JP3660080B2 - 窒素酸化物吸着剤および窒素酸化物の除去方法 - Google Patents

窒素酸化物吸着剤および窒素酸化物の除去方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は窒素酸化物の吸着剤およびこの吸着剤を用いた窒素酸化物の除去方法に関する。更に詳しくは、本発明は排ガス中に含まれる低濃度の窒素酸化物(NOx:一酸化窒素および/または二酸化窒素)、特に二酸化窒素を除去するに好適な吸着剤、およびこの吸着剤を用いて排ガス中の低濃度の窒素酸化物、特に二酸化窒素を効率よく吸着除去するに好適な方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ボイラなどの固定式窒素酸化物発生源からの窒素酸化物の除去方法に関しては、従来から、アンモニアを還元剤に用いて窒素酸化物を選択的に還元して無害な窒素と水とに変換する接触還元法が最も経済的な方法として広く用いられている。
【0003】
ところで、道路トンネル、シェルター付道路、大深度地下空間、道路交差点などにおける換気ガスもしくは大気、および家庭内で使用される燃焼機器から排出されるガスなどに含まれる窒素酸化物の濃度は、5ppm程度とボイラ排ガス中の窒素酸化物濃度に比べて著しく低く、またガス温度は常温であり、しかもガス量は莫大なものである。このため、例えば道路トンネルの換気ガスに上記接触還元法を適用して窒素酸化物を効率よく除去するためには、この換気ガスの温度を300℃以上にすることが必要であり、その結果、多大のエネルギーが必要となることから、上記接触還元法をそのまま適用することには経済的に問題がある。このような事情から、上記のような道路トンネルの換気ガスなど、窒素酸化物の濃度が低い、例えば約5ppm以下の排ガスから窒素酸化物を効率よく除去することが望まれている。
【0004】
そこで、本発明者らは、先に、上記のような低濃度の窒素酸化物含有排ガスから窒素酸化物を吸着除去するに好適な吸着剤を提案した(特開昭7−88363号公報参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
窒素酸化物吸着剤を用いてトンネルの換気後のガスを処理する場合、トンネル内で処理する必要があるため、設置スペースに制限があり装置自体をコンパクトにする必要がある。このため、使用する吸着剤は優れた窒素酸化物吸着能を有することが望ましい。
【0006】
また、排ガス中には窒素酸化物のほかに硫黄化合物(二酸化硫黄および/または三酸化硫黄)、水蒸気なども含まれていることから、使用する窒素酸化物吸着剤としては、これら共存ガスによる影響を受けにくいものが望ましい。
【0007】
かくして、本発明は、窒素酸化物吸着能に優れ、しかも共存ガスによる影響を受けにくく、長時間にわたって高性能を維持できる窒素酸化物吸着剤、特に排ガス中の5ppm以下程度の低濃度の窒素酸化物を吸着除去するに好適な窒素酸化物吸着剤を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究の結果、下記の組成を有する吸着剤が上記課題を解決できることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、下記のA成分、B成分およびC成分を含有する窒素酸化物吸着剤に関する。
【0010】
A成分:白金(Pt)、金(Au)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)およびパラジウム(Pd)、ならびにこれら金属の化合物から選ばれる少なくとも1種。
【0011】
B成分:マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、鉛(Pb)およびセリウム(Ce)の酸化物から選ばれる少なくとも1種。
【0012】
C成分:アルカリ土類金属の化合物から選ばれる少なくとも1種。
ただし、ルテニウムとセリウムとを含む吸着剤、、白金、バリウムおよび鉄からなる吸着剤を除く。
【0013】
また、本発明は上記窒素酸化物吸着剤に排ガスを接触させて、この排ガス中の窒素酸化物を吸着除去する窒素酸化物の除去方法に関する。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の吸着剤を構成するA成分は白金、金、ルテニウム、ロジウムおよびパラジウム、ならびにこれら金属の化合物から選ばれる少なくとも1種である。そして、これら金属の化合物とは、酸化物、水酸化物、炭酸塩、アンモニウム塩、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、ハロゲン化物など当該金属を含有する化合物から適宜選択された出発原料を用い、これを300〜600℃の範囲の温度で焼成して得られるものを意味する。なお、吸着剤中での上記金属化合物の種類は、使用した出発原料および吸着剤の調製条件によって決まるものであり、吸着剤中にどのような種類の化合物の形態で存在するかは、その含有量が少ないため分析不可能であり、具体的に特定することはできない。例えば、出発原料として金属酸化物を使用する場合には、得られる吸着剤中に当該金属は酸化物の形態で存在するが、金属ハロゲン化物(塩化物など)の場合には、一部ハロゲン化物の形態で存在しているとも考えられる。
【0015】
B成分はマンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、鉛およびセリウムの酸化物から選ばれる少なくとも1種である。B成分の出発原料は、各金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、アンモニウム塩、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、ハロゲン化物などから適宜選択することができる。
【0016】
また、C成分としてのアルカリ土類金属の化合物とは、アルカリ土類金属の炭酸塩、硫酸塩、酸化物および水酸化物を意味する。C成分の出発原料は、各金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、アンモニウム塩、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、ハロゲン化物などから適宜選択することができる。
【0017】
本発明の吸着剤における各成分の割合については、A成分は金属換算で0.01〜10重量%、好ましくは0.01〜1重量%、B成分は5〜95重量%、好ましくは10〜80重量%、そしてC成分は5〜95重量%、好ましくは10〜80重量%である(合計100重量%)。
【0018】
本発明の吸着剤の窒素酸化物吸着能はA成分、B成分およびC成分の割合がそれぞれ上記の範囲にあるときに特に効果的に発揮される。A成分の割合(金属換算)が0.01重量%未満では窒素酸化物吸着能が低く、一方A成分を10重量%を超える割合で使用しても、それに見合った吸着能の更なる向上は認められず、かえって原料コストが高くなって実用的でない。同様に、B成分およびC成分の割合が各々5重量%未満では、充分な窒素酸化物吸着能が得られない。
【0019】
なお、本発明にいう窒素酸化物とは、一酸化窒素および二酸化窒素を意味し、本発明の吸着剤は一酸化窒素および二酸化窒素のいずれに対しても吸着能を有するが、特に二酸化窒素の吸着能に優れている。また、本発明の吸着剤は特に5ppm以下という低い濃度の窒素酸化物の吸着に好適に用いられる。
【0020】
本発明のA成分、B成分およびC成分を含有する吸着剤は担体に担持してもよい。この担体としては、一般に担体として用いられているものを使用することができ、具体的にはアルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、アルミナ−シリカ、チタニア−シリカ、チタニア−ジルコニア、ゼオライト、ケイソウ土、ソーダライム、活性炭などを使用することができる。これら担体の比表面積は通常10m2/g以上であり、特に20m2/g以上が好ましい。
【0021】
特にチタン−ケイ素の複合酸化物(チタニア−シリカ:TiO2−SiO2)は、高表面積で非晶質の複合酸化物であり、担体として優れた性質を有することから、本発明においても担体として好適に用いられる。
【0022】
上記チタン−ケイ素の複合酸化物は、例えば以下に示す方法によって調製することができる。なお、チタン源としては、塩化チタン、硫酸チタンなどの無機チタン化合物、テトライソプロピルチタネートなどの有機チタン化合物などから適宜選択使用することができる。また、ケイ素源としては、コロイド状シリカ、水ガラス、四塩化ケイ素などの無機ケイ素化合物、テトラエチルシリケートなどの有機ケイ素化合物などから適宜選択使用することができる。これらの原料には微量の不純物、混入物などが含まれていることがあるが、ある程度の量であれば、目的とするチタン−ケイ素の複合酸化物の物性には、大きく影響を及ぼすものでないので、問題なく使用することができる。
【0023】
(1)硫酸チタンをシリカゾルと混合し、アンモニアを添加して沈澱を生じさせ、得られた沈澱物を洗浄、乾燥し、次いで300〜650℃で焼成する。
【0024】
(2)四塩化チタンにケイ酸ナトリウム水溶液を添加して、反応させ、得られた沈澱物を洗浄、乾燥し、次いで300〜650℃で焼成する。
【0025】
(3)四塩化チタンの水−アルコール溶液に、エチルシリケート((C25O)4Si)を添加し、次いで加水分解することにより沈澱物を生じさせ、得られた沈澱物を洗浄、乾燥し、次いで300〜650℃で焼成する。
【0026】
(4)酸化塩化チタン(TiOCl2)とエチルシリケートとの水−アルコール溶液にアンモニアを加え、沈澱を生じさせ、得られた沈澱物を洗浄、乾燥し、次いで300〜650℃で焼成する。
【0027】
上記方法のうち、(1)の方法が特に好ましく、具体的には、チタン源およびケイ素源としての化合物を各々1〜100g/L(リットル)(酸化物換算)の濃度の酸性の水溶液またはゾルの状態で10〜100℃にてpH2〜10に保持してチタンおよびケイ素の共沈物を生成させ、この沈澱物をろ過し、充分洗浄した後、80〜140℃で10分〜3時間乾燥し、次いで400〜700℃で1〜10時間焼成してチタン−ケイ素複合酸化物を得る。
【0028】
本発明のA成分、B成分およびC成分を含む吸着剤の担体への担持量については特に制限はなく、通常、担体の重量基準で、5〜50重量%である。
【0029】
次に、本発明の吸着剤の代表的な調製方法を担体を使用する場合を例に挙げて説明するが本発明の吸着剤の調製方法はこれら方法に限定されるものではない。(1)A成分を含有する水溶液と、B成分およびC成分を含有する粉体とをニーダーなどの混合機でよく混合し、所望の形状に成形する。担体である粉体を同時に混合、成形してもよい。成形後、必要に応じて乾燥させた後、300〜600℃で焼成する。
【0030】
(2)A成分、B成分およびC成分の各金属を含有する水溶液を、担体である粉体に含浸させ、蒸発、乾燥させた後、300〜600℃で焼成し、次いで所望の形状に成形する。担体である粉体を予め成形し、この成形体に上記水溶液を含浸させてもよい。
【0031】
(3)A成分、B成分およびC成分の各金属を含有する水溶液を、担体の出発原料の水溶液に添加し、充分に混合し、次いでアンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ性溶液を添加して共沈させ、得られた沈澱物を水洗、乾燥した後、300〜600℃で焼成し、次いで所望の形状に成形する。
【0032】
(4)A成分、B成分およびC成分の各金属を含有する水溶液に担体である粉体を添加してスラリー状とした後、アンモニア、水酸化アンモニウム、水酸化カリウムなどのアルカリ性溶液を添加して各成分を担体上に沈着させ、これを水洗、乾燥した後、300〜600℃で焼成し、次いで所望の形状に成形する。
【0033】
上記(1)〜(4)のいずれの方法によるにしても、焼成は300〜600℃の範囲で行うのが好ましい、特に350〜550℃の範囲の温度で焼成するのが好ましい。。
【0034】
本発明の吸着剤の形状については特に制限はなく、円柱状、円筒状、球状、板状、ハニカム状、その他一体に成形されたものなど適宜選択することができる。この吸着剤の成形は一般的な成形方法、例えば打錠成形法、押出成形法などによって行うことができる。球状吸着剤の場合、その平均粒径は、通常、1〜10mmである。ハニカム状吸着剤の場合は、いわゆるモノリス担体と同様であり、押出成形法やシート状素子を巻き固める方法などにより製造される。そのガス通過口(セル形状)の形は6角形、4角形、3角形またはコルゲーション形のいずれであってもよい。セル密度(セル数/単位断面積)は、通常、25〜800セル/平方インチであり、好ましくは25〜500セル/平方インチである。
【0035】
本発明の吸着剤の比表面積および細孔容積については特に制限はないが、担体を使用しない場合、吸着剤の比表面積は10〜100m2/g、特に10〜80の範囲に、また細孔容積は0.2〜0.6cc/g、特に0.2〜0.5cc/gの範囲にあるのが好ましい。担体を使用する場合は、吸着剤の比表面積は10〜400m2/g、特に10〜300m2/gの範囲に、また細孔容積は0.2〜0.6cc/g、特に0.2〜0.5cc/gの範囲にあるのが好ましい。
【0036】
本発明の窒素酸化物の除去方法によれば、上記吸着剤に排ガスを接触させて排ガス中の窒素酸化物を吸着除去する。ここにいう排ガスとは、窒素酸化物(一酸化窒素および/または二酸化窒素)を含有する、前記の道路トンネルなどからの換気ガスまたは大気ガスを意味し、本発明の方法は、特に窒素酸化物濃度が5ppm以下という窒素酸化物濃度が低い排ガスからの窒素酸化物、特に二酸化窒素の吸着除去に好適に用いられる。
【0037】
本発明の吸着剤と排ガスとの接触方法については特に制限はなく、通常、この吸着剤からなる層中に排ガスを導入して行う。この処理条件については、排ガスの性状などによって異なるので一概に特定できないが、供給する排ガスの温度は、通常、0〜100℃であり、特に0〜50℃の範囲にあるのが好ましい。また、供給する排ガスの空間速度(SV)は、通常、500〜50000hr-1(STP)であり、2000〜30000hr-1(STP)の範囲が好ましい。
【0038】
本発明の吸着剤は窒素酸化物のうち特に二酸化窒素の吸着除去に効果的であることから、排ガス中の窒素酸化物を吸着除去する際に、一酸化窒素をオゾンなどの酸化剤で予め酸化して二酸化窒素に変換した後、吸着剤と接触させると排ガス中の窒素酸化物を更に効果的に除去することができる。もちろん、排ガスをそのまま本発明の吸着剤と接触させて、窒素酸化物のうち主として二酸化窒素を吸着除去してもよい。
【0039】
したがって、本発明の好適な態様によれば、排ガス中にオゾンなどの酸化剤を添加して排ガス中の一酸化窒素を二酸化窒素に変換し、次いでこの排ガスを本発明の吸着剤と接触させて二酸化窒素を吸着させることにより、排ガス中の窒素酸化物を効率よく除去することができる。
【0040】
上記方法においては、酸化剤としてオゾンが好適に用いられるが、オゾンの使用量は排ガス中の一酸化窒素の0.5〜5倍モルとするのがよい。オゾンの使用量が0.5倍モル未満では、一酸化窒素の二酸化窒素への酸化が十分に進まず、一方5倍モルを超える量を使用すると有害なオゾンが未分解のまま流出するので好ましくない。なお、本発明の吸着剤はオゾン分解能も併せ有することから、オゾン使用量が上記範囲内であれば、過剰のオゾンも分解除去され、オゾンがそのまま流出するのを効果的に防止することができる。
【0041】
本発明の吸着剤は、その使用後に、加熱空気を導入して吸着剤に吸着された窒素酸化物を離脱させることにより容易に再生することができる。また、本発明の吸着剤は排ガス中に共存するガスにより影響を受けることなく、しかも硫黄化合物(二酸化硫黄および/または三酸化硫黄)の場合には、これを窒素酸化物とともに吸着する機能も有する。
【0042】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
【0043】
実施例1
白金硝酸水溶液(田中貴金属(株)製、白金金属を3.75重量%含有)80g、炭酸マンガン(MnCO3)675.1gおよび炭酸マグネシウム(MgCO3)500gをニーダーでよく混合し、適量の水を加えて更に混合した後、押出成形機で直径5mm、長さ5mmのペレット状に成形した。このペレットを100℃で10時間乾燥した後、350℃で3時間空気雰囲気下で焼成した。
【0044】
このようにして得られた吸着剤の組成は、Pt:MnO2:MgCO3=0.3:49.7:50(重量%)であった。
【0045】
実施例2〜4
実施例1において、炭酸マグネシウムの代わりに炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウムおよび炭酸バリウムを用いた以外は実施例1と同様にして表1に示す組成の吸着剤のペレットを得た。
【0046】
実施例5〜20
実施例1〜4において、硝酸白金水溶液の代わりに塩酸金水溶液、硝酸ルテニウム水溶液、硝酸ロジウム水溶液および硝酸パラジウム水溶液を用いた以外は実施例1〜4と同様にして表1に示す組成の吸着剤のペレットを得た。
【0047】
実施例21
硝酸ルテニウム水溶液(田中貴金属(株)製、ルテニウム金属を4.20重量%含有)71.4g、水酸化鉄(FeO(OH))553.3gおよび炭酸バリウム(BaCO3)500gを適量の水を添加しつつニーダーでよく混合した後、押出成形機で直径5mm、長さ5mmのペレット状に成形した。このペレットを100℃で10時間乾燥した後、350℃で3時間空気雰囲気下で焼成した。
【0048】
このようにして得られた吸着剤の組成は、Ru:Fe23:BaCO3=0.3:49.7:50(重量%)であった。
【0049】
実施例22〜27
実施例21において、水酸化鉄の代わりに塩基性炭酸コバルト、塩基性炭酸ニッケル、塩基性炭酸銅、塩基性炭酸亜鉛、塩基性炭酸塩および炭酸セリウムを用いた以外は実施例21と同様にして表2に示す組成の吸着剤のペレットを得た。
実施例28
硝酸ルテニウム水溶液(田中貴金属(株)製、ルテニウム金属を4.20重量%含有)71.4g、炭酸マンガン(MnCO3)264.4g、塩基性炭酸コバルト(コバルト金属を42重量%含有)349.6gおよび炭酸マグネシウム(MgCO3)597gを適量の水を添加しつつニーダーでよく混合した後、押出成形機で直径5mm、長さ5mmのペレット状に成形した。このペレットを100℃で10時間乾燥した後、350℃で3時間空気雰囲気下で焼成した。
【0050】
このようにして得られた吸着剤の組成は、Ru:MnO2:Co34:MgCO3=0.3:20:20:59.7(重量%)であった。
【0051】
実施例29〜31
実施例28において、炭酸マグネシウムの代わりに炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウムおよび炭酸バリウムを用いた以外は実施例28と同様にして表2に示す組成のペレットを得た。
【0052】
比較例1
硝酸ルテニウム水溶液(田中貴金属(株)製、ルテニウム金属を4.20重量%含有)71.4g、炭酸マンガン1053.8gおよび塩基性炭酸コバルト(コバルト金属を42重量%含有)349.6gを適量の水を添加しつつニーダーでよく混合した後、押出成形機で直径5mm、長さ5mmのペレット状に成形した。このペレットを100℃で10時間乾燥した後、350℃で3時間空気雰囲気下で焼成した。
【0053】
このようにして得られた吸着剤の組成は、Ru:MnO2:Co34=0.3:79.7:20(重量%)であった。
【0054】
実施例32
実施例1〜31で得た吸着剤について、その窒素酸化物吸着能を下記方法により評価した。
【0055】
(評価方法)
吸着剤76mLを内径30mmのガラス製反応管に充填した。この吸着剤層に下記組成の合成ガスを下記条件下に導入した。
【0056】
合成ガス組成
一酸化窒素(NO):3ppm、二酸化硫黄(SO2):0.15ppm、H2O:2.5容量%、残り:空気
処理条件
ガス量:15.2NL/min、処理温度:25℃、空間速度(SV):1200hr-1(STP)、ガス湿度:85%RH
上記合成ガスを導入してから3時間経過後、上記吸着剤層の入口および出口における合成ガス中の窒素酸化物(NOx)濃度を化学発光式NOx計により測定し、次式にしたがってNOx除去率を算出した。
【0057】
NOx除去率(%)=[(入口NOx濃度−出口NOx濃度)/(入口NOx濃度)]×100
評価試験の結果を表3に示す。
【0058】
実施例33
実施例32において、合成ガスの組成を下記のように変更した以外は実施例32と同様にして窒素酸化物の吸着性能(NOx除去率)を評価した。
【0059】
合成ガス組成
一酸化窒素(NO):3ppm、二酸化硫黄(SO2):0.15ppm、H2O:2.5容量%、オゾン(O3):3ppm、残り:空気。但し、一酸化窒素はオゾンの添加により全て二酸化窒素(NO2)となっていた。
【0060】
上記合成ガスを導入してから20時間および40時間経過後、上記吸着剤層の入口および出口における合成ガス中の窒素酸化物(NOx)濃度を化学発光NOx計により測定し、前式にしたがってNOx除去率を算出し、その結果を表3に示した。
【0061】
実施例34
実施例32において、合成ガスの組成を下記のように変更した以外は実施例32と同様にして窒素酸化物の吸着性能(NOx除去率)を評価した。
【0062】
合成ガス組成
一酸化窒素(NO):3ppm、二酸化硫黄(SO2):0.15ppm、H2O:2.5容量%、オゾン(O3):4.5ppm、残り:空気。但し、一酸化窒素(NO)はオゾンの添加により全て二酸化窒素(NO2)となっていた。なお、過剰のオゾン(O3)が1.5ppm残存していた。
【0063】
上記合成ガスを導入してから20時間および40時間経過後、上記吸着層の入口および出口における合成ガス中の窒素酸化物(NOx)濃度を化学発光式NOx計により測定し、前式にしたがってNOx除去率を算出し、その結果を表3に示した。
【0064】
実施例35
実施例28、29、30、31および比較例1の吸着剤について、その耐SO2性を下記の方法により評価した。
【0065】
(評価方法)
吸着剤76mlを内径30mmガラス製反応器に充填した。この吸着剤層に下記組成の合成ガスを下記条件下に導入した。
【0066】
合成ガス
一酸化窒素(NO):20ppm、二酸化硫黄(SO2):1ppm、H2O:2.5容量%、オゾン(O3):30ppm、残り:空気。但し、一酸化窒素(NO)はオゾンの添加により全て二酸化窒素(NO2)となっていた。なお、過剰のオゾン(O3)が10ppm残存していた。
【0067】
処理条件
実施例32と同じである。
【0068】
上記合成ガスを反応器に導入して100時間、200時間および300時間経過後に、実施例34と同様の条件で上記吸着層の入口および出口における合成ガス中の窒素酸化物(NOx)濃度を化学発光式NOx計により測定し、前式にしたがってNOx除去率を算出し、その結果を表4に示した。この結果から、本発明のC成分を含まない吸着剤は耐SO2性に劣ることが分かる。
【0069】
【表1】
Figure 0003660080
【0070】
【表2】
Figure 0003660080
【0071】
【表3】
Figure 0003660080
【0072】
【表4】
Figure 0003660080
【0073】
【発明の効果】
本発明の主たる効果を列挙すると次のとおりである。
【0074】
(1)本発明の吸着剤は窒素酸化物、特に二酸化窒素の吸着能に優れている。
【0075】
(2)本発明の吸着剤は低濃度の窒素酸化物の吸着能に優れている。
【0076】
(3)本発明の吸着剤は処理すべき排ガス中の共存ガス(例えば、水蒸気、硫黄化合物(二酸化硫黄および/または三酸化硫黄))によって影響を受けることが少なく、安定して窒素酸化物を吸着除去することができる。
【0077】
(4)本発明の吸着剤はオゾン分解能も有し、オゾンを用いて一酸化窒素を酸化して二酸化窒素に変換し、これを吸着除去する場合、過剰のオゾンがそのまま流出するのを防止することができる。
【0078】
(5)本発明の吸着剤は硫黄化合物(二酸化硫黄および/または三酸化硫黄)を同時に吸着する性能を有する。
【0079】
(6)本発明の吸着剤は容易に再生することができる。
【0080】
(7)本発明の方法によれば、排ガス中の窒素酸化物、特に低濃度の二酸化窒素を効率よく吸着除去することができる。
【0081】
(8)本発明の方法によれば、排ガス中の一酸化窒素を予めオゾンなどの酸化剤で酸化して二酸化窒素とし、この排ガスを吸着剤と接触させることにより、排ガス中の窒素酸化物を一段と効率よく吸着除去することができる。

Claims (6)

  1. 窒素酸化物を0〜100℃の温度で吸着除去するための吸着剤であって、 下記のA成分、B成分およびC成分を含有する窒素酸化物吸着剤。
    A成分:白金(Pt)、金(Au)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)およびパラジウム(Pd)、ならびにこれら金属の化合物から選ばれる少なくとも1種。
    B成分:マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、鉛(Pb)およびセリウム(Ce)の酸化物から選ばれる少なくとも1種。
    C成分:アルカリ土類金属の化合物から選ばれる少なくとも1種。
    ただし、ルテニウムとセリウムとを含む吸着剤、白金、バリウムおよび鉄からなる吸着剤を除く。
  2. 窒素酸化物濃度が5ppm以下の排ガス中から窒素酸化物を吸着除去するための吸着剤である、請求項1記載の窒素酸化物吸着剤。
  3. 請求項1または2の窒素酸化物吸着剤に排ガスを0〜100℃の温度で接触させて、該排ガス中の窒素酸化物を吸着除去する窒素酸化物の除去方法。
  4. 排ガス中の窒素酸化物濃度が5ppm以下である、請求項記載の窒素酸化物の除去方法。
  5. 排ガスを、該排ガス中の一酸化窒素を二酸化窒素に酸化した後、窒素酸化物吸着剤に接触させる請求項3または4に記載の窒素酸化物の除去方法。
  6. 排ガスにオゾンを添加して、該排ガス中の一酸化窒素を二酸化窒素に酸化する請求項記載の窒素酸化物の除去方法。
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