JP7221057B2 - 窒素酸化物を含むガスの処理装置、および処理方法 - Google Patents

窒素酸化物を含むガスの処理装置、および処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、一酸化窒素および二酸化窒素などの窒素酸化物を含むガスの処理装置、および処理方法に関し、特に、半導体処理装置の下流側に設置された排ガス処理装置から排出されるガスの処理装置、および処理方法に関する。
半導体デバイス、液晶パネル、LED等を製造する半導体製造プロセスにおいては、真空に排気されたプロセスチャンバ内にプロセスガスを導入してエッチング処理やCVD処理等の各種処理を行っている。また、プロセスチャンバおよびプロセスチャンバに接続されている排気系機器は、クリーニングガスを流すことにより、定期的に洗浄されている。これらプロセスガスやクリーニングガス等の排ガスは、シラン系ガス、ハロゲンガス、PFCガス等を含み、人体に悪影響を及ぼしたり、地球温暖化の原因になる等の地球環境に悪影響を及ぼすので、大気にそのまま放出することは好ましくない。
そこで、これらの排ガスを半導体処理装置の下流側に設置された排ガス処理装置によって無害化処理を行った後に大気に放出している。このような排ガス処理装置の例としては、燃焼式排ガス処理装置、ヒータ式排ガス処理装置、プラズマ式排ガス処理装置、および触媒式排ガス処理装置などが挙げられる。
これらの排ガス処理装置において、PFCなどの難分解性物質を高除去率で処理しようとする場合、温度を高くして処理を行っているため、窒素酸化物(以下、単に「NOx」と称する)の発生量が増加し、副生成物として排出されるNOxの量が多いという問題点がある。例えば、燃焼式排ガス処理装置に過剰な量の酸素を供給して、高温の火炎を形成すると、本来反応しにくい空気中の窒素と酸素が反応して窒素酸化物(「サーマルNOx」と称されることがある)が生成されたり、燃料由来の窒素化合物から窒素酸化物(「フューエルNOx」と称されることがある)が生成される。特に、排ガス処理装置に導入されるガスに、三フッ化窒素(NF)、アンモニア(NH)、アミン系化合物などの窒素含有化合物が含まれる場合は、排ガス処理装置から排出されるガスに含まれるNOx量が増大する。
近年では、環境問題の観点から、工場から排出されるNOx量の規制が厳しくなってきている。そのため、排ガス処理装置の下流側にNOx処理装置を設置して、工場から排出されるNOx量を大幅に低減する必要が生じてきた。
従来のNOx処理装置は、触媒、アンモニアなどを用いる乾式処理装置と、水、アルカリ剤などを用いる湿式処理装置とに大別される。湿式処理装置の例としては、大量の水をNOxに接触させて、水にNOxを吸収させる装置、水酸化ナトリウム(NaOH)などのアルカリ剤を溶解させた水にNOxを吸収させる装置、過酸化水素水(H)をNOxに接触させて、NOxを酸化する装置などが挙げられる。
従来の乾式処理装置の例としては、白金(Pt)、パラジウム(Pd)などの貴金属触媒を含む処理剤にNOxを接触させて酸化、分解する装置、還元剤としてのアンモニアをガスに添加した後で、該ガスを触媒により分解する選択接触還元(SCR;selective catalytic reduction)脱硝装置、オゾンガス(またはオゾン水)を排ガスに添加して、NOxに含まれる一酸化窒素(NO)を二酸化窒素(NO)に酸化し、その後、二酸化窒素を吸着剤に吸着させる装置などが挙げられる。
特開2003-284925号公報 特開2010-240620号公報
上記した湿式処理装置は、いずれも、NOxの処理効率が低いという問題を有している。さらに、湿式処理装置を用いてNOxを処理する場合は、この湿式処理装置から排出される大量の排水を処理するための排水処理装置が必要となる。湿式処理装置がアルカリ剤または過酸化水素水を用いる場合は、アルカリ剤または過酸化水素水の薬液供給装置も必要となる。そのため、工場に既設の排水処理装置および薬液供給装置がない場合は、上記湿式処理装置を工場に設置することが困難である。工場に既設の排水処理装置および薬液供給装置があっても、湿式処理装置を設置することによって、これら排水処理装置および薬液供給装置のランニングコストは上昇してしまう。
さらに、半導体処理装置が配置される工場では、水およびアルカリ剤を大量に使用する装置を嫌う傾向がある。そのため、半導体の製造者は、NOxを処理するために、湿式処理装置を積極的に採用しようとしない。
上記乾式処理装置は、高い処理効率を有するという利点と、水およびアルカリ剤を必要としないという利点を有している。そのため、半導体の製造者は、湿式処理装置よりも乾式処理装置を採用する傾向がある。加えて、既設の排水処理装置および薬液供給装置が設置されていない研究所などの比較的小規模な施設(または工場)のなかには、大量の水およびアルカリ剤を使用不可能な施設もある。この場合は、乾式処理装置を採用せざるを得ない。
しかしながら、貴金属触媒を含む処理剤を用いる乾式処理装置では、処理剤がNOxと接触するにつれて劣化してしまうため、処理剤を定期的に交換する必要がある。特に、半導体処理装置の下流側に設置される排ガス処理装置の排ガスは、高濃度(例えば、500ppm以上の濃度)のNOxを含んでいるため、処理剤の寿命が比較的短くなる。貴金属触媒を含む処理剤は高価であり、処理剤を頻繁に交換すると、ランニングコストが大きく上昇してしまう。
アンモニアを触媒として添加する乾式処理装置では、アンモニア自体が毒性物質であり、アンモニアの漏洩を厳重に防止する必要がある。さらに、アンモニアを供給するアンモニア供給装置と、乾式処理装置から排出される余剰アンモニアを処理する装置が必要であるため、やはりランニングコストが上昇してしまう。
オゾンをガスに添加して、一酸化窒素を二酸化窒素に酸化させる装置は、比較的低いコストで運転可能である。しかしながら、オゾン自体が非常に高い酸化力を有していることから、人体および環境に有害であるため、残留オゾンガスをそのまま大気に放出できない。したがって、この装置は、残留オゾンガスの分解装置を別途必要とするという問題点を有している。残留オゾンガスの分解装置は、例えば、酸化マンガンを含む処理剤が充填された処理槽を有し、残留オゾンガスを酸化マンガンに接触させることで分解する装置である。しかしながら、酸化マンガンが比較的高価な物質であるため、一酸化窒素を二酸化窒素に酸化させる装置でもランニングコストは比較的高くなる。
そこで、本発明は、比較的低コストで窒素酸化物を処理することが可能な処理装置、および処理方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、残留オゾンの分解について鋭意研究した結果、以下の知見を得て、本発明を完成するに至った。すなわち、安価な合成ゼオライトにオゾンを接触させるだけで、オゾンを酸素に分解できるということを見いだした。この知見は、新規なものであり、塩素処理などの処理が施されていない合成ゼオライト単体でオゾンを処理する装置および方法は、未だ報告されていない。
図1は、合成ゼオライトにオゾンを接触させるだけでオゾンを酸素に分解可能であるとの知見を得るために用いた実験機の模式図である。図1に示す実験機は、オゾン発生器101と、合成ゼオライトのみが充填された処理槽108と、を備えている。オゾン発生器101には、窒素ガスボンベ150および酸素ガスボンベ151から窒素および酸素がそれぞれ導入可能である。窒素ガスボンベ150からオゾン発生器101まで延びる導入ガスライン122の途中には、酸素ガスボンベ151から延びる酸素ガス供給ライン123が接続されている。酸素ガスボンベ151からオゾン発生器101に酸素を供給した状態で、オゾン発生器101を稼働させると、該オゾン発生器101はオゾンを生成する。
処理槽108は、オゾン発生器101から延びる連結ライン125を介してオゾン発生器101と連結されている。連結ライン125は、処理槽108の下部に設けられた処理槽入口に連結されており、オゾン発生器101を通った窒素および酸素、およびオゾン発生器101で酸素から生成されたオゾンは、連結ライン125を介して処理槽108に導入される。連結ライン125には、入口ポート120が設けられている。入口ポート120を介して、連結ライン125を流れるガスのサンプルを取り出すことができる。処理槽108の上部に設けられた処理槽出口には、排出ライン127が連結されており、排出ライン127には、出口ポート128が設けられている。出口ポート128を介して、排出ライン127を流れるガスのサンプルを取り出すことができる。図1に示す実験機を用いて行われた実験結果が表1に示される。
Figure 0007221057000001
この実験では、最初に、窒素ガスボンベ150から窒素をオゾン発生器101および処理槽108に供給した。この場合、オゾン発生器101および処理槽108を流れるガスは、窒素のみである。オゾン発生器101は稼働させていないため、入口ポート120を介して取り出されたガスサンプルには、オゾンは含まれていない。
窒素の供給の開始(すなわち、実験の開始)から5分が経過した後で、酸素ガスボンベ151から酸素をさらにオゾン発生器101および処理槽108に供給した。この場合、オゾン発生器101および処理槽108を流れるガスは、窒素と酸素である。オゾン発生器101は稼働させていないため、入口ポート120を介して取り出されたガスサンプルには、オゾンは含まれていない。一方で、出口ポート128を介して取り出されたガスサンプルには、8.10~8.13%の濃度を有する酸素が含まれていた。
酸素の供給を開始してから15分が経過した(すなわち、実験の開始から20分が経過した)後で、オゾン発生器101の稼働を開始した。オゾン発生器101を稼働させると、該オゾン発生器101に導入された酸素の一部からオゾンが生成される。したがって、入口ポート120を介して取り出されたガスサンプルには、224~228g/Nmのオゾン(表1の試験条件の列における「オゾン濃度」参照)が含まれていた。一方で、出口ポート128を介して取り出されたガスサンプルには、オゾンが含まれていなかった。さらに、出口ポート128を介して取り出されたガスサンプルに含まれる酸素の濃度は、オゾン発生器101の稼働を開始する前の酸素の濃度とほぼ同じである。合成ゼオライトがオゾンを分解できないならば、出口ポート128を介して取り出されたガスサンプルにオゾンが含まれるはずである。さらに、合成ゼオライトがオゾンを物理吸着しているのであれば、出口ポート128を介して取り出されたガスサンプルに含まれる酸素の濃度は、オゾン発生器101の稼働を開始する前の酸素の濃度よりも低くなるはずである。したがって、この実験結果から、合成ゼオライトがオゾンを酸素に分解していることがわかった。
表2は、従来の乾式処理装置で一般的に用いられている無機吸着剤にオゾンを接触させて、オゾンが分解されるか否かを確認した実験結果を示す表である。
Figure 0007221057000002
表2において、無機吸着剤A1およびA2は、性状が異なる疎水性ゼオライトであり、無機吸着剤B1乃至B3は、性状が異なる活性アルミナであり、無機吸着剤Cは、シリカゲルである。実験では、各吸着剤を石英製のカラムに所定量充填し、このカラムの下部からオゾンを含むガスを流して、カラム上部から排出される出口ガスに含まれるオゾンの濃度を測定した。カラムに導入されるガス中のオゾンの濃度は、0.40%に設定し、オゾンを含むガスの流量は、4.31L/minに設定した。カラムの直径は、29mmであり、長さは、500mmであった。同一の条件で、合成ゼオライトを充填したカラムにオゾンを含むガスを流して、出口ガスに含まれるオゾンの濃度も測定した。
表2に示すように、いずれの無機吸着剤も、実験を開始してから2分後には、出口ガスに含まれるオゾンの濃度が1000ppmを超えている。これに対し、合成ゼオライトを充填したカラムから排出される出口ガスには、オゾンが含まれていなかった。したがって、合成ゼオライト以外の無機吸着剤では、オゾンを酸素に分解できないことがわかった。
上記知見に鑑み、本発明の一態様は、窒素酸化物を含むガスの処理装置であって、X型合成ゼオライトが充填される処理槽と、前記処理槽の入口に連結され、前記ガスを前記処理槽に導入する入口ラインと、前記入口ラインに連結されるオゾン発生器と、を備え、前記オゾン発生器は、前記ガスに含まれる一酸化窒素を二酸化窒素に酸化させるのに十分な量のオゾンを発生させ、前記X型合成ゼオライトは、前記一酸化窒素の酸化反応で消費されなかった余剰オゾンを分解し、かつ前記ガスに含まれる二酸化窒素を物理吸着することを特徴とする処理装置である。
一態様では、前記処理槽に取り付けられたヒータをさらに備え、前記ヒータは、前記X型合成ゼオライトを所定の温度に加熱して、前記ガスに含まれる水分に起因する前記余剰オゾンの分解効率の低下を防止する
一態様では、前記入口ラインに取り付けられたヒータをさらに備え、前記ヒータは、前記入口ラインを流れる前記ガスを所定の温度に加熱して、前記ガスに含まれる水分に起因する前記余剰オゾンの分解効率の低下を防止する
一態様では、前記処理槽に取り付けられた熱交換器をさらに備え、前記熱交換器は、前記X型合成ゼオライトを所定の温度に加熱して、前記ガスに含まれる水分に起因する前記余剰オゾンの分解効率の低下を防止する
一態様では、前記入口ラインに取り付けられた熱交換器をさらに備え、前記熱交換器は、前記入口ラインを流れる前記ガスを所定の温度に加熱して、前記ガスに含まれる水分に起因する前記余剰オゾンの分解効率の低下を防止する
本発明の他の態様は、窒素酸化物を含むガスの処理方法であって、前記ガスに含まれる一酸化窒素を二酸化窒素に酸化するのに十分な量のオゾンを、前記ガスに添加して、前記一酸化窒素を前記二酸化窒素に酸化し、前記一酸化窒素の酸化反応で消費されなかった余剰オゾンを、処理槽に充填されたX型合成ゼオライトに接触させて分解し、前記ガスに含まれる二酸化窒素を、前記X型合成ゼオライトに物理吸着することを特徴とする処理方法法である。
一態様では、前記X型合成ゼオライトをヒータによって所定の温度に加熱して、前記ガスに含まれる水分に起因する前記余剰オゾンの分解効率の低下を防止する
一態様では、前記処理槽の入口に連結される入口ラインを流れる前記ガスを、ヒータによって所定の温度に加熱して、前記ガスに含まれる水分に起因する前記余剰オゾンの分解効率の低下を防止する
一態様では、前記処理槽に取り付けられた熱交換器によって、前記X型合成ゼオライトを所定の温度に加熱して、前記ガスに含まれる水分に起因する前記余剰オゾンの分解効率の低下を防止する
一態様では、前記処理槽の入口に連結される入口ラインを流れる前記ガスを、該入口ラインに取り付けられた熱交換器によって所定の温度に加熱して、前記ガスに含まれる水分に起因する前記余剰オゾンの分解効率の低下を防止する
一態様では、前記熱交換器には、半導体処理装置の下流側に設置された排ガス処理装置から排出された高温の冷却水が供給される。
本発明によれば、一酸化窒素を二酸化窒素に酸化させる反応で消費されなかった余剰オゾンは、合成ゼオライトにより酸素に分解されるとともに、二酸化窒素は、合成ゼオライトに物理吸着される。合成ゼオライトは、安価な物質(例えば、酸化マンガンよりも安価な物質)であるため、比較的低コストで窒素酸化物を処理することができる。
図1は、合成ゼオライトにオゾンを接触させるだけでオゾンを酸素に分解可能であるとの知見を得るために用いた実験機の模式図である。 図2は、一実施形態に係る処理装置を示す模式図である。 図3は、図2に示す処理装置を模した実験機を示す模式図である。 図4は、ヒータによって処理槽に充填された合成ゼオライトを所定の温度まで加熱しつつ、水分を含むガスを該処理槽に導入したときの、合成ゼオライトのオゾン分解能力を調査した実験機を示す模式図である。 図5は、別の実施形態に係る処理装置を示す模式図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下の図面において、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図2は、一実施形態に係る処理装置を示す模式図である。図2に示す処理装置100は、CVD装置、またはエッチング装置などの半導体処理装置200から排出される排ガスを処理する排ガス処理装置300の下流側に設置されている。排ガス処理装置300は、例えば、燃焼式排ガス処理装置、ヒータ式排ガス処理装置、プラズマ式排ガス処理装置、または触媒式排ガス処理装置である。上述したように、これら排ガス処理装置300から排出されるガスは、一酸化窒素および二酸化窒素などのNOxを高濃度で含有している。例えば、排ガス処理装置300から排出される排ガスには、500ppm以上の濃度を有するNOxが含まれている。
図2に示すように、処理装置100は、合成ゼオライトが充填される処理槽8と、処理槽8から排ガス処理装置300まで延びる入口ライン5と、入口ライン5にオゾン供給ライン10を介して連結されるオゾン発生器1と、処理槽8から延びる排出ライン12と、を備えている。本実施形態では、処理槽8には、塩素処理、酸処理、水熱処理、および焼成処理などの各種処理が何ら施されていない合成ゼオライトのみが充填されている。このような合成ゼオライトは、例えば、X型合成ゼオライトである。X型合成ゼオライトは、各種産業で広く用いられており、市場で容易に入手可能である。オゾン供給ライン10は、入口ライン5の途中に連結され、オゾン発生器1によって生成されたオゾンは、オゾン供給ライン10を介して入口ライン5に導入される。
入口ライン5の一方の端部は、排ガス処理装置300に連結され、該排ガス処理装置300から排出されたガスは、入口ライン5に導入される。入口ライン5の他方の端部は、処理槽8の下部に設けられた処理槽入口に連結され、入口ライン5を介して処理槽8に導入されたガスは、合成ゼオライトと接触しながら、処理槽8の上部に流れる。処理槽8の上部には、排出ライン12が連結される処理槽出口が設けられており、処理槽8を通ったガスは、排出ライン12を通って大気に放出される。
オゾン発生器1は、乾燥空気または酸素などの原料ガスからオゾンを生成する装置である。原料ガスは、図示しない原料ガス供給源からオゾン発生器1に供給される。原料ガス供給源は、例えば、処理装置100が設置される工場内に設けられている乾燥空気供給源(例えば、工場内に設置された乾燥空気ライン)、またはオゾン発生器1に連結される酸素ガスボンベである。
オゾン供給ライン10は、連結点Cで入口ライン5に連結される。オゾン発生器1で発生されたオゾンは、オゾン供給ライン10を通って入口ライン5に導入され、入口ライン5を流れるガスと混合される。一実施形態では、連結点Cよりも下流側の入口ライン5に、ミキサー(図示せず)を配置して、該ミキサーによって、オゾンと入口ライン5を流れるガスを効率的に混合してもよい。
オゾン発生器1は、入口ライン5を流れるガスに含まれる一酸化窒素を二酸化窒素に酸化させるのに十分な量のオゾンを生成する。言い換えれば、オゾン発生器1は、入口ライン5を流れるガスに含まれる一酸化窒素の量に対して過剰な量のオゾンを発生させる。オゾン発生器1によって生成されたオゾンは、入口ライン5に導入され、入口ライン5内で、ガスに含まれる一酸化窒素のほぼ全量を二酸化窒素に酸化する。一酸化窒素の酸化反応に消費されなかった余剰オゾンは、入口ライン5を通って、処理槽8に導入される。
表3は、一酸化窒素を含むNOxにオゾンを接触させることにより、該一酸化窒素が二酸化窒素に酸化されることを確認した実験結果を示す表である。
Figure 0007221057000003
表3に結果が示される実験では、一酸化窒素を含むNOxをガス袋(具体的には、テドラーバッグ)に充填し、そのガス袋にオゾンを所定量添加して、その後のNOx濃度を測定した。表3に示す実験1では、20ppmの濃度を有する一酸化窒素と、155ppmの濃度を有する二酸化窒素とを含むガスに、オゾンが200ppmの濃度で含まれる窒素を添加した。オゾンを添加した後のガス袋内のガスの成分を分析したところ、一酸化窒素の濃度は、0.2ppm以下まで低減されていることがわかった。同様に、表3に示す実験2では、一酸化窒素を81ppm、二酸化窒素を1.7ppm含むガスに、オゾンが200ppmの濃度で含まれる窒素を添加した。オゾンを添加した後のガス袋内のガスの成分を分析したところ、一酸化窒素の濃度は、0.2ppm以下まで低減されていることがわかった。これら実験1,2から、ガスに含まれる一酸化窒素は、オゾンと接触するだけで、二酸化窒素に酸化されることがわかった。
表4は、二酸化窒素を含むNOxを充填したガス袋(具体的には、テドラーバッグ)にオゾンを所定量注入した実験結果を示す表である。
Figure 0007221057000004
表4に結果が示される実験では、NOxが充填されたガス袋にオゾンを注入する前に、該ガス袋内のガスに含まれるNOxの濃度を検知管で確認した。検知管の測定では、ガス袋内のガスには、120ppmの濃度を有する二酸化窒素と、12ppmの濃度を有する一酸化窒素が含まれていた。さらに、窒素酸化物濃度計(NOx計)を用いて、ガス袋内のガスに含まれるNOxの濃度を測定した。NOx計の測定では、ガス袋内のガスには、155ppmの濃度を有する二酸化窒素と、20ppmの濃度を有する一酸化窒素が含まれていた。
このガス袋に、所定の濃度(具体的には、200ppmの濃度)を有するオゾンを注入した。オゾン注入後のガス袋内の一酸化窒素および二酸化窒素の各濃度を検知管を用いて測定したところ、一酸化窒素および二酸化窒素は検出されなかった。さらに、オゾン注入後のガス袋内の一酸化窒素および二酸化窒素の各濃度を窒素酸化物濃度計(NOx計)を用いて測定したところ、一酸化窒素の濃度は0.2ppmであり、二酸化窒素の濃度は14.8ppmであった。表4に結果が示される実験でも、オゾンを一酸化窒素に接触させるだけで、該一酸化窒素を二酸化窒素に酸化できることがわかった。
さらに、表4に結果が示される実験では、NOxが充填されたガス袋にオゾンを注入すると、二酸化窒素の濃度も大幅に低減されることがわかった。これは、オゾンが非常に高い酸化力を有していることによる。すなわち、オゾンは、その酸化力で、一酸化窒素を二酸化窒素に酸化させ、さらに、二酸化窒素を硝酸態(NO)にまで酸化させることができる。しかしながら、オゾンによって硝酸態まで酸化される二酸化窒素の量は、オゾンと二酸化窒素との接触時間、およびオゾンと二酸化窒素の混合比率などの処理条件によって変化する。そのため、NOxを含むガスにオゾンを接触させると、一酸化窒素は、二酸化窒素に酸化されるが、二酸化窒素は、処理条件次第で、硝酸態まで酸化されずにガス中に残存することがある。
したがって、図2に示す処理装置100において、入口ライン5を流れるガスに含まれる一酸化窒素を二酸化窒素に酸化させるのに十分な量のオゾンをオゾン発生器1から入口ライン5に導入しても、処理槽8に到達するガスには二酸化窒素が含まれることがある。より具体的には、入口ライン5を流れるガスには、排ガス処理装置300から排出されるガスにもともと含まれる二酸化窒素と、オゾンによって一酸化窒素から酸化された二酸化窒素が含まれている。この二酸化窒素の一部は、オゾンとの接触により硝酸態まで酸化されずに、入口ライン5を流れるガス中に残存し、処理槽8に到達することがある。さらに、上述したように、オゾンによって硝酸態まで酸化される二酸化窒素の量は、オゾンと二酸化窒素との接触時間、およびオゾンと二酸化窒素の混合比率などの処理条件によって変化する。したがって、処理条件次第では、排ガス処理装置300から排出されるガスにもともと含まれる二酸化窒素と、オゾンによって一酸化窒素から酸化された二酸化窒素のほぼ全量が処理槽8に到達することもある。
しかしながら、入口ライン5を通って処理槽8に到達したガスに含まれる二酸化窒素は、処理槽8に充填される合成ゼオライトによって物理吸着される。したがって、処理槽8から排出されたガス、すなわち、排出ライン12を流れるガスには、一酸化窒素および二酸化窒素などの窒素酸化物が含まれない。さらに、表1に示す実験結果から明らかなように、処理槽8に充填される合成ゼオライトは、余剰オゾンを酸素に分解することができる。その結果、処理槽8から排出されたガスは、窒素酸化物およびオゾンを含まないので、そのまま、大気に放出することができる。
図3は、図2に示す処理装置100を模した実験機を示す模式図である。図2に示す処理装置100に対応する構成要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
表1に結果が示される実験によって、合成ゼオライト単体でオゾンを酸素に分解できることが確認され、表3および表4に結果が示される実験によって、オゾンと接触した一酸化窒素は二酸化窒素に酸化されることが確認された。そこで、図3に示す実験機を用いて、一酸化窒素および二酸化窒素を含むガスが流れる配管にオゾンを添加することで、ガスに含まれる一酸化窒素が完全に二酸化窒素に酸化されるか否かを確認し、さらに、合成ゼオライトがオゾンを酸素に分解し、かつガスに含まれる二酸化窒素を完全に物理吸着できるか否かを確認する検証実験を行った。
図3に示す実験機は、合成ゼオライトが充填された処理槽8と、オゾン発生器1と、処理槽8の入口に連結される入口ライン5と、処理槽8の出口に連結される排出ライン12と、オゾン発生器1から延びて入口ライン5の途中に連結されるオゾン供給ライン10と、を備える。入口ライン5の先端は、2つの分岐管5A,5Bに分岐しており、一方の分岐管5Aには、窒素ガスボンベ30が連結され、他方の分岐管5Bには、一酸化窒素および二酸化窒素を含むNOxが充填されたガスボンベ31が連結されている。オゾン発生器1には、酸素ボンベ33から延びる酸素供給ライン35が連結されており、オゾン発生器1でオゾンを生成するために用いられる酸素は、酸素ボンベ33から酸素供給ライン35を介してオゾン発生器1に供給される。
分岐管5A,5Bには、それぞれ、流量調整器(例えば、マスフローメーター)38,39が配置されており、流量調整器38,39によって、処理槽8に導入されるガスに含まれるNOxの濃度を調整可能である。上述したように、排ガス処理装置300から排出されるガスには、NOxが、500ppm以上の高濃度で含まれることが想定される。そのため、この検証実験では、流量調整器38,39によって、窒素に含まれるNOxの濃度が1000ppm以上となるように、窒素およびNOxの流量が調整された。
酸素供給ライン35にも、流量調整器(例えば、マスフローメーター)40が配置されており、この流量調整器40によって、オゾン発生器1に導入される酸素の量を調整可能である。オゾン発生器1で生成されるオゾンの量は、オゾン発生器1に導入される酸素量に応じて変化する。上述したように、オゾン発生器1は、入口ライン5を流れるガスに含まれる一酸化窒素を二酸化窒素に酸化させるのに十分な量のオゾン、すなわち、入口ライン5を流れるガスに含まれる一酸化窒素の量に対して過剰な量のオゾンを発生させる。本検証実験では、オゾン発生器1が発生するオゾンの量が5500ppmになるように、流量調整器40によって、オゾン発生器1に供給される酸素の量を調整した。
さらに、入口ライン5には、2つのサンプルポート43,45が設けられている。一方のサンプルポート43は、入口ライン5とオゾン供給ライン10との連結点Cよりも上流側に設けられ、他方のサンプルポート45は、連結点Cよりも下流側に設けられる。したがって、サンプルポート43を介して取り出されたサンプルガスは、オゾンが添加される前のガスであり、サンプルポート45を介して取り出されたサンプルガスは、オゾンが添加された後のガスである。以下に示す表5では、サンプルポート43を「入口ポート1」と記載し、サンプルポート45を「入口ポート2」と記載している。
さらに、排出ライン12には、出口ポート48が設けられている。出口ポート48を介して取り出されたサンプルガスは、処理槽8を通過したガスである。
表5は、図3に示す実験機を用いて行われた検証実験の結果を示す表である。
Figure 0007221057000005
表5に示す実験1乃至5では、NOxの濃度が、それぞれ、1000ppm、2000ppm、3000ppm、4000ppm、および5000ppmになるように、流量調整器38,39を用いて、窒素とNOxの流量を調整した。実験1乃至5で、サンプルポート43を介して取り出されたガスには、それぞれ、680ppm、1340ppm、2000ppm、2650ppm、および3350ppmの濃度の一酸化窒素が含まれていた。これらのガスに、オゾン発生器1によって生成されたオゾンを、5500ppmの濃度で添加した。オゾン添加後のガスは、サンプルポート45を介して取り出された。実験1乃至5で、サンプルポート45を介して取り出されたいずれのガスにも一酸化窒素は含まれておらず、二酸化窒素の濃度が上昇していた。これらの結果から、入口ライン5を流れるガスに、過剰量のオゾンを添加することで、該ガスに含まれる一酸化窒素を二酸化窒素に完全に酸化できることがわかった。なお、入口ライン5に過剰量のオゾンを添加しても、入口ライン5を流れるガス中には、二酸化窒素が残存することがわかった。この二酸化窒素は、ガスボンベ31から供給されたガスにもともと含まれる二酸化窒素と、オゾンによって一酸化窒素から酸化された二酸化窒素とがオゾンによって硝酸態まで酸化されずに入口ライン5を流れるガス中に残存した二酸化窒素である。
実験1乃至5で、出口ポート48を介して取り出されたいずれのガスにも、オゾン、一酸化窒素、および二酸化窒素が含まれていないことが確認された。これらの結果から、オゾンは、処理槽8に充填される合成ゼオライトによって酸素に完全に分解され、二酸化窒素は、該合成ゼオライトによって完全に物理吸着されることがわかった。すなわち、図2に示す処理装置100によって、排ガス処理装置300から排出されるような、高濃度の窒素酸化物を含むガスを完全に処理できることがわかった。
このように、本実施形態に係る処理装置100によれば、排ガス処理装置300から排出され、窒素酸化物を高濃度で含むガスを処理することができる。具体的には、排ガス処理装置300から排出されるガスに含まれる一酸化窒素を完全に酸化させるのに必要な量よりも過剰な量のオゾンを、該ガスに添加することによって一酸化窒素を二酸化窒素に酸化し、一酸化窒素の酸化反応に消費されなかった余剰オゾンを、処理槽8に充填された合成ゼオライトによって酸素に分解するとともに、処理槽8に到達したガスに含まれる二酸化窒素を合成ゼオライトに物理吸着させる。このような構成により、窒素酸化物およびオゾンを含まないガスを、処理槽8から排出することができる。二酸化窒素は、合成ゼオライトに物理吸着されるため、処理槽8に充填される合成ゼオライトを定期的に交換する必要があるが、該合成ゼオライトは、安価な物質である。そのため、処理装置100のランニングコストを、従来のNOx処理装置と比べて大きく低減することができる。
図2に示すように、処理槽8の外面にヒータ15を取り付けてもよい。ヒータ15は、処理槽8に充填された合成ゼオライトを所定の温度に加熱するように構成されている。ヒータ15によって、合成ゼオライトを加熱することにより、オゾンの分解反応を促進することができる。一実施形態では、ヒータ15を、処理槽8に充填された合成ゼオライトの内部に配置してもよい。
上述したように、図2に示す処理装置100は、排ガス処理装置300の下流側に設置され、排ガス処理装置300の排ガスに含まれるNOxを処理する装置である。排ガス処理装置300には、該排ガス処理装置300内で高温にされたガスに冷却するための冷却水が供給されることがある。冷却水は、排ガス処理装置300内で処理された高温のガスと接触して該ガスを冷却する。そのため、排ガス処理装置300から排出されるガスには、水分が含まれることがある。
本発明者らが合成ゼオライトによるオゾンの分解について鋭意研究した結果、処理槽8に導入されるガスに水分が含まれていると、合成ゼオライトのオゾン分解能力が低下することがわかった。さらに、処理槽8に導入されるガスに水分が含まれている場合でも、合成ゼオライトを所定の温度以上にまで加熱することによって、合成ゼオライトのオゾン分解能力を維持できることもわかった。
図4は、これらの知見を得るために用いた実験機の模式図である。より具体的には、図4は、ヒータによって処理槽に充填された合成ゼオライトを所定の温度まで加熱しつつ、水分を含むガスを該処理槽に導入したときの、合成ゼオライトのオゾン分解能力を調査した実験機を示す模式図である。図4に示す実験機において、図3に示す実験機に対応する構成要素には、同一の符号を付すことにより、その重複する説明を省略する。
図4に示す実験機は、窒素ガスボンベ30から延びる窒素供給ライン201と、純水が蓄えられたタンク202とを有する。この実験機でも、処理槽8には合成ゼオライトのみが充填されており、この処理槽8の外面にはヒータ15が取り付けられている。ヒータ15は、処理槽8、および処理槽8に充填される合成ゼオライトを所定の温度まで加熱することができる。
窒素ガスボンベ30から延びる窒素供給ライン201はタンク202に接続され、その先端は、タンク202に蓄えられた純水の液面よりも下方で開口している。さらに、窒素供給ライン201には、流量調整器(例えば、マスフローメータ)38が配置されている。流量調整器38によって、タンク202に供給される窒素の流量が調整される。処理槽8の入口から延びる入口ライン5もタンク202に接続されるが、入口ライン5の先端は、タンク202に蓄えられた純水の液面よりも上方で開口している。したがって、窒素供給ライン201からタンク202に供給された窒素は、タンク202内の純水と接触し、純水を含む窒素が入口ライン5に導入される。さらに、純水を含む窒素は、入口ライン5を通って処理槽8に供給される。
本実験機でも、入口ライン5には、オゾン供給ライン10を介してオゾン発生器1が連結されている。オゾン発生器1には、酸素ボンベ33から延びる酸素供給ライン35が連結されており、オゾン発生器1でオゾンを生成するために用いられる酸素は、酸素ボンベ33から酸素供給ライン35を介してオゾン発生器1に供給される。酸素供給ライン35には、流量調整器(例えば、マスフローメーター)40が配置されている。流量調整器40によって、オゾン発生器1に供給される酸素の流量が調整され、オゾン発生器1は、供給される酸素の量に応じて、オゾンを発生させる。オゾン発生器1によって生成されたオゾンは、連結点Cで入口ライン5に導入され、その結果、処理槽8には、純水を含む窒素とオゾンの混合流体が導入される。
表6は、図4に示す実験機を用いて行われた実験の結果を示す表である。
Figure 0007221057000006
表6に結果が示される実験では、ヒータ15を稼働させずに処理槽8および合成ゼオライトの温度を室温に維持した実験1と、ヒータ15の制御温度を100℃、150℃、200℃、および250℃の温度に設定して、処理槽8をこの制御温度(すなわち、設定温度)まで加熱した実験2乃至5が行われた。実験1乃至5では、流量調整器38,40によって、処理槽8に導入されるオゾンの濃度が0.44-0.45%となるように、窒素およびオゾンの流量が調整された。さらに、実験1乃至5では、処理槽8に導入されるガスに含まれる水分量を、サンプルポート43を介して測定した。この水分量は、表6における試験条件の列で「水分導入量」と表されている。さらに、実験1乃至5では、排出ライン12に温度計205を配置し、この温度計205を用いて、排出ライン12を流れるガス(すなわち、処理槽8から排出されたガス)の温度を測定した。このガスの温度は、表6において、「出口ガス温度」と表されている。
表6の試験結果の列に示す「オゾン処理量」とは、合成ゼオライトのオゾン分解能力を示す指標値である。具体的には、「オゾン処理量」は、単位体積あたりの合成ゼオライトで分解可能なオゾンの量(堆積)を示した値である。本実験では、このオゾン処理量は、以下のように算出された。
最初に、合成ゼオライトが充填された処理槽8に、所定の濃度(具体的には、0.44-0.45%の濃度)を有するように調整されたオゾンを導入しつつ、排出ライン12を流れるガス(すなわち、処理槽8から排出されたガス)に含まれるオゾンの濃度を測定した。このとき、オゾンの処理槽8への導入を開始してからの経過時間も測定している。この経過時間は、表6における試験結果の列で、「通ガス時間」と表されている。なお、表6における「通ガス時間」の列に記載される数値は、処理槽8の出口におけるオゾンの濃度がその許容値である0.05ppmを超えるまでの経過時間である。次いで、この経過時間に、オゾン発生器1で生成されたオゾンの流量を乗算して、処理槽8に導入されたオゾンの積算量を算出した。このオゾンの積算量は、表6における試験結果の列で「オゾン通ガス量」と表されている。次いで、このオゾンの積算量を、処理槽8に充填された合成ゼオライトの体積で除算することにより、上記オゾン処理量を算出した。
表6に示すように、処理槽8が室温である実験1、およびヒータ15の制御温度を100℃に設定した実験2では、オゾンの積算量が、それぞれ、5450mL、および8237mLに到達したときに、処理槽8から排出されたガスに含まれるオゾンの濃度が0.05ppmを超えた。これら実験1および2での「オゾン処理量」は、それぞれ、20.7L/Lと20.8L/Lであった。なお、実験1および実験2では、出口ガス温度は、それぞれ、30.9℃と55.0℃であった。
実験1および2の結果は、処理槽8に導入されるガスに水分が含まれる場合は、処理槽8にある程度の量のガスが導入されると、合成ゼオライトのオゾン分解能力が低下することを示している。
これに対し、ヒータ15の制御温度を150℃、200℃、および250℃にそれぞれ設定した実験3乃至5では、経過時間が2000分を超えても、処理槽8の出口におけるオゾンの濃度が0.05ppmを超えなかった。そのため、表6の「オゾン通ガス量」には、実験を開始してから終了するまで(すなわち、処理槽8へのガスの導入を介してしてから停止するまで)のオゾンの積算量を記載した。表6の実験3乃至5のオゾン処理量も、オゾンの積算量に基づいて計算した便宜上の値を記載した。具体的には、実験3のオゾン処理量は、「434以上」と記載し、実験4のオゾン処理量は、「294以上」と記載し、実験5のオゾン処理量は、「317以上」と記載した。なお、実験3乃至5では、出口ガス温度は、それぞれ、75.5℃、92.8℃、および103.9℃であった。
実験3乃至5の結果から、処理槽8を介して合成ゼオライトを加熱するヒータ15の制御温度を所定の温度以上に設定することにより、合成ゼオライトのオゾン分解能力が低下しないことがわかった。上記所定の温度は、例えば、処理槽8から排出されるガスの温度が75.5℃以上となるヒータ15の制御温度である。
同様の理由(すなわち、合成ゼオライトによるオゾンの分解反応の促進、および合成ゼオライトのオゾン分解能力の維持)から、処理槽8に導入されるガスの温度を増加させることが好ましい。そのため、処理装置100は、入口ライン5の外面に取り付けられたヒータ17(図2参照)を有していてもよい。ヒータ17によって、入口ライン5を流れて、処理槽8に導入されるガスを所定の温度に加熱することができる。
図2に示す処理装置100は、2つのヒータ15,17を有しているが、本実施形態は、この例に限定されない。例えば、処理装置100は、ヒータ15,17のいずれか一方のみを有していてもよい。あるいは、処理装置100は、ヒータ15,17を有していなくてもよい。
図5は、別の実施形態に係る処理装置100を示す模式図である。特に説明しない本実施形態の構成は、図2に示す処理装置100の構成と同様であるため、その重複する説明を省略する。
図4に示す処理装置100は、処理槽8の外面に取り付けられたヒータ15の代わりに、処理槽8に充填された合成ゼオライトと熱交換を行う熱交換器19を有している点で、図2に示す処理装置100と異なる。
上述したように、合成ゼオライトの温度を上昇させると、オゾンの分解反応を促進することができる。さらに、合成ゼオライトの温度を上昇させると、処理槽8に導入されるガスに水分が含まれていても、合成ゼオライトのオゾン分解能力を維持することができる。そのため、本実施形態では、排ガス処理装置300から放出される排熱を利用する熱交換器19を有する。熱交換器19は、処理槽8の外面に取り付けられている。
上述したように、排ガス処理装置300内で高温にされたガスを冷却するために、排ガス処理装置300には、冷却水が供給される。冷却水は、排ガス処理装置300内で処理されたガスと熱交換を行い、高温となる。そこで、排ガス処理装置300から排出される高温の冷却水を、熱交換器19の加熱液として利用する。熱交換器19に供給された加熱液は、処理槽8を介して合成ゼオライトを所定の温度に加熱することができる。
一実施形態では、ヒータ17の代わりに、入口ライン5の外面に熱交換器(図示せず)を取り付けてもよい。この熱交換器は、入口ライン5を流れるガスと熱交換を行い、該ガスの温度を所定の温度に加熱する。この熱交換器も、排ガス処理装置300から排出される高温の冷却水を加熱液として利用することができる。
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲とすべきである。
1 処理装置
5 入口ライン
8 処理槽
10 オゾン供給ライン
12 排出ライン
15,17 ヒータ
19 熱交換器
100 処理装置
200 半導体処理装置
300 排ガス処理装置

Claims (11)

  1. 窒素酸化物を含むガスの処理装置であって、
    X型合成ゼオライトが充填される処理槽と、
    前記処理槽の入口に連結され、前記ガスを前記処理槽に導入する入口ラインと、
    前記入口ラインに連結されるオゾン発生器と、を備え、
    前記オゾン発生器は、前記ガスに含まれる一酸化窒素を二酸化窒素に酸化させるのに十分な量のオゾンを発生させ、
    前記X型合成ゼオライトは、前記一酸化窒素の酸化反応で消費されなかった余剰オゾンを分解し、かつ前記ガスに含まれる二酸化窒素を物理吸着することを特徴とする処理装置。
  2. 前記処理槽に取り付けられたヒータをさらに備え、
    前記ヒータは、前記X型合成ゼオライトを所定の温度に加熱して、前記ガスに含まれる水分に起因する前記余剰オゾンの分解効率の低下を防止することを特徴とする請求項1に記載の処理装置。
  3. 前記入口ラインに取り付けられたヒータをさらに備え、
    前記ヒータは、前記入口ラインを流れる前記ガスを所定の温度に加熱して、前記ガスに含まれる水分に起因する前記余剰オゾンの分解効率の低下を防止することを特徴とする請求項1または2に記載の処理装置。
  4. 前記処理槽に取り付けられた熱交換器をさらに備え、
    前記熱交換器は、前記X型合成ゼオライトを所定の温度に加熱して、前記ガスに含まれる水分に起因する前記余剰オゾンの分解効率の低下を防止することを特徴とする請求項1に記載の処理装置。
  5. 前記入口ラインに取り付けられた熱交換器をさらに備え、
    前記熱交換器は、前記入口ラインを流れる前記ガスを所定の温度に加熱して、前記ガスに含まれる水分に起因する前記余剰オゾンの分解効率の低下を防止することを特徴とする請求項1または4に記載の処理装置。
  6. 窒素酸化物を含むガスの処理方法であって、
    前記ガスに含まれる一酸化窒素を二酸化窒素に酸化するのに十分な量のオゾンを、前記ガスに添加して、前記一酸化窒素を前記二酸化窒素に酸化し、
    前記一酸化窒素の酸化反応で消費されなかった余剰オゾンを、処理槽に充填されたX型合成ゼオライトに接触させて分解し、
    前記ガスに含まれる二酸化窒素を、前記X型合成ゼオライトに物理吸着することを特徴とする処理方法。
  7. 前記X型合成ゼオライトをヒータによって所定の温度に加熱して、前記ガスに含まれる水分に起因する前記余剰オゾンの分解効率の低下を防止することを特徴とする請求項6に記載の処理方法。
  8. 前記処理槽の入口に連結される入口ラインを流れる前記ガスを、ヒータによって所定の温度に加熱して、前記ガスに含まれる水分に起因する前記余剰オゾンの分解効率の低下を防止することを特徴とする請求項6または7に記載の処理方法。
  9. 前記処理槽に取り付けられた熱交換器によって、前記X型合成ゼオライトを所定の温度に加熱して、前記ガスに含まれる水分に起因する前記余剰オゾンの分解効率の低下を防止することを特徴とする請求項6に記載の処理方法。
  10. 前記処理槽の入口に連結される入口ラインを流れる前記ガスを、該入口ラインに取り付けられた熱交換器によって所定の温度に加熱して、前記ガスに含まれる水分に起因する前記余剰オゾンの分解効率の低下を防止することを特徴とする請求項6または9に記載の処理方法。
  11. 前記熱交換器には、半導体処理装置の下流側に設置された排ガス処理装置から排出された高温の冷却水が供給されることを特徴とする請求項9または10に記載の処理方法。
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