型12のキャビティ13に設けた保持体14にパイプ6を保持して配置するとともにパリソン15を配置する(図4)。次いで型閉め後、パリソン15内に圧力流体を吹き込んでブロー成形する(図5)。ブロー成形後は、分割金型11,12の冷却により中空二重壁構造体1を構成する表壁2、裏壁3および周囲壁4の表面を冷却し、形状が保持される程度に冷却固化するのをまって型を開き、中空二重壁構造体1を分割金型11,12から取り出す。
【0022】
上記保持体14は磁石で構成されており、その端面にはパイプ6を載せる湾曲凹部16を有している。保持体14は、他方の分割金型12のキャビティ13から裏壁3の略肉厚に相当する分だけ突出している。保持体14はパイプ6の略全長に相当する長さのものであり、その両端には凹部9,9を形成する突出部(図示せず)を有している。パイプ6は強磁性体の金属製であるから、磁石で成る保持体14に載せると磁気によって吸着され、確実に保持される。なお、保持体14は、その一部が磁石で構成されているものであってもよい。
【0023】
上記のように、ブロー成形された中空二重壁構造体1においては、その裏壁3に、図1に示すように、保持体14によって溝部8と凹部9,9が形成される。中空二重壁構造体1にインサートされたパイプ6は、溝部8によって裏壁3側に露出している。図1に示すように凹部9,9は、前述のようにパイプ6の端面に対する遊び間隔を保持するものである。
【0024】
本発明に係る中空二重壁構造体1においては、中空部5内に真っ直ぐなパイプ6が配設されるとともに、パイプ6の周囲は少なくとも裏壁3と一体に連なる包囲壁7で包囲されているが、裏壁3のパイプ6の端部に対応する部位にはパイプ6の端面に対する遊び間隔を保持する凹部9,9を設けているので、ブロー成形後において中空二重壁構造体1を構成する樹脂が冷却収縮しても、パイプ6の表面の包囲壁7に対する滑り性が良くて、包囲壁7の部位に収縮に伴う変形歪みが生じないうえ、中空二重壁構造体1を構成する樹脂に収縮によりパイプ6が相対的に伸長しても、その分が凹部9,9の遊び間隔内に突出することで他に影響を及ぼすことなく吸収されるので、中空二重壁構造体1がパイプ6をインサートすることにより強度および剛性の向上を図ったものであっても、成形後の冷却収縮による変形歪みが生じない。
【0025】
そのうえ、本発明に係る中空二重壁構造体1においては、パイプ6の全長にわたってその周面の一部は溝部8により裏壁3側に露出しているので、中空二重壁構造体1の廃棄時に、中空二重壁構造体1にパイプ6がインサートされていることを容易に認識でき、その分別を確実かつ容易にできる。その際、溝部8に割道具を噛ませることにより、中空二重壁構造体1を簡単に割ることができるので、分別作業がいっそう容易である。
【0026】
【発明の効果】
本発明によれば、中空部内には真っ直ぐなパイプを配設することと、パイプが包囲される包囲壁と一体を成す裏壁のパイプの端部に対応する部位に、パイプの端面に対する遊び間隔を保持する凹部を設けたことにより、軽量で剛性を有する中空二重壁構造体が得られるとともに、ブロー成形後において中空二重壁構造体が冷却収縮する過程で、パイプに接している部位の収縮にともなうパイプの表面に対する滑り性が良くて、しかもパイプの長さが相対的に増大する分を裏壁の凹部において逃がすことができ、パイプをインサートすることにより強度および剛性の向上を図ったものであっても成形後の冷却収縮による変形歪みを生じない中空二重壁構造体を得ることができる。
【0027】
また、本発明によれば、パイプの全長にわたってその周面の一部を裏壁側に露出させる溝部を形成する包囲壁で包囲したことにより、中空二重壁構造体にインサートした金属パイプの一部を外部から見えるようにし、中空二重壁構造体の廃棄時に、プラスチックの成形体から金属体を確実かつ容易に分別することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る中空二重壁構造体を裏面側から見た斜視図である。
【図2】図1のA−A線拡大断面図である。
【図3】本発明の他の実施の形態に係る図2に対応する部分の拡大断面図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係る中空二重壁構造体のブロー成形態様を示し、型閉め過程を示す一部の断面図である。
【図5】型閉め後のブロー成形態様を示す一部の断面図である。
【図6】ブロー成形後型開き状態を示す一部の断面図である。
【符号の説明】
1 中空二重壁構造体
2 表壁
3 裏壁
4 周囲壁
5 中空部
6 パイプ
7 包囲壁
8 溝部
9,9 凹部
10 溶着部
11 一方の分割金型
12 他方の分割金型
13 キャビティ
14 保持体
15 パリソン
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性プラスチックをブロー成形することにより得られる中空二重壁構造体、およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、建築物の内装壁、パーティション、扉、あるいは自動車のフロアトランクリッドやリヤーパーセルシュエルフなどを構成するプラスチック製の中空二重壁構造体において、中空部内に形成するインナーリブに平板状でかつ曲面状の棒状体をインサートすることにより、強度および剛性を向上させる技術は、特開平9−155957号公報に記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前掲の特開平9−155957号公報に記載されている技術は、本出願人が開発したものであるが、その後の検討の結果、主にブロー成形上、次のような問題点のあることが分かった。
【0004】
すなわち、特開平9−155957号公報に記載されている技術においては、ブロー成形される中空二重壁構造体にインサートされる棒状体が平板状でかつ曲面状のものであるところから、ブロー成形後に中空二重壁構造体が冷却する過程で生じる冷却収縮が、インサートされている棒状体によって部分的に妨げられる現象を呈し、この現象による収縮差が変形歪みの原因となることである。
【0005】
一方、この種の中空二重壁構造体のように、プラスチックの成形体に金属のパイプをインサートしたものにおいては、その廃棄処理時に、材料の再生利用のうえからプラスチック材と金属材とに分ける処理が求められるが、前掲従来のものでは、金属体がプラスチックの成形体の内部に完全に埋没しているうえ金属体が外側から全く見えないので、プラスチック材から金属材を分別する作業が容易でない。
【0006】
そこで、本発明は、上述のような課題を解決しようとするものであって、中空部内には真っ直ぐなパイプを配設することと、パイプが包囲される包囲壁と一体を成す裏壁のパイプの端部に対応する部位に、パイプの端面に対する遊び間隔を保持する凹部を設けたことにより、軽量で剛性を有する中空二重壁構造体が得られるとともに、ブロー成形後において中空二重壁構造体が冷却収縮する過程で、パイプに接している部位の収縮にともなうパイプの表面に対する滑り性が良くて、しかもパイプの長さが相対的に増大する分を裏壁の凹部において逃がすことができ、パイプをインサートすることにより強度および剛性の向上を図ったものであっても成形後の冷却収縮による変形歪みを生じない中空二重壁構造体を得ることを第1の目的とするものである。
【0007】
また、本発明は、パイプの全長にわたってその周面の一部を裏壁側に露出させる溝部を形成する包囲壁で包囲したことにより、中空二重壁構造体にインサートした金属パイプの一部を外部から見えるようにし、中空二重壁構造体の廃棄時に、プラスチックの成形体から金属体を確実に分別することができるとともに、その作業を容易にすることを第2の目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る中空二重壁構造体は、表壁と、表壁に間隔をおいて対向する裏壁と、表壁および裏壁との間に中空部を形成する周囲壁とで構成される中空二重壁構造体であって、中空部内には真っ直ぐなパイプが配設されるとともに、パイプの周囲は、少なくとも裏壁と一体に連なり、かつパイプの全長にわたってその周面の一部を裏壁側に露出させる溝部を形成する包囲壁で包囲されており、裏壁のパイプの端部に対応する部位にはパイプの端面に対する遊び間隔を保持する凹部を形成して成ることを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明に係る中空二重壁構造体の製造方法は、表壁と、表壁に間隔をおいて対向する裏壁と、表壁および裏壁との間に中空部を形成する周囲壁とで構成される中空二重壁構造体をブロー成形する方法であって、一対の分割金型のうち裏壁を形成する金型のキャビティに、パイプの外直径より幅が小さいパイプの保持体をキャビティから突出するように設け、パイプをパイプ保持体に保持して金型にインサートしてブロー成形することを特徴とするものである。
【0010】
本発明に係る中空二重壁構造体の製造方法においては、パイプ保持体は磁石で成り、金型にインサートするパイプは強磁性体から成ることが好適である。
【0011】
なお、本発明において、真っ直ぐなパイプとは、必ずしも厳密な意味での真直性を有するもののことではなく、パイプの表面に対する樹脂の滑り性を妨げることのない直線性を有すればよい。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1および図2は本発明の一実施の形態に係る中空二重壁構造体であって、図1は裏面側から見た斜視図、図2は図1のA−A線拡大断面図である。
【0013】
また、図3は本発明の他の実施の形態に係る図2に対応する部分の拡大断面図である。
【0014】
図4、図5および図6は本発明の一実施の形態に係る中空二重壁構造体のブロー成形態様を示し、図4は型閉め過程を示す一部の断面図、図5は型閉め後のブロー成形態様を示す一部の断面図、第6図はブロー成形後型開き状態を示す一部の断面図である。
【0015】
図1において、1は中空二重壁構造体である。この中空二重壁構造体1はパネル状を成しており、2は表壁、3は裏壁、4は周囲壁であって、図2に示すように、表壁2に対して裏壁3は間隔をおいて対向しており、周囲壁4によって表壁2および裏壁3との間に中空部5が形成されている。
【0016】
上記中空二重壁構造体1の中空部5内には、真っ直ぐなパイプ6が配設されるとともに、このパイプ6は裏壁3と一体に連なる包囲壁7でその周面が包囲されており、包囲壁7の裏壁3側には、パイプ6の周面の一部を外部に露出させる溝部8がパイプ6の全長にわたって形成されている。
【0017】
図1に示すように、裏壁3のパイプ6の両端部に対応する部位には、パイプ6の端面に対する遊び間隔を保持する凹部9,9が形成されている。したがって、上記溝部8は凹部9,9間にわたって設けられているものである。
【0018】
図3には、本発明の他の実施の形態が示されている。この実施の形態においては、パイプ6の包囲壁7が裏壁3と一体に連なっているとともに、包囲壁7は表壁2に溶着されており、10はその溶着部である。その他の構成は本発明の一実施の態様と同構成であるから、同構成の部位には同符号を付して説明を省略する。
【0019】
図示の実施の形態では、パイプ6として円筒状のものを用いたが、パイプ6はこれに限られるものでななく、例えば、三角筒状、四角筒状、多角筒状あるいは楕円筒状のものであってもよい。何れにしてもパイプ6は真っ直ぐな形状であればよい。
【0020】
本発明に係る中空二重壁構造体1は、ABS樹脂、変性ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等、ブロー成形可能な熱可塑性樹脂で構成される。また、パイプ6は強磁性体の金属製であり、必要に応じて表面の滑り性を良くするため、メッキなどの表面処理を施すものとする。
【0021】
本発明に係る中空二重壁構造体1は、図4ないし図6に示すようにブロー成形される。表壁2を成形する一方の分割金型11と裏壁3を成形する他方の分割金型12の間に、他方の分割金型12のキャビティ13に設けた保持体14にパイプ6を保持して配置するとともにパリソン15を配置する(図4)。次いで型閉め後、パリソン15内に圧力流体を吹き込んでブロー成形する(図5)。ブロー成形後は、分割金型11,12の冷却により中空二重壁構造体1を構成する表壁2、裏壁3および周囲壁4の表面を冷却し、形状が保持される程度に冷却固化するのをまって型を開き、中空二重壁構造体1を分割金型11,12から取り出す。
【0022】
上記保持体14は磁石で構成されており、その端面にはパイプ6を載せる湾曲凹部16を有している。保持体14は、他方の分割金型12のキャビティ13から裏壁3の略肉厚に相当する分だけ突出している。保持体14はパイプ6の略全長に相当する長さのものであり、その両端には凹部9,9を形成する突出部(図示せず)を有している。パイプ6は強磁性体の金属製であるから、磁石で成る保持体14に載せると磁気によって吸着され、確実に保持される。なお、保持体14は、その一部が磁石で構成されているものであってもよい。
【0023】
上記のように、ブロー成形された中空二重壁構造体1においては、その裏壁3に、図1に示すように、保持体14によって溝部8と凹部9,9が形成される。中空二重壁構造体1にインサートされたパイプ6は、溝部8によって裏壁3側に露出している。図1に示すように凹部9,9は、前述のようにパイプ6の端面に対する遊び間隔を保持するものである。
【0024】
本発明に係る中空二重壁構造体1においては、中空部5内に真っ直ぐなパイプ6が配設されるとともに、パイプ6の周囲は少なくとも裏壁3と一体に連なる包囲壁7で包囲されているが、裏壁3のパイプ6の端部に対応する部位にはパイプ6の端面に対する遊び間隔を保持する凹部9,9を設けているので、ブロー成形後において中空二重壁構造体1を構成する樹脂が冷却収縮しても、パイプ6の表面の包囲壁7に対する滑り性が良くて、包囲壁7の部位に収縮に伴う変形歪みが生じないうえ、中空二重壁構造体1を構成する樹脂に収縮によりパイプ6が相対的に伸長しても、その分が凹部9,9の遊び間隔内に突出することで他に影響を及ぼすことなく吸収されるので、中空二重壁構造体1がパイプ6をインサートすることにより強度および剛性の向上を図ったものであっても、成形後の冷却収縮による変形歪みが生じない。
【0025】
そのうえ、本発明に係る中空二重壁構造体1においては、パイプ6の全長にわたってその周面の一部は溝部8により裏壁3側に露出しているので、中空二重壁構造体1の廃棄時に、中空二重壁構造体1にパイプ6がインサートされていることを容易に認識でき、その分別を確実かつ容易にできる。その際、溝部8に割道具を噛ませることにより、中空二重壁構造体1を簡単に割ることができるので、分別作業がいっそう容易である。
【0026】
【発明の効果】
本発明によれば、中空部内には真っ直ぐなパイプを配設することと、パイプが包囲される包囲壁と一体を成す裏壁のパイプの端部に対応する部位に、パイプの端面に対する遊び間隔を保持する凹部を設けたことにより、軽量で剛性を有する中空二重壁構造体が得られるとともに、ブロー成形後において中空二重壁構造体が冷却収縮する過程で、パイプに接している部位の収縮にともなうパイプの表面に対する滑り性が良くて、しかもパイプの長さが相対的に増大する分を裏壁の凹部において逃がすことができ、パイプをインサートすることにより強度および剛性の向上を図ったものであっても成形後の冷却収縮による変形歪みを生じない中空二重壁構造体を得ることができる。
【0027】
また、本発明によれば、パイプの全長にわたってその周面の一部を裏壁側に露出させる溝部を形成する包囲壁で包囲したことにより、中空二重壁構造体にインサートした金属パイプの一部を外部から見えるようにし、中空二重壁構造体の廃棄時に、プラスチックの成形体から金属体を確実かつ容易に分別することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る中空二重壁構造体を裏面側から見た斜視図である。
【図2】図1のA−A線拡大断面図である。
【図3】本発明の他の実施の形態に係る図2に対応する部分の拡大断面図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係る中空二重壁構造体のブロー成形態様を示し、型閉め過程を示す一部の断面図である。
【図5】型閉め後のブロー成形態様を示す一部の断面図である。
【図6】ブロー成形後型開き状態を示す一部の断面図である。
【符号の説明】
1 中空二重壁構造体
2 表壁
3 裏壁
4 周囲壁
5 中空部
6 パイプ
7 包囲壁
8 溝部
9,9 凹部
10 溶着部
11 一方の分割金型
12 他方の分割金型
13 キャビティ
14 保持体
15 パリソン
Claims (3)
- 表壁と、表壁に間隔をおいて対向する裏壁と、表壁および裏壁との間に中空部を形成する周囲壁とで構成される中空二重壁構造体であって、中空部内には真っ直ぐなパイプが配設されるとともに、パイプの周囲は、少なくとも裏壁と一体に連なり、かつパイプの全長にわたってその周面の一部を裏壁側に露出させる溝部を形成する包囲壁で包囲されており、裏壁のパイプの端部に対応する部位にはパイプの端面に対する遊び間隔を保持する凹部を形成して成ることを特徴とする中空二重壁構造体。
- 表壁と、表壁に間隔をおいて対向する裏壁と、表壁および裏壁との間に中空部を形成する周囲壁とで構成される中空二重壁構造体をブロー成形する方法であって、一対の分割金型のうち裏壁を形成する金型のキャビティに、パイプの外直径より幅が小さいパイプの保持体をキャビティから突出するように設け、パイプをパイプ保持体に保持して金型にインサートしてブロー成形することを特徴とする中空二重壁構造体の製造方法。
- パイプ保持体は磁石で成り、金型にインサートするパイプは強磁性体から成ることを特徴とする請求項2記載の中空二重壁構造体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34210697A JP3680193B2 (ja) | 1997-11-27 | 1997-11-27 | 中空二重壁構造体およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34210697A JP3680193B2 (ja) | 1997-11-27 | 1997-11-27 | 中空二重壁構造体およびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11156924A JPH11156924A (ja) | 1999-06-15 |
JP3680193B2 true JP3680193B2 (ja) | 2005-08-10 |
Family
ID=18351201
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP (1) | JP3680193B2 (ja) |
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JP6764558B2 (ja) * | 2016-02-02 | 2020-10-07 | キョーラク株式会社 | 構造体の製造方法 |
-
1997
- 1997-11-27 JP JP34210697A patent/JP3680193B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
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JPH11156924A (ja) | 1999-06-15 |
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