JP3656443B2 - インク滴噴射装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクを噴射して被記録媒体に画像を形成するインク滴噴射装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、多階調化やカラー化が容易な記録装置としてインクジェット方式のものがある。この記録装置の中でも、印字用のインクを噴射するドロップ・オン・デマンド型のインク滴噴射装置が、噴射効率の良さ、ランニングコストの安さなどから普及しつつある。
【0003】
ドロップ・オン・デマンド型のインク噴射装置として、例えば、特開昭63−247051号公報に記載の圧電材料を利用したせん断モード型のインク滴噴射装置がある。図23、図24に、この種のインク滴噴射装置の一例を示す。
【0004】
インク滴噴射装置を構成する印字ヘッド600は、底壁601、天壁602、それら各壁601,602間に挟持されたせん断モード型のアクチュエータ壁603からなる。アクチュエータ壁603は、天壁602に接着され、かつ矢印609方向に分極された圧電材料製の上部壁605と、底壁601に接着されかつ矢印611方向に分極された圧電材料製の下部壁607とからなる。隣接する2つのアクチュエータ壁603は一対となって、その間にインク室613を形成し、かつその隣の一対のアクチュエータ壁603との間には、空気室615を形成している。
【0005】
各インク室613の一端には、ノズル618を有するノズルプレート617が固着され、他端には、マニホールド626を介してインクカートリッジなどのインク供給源(図示略)が接続されている。なお、マニホールド626は、各インク室613に連通する開口部を有する前部壁627と、各壁601,602間を密閉する後部壁628とを備え、インク供給源から両壁627,628間に供給されたインクを各インク室613に分配するものである。
【0006】
各アクチュエータ壁603の両側面には電極619,621が設けられている。すなわち、インク室613側のアクチュエータ壁603には電極619が設けられ、空気室615側および印字ヘッド600の外周側のアクチュエータ壁603には電極621が設けられている。そして、各インク室613内に設けられた各電極619は駆動回路21に接続されている。駆動回路21は、制御回路22の制御にもとづいて、後述するような駆動信号を生成して各電極619に印加する。また、他方の電極621はアース623に接続されている。
【0007】
各インク室613の電極619に駆動回路21が電圧を印加することによって、各アクチュエータ壁603がインク室613の容積を増加する方向に圧電厚みすべり変形する。この動作の一例を図25に示す。1つのインク室613の電極619に所定の電圧E(V)が印加されると、そのインク室の両側のアクチュエータ壁603,603にそれぞれ分極方向と直交する矢印631,631の方向の電界が発生し、アクチュエータ壁603,603がインク室613の容積を増加する方向に圧電厚みすべり変形する。このとき、ノズル618付近を含むインク室613内の圧力が減少する。
【0008】
そして、この電圧E(V)の印加をインク室613内の圧力波の片道伝播時間Tだけ維持する。その間に前述のインク供給源からインクが供給される。なお、上記片道伝播時間Tはインク室613内のインクの圧力波が、インク室613の長手方向に片道伝播する時間であり、インク室613の長さLと、インク室613内部のインク中における音速aとにより、T=L/aなる式で算出される。
【0009】
圧力波の伝播理論によると、上記電圧Eの印加から片道伝播時間Tが経過するとインク室613内の圧力が逆転し、正の圧力に転じるが、このタイミングに合わせてインク室613の電極619に印加されている電圧を0(V)に戻す。すると、アクチュエータ壁603,603が図23に示す変形前の状態に戻り、インクに圧力が加えられる。そのとき、上記正に転じた圧力と、アクチュエータ壁603,603が戻ることにより発生した圧力とが加え合わされ、比較的高い圧力がインク室613のノズル618付近の部分に生じて、ノズル618からインクが噴射される。その噴射されたインクが印字用紙などの被記録媒体の表面に付着し、被記録媒体に画像が形成される。
【0010】
本願出願人が先に提案した特開平9−29960号公報、特開平9−29961号公報および特開平9−48112号公報に記載のものは、上述のごとくインク室613内のインクに圧力波振動を発生させてノズル618からインクを噴射する噴射動作を終了した後、インク室613内のインクの残留圧力波振動をほぼ相殺する相殺動作を実行する。具体的には、主となる噴射のための駆動波形の後に、それに付随してパルスを1つ付加する。この相殺動作は、電極619に印加される電圧を所定のタイミングで一旦電圧E(V)にし、続いて0(V)に戻してインク室613の容積を増減させることによってなされる。この相殺動作によってインク室613内の残留圧力波振動が早期に収束し、残留圧力波振動によりノズル618からインクが非所望に噴射されるアクシデンタルドロップが発生するのを防止するとともに、次の印字命令に対する処理に早期に移行することができる。したがって、被記録媒体に一層正確な画像を形成するとともに、印字速度を良好に向上させることができる。
【0011】
また、本出願人が提案した特開平10−202858号公報に記載のものは、所定の周期タイミングでノズル618からインクを噴射する噴射動作を行わせた後、前記所定の周期タイミングに対応する次の周期タイミングにおいて印字命令がない場合には、前記相殺動作を実行し、次の周期タイミングにおいて印字命令がある場合には、相殺動作を実行しない。つまり、所定の周期タイミングに対応する次の周期タイミングにおいて印字命令がない場合には、アクシデンタルドロップが発生するおそれがあるため相殺動作を実行し、インクの飛散による汚れのない良好な画像が形成されるようにする。また、次の周期タイミングにおいて印字命令がある場合には、インク室613内の残留圧力波振動を積極的に利用し、その残留圧力波振動と、次の周期タイミングの印字命令によって発生させた圧力波振動とを加え合わせて大きな圧力波振動を発生させ、ノズル618から大きなインク滴を噴射させることにより、印字濃度を増大させて濃厚で鮮明な画像が形成されるようにする。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような相殺動作の実行・非実行は、所定の周期タイミングに対応する次(後)の周期タイミングで印字命令がない場合とある場合とで選択的に切り替えるだけでなく、所定の周期タイミングに対応する前の周期タイミングで印字命令がない場合とある場合とで選択的に切り替えた方が、インクのメニスカス振動を効果的に抑制することが可能となり、液滴噴射速度や噴射が安定し、所望の体積のインク液滴を得ることが可能となり、より一層の印字品質の向上を図ることができると考えられる。
【0013】
また、装置の温度条件や使用条件に応じてインクの粘性その他の特性が変動することから、この変動に応じても、上記選択的な切り替えを任意かつ容易に行えることが望まれる。さらには、前後の印字データ履歴から、相殺動作を行うためのストップパルスの生成を、簡単な構成で確実に行え、また、相殺動作を行う場合の印字波形の制約が緩くなることが望まれていた。
【0014】
本発明は、上記要求を満足するために成されたものであって、その目的は、所定の周期タイミングに対応する前後または前若しくは後の周期タイミングにおいて印字命令がない場合とある場合とで、印字波形を切り替えることが可能で、しかも、その切り替えを使用条件等に応じて容易かつ任意に変更可能で、印字品質の向上を図ることができるインク液噴射装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、インクが充填されるインク室およびそのインク室からインクを噴射させるためのアクチュエータを有する印字ヘッドと、
前記インク室内のインクを噴射させるための噴射パルスデータ信号、及び噴射動作によって生じたインク室内の圧力波変動をほぼ相殺するためのストップパルスデータ信号とを生成する制御回路と、
前記噴射パルスデータ信号及びストップパルスデータ信号にもとづいて前記アクチュエータを駆動する駆動回路と
を備えたインク滴噴射装置において、
前記制御回路は、
1つの前記アクチュエータに対応して前後して供給される印字データをそれぞれ格納する複数の格納手段と、
これら複数の格納手段の各々から出力される前記印字データとその任意の組み合わせ指示信号とを入力して前記前後して供給される印字データと組み合わせ指示信号との論理演算を行い、その論理演算にもとづいて前記噴射パルスデータ信号に付加する前記ストップパルスデータ信号を生成する転送データ生成手段とを備えている。
【0016】
本発明によれば、1つの前記アクチュエータに対応して前後して供給される印字データとその任意の組み合わせ指示信号との論理演算を行い、その論理演算にもとづいて噴射パルスデータ信号に付加する前記ストップパルスデータ信号が生成される。これにより、例えば、連続印字の途中で印字データがなくなるような場合には噴射が不安定になり易いが、噴射を安定にすることが可能となる。
【0017】
また、複数の格納手段の各々から出力される印字データと、その任意の組み合わせ指示信号をもとに、所定の論理演算を行い、ストップパルスデータ信号を生成するので、比較的簡単な構成にて容易かつ任意に印字波形の切り替えを行うことができる。なお、上記相殺とは、圧力波振動を完全に解消するものでなくともよく、例えば、ノズルからインクが噴射されない程度に圧力波振動を抑制するものであればよい。
【0018】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のインク滴噴射装置において、さらに、各印字周期に対応してパルスクロックを生成する手段を備え、前記駆動回路は、前記転送データ生成手段が生成した前記ストップパルスデータ信号により前記パルスクロックを前記アクチュエータに選択的に出力しそのアクチュエータを駆動するものである。
【0019】
この構成によれば、各印字周期において、パルスクロックを、転送データ生成手段が生成したストップパルスデータ信号により選択的にアクチュエータに出力しそのアクチュエータを駆動することができる。
【0020】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のインク滴噴射装置において、前記転送データ生成手段は、さらに前記論理演算にもとづいて前記噴射パルスデータ信号を生成する。
【0021】
この構成によれば、前記論理演算にもとづいて前記ストップパルスデータ信号とともに噴射パルスデータ信号を生成する。
【0022】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載のインク滴噴射装置において、さらに、各印字周期に対応して複数のパルスクロックを生成する手段を備え、前記制御回路が生成した前記噴射パルスデータ信号及び前記ストップパルスデータ信号により前記複数のパルスクロックを前記アクチュエータに選択的に出力しそのアクチュエータを駆動する。
【0023】
この構成によれば、噴射パルスデータ信号及びストップパルスデータ信号により、各印字周期に対応した複数のパルスクロックをアクチュエータに選択的に出力し、そのアクチュエータを駆動することができる。
【0024】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のインク滴噴射装置において、前記駆動回路は、前記制御回路が出力した前記噴射パルスデータ信号とストップパルスデータ信号とをそれぞれシリアル入力し前記インク室に対応したパラレル変換する。
【0025】
この構成によれば、制御回路が出力した噴射パルスデータ信号とストップパルスデータ信号とを駆動回路にシリアル入力し、インク室に対応したパラレル変換して、パルスクロックをアクチュエータに選択的に出力し、そのアクチュエータを駆動することができる。
【0026】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のインク滴噴射装置において、前記駆動回路は、前記噴射パルスデータ信号とストップパルスデータ信号とを選択的に出力する切替回路、および、その切替回路から出力された前記噴射パルスデータ信号とストップパルスデータ信号とで前記各印字周期に対応した複数のパルスクロックを、選択的に前記アクチュエータに出力するゲート回路からなる。
【0027】
この構成によれば、噴射パルスデータとストップパルスデータとをそれぞれインク室に対応したパラレル変換し、切替回路により噴射パルスデータとストップパルスデータとを選択的に出力する。そしてゲート回路により、切替回路から出力された噴射パルスデータとストップパルスデータとで各印字周期に対応した複数のパルスクロックを、選択的にアクチュエータに出力することができる。
【0028】
また、請求項7に記載の発明は、インクが充填されるインク室およびそのインク室からインクを噴射させるためのアクチュエータを有する印字ヘッドと、
各印字周期に対応して、前記アクチュエータをそれぞれ駆動する、前記インク室内のインクを噴射させるための噴射パルスクロック、及び噴射動作によって生じたインク室内の圧力波変動をほぼ相殺するためのストップパルスクロックとを出力する手段と、
1つの前記アクチュエータに対応して前後して供給される印字データをそれぞれ格納する複数の格納手段と、
これら複数の格納手段の各々から出力される印字データとその任意の組み合わせ指示信号とを入力して前記前後して供給される印字データと組み合わせ指示信号との論理演算を行う転送データ生成手段と、
その論理演算にもとづいて前記ストップパルスクロックを選択的に前記アクチュエータに対し前記噴射パルスクロックに付加して出力するゲート回路とを備えている。
【0029】
本発明によれば、1つの前記アクチュエータに対応して前後して供給される印字データとその任意の組み合わせ指示信号との論理演算を行い、その論理演算にもとづいてストップパルスクロックを選択的に噴射パルスクロックに付加してアクチュエータに対し出力する。これにより、例えば、連続印字の途中で印字データがなくなるような場合には噴射が不安定になり易いが、噴射を安定にすることが可能となる。また、複数の格納手段の各々から出力される印字データと、その任意の組み合わせ指示信号をもとに、所定の論理演算を行い、データ信号を生成するので、比較的簡単な構成にて容易かつ任意に印字波形の切り替えを行うことができる。
【0030】
また、請求項8に記載の発明は、請求項7に記載のインク滴噴射装置において、前記複数の格納手段は、前記印字データをそれぞれ格納し、パラレル変換するものであり、前記転送データ生成手段は、これら複数の格納手段の各々から出力される前記印字データと前記指示信号とを入力してそれらの論理演算を行い、その論理演算にもとづいて前記印字データにもとづく噴射パルスデータと、その噴射パルスデータに対して付加されるストップパルスデータとを生成し、前記ゲート回路は、その噴射パルスデータとストップパルスデータとで前記各印字周期に対応した前記噴射パルスクロック及びストップパルスクロックを、選択的に前記アクチュエータに出力する。
【0031】
この構成においては、複数の格納手段の各々から出力されるパラレルの印字データとその任意の組み合わせ指示信号との論理演算を行い、その論理演算にもとづいて印字データにもとづく噴射パルスデータと、その噴射データに対して付加されるストップパルスデータとを生成し、その噴射パルスデータとストップパルスデータとで各印字周期に対応した噴射パルスクロック及びストップパルスクロックを、選択的にアクチュエータに出力することができる。
【0032】
また、請求項9に記載の発明は、請求項1から8のいずれかに記載のインク滴噴射装置において、前記転送データ生成手段は、前記前後して供給される印字データのすべての組み合わせに対応する複数の論理ゲート回路を含み、前記印字データのすべての組み合せと前記指示信号との論理演算を行う。
【0033】
この構成においては、論理ゲートの入力端に、印字データの組み合わせ指示信号を与えることで、印字データの任意の組み合わせについて印字波形をを適切に切り替えることができ、上記の作用効果が得られる。
【0034】
また、請求項10に記載の発明は、請求項1から9のいずれかに記載のインク滴噴射装置において、前記指示信号は、外部から書き替え可能である。
【0035】
この構成においては、指示信号を外部から任意に変更できるので、適宜に噴射を安定にすることができる。
【0036】
また、請求項11に記載の発明は、請求項1から10のいずれかに記載のインク滴噴射装置において、前記格納手段は、所定の印字データ、その直前の印字データおよび直後の印字データを格納する3つの格納手段からなる。
【0037】
この構成によれば、1つの印字データの直前、直後の印字データを前記論理演算に用いることが可能となり、より適切に噴射を安定にすることができる。
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態のインク噴射装置を図面とともに説明する。各実施の形態のインク噴射装置における印字ヘッド600の機構的構成については、上述の図23〜図25に示したものと同様であるので説明を省略する。
【0053】
図1は、本発明のインク噴射装置を備えた各実施の形態に共通のインクジェットプリンタの概略構成を示す斜視図である。ガイドロッド501およびガイド部材502はプリンタフレーム側板503間に橋渡されている。キャリッジ504は、ガイドロッド501およびガイド部材502に各々スライド可能に支持され、ベルト505に固着されて、キャリッジモータ(CRモータ)506により駆動されて往復移動される。ベルト505は、ガイドロッド501およびガイド部材502の両端部近傍に配置されている2個のプーリ507に巻回されている。一方のプーリ507はCRモータ506の駆動軸に接続されている。
【0054】
キャリッジ504には、印字ヘッド600と、後述する1チップのICから構成される駆動回路21とを備えた印字ヘッドユニット508が取り付けられている。駆動回路21はフレキシブルなハーネスケーブルを介してプリンタ装置本体の制御回路22(図2)に接続されている。印字ヘッドユニット508の後部には、印字ヘッド600の各ノズル618へインクを供給するインク供給源としてのインクカートリッジ509が着脱可能に搭載されている。印字ヘッド600と対向する位置には、印字用紙Pを搬送する搬送機構LFが配設されている。搬送機構LFは、搬送モータ(LFモータ)510の駆動により回転するプラテンローラ511の回転によって印字用紙Pをキャリッジ504の走行方向とは直角に搬送する。プラテンローラ511のローラ軸512はプリンタフレーム側板503に回動可能に支承されている。
【0055】
搬送機構LFの側方には、印字ヘッド600のインク噴射動作の維持・回復を行う維持・回復機構RMが設けられている。維持・回復機構RMは、吸引機構513およびキャップ514から構成されている。吸引機構513は、印字ヘッド600の使用中に、インクが乾燥したり、その内部に気泡が発生したり、ノズル618のノズルプレート617の外面にインク液滴が付着したりするなどの原因で発生する噴射不良を解消するために、キャップ514をノズルプレート617に密着させノズル618からインクを吸引する。キャップ514は、インクジェットプリンタの不使用時にノズルプレート617の外面を覆ってインクの乾燥を防止する機能を兼ねる。
【0056】
図2は、第1の実施の形態のインク噴射装置を備えたインクジェットプリンタの電気的構成を示すブロック図である。
【0057】
インクジェットプリンタの制御系は、1チップ構成のマイクロコンピュータ11,ROM12,RAM13を備えている。マイクロコンピュータ11には、ユーザが印字の指示などを行うための操作パネル14,CRモータ506を駆動するためのモータ駆動回路15,LFモータ510を駆動するためのモータ駆動回路16,被記録媒体としての印字用紙Pの先端を検出するペーパーセンサ17,キャリッジ504の原点位置を検出する原点センサ18,キャリッジ504の走行位置を検出する位置センサ19などが接続されている。
【0058】
印字ヘッド600は駆動回路21によって駆動され、駆動回路21は制御回路22によって制御される。すなわち、図24に示したように、印字ヘッド600の各インク室613内に設けられた各電極619は駆動回路21に接続されている。駆動回路21は、制御回路22の制御にもとづいて、印字ヘッド600に適した駆動信号を生成して各電極619に印加する。
【0059】
マイクロコンピュータ11とROM12,RAM13,制御回路22とは、アドレスバス23およびデータバス24を介して接続されている。マイクロコンピュータ11は、ROM12に予め記憶されたプログラムに従い、印字タイミング信号TSおよび制御信号RSを生成し、各信号TS,RSを制御回路22へ転送する。上記制御回路22と駆動回路21は、請求項でいう制御装置を構成する。
【0060】
制御回路22はゲートアレイによって構成され、印字タイミング信号TSおよび制御信号RSに従い、イメージメモリ25に記憶されている印字データにもとづいて、その印字データを被記録媒体に形成するための印字データである転送データDATA,その転送データDATAと同期する転送クロックTCK,ストローブ信号STB,印字クロックICKを生成し、それら各信号DATA,TCK,STB,ICKを駆動回路21へ転送する。また、制御回路22は、パーソナルコンピュータ26などの外部機器からセントロニクス・インターフェース27を介して転送されてくる印字データを、イメージメモリ25に記憶させる。そして、制御回路22は、パーソナルコンピュータ26などからセントロニクス・インターフェース27を介して転送されてくるセントロニクス・データにもとづいてセントロニクス・データ受信割込信号WSを生成し、その信号WSをマイクロコンピュータ11へ転送する。なお、各信号DATA,TCK,STB,ICKは、プリンタ装置本体の制御回路22とキャリッジ504上の駆動回路21とを接続するハーネスケーブル28を介して転送される。
【0061】
図3は、駆動回路21の内部構成を示すブロック図である。ここでは、印字ヘッド600のインク室613が64室設けられている64チャンネル・マルチノズルヘッドを駆動する場合の駆動回路21を例示する。駆動回路21は、シリアル−パラレル変換器31,データラッチ32,ANDゲート33,出力回路34を備えている。シリアル−パラレル変換器31は、64ビット長のシフトレジスタから構成され、制御回路22から転送クロックTCKと同期してシリアル転送されてくる転送データDATAを入力し、転送クロックTCKの立ち上がりにしたがって、転送データDATAを各パラレルデータPD0〜PD63に変換することにより、転送データDATAのシリアル−パラレル変換を行う。
【0062】
データラッチ32は、制御回路22から転送されてくるストローブ信号STBの立ち上がりにしたがって、各パラレルデータPD0〜PD63をそれぞれラッチする。64個のANDゲート33は、それぞれ、データラッチ32から出力される各パラレルデータPD0〜PD63と、制御回路22から転送されてくる印字クロックICKとの論理積をとり、各パラレルデータPD0〜PD63毎の論理積の結果である各駆動データA0〜A63を生成する。64個の出力回路34は、それぞれ各駆動データA0〜A63にもとづいて、印字ヘッドに適した駆動信号を生成し、その各駆動信号を印字ヘッド600の各インク室613の電極619へ出力する。ちなみに、印字ヘッド600が64チャンネルではない場合には、シリアル−パラレル変換器31のビット長と、ANDゲート33および出力回路34のそれぞれの個数とを、印字ヘッド600のチャネル数と同じにすればよい。
【0063】
図4は、制御回路22(ゲートアレイ)内部の要部構成を示すブロック図である。ここでは、駆動回路21の場合と同様に、印字ヘッド600が64チャンネル・マルチノズルヘッドの場合のものを例示する。制御回路22は、データ設定回路41と、3つのデータ格納手段を構成する、シリアル−パラレル変換部(変換手段)42、第1シフトレジスタ43、および第2シフトレジスタ44と、転送データ生成部45(付加パルスデータ生成手段)と、コントローラ回路47を備えている。データ設定回路41は、イメージメモリ25に記憶されている印字データをパラレルに読み出し、設定命令MSにしたがって、その印字データを64ビット長のシリアル−パラレル変換回路42に出力する。
【0064】
このシリアル−パラレル変換回路42は、シリアル−パラレル変換コントロール信号SPCにしたがって、データ設定回路41の各チャネルの印字データCh0〜Ch63をパラレル入力して保持し、シフトクロック(図示略)の立ち上がりにしたがって、その先頭の印字データCh0から順次1ビットずつシリアル出力端子OUTからシリアル出力する。これにより、印字データのパラレル−シリアル変換を行い、同時に、そのシリアル出力端子OUTから順次出力される印字データを転送データ生成部45に出力(A)するとともに、64ビット長の第1シフトレジスタ43のシリアル入力端子IN1に入力する。
【0065】
第1シフトレジスタ43は、第1シフトレジスタコントロール信号SRC1にしたがって、シリアル−パラレル変換回路42からシリアル出力された各印字データCh0〜Ch63をシリアル入力して保持するとともに、シフトクロックの立ち上がりにしたがって、その各印字データを先頭のデータCh0から順次1ビットずつシリアル出力端子OUTからシリアル出力し、転送データ生成部45に出力(B)し、また、第1シフトレジスタコントロール信号SRC1の切り替りによりそのデータを再度、シリアル入力端子IN2に入力する。
【0066】
第2シフトレジスタ44は、第2シフトレジスタコントロール信号SRC2にしたがって、第1シフトレジスタ43からシリアル出力された各印字データCh0〜Ch63をシリアル入力して保持するとともに、シフトクロックの立ち上がりにしたがって、その各印字データを先頭のデータCh0から順次1ビットずつシリアル出力端子OUTから転送データ生成部45にシリアル出力(C)する。
【0067】
転送データ生成部45は、付加パルスデータ生成手段として機能するものであり、上記シリアル−パラレル変換回路42、第1シフトレジスタ43、および第2シフトレジスタ44からそれぞれシリアル出力された各印字データCh0〜Ch63を入力し、転送データ制御信号PAT[7−0]にしたがって、上記3つの印字データの論理積を取る。すなわち、シリアル−パラレル変換回路42の出力(A)は当該1つのドットの直後の噴射データとなり、第1のシフトレジスタ43の出力(B)はそのドットの噴射データとなり、第2のシフトレジスタ44の出力(C)はそのドットの直前の噴射データとなり、これら3つの噴射データをもとに所定の論理演算を行う。転送データ制御信号PAT[7−0]は、温度条件や使用条件に応じて適宜に決定されればよい。転送データ生成部45からは、転送データDATA(D)が駆動回路21に出力される。
【0068】
この転送データDATA(D)には、図6に示すように印字ヘッド600のノズル618からインクを噴射させる噴射動作のための噴射パルスデータFDと、インク室613内の残留圧力波振動を相殺する相殺動作のためのストップパルスデータSDが含まれる。また、コントローラ回路47は、マイクロコンピュータ11から転送されてくる印字タイミング信号TSおよび制御信号RSにしたがって、各回路41〜44,45を制御するための各信号MS,SPC,SPC1,SPC2を生成するとともに、転送データ制御信号PAT[7−0]、転送データDATAに同期するストローブ信号STB、転送クロックTCKおよび印字クロックICKを生成する。
【0069】
なお、印字ヘッド600が64チャンネル(インク室数)ではない場合には、各シリアル−パラレル変換回路42、シフトレジスタ43,44のビット長を印字ヘッド600のチャネル数と同じにすればよい。また、上記駆動回路21において、転送データDATAのシリアル−パラレル変換を行うシリアル−パラレル変換器31から出力される各パラレルデータPD0〜PD63は、それぞれ印字ヘッド600の各インク室613に対応している。したがって、制御回路22において、転送データDATAの各ビットおよび各印字データCh0〜Ch63は、それぞれ印字ヘッド600の各インク室613に対応していることになる。つまり、転送データDATAの各ビットおよび各印字データCh0〜Ch63にしたがって、各インク室613の電極619に印加される駆動信号が生成され、噴射動作および相殺動作におけるノズル618からのインクの噴射が制御される。
【0070】
図5は、転送データ生成部45を成す論理回路の一例を示す。この論理回路は、8個のAND回路と、このAND回路の出力を入力とする1個のOR回路から構成され、各AND回路の入力端には、コントローラ回路47からの転送データ制御信号PAT[7−0]、および、上述した転送データ生成部45へのデータA,B,C(Bは当該1ドットデータ、Aはそのドットの直後のデータ、Cはそのドットの直前のデータ)が入力される。各AND回路には、データA,B,Cのすべての組み合わせを生成するように、反転入力端子を介してあるいは介さずに各データA,B,Cがそれぞれ入力され、また転送データ制御信号PAT[7−0]の1つが入力される。したがって、転送データ制御信号PAT7からPAT0の各内容を適宜選択することにより、印字データA,B,Cのうち、任意のものを出力したり、印字データA,B,Cの任意の組み合わせにもとづいた信号を出力することができる。図5(b)は、印字データA,B,Cのすべての組み合わせとそれを指示する転送データ制御信号PAT[7−0]を示す。例えばPAT7を「1」とすることで、印字データA,B,Cが「1,1,1」の組み合わせのときのみ付加パルス(ストップパルス)信号を生成し、OR回路の出力端から転送データDATA(D)として出力する。噴射ドット有りは「1」、噴射ドット無しは「0」で示している。PAT0〜PAT7において、論理レベル「H」を「1」、論理レベル「L」を「0」で示す。
【0071】
次に、上記のように構成された本実施の形態のインク噴射装置の動作について説明する。図6は、印字クロックICK,ストローブ信号STB,転送データDATAのタイムチャートである。転送データDATAはストップパルスデータSDと噴射パルスデータFDとから成り、所定の印字周期のタイミング毎に、ストップパルスデータSDと噴射パルスデータFDとが1つずつ転送される。ストローブ信号STBおよび印字クロックICKは、転送データDATAのストップパルスデータSDと噴射パルスデータFDとにそれぞれ対応して、所定の印字周期のタイミング毎に転送される。
【0072】
各印字周期のタイミングにおいて、噴射動作の終了後に相殺動作が可能となっている。すなわち、図6に示すように、ある印字周期Tm−1のタイミングにおいてn−1番目の印字を行い、次の印字周期Tmのタイミングにおいてn番目の印字を行う場合、各印字周期Tm−1,Tmにおいて、印字クロックICKは、噴射パルスデータFDに対応する噴射パルスクロックICKfが転送された後に、ストップパルスデータSDに対応するストップパルスクロックICKsが転送される。
【0073】
また、印字周期Tm−1において、転送データDATAは、n−1番目の印字のためのストップパルスデータSDn−1が転送された後に、n番目の印字のための噴射パルスデータFDnが転送される。そして、印字周期Tmにおいて、転送データDATAは、n番目の印字のためのストップパルスデータSDnが転送された後に、n+1番目の印字のための噴射パルスデータFDn+1が転送される。また、印字周期Tm−1において、ストローブ信号STBは、n−1番目の印字のための噴射パルスデータFDn−1(図示略)に対応するストローブ信号STBfn−1が転送された後に、n−1番目の印字のためのストップパルスデータSDn−1に対応するストローブ信号STBsn−1が転送される。そして、印字周期Tmにおいて、ストローブ信号STBは、n番目の印字のための噴射パルスデータFDnに対応するストローブ信号STBfnが転送された後に、n番目の印字のためのストップパルスデータSDnに対応するストローブ信号STBsnが転送される。
【0074】
つまり、印字周期Tm−1において、印字クロックICKは、n−1番目の印字のための噴射パルスデータFDn−1(図示略)に対応する噴射パルスクロックICKfn−1が転送された後に、n−1番目の印字のためのストップパルスデータSDn−1に対応するストップパルスクロックICKsn−1が転送される。そして、印字周期Tmにおいて、印字クロックICKは、n番目の印字のための噴射パルスデータFDnに対応する噴射パルスクロックICKfnが転送された後に、n番目の印字のためのストップパルスデータSDnに対応するストップパルスクロックICKsnが転送される。
【0075】
以下、上記図6を参照しながら駆動回路21の動作を説明する。印字クロックICKの論理レベルが「H」のとき、駆動回路21の各ANDゲート33の出力は、データラッチ32の出力状態、すなわち転送データDATAの内容にしたがって決定される。また、印字クロックICKの論理レベルが「L」のとき、駆動回路21の各ANDゲート33の出力は、データラッチ32の出力状態がいかなる場合でも禁止状態となり論理レベル「L」となる。つまり、印字クロックICKは、各ANDゲート33が各駆動データA0〜A63を生成する際のイネーブル信号として働く。
【0076】
そのため、印字クロックICKの論理レベルが「H」のときに、データラッチ32から出力される転送データDATAすなわちパラレルデータPD0〜PD63の論理レベルが「H」の場合、そのパラレルデータが入力されるANDゲート33が生成する駆動データの論理レベルも「H」になり、その駆動データが入力される出力回路34は駆動信号を生成して印字ヘッド600の対応するインク室613の電極619へ出力する。また、データラッチ32から出力される転送データDATAすなわちパラレルデータPD0〜PD63の論理レベルが「L」の場合、印字クロックICKの論理レベルが「H」であっても、そのパラレルデータが入力されるANDゲート33が生成する駆動データの論理レベルは「L」になり、その駆動データが入力される出力回路34は駆動信号を生成しない。
【0077】
したがって、図6に示すように、印字周期Tmにおいて、転送データDATAの存在のもとに、タイミングt1で印字クロックの噴射パルスクロックICKfnが立ち上がると、図23にて説明したように、アクチュエータ壁603に電界が発生し、インク室613の容積が増大してノズル618付近を含むインク室613内の圧力が減少する。その後、インク室613にはインクが流入する一方、容積の増大によって生じた圧力波振動による圧力が増加して正の圧力に転じ、前記した片道伝播時間Tを経過する時点の近傍でピークに達する。
【0078】
なお、噴射パルスクロックICKfnのパルス幅は、片道伝播時間Tと同じに設定されている。そのため、噴射パルスクロックICKfnは片道伝播時間Tを経過後のタイミングt2で立ち下がる。すると、インク室613の容積が減少し、そのことにより発生した圧力と、上記正に転じた圧力とが加え合わされ、比較的高い圧力がインク室613のノズル618付近に生じて、ノズル618からインクが噴射されるインク噴射動作が実行される。その噴射されたインクが印字用紙Pの表面に付着し、印字用紙Pに画像が形成される。
【0079】
その後、インク室613の圧力が正から負に転じる前のタイミングt3で、転送データDATAの存在のもとに、ストップパルスクロックICKsnが立ち上がると、未だ正である上記圧力が急減する。そして、上記圧力が負に転じた後のタイミングt4でストップパルスクロックICKsnが立ち下がると、負に転じた上記圧力が急増する。このため、上記圧力波の振動が相殺され、その振動が急速に収束に向かう相殺動作が実行される。このように圧力波振動が相殺されると、ノズル618からインクが非所望に噴射されることが防止され、次の印字命令に対する処理に早期に移行することもできる。したがって、印字用紙Pに一層正確な画像を形成するとともに、印字周期を短縮し印字速度を良好に向上させることができる。
【0080】
なお、ストップパルスクロックICKsnのパルス幅Wは、片道伝播時間Tの0.5倍に設定されている。ストップパルスクロックICKsnは前述のように圧力波振動を相殺するものであり、しかも、そのパルス幅Wは片道伝播時間Tの奇数倍と大きく異なる短い値に設定されているため、このストップパルスクロックICKsnによりノズル618からインクが噴射されることはない。また、噴射パルスクロックICKfnが立ち下がるタイミングt2から、ストップパルスクロックICKsnの立ち上がるタイミングt3と立ち下がるタイミングt4との中間のタイミングtMまでの時間dは、片道伝播時間Tの2.5倍に設定されている。インク噴射動作および相殺動作において、出力回路34が生成する駆動信号の電圧は同じである。
【0081】
図7は、図6に示す印字周期Tm−1のタイミングにおいて、転送データDATAとしてストップパルスデータSDn−1が転送されている区間のタイムチャートである。また、図8は、図6に示す印字周期Tm−1のタイミングにおいて、転送データDATAとして噴射パルスデータFDnが転送されている区間のタイムチャートである。
【0082】
以下、図7を参照して制御回路22のストップパルスデータ転送区間の動作を説明する。同転送区間において、シリアル−パラレル変換回路42は、データ設定回路41からn+1番目の印字のための印字データCh0n+1〜Ch63n+1をパラレル入力し、シフトクロックの立ち上がりにしたがって、その先頭の印字データCh0n+1から順次1ビットずつシリアル出力端子OUTからシリアル出力する。第1シフトレジスタ43には、n番目の印字のための各印字データCh0n〜Ch63nが格納されている。この第1シフトレジスタ43は、シフトクロックの立上がりにしたがって、その先頭印字データCh0nから順次1ビットずつシリアル出力端子OUTからシリアル出力する。第2シフトレジスタ44には、n−1番目の印字のための各印字データCh0n−1〜Ch63n−1が格納されている。この第2シフトレジスタ44は、シフトクロックの立ち上がりにしたがって、その先頭の印字データCh0n−1から順次1ビットずつシリアル出力端子OUTからシリアル出力する。ここで、第1シフトレジスタ43は、シリアル−パラレル変換回路42からシリアル出力された各印字データCh0n+1〜Ch63n+1をシリアル入力端子IN1に入力する。また、第2シフトレジスタ44は、第1シフトレジスタ43からシリアル出力された各印字データCh0n〜Ch63nをシリアル入力端子INに入力する。
【0083】
転送データ生成部45では、上記3つのシリアル出力と転送データ制御信号が入力され、所定の論理演算が成される。いま、転送データ制御信号PAT[7−0]=[0,0,0,0,1,0,0,0](ここで、各データは図の入力端子に上から順に対応している)として、PAT3のみ「1」とすることで、A=0,B=1,C=1のときのみ、PAT3に対応するANDゲートから「1」が出力される。つまり、前(C)に噴射ドットが有り、後(A)に噴射ドットがないドット(B)に対して、転送データDATA(D)は「1」となり、ストップパルスを付加することができる。
【0084】
次に、図8を参照して制御回路22の噴射パルスデータ転送区間の動作を説明する。同転送区間においては、上記ストップパルスデータの転送を終えた時点で、第1シフトレジスタ43には各印字データCh0n+1〜Ch63n+1が格納された状態になっており、シフトクロックの立ち上がりにしたがって、格納された先頭の印字データCh0n+1から順次1ビットずつシリアル出力端子OUTからシリアル出力する。シリアル出力端子OUTからシリアル出力された印字データChn+1はシリアル入力端子IN2に再度入力される。転送データ制御信号PAT[7−0]=[1,1,0,0,1,1,0,0]とすることで、AとCの状態にかかわらず、図5に示したPAT7,PAT6,PAT3,PAT2に対応するANDゲートのいずれかから、Bに対応するデータが出力される。これにより、転送データDATA(D)として、シリアル出力(B)が噴射パルスデータとして出力される。
【0085】
以上詳述したように、本実施の形態のインク噴射装置の制御回路22において、印字周期Tmにおけるn番目の印字について、対応する次の印字周期におけるn+1番目の印字のための印字データについての印字命令が無く、前の印字周期におけるn−1番目の印字のための印字データについて印字命令が有った場合に、ストップパルスデータが生成され、相殺動作が実行される。n番目の印字について、その前後の印字データの印字命令の上記以外の組み合わせでは、ストップパルスデータは生成されず、相殺動作は実行されない。
【0086】
こうして、本実施の形態によれば、所定の周期タイミングに対応する前と次の周期タイミングにおいて印字命令が無い場合と有る場合とで相殺動作の実行・非実行を確実に切り替えることができ、また、この相殺動作の実行・非実行を選択的に切り替える際に、制御回路22は、駆動回路21による印字ヘッド600の各インク室613の電極619cへの電圧印加動作を正確に制御することができる。なお、相殺動作の実行・非実行の切り替え、すなわち、ストップパルスの付加条件は、上記の組み合わせに限られることなく、任意に変更可能である。特に、本発明では、装置の温度条件や使用条件に応じて、転送データ制御信号PAT[7−0]の内容を適宜に変更し、特開平9−48112号公報に記載のものと同様に、ストップパルス信号を付加したり省略することができる。この論理演算式の変更は、制御回路22の論理回路を変更し、または、所望の転送データ制御信号のパターンをROM12、RAM13に格納することで対応可能である。RAM13に格納した転送データ制御信号は、パーソナルコンピュータ等の外部装置26から書き替えることができる。
【0087】
また、本実施形態によれば、駆動回路21は従来のままで、制御回路22だけを上記のように構成することにより、相殺動作の実行・非実行を選択的に切り替えることが可能なインク噴射装置を得ることができる。前述したように、1チップのICから構成される駆動回路21は、印字ヘッド600とともに印字ヘッドユニット508を構成し、印字ヘッドユニット508はキャリッジ504に取り付けられているが、制御回路22は、ハーネスケーブル28を介して駆動回路21に接続されている。そのため、印字ヘッドユニット508は変更することなく、制御回路22だけを交換すれば、本実施形態を実現することが可能であり、改造に要するコストを低く抑えることができる。
【0088】
次に、本発明の第2の実施の形態のインク噴射装置を図面とともに説明する。
【0089】
図9は、本実施の形態のインク噴射装置を備えたインクジェットプリンタの電気的構成を示すブロック図で、マイクロコンピュータ11,制御回路22および駆動回路21などからなる基本的構成は、前記実施の形態と同様である。本実施の形態と上記第1の実施の形態との主な相違点は、本実施の形態においては、制御回路22は、印字タイミング信号TSおよび制御信号RSに従い、イメージメモリ25に記憶されている印字データにもとづいて、その印字データを被記録媒体に形成するに際して印字ヘッド600のノズル618からインクを噴射させる噴射動作のための噴射パルスデータFD,前記したインク室613内の残留圧力波振動を相殺する相殺動作のためのストップパルスデータSD,各データFD,SDを切り替えるための切替信号KSを生成し、駆動回路21に出力するようにしている。また、マイクロコンピュータ11が、データFD,SDを制御するための、必要に応じて変更自在な転送データ制御信号PAT[7−0]を制御回路22に出力すること、そして、データFD,SDの切り替えを駆動回路21にて行うようにしたことである。
【0090】
すなわち、図10は、駆動回路21の内部構成を示すブロック図で、本実施の形態では、シリアル−パラレル変換器を2個31A,31B備えている。一方のシリアル−パラレル変換器31Aは、64ビット長のシフトレジスタから構成され、制御回路22から転送クロックTCKと同期してシリアル転送されてくる噴射パルスデータFDを入力し、転送クロックTCKの立ち上がりにしたがって、噴射パルスデータFDを各パラレルデータFPD0〜FPD63に変換することにより、噴射パルスデータFDのシリアル−パラレル変換を行う。他方のシリアル−パラレル変換器34は、64ビット長のシフトレジスタから構成され、制御回路22から転送クロックTCKと同期してシリアル転送されてくるストップパルスデータSDを入力し、転送クロックTCKの立ち上がりにしたがって、ストップパルスデータSDを各パラレルデータSPD0〜SPD63に変換することにより、ストップパルスデータSDのシリアル−パラレル変換を行う。
【0091】
64個の切替回路35はそれぞれ、制御回路22から転送されてくる切り替え信号KSにしたがって各ノードA,Bのいずれか一方に切り替えられ、ノードAに切り替えられた場合はシリアル−パラレル変換器33の出力(噴射パルスデータのパラレルデータFPD0〜FPD63)を選択し、ノードBに切り替えられた場合はシリアル−パラレル変換器34の出力(ストップパルスデータのパラレルデータSPD0〜SPD63)を選択し、その選択した出力をデータラッチ32へ出力する。データラッチ32,ANDゲート33および出力回路34の構成は前記実施の形態と同様である。
【0092】
図11は、制御回路22内部の要部構成を示すブロック図で、データ設定回路41,シリアル−パラレル変換回路42,第1シフトレジスタ43,第2シフトレジスタ44,転送データ生成部45およびコントローラ回路47からなる基本的構成は前記実施の形態と同様である。前記実施の形態との相違点は、本実施の形態においては、シリアル−パラレル変換回路42が、そのシリアル出力端子OUTから順次出力する印字データを、駆動回路21のシリアル−パラレル変換器31Aに出力(FD)する。また、第1シフトレジスタ43は、印字データをそのシリアル出力端子OUTから、自己のシリアル入力端子IN2に入力することなく、転送データ生成部45および第2シフトレジスタ44に入力する。
【0093】
転送データ生成部45は、シリアル−パラレル変換回路42,第1シフトレジスタ43および第2シフトレジスタ44からの出力(A,B,C)と、転送データ制御信号PAT[7−0]にもとづいてストップパルスデータ(SD)を生成する。転送データ制御信号PAT[7−0]は、前記実施の形態と同様にコントローラ回路47から入力してもよいが、本実施の形態においてはマイクロコンピュータ11から入力する。転送データ生成部45の内部構成は、図5と同一である。
【0094】
コントローラ回路47は、前記実施の形態と同様にストローブ信号STB、転送クロックTCKおよび印字クロックICKのほか、切り替え信号KSを生成し、駆動回路21に出力する。
【0095】
次に、上記のように構成された第2の実施の形態のインク噴射装置の動作を図12にもとづいて説明する。印字クロックICKおよびストローブ信号STBは、前記実施の形態と同様である。
【0096】
本実施の形態では、印字周期Tm−1において、n番目の印字のための噴射パルスデータFDnと、n−1番目の印字のためのストップパルスデータSDn−1とは同時に転送される。そして、印字周期Tmにおいて、n+1番目の印字のための噴射パルスデータFDn+1と、n番目の印字のためのストップパルスデータSDnとは同時に転送される。
【0097】
つまり、印字周期Tm−1において、印字クロックICKは、n−1番目の印字のための噴射パルスデータFDn−1(図示略)に対応する噴射パルスクロックICKfn−1が転送された後に、n−1番目の印字のためのストップパルスデータSDn−1に対応するストップパルスクロックICKsn−1が転送される。そして、印字周期Tmにおいて、印字クロックICKは、n番目の印字のための噴射パルスデータFDnに対応する噴射パルスクロックICKfnが転送された後に、n番目の印字のためのストップパルスデータSDnに対応するストップパルスクロックICKsnが転送される。
【0098】
また、切り替え信号KSは、ストローブ信号STBに対応して転送される。各印字周期Tm−1,Tmにおいて、切り替え信号KSは、各ストップパルスデータSDn−1,SDnに対応する各ストローブ信号STBsn−1,STBsnが転送されているときには駆動回路21の各切替回路35をノードB側に切り替え、それ以外のときには各切替回路35をノードA側に切り替える。そのため、データラッチ32は、切り替え信号KSにしたがって各切替回路35がノードA側に切り替えられているときには、シリアル−パラレル変換器31Aの出力(噴射パルスデータFDをパラレル変換した各パラレルデータFPD0〜FPD63)をラッチし、各切替回路35がノードB側に切り替えられているときには、シリアル−パラレル変換器31Bの出力(ストップパルスデータSDをパラレル変換した各パラレルデータSPD0〜SPD63)をラッチする。したがって、データラッチ32にn−1番目の印字のための噴射パルスデータFDn−1(図示略)がラッチされているとき、シリアル−パラレル変換器34には、そのn−1番目の印字のためのストップパルスデータSDn−1が格納され、シリアル−パラレル変換器33には、n番目の印字のための噴射噴射パルスデータFDnが格納される。n−1番目の噴射パルスデータFDn−1が出力された後、それに対応するストップパルスデータSDn−1が出力され、続いてn番目の噴射パルスデータFDnの出力が行われることになる。
【0099】
そして、データラッチ32にラッチされたデータは、印字クロックICKに同期して印字ヘッド600に出力され、前記実施の形態と同様に噴射動作および相殺動作が行われる。
【0100】
制御回路22のタイムチャートを図示すると、図7と同様になる。この場合、図12に示す印字周期Tmのタイミングにおいて、転送データとして噴射パルスデータFDn+1とストップパルスデータSDnが転送されている区間のタイムチャートとなる。
【0101】
図13,図14は、第3の実施の形態を示す。本実施の形態は第2の実施の形態を少し変形したもので、2個のデータラッチ32A,32Bが2個のシリアル−パラレル変換器31A,31Bに対応して設けられ、切替回路35は、2個のデータラッチ32A,32BのいずれかのデータをANDゲート33に選択的に出力するようになっている。
【0102】
図14は、第3の実施の形態における印字クロックICK,ストローブ信号STB,噴射パルスデータFD,ストップパルスデータSD,切り替え信号KSのタイムチャートである。印字周期Tm−1において、n番目の印字のための噴射パルスデータFDnと、n番目の印字のためのストップパルスデータSDnとは同時に転送される。そして、印字周期Tmにおいて、n+1番目の印字のための噴射パルスデータFDn+1と、n+1番目の印字のためのストップパルスデータSDn+1とは同時に転送される。この実施の形態では、図11に破線で示すように噴射パルスデータFDnは、制御回路22の第1シフトレジスタ43の出力(B)とする。
【0103】
また、印字周期Tm−1において、ストローブ信号STBは、n−1番目の印字のための噴射パルスデータFDn−1(図示略)およびストップパルスデータSDn−1(図示略)に対応するストローブ信号STBn−1が転送される。そして、印字周期Tmにおいて、ストローブ信号STBは、n番目の印字のための噴射パルスデータFDnおよびストップパルスデータSDnに対応するストローブ信号STBnが転送される。また、切り替え信号KSは、印字クロックICKに対応して転送される。
【0104】
各印字周期Tm−1,Tmにおいて、駆動回路21の各切替回路35は、各ストップパルスデータSDn−1,SDnに対応する各ストップパルスクロックICKsn−1,ICKsnが転送されているときには切り替え信号KSにしたがってノードB側に切り替えられ、それ以外のときには切り替え信号KSにしたがってノードA側に切り替えられる。各切替回路35がノードA側に切り替えられているとき、駆動回路21の各ANDゲート33には、データラッチ32Aにラッチされたシリアル−パラレル変換器31Aの出力(噴射パルスデータFDをパラレル変換した各パラレルデータFPD0〜FPD63)が入力される。また、各切替回路35がノードB側に切り替えられているとき、各ANDゲート33には、データラッチ32Bにラッチされたシリアル−パラレル変換器31Bの出力(ストップパルスデータSDをパラレル変換した各パラレルデータSPD0〜SPD63)が入力される。
【0105】
したがって、データラッチ32A,32Bにラッチされたデータは、印字クロックICKに同期して印字ヘッド600に出力され、前記実施の形態と同様に噴射動作および相殺動作が行われる。噴射パルスデータFDnとストップパルスデータSDnが転送されている区間のタイムチャートについても前述と同等であるので説明を省略する。
【0106】
以上のように、本実施形態の制御回路22において、n番目の印字のための噴射パルスデータFDnと、n番目の印字のためのストップパルスデータSDnとは同時に生成される。各データFDn,SDnは駆動回路21に同時に転送され、各シリアル−パラレル変換器31A,31Bにおいて、各データFDn,SDnをシリアル−パラレル変換した各パラレルデータFPD0〜FPD63,SPD0〜SPD63が同時に生成される。各パラレルデータFPD0〜FPD63,SPD0〜SPD63はそれぞれ各データラッチ32A,32Bへ出力され、ストローブ信号STBにしたがって同時にラッチされる。そして、印字クロックICKに対応した切り替え信号KSにしたがって切り替えられた各切替回路35により、各データラッチ32A,32Bに一旦ラッチされた各パラレルデータFPD0〜FPD63,SPD0〜SPD63のいずれか一方が各ANDゲート33へ出力され、印字クロックICKにしたがって各駆動データA0〜A63が生成される。
【0107】
そのため、図14に示すように、ストップパルスデータSDn−1に対応するストップパルスクロックICKsn−1が立ち下がるタイミングt5と、噴射パルスデータFDnに対応する噴射パルスクロックICKfnが立ち上がるタイミングt1との時間間隔を短くすることができる。また、噴射パルスデータFDnに対応する噴射パルスクロックICKfnが立ち下がるタイミングt2と、ストップパルスデータSDnに対応するストップパルスクロックICKsnが立ち上がるタイミングt3との時間間隔を短くすることができる。したがって、本実施の態によれば、第2の実施の形態よりもさらに各印字周期Tm−1,Tmのタイミングを短くすることが可能になり、印字速度をより良好に向上させることができる。
【0108】
図15は、第4の実施の形態のインク噴射装置を備えたインクジェットプリンタの電気的構成を示すブロック図で、マイクロコンピュータ11,制御回路22および駆動回路21などからなる基本的構成は、前記第1の実施の形態と同様である。本実施の形態と第1の実施の形態との主な相違点は、本実施の形態においては、相殺動作のための付加パルスを、制御回路22で生成して駆動回路21に転送するのではなく、駆動回路21で生成するようにしたことと、相殺動作を行うための条件を決める転送データ制御信号に代えて、印字データの組み合わせを切り替えるための切り替え信号を、制御回路22から駆動回路21に対して出力するようにしたことである。
【0109】
すなわち、図15において、図2と相違するのは、制御回路22から駆動回路21に対して、相殺動作を付加する条件として、印字データの組み合わせを切り替えるための切り替え信号KS(組み合わせ指示信号)が出力されるようになっている。また、相殺動作のための付加パルス生成は、以下に具体的に説明するように、駆動回路21にて行われるようになっている。そのほかは、前述と同等であり、それらの説明を省略する。
【0110】
図16は、駆動回路21の内部構成を示すブロック図である。駆動回路21は、ANDゲート33、出力回路34、データラッチ32、3個のシリアル−パラレル変換器31A,31B,31C、64個のパルスデータ生成回路36を備えている。
【0111】
第1シリアル−パラレル変換器31Aは、64ビット長のシフトレジスタから構成され、制御回路22から転送クロックTCKと同期してシリアル転送されてくる転送データDATAを入力し、転送クロックTCKの立ち上がりにしたがって、転送データDATAを各パラレルデータに変換することにより、転送データDATAのシリアル−パラレル変換を行う。また、第2シリアル−パラレル変換器31Bは、64ビット長のシフトレジスタから構成され、転送クロックTCKの立ち上がりにしたがって、第1シリアル−パラレル変換器31Aから入力した転送データDATAを先頭のデータから順次1ビットずつシリアル出力する。第3シリアル−パラレル変換器31Cは、64ビット長のシフトレジスタから構成され、転送クロックTCKの立ち上がりにしたがって、第2シリアル−パラレル変換器31Bからシリアル出力された転送データDATAをシリアル入力し、転送データDATAを各パラレルデータに変換することにより、転送データDATAのシリアル−パラレル変換を行う。
【0112】
64個のパルスデータ生成回路36は、論理回路から成り、付加パルスデータ生成手段として機能するものであり、それぞれ、制御回路22から転送されてくる切り替え信号KSにしたがって、各シリアル−パラレル変換器31A〜31Cの出力(各パラレルデータ)から、論理演算を行うことで、噴射動作のための噴射パルスデータと、相殺動作のためのストップパルスデータとを生成する。切り替え信号は、ストップパルスを生成する条件、つまり、印字パルスの前後のデータの組み合わせを指示するための信号であり、温度条件や使用条件に応じて適宜に決定されればよい。
【0113】
データラッチ32は、制御回路22から転送されてくるストローブ信号STBの立ち上がりにしたがって、各ストップパルスデータまたは各噴射パルスデータをそれぞれラッチし、そのラッチした各データを各ANDゲート33へ出力する。64個のANDゲート33はそれぞれ、各ストップパルスデータまたは各噴射パルスデータと、制御回路22から転送されてくる印字クロックICKとの論理積をとり、各ストップパルスデータ毎または各噴射パルスデータ毎の論理積の結果である各駆動データを生成する。
【0114】
64個の出力回路34はそれぞれ、各駆動データにもとづいて、印字ヘッドに適した駆動信号を生成し、その各駆動信号を印字ヘッド600の各インク室613の電極619へ出力する。
【0115】
ところで、各シリアル−パラレル変換器31A〜31Cから出力される各パラレルデータはそれぞれ、印字ヘッド600の各インク室613に対応している。そのため、各パルスデータ生成回路36から出力される各ストップパルスデータまたは各噴射パルスデータもそれぞれ、印字ヘッド600の各インク室613に対応する。
【0116】
各パルスデータ生成回路36の内部構成は、図5と同等である。このパルスデータ生成回路36には、相殺動作を実行する条件を決めるための印字データの組み合わせを指示する信号として、前述の転送データ制御信号に代え、同等の機能を持つ切り替え信号KSが入力される。図5のAND回路は、各シリアル−パラレル変換器31A〜31Cから出力されたパラレルデータのうち同じインク室613に対応するデータをそれぞれ入力するとともに、前記第1の実施の形態と同様に、これらと切り替え信号KS(これはPAT[7−0]で示す)との論理積をとる。OR回路の出力端には、ストップパルスデータと噴射パルスデータとが出力される。つまり、各パルスデータ生成回路36はそれぞれ、切り替え信号KSにしたがって、各ストップパルスデータまたは各噴射パルスデータを出力する。切り替え信号PAT[7−0]は、第1の実施の形態と同様にその各内容を適宜に選択することにより、データA,B,Cのうち、任意のものを出力したり、データA,B,Cの任意の組み合わせにもとづいた信号を出力することができる。
【0117】
次に、上記のように構成された第4の実施の形態のインク噴射装置の動作について説明する。図17は、印字クロックICK,ストローブ信号STB,転送データDATA,切り替え信号PAT[7−0]のタイムチャートである。転送データDATAは、所定の印字周期のタイミング毎に転送される。各生成回路36の生成したストップパルスデータと噴射パルスデータは、ストローブ信号STBおよび印字クロックICKにそれぞれ対応して、所定の印字周期のタイミング毎に転送される。
【0118】
各印字周期のタイミングにおいて、転送データDATAは、転送クロックの立ち上がりにしたがって、各シリアル−パラレル変換器31A〜31C間をシリアルに転送され、各シリアル−パラレル変換器内において1ビットずつシフトされる。つまり、1つの印字周期の転送データの転送後において、第2シリアル−パラレル変換器31Bから出力される各パラレルデータがn番目の印字のための噴射パルスデータであるとすると、第1シリアル−パラレル変換器31Aから出力される各パラレルデータはn+1番目の印字のための噴射パルスデータで、第3シリアル−パラレル変換器31Cから出力される各パラレルデータはn−1番目の印字のための噴射パルスデータとなる。切り替え信号PAT[7−0]は、ストローブ信号に対応して転送される。そして、1つの印字周期において、印字クロックは、1つのドットの印字のための噴射パルスデータに対応する噴射パルスクロックICKfが転送された後に、そのドットの印字のためのストップパルスデータに対応するストップパルスクロックICKsが転送される。また、ストローブ信号は、噴射パルスデータに対するSTBfと、ストップパルスデータに対するSTBsが連続して転送される。
【0119】
パルスデータ生成回路36では、上記3つの出力A,B,Cと切り替え信号PAT[7−0]が入力され、論理演算が成される。切り替え制御信号PAT[7−0]=[1,1,1,1,0,0,0,0]とし、PAT7,6,5,4を「1」とすることで、BとCの状態にかかわらず、PAT7,6,5,4に対応するいずれかから、Aに対応するデータ、つまり第1シリアル−パラレル変換器31Aに格納したデータと同じものが、OR回路から噴射パルスデータとして出力される。噴射パルスに対するストローブ信号STBfが立ち上がり、噴射パルスデータがデータラッチ32にラッチされた後、第1〜3シリアル−パラレル変換器31A〜Cの内容がシフトされ、前回のAの内容がBに、Bの内容がCに、新規転送データがAになった後、切り替え制御信号PAT[7−0]=[0,0,0,0,1,0,0,0]として、PAT3のみ「1」とすることで、A=0,B=1,C=1のときのみ、PAT3に対応するANDゲートから「1」が出力される。つまり、前(C)に噴射ドットが有り、後(A)に噴射ドットがないドット(B)に対して、転送データDATA(D)は「1」となり、ストップパルスを付加することができる。パルスデータ生成回路36で合成されたストップパルスデータは、ストローブ信号STBsの立ち上がりでデータラッチ32にラッチされる。
【0120】
駆動回路21の各ANDゲート33は、前記実施の形態と同様に、データラッチ32および印字クロックICKの状態のしたがって印字ヘッド600に駆動信号を出力する。
【0121】
本実施形態によれば、制御回路22は従来のままで、駆動回路21だけを上記のように構成することにより、相殺動作の実行・非実行を選択的に切り替えることが可能なインク噴射装置を得ることができる。
【0122】
図18は、第5の実施の形態を示すもので、前記第4の実施の形態を少し変形したものである。本実施の形態においては、3個のシリアル−パラレル変換器31A,31B,31Cに対応して3個のデータラッチ32A,32B,32Cが設けられる。各データラッチ32A,32B,32Cはそれぞれ、制御回路22から転送されてくるストローブ信号(STB)の立ち上がりにしたがって、各シリアル−パラレル変換器31A,31B,31Cの各パラレルデータ出力をラッチする。64個のパルスデータ生成回路36はそれぞれ、制御回路22から転送されてくる切り替え信号KSと、各データラッチ32A,32B,32Cの各パラレルデータ出力との論理積をとり、噴射動作のための噴射パルスデータと、相殺動作のためのストップパルスデータとを生成し、ANDゲート33に出力する。パルスデータ生成回路36は、前述した図16に示すものと同じである。
【0123】
以下、駆動回路21の動作を図19を参照して説明する。
【0124】
各シリアル−パラレル変換器31A〜31Cは前記実施の形態と同様の動作を行い、データラッチ32A〜32Cは上記各シリアル−パラレル変換器31A〜31Cから出力された各印字データをストローブ信号の立ち上がりでラッチする。各パルスデータ生成回路36は、切り替え信号をPAT[7−0]=[1,1,0,0,1,1,0,0]とすることで、Bに対応するデータが噴射パルスデータとして出力される。そして、ANDゲート33において印字クロックICKの噴射パルスクロックと論理演算され、印字ヘッド600に出力される。
【0125】
続いて、データラッチ32A〜32Cの内容をそのままに維持して切り替え信号をPAT[7−0]=[0,0,0,0,1,0,0,0]に切り替え、前記実施の形態と同様にPAT3のみ「1」とすることで、A=0,B=1,C=1のときのみ、PAT3に対応するANDゲートから「1」が出力される。そして、ANDゲート33において印字クロックICKのストップパルスクロックと論理演算され、印字ヘッド600に出力される。
【0126】
以上のように、第5の実施の形態のインク噴射装置によれば、シリアル−パラレル変換器31A〜31Cから出力された各パラレルデータをデータラッチ32A〜32Cに一旦ラッチする。そして、印字クロックに対応した切り替え信号により、パルスデータ生成回路36から出力される噴射パルスデータとストップパルスデータとを切り替えてAND回路31へ送る。そのため、印字クロックICKにおけるストップパルスが立ち下がるタイミングと、噴射パルスが立ち上がるタイミングとの時間間隔、および噴射パルスが立ち下がるタイミングとストップパルスが立ち上がるタイミングとの時間間隔をそれぞれ短くすることができ、第4の実施の形態よりも各印字周期のタイミングを短くすることが可能で、印字速度をより良好に向上させることができる。
【0127】
次に、本発明の第6の実施の形態について説明する。第6の実施の形態のインクジェットプリンタの概略の電気的構成は図2と同様であり、また駆動回路21は図3と同様であるので、説明を省略する。
【0128】
図20は、制御回路22(ゲートアレイ)内部の要部構成を示す。制御回路22は、3つのデータ格納手段を成す、第1レジスタ52、第2レジスタ53、および第3レジスタ54と、これらのレジスタからのシリアル出力を受けて、相殺動作のためのストップパルス(SP)データを生成するSPデータ生成部56(付加パルスデータ生成手段)と、データ転送部55と、コントローラ回路57を備えている。各レジスタ52〜54には、イメージメモリ25の印字データ領域25aに記憶されている印字データが印字方向に1バイト単位で順次読み出されて、第2レジスタ53には印字データn(B)、第3レジスタ54には印字データn−1(C)、および、第1レジスタ52には印字データn+1(A)がそれぞれ取り込まれる。ここで、印字データnは所定タイミングでの当該1つのドットのデータであり、印字データn+1は当該1ドットの直後の噴射データとなり、印字データn−1は当該1ドットの直前の噴射データである。各レジスタ52,53,54は、レジスタ制御信号にしたがってその印字データをSPデータ生成部56に出力(A,B,C)する。
【0129】
このSPデータ生成部56は、第1の実施の形態の図5と同一の構成であり、論理回路から成り、第2レジスタ53からの印字データn(B)、第3レジスタ54からの印字データn−1(C)、および、第1レジスタ52からの印字データn+1(A)を取り込み、コントローラ部57からのSPデータ制御信号PAT[7−0]とともに論理演算し、ストップパルス(SP)を生成する。SPデータ生成部56により生成されたSPデータn(D)は、イメージメモリ25のSPデータ領域25bに記憶させる。
【0130】
データ転送部55は、イメージメモリ25の印字データ領域25aに記憶されている印字データと、SPデータ領域25bに記憶されているSPデータを交互に読み出し、転送データDATAをシリアル出力する。この転送データDATAには、印字ヘッド600のノズル618からインクを噴射させる噴射動作のための噴射パルスデータと、インク室613内の残留圧力波振動を相殺する相殺動作のためのストップパルスデータが含まれる。また、コントローラ回路57は、マイクロコンピュータ11から転送されてくる印字タイミング信号TSおよび制御信号RSにしたがって、レジスタ52〜54、SPデータ生成部56、データ転送部55およびイメージメモリ25を制御するためのレジスタ制御信号、SPデータ制御信号、データ転送制御信号およびメモリアドレス信号を生成するとともに、転送データ制御信号、転送データDATAに同期するストローブ信号STB、転送クロックTCKおよび印字クロックICKを生成する。
【0131】
次に、上記のように構成された第6の実施の形態のインク噴射装置の動作について説明する。印字クロックICK,ストローブ信号STB,転送データDATAのタイムチャートは、第1の実施形態の図6と同一であり、説明を省略する。図21にイメージメモリ25の印字データ領域25aのイメージマップ例を、図22にイメージメモリ25のSPデータ領域25bのイメージマップ例をそれぞれ示す。図において黒は噴射ドット有り、白は噴射ドット無しを示す。印字データは1バイト単位で同時に8列分(0〜7)が処理される。縦方向1バイト分の印字ドットデータn(B)に対して、直前のドットデータn−1(C),直後のドットデータn+1(A)とした場合を説明する。
【0132】
いま、SPデータ制御信号PAT[7−0]を、[0,0,0,0,1,0,0,0] とし、PAT3のみ「1」とすることで、A=0,B=1,C=1のときのみ、PAT3に対応するANDゲートから「1」が出力される。つまり、直前(C)に噴射ドットが有り、直後(A)に噴射ドットが無いドット(B)に対して、付加すべきストップパルスデータ(SPデータ)を作成し、SPデータ領域25bに記憶させる。それ以外のときには、ストップパルスデータ無しを同領域に記憶させる。図21の印字データの場合に作成されるSPデータは、図22に示すようになる。データ転送部55は、データ転送制御信号にもとづいてイメージメモリ25から印字データとSPデータを読み出して、転送データDATAとして駆動回路21に出力する。
【0133】
駆動回路21は、第1の実施の形態の図3および図6に示すように、転送クロックTCKにしたがって印字データを印字ヘッドのインク室数分シリアル−パラレル変換器31に入力し、ストローブ信号STBにしたがってデータラッチ32にラッチし、印字クロックICKと論理積をとって、印字ヘッドに出力する。また同様にストップパルス(SP)データを入力し、印字ヘッドに出力する。
【0134】
このように、第6の実施の形態によれば、駆動回路21は従来のままで、制御回路22だけを上記のように構成することにより、相殺動作の実行・非実行を選択的に切り替えることが可能なインク噴射装置を得ることができる。
【0135】
なお、本発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、以下のように種々の変形が可能である。
【0136】
(1)上記各実施の形態では、各印字周期のタイミングにおいて、噴射パルスデータに対応する印字パルスが1つだけ生成されるようにしたが、複数個生成されるようにしてもよい。この場合、噴射パルスデータに対応する印字パルスの数と、ノズル618から噴射されるインクの滴数とは等しくなる。そのため、噴射パルスデータに対応する印字パルスの数を増やすほど、噴射されるインクの滴数も増えることになり、印字濃度が増大して濃厚で鮮明な画像を得ることができる。
【0137】
(2)上記各実施の形態では、噴射パルスデータに対応する印字クロック内の噴射パルスクロックの幅を、片道伝播時間Tと同じに設定したが、片道伝播時間Tのほぼ奇数倍に設定してもよい。
【0138】
(3)上記各実施の形態では、ストップパルスデータに対応する印字クロック内のストップパルスクロックの幅を、片道伝播時間Tの0.5倍に設定したが、印字クロックによりノズル618からインクが噴射されないで、かつ、相殺動作が確実に実行されるパルス幅であればどのような値に設定してもよい。
【0139】
(4)上記各実施の形態では、噴射パルスクロックが立ち下がるタイミングから、ストップパルスクロックの立ち上がるタイミングと立ち下がるタイミングとの中間のタイミングまでの時間を、片道伝播時間Tの2.5倍に設定したが、相殺動作が確実に実行される時間であればどのような値に設定してもよい。
【0140】
(5)上記各実施の形態では、インク噴射動作および相殺動作において、出力回路34が生成する駆動信号の電圧を同じにしているが、相殺動作において出力回路34が生成する駆動信号の電圧を、インク噴射動作におけるそれよりも低い電圧にしたり、負の電圧にしてもよい。また、上記各実施形態では、アクチュエータ壁603の下部壁607および上部壁605の圧電変形により、インク室613の容積を変えてインクを噴射するようにしたが、下部壁607または上部壁605の一方を圧電変形しない材質で形成し、他方の圧電変形に伴って当該一方を変形させることにより、インクを噴射するようにしてもよい。また、上記各実施形態ではインク室613の両側に空気室615を設けているが、空気室615を設けずに、各インク室613が隣接するようにしてもよい。
【0141】
(6)上記各実施形態では印字ヘッド600がキャリッジ504とともに往復移動するプリンタに適用したが、プリンタ本体に印字ヘッド600を固定したいわゆるラインプリンタ等に適用してもよい。
【0142】
(7)上記各実施の形態ではパーソナルコンピュータからデータを受信して印字動作をするプリンタに適用したが、インク滴噴射装置を印字機構として組み込んだワードプロセッサ、ファクシミリなどに適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態のインク噴射装置を備えたインクジェットプリンタの概略構成を示す斜視図。
【図2】 本発明の第1の実施の形態のインク噴射装置を備えたインクジェットプリンタの電気的構成を示すブロック図。
【図3】 図2の駆動回路21の構成を示すブロック図。
【図4】 図2の制御回路22の構成を示すブロック図。
【図5】 図4の転送データ生成部45の回路図。
【図6】 本実施の形態のインク噴射装置の動作を説明するためのタイムチャート。
【図7】 本実施の形態のインク噴射装置の動作を説明するためのタイムチャート。
【図8】 本実施の形態のインク噴射装置の動作を説明するためのタイムチャート。
【図9】 第2の実施の形態のインク噴射装置を備えたインクジェットプリンタの電気的構成を示すブロック図。
【図10】 図9の駆動回路21の構成を示すブロック図。
【図11】 図9の制御回路22の構成を示すブロック図。
【図12】 第2の実施の形態のインク噴射装置の動作を説明するためのタイムチャート。
【図13】 第3の実施の形態のインク噴射装置の駆動回路の構成を示すブロック図。
【図14】 第3の実施の形態のインク噴射装置の動作を説明するためのタイムチャート。
【図15】 第4の実施の形態のインク噴射装置を備えたインクジェットプリンタの電気的構成を示すブロック図。
【図16】 図16の駆動回路21の構成を示すブロック図。
【図17】 第4の実施の形態のインク噴射装置の動作を説明するためのタイムチャート。
【図18】 第5の実施の形態のインク噴射装置の駆動回路の構成を示すブロック図。
【図19】 第5の実施の形態のインク噴射装置の動作を説明するためのタイムチャート。
【図20】 第6の実施の形態の制御回路22の構成を示すブロック図。
【図21】 第6の実施の形態によるイメージメモリの印字データ領域のイメージマップを示す図。
【図22】 第6の実施の形態によるイメージメモリのSPデータ領域のイメージマップを示す図。
【図23】 従来の形態および本発明の実施の形態のインク噴射装置の印字ヘッドの構成を示す断面図で、図24のX−X線断面図。。
【図24】 図23のY−Y線断面図。。
【図25】 図23の印字ヘッドの動作を説明するための断面図。
【符号の説明】
613…インク室
603…アクチュエータ壁
21…駆動回路
22…制御回路
25…イメージメモリ
31,31A,31B,31C…シリアル−パラレル変換器(格納手段)
36…パルスデータ生成回路(付加パルスデータ生成手段)
42…シリアル−パラレル変換部(格納手段)
43,44…シフトレジスタ(格納手段)
45…転送データ生成部(付加パルスデータ生成手段)
52,53,54…レジスタ(格納手段)
56…SPデータ生成部(付加パルス生成手段)
Claims (11)
- インクが充填されるインク室およびそのインク室からインクを噴射させるためのアクチュエータを有する印字ヘッドと、
前記インク室内のインクを噴射させるための噴射パルスデータ信号、及び噴射動作によって生じたインク室内の圧力波変動をほぼ相殺するためのストップパルスデータ信号とを生成する制御回路と、
前記噴射パルスデータ信号及びストップパルスデータ信号にもとづいて前記アクチュエータを駆動する駆動回路と
を備えたインク滴噴射装置において、
前記制御回路は、
1つの前記アクチュエータに対応して前後して供給される印字データをそれぞれ格納する複数の格納手段と、
これら複数の格納手段の各々から出力される前記印字データとその任意の組み合わせ指示信号とを入力して前記前後して供給される印字データと組み合わせ指示信号との論理演算を行い、その論理演算にもとづいて前記噴射パルスデータ信号に付加する前記ストップパルスデータ信号を生成する転送データ生成手段とを備えているインク滴噴射装置。 - さらに、各印字周期に対応してパルスクロックを生成する手段を備え、
前記駆動回路は、前記転送データ生成手段が生成した前記ストップパルスデータ信号により前記パルスクロックを前記アクチュエータに選択的に出力しそのアクチュエータを駆動する請求項1に記載のインク滴噴射装置。 - 前記転送データ生成手段は、さらに前記論理演算にもとづいて前記噴射パルスデータ信号を生成する請求項1に記載のインク滴噴射装置。
- さらに、各印字周期に対応して複数のパルスクロックを生成する手段を備え、
前記制御回路が生成した前記噴射パルスデータ信号及び前記ストップパルスデータ信号により前記複数のパルスクロックを前記アクチュエータに選択的に出力しそのアクチュエータを駆動する請求項1に記載のインク滴噴射装置。 - 前記駆動回路は、前記制御回路が出力した前記噴射パルスデータ信号とストップパルスデータ信号とをそれぞれシリアル入力し前記インク室に対応したパラレル変換する請求項4に記載のインク滴噴射装置。
- 前記駆動回路は、前記噴射パルスデータ信号とストップパルスデータ信号とを選択的に出力する切替回路、および、その切替回路から出力された前記噴射パルスデータ信号とストップパルスデータ信号とで前記各印字周期に対応した複数のパルスクロックを、選択的に前記アクチュエータに出力するゲート回路からなる請求項5に記載のインク滴噴射装置。
- インクが充填されるインク室およびそのインク室からインクを噴射させるためのアクチュエータを有する印字ヘッドと、
各印字周期に対応して、前記アクチュエータをそれぞれ駆動する、前記インク室内のインクを噴射させるための噴射パルスクロック、及び噴射動作によって生じたインク室内の圧力波変動をほぼ相殺するためのストップパルスクロックとを出力する手段と、
1つの前記アクチュエータに対応して前後して供給される印字データをそれぞれ格納する複数の格納手段と、
これら複数の格納手段の各々から出力される印字データとその任意の組み合わせ指示信号とを入力して前記前後して供給される印字データと組み合わせ指示信号との論理演算を行う転送データ生成手段と、
その論理演算にもとづいて前記ストップパルスクロックを選択的に前記アクチュエータに対し前記噴射パルスクロックに付加して出力するゲート回路とを備えているインク滴噴射装置。 - 前記複数の格納手段は、前記印字データをそれぞれ格納し、パラレル変換するものであり、
前記転送データ生成手段は、これら複数の格納手段の各々から出力される前記印字データと前記指示信号とを入力してそれらの論理演算を行い、その論理演算にもとづいて前記印字データにもとづく噴射パルスデータと、その噴射パルスデータに対して付加されるストップパルスデータとを生成し、
前記ゲート回路は、その噴射パルスデータとストップパルスデータとで前記各印字周期に対応した前記噴射パルスクロック及びストップパルスクロックを、選択的に前記アクチュエータに出力するものである請求項7に記載のインク滴噴射装置。 - 前記転送データ生成手段は、前記前後して供給される印字データのすべての組み合わせに対応する複数の論理ゲート回路を含み、前記印字データのすべての組み合せと前記指示信号との論理演算を行う請求項1から8のいずれかに記載のインク滴噴射装置。
- 前記指示信号は、外部から書き替え可能である請求項1から9のいずれかに記載のインク滴噴射装置。
- 前記格納手段は、所定の印字データ、その直前の印字データおよび直後の印字データを格納する3つの格納手段からなる請求項1から10のいずれかに記載のインク滴噴射装置。
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