JP3659812B2 - ラケットフレーム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はテニス、バドミントン等のラケットフレームに係り、特にチタン等の補強金属板とFRP(繊維強化合成樹脂)とを複合一体化させてなるラケットフレームに関する。
【0002】
【従来の技術】
テニス用ラケットフレーム等のラケットフレームは、周知の通り、ガットが張られるフェース部と、プレーヤーによって把持されるグリップ部と、これらをつなぐシャフト部とを備えている。
【0003】
従来のラケットフレームは、FRPや、アルミ、チタン等の金属にて構成されている。このラケットフレームのフェース部にガット(ストリング)を張ることによりラケットが構成される。
【0004】
特開平9−285569号公報には、フェースのサイド部にチタン等の帯板状の金属板を設けること、特に該金属板をフェースサイドの外面に設けることにより、フェース部サイド部分の曲げ剛性を高め、ボールヒット時のフェース部の変形を小さくし、テニスラケットの反発性能を向上させることが記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
補強金属板をラケットフレームの外面に設けると、外観上の異和感が生じる。また、金属板との接着面が金属板の一面のみになるので、両者のFRPとの一体性(接合性)を高めるために成形工程管理等を厳重に行う必要が生じ、コスト高になるおそれがある。なお、補強金属板をフェースサイドにのみ設けた場合には、補強効果が限られたものになる。
【0006】
本発明は、上記従来の問題点を解決し、強度、剛性が高く反発性に優れ、製造も容易なラケットフレームを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のラケットフレームは、補強金属板を有する繊維強化合成樹脂製のラケットフレームにおいて、比重5以下の帯板状の該補強金属板がシャフト部に又はシャフト部からグリップ部にかけて埋設されており、該補強金属板は、その板面がラケットフレームのフェース面と垂直方向となるように配材されており、該補強金属板はフェース部には配置されず該フェース部は繊維強化合成樹脂のみにて構成されていることを特徴とするものである。
【0008】
かかる本発明においては、ラケットフレームのシャフト部に又はシャフト部からグリップ部にかけて比重5以下の軽量な金属板を埋設しており、シャフト部の強度、剛性が高い。この金属板はFRP中に埋設されているため、金属板の酸化等の腐食や傷付きがなく、しかも金属板とFRPとの一体性に優れる。
【0010】
この補強金属板に必要に応じ開口を設けることにより、ラケットフレームの重量軽減を図ることもできる。この開口は例えば打ち抜きにより形成できる。
【0011】
金属板の材料としては、比重5以下である金属のチタン合金(例えば、βチタン合金であるTi−15V−3cr−3sn−3Al,Ti−22V−4Al,Ti−20V−4Al−1Sn,Ti−16V−4Sn−3Al−3Nb,α+βチタン合金、nearβチタン合金等)のほか、アルミ合金(特にジュラルミン)、マグネシウム合金なども使用できる。マグネシウム合金は、酸化し易く扱いにくい材料であるが、FRP中に埋設されるので、外気や湿気に触れないため腐食しにくい。補強金属板とFRPとの密着性を高めるために、金属板の表面を粗面化加工(例えば、サンディング、ブラスト等)したり、脱脂処理やプライマ−処理を施すことはきわめて効果的である。
【0012】
本発明で用いられる金属板の板厚は、0.2mm〜1.0mmが好ましく、特に0.3mm〜0.5mmが加工性も良く最も適している。あまり厚いと、曲げ加工がしにくく、いたずらに剛性を上げてしまう。また、逆に薄すぎると、作業中にぶつけたりして、金属を変形させてしまう可能性がある。
【0013】
帯板状の金属の幅は10mm〜22mmが良い。なお、金属板の幅がラケットフレームの厚みよりも小さいことは当然である。この金属板は、打ち抜き加工や曲げ加工を施すことによりラケットフレームに埋設するのに適した形状とするのが好ましい。帯板状の金属を曲げ加工する場合には、ラケットの形状に合わせる様に金型に押し当てながら、または、金型に置いてプレス機等を用いて曲げ加工を行うのが好ましい。この曲げの曲率半径(mm)は、80R以上が好ましい。
【0014】
帯板状の補強金属板の端部は、作業の安全上打抜き加工や、やすり加工等で角縁を丸めるのが好ましい。
【0015】
本発明のラケットフレームは、例えば膨張可能なチューブを芯材とし、その周囲にFRP用プリプレグを配材し、これに重ねるように所要箇所に補強金属板を配置し、次いでこの金属板をプリプレグで覆った後、金型内において該チューブを膨張させ、製品形状に賦形すると共に加熱してプリプレグを硬化させればよい。
【0016】
FRPを構成する合成樹脂としては、エポキシ樹脂、ナイロン、ビニールエステルなどが好適であるが、強度、耐久性及び価格の点でエポキシ樹脂が好適である。なお、樹脂として軟質なものを採用すると、振動吸収効果も得られる。
【0017】
強化用繊維としては、カーボン繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、超極細鉄線、Ti−Si−C−O系繊維(商品名チラノ繊維)、芳香族ポリアミド繊維、芳香族ポリエステル繊維、超高分子ポリエチレン繊維などを用い得るが、コストの面からもカーボン繊維が好適である。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して実施例について説明する。図1は実施の形態に係るテニス用ラケットフレームのグリップ部の断面図である。図2(a)は実施の形態に係るラケットフレームの製造途中図、図2(b)はラケットフレーム製品のフェース部の断面図である。
【0019】
ラケットフレームの芯材となるチューブ1は、フェース部1a、シャフト部1c及びグリップ部1dよりなる。フェース部1aはほぼ長円形状となっている。1bはフェース部1aの一部を構成するヨーク部を示す。
【0020】
この実施の形態においては、チューブ1のシャフト部1cとグリップ部1dとの外側面にプリプレグ(図2では図示略)を介して補強金属板6を沿わせ、この金属板6をプリプレグで覆った後、金型内でチューブを膨張させると共に、加熱してラケットフレーム製品としている。
【0021】
図2(a)の通り、フェース部はFRPのみにて構成され、補強金属板は配材されない。このラケットフレームのグリップ部の断面は図1の通りである。
【0022】
図1の通り、金属板6は該製品のFRP4中に埋設される。
【0023】
なお、チューブ内に必要に応じて発泡用樹脂材料を注入し、発泡させてもよい。
【0024】
製造されたラケットフレームにガット孔を穿設し、グロメットを用いてガット(ストリング)を張ることによりプレーに使用されるラケットとなる。
【0025】
このように構成されたラケットフレームは、FRPと比重5以下の金属板とからなるものであり、軽量で高強度、高剛性である。
【0026】
また、金属板6をすべてFRPで覆った構成となっているため、各種の色彩のFRP層を採用することにより、外観意匠性のバリエーションに富んだ製品を市場に提供することも可能である。
【0027】
【発明の効果】
以上の通り、本発明によると、重量が大きくなくて操作性が良く、見た目が良く、しかも反発性能が良いと共に、シャフト等の剛性が高いラケットフレームが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態に係るラケットフレーム製品のグリップ部の断面図である。
【図2】図2(a)は実施の形態に係るラケットフレームの製造途中図、図2(b)はラケットフレーム製品のフェース部の断面図である。
【符号の説明】
1 チューブ
1a フェース部
1b ヨーク部
1c シャフト部
1d グリップ部
6 補強金属板
4 FRP
Claims (2)
- 補強金属板を有する繊維強化合成樹脂製のラケットフレームにおいて、比重5以下の帯板状の該補強金属板がシャフト部に又はシャフト部からグリップ部にかけて埋設されており、該補強金属板は、その板面がラケットフレームのフェース面と垂直方向となるように配材されており、該補強金属板はフェース部には配置されず該フェース部は繊維強化合成樹脂のみにて構成されていることを特徴とするラケットフレーム。
- 請求項1において、補強金属板に開口が設けられていることを特徴とするラケットフレーム。
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