JP3658906B2 - 駆動伝達機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばファクシミリ装置等のカット紙を移送する分離ローラのように駆動伝達されて自転するとともに、その回転速度よりも速く順方向に回転された場合に空回りするワンウェイクラッチを備えた駆動伝達機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、ファクシミリ装置における原稿供給機構では原稿をトレイにセットしてイメージセンサ方向に移送させて読み取りを行う。この場合次のような順序を経る。すなわち、図11に示すように、分離ローラ71を駆動させ最下部の原稿Gを下流側に送り出す。移送通路を原稿Gが移送され始めると通過センサ72が紙の前端を検出する。移送通路を移送される原稿Gは移送ローラ74に至る。移送ローラ74の回転速度は分離ローラ71よりも僅かに速い速度に設定されており、その速度差によって原稿Gは移送ローラ74によって下流側に引き寄せられるようになっている。その結果、先の原稿Gと次に分離ローラ71により送り出された原稿Gとの間に移送速度の差ができるため、原稿G間に隙間ができる。このため、通過センサ72は移送中の原稿Gの後端を検出することができ、この検出により読み取り原稿の大きさや枚数を検出することができることとなる。
【0003】
ここに、原稿Gが移送ローラ74によって引き寄せられる場合に原稿Gの引き寄せを許容するように、分離ローラ71は順方向への回転に対して空回りするようにワンウェイクラッチ機構を備えている。図12(a)及び(b)に示すように、従来の機構では分離ローラ71を装着した金属製のシャフト75にカラー76を介してクラッチ用スプリング77が装着され、このクラッチ用スプリング77が駆動側のギヤ78に遊嵌状態に嵌着されている。そして、ギヤ78の駆動力がシャフト75側に伝達される場合にはクラッチ用スプリング77は縮径されギヤ78の円筒状基部外周面78aに接触させられる。すると、クラッチ用スプリング77を介してシャフト75側に駆動が伝達される。一方、上記のように分離ローラ71が順方向に空回りさせられるとクラッチ用スプリング77は拡径されギヤ78の円筒状基部外周面78aと非接触状態となる。つまり、分離ローラ71が順方向へ回転されられている場合にはシャフト75側には駆動が伝達されずシャフト75は空回りをする。
【0004】
また、図13(a)及び(b)に示すようなワンウェイクラッチ機構ではない従来の駆動伝達機構もある。これは、分離ローラ71を装着した樹脂製のシャフト79の外周の一部に第1係合爪80を形成し、駆動側のギヤ軸81の外周の一部に第2係合爪82を形成したものである。そして、ギヤ軸81から駆動が伝達される場合には第2係合爪82が第1係合爪80に後方から接触して係合状態となるようになっている。そして、ギヤ軸81が回転すると第2係合爪82が周方向に回転して第1係合爪80と当接してこれを押圧することとなり駆動が伝達される。一方、移送ローラ74によって原稿Gが引き寄せられたためギヤ軸81の回転よりもシャフト79の回転の方が速くなった場合には分離ローラ71は順方向に空回りし始めるため、第1係合爪80は第2係合爪81から離間する。そして、分離ローラ71(シャフト79)がギヤ軸81に対して相対的にほぼ1回転先行すると逆に第1係合爪80が第2係合爪81に対して後方から接触して係合状態となる。原稿Gが移送ローラ74から排出されると分離ローラ71は停止する。この時、ギヤ軸81が回転しても360度回転して第2係合爪82が第1係合爪80に再び係合するまでは分離ローラ71はそのまま停止状態を維持する。そして、追いついた第2係合爪82が第1係合爪80に再び後方から接触して係合状態となり、原稿G送り動作が繰り返される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のような駆動伝達機構では次のような問題があった。すなわち、
(1)図12(a)及び(b)に示す機構では、ワンウェイクラッチ機構の要部としてクラッチ用スプリング77を使用しているが部材として比較的高価であること。わずかな縮径によってギヤ78の円筒状基部外周面78aに接触させるようにするため、部材の寸法にかなりな精度を要求されること。クラッチ用スプリング77の装着作業に時間がかかること。クラッチ用スプリング77は摩擦で駆動を伝達するためギヤ78の同外周面78aが経年使用で磨耗してしまうこと。摩擦で駆動を伝達するため機械油が侵入すると空回りして駆動が確実に伝達されず動作の安定性に欠けること。水の侵入で錆びること等である。
【0006】
(2)図13(a)及び(b)に示す機構では、ギヤ軸81の回転よりもシャフト79の回転の方が速くなった場合に、分離ローラ71(シャフト79)がギヤ軸81に対して相対的に1回転先行するとシャフト79の第1係合爪80がギヤ軸81の第2係合爪82と係合状態となってシャフト79が逆にギヤ軸81を押動するようになる。つまり、ワンウェイクラッチ機構ではないため、分離ローラ71(シャフト79)が移送ローラ74から順回転方向の駆動を付与される際にギヤ軸81側の負荷(ブレーキとなる)を常に受けることとなる。従って、駆動伝達力が無駄に消費されることとなり、また過負荷により発熱の原因ともなる。
【0007】
本発明は上記問題点を解消するためになされたものであって、その目的はより安価で高度な精度が要求されず組立て工程が簡単なワンウェイクラッチ機構を備えた駆動伝達機構を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明では、駆動軸と従動軸を連結体を介して連結した駆動伝達機構において、駆動軸又は従動軸にはカム体を形成し、連結体は同カム体と係合してそのカム作用によりスラスト移動してカム体が形成されてない側の軸に形成された係合部と係合する一方、従動軸が駆動軸から伝達される回転速度よりも早く順方向に回転する場合には、連結体は係合状態にあるカム体と離間してそのカム作用により逆にスラスト移動されてカム体が形成されていない側の軸に形成された係合部と非係合状態になることを要旨とする。従って、連結体は駆動軸又は従動軸に形成したカム体によってスラスト移動させられ、カム体が形成されてない側の軸に形成された係合部と係合して駆動軸の駆動力は従動軸に伝達される。そして、駆動軸の駆動力が連結体を介して従動軸に伝達される。一方、従動軸が駆動軸から伝達される回転速度より速く回転する場合には連結体は駆動軸のカム体のカム作用により上記とは逆にスラスト移動させられ連結体は係合部と非係合状態となる。その結果、従動軸は駆動軸が回転するにもかかわらず空回りする。
【0009】
請求項2の発明では、駆動軸と従動軸を連結体を介して連結した駆動伝達機構において、駆動軸にはカム体を形成し、同カム体と係合してそのカム作用によりスラスト移動する連結体を従動軸側の係合部と係合させて駆動伝達させる一方、従動軸が駆動軸から伝達される回転速度よりも早く順方向に回転する場合には、連結体が係合状態にあるカム体と離間してそのカム作用により逆にスラスト移動されて従動軸側の係合部と非係合状態になることを要旨とする。従って、駆動軸の駆動力が従動軸に伝達される場合には駆動軸のカム体は連結体を従動軸に沿ってスラスト移動させるため、連結体は従動軸に形成した係合部と係合する。そして、駆動軸の駆動力が連結体を介して従動軸に伝達される。一方、従動軸が駆動軸から伝達される回転速度より速く回転する場合には連結体は駆動軸のカム体のカム作用により上記とは逆にスラスト移動させられ従動軸の係合部と非係合状態となる。その結果、従動軸は駆動軸が回転するにもかかわらず空回りする。
【0010】
請求項3の発明では請求項1又は2の発明の構成に加え、前記連結体には前記係合部と係合する被係合部を形成し、同連結体は同係合部と被係合部間に設けられた案内面に案内されてスラスト移動するようにしたことを要旨とする。従って、請求項1又は2の発明の作用に加え、連結体がスラスト移動の際に連結体と係合部の案内面によって移動のきっかけが与えられるため移動がスムーズになる。請求項4の発明では請求項1乃至3のいずれかの発明の構成に加え、前記従動軸はファクシミリ装置の読取原稿分離用の分離ローラであることを要旨とする。従って、請求項1乃至3のいずれかの発明の作用に加え、分離ローラは読取原稿を介して移送ローラによって順方向に回転させられて、駆動軸から伝達される回転速度より速く回転すると連結体は分離ローラの係合ピンと非係合状態となる。その結果、分離ローラは駆動軸の駆動にかかわらず空回りし、読取原稿間の間隔が空く。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の駆動伝達機構についてファクシミリ装置に具体化した実施の形態について図面に基づいて説明する。
図7に示すように、ファクシミリ装置11の前部上面には操作部12が形成され、後部上面には読取原稿Gが載置される原稿トレイ13が形成されている。原稿トレイ13の前端であって、ファクシミリ装置11内には読取原稿Gを分離パッド15と協働して下流側に1枚ずつ搬送する分離ローラ16が配設されている。分離ローラ16の下流側には移送ローラ17が取着されており、移送ローラ17の下流側には排紙ローラ18が取着されている。排紙ローラ18は図示しないモータによって駆動が付与され、タイミングベルト19を介して移送ローラ17に駆動が伝達される。同移送ローラ17及び排紙ローラ18と対応するように従動ローラ20,21が自由回転可能に装着されている。読取原稿Gは前記ローラ17,18,20,21により挟持されて移送され、読取の終わった読取原稿Gが原稿排出口22より排出される。分離ローラ16と移送ローラ17の間には読取原稿Gの通過を検出する通過センサSが配設されている。通過センサSの検出信号に基づいて読み取り原稿Gのサイズや枚数を検出することができる。
【0012】
ファクシミリ装置11内前部下方には読取原稿Gの内容を読み取るための光源23、CCDイメージセンサ24、レンズ25及び複数のミラー26等の各種光学系部材により構成される光学系27が集中的に配設されている。
【0013】
次に、図1〜図10に基づいて分離ローラ16の駆動伝達機構について説明する。尚、以下の説明において右とは図1及び図2における右方向をいい、左とは図1及び図2における左方向をいう。図1に示すように、分離ローラ16は連結体たる連結カム30を介して駆動軸31から駆動が伝達されるようになっている。
【0014】
図1〜図3に示すように、ポリオキシメチレン(以下POMと略称する)樹脂製の駆動軸31は軸本体32とギヤ33及びカム体たる主カム34とにより構成されている。軸本体32の右端に形成されたギヤ33はモータの駆動を伝達する駆動伝達系の伝達ギヤ35に噛合されており、伝達ギヤ35から伝達される駆動力によって駆動軸31は回転させられる。軸本体32は伝達ギヤ35寄りに形成された小フランジ36の左方において軸受37により支持される。軸本体32の左端には主カム34が形成されている。図6(a)〜(c)に示すように、主カム34の先端中央には断面円形の凹部41が形成されている。主カム34には左方に向かって一対の第1カム片42が突設されている。両第1カム片42は主カム34の端部外周に180度対向する位置に形成されている。図1及び図8(a)〜(d)に示すように、両第1カム片42には駆動軸31の回転軸心を通る直線P(図6(c)参照)に対して45度の傾斜を有する一対のカム面43a,43bが形成されている。尚、図6(a)に示すように、カム面43a,43bは分離ローラ16方向(左方向)から駆動軸31を見た場合に時計回り方向に傾斜して形成されている。両第1カム片42の先端であって、後方側のカム面43bには直角部42aが形成されている。直角部42aには駆動軸31の回転軸心を通る直線Pに対して平行な当接面44が形成されている。
【0015】
図5に示すように、分離ローラ16は従動軸たるシャフト45とローラパッド46とにより構成されている。シャフト45はPOM樹脂より構成され、ローラパッド46は合成ゴムより構成されている。シャフト45はその先端側(図上、右側)が前記駆動軸31の主カム34に形成された凹部41に挿入されて支持されている。シャフト45の先端面中央に形成された当接ピン47は同凹部41底部に当接するようになっており、シャフト45と前記駆動軸31とは相対的に回転可能とされている。シャフト45は基端側(図上、左側)において軸受48により支持されている。
【0016】
円柱形状のシャフト45にはローラパッド46の位置決め用のフランジ49が形成されており、同フランジ49を挟んで左側がローラパッド取付部45a、右側が連結カム取付部45bとされている。ローラパッド46はフランジ49に当接した状態でローラパッド取付部45aに装着されている。連結カム取付部45b外周であって、中央寄りの同円周上には等間隔で係合部たる4つの係合ピン50が突設されている。係合ピン50の平面形状は略菱形とされており、各係合ピン50には図5及び図9に示すようにシャフト45の回転軸心を通る直線Pに対して45度の傾斜を有する平行な一対の第1案内面50a,50bが形成されている。
【0017】
シャフト45の連結カム取付部45bには連結カム30が遊嵌されている。図4(a)〜(d)に示すように、連結カム30は軸方向中央に貫通孔51が透設されたPOM樹脂製の環状体である。貫通孔51内面には前記4つの係合ピン50が係合する被係合部たる溝52が軸線方向に沿って形成されており、その結果貫通孔51は断面略十字形状とされている。図4(d)に示すように、溝52を形成する壁面53には貫通孔51の右側開口部寄りに一対の案内面53aが形成されている。両案内面53a,53bはシャフト45の回転軸心を通る直線Pに対して45度の傾斜を有して平行に配置されている。そして、図9(a)〜(c)及び図10(a)〜(c)に示すように、前記係合ピン50の案内面50a,50bと壁面53の案内面53a,53bとは連結カム30がスラスト移動して溝52と係合ピン50とが係合する際、あるいは係合状態から非係合状態となる際に接触する。その結果、係合ピン50と溝52との係合非係合の動作がスムーズに行われる。尚、この動作については後述する。
【0018】
連結カム30には右側に向かって一対の第2カム片55が突設されている。両第2カム片55は連結カム30の端部外周に180度対向する位置に形成されている。図1及び図8(a)〜(d)に示すように、両第2カム片55にはシャフト45の回転軸心を通る直線Pに対して45度の傾斜を有する一対のカム面56a,56bが形成されている。尚、図4(a)及び(b)に示すように、カム面56a,56bは駆動軸31方向(右方向)から連結カム31を見た場合に時計回り方向に傾斜して形成されている。両第2カム片55の先端であって、後方側のカム面56bには直角部55aが形成されている。直角部55aには駆動軸31の回転軸心を通る直線Pに対して平行な当接面57が形成されている。
【0019】
次に、本実施の形態の作用について説明する。
図1及び図8(a)は連結カム30が駆動軸31方向にスラスト移動させられ、駆動軸31の主カム34と連結カム30とが係合して駆動軸31の駆動が分離ローラ16側に伝達可能な状態である。この状態においては、図9(c)に示すように係合ピン50は連結カム30の貫通孔51内の溝52と係合状態となる。図1上、駆動軸31方向から連結カム30を見た場合に駆動軸31を反時計回り方向(順方向)に回転させるとカム面43a,56a同士が噛み合っているため、第1のカム片42から第2のカム片55へと駆動が伝達される。従って、駆動軸31が駆動されると同方向に連結カム30は回転させられる。連結カム30が回転する結果、図9(c)において係合ピン50は溝52に対して相対的に上方側へのモーメントを付与されることとなり、分離ローラ16のシャフト45に駆動が伝達される。すなわち、駆動軸31の駆動力が分離ローラ16に伝達されるため、原稿Gの最下部が下流に送られる。但し、この状態では未だ原稿Gは移送ローラ17に達しておらず移送ローラ17による送り駆動を付与されていないものとする。
【0020】
次いで、原稿Gの先端が移送ローラ17に達し、原稿Gが移送ローラ17に送りを付与され始めると、分離ローラ16は駆動軸31から回転を付与されているにもかかわらず原稿Gを介して移送ローラ17によって順方向に回転させられることとなる。ここに、分離ローラ16の順方向の回転速度のほうが駆動軸31の回転速度よりも速い。従って、相対的に分離ローラ16のシャフト45の係合ピン50から連結カム30に対して逆方向の回転が付与されることとなる。その結果、図9(c)の状態にあった係合ピン50は分離ローラ16のシャフト45の駆動力により溝52に対して相対的に図において下方へのモーメントを付与され、係合ピン50の案内面50aが壁面53の案内面53aから離間する。
【0021】
すると、図8(a)において、係合状態にある第1のカム片42(主カム34側)と第2のカム片55(連結カム30側)の互いに当接するカム面43a,56aが離間し始め、図8(b)のように第1カム片42(主カム34側)の直角部42aの角部が第2カム片55(連結カム30側)の後方側のカム面56bと当接し、第2カム片55の直角部55aの角部が第1カム片42の後方側のカム面43bと当接する。そして、連結カム30の回転に従って、図上連結カム30は斜め左下方向に移動し、図8(c)に示すように連結カム30と主カム34の当接面44,57が当接した状態で連結カム30のスラスト方向への移動は停止される。
【0022】
一方、この連結カム30のスラスト方向への移動によって、係合ピン50と溝52(連結カム30側)は非係合状態となる。すなわち、図9(c)の状態から溝52に対して相対的に移動された係合ピン50は図10(a)のように溝52内を案内面53b側に移動する。そして、係合ピン50の案内面50bと案内面53bとが接触する。係合ピン50は同案内面53bに案内されて図10(b)において右斜め下方に移動していき、図10(c)のように係合ピン50は溝52から離脱して非係合状態となる。すなわち、駆動伝達機構としては図2に示す状態である。この状態において分離ローラ16は駆動軸31との係合関係を解除され、順方向に空回り可能となる。そして、原稿Gは移送ローラ17及び排紙ローラ18に送りを付与されながら原稿排出口22から排出される。
【0023】
次いで、先の原稿Gが分離ローラ16から離脱すると分離ローラ16への移送ローラ17等からの送り駆動の付与がなくなる。従って、分離ローラ16は再び駆動軸31から駆動を付与される。すると、図8(c)の状態(当接面44,57が当接した状態)にあった連結カム30と主カム34において、図8(d)のように連結カム30が相対的に図において右方向に回転し、再び第1のカム片42(主カム34側)と第2のカム片55(連結カム30側)のカム面43a,56aが当接する。そして、両カム片42,55のカム作用により連結カム30が駆動軸31方向に引き寄せられて(スラスト方向)移動する。
【0024】
すると図8(a)のように再び第1及び第2カム片42,55の両カム面43a,56aが噛み合い駆動軸31の駆動力が連結カム30側に伝達される。この時、非係合状態であった係合ピン50と溝52(連結カム30側)は再び係合状態となる。すなわち、図9(a)に示すように非係合状態にある係合ピン50と溝52は連結カム30のスラスト方向の移動に伴い接近し、係合ピン50の案内面50aが壁面53の案内面53aと接触する。更に、同案内面53aに案内されて図9(c)のように係合ピン50と溝とが再び係合状態となる。連結カム30が回転する結果、図9(c)において係合ピン50は溝52に対して再び相対的に上方へのモーメントを付与されることとなり、分離ローラ16のシャフト45に駆動が伝達される。
【0025】
すなわち、駆動軸31の駆動力が分離ローラ16に伝達されるため、次の原稿Gが下流に送られる。この段階では先の原稿Gとの移送速度差によって先の原稿Gと次の原稿Gとの間には間隔が空く。
【0026】
以上のように構成することにより、上記実施の形態は次のような効果が奏される。
・従来のようにクラッチ用スプリングによらずとも連結カム30によって順方向の駆動が加わった場合に分離ローラ16を空回りさせることができる。特に、クラッチ用スプリングのように摩擦で駆動を伝達するものではないため、磨耗や機械油が内部に侵入して空回りするようなことはない。また、連結カム30は樹脂成形で容易に量産できるため、コストの削減となる。また、連結カム30とシャフト45に挿通するだけであるため、装着作業に時間がかからない。また、クラッチ用スプリングほどには部材の寸法に精度を要求されないため、歩留りがよい。
【0027】
・連結カム30がスラスト移動する際には係合ピン50の案内面50a,50b(シャフト45側)は壁面53(連結カム30側の溝52)に形成した案内面53a,53bと接触するため、係合ピン50と溝52とが係合し易くなっている。
【0028】
・図8(c)に示すように、分離ローラ16が順方向に空回りしている場合には連結カム30と主カム34とは当接面44,57で接触しており、この状態で連結カム30は主カム34(駆動軸31)と連れ回りしている。すなわち、連結カム30と主カム34は完全に離間せず接触状態にあり、再び駆動軸31の駆動力が連結カム30側に伝達された場合にすぐに図8(d)の状態となることができ、図8(a)の駆動付与状態に復帰できる。
【0029】
・シャフト45先端の当接ピン47で駆動軸31の凹部41の底面に当接しているため摩擦が少なくなり、分離ローラ16が空回りする際に回転の負担になることが少ない。
【0030】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で例えば次のように構成することもできる。
・上記実施の形態では駆動軸31にカム体たる主カム34を、従動軸たるシャフト45に連結体たる連結カム30と係合部たる係合ピン50とを設けたが、逆に駆動軸31に連結カム30と係合ピン50を設け、シャフト45に主カム34を設けるようにしてもよい。
【0031】
・連結カム30に形成した溝52側には案内面53a,53bを形成したが、必ずしもなくともかまわない。溝52側に案内面がない以上係合ピン50にも案内面50a,50bは不要であるが、この場合は係合ピン50の形状は断面円形形状が好ましい。また、溝52側に形成した案内面は図9及び図10において上方側の案内面53aだけを省略してもよい。特に、係合ピン50と溝52とが係合する際に案内をして接触するのは図9(a)〜(c)のように案内面50bと案内面53bだからである。
【0032】
・係合ピン50の数や第1カム片42又は第1カム片55等の数は随時変更可能である。
・カム面43a,43b,56a,56bは上記実施の形態では45度であったが、45度には限定されない。
【0033】
・カムとしてはその他のカムであってもよい。ここにカムとは平面カム、立体カムを含み、平面カムとしては板カム、確動カム、直動カム等が挙げられる。立体カムとしては円筒カム、円錐カム、球面カム、エンドカム、斜板カム等が挙げられる。
【0034】
・プリンタ等ファクシミリ装置以外の機器に用いること。以上、本実施の形態について詳述したが本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で変更して実施することは自由である。
【0035】
以上の実施例によって把握されるその他の技術的思想について、その効果とともに以下に記載する。
・請求項1〜3の発明に加え、連結体が従動軸側の係合部と非係合状態となった場合に連結体と駆動軸側のカム体とは係合状態を維持する駆動伝達機構。このようにすると、一旦従動軸が空回りをした後で再び駆動軸側の駆動力を付与しようとした場合に連結体とカム体とが係合しているため速やかに駆動が伝達される。上記実施の形態では第1及び第2カム片42,55に形成した当接面44,57によって係合状態が維持されている。
【0036】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1及び2の発明では低コストで駆動伝達機構を製造することができるとともに、組立て作業にも時間がかからない。また、従来に比べ部材の寸法にそれほど精度を要求されないため、歩留りがよい。請求項3の発明では請求項1又は2の発明の効果に加え、連結体のスラスト移動する際に係合部と被係合部の係合がスムーズとなる。請求項4の発明では請求項1乃至3のいずれかの発明の効果に加え、ファクシミリ装置の読取原稿の移送において読取原稿間の間隔を空けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態の駆動伝達機構であって、駆動軸からの駆動が伝達可能な状態の平面図。
【図2】 本発明の実施の形態の駆動伝達機構であって、駆動軸からの駆動が伝達不能な状態の平面図。
【図3】 同じ実施の形態の分解斜視図。
【図4】 同じ実施の形態の連結カムであって、(a)(b)は斜視図、(c)は側面図、(d)は(c)におけるA−A断面図。
【図5】 同じ実施の形態の分離ローラの側面図。
【図6】 同じ実施の形態の駆動軸の先端であって、(a)(b)は斜視図、(c)は断面図。
【図7】 同じ実施の形態をファクシミリ装置に応用した一部破断側面図。
【図8】 同じ実施の形態における連結カムと主カムとの係合動作を説明するために円弧状の第1カム片と第2カム片を展開した概念図であり、(a)は駆動軸の駆動力が伝達可能状態、(b)は両カム片が相対的に後退している途中の状態、(c)は第1カム片と第2カム片の当接面が当接している状態、(d)は再び第1カム片と第2カム片が係合し始めた状態。
【図9】 同じ実施の形態における係合ピンと溝との非係合状態から係合状態に移行する動作を説明するための概念図であり、(a)は非係合状態、(b)案内面が当接した状態、(c)は係合状態。
【図10】 同じ実施の形態における係合ピンと溝との係合状態から非係合状態に移行する動作を説明するための概念図であり、(a)は係合状態、(b)案内面が当接した状態、(c)は非係合状態。
【図11】 従来例における分離ローラの原理を説明するための説明図。
【図12】 従来例の分離ローラであって(a)は分解平面図、(b)は組立て平面図。
【図13】 従来例の分離ローラであって(a)は分解平面図、(b)は組立て平面図。
【符号の説明】
30…連結体たる連結カム、31…駆動軸、45…従動軸たるシャフト、34…カム体たる主カム、50…係合部たる係合ピン、52…被係合部たる溝、50a,50b,53a,53b…案内面。
Claims (4)
- 駆動軸と従動軸を連結体を介して連結した駆動伝達機構において、駆動軸又は従動軸にはカム体を形成し、連結体は同カム体と係合してそのカム作用によりスラスト移動してカム体が形成されてない側の軸に形成された係合部と係合する一方、従動軸が駆動軸から伝達される回転速度よりも早く順方向に回転する場合には、連結体は係合状態にあるカム体と離間してそのカム作用により逆にスラスト移動されてカム体が形成されてない側の軸に形成された係合部と非係合状態になる駆動伝達機構。
- 駆動軸と従動軸を連結体を介して連結した駆動伝達機構において、駆動軸にはカム体を形成し、同カム体と係合してそのカム作用によりスラスト移動する連結体を従動軸側の係合部と係合させて駆動伝達させる一方、従動軸が駆動軸から伝達される回転速度よりも早く順方向に回転する場合には、連結体が係合状態にあるカム体と離間してそのカム作用により逆にスラスト移動されて従動軸側の係合部と非係合状態になる駆動伝達機構。
- 前記連結体には前記係合部と係合する被係合部を形成し、同連結体は同係合部と被係合部間に設けられた案内面に案内されてスラスト移動する請求項1又は2に記載の駆動伝達機構。
- 前記従動軸はファクシミリ装置の読取原稿分離用の分離ローラである請求項1乃至3のいずれかに記載の駆動伝達機構。
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