JP3662716B2 - スチレン系重合体組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、加工性、耐薬品性、衝撃強度、ウェルド強度等に優れたスチレン系重合体組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ABS型樹脂の成形性、衝撃強度、耐薬品性などを改良するために、少量のエチレン・不飽和エステル・一酸化炭素共重合体を配合することが効果的であることはすでに知られている(例えば特開平3−287653号、特開平5−125253号、特開平6−116469号、特開平9−31294号各公報など)。
また、一般にスチレン系重合体の成形性を改良するために、エチレン・不飽和エステル・一酸化炭素共重合体を配合することは、特公昭55−50063号公報において知られている。
【0003】
スチレン系重合体にエチレン・不飽和エステル・一酸化炭素共重合体を配合するときの問題点は、過度に配合しすぎると、剛性が低下したり、成形品が層状剥離し易くなったりするほか、かえって衝撃強度が低下することがあり、また、適量配合する場合にも、その配合量が増すにつれ、射出成形品においてはウェルド強度が低下する傾向があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明者らは、スチレン系重合体の優れた特性を生かしつつ、加工性、耐薬品性、衝撃強度、ウェルド強度等に優れたスチレン系重合体組成物を得るべく検討を行った。その結果、下記のような2種類の重合体を配合することによってその目的が達成され、バランスのとれた物性を有する組成物が得られることを知った。
したがって、本発明の目的は、改善された上記の性質を有するスチレン系重合体組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、スチレン系重合体(A)80〜98重量部、エチレン・不飽和エステル・一酸化炭素共重合体(B)1〜15重量部並びにオレフィン系重合体にポリスチレン、ポリメチルメタクリレート及びスチレン・アクリロニトリル共重合体から選択された少なくとも一種のビニル重合体ブロックがグラフト重合されたグラフト共重合体(C)1〜15重量部を合計100重量部基準で含有して成るスチレン系重合体組成物に関する。
【0006】
【発明の実施形態】
[作用]
本発明では、スチレン系重合体(A)に、酸変性エチレン・不飽和エステル・一酸化炭素共重合体(B)と、オレフィン系重合体にビニル重合体ブロックがグラフト重合されたグラフト共重合体(C)とを特定の量比で組み合わせることにより、スチレン系重合体(A)が有する優れた成形性、剛性、機械的性質等を損なうことなく、スチレン系重合体(A)の欠点であった耐薬品性、耐油性、耐衝撃性等を向上させることができる。
スチレン系重合体(A)に、エチレン・不飽和エステル・一酸化炭素共重合体単独を配合した場合、耐薬品性や耐油性、耐衝撃性が改善されるが、ウェルド部の強度がかなり低下するという難点がある(後述する比較例参照)が、本発明では、オレフィン系重合体にビニル重合体ブロックがグラフト重合されたグラフト共重合体(C)を選択し、これを共重合体(B)と共にスチレン系重合体(A)に組み合わせることにより、ウェルド部の強度低下をも抑制することができる。
【0007】
[スチレン系重合体]
本発明で用いられるスチレン系重合体(A)は、芳香族ビニル化合物の単独重合体又はその共重合体である。ここに共重合体にあっては、芳香族ビニル化合物と他のビニルモノマーとの共重合体やゴム強化共重合体などをあげることができる。
【0008】
例えば、芳香族ビニル化合物と他のビニルモノマーの共重合体としては、スチレン・アクリロニトリル共重合体、スチレン・メタクリル酸メチル共重合体、スチレン・アクリロニトリル・メタクリル酸メチル共重合体、スチレン・α−メチルスチレン・アクリロニトリル共重合体、スチレン・N−フェニルマレイミド共重合体、α−メチルスチレン・アクリロニトリル共重合体などを例示することができる。
【0009】
また、ゴム強化共重合体としては、ゴムの存在下に、芳香族ビニル化合物及び必要に応じこれと共重合可能な他のビニルモノマーを重合して得られるグラフト重合体、又はこのようなグラフト共重合体と、芳香族ビニル化合物又は必要に応じこれと共重合可能な他のビニルモノマーを重合して得られる重合体との混合物などが挙げられる。
【0010】
ゴム強化共重合体の原料として用いられるゴムとしては、ポリブタジエン、スチレン・ブタジエン共重合ゴム、ブタジエン・アクリロニトリル共重合ゴム、ポリイソプレンなどのジエン系ゴム、エチレン・プロピレン共重合ゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合ゴムのようなエチレン・α−オレフィン共重合ゴム、アクリルゴム、エチレン・酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレンなどを例示することができる。
【0011】
上記芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどを例示することができる。また他のビニルモノマーとしては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルのような不飽和ニトリル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸nブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチルのような不飽和カルボン酸エステル、N−メチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミドのようなマレイミド類、アクリルアミド、メタクリルアミドのような不飽和アミドなどを例示することができる。
【0012】
ゴム強化共重合体として、より具体的には、ブタジエンゴム強化ポリスチレン、エチレン・プロピレンゴム強化ポリスチレンのような所謂高衝撃性ポリスチレン、ジエンゴム強化スチレン・アクリロニトリル共重合体、ジエンゴム強化スチレン・メタクリル酸メチル共重合体、エチレン・プロピレンゴム強化スチレン・アクリロニトリル共重合体、ジエンゴム強化スチレン・α−メチルスチレン・アクリロニトリル共重合体、ジエンゴム強化スチレン・メタクリル酸メチル共重合体、エチレン・プロピレンゴム強化スチレン・アクリロニトリル共重合体、これらグラフト共重合体と、スチレン・アクリロニトリル共重合体、α−メチルスチレン・アクリロニトリル共重合体、α−メチルスチレン・アクリロニトリル・メタクリル酸メチル共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体、スチレン・N−フェニルマレイミド共重合体、α−メチルスチレン・アクリロニトリル・N−フェニルマレイミド共重合体などとの混合物などを例示することができる。
【0013】
[エチレン・不飽和エステル・一酸化炭素共重合体]
本発明で用いられるエチレン・不飽和エステル・一酸化炭素共重合体(B)は、エチレンが30〜90重量%、好ましくは50〜80重量%、不飽和エステルが5〜60重量%、好ましくは10〜40重量%、一酸化炭素が1〜30重量%、好ましくは5〜20重量%の量で含まれていることが望ましい。
【0014】
ここに、不飽和エステルとしては、酢酸ビニルのようなビニルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸nブチル、アクリル酸イソオクチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸nブチルのような不飽和カルボン酸エステルを例示することができる。
スチレン系重合体の種類によっても異なるが、各成分のブレンドや成形時の温度を高くしなければならない場合には、ビニルエステルを不飽和エステル成分とする共重合体は、熱分解するおそれがあるので、一般には不飽和エステルとしては、不飽和カルボン酸エステル、とくにアクリル酸又はメタクリル酸のエステルを使用した共重合体を使用することが望ましい。
【0015】
共重合体(B)としてはまた、190℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが0.1〜1000g/10分、とくに1〜100g/10分のものを使用するのが好ましい。
【0016】
このような共重合体(B)は、前記単量体成分の高温、高圧下のラジカル共重合によって得ることができる。
【0017】
共重合体(B)としてはまた、相溶性などの向上の目的で、無水マレイン酸のような不飽和カルボン酸等でグラフト変性したものを用いてもよい。
【0018】
[グラフト共重合体]
オレフィン系重合体にビニル共重合体ブロックがグラフトされたグラフト共重合体(C)におけるオレフィン系重合体としては、オレフィンの重合体、オレフィン同士の共重合体、オレフィンとビニルモノマーとの共重合体などであり、具体的にはポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレンと上記のような(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレンと(メタ)アクリル酸グリシジル、さらに任意に不飽和エステルとの共重合体、エチレンと不飽和エステルと不飽和カルボン酸又はその無水物との共重合体などを例示することができる。
【0019】
また、グラフト共重合体(C)におけるビニル重合体ブロックのビニル重合体としては、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート及びスチレン・アクリロニトリル共重合体から選択された少なくとも一種の、オレフィン系重合体より硬質の重合体である。
【0020】
オレフィン系重合体とビニル重合体の比率は、例えば前者20〜90重量%に対し、後者80〜10重量%程度の割合であり、両者は必ずしも全部がグラフトしているものでなくてもよく、それらの一部は単にブレンドされたものであってもよい。
【0021】
このようなグラフト共重合体は、例えばオレフイン系重合体ペレット中に、2種の過酸化物及びビニルモノマーを含浸させ、ビニルモノマーを重合させたのち、溶融条件下でグラフト共重合を行う方法によって得ることができる。
このようなグラフト共重合体(C)として、モディパーA(日本油脂社製)の商品名のものを市場で入手することができる。
【0022】
[樹脂組成物]
スチレン系重合体(A)、エチレン・不飽和エステル・一酸化炭素共重合体(B)及びグラフト共重合体(C)の配合割合は、これらの合計量を100重量部とするときに、スチレン系重合体(A)が80〜98重量部、好ましくは85〜97重量部、共重合体(B)が1〜15重量部、好ましくは2〜10重量部、グラフト共重合体(C)が1〜15重量部、好ましくは2〜10重量部である。
【0023】
スチレン系重合体(A)の配合割合が前記範囲より少なくなると、その特徴、例えば機械的強度や剛性が損なわれるので好ましくない。共重合体(B)は、加工性、耐衝撃性、耐薬品性等の改善に効果的であるが、あまり多量に使用すると、成形品に層状剥離を起こしたり、射出成形品のウェルド強度が弱くなりすぎるなどの欠点が生ずる。
【0024】
また、グラフト共重合体(C)の使用は、共重合体(B)の配合によるウェルド強度低下傾向や耐熱性低下傾向を抑制するのに効果的であるが、多量に配合しすぎるとスチレン系重合体の優れた特性を損なうようになる。
【0025】
本発明の組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で他の重合体を配合することができる。このような重合体の例として、各種ポリオレフィン類、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、各種エラストマーを挙げるこどができる。
【0026】
また、必要に応じ各種添加剤を配合することができる。このような添加剤の例として、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、可塑剤、難燃剤、難燃助剤、顔料、染料、無機充境剤、例えば亜鉛粉、亜鉛華、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、雲母、カオリン、ベントナイト、珪藻土、石英粉、カーボンブラックなど、繊維強化剤、例えばガラス繊維、炭素繊維などを挙げることができる。
【0027】
本発明のスチレン系樹脂組成物は、各積配合成分を、バンバリーミキサー、ニ−ダー、ロール、単軸押出機、二軸押出機などを用い、溶融混練することによって調製することができる。そして押出成形、射出成形、ブロー成形、圧縮成形、真空成形などの公知の成形方法によって各種製品に成形することができる。
【0028】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はかかる実施例により何等制限されるものではない。
【0029】
尚、実施例、比較例における物性の測定方法を以下に示す。
(1)溶融粘度
キャピラリーレオメーター(JIS K7199適用(株)東洋精機製作所製)を用いて、試験温度220℃、剪断速度1385s-1における見掛け粘度を求めた。
(2)アイゾット(IZOD)衝撃強度
ASTM D256に準拠。射出成形したアイゾット試験片(厚さ:3.2mm、6.4mm)に切削加工にてVノッチを入れ、23℃で試験した。
(3)曲げ弾性率
ASTM D790に準拠。射出成形した試験片を23℃で試験した。
(4)耐薬品性
く耐薬品性試験−1>
射出成形した短冊状試験片をベンディングフォーム法治具に取り付けて一定の応力を加え、その表面にサラダ油を塗布し、23℃雰囲気で48時間放置後にクラック発生の有無を確認し、臨界歪み(%)を求めた。
臨界歪みが0.4%以上であれぱ、使用塗布薬剤に対する耐性があるものと判断される。
く耐薬品性試験−2>
空気中にて曲げ弾性用試片(3.2×127×12.7mm)にアーチ状の一定歪み(アーチ状の突端部 12mm)をかけ、アセトンを滴下し、ストレスクラックによる破断の有無を調べた。
○;クラツク無し、△;微少クラック発生、×;試験片が破断。
く耐薬品性試験−3>
曲げ弾性用試片(3.2×127×12.7mm)にアーチ状の一定歪み(アーチ状の突端部 22mm)をかけ、サラダオイルの中に浸漬し、24時間後のストレスクラックによる破断の有無を調べた。
○;クラック無し、△;微少クラック発生、×;試験片が破断。
(5)ウェルド強度
ウェルド部を形成し易いピンゲート(2点)で射出成形した引張試験片(JIS K7113、1号ダンベル形状)を測定試験片としてJIS K7113(試験速度 50mm/分)に準じて破断点応力を求め、ウェルド強度とした。
(6)メルトフローレート(MFR)
JIS K7210に準拠。押出機にて調製したペレットを用いて試験した。
(7)加熱変形温度(HDT)
JIS K7207に準拠。射出成形した試験片(6.4×127×12.7mm アニール無し)を23℃で試験した。
【0030】
[実施例1]
ABS樹脂(日本合成ゴム(株)製JSR ABS15)95.0重量部、エチレン・一酸化炭素・アクリル酸n−ブチル共重合体▲1▼(エチレン60重量%、一酸化炭素10重量%、アクリル酸n−ブチル30重量%、メルトフローレート12g/10min)4.5重量部及びグラフトポリマー▲1▼(日本油脂(株)製モディパーA5400、幹ポリマーとしてのエチレン・アクリル酸エチル共重合体70重量%、グラフト部としてのアクリロニトリル共重合体30重量%)0.5重量部をタンブラーを用いて予備ブレンドした後、同方向回転2軸押出機((株)池貝製PCM−30、シリンダー内径30mm、L/D=25)を用いて樹脂温度230℃、約10kg/1時間で混練し、水冷ストランドカッティングにて組成物のペレットを調製した。
この組成物のストランド表面は、滑らかで光沢もあった。その後得られた組成物ペレットに含まれる水分を除去するため、熱風循環乾燥器を用いて温度90℃で約3時間乾燥処理した。
次いで、当該組成物の物性を測定するために射出成形(東芝機械(株)製IS−100E型射出成形機、成形温度235℃、金型温度57℃)にて試験片を作製した。これらの試験片を用いて前述の測定方法に準じてウェルド強度及びその他の物性を評価した。
結果を表1に示す。
【0031】
[実施例2]
実施例1において、エチレン・一酸化炭素・アクリル酸n−ブチル共重合体のブレンド量を4.0重量部、グラフトポリマーのブレンド量を1.0重量部に各々変更した以外は、実施例1と同様な方法にて試験を行い、ウェルド強度及びその他の物性を評価した。
結果を表1に示す。
【0032】
[実施例3]
実施例1において、エチレン・一酸化炭素・アクリル酸n−ブチル共重合体のブレンド量を3.0重量部、グラフトポリマーのブレンド量を2.0重量部に各々変更した以外は、実施例1と同様な方法にて試験を行い、ウェルド強度及びその他の物性を評価した。
結果を表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
[実施例4]
実施例2において、グラフトポリマーとして日本油脂(株)製モディパーA5200(幹ポリマーとしてのエチレン・アクリル酸エチル共重合体70重量%、グラフト部としてのポリメタクリル酸メチル30重量%)を用いた以外は、実施例2と同様な方法にて試験を行い、ウェルド強度を評価した。
結果を表1に示す。
【0035】
[比較例1]
実施例1において、エチレン・一酸化炭素・アクリル酸n−ブチル共重合体及びグラフトポリマーをブレンドすることなく、従って、同方向回転2軸押出機を用いての混練を行わなかったこと以外は、実施例1と同様な方法にて試験を行い、ウェルド強度及びその他の物性を評価した。
結果を表1に示す。
【0036】
[比較例2]
実施例1において、グラフトポリマーをブレンドすることなく、実施例1と同様な方法にて試験を行い、ウェルド強度及びその他の物性を評価した。
結果を表1に示す。
【0037】
[実施例5]
実施例2において、ABS樹脂として日本合成ゴム(株)製JSR ABS10を用いた以外は、実施例2と同様な方法にて試験を行い、ウェルド強度及びその他の物性を評価した。
結果を表2に示す。
【0038】
[比較例3]
実施例5において、エチレン・一酸化炭素・アクリル酸n−ブチル共重合体及びグラフトポリマーをブレンドすることなく、従って、同方向回転2軸押出機を用いての混練を行わなかったこと以外は、実施例5と同様な方法にて試験を行い、ウェルド強度及びその他の物性を評価した。
結果を表2に示す。
【0039】
【表2】
【0040】
[比較例4]
実施例5において、グラフトポリマーをブレンドすることなく、実施例5と同様な方法にて試験を行い、ウェルド強度及びその他の物性を評価した。
結果を表2に示す。
【0041】
[実施例6]
実施例5において、エチレン・一酸化炭素・アクリル酸n−ブチル共重合体として無水マレイン酸変性エチレン・一酸化炭素・アクリル酸n−ブチル共重合体(グラフト率0.81重量%、メルトフローレート7.6g/10min)を用いた以外は、実施例5と同様な方法にて試験を行い、ウェルド強度を評価した。
結果を表2に示す。
【0042】
[実施例7]
表3に示す高衝撃性ポリスチレンHIPS(旭化成(株)製スタイロンH8652)95重量部、エチレン・一酸化炭素・アクリル酸n−ブチル共重合体▲2▼(エチレン57重量%、一酸化炭素13重量%、アクリル酸n−ブチル30重量%、メルトフローレート12g/10min)4重量部及びグラフトポリマー▲3▼(日本油脂(株)製モディパーA5100、幹ポリマーとしてのエチレン・アクリル酸エチル共重合体70重量%、グラフト部としてのスチレン重合体30重量%)1重量部をタンブラーを用いて予備ブレンドした後、同方向回転2軸押出機((株)池貝製、PCM−30、シリンダー内径30mm、L/D=35)を用いて樹脂温度220℃、約10kg/時間で混練し、水冷ストランドカッティングにて組成物のペレットを調製した。
この組成物のストランド表面は、滑らかで光沢もあった。
その後、得られた組成物ペレットに含まれる水分を除去するため、熱風循環乾燥器を用いて温度70℃で約1時問乾燥処理した。
次いで、当該組成物の物性を測定するために射出成形(東芝機械(株)製IS−100E型射出成形機、成形温度230℃、金型温度40℃)にて試験片を作製した。
これらの試験片を用いて前述の測定方法に準じてIZOD強度、耐薬品性及びその他の物性を評価した。
結果を表3に示す。
【0043】
[比較例5]
実施例7において、エチレン・一酸化炭素・アクリル酸n−ブチル共重合体及びグラフトポリマーをブレンドすることなく、従って、同方向回転2軸押出機を用いての混練を行わなかったこと以外は、実施例7と同様な方法にて試験を行い、ウェルド強度及びその他の物性を評価した。
結果を表3に示す。
【0044】
[比較例6]
実施例7において、グラフトポリマーをブレンドすることなく、実施例7と同様な方法にて試験を行い、ウェルド強度及びその他の物性を評価した。結果を表3に示す。
【0045】
【表3】
【0046】
表1の結果から明らかな様に、グラフトポリマー0.5重量部をブレンドした実施例1のABS樹脂組成物は、比較例2に比べてウェルド強度が改善されていた。そして、当該組成物の流動特性(溶融粘度)、耐衝撃性(アイゾット衝撃)及び耐薬品性は、比較例2の組成物のそれとほぼ同等であり、物性低下は見られなかった。
【0047】
また、グラフトポリマーのブレンド量を1.0重量部へ増やした実施例2のABS樹脂組成物は、実施例1に比べて更にウェルド強度が改善されていた。反面、当該組成物の耐薬品性は、実施例1に比べてやや低下する傾向が見られた。
【0048】
また更に、グラフトポリマーのブレンド量を2.0重量部へ増やした実施例3のABS樹脂組成物は、実施例1に比べてウェルド強度が低下していたが、比較例2に対しては改善されていた。一方、当該実施例3の組成物の耐薬品性は、実施例2に比べてやや低下していた。
【0049】
また、グラフトポリマー1.0重量部ブレンドにおいてそのグラフト部ポリマーをポリメタクリル酸メチルに変更した実施例4のABS樹脂組成物でも比較例2に比べてウェルド強度が改善されていた。
【0050】
また表2の結果においてもグラフトポリマーのブレンド量が1.0重量%である実施例5のABS樹脂組成物は、比較例4に対してウェルド強度が改善されていた。そして、当該組成物の流動特性(溶融粘度)、耐衝撃性(アイゾット衝撃)及び耐薬品性は、比較例4の組成物のそれとほぼ同等であり、物性低下は見られなかった。
【0051】
更に、特開平7−278403号公報で報告されている製造例に準じて調製された無水マレイン酸変性エチレン・一酸化炭素・アクリル酸n−ブチル共重合体(グラフト率0.81重量%、メルトフローレート7.6g/10min)4.0重量部とグラフトポリマー1.0重量部からなる実施例6のABS樹脂組成物においてもウェルド強度が改善された組成物が得られた。
【0052】
表3の結果から明らかな様に、グラフトポリマー1.0重量部をブレンドした実施例7のHIPS組成物は、比較例5に比べて成形性(MFR)、耐衝撃性(アイゾット強度)、耐薬品性が改善されていた。そして、当該組成物の耐熱性(HDT)は同等であり耐熱性等の物性低下は見られなかった。また、実施例7の配合からグラフトポリマーを除いた比較例6は、実施例7同様HIPS単独に比べて成形性や耐薬品性が改良されるものの、実施例7ほどの耐薬品性改善効果が見られなかった。また、実施例7は、HIPSの特徴である耐熱性がHIPS単独よりも低下した。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、スチレン系重合体の優れた特性を有し、加工性、耐衝撃性、耐薬品性、ウェルド強度等に優れた組成物を提供することができる。例えば、フロンや洗剤に対して優れた耐性を示す。したがって、これらの特長を生かした用途、例えば、キャビネット、フロントパネル、仕切り板、パネルボード、照明器具、便座、冷蔵庫の内箱やドア部材、家具、建材、玩具、育苗箱などに使用することができる。
Claims (1)
- スチレン系重合体(A)80〜98重量部、エチレン・不飽和エステル・一酸化炭素共重合体(B)1〜15重量部並びにオレフィン系重合体にポリスチレン、ポリメチルメタクリレート及びスチレン・アクリロニトリル共重合体から選択された少なくとも一種のビニル重合体ブロックがグラフト重合されたグラフト共重合体(C)1〜15重量部を合計100重量部基準で含有して成ることを特徴とするスチレン系重合体組成物。
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1997
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