JP3666550B2 - 新規高分子シリコーン化合物、化学増幅ポジ型レジスト材料及びパターン形成方法 - Google Patents

新規高分子シリコーン化合物、化学増幅ポジ型レジスト材料及びパターン形成方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、1種又は2種以上の酸不安定基を有する高分子シリコーン化合物が更に分子内及び/又は分子間でC−O−C基を有する架橋基により架橋されていることを特徴とし、化学増幅ポジ型レジスト材料のベース樹脂として有用な新規高分子シリコーン化合物、及びこの高分子シリコーン化合物をベース樹脂として含有し、遠紫外線、電子線、X線等の高エネルギー線に対して高い感度を有し、アルカリ水溶液で現像することによりレジストパターンを形成することができる、微細加工技術に適した化学増幅ポジ型レジスト材料及びパターン形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
近年、LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターンルールの微細化が求められている中、現在汎用技術として用いられている光露光では、光源の波長に由来する本質的な解像度の限界に近づきつつある。g線(436nm)もしくはi線(365nm)を光源とする光露光では、およそ0.5μmのパターンルールが限界とされており、これを用いて製作したLSIの集積度は、16MビットDRAM相当までとなる。しかし、LSIの試作はすでにこの段階まできており、更なる微細化技術の開発が急務となっている。
【0003】
そのため、イトー(Ito)らが、ポリヒドロキシスチレンの水酸基をtert−ブトキシカルボニルオキシ基(t−Boc基)で保護したPBOCSTという樹脂にオニウム塩の酸発生剤を加えた化学増幅ポジ型レジスト材料を提案して以来、種々の高感度で高解像度のレジスト材料が開発されている。しかし、これらの化学増幅ポジ型レジスト材料は、いずれも高感度で高解像度のものではあるが、微細な高アスペクト比のパターンを形成することは、これらから得られるパターンの機械的強度を鑑みると困難であった。
【0004】
また、上記のようなポリヒドロキシスチレンをベース樹脂として使用し、遠紫外線、電子線及びX線に対して感度を有する化学増幅ポジ型レジスト材料は、従来より数多く提案されている。しかし、段差基板上に高アスペクト比のパターンを形成するには、2層レジスト法が優れているのに対し、上記レジスト材料はいずれも単層レジスト法によるものであり、未だ基板段差の問題、基板からの光反射の問題、高アスペクト比のパターン形成が困難な問題があり、実用に供することが難しいのが現状である。
【0005】
一方、従来より、段差基板上に高アスペクト比のパターンを形成するのには2層レジスト法が優れていることが知られており、更に、2層レジスト膜を一般的なアルカリ現像液で現像するためには、ヒドロキシ基やカルボキシル基等の親水基を有するシリコーンポリマーであることが必要ということが知られている。しかし、シリコーンに直接水酸基が結合したシラノールの場合、酸により架橋反応が生じるため、化学増幅ポジ型レジスト材料への適用は困難であった。
【0006】
近年、これらの問題を解決するシリコーン系化学増幅ポジ型レジスト材料として、安定なアルカリ可溶性シリコーンポリマーであるポリヒドロキシベンジルシルセスキオキサンのフェノール性水酸基の一部をt−Boc基で保護したものをベース樹脂として使用し、これと酸発生剤とを組み合わせた化学増幅のシリコーン系ポジ型レジスト材料が提案されている(特開平6−118651号、SPIE vol.1952(1993)377等)。
【0007】
しかしながら、これらポリヒドロキシベンジルシルセスキオキサンのヒドロキシ基の一部をt−Boc基で保護したシリコーンポリマーをベースとしたレジスト材料は、下層膜との界面に裾引きの現象が生じたり、上層のシリコーン系レジスト膜に表面難溶層が生じ易いといった問題を有している。この裾引きや表面難溶層は、レジスト膜のパターンの寸法精度を制御できなくするため微細加工に適さない。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、高感度、高解像度を有し、特に高アスペクト比のパターンを形成するのに適した2層レジスト法の材料として好適に使用できるのみならず、耐熱性に優れたパターンを形成することができる化学増幅ポジ型レジスト材料のベースポリマーとして有用な新規高分子シリコーン化合物及び該化合物をベースポリマーとして含有する化学増幅ポジ型レジスト材料及びパターン形成方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、フェノール性水酸基を有し、このフェノール性水酸基の水素原子の一部が少なくとも1種の酸不安定基で置換された高分子シリコーン化合物が残りのフェノール性水酸基の一部において更に分子内及び/又は分子間でC−O−C基を有する架橋基で架橋されている重量平均分子量5,000〜50,000の高分子シリコーン化合物、特に下記一般式(1)、好ましくは一般式(2)、更に好ましくは一般式(3)で示される繰り返し単位を有する、酸不安定基と上記架橋基を有する高分子シリコーン化合物をベース樹脂に用い、これに酸発生剤を添加した化学増幅ポジ型レジスト材料、特に酸発生剤に加え、溶解制御剤を配合した化学増幅ポジ型レジスト材料やこれらに塩基性化合物を更に配合してなる化学増幅ポジ型レジスト材料が、レジスト溶解コントラストを高め、特に露光後の溶解速度を増大させる効果を発揮し、高解像度、露光余裕度、プロセス適応性に優れ、実用性が高く、精密な微細加工に有利な超LSI用レジスト材料に非常に有効であることを知見した。
【0010】
また、分子内及び/又は分子間、特に分子間で架橋した高分子シリコーン化合物をベース樹脂に用いることにより、分子量が大きくなり、軟化点も上がるため、耐熱性が向上したことにより2層レジスト法に好適であることを知見した。
【0011】
即ち、本発明は下記の新規高分子シリコーン化合物及びこれを配合した化学増幅ポジ型レジスト材料並びにパターン形成方法を提供する。
【0013】
請求項
下記一般式(1)で示される繰り返し単位を有する高分子シリコーン化合物のフェノール性水酸基の一部の水素原子が酸不安定基により部分置換され、かつ残りのフェノール性水酸基の一部とアルケニルエーテル化合物もしくはハロゲン化アルキルエーテル化合物との反応により得られる分子内及び/又は分子間でC−O−C基を有する下記一般式(4a)又は(4b)で示される架橋基により架橋されており、上記酸不安定基と架橋基との合計量がフェノール性水酸基の水素原子全体の平均0モル%を超え80モル%以下の割合である重量平均分子量5,000〜50,000の高分子シリコーン化合物。
【0014】
【化7】
Figure 0003666550
(式中、Meはメチル基を示し、xは1〜5の整数であり、yは0.001≦y≦0.05を満足する正数、zは1〜3の整数である。)
【0015】
請求項
下記一般式(2)で示される繰り返し単位を有する高分子シリコーン化合物のRで示されるフェノール性水酸基とアルケニルエーテル化合物もしくはハロゲン化アルキルエーテル化合物との反応により得られる分子内及び/又は分子間でC−O−C基を有する下記一般式(4a)又は(4b)で示される架橋基により架橋されている請求項記載の高分子シリコーン化合物。
【0016】
【化8】
Figure 0003666550
(式中、Meはメチル基、Rは水酸基又はOR1基を示し、少なくとも1個は水酸基である。また、R1は酸不安定基を示し、mは〜5の整数、nは0又は1〜の整数であり、m+n≦5を満足する数である。xは1〜5の整数であり、yは0.001≦y≦0.05を満足する正数、zは1〜3の整数である。p、qは正数であり、p+q=1を満足する数である。)
【0017】
請求項
下記一般式(3)で示される繰り返し単位を有する高分子シリコーン化合物のRで示されるフェノール性水酸基の水素原子がとれてその酸素原子が下記一般式(4a)又は(4b)で示されるC−O−C基を有する架橋基により分子内及び/又は分子間で架橋されている請求項記載の高分子シリコーン化合物。
【0018】
【化9】
Figure 0003666550
(式中、Meはメチル基、Rは水酸基又はOR1基を示し、少なくとも1個は水酸基である。また、R1は酸不安定基を示し、R2、R3は水素原子又は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示し、R4は炭素数1〜18のヘテロ原子を有していてもよい1価の炭化水素基を示し、R2とR3、R2とR4、R3とR4とは環を形成してもよく、環を形成する場合にはR2、R3、R4はそれぞれ炭素数1〜18の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。R5は炭素数4〜20の3級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基又は−CR23OR4で示される基を示す。p1、p2は正数、q1、q2は0又は正数であり、0<p1/(p1+p2+q1+q2)≦0.8、0≦q1/(p1+p2+q1+q2)≦0.8、0≦q2/(p1+p2+q1+q2)≦0.8、p1+p2+q1+q2=1を満足する数であるが、q1とq2が同時に0となることはない。aは0又は1〜6の整数である。m、n、x、y、zはそれぞれ上記と同様の意味を示す。)
【0019】
【化10】
Figure 0003666550
(式中、R6、R7は水素原子又は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。又は、R6とR7とは環を形成してもよく、環を形成する場合にはR6、R7は炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。R8は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、dは0又は1〜10の整数である。Aは、c価の炭素数1〜50の脂肪族もしくは脂環式飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基又はヘテロ環基を示し、これらの基はヘテロ原子を介在していてもよく、またその炭素原子に結合する水素原子の一部が水酸基、カルボキシル基、アシル基又はフッ素原子によって置換されていてもよい。Bは−CO−O−、−NHCO−O−又は−NHCONH−を示す。cは2〜8、c’は1〜7の整数で、c=c’+1である。)
【0020】
請求項
一般式(4a)又は(4b)で示されるC−O−C基を有する架橋基が、下記一般式(4a’)又は(4b’)で示される請求項1,2又は3記載の高分子シリコーン化合物。
【0021】
【化11】
Figure 0003666550
(式中、R6、R7は水素原子又は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。又は、R6とR7とは環を形成してもよく、環を形成する場合にはR6、R7は炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。R8は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、dは0又は1〜5の整数である。A’は、c’’価の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルキルトリイル基、アルキルテトライル基又は炭素数6〜30のアリーレン基を示し、これらの基はヘテロ原子を介在していてもよく、またその炭素原子に結合する水素原子の一部が水酸基、カルボキシル基、アシル基又はフッ素原子によって置換されていてもよい。Bは−CO−O−、−NHCO−O−又は−NHCONH−を示す。c’’は2〜4、c’’’は1〜3の整数で、c’’=c’’’+1である。)
【0022】
請求項
(A):有機溶剤
(B):ベース樹脂として請求項1乃至のいずれか1項記載の高分子シリコーン化合物
(C):酸発生剤
を含有してなることを特徴とする化学増幅ポジ型レジスト材料。
【0023】
請求項
更に、(D):溶解制御剤を配合したことを特徴とする請求項記載の化学増幅ポジ型レジスト材料。
【0024】
請求項
更に、(E):添加剤として塩基性化合物を配合したことを特徴とする請求項又は記載の化学増幅ポジ型レジスト材料。
【0025】
請求項
更に、(F):(B)成分とは別のベース樹脂として、下記一般式(1)で示される繰り返し単位を有する高分子シリコーン化合物のフェノール性水酸基の水素原子を1種又は2種以上の酸不安定基により全体として平均0モル%以上80モル%以下の割合で部分置換した重量平均分子量3,000〜300,000の高分子シリコーン化合物を配合したことを特徴とする請求項乃至のいずれか1項記載の化学増幅ポジ型レジスト材料。
【0026】
【化12】
Figure 0003666550
(式中、Meはメチル基を示し、xは1〜5の整数であり、yは0.001≦y≦0.05を満足する正数、zは1〜3の整数である。)
【0027】
請求項
(i)請求項乃至のいずれか1項に記載の化学増幅ポジ型レジスト材料を基板上に塗布する工程と、
(ii)次いで加熱処理後、フォトマスクを介して波長300nm以下の高エネルギー線もしくは電子線で露光する工程と、
(iii)必要に応じて加熱処理した後、現像液を用いて現像する工程と
を含むことを特徴とするパターン形成方法。
【0028】
ここで、上記高分子シリコーン化合物は、そのフェノール性水酸基の一部とアルケニルエーテル化合物もしくはハロゲン化アルキルエーテル化合物との反応により得られる分子内及び/又は分子間でC−O−C基を有する架橋基により架橋されているものである。このような高分子シリコーン化合物をベース樹脂としてレジスト材料に配合した場合、特にC−O−C基を有する架橋基によって架橋されているため、溶解阻止性が大きく、露光後での溶解コントラストが大きい利点を有している。
【0029】
即ち、一般に、ポリシロキサンがポジ型レジスト材料として使用されるためには、ポリシロキサン骨格がアルカリ可溶性であって、アルカリ可溶性の官能基を酸に不安定な保護基で保護したものとなる。安定に供給されるアルカリ可溶性ポリシロキサンとしては、例えば下記式(1)で示される単位からなる、ポリ(p−ヒドロキシベンジルシルセスキオキサン)が挙げられる。
【0030】
【化13】
Figure 0003666550
【0031】
一方、アルカリ可溶性の官能基、即ち、この場合、水酸基を保護するための酸に不安定な保護基としては、t−Boc基(tert−ブトキシカルボニル基)が挙げられ、このような点からポジ型レジスト材料に用いられるポリシロキサン化合物としては、下記式(5)で示されるものが使用される(特開平6−118651号公報)。
【0032】
【化14】
Figure 0003666550
(式中、t−Buはtert−ブチル基を示す。)
【0033】
ここで、保護基として用いられたt−Boc基は、エネルギー線の照射によって酸発生剤から生じる酸の作用により脱離し、ポリシロキサンはアルカリ可溶性となり、現像可能となる。
【0034】
このような状況において、本発明者らは、2層レジスト法に用いられるシリコーン系レジスト材料と下層との界面に生じる裾引きや、表面に発現する難溶層の問題を解決するため鋭意検討したところ、上述のt−Boc基のレジスト膜中での脱離反応において、下記のような副反応が生じていることをFT−IRによる分析などから確認し、その副反応が、裾引きや、表面難溶層の発現に起因していることを見出した。
【0035】
【化15】
Figure 0003666550
【0036】
即ち、t−Boc基が酸で脱離して生じたtert−ブチルカチオンがフェノール性水酸基へ再反応することより、フェノール性水酸基が再度保護された形となり、所望のアルカリ可溶性が阻害されるため、下層と界面で裾引き、膜表面で難溶層を発現することを確認した。
【0037】
また、t−Boc基は、種々の水酸基の保護基の中で酸による脱離の活性化エネルギーが極めて高く、脱離しにくい保護基の一つである。そのため、t−Boc基の脱離には、トリフルオロメタンスルホン酸のような強酸が必要となる。トリフルオロメタンスルホン酸以外の弱酸を用いた場合、脱離反応の進行を促すことができず、レジストの感度が悪くなる問題が生じる。
【0038】
レジスト膜中で、t−Boc基の脱保護基のために生じるトリフルオロメタンスルホン酸は、下層膜へ拡散したり、下層膜からのコンタミネーションによる失活が生じたりするため、下層との界面において、酸濃度が低下するので、脱保護基反応は十分に進行せず、アルカリ可溶性にならない部分が生じ、裾引きを発現する。一方、レジスト膜表面では、トリフルオロメタンスルホン酸は、蒸散したり、大気からのコンタミネーションによって失活したりするため、レジスト膜表面でも酸濃度が低下し、このため脱保護基反応が十分に進行せず、アルカリ可溶性にならない部分が生じ、表面難溶層を発現する。
【0039】
上記裾引きや表面難溶層の発現の問題を解決する手段として、フェノール性水酸基へのアセタール基の導入が挙げられる。単独でアセタール基がポリマーに付加した場合、上述したような脱離基の再反応が起こらず、弱い酸と敏感に反応して脱離反応が進行することから表面難溶層や裾引きは生じない。
【0040】
しかしながら、弱い酸と敏感に反応してしまうことより露光から加熱処理までの時間経過に伴ってパターン形状が著しく細るという欠点を有している。また、アルカリに対する溶解阻止効果が低いため、溶解コントラストを得るためには高置換体を使用しなければならず、そのため、耐熱性に劣るという欠点を有する。
【0041】
このようなポリマーに対して、上述したようにフェノール性水酸基とアルケニルエーテル化合物及び/又はハロゲン化アルキルエーテル化合物の反応によって得られるC−O−C基を有する架橋基によって分子内及び/又は分子間で架橋させた高分子シリコーン化合物を用いたレジスト材料は、少量の架橋で溶解阻止性を発揮し、かつ架橋による分子量の増大によって耐熱性が向上する。しかも、露光前よりも露光後に架橋基の脱離が生じるので、ポリマーの分子量が小さくなることにより、レジスト膜の溶解コントラストを高めることが可能で、結果的に高感度及び高解像性を有する。また、表面難溶層や裾引き発現の問題も少ないことから、パターンの寸法制御、パターンの形状のコントロールを組成により任意に行うことが可能であり、プロセス適応性にも優れた化学増幅ポジ型レジスト材料となることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0042】
以下、本発明につき更に詳細に説明すると、本発明の新規高分子シリコーン化合物は、フェノール性水酸基を有し、このフェノール性水酸基の水素原子の一部が少なくとも1種の酸不安定基で置換された高分子シリコーン化合物が残りのフェノール性水酸基の一部において更に分子内及び/又は分子間でC−O−C基を有する架橋基で架橋されている重量平均分子量5,000〜50,000ののものである。
【0043】
上記高分子シリコーン化合物としては、下記一般式(1)で示される繰り返し単位を有する高分子シリコーン化合物のフェノール性水酸基の一部の水素原子が酸不安定基により部分置換され、かつ残りのフェノール性水酸基の一部とアルケニルエーテル化合物もしくはハロゲン化アルキルエーテル化合物との反応により得られる分子内及び/又は分子間でC−O−C基を有する架橋基により架橋されており、上記酸不安定基と架橋基との合計量がフェノール性水酸基の水素原子全体の平均0モル%を超え80モル%以下の割合で置換された高分子シリコーン化合物とすることができる。
【0044】
【化16】
Figure 0003666550
(式中、Meはメチル基を示し、xは1〜5の整数であり、yは0.001≦y≦0.05を満足する正数、zは1〜3の整数である。)
【0045】
このような高分子シリコーン化合物として具体的には、下記一般式(2)で示される繰り返し単位を有する高分子シリコーン化合物のRで示されるフェノール性水酸基とアルケニルエーテル化合物もしくはハロゲン化アルキルエーテル化合物との反応により得られる分子内及び/又は分子間でC−O−C基を有する架橋基により架橋されており、酸不安定基と架橋基との合計量が式(1)におけるフェノール性水酸基全体の平均0モル%を超え80モル%以下の割合である高分子シリコーン化合物とすることができる。
【0046】
【化17】
Figure 0003666550
(式中、Meはメチル基、Rは水酸基又はOR1基を示し、少なくとも1個は水酸基である。また、R1は酸不安定基を示し、mは〜5の整数、nは0又は1〜の整数であり、m+n≦5を満足する数である。xは1〜5の整数であり、yは0.001≦y≦0.05を満足する正数、zは1〜3の整数である。p、qは正数であり、p+q=1を満足する数である。)
【0047】
上記フェノール性水酸基の水素原子と置換される酸不安定基あるいはR1の酸不安定基としては、種々選定されるが、特に下記一般式(6)で示される基、下記一般式(7)で示される基、炭素数4〜20の3級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基等であることが好ましい。
【0048】
【化18】
Figure 0003666550
(R2、R3は水素原子又は炭素数1〜8、好ましくは1〜6、更に好ましくは1〜5の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示し、R4は炭素数1〜18、好ましくは1〜12、更に好ましくは1〜8の酸素原子等のヘテロ原子を有してもよい1価の炭化水素基を示し、R2とR3、R2とR4、R3とR4とは環を形成してもよく、環を形成する場合にはR2、R3、R4はそれぞれ炭素数1〜18、好ましくは1〜10、更に好ましくは1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。R5は炭素数4〜20、好ましくは4〜15、更に好ましくは4〜10の3級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20、好ましくは4〜15、更に好ましくは4〜10のオキソアルキル基又は上記一般式(6)で示される基を示す。aは0又は1〜6の正の整数である。)
【0049】
2、R3の炭素数1〜8、好ましくは1〜5、更に好ましくは1〜3の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等を例示できる。
【0050】
4としては、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、フェニル基、p−メチルフェニル基、p−エチルフェニル基、p−メトキシフェニル基等のアルコキシ置換フェニル基等の非置換又は置換アリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等や、これらの基に酸素原子が介在した或いは炭素原子に結合する水素原子が水酸基に置換されたり、2個の水素原子が酸素原子で置換されてカルボニル基を形成する下記式で示されるようなアルキル基等の基を挙げることができる。
【0051】
【化19】
Figure 0003666550
【0052】
また、R5の炭素数4〜20の3級アルキル基としては、tert−ブチル基、1−メチルシクロヘキシル基、2−(2−メチル)アダマンチル基、tert−アミル基等を挙げることができる。
【0053】
5の各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチル−tert−ブチルシリル基等が挙げられる。R5の炭素数4〜20のオキソアルキル基としては、3−オキソアルキル基、又は下記式で示される基等が挙げられる。
【0054】
【化20】
Figure 0003666550
【0055】
上記式(6)で示される酸不安定基として、具体的には、例えば1−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基、1−n−プロポキシエチル基、1−イソプロポキシエチル基、1−n−ブトキシエチル基、1−イソブトキシエチル基、1−sec−ブトキシエチル基、1−tert−ブトキシエチル基、1−tert−アミロキシエチル基、1−エトキシ−n−プロピル基、1−シクロヘキシロキシエチル基、1−メトキシプロピル基、1−エトキシプロピル基、1−メトキシ−1−メチル−エチル基、1−エトキシ−1−メチル−エチル基等の直鎖状もしくは分岐状アセタール基、2−テトラヒドロフラニル基、2−テトラヒドロピラニル基等の環状アセタール基などが挙げられ、好ましくは1−エトキシエチル基、1−n−ブトキシエチル基、1−エトキシプロピル基が挙げられる。一方、上記式(7)の酸不安定基として、例えばtert−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、tert−アミロキシカルボニル基、tert−アミロキシカルボニルメチル基、1−エトキシエトキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロフラニルオキシカルボニルメチル基等が挙げられる。また、酸不安定基としての炭素数4〜20の3級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、下記式で示される炭素数4〜20のオキソアルキル基が挙げられる。
【0056】
【化21】
Figure 0003666550
【0057】
【化22】
Figure 0003666550
【0058】
更に、上記C−O−C基を有する架橋基としては、下記一般式(4a)又は(4b)で示される基を挙げることができる。
【0059】
【化23】
Figure 0003666550
(式中、R6、R7は水素原子又は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。又は、R6とR7とは環を形成してもよく、環を形成する場合にはR6、R7は炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。R8は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、dは0又は1〜10の整数である。Aは、c価の炭素数1〜50の脂肪族もしくは脂環式飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基又はヘテロ環基を示し、これらの基はヘテロ原子を介在していてもよく、またその炭素原子に結合する水素原子の一部が水酸基、カルボキシル基、アシル基又はフッ素原子によって置換されていてもよい。Bは−CO−O−、−NHCO−O−又は−NHCONH−を示す。cは2〜8、c’は1〜7の整数で、c=c’+1である。)
【0060】
ここで、R6、R7の炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基としては上述したものと同様のものを例示することができる。R8の炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、シクロヘキシレン基、シクロペンチレン基等を例示することができる。なお、Aの具体例は後述する。この架橋基(4a)、(4b)は、後述するアルケニルエーテル化合物、ハロゲン化アルキルエーテル化合物に由来する。
【0061】
架橋基は、上記式(4a)、(4b)のc’の値から明らかなように、2価に限られず、3価〜8価の基でもよい。例えば、2価の架橋基としては、下記式(4a’’)、(4b’’)、3価の架橋基としては、下記式(4a’’’)、(4b’’’)で示されるものが挙げられる。
【0062】
【化24】
Figure 0003666550
なお、好ましい架橋基は下記一般式(4a’)又は(4b’)である。
【0063】
【化25】
Figure 0003666550
(式中、R6、R7は水素原子又は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。又は、R6とR7とは環を形成してもよく、環を形成する場合にはR6、R7は炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。R8は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、dは0又は1〜5の整数である。A'は、c''価の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルキルトリイル基、アルキルテトライル基又は炭素数6〜30のアリーレン基を示し、これらの基はヘテロ原子を介在していてもよく、またその炭素原子に結合する水素原子の一部が水酸基、カルボキシル基、アシル基又はフッ素原子によって置換されていてもよい。Bは−CO−O−、−NHCO−O−又は−NHCONH−を示す。c’’は2〜4、c’’’は1〜3の整数で、c’’=c’’’+1である。)
【0064】
本発明の高分子シリコーン化合物としては、具体的な例として、下記一般式(3)で示される繰り返し単位を有する高分子シリコーン化合物のRで示されるフェノール性水酸基の水素原子がとれてその末端酸素原子が上記一般式(4a)又は(4b)で示されるC−O−C基を有する2価以上の架橋基により分子内及び/又は分子間で架橋されており、酸不安定基と架橋基との合計量が式(1)におけるフェノール性水酸基全体の平均0モル%を超え80モル%以下の割合である高分子シリコーン化合物を挙げることができる。
【0065】
【化26】
Figure 0003666550
(式中、Meはメチル基、Rは水酸基又はOR1基を示し、少なくとも1個は水酸基である。また、R1は酸不安定基を示し、R2、R3は水素原子又は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示し、R4は炭素数1〜18のヘテロ原子を有していてもよい1価の炭化水素基を示し、R2とR3、R2とR4、R3とR4とは環を形成してもよく、環を形成する場合にはR2、R3、R4はそれぞれ炭素数1〜18の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。R5は炭素数4〜20の3級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基又は−CR23OR4で示される基を示す。p1、p2は正数、q1、q2は0又は正数であり、0<p1/(p1+p2+q1+q2)≦0.8、0≦q1/(p1+p2+q1+q2)≦0.8、0≦q2/(p1+p2+q1+q2)≦0.8、p1+p2+q1+q2=1を満足する数であるが、q1とq2が同時に0となることはない。aは0又は1〜6の整数である。m、n、x、y、zはそれぞれ上記と同様の意味を示す。)
【0066】
上記一般式(3)において、p1、p2は正数、q1、q2は0又は正数であり、p1+p2=p、q1+q2=qである。この場合、p1は、0<p1/(p1+p2+q1+q2)≦0.8であり、好ましくは0.02<p1/(p1+p2+q1+q2)≦0.4を満足することが良い。p1が小さすぎると架橋基の効果が発揮されず、大きい場合は高分子シリコーン化合物の製造にあたってゲル化する可能性が生じる。また、q1、q2は、0≦q1/(p1+p2+q1+q2)≦0.8、0≦q2/(p1+p2+q1+q2)≦0.8、p1+p2+q1+q2=1を満足する数であり、q1とq2が同時に0となることはない。より好ましくは0≦q1/(p1+p2+q1+q2)≦0.5、0≦q2/(p1+p2+q1+q2)≦0.3が良い。このとき、q1、q2の割合が大きくなると、アルカリに対して溶解性が無くなったり、アルカリ現像の際に膜厚変化や膜内応力又は気泡の発生を引き起こしたり、親水性の基が少なくなるために下層膜との密着性に劣る場合がある。q1とq2の合計が0<(q1+q2)/(p1+p2+q1+q2)≦0.3、特に0.05≦(q1+q2)/(p1+p2+q1+q2)≦0.3であることが好ましい。更にp1、q1とq2はその値を上記範囲内で適宜選定することによってパターンの寸法制御、パターンの形状コントロールを任意に行うことができる。
【0067】
本発明の高分子シリコーン化合物において、上記C−O−C基を有する架橋基及び酸不安定基の含有量は、レジスト膜の溶解速度のコントラストに影響し、パターンの寸法制御、パターンの形状コントロールなどのレジスト材料の特性にかかわるものである。
【0068】
ここで、上記一般式(1)、(2)、(3)におけるyについて説明すると、yは、0.001≦y≦0.05を満足する正数であり、この(OSiMe3yは上記一般式(1)、(2)、(3)で示されるポリシロキサンの末端シラノールを封鎖する。末端シラノールの封鎖を行わない場合、レジスト材料は保存中にパーティクルの増加や、感度劣化が生じるといった安定性にかけるので好ましくない。
【0069】
この高分子シリコーン化合物の例としては、下記式(3’−1)、(3’−2)で示されるものを挙げることができる。
【0070】
【化27】
Figure 0003666550
【0071】
【化28】
Figure 0003666550
【0072】
なお、式(3’−1)は分子間結合、式(3’−2)は分子内結合をしている状態を示し、これらはそれぞれ単独で又は混在していてもよい。
【0073】
2〜R5、p1、p2、q1、q2、m、n、x、y、zはそれぞれ上記と同様の意味を示す。
【0074】
但し、QはC−O−C基を有する架橋基、典型的には上記式(4a)又は(4b)で示される架橋基、特に式(4a’’)、(4b’’)や式(4a’’’)、(4b’’’)、最も好ましくは式(4a’)、(4b’)で示される架橋基である。この場合、架橋基が3価以上の場合、上記式(3)において、下記の単位の3個以上にQが結合したものとなる。
【0075】
【化29】
Figure 0003666550
(式中、R、x、y、zはそれぞれ上記と同様の意味を示す。)
【0076】
本発明の高分子シリコ−ン化合物は、そのフェノール性水酸基の水素原子の一部が酸不安定基及び上記C−O−C基を有する架橋基で置換されているものであるが、より好ましくは、式(1)の高分子シリコ−ン化合物のフェノール性水酸基の水素原子全体に対して酸不安定基と架橋基との合計が平均0モル%を超え80モル%以下、特に2〜50モル%であることが好ましい。
【0077】
この場合、C−O−C基を有する架橋基の割合は平均0モル%を超え80モル%以下、特に0.2〜20モル%が好ましい。0モル%となると、アルカリ溶解速度のコントラストが小さくなり、架橋基の長所を引き出すことができなくなり、解像度が悪くなる。一方、80モル%を超えると、架橋しすぎてゲル化し、アルカリに対して溶解性がなくなったり、アルカリ現像の際に膜厚変化や膜内応力又は気泡の発生を引き起こしたり、親水基が少なくなるために基板との密着性に劣る場合がある。
【0078】
また、酸不安定基の割合は、平均0モル%を超え80モル%以下、特に10〜50モル%が好ましい。0モル%になるとアルカリ溶解速度のコントラストが小さくなり、解像度が悪くなる。一方、80モル%を超えるとアルカリに対する溶解性がなくなったり、アルカリ現像の際に現像液との親和性が低くなり、解像性が劣る場合がある。
【0079】
なお、C−O−C基を有する架橋基及び酸不安定基はその値を上記範囲内で適宜選定することによりパターンの寸法制御、パターンの形状コントロールを任意に行うことができる。本発明の高分子シリコ−ン化合物において、C−O−C基を有する架橋基及び酸不安定基の含有量は、レジスト膜の溶解速度のコントラストに影響し、パターン寸法制御、パターン形状等のレジスト材料の特性にかかわるものである。
【0080】
本発明の高分子シリコーン化合物は、それぞれ重量平均分子量が、5,000〜50,000、好ましくは5,000〜10,000である。重量平均分子量が5,000に満たないと所望のプラズマエッチング耐性が得られなかったりアルカリ水溶液に対する溶解阻止効果が低くなる場合があり、50,000を超えると汎用なレジスト溶剤に溶け難くなる場合がある。
【0081】
本発明の高分子シリコーン化合物を製造する方法として、例えば一般式(1)で示される繰り返し単位を有する高分子シリコーン化合物のフェノール性水酸基に一般式(6)で示される酸不安定基を導入し、単離後、アルケニルエーテル化合物もしくはハロゲン化アルキルエーテル化合物との反応により分子内及び/又は分子間でC−O−C基を有する架橋基により架橋させる方法、あるいはアルケニルエーテル化合物もしくはハロゲン化アルキルエーテル化合物との反応により分子内及び/又は分子間でC−O−C基を有する架橋基により架橋させ、単離後、一般式(6)で示される酸不安定基を導入する方法が挙げられるが、アルケニルエーテル化合物もしくはハロゲン化アルキルエーテル化合物との反応と一般式(6)で示される酸不安定基の導入を一括で行う方法が好ましい。また、これによって得られた高分子化合物に、必要に応じて一般式(7)で示される酸不安定基、3級アルキル基、トリアルキルシリル基、オキソアルキル基等の導入を行うことも可能である。
【0082】
具体的には、第1方法として、式(1’)で示される繰り返し単位を有する高分子化合物と、下記一般式(I)又は(II)で示されるアルケニル化合物と、下記一般式(6a)で示される化合物を用いる方法、第2方法として、式(1’)で示される繰り返し単位を有する高分子化合物と、下記一般式(VI)又は(VII)で示されるハロゲン化アルキルエーテル化合物と、下記一般式(6b)で示される化合物を用いる方法が挙げられる。
【0083】
【化30】
Figure 0003666550
【0084】
ここで、x、y、z、p1、p2、q1、q2は上記と同様の意味を示し、p1+p2+q1+q2=1である。
【0085】
上記式(1)乃至式(1’)のポリシロキサンは、以下の合成方法により得ることができる。
【0086】
まず、p−メトキシベンジルクロロシラン等を加水分解し、その加水分解縮合物を更に熱縮合して得られる下記一般式(8)で示される繰り返し単位からなるポリシロキサンの主鎖末端をシラノール基を保護するためにトリメチルシリル化して下記一般式(9)で示される繰り返し単位からなるポリシロキサンを製造する。ここで、トリメチルシリル化はこのポリシロキサンをトルエンなどの有機溶剤に溶解し、シリル化剤としてヘキサメチルジシラザンを用いることが好ましい。この場合、反応温度は0℃〜室温、反応時間は2〜5時間とすることが好ましい。この方法では、トリメチルシリル化した後に、副生するアンモニアが反応系に残存しないことから、反応後、反応溶媒を減圧下ストリップすることで精製を行うことができ、容易に目的のトリメチルシリル化を行うことができる利点がある。なお、有機溶剤に溶解した後、塩基存在下、トリメチルシリルクロライドと反応させることによってトリメチルシリル化することも可能であるが、この場合、生じる塩酸塩の除去が困難となることがあり、特に、塩酸塩を水中に溶解分離する方法は、トリメチルシリル基の加水分解が生じ、再度、ポリマー中にシラノール基が生成する場合があるので、上述したヘキサメチルジシラザンを用いる方法を採用することが推奨される。このように式(8)の繰り返し単位からなるポリシロキサンを主鎖末端のシラノール基保護にヘキサメチルジシラザン又はトリメチルクロライドを用いて反応させることにより、残存シラノール基の非常に少ないポリシロキサン(1)を得ることができる。
【0087】
次に、ポリシロキサンの主鎖末端のシラノール基の水素原子がトリメチルシリル化されたポリシロキサン(9)は、トリメチルシリルアイオダイドを用いてフェノール性水酸基の保護を行ったメチル基をトリメチルシリル基に置換して、下記一般式(10)で示される繰り返し単位からなるポリシロキサン製造する。このトリメチルシリル化反応は、上記有機溶剤中にトリメチルシリルアイオダイドを滴下し、反応温度を20〜30℃とし、反応時間を8〜10時間とすることが好ましい。
【0088】
次いで、加水分解を行い、フェノール性水酸基を保護しているトリメチルシリル基を脱離し、フェノール性水酸基を生じさせ、下記一般式(1)の繰り返し単位からなるポリシロキサンを得る。ここで、加水分解条件は脱シリル化の公知の条件を採用することができ、例えば水冷下、発熱に注意しながら30〜45℃の温度で水を添加する。
【0089】
【化31】
Figure 0003666550
【0090】
また、上記式(I)、(II)、(6a)において、R2aは水素原子又は炭素数1〜7の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、R3は水素原子又は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、R4は炭素数1〜18のヘテロ原子を有していてもよい1価の炭化水素基を示し、R2aとR3、R2aとR4、R3とR4とは環を形成してもよく、環を形成する場合にはR2aは炭素数1〜7の直鎖状又は分岐状のアルキレン基、R3、R4はそれぞれ炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。
【0091】
6aは水素原子又は炭素数1〜7の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、R7は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示すが、R6aとR7とは環を形成してもよく、環を形成する場合にはR6aは炭素数1〜7の直鎖状又は分岐状のアルキレン基、R7は炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。 8 は炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。
【0092】
更に、式(I)又は(II)で示されるビニルエーテル化合物において、Aはc価(cは2〜8を示す)の炭素数1〜50の脂肪族もしくは脂環式飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基又はヘテロ環基を示し、Bは−CO−O−、−NHCOO−又は−NHCONH−を示し、 8 は炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示し、dは0又は1〜10の整数を示す。
【0093】
具体的には、Aのc価の脂肪族もしくは脂環式飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基としては、好ましくは炭素数1〜50、特に1〜40のO、NH、N(CH3)、S、SO2等のヘテロ原子が介在してもよい非置換又は水酸基、カルボキシル基、アシル基又はフッ素原子置換のアルキレン基、好ましくは炭素数6〜50、特に6〜40のアリーレン基、これらアルキレン基とアリーレン基とが結合した基、上記各基の炭素原子に結合した水素原子が脱離したc’’価(c’’は3〜8の整数)の基が挙げられ、更にc価のヘテロ環基、このヘテロ環基と上記炭化水素基とが結合した基などが挙げられる。
【0094】
具体的に例示すると、Aとして下記のものが挙げられる。
【0095】
【化32】
Figure 0003666550
【0096】
【化33】
Figure 0003666550
【0097】
【化34】
Figure 0003666550
【0098】
【化35】
Figure 0003666550
【0099】
一般式(I)で示される化合物は、例えば、Stephen.C.Lapin,Polymers Paint Colour Journal.179(4237)、321(1988)に記載されている方法、即ち多価アルコールもしくは多価フェノールとアセチレンとの反応、又は多価アルコールもしくは多価フェノールとハロゲン化アルキルビニルエーテルとの反応により合成することができる。
【0100】
式(I)の化合物の具体例として、エチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、1,2−プロパンジオールジビニルエーテル、1,3−プロパンジオールジビニルエーテル、1,3−ブタンジオールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、テトラメチレングリコールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、トリメチロールエタントリビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ソルビトールテトラビニルエーテル、ソルビトールペンタビニルエーテル、エチレングリコールジエチレンビニルエーテル、トリエチレングリコールジエチレンビニルエーテル、エチレングリコールジプロピレンビニルエーテル、トリエチレングリコールジエチレンビニルエーテル、トリメチロールプロパントリエチレンビニルエーテル、トリメチロールプロパンジエチレンビニルエーテル、ペンタエリスリトールジエチレンビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリエチレンビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラエチレンビニルエーテル並びに以下の式(I−1)〜(I−31)で示される化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0101】
【化36】
Figure 0003666550
【0102】
【化37】
Figure 0003666550
【0103】
【化38】
Figure 0003666550
【0104】
【化39】
Figure 0003666550
【0105】
【化40】
Figure 0003666550
【0106】
一方、Bが−CO−O−の場合の上記一般式(II)で示される化合物は、多価カルボン酸とハロゲン化アルキルビニルエーテルとの反応により製造することができる。Bが−CO−O−の場合の式(II)で示される化合物の具体例としては、テレフタル酸ジエチレンビニルエーテル、フタル酸ジエチレンビニルエーテル、イソフタル酸ジエチレンビニルエーテル、フタル酸ジプロピレンビニルエーテル、テレフタル酸ジプロピレンビニルエーテル、イソフタル酸ジプロピレンビニルエーテル、マレイン酸ジエチレンビニルエーテル、フマル酸ジエチレンビニルエーテル、イタコン酸ジエチレンビニルエーテル等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0107】
更に、本発明において好適に用いられるアルケニルエーテル基含有化合物としては、下記一般式(III)又は(V)等で示される活性水素を有するアルケニルエーテル化合物とイソシアナート基を有する化合物との反応により合成されるアルケニルエーテル基含有化合物を挙げることができる。
【0108】
【化41】
Figure 0003666550
(R6a、R7 上記と同様の意味を示す。 11 は炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。
【0109】
Bが−NHCO−O−又は−NHCONH−の場合の上記一般式(II)で示されるイソシアナート基を有する化合物としては、例えば架橋剤ハンドブック(大成社刊、1981年発行)に記載の化合物を用いることができる。具体的には、トリフェニルメタントリイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、トリレンジイソシアナート、2,4−トリレンジイソシアナートの二量体、ナフタレン−1,5−ジイソシアナート、o−トリレンジイソシアナート、ポリメチレンポリフェニルイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート等のポリイソシアナート型、トリレンジイソシアナートとトリメチロールプロパンの付加体、ヘキサメチレンジイソシアナートと水との付加体、キシレンジイソシアナートとトリメチロールプロパンとの付加体等のポリイソシアナートアダクト型等を挙げることができる。上記イソシアナート基含有化合物と活性水素含有アルケニルエーテル化合物とを反応させることにより末端にアルケニルエーテル基を持つ種々の化合物ができる。このような化合物として以下の式(II−1)〜(II−11)で示されるものを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0110】
【化42】
Figure 0003666550
【0111】
【化43】
Figure 0003666550
【0112】
上記第1方法においては、重量平均分子量が5,000〜50,000であり、好ましくは一般式(1’)で示される高分子シリコーン化合物のフェノール性水酸基の1モルに対してp1モルの一般式(I)又は(II)で示されるアルケニルエーテル化合物及びq1モルの一般式(6a)で示される化合物を反応させて、例えば下記一般式(3a’−1)、(3a’−2)で示される高分子化合物を得ることができる。
【0113】
【化44】
Figure 0003666550
【0114】
【化45】
Figure 0003666550
上記式において、x、y、z、p1、p2、q1、q2、m、n、R2、R3、R4、Qはそれぞれ上記と同様であるが、但しm+n=xである。
【0115】
第1の方法において、反応溶媒としては、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、酢酸エチル等の非プロトン性極性溶媒が好ましく、単独でも2種以上混合して使用してもかまわない。
【0116】
触媒の酸としては、塩酸、硫酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム塩等が好ましく、その使用量は反応する一般式(1’)で示される高分子化合物のフェノール性水酸基の1モルに対して0.1〜10モル%であることが好ましい。
【0117】
反応温度としては−20〜100℃、好ましくは0〜60℃であり、反応時間としては0.2〜100時間、好ましくは0.5〜20時間である。
【0118】
上記反応を単離せずに一括して行う場合、一般式(I)又は(II)で示されるアルケニルエーテル化合物と一般式(6a)で示される化合物の添加する順序は特に限定しないが、初めに一般式(6a)で示される化合物を添加し、反応が十分進行した後に一般式(I)又は(II)で示されるアルケニルエーテル化合物を添加するのが好ましい。例えば一般式(I)又は(II)で示されるアルケニルエーテル化合物と一般式(6a)で示される化合物を同時に添加したり、一般式(I)又は(II)で示されるアルケニルエーテル化合物を先に添加した場合には、一般式(I)又は(II)で示されるアルケニルエーテル化合物の反応点の一部が反応系中の水分により加水分解され、生成した高分子化合物の構造が複雑化し、物性の制御が困難となる場合がある。
【0119】
【化46】
Figure 0003666550
(式中、x、y、z、p1、p2、q1、q2、R2a、R3、R4、R6、R7、R11、A、B、c、dはそれぞれ上記と同様の意味を示し、Zはハロゲン原子(CI、Br及びI)である。)
【0120】
なお、上記式(VI)、(VII)の化合物や式(6b)の化合物は、上記式(I)、(II)の化合物や式(6a)の化合物に塩化水素、臭化水素またはヨウ化水素を反応することにより得ることができる。
【0121】
上記第2方法は、重量平均分子量が5,000〜50,000であり、好ましくは一般式(1’)で示される繰り返し単位を有する高分子化合物のフェノール性水酸基の1モルに対してp1モルの一般式(VI)又は(VII)で示されるハロゲン化アルキルエーテル化合物及びq1モルの一般式(6b)で示される化合物を反応させて、例えば上記式(3a’−1)、(3a’−2)で示される高分子化合物を得ることができる。
【0122】
上記製造方法は、溶媒中において塩基の存在下で行うことが好ましい。
反応溶媒としては、アセトニトリル、アセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒が好ましく、単独でも2種以上混合して使用してもかまわない。
【0123】
塩基としては、トリエチルアミン、ピリジン、ジイソプロピルアミン、炭酸カリウム等が好ましく、その使用量は反応する一般式(1’)で示される高分子化合物のフェノール性水酸基の1モルに対して1モル倍以上、特に5モル倍以上であることが好ましい。
【0124】
反応温度としては−50〜100℃、好ましくは0〜60℃であり、反応時間としては0.5〜100時間、好ましくは1〜20時間である。
【0125】
なお、上述したように、式(1’)で示される繰り返し単位を有する高分子化合物に式(6a)又は(6b)の化合物を反応させて、下記式(11)で示される化合物を得た後、これを単離し、次いで式(I)、(II)或いは(VI)、(VII)で示される化合物を用いて架橋を行うようにしてもよい。
【0126】
【化47】
Figure 0003666550
(式中、R2〜R4、x、y、z、m、n、p1、p2、q1、q2はそれぞれ上記と同様の意味を示す。)
【0127】
上記第1又は第2方法により得られた例えば式(3a’−1)、(3a’−2)で示されるような高分子化合物に、必要に応じて元の一般式(1’)で示される高分子化合物のフェノール性水酸基の1モルに対してq2モルの二炭酸ジアルキル化合物、アルコキシカルボニルアルキルハライド等を反応させて一般式()で示される酸不安定基を導入したり、3級アルキルハライド、トリアルキルシリルハライド、オキソアルキル化合物等を反応させて、例えば一般式(3b’−1)、(3b’−2)で示される高分子化合物を得ることができる。
【0128】
【化48】
Figure 0003666550
【0129】
【化49】
Figure 0003666550
(式中、R2〜R5、Q、x、y、z、m、n、p1、p2、q1、q2はそれぞれ上記と同様の意味を示す。)
【0130】
上記式(7)の酸不安定基の導入方法は、溶媒中において塩基の存在下で行うことが好ましい。
【0131】
反応溶媒としては、アセトニトリル、アセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒が好ましく、単独でも2種以上混合して使用してもかまわない。
【0132】
塩基としては、トリエチルアミン、ピリジン、イミダゾール、ジイソプロピルアミン、炭酸カリウム等が好ましく、その使用量は元の一般式(1’)で示される高分子化合物のフェノール性水酸基の1モルに対して1モル倍以上、特に5モル倍以上であることが好ましい。
【0133】
反応温度としては0〜100℃、好ましくは0〜60℃である。反応時間としては0.2〜100時間、好ましくは1〜10時間である。
【0134】
二炭酸ジアルキル化合物としては二炭酸ジ−tert−ブチル、二炭酸ジ−tert−アミル等が挙げられ、アルコキシカルボニルアルキルハライドとしてはtert−ブトキシカルボニルメチルクロライド、tert−アミロキシカルボニルメチルクロライド、tert−ブトキシカルボニルメチルブロマイド、tert−ブトキシカルボニルエチルクロライド、エトキシエトキシカルボニルメチルクロライド、エトキシエトキシカルボニルメチルブロライド、テトラヒドロピラニルオキシカルボニルメチルクロライド、テトラヒドロピラニルオキシカルボニルメチルブロライド、テトラヒドロフラニルオキシカルボニルメチルクロライド、テトラヒドロフラニルオキシカルボニルメチルブロライド等が挙げられ、トリアルキルシリルハライドとしてはトリメチルシリルクロライド、トリエチルシリルクロライド、ジメチル−tert−ブチルシリルクロライド等が挙げられる。
【0135】
また、上記第1又は第2の方法により得られた一般式(3a’−1)、(3a’−2)で示される高分子化合物に、必要に応じて元の一般式(1’)で示される高分子化合物のフェノール性水酸基の1モルに対してq2モルの3級アルキル化剤、オキソアルキル化合物を反応させて3級アルキル化又はオキソアルキル化することができる。
【0136】
上記方法は、溶媒中において酸の存在下で行うことが好ましい。
反応溶媒としては、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、酢酸エチル等の非プロトン性極性溶媒が好ましく、単独でも2種以上混合して使用してもかまわない。
【0137】
触媒の酸としては、塩酸、硫酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム塩等が好ましく、その使用量は元の一般式(1’)で示される高分子合物のフェノール性水酸基の1モルに対して0.1〜10モル%であることが好ましい。
【0138】
反応温度としては−20〜100℃、好ましくは0〜60℃であり、反応時間としては0.2〜100時間、好ましくは0.5〜20時間である。
【0139】
3級アルキル化剤としてはイソブテン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン等が挙げられ、オキソアルキル化合物としてはα−アンジェリカラクトン、2−シクロヘキセン−1−オン、5,6−ジヒドロ−2H−ピラン−2−オン等が挙げられる。
【0140】
なお、一般式(3a’−1)、(3a’−2)で示される高分子化合物を経由せずに直接下記一般式(3c’−1)又は(3c’−2)で示される繰り返し単位を有する高分子化合物に一般式(7)で示される酸不安定基、3級アルキル基、トリアルキルシリル基、オキソアルキル基等を導入後、必要に応じて一般式(6)で示される酸不安定基を導入することもできる。
【0141】
【化50】
Figure 0003666550
【0142】
【化51】
Figure 0003666550
(式中、Q、x、y、z、p1、p2、q1、q2はそれぞれ上記と同様の意味を示す。)
【0143】
本発明の高分子シリコーン化合物において、R1の酸不安定基としては1種に限られず、2種以上を導入することができる。この場合、式(1’)の高分子化合物の全水酸基1モルに対してq1モルの酸不安定基を上記のようにして導入した後、これと異なる酸不安定基を上記と同様の方法でp2モル導入することによって、かかる酸不安定基を2種又は適宜かかる操作を繰り返してそれ以上導入した高分子化合物を得ることができる。
【0144】
本発明の高分子シリコーン化合物は、化学増幅ポジ型レジスト材料のベースポリマーとして有効であり、本発明は、この高分子化合物をベースポリマーとする下記成分を含有する化学増幅ポジ型レジスト材料を提供する。
(A)有機溶剤
(B)ベース樹脂として上記高分子シリコーン化合物
(C)酸発生剤
更に必要により
(D)溶解制御剤
(E)塩基性化合物
(F)(B)成分とは別のベース樹脂
(G)アセチレンアルコール誘導体
【0145】
ここで、本発明で使用される(A)有機溶剤としては、酸発生剤、ベース樹脂、溶解制御剤等が溶解可能な有機溶媒であれば何れでも良い。このような有機溶剤としては、例えばシクロヘキサノン、メチル−2−n−アミルケトン等のケトン類、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコール−モノ−tert−ブチルエーテルアセテート等のエステル類が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができるが、これらに限定されるものではない。本発明では、これらの有機溶剤の中でもレジスト成分中の酸発生剤の溶解性が最も優れているジエチレングリコールジメチルエーテルや1−エトキシ−2−プロパノールの他、安全溶剤であるプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びその混合溶剤が好ましく使用される。
【0146】
有機溶剤の使用量は、(B)成分のベース樹脂100部(重量部、以下同様)に対して200〜1,000部、特に400〜800部が好適である。
【0147】
(C)成分の酸発生剤としては、下記一般式(12)のオニウム塩、式(13)のジアゾメタン誘導体、式(14)のグリオキシム誘導体、β−ケトスルホン誘導体、ジスルホン誘導体、ニトロベンジルスルホネート誘導体、スルホン酸エステル誘導体、イミド−イルスルホネート誘導体等が挙げられる。
【0148】
(R30b+- (12)
(但し、R30は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基又は炭素数7〜12のアラルキル基を表し、M+はヨードニウム、スルホニウムを表し、K-は非求核性対向イオンを表し、bは2又は3である。)
【0149】
30のアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、シクロヘキシル基、2−オキソシクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。アリール基としてはフェニル基、p−メトキシフェニル基、m−メトキシフェニル基、o−メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、p−tert−ブトキシフェニル基、m−tert−ブトキシフェニル基等のアルコキシフェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基等のアルキルフェニル基が挙げられる。アラルキル基としてはベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。K-の非求核性対向イオンとしては塩化物イオン、臭化物イオン等のハライドイオン、トリフレート、1,1,1−トリフルオロエタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート等のフルオロアルキルスルホネート、トシレート、ベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、1,2,3,4,5−ペンタフルオロベンゼンスルホネート等のアリールスルホネート、メシレート、ブタンスルホネート等のアルキルスルホネートが挙げられる。
【0150】
【化52】
Figure 0003666550
(但し、R31、R32は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はハロゲン化アルキル基、炭素数6〜12のアリール基又はハロゲン化アリール基又は炭素数7〜12のアラルキル基を表す。)
【0151】
31、R32のアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。ハロゲン化アルキル基としてはトリフルオロメチル基、1,1,1−トリフルオロエチル基、1,1,1−トリクロロエチル基、ノナフルオロブチル基等が挙げられる。アリール基としてはフェニル基、p−メトキシフェニル基、m−メトキシフェニル基、o−メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、p−tert−ブトキシフェニル基、m−tert−ブトキシフェニル基等のアルコキシフェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基等のアルキルフェニル基が挙げられる。ハロゲン化アリール基としてはフルオロベンゼン基、クロロベンゼン基、1,2,3,4,5−ペンタフルオロベンゼン基等が挙げられる。アラルキル基としてはベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
【0152】
【化53】
Figure 0003666550
(但し、R33、R34、R35は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はハロゲン化アルキル基、炭素数6〜12のアリール基又はハロゲン化アリール基又は炭素数7〜12のアラルキル基を表す。また、R34、R35は互いに結合して環状構造を形成してもよく、環状構造を形成する場合、R34、R35はそれぞれ炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を表す。)
【0153】
33、R34、R35のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、ハロゲン化アリール基、アラルキル基としては、R31、R32で説明したものと同様の基が挙げられる。なお、R34、R35のアルキレン基としてはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基等が挙げられる。
【0154】
具体的には、例えばトリフルオロメタンスルホン酸ジフェニルヨードニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルヨードニウム、p−トルエンスルホン酸ジフェニルヨードニウム、p−トルエンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルヨードニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ビス(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ビス(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、ブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリメチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジメチルフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ジメチルフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジシクロヘキシルフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ジシクロヘキシルフェニルスルホニウム等のオニウム塩、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(キシレンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロペンチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−プロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−アミルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソアミルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec−アミルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−アミルスルホニル)ジアゾメタン、1−シクロヘキシルスルホニル−1−(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、1−シクロヘキシルスルホニル−1−(tert−アミルスルホニル)ジアゾメタン、1−tert−アミルスルホニル−1−(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン等のジアゾメタン誘導体、ビス−o−(p−トルエンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(p−トルエンスルホニル)−α−ジフェニルグリオキシム、ビス−o−(p−トルエンスルホニル)−α−ジシクロヘキシルグリオキシム、ビス−o−(p−トルエンスルホニル)−2,3−ペンタンジオングリオキシム、ビス−o−(p−トルエンスルホニル)−2−メチル−3,4−ペンタンジオングリオキシム、ビス−o−(n−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(n−ブタンスルホニル)−α−ジフェニルグリオキシム、ビス−o−(n−ブタンスルホニル)−α−ジシクロヘキシルグリオキシム、ビス−o−(n−ブタンスルホニル)−2,3−ペンタンジオングリオキシム、ビス−o−(n−ブタンスルホニル)−2−メチル−3,4−ペンタンジオングリオキシム、ビス−o−(メタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(トリフルオロメタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(1,1,1−トリフルオロエタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(tert−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(パーフルオロオクタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(シクロヘキサンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(ベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(p−フルオロベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(p−tert−ブチルベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(キシレンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(カンファースルホニル)−α−ジメチルグリオキシム等のグリオキシム誘導体、2−シクロヘキシルカルボニル−2−(p−トルエンスルホニル)プロパン、2−イソプロピルカルボニル−2−(p−トルエンスルホニル)プロパン等のβ−ケトスルホン誘導体、ジフェニルジスルホン、ジシクロヘキシルジスルホン等のジスルホン誘導体、p−トルエンスルホン酸2,6−ジニトロベンジル、p−トルエンスルホン酸2,4−ジニトロベンジル等のニトロベンジルスルホネート誘導体、1,2,3−トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(p−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン等のスルホン酸エステル誘導体、フタルイミド−イル−トリフレート、フタルイミド−イル−トシレート、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド−イル−トリフレート、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド−イル−トシレート、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド−イル−n−ブチルスルホネート等のイミド−イル−スルホネート誘導体等が挙げられるが、トリフルオロメタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム等のオニウム塩、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−プロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン等のジアゾメタン誘導体、ビス−o−(p−トルエンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(n−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム等のグリオキシム誘導体が好ましく用いられる。なお、上記酸発生剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。オニウム塩は矩形性向上効果に優れ、ジアゾメタン誘導体及びグリオキシム誘導体は定在波低減効果に優れるが、両者を組み合わせることにより、プロファイルの微調整を行うことが可能である。
【0155】
酸発生剤の添加量は、ベース樹脂100部に対して好ましくは0.5〜15部、より好ましくは1〜8部である。0.5部より少ないと感度が悪い場合があり、15部より多いとアルカリ溶解速度が低下することによってレジスト材料の解像性が低下する場合があり、またモノマー成分が過剰となるために耐熱性が低下する場合がある。
【0156】
本発明のレジスト材料は、溶解制御剤(D)を配合した3成分系のものとしても好適であり、この溶解制御剤(D)としては、分子内に一つ以上の酸不安定基を有するものであれば、低分子量の化合物や高分子量の化合物のいずれであってもよく、公知のポジ型レジスト用溶解制御剤を使用することができる。ここで、酸不安定基としては上記一般式(6)、(7)と同様のものが挙げられる。このような溶解制御剤(D)として、例えばビスフェノールAの水酸基をtert−Boc化した化合物や、フロログルシンやテトラヒドロキシベンゾフェノン等をtert−Boc化した化合物等を挙げることができる。
【0157】
溶解制御剤(D)としては、平均分子量が100〜1,000、好ましくは150〜800で、かつ分子内にフェノール性水酸基を2つ以上有する化合物の該フェノール性水酸基の水素原子を酸不安定基により全体として平均0〜100モル%の割合で置換した化合物を配合する。即ち、フェノール性水酸基の水素原子の酸不安定基による置換率は、平均でフェノール性水酸基全体の0モル%以上、好ましくは30モル%以上であり、また、その上限は100モル%、より好ましくは80モル%である。
【0158】
この場合、かかるフェノール性水酸基を2つ以上有する化合物としては、下記式(i)〜(xi)で示されるものが好ましい。
【0159】
【化54】
Figure 0003666550
【0160】
【化55】
Figure 0003666550
【0161】
【化56】
Figure 0003666550
(但し、式中R51、R52はそれぞれ水素原子又は炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキル基又はアルケニル基であり、R53は水素原子又は炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキル基又はアルケニル基、あるいは−(R57h−COOHであり、R54は−(CH2i−(i=2〜10)、炭素数6〜10のアリーレン基、カルボニル基、スルホニル基、酸素原子又は硫黄原子、R55は炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数6〜10のアリーレン基、カルボニル基、スルホニル基、酸素原子又は硫黄原子、R56は水素原子又は炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキル基、アルケニル基、それぞれ水酸基で置換されたフェニル基又はナフチル基であり、R57は炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。また、jは0〜5の整数であり、h、uは0又は1である。s、t、s’、t’、s’’、t’’はそれぞれs+t=8、s’+t’=5、s’’+t’’=4を満足し、かつ各フェニル骨格中に少なくとも1つの水酸基を有するような数である。αは式(viii)、(ix)の化合物の分子量を100〜1,000とする数である。)
【0162】
上記式中R51、R52としては、例えば水素原子、メチル基、エチル基、ブチル基、プロピル基、シクロヘキシル基、R53としては、例えばR51、R52と同様なもの、あるいは−COOH、−CH2COOH、R54としては、例えばエチレン基、フェニレン基、カルボニル基、スルホニル基、酸素原子、硫黄原子等、R55としては、例えばメチレン基、あるいはR54と同様なもの、R56としては例えば水素原子、メチル基、エチル基、ブチル基、プロピル基シクロヘキシル基、それぞれ水酸基で置換されたフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0163】
ここで、溶解制御剤の酸不安定基としては、上記一般式(6)で示される基、上記一般式(7)で示される基、炭素数4〜20の3級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基等が挙げられる。
【0164】
上記溶解制御剤の配合量は、ベース樹脂100部に対し、0〜50部、好ましくは5〜50部、より好ましくは10〜30部であり、単独又は2種以上を混合して使用できる。配合量が5部に満たないと解像性の向上がない場合があり、50部を超えるとパターンの膜減りが生じ、解像度が低下する場合がある。
【0165】
なお、上記のような溶解制御剤はフェノール性水酸基を有する化合物にベース樹脂と同様に酸不安定基を化学反応させることにより合成することができる。
【0166】
本発明のレジスト材料は、上記溶解制御剤の代わりに又はこれに加えて別の溶解制御剤として重量平均分子量が1,000未満で、かつ分子内にフェノール性水酸基を有する化合物の該フェノール性水酸基の水素原子を酸不安定基により全体として平均0%以上100%以下の割合で部分置換した化合物を配合することができる。
【0167】
この場合、かかる酸不安定基でフェノール性水酸基の水素原子が部分置換された化合物としては、下記一般式(15)で示される繰り返し単位を有し、重量平均分子量が1,000を超え3,000以下である化合物から選ばれる1種又は2種以上の化合物が好ましい。
【0168】
【化57】
Figure 0003666550
(但し、式中R1は酸不安定基を示し、v、wはそれぞれ0≦v/(v+w)≦0.6を満足する数である。)
【0169】
ここで、上記溶解制御剤の酸不安定基としては、上記一般式(6)で示される基、上記一般式(7)で示される基、炭素数4〜20の3級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基等が挙げられる。
【0170】
上記別の溶解制御剤の配合量は、上記溶解制御剤と合計した溶解制御剤全体としてベース樹脂100部に対し0〜50部、特に0〜30部、好ましくは1部以上用いるような範囲であることが好ましい。
【0171】
なお、上記のような別の溶解制御剤は、フェノール性水酸基を有する化合物にベース樹脂と同様に酸不安定基を化学反応させることにより合成することができる。
【0172】
また、溶解制御剤(D)としては酸素プラズマエッチング耐性を損わないために、シリコーン化合物が好ましく使用できる。シリコーン化合物の溶解制御剤としては、下記一般式(16)示されるシリコーン化合物のカルボキシル基又はヒドロキシル基をtert−ブチル基又はtert−ブトキシカルボニルメチル基で保護したものを使用することができる。
【0173】
【化58】
Figure 0003666550
(式中、R12はメチル基又はフェニル基を示し、R13はカルボキシエチル基又はp−ヒドロキシフェニルアルキル基を示す。eは0〜50の整数を示す。)
【0174】
ここで、上記式(16)シリコーン化合物のカルボキシル基又はヒドロキシル基をアルカリ可溶性基(tert−ブチル基又はtert−ブトキシカルボニルメチル基)で保護したシリコーン化合物としては、下記A群の化合物が例示される。なお、Meはメチル基、t−Buはtert−ブチル基を示す。
【0175】
【化59】
Figure 0003666550
【0178】
上記シリコーン化合物の溶解制御剤を使用する場合の含量は、ベース樹脂100部に対して0〜60部、特に0〜50部とすることが好ましい。60部より多くては、レジスト膜の酸素プラズマエッチング耐性が著しく低下するため、2層レジストとして使用できなくなるおそれがある。
【0179】
更に、本発明のレジスト材料には、(E)成分として塩基性化合物を配合することができる。
【0180】
この(E)添加剤として配合される塩基性化合物は、酸発生剤より発生する酸がレジスト膜中に拡散する際の拡散速度を抑制することができる化合物が適しており、このような塩基性化合物の配合により、レジスト膜中での酸の拡散速度が抑制されて解像度が向上し、露光後の感度変化を抑制したり、基板や環境依存性を少なくし、露光余裕度やパターンプロファイル等を向上することができる。
【0181】
このような塩基性化合物としては、第1級、第2級、第3級の脂肪族アミン類、混成アミン類、芳香族アミン類、複素環アミン類、カルボキシ基を有する含窒素化合物、スルホニル基を有する含窒素化合物、ヒドロキシ基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物、アミド誘導体、イミド誘導体等が挙げられる。
【0182】
具体的には、第1級の脂肪族アミン類として、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ペンチルアミン、tert−アミルアミン、シクロペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、セチルアミン、メチレンジアミン、エチレンジアミン、テトラエチレンペンタミン等が例示され、第2級の脂肪族アミン類として、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジペンチルアミン、ジシクロペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、ジドデシルアミン、ジセチルアミン、N,N−ジメチルメチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルテトラエチレンペンタミン等が例示され、第3級の脂肪族アミン類として、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリ−sec−ブチルアミン、トリペンチルアミン、トリシクロペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、トリドデシルアミン、トリセチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルテトラエチレンペンタミン等が例示される。
【0183】
また、混成アミン類としては、例えばジメチルエチルアミン、メチルエチルプロピルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ベンジルジメチルアミン等が例示される。芳香族アミン類及び複素環アミン類の具体例としては、アニリン誘導体(例えばアニリン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、N−プロピルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、エチルアニリン、プロピルアニリン、トリメチルアニリン、2−ニトロアニリン、3−ニトロアニリン、4−ニトロアニリン、2,4−ジニトロアニリン、2,6−ジニトロアニリン、3,5−ジニトロアニリン、N,N−ジメチルトルイジン等)、ジフェニル(p−トリル)アミン、メチルジフェニルアミン、トリフェニルアミン、フェニレンジアミン、ナフチルアミン、ジアミノナフタレン、ピロール誘導体(例えばピロール、2H−ピロール、1−メチルピロール、2,4−ジメチルピロール、2,5−ジメチルピロール、N−メチルピロール等)、オキサゾール誘導体(例えばオキサゾール、イソオキサゾール等)、チアゾール誘導体(例えばチアゾール、イソチアゾール等)、イミダゾール誘導体(例えばイミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール等)、ピラゾール誘導体、フラザン誘導体、ピロリン誘導体(例えばピロリン、2−メチル−1−ピロリン等)、ピロリジン誘導体(例えばピロリジン、N−メチルピロリジン、ピロリジノン、N−メチルピロリドン等)、イミダゾリン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ピリジン誘導体(例えばピリジン、メチルピリジン、エチルピリジン、プロピルピリジン、ブチルピリジン、4−(1−ブチルペンチル)ピリジン、ジメチルピリジン、トリメチルピリジン、トリエチルピリジン、フェニルピリジン、3−メチル−2−フェニルピリジン、4−tert−ブチルピリジン、ジフェニルピリジン、ベンジルピリジン、メトキシピリジン、ブトキシピリジン、ジメトキシピリジン、1−メチル−2−ピリドン、4−ピロリジノピリジン、1−メチル−4−フェニルピリジン、2−(1−エチルプロピル)ピリジン、アミノピリジン、ジメチルアミノピリジン等)、ピリダジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾリジン誘導体、ピペリジン誘導体、ピペラジン誘導体、モルホリン誘導体、インドール誘導体、イソインドール誘導体、1H−インダゾール誘導体、インドリン誘導体、キノリン誘導体(例えばキノリン、3−キノリンカルボニトリル等)、イソキノリン誘導体、シンノリン誘導体、キナゾリン誘導体、キノキサリン誘導体、フタラジン誘導体、プリン誘導体、プテリジン誘導体、カルバゾール誘導体、フェナントリジン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、1,10−フェナントロリン誘導体、アデニン誘導体、アデノシン誘導体、グアニン誘導体、グアノシン誘導体、ウラシル誘導体、ウリジン誘導体等が例示される。
【0184】
更に、カルボキシ基を有する含窒素化合物としては、例えばアミノ安息香酸、インドールカルボン酸、アミノ酸誘導体(例えばニコチン酸、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、グリシルロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、リジン、3−アミノピラジン−2−カルボン酸、メトキシアラニン)等が例示され、スルホニル基を有する含窒素化合物として3−ピリジンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム等が例示され、ヒドロキシ基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物としては、2−ヒドロキシピリジン、アミノクレゾール、2,4−キノリンジオール、3−インドールメタノールヒドレート、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2,2’−イミノジエタノール、2−アミノエタノ−ル、3−アミノ−1−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、2−(2−ヒドロキシエチル)ピリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、1−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]ピペラジン、ピペリジンエタノール、1−(2−ヒドロキシエチル)ピロリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリジノン、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、3−ピロリジノ−1,2−プロパンジオール、8−ヒドロキシユロリジン、3−クイヌクリジノール、3−トロパノール、1−メチル−2−ピロリジンエタノール、1−アジリジンエタノール、N−(2−ヒドロキシエチル)フタルイミド、N−(2−ヒドロキシエチル)イソニコチンアミド等が例示される。アミド誘導体としては、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド等が例示される。イミド誘導体としては、フタルイミド、サクシンイミド、マレイミド等が例示される。
【0185】
更に、下記一般式(19)及び(20)で示される塩基性化合物を配合することもできる。
【0186】
【化62】
Figure 0003666550
(式中、R41、R42、R43、R47、R48はそれぞれ独立して直鎖状、分岐鎖状又は環状の炭素数1〜20のアルキレン基、R44、R45、R46、R49、R50は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基又はアミノ基を示し、R44とR45、R45とR46、R44とR46、R44とR45とR46、R49とR50はそれぞれ結合して環を形成してもよい。S、T、Uはそれぞれ0〜20の整数を示す。但し、S、T、U=0のとき、R44、R45、R46、R49、R50は水素原子を含まない。)
【0187】
ここで、R41、R42、R43、R47、R48のアルキレン基としては、炭素数1〜20、好ましくは1〜10、更に好ましくは1〜8のものであり、具体的には、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、n−ペンチレン基、イソペンチレン基、ヘキシレン基、ノニレン基、デシレン基、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基等が挙げられる。
【0188】
また、R44、R45、R46、R49、R50のアルキル基としては、炭素数1〜20、好ましくは1〜8、更に好ましくは1〜6のものであり、これらは直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
【0189】
更に、R44とR45、R45とR46、R44とR46、R44とR45とR46、R49とR50が環を形成する場合、その環の炭素数は1〜20、より好ましくは1〜8、更に好ましくは1〜6であり、またこれらの環は炭素数1〜6、特に1〜4のアルキル基が分岐していてもよい。
【0190】
S、T、Uはそれぞれ0〜20の整数であり、より好ましくは1〜10、更に好ましくは1〜8の整数である。
【0191】
上記(19)、(20)の化合物として具体的には、トリス{2−(メトキシメトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス[2−{(2−メトキシエトキシ)メトキシ}エチル]アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシプロポキシ)エチル}アミン、トリス[2−{(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル]アミン、4,7,13,16,21,24−ヘキサオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.8.8]ヘキサコサン、4,7,13,18−テトラオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.5.5]エイコサン、1,4,10,13−テトラオキサ−7,16−ジアザビシクロオクタデカン、1−アザ−12−クラウン−4、1−アザ−15−クラウン−5、1−アザ−18−クラウン−6等が挙げられる。特に第3級アミン、アニリン誘導体、ピロリジン誘導体、ピリジン誘導体、キノリン誘導体、アミノ酸誘導体、ヒドロキシ基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物、アミド誘導体、イミド誘導体、トリス{2−(メトキシメトキシ)エチル}アミン、トリス{(2−(2−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス[2−{(2−メトキシエトキシ)メチル}エチル]アミン、1−アザ−15−クラウン−5等が好ましい。
【0192】
なお、上記塩基性化合物は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量はベース樹脂100部に対して0〜2部、特に0.01〜1部を混合したものが好適である。配合量が2部を超えると感度が低下しすぎる場合がある。
【0193】
(F)成分の上記(B)成分に係る架橋されている高分子化合物とは別のベース樹脂としては、特に下記一般式(21)で示される繰り返し単位を有する重量平均分子量が3,000〜300,000の高分子化合物が好適に使用される。
【0194】
更に(F)成分を配合することにより、パターンの寸法制御、パターンの形状コントロールを任意に行うことができ、有利である。
【0195】
【化63】
Figure 0003666550
【0196】
上記式において、Me、R2〜R4、y、zはそれぞれ上記と同様の意味を示し、R1は上記式(6)とは異なる酸不安定基であり、例えば上記式(7)で示される基、炭素数4〜20の3級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基等である。
【0197】
e、fはそれぞれ0又は正数であり、e、fが同時に0となることがあり、gは正数であり、e+f+g=1である。これらの組成比は0≦e/(e+f+g)≦0.5、好ましくは0.1≦e/(e+f+g)≦0.4、0≦f/(e+f+g)≦0.5、好ましくは0≦f/(e+f+g)≦0.2、0.4≦g/(e+f+g)≦0.9、好ましくは0.6≦g/(e+f+g)≦0.8である。eの全体(e+f+g、以下同様)に対する割合が0.5を超え、fの全体に対する割合が0.5を超え、gの全体に対する割合が0.9を超えるか、或いはgの全体に対する割合が0.4に満たないと、アルカリ溶解速度のコントラストが小さくなり、解像度が悪くなる場合がある。e、f、gはその値を上記範囲内で適宜選定することによりパターンの寸法制御、パターンの形状コントロールを任意に行うことができる。
【0198】
このような高分子化合物は、重量平均分子量が3,000〜300,000、好ましくは5,000〜30,000である必要がある。重量平均分子量が3,000に満たないとレジスト材料が耐熱性に劣るものとなり、300,000を超えるとアルカリ溶解性が低下し、解像性が悪くなる。
【0199】
なお、(F)成分のベース樹脂の配合量と(B)成分のベース樹脂(架橋されている高分子化合物)との配合割合は、0:100〜90:10の重量比が好ましく、特に0:100〜50:50が好適である。上記(F)成分のベース樹脂の配合量が上記重量比より多いと、(B)成分のベース樹脂(架橋されている高分子化合物)による所望の効果が得られない場合がある。
【0200】
更に、本発明のレジスト材料には、(G)成分としてアセチレンアルコール誘導体を配合することができ、これにより保存安定性を向上させることができる。
【0201】
アセチレンアルコール誘導体としては、下記一般式(22)、(23)で示されるものを好適に使用することができる。
【0202】
【化64】
Figure 0003666550
(式中、R71、R72、R73、R74、R75はそれぞれ水素原子、又は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、X、Yは0又は正数を示し、下記値を満足する。0≦X≦30、0≦Y≦30、0≦X+Y≦40である。)
【0203】
アセチレンアルコール誘導体として好ましくは、サーフィノール61、サーフィノール82、サーフィノール104、サーフィノール104E、サーフィノール104H、サーフィノール104A、サーフィノールTG、サーフィノールPC、サーフィノール440、サーフィノール465、サーフィノール485(Air Products and Chemicals Inc.製)、サーフィノールE1004(日信化学工業(株)製)等が挙げられる。
【0204】
上記アセチレンアルコール誘導体の添加量は、レジスト組成物100重量%中0.01〜2重量%、より好ましくは0.02〜1重量%である。0.01重量%より少ないと塗布性及び保存安定性の改善効果が十分に得られない場合があり、2重量%より多いとレジスト材料の解像性が低下する場合がある。
【0205】
本発明のレジスト材料には、上記成分以外に任意成分として塗布性を向上させるために慣用されている界面活性剤を添加することができる。なお、任意成分の添加量は、本発明の効果を妨げない範囲で通常量とすることができる。
【0206】
ここで、界面活性剤としては非イオン性のものが好ましく、パーフルオロアルキルポリオキシエチレンエタノール、フッ素化アルキルエステル、パーフルオロアルキルアミンオキサイド、パーフルオロアルキルEO付加物、含フッ素オルガノシロキサン系化合物などが挙げられる。例えばフロラード「FC−430」、「FC−431」(いずれも住友スリーエム(株)製)、サーフロン「S−141」、「S−145」(いずれも旭硝子(株)製)、ユニダイン「DS−401」、「DS−403」、「DS−451」(いずれもダイキン工業(株)製)、メガファック「F−8151」(大日本インキ工業(株)製)、「X−70−092」、「X−70−093」(いずれも信越化学工業(株)製)等を挙げることができる。好ましくは、フロラード「FC−430」(住友スリーエム(株)製)、「X−70−093」(信越化学工業(株)製)が挙げられる。
【0207】
本発明の化学増幅ポジ型レジスト材料を使用してパターンを形成するには、公知のリソグラフィー技術を採用して行うことができ、例えばシリコンウエハー等の基板上にスピンコーティング等の手法で膜厚が0.5〜2.0μmとなるように塗布し、これをホットプレート上で60〜150℃、1〜10分間、好ましくは80〜120℃、1〜5分間プリベークする。次いで目的のパターンを形成するためのマスクを上記のレジスト膜上にかざし、波長300nm以下の遠紫外線、エキシマレーザー、X線等の高エネルギー線もしくは電子線を露光量1〜200mJ/cm2程度、好ましくは10〜100mJ/cm2程度となるように照射した後、ホットプレート上で60〜150℃、1〜5分間、好ましくは80〜120℃、1〜3分間ポストエクスポージャベーク(PEB)する。更に、0.1〜5%、好ましくは2〜3%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)等のアルカリ水溶液の現像液を用い、0.1〜3分間、好ましくは0.5〜2分間、浸漬(dip)法、パドル(puddle)法、スプレー(spray)法等の常法により現像することにより基板上に目的のパターンが形成される。なお、本発明材料は、特に高エネルギー線の中でも254〜193nmの遠紫外線又はエキシマレーザー、X線及び電子線による微細パターンニングに最適である。また、上記範囲を上限及び下限から外れる場合は、目的のパターンを得ることができない場合がある。
【0208】
また、本発明のレジスト材料はシリコーンポリマーをベース樹脂としたことにより、酸素プラズマエッチング耐性に優れているので2層レジスト材料としても有用である。
【0209】
即ち、常法に従い、基板上に下層レジストとして厚い有機ポリマー層を形成後、本発明のレジスト溶液をその上にスピン塗布する。上層の本発明のレジスト層は上記と同様の方法でパターン形成を行った後、エッチングを行うことにより下層レジストが選択的にエッチングされるため、上層のレジストパターンを下層に形成することができる。
【0210】
なお、下層レジストには、ノボラック樹脂系ポジ型レジストを使用することができ、基板上に塗布した後、200℃で1時間ハードベークすることにより、シリコーン系レジストとのインターミキシングを防ぐことができる。
【0211】
【発明の効果】
本発明の高分子シリコーン化合物をベース樹脂としたポジ型レジスト材料は、高エネルギー線に感応し、感度、解像性に優れているため、電子線や遠紫外線による微細加工に有用である。特にKrFエキシマレーザーの露光波長での吸収が小さいため、微細でしかも基板に対して垂直なパターンを容易に形成することができるという特徴を有する。また、酸素プラズマエッチング耐性に優れているため、下層レジストの上に本発明のレジスト膜を塗布した2層レジストは、微細なパターンを高アスペクト比で形成し得るという特徴も有する。
【0212】
【実施例】
以下、合成例及び実施例、比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
【0213】
[合成例1]ポリ(p−ヒドロキシベンジルシルセスキオキサン)の合成
反応器に1,200mLの水を仕込み、30℃で撹拌しながらp−メトキシベンジルトリクロロシラン487.2g(2.0mol)及びトルエン600mLの混合液を2時間かけて滴下し、加水分解を行った。その後分液操作により水層を除去し、有機層は水層が中性になるまで水洗を行った。有機層へヘキサメチルシラザン80gを添加し5時間還流を行った。冷却後、トルエン並びに未反応のヘキサメチルシラザンをエバポレーターによって留去し、次いで、アセトニトリル400gに溶解した。この溶液中に60℃以下でトリメチルシリルアイオダイド480gを滴下し、60℃で10時間反応させた。反応終了後、水200gを加えて加水分解を行い、次いでデカントによりポリマー層を得た。溶媒をエバポレーターで除去後、ポリマーを真空乾燥することにより、ポリ(p−ヒドロキシベンジルシルセスキオキサン)330gを得た。このポリマーの分子量をGPC(ゲルパーミエィションクロマトグラフィー)によって測定したところ、ポリスチレン換算でMw=3,500であった。また、29Si−NMRの分析において、−62ppmにSiOH基に起因するピークが観測されなかったことより、SiOH基をトリメチルシリル基で封止したことを確認した。
【0214】
[合成例2]
2Lのフラスコに合成例1で得られたポリ(p−ヒドロキシベンジルシルセスキオキサン)160gをジメチルホルムアミド1,000mLに溶解させ、触媒量のp−トルエンスルホン酸を添加した後、20℃で撹拌しながらエチルビニルエーテル19.0g、トリエチレングリコールジビニルエーテル6.0gを添加した。1時間反応させた後、濃アンモニア水により中和し、水10Lに中和反応液を滴下したところ、白色固体が得られた。これを濾過後、アセトン500mLに溶解させ、水10Lに滴下し、濾過後、真空乾燥した。得られたポリマーは、1H−NMRからポリ(p−ヒドロキシベンジルシルセスキオキサン)の水酸基の水素原子が20%エトキシエチル化され、3%が架橋されたことが確認された(Polym.1)。
【0215】
[合成例3]
合成例2において、トリエチレングリコールジビニルエーテルを1,4−ジ(ビニルエーテル)シクロヘキサ5.0gに代えた以外は同様な方法でポリマーを得た。得られたポリマーは、1H−NMRからポリ(p−ヒドロキシベンジルシルセスキオキサン)の水酸基の水素原子が20%エトキシエチル化され、2.5%が架橋されたことが確認された(Polym.2)。
【0216】
[合成例4]
合成例2において、トリエチレングリコールジビニルエーテルを1,4−ジ(ビニルエーテル)シクロヘキサ10.0gに代えた以外は同様な方法でポリマーを得た。得られたポリマーは、1H−NMRからポリ(p−ヒドロキシベンジルシルセスキオキサン)の水酸基の水素原子が19%エトキシエチル化され、4.8%が架橋されたことが確認された(Polym.3)。
【0217】
[合成例5]
合成例2において、エチルビニルエーテルを1−エトキシプロペン27.0gに代えた以外は同様な方法でポリマーを得た。得られたポリマーは、1H−NMRからポリ(p−ヒドロキシベンジルシルセスキオキサン)の水酸基の水素原子が20%エトキシプロピル化され、2.9%が架橋されたことが確認された(Polym.4)。
【0218】
[合成例6]
合成例3において、エチルビニルエーテルを1−エトキシプロペン35.0gに代えた以外は同様な方法でポリマーを得た。得られたポリマーは、1H−NMRからポリ(p−ヒドロキシベンジルシルセスキオキサン)の水酸基の水素原子が19.5%エトキシプロピル化され、2.8%が架橋されたことが確認された(Polym.5)。
【0219】
[合成例7]
合成例2において、エチルビニルエーテルを2,3−ジヒドロフラン30.0gに代えた以外は同様な方法でポリマーを得た。得られたポリマーは、1H−NMRからポリ(p−ヒドロキシベンジルシルセスキオキサン)の水酸基の水素原子が19.0%テトラヒドロフラニル化され、3%が架橋されたことが確認された(Polym.6)。
【0220】
[合成例8]
合成例2で得られた部分架橋されたエトキシエチル化ポリ(p−ヒドロキシベンジルシルセスキオキサン)(Polym.1)150gをピリジン1,200mLに溶解させ、45℃で撹拌しながら二炭酸ジ−tert−ブチル6.5gを添加した。1時間反応させた後、水10Lに反応液を滴下したところ白色固体が得られた。これを濾過後、アセトン500mLに溶解させ、水10Lに滴下し、濾過後、真空乾燥した。得られたポリマーは、1H−NMRからポリ(p−ヒドロキシベンジルシルセスキオキサン)の水酸基の水素原子が20%エトキシエチル化され、3%が架橋され、かつt−Boc化率が3.0%であることが確認された(Polym.7)。
【0221】
[合成例9〜13]
合成例8と同様な方法により、Polym.2〜6をt−Boc化し、Polym.8〜12を得た。
【0222】
[合成例14]
合成例2において、トリエチレングリコールジビニルエーテルをビス−N,N’−2−(ビニロキシ)エトキシカルボニル−1,4−フェニレンジアミン20.0gに代えた以外は同様な方法でポリマーを得た。得られたポリマーは、1H−NMRからポリ(p−ヒドロキシベンジルシルセスキオキサン)の水酸基の水素原子が18.0%エトキシエチル化され、1.9%が架橋されたことが確認された。
【0223】
合成例8と同様な方法により、得られたポリマーをt−Boc化し、Polym.13を得た。
【0224】
得られたポリマーの構造は下記示性式の通りであり、それぞれのポリ(p−ヒドロキシベンジルシルセスキオキサン)の水酸基の水素原子の置換率は表1に示す通りであった。
【0225】
なお、下記式において、Rは下記単位を分子間又は分子内架橋している基を示し、(R)は架橋基Rが結合している状態を示す。
【0226】
【化65】
Figure 0003666550
【0227】
【表1】
Figure 0003666550
【0228】
【化66】
Figure 0003666550
【0229】
【化67】
Figure 0003666550
【0230】
【化68】
Figure 0003666550
【0231】
【化69】
Figure 0003666550
【0232】
【化70】
Figure 0003666550
【0233】
【化71】
Figure 0003666550
【0234】
[実施例、比較例]
上記合成例で得られたポリマー(Polym.1〜13)をベース樹脂として使用し、下記式(PAG.1〜7)で示される酸発生剤、下記式(DRR.1〜6)で示される溶解制御剤、塩基性化合物を表2〜4に示す組成でプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート/乳酸エチル(PGMEA/EL)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(DGLM)に溶解してレジスト材料を調合し、更に各組成物を0.2μmのテフロン製フィルターで濾過することにより、レジスト液をそれぞれ調製した。
【0235】
また、比較のため下記示性式(Polym.14,15)で示されるポリマーをベース樹脂として使用して上記と同様にレジスト液を調製した。
【0236】
得られたレジスト液をシリコンウエハー上へスピンコーティングし、0.4μmの厚さに塗布した。次いで、このシリコンウエハーをホットプレートを用いて100℃で90秒間ベークした。これをエキシマレーザーステッパー(ニコン社、NSR−2005EX8A,NA=0.5)を用いて露光し、110℃で90秒間ベークを施し、2.38%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液で現像を行うと、ポジ型のパターンを得ることができた。得られたレジストパターンを次のように評価した。結果を表2〜4に示す。
評価方法
まず、感度(Eth)を求めた。次に0.24μmのラインアンドスペースを1:1で解像する露光量を最適露光量(Eop)として、この露光量における分離しているラインアンドスペースの最小線幅を評価レジストの解像度とした。解像したレジストパターンの形状は、走査型電子顕微鏡を用いて観察した。また、0.25μmラインアンドスペースの凹凸(エッジラフネス)を走査型電子顕微鏡にて測定した。
【0237】
表2〜4の結果より、本発明の化学増幅型レジスト材料は、高い解像力と凹凸のない(エッジラフネスの小さい)パターンとなることが確認された。
【0238】
【化72】
Figure 0003666550
【0239】
【化73】
Figure 0003666550
【0240】
【化74】
Figure 0003666550
【0241】
【化75】
Figure 0003666550
【0242】
【表2】
Figure 0003666550
【0243】
【表3】
Figure 0003666550
* TMMEA:トリス{(2−メトキシメトキシ)エチル}アミン
** TMEMEA:トリス[2−{(2−メトキシエトキシ)メトキシ}エチル]アミン
【0244】
【表4】
Figure 0003666550
【0245】
[実施例36]
シリコンウエハーに下層レジスト材料として、OFPR800(東京応化社製)を2.0μmの厚さに塗布し、200℃で5分間加熱し、硬化させた。この下層レジスト膜上に実施例1で用いたレジスト材料を上述と同様な方法で約0.35μmの厚さで塗布し、プリベークした。次いでKrFエキシマレーザー露光、現像を行い、パターンを下層レジスト膜上に形成した。この時、下層レジスト膜に対して垂直なパターンを得ることができ、裾引きの発現を認めることはなかった。
【0246】
その後、平行平板型スパッタエッチング装置で酸素ガスをエッチャントガスとしてエッチングを行った。下層レジスト膜のエッチング速度が150nm/minであるのに対し、本レジスト膜は3nm/min以下であった。15分間エッチングすることによって本レジスト膜に覆われていない部分の下層レジスト膜は完全に消失し、2μm以上の厚さの2層レジストパターンが形成できた。このエッチング条件を以下に示す。
ガス流量:50sccm, ガス圧:1.3Pa,
rfパワー:50W, dcバイアス:450V

Claims (9)

  1. 下記一般式(1)で示される繰り返し単位を有する高分子シリコーン化合物のフェノール性水酸基の一部の水素原子が酸不安定基により部分置換され、かつ残りのフェノール性水酸基の一部とアルケニルエーテル化合物もしくはハロゲン化アルキルエーテル化合物との反応により得られる分子内及び/又は分子間でC−O−C基を有する下記一般式(4a)又は(4b)で示される架橋基により架橋されており、上記酸不安定基と架橋基との合計量がフェノール性水酸基の水素原子全体の平均0モル%を超え80モル%以下の割合である重量平均分子量5,000〜50,000の高分子シリコーン化合物。
    Figure 0003666550
    (式中、Meはメチル基を示し、xは1〜5の整数であり、yは0.001≦y≦0.05を満足する正数、zは1〜3の整数である。)
    Figure 0003666550
    (式中、R6、R7は水素原子又は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。又は、R6とR7とは環を形成してもよく、環を形成する場合にはR6、R7は炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。R8は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、dは0又は1〜10の整数である。Aは、c価の炭素数1〜50の脂肪族もしくは脂環式飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基又はヘテロ環基を示し、これらの基はヘテロ原子を介在していてもよく、またその炭素原子に結合する水素原子の一部が水酸基、カルボキシル基、アシル基又はフッ素原子によって置換されていてもよい。Bは−CO−O−、−NHCO−O−又は−NHCONH−を示す。cは2〜8、c’は1〜7の整数で、c=c’+1である。)
  2. 下記一般式(2)で示される繰り返し単位を有する高分子シリコーン化合物のRで示されるフェノール性水酸基とアルケニルエーテル化合物もしくはハロゲン化アルキルエーテル化合物との反応により得られる分子内及び/又は分子間でC−O−C基を有する一般式(4a)又は(4b)で示される架橋基により架橋されている請求項記載の高分子シリコーン化合物。
    Figure 0003666550
    (式中、Meはメチル基、Rは水酸基又はOR1基を示し、少なくとも1個は水酸基である。また、R1は酸不安定基を示し、mは〜5の整数、nは0又は1〜の整数であり、m+n≦5を満足する数である。xは1〜5の整数であり、yは0.001≦y≦0.05を満足する正数、zは1〜3の整数である。p、qは正数であり、p+q=1を満足する数である。)
  3. 下記一般式(3)で示される繰り返し単位を有する高分子シリコーン化合物のRで示されるフェノール性水酸基の水素原子がとれてその酸素原子一般式(4a)又は(4b)で示されるC−O−C基を有する架橋基により分子内及び/又は分子間で架橋されている請求項記載の高分子シリコーン化合物。
    Figure 0003666550
    (式中、Meはメチル基、Rは水酸基又はOR1基を示し、少なくとも1個は水酸基である。また、R1は酸不安定基を示し、R2、R3は水素原子又は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示し、R4は炭素数1〜18のヘテロ原子を有していてもよい1価の炭化水素基を示し、R2とR3、R2とR4、R3とR4とは環を形成してもよく、環を形成する場合にはR2、R3、R4はそれぞれ炭素数1〜18の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。R5は炭素数4〜20の3級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基又は−CR23OR4で示される基を示す。p1、p2は正数、q1、q2は0又は正数であり、0<p1/(p1+p2+q1+q2)≦0.8、0≦q1/(p1+p2+q1+q2)≦0.8、0≦q2/(p1+p2+q1+q2)≦0.8、p1+p2+q1+q2=1を満足する数であるが、q1とq2が同時に0となることはない。aは0又は1〜6の整数である。m、n、x、y、zはそれぞれ上記と同様の意味を示す。)
  4. 一般式(4a)又は(4b)で示されるC−O−C基を有する架橋基が、下記一般式(4a’)又は(4b’)で示される請求項1,2又は3記載の高分子シリコーン化合物。
    Figure 0003666550
    (式中、R6、R7は水素原子又は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。又は、R6とR7とは環を形成してもよく、環を形成する場合にはR6、R7は炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。R8は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、dは0又は1〜5の整数である。A’は、c’’価の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルキルトリイル基、アルキルテトライル基又は炭素数6〜30のアリーレン基を示し、これらの基はヘテロ原子を介在していてもよく、またその炭素原子に結合する水素原子の一部が水酸基、カルボキシル基、アシル基又はフッ素原子によって置換されていてもよい。Bは−CO−O−、−NHCO−O−又は−NHCONH−を示す。c’’は2〜4、c’’’は1〜3の整数で、c’’=c’’’+1である。)
  5. (A):有機溶剤
    (B):ベース樹脂として請求項1乃至のいずれか1項記載の高分子シリコーン化合物
    (C):酸発生剤
    を含有してなることを特徴とする化学増幅ポジ型レジスト材料。
  6. 更に、(D):溶解制御剤を配合したことを特徴とする請求項記載の化学増幅ポジ型レジスト材料。
  7. 更に、(E):添加剤として塩基性化合物を配合したことを特徴とする請求項又は記載の化学増幅ポジ型レジスト材料。
  8. 更に、(F):(B)成分とは別のベース樹脂として、下記一般式(1)で示される繰り返し単位を有する高分子シリコーン化合物のフェノール性水酸基の水素原子を1種又は2種以上の酸不安定基により全体として平均0モル%以上80モル%以下の割合で部分置換した重量平均分子量3,000〜300,000の高分子シリコーン化合物を配合したことを特徴とする請求項乃至のいずれか1項記載の化学増幅ポジ型レジスト材料。
    Figure 0003666550
    (式中、Meはメチル基を示し、xは1〜5の整数であり、yは0.001≦y≦0.05を満足する正数、zは1〜3の整数である。)
  9. (i)請求項乃至のいずれか1項に記載の化学増幅ポジ型レジスト材料を基板上に塗布する工程と、
    (ii)次いで加熱処理後、フォトマスクを介して波長300nm以下の高エネルギー線もしくは電子線で露光する工程と、
    (iii)必要に応じて加熱処理した後、現像液を用いて現像する工程と
    を含むことを特徴とするパターン形成方法。
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