JP3646774B2 - ブレーキアシストシステム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ブレーキアシストシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のブレーキアシストシステムとしては例えば以下に示すようなものが
ある。
【0003】
先願(特願平10−146183)では、自車両と前方対象物との車間距離を検出する手段と、自車両の走行速度を検出する手段と、ブレーキペダルの操作量を検出する手段を持ち、運転者がブレーキを踏み込んだときの車間距離と白車速とから、停止するために必要な減速度を計算し、計算された減速度に応じたブレーキ液圧をかけるブレーキアシストシステムを発明した。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、計算された減速度に応じたブレーキ液圧のかけ方に特に規定がなく、基本的には一定の圧力をかけるために、物理的に止まる性能は確保できているが、運転者にとって安心感のある減速フィーリングが得られるかどうかといった問題点があった。
【0005】
熟練運転者のデータを分析してみると、多くの運転者は緊急時にまず強めのブレーキ操作を行ない、止まれる事が確実に予測できてから徐々にブレーキ力を抜いて、最終的な停止位置へのコントロールを行なっている。それに対して、一定の制動Gをかける緊急ブレーキでは、たとえ最終的な停止位置が同じであっても、制動初期の制動Gが緩慢に感じ、止まれるのだろうかといった不安感が強く出てしまうことがわかった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたもので、請求項1記載の発明は、自車両と前方対象物との車間距離を検出する手段と、自車両の走行速度を検出する手段と、ブレーキペダルの操作量を検出する手段を持ち、運転者がブレーキを踏み込んだときの車間距離と自車速とから、停止するために必要な減速度を計算し、計算された減速度に応じたブレーキ液圧をかけるブレーキアシストシステムにおいて、計算された目標減速度を二次遅れ要素を持たせた数値に補正すると共に、二次遅れ要素の制御ゲインは、制動初期に所定量のオーバーシュートになるように設定することを特徴とする。
請求項2記載の発明は、自車両と前方対象物との車間距離を検出する手段と、自車両の走行速度を検出する手段と、ブレーキペダルの操作量を検出する手段を持ち、運転者がブレーキを踏み込んだときの車間距離と自車速とから、停止するために必要な減速度を計算し、計算された減速度に応じたブレーキ液圧をかけるブレーキアシストシステムにおいて、計算されたブレーキ液圧を二次遅れ要素を持たせた数値に補正すると共に、二次遅れ要素の制御ゲインは、制動初期に所定量のオーバーシュートになるように設定することを特徴とする。
請求項1または2記載のブレーキアシストシステムにおいて、オーバーシュート量は、目標減速度と自車速の少なくとも一つの物理量に応じて変えるようにゲインを変更する事を特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
以下、この発明を図面に基づいて説明する。
第1図は全体の構成図、第2図は電子式負圧ブースタの構成図である。
まず構成を説明すると、第l図の、21はブレーキペダル、23はブレーキペダルの操作量を検出するブレーキストロークセンサである。
25は電磁弁が内蔵している電子式負圧ブースタであり、その詳細を後述の図2に示す。
26はマスタシリンダ、27は各車輪で、その回転速度をセンサ28で検出する。
3lは車両前方フロントグリルに取り付けられたレーザレーダであり、前方車両との車間距離が検出される。33は、マスタシリンダ26の液圧を検出する液圧センサである。
29はブレーキアシストを行う制御装置であり、その制御ルーチンは後述する。制御装置29には、ブレーキストローク、車輪回転速度、車間距離、前後G、液圧の情報が入力され、後述の電磁弁5を駆動する制御信号を出力する。
【0008】
第2図は電子式負圧ブースタ25の構造を説明したものである。
1は変圧室であり、ブレーキ非作動時は負圧状態で後述の負圧室2との圧力が釣り合っている。ブレーキ作動時は大気が導入され、負圧室2との差圧が生じ、マスタシリンダ26に倍力された荷重が伝達される。
2は負圧室であり、エンジン始動中は常に所定の負圧が発生している。
3は真空弁で、ドライバによりブレーキペダル21がストロークしたときあるいは後述の電磁弁が励磁したときに閉じ、負圧室2と変圧室1との連通を遮断する。
4は大気弁で、ドライバによりブレーキペダル21がストロークしたときあるいは後述の電磁弁が励磁したときに開き、変圧室1に大気が導入される。
5は電磁弁、6はオペレーティングロッド、7は電磁弁連動部材、8はプッシュロッドで、電磁弁5が励磁された時電磁弁連動部材7が図中左方向にストロークし、真空弁3および大気弁4の開閉操作が行なわれる。それにより負圧室2と変圧室lとの間に差圧が生じ、リアクションデイスク9を介してプッシュロッド8およひマスタシリンダ26に力が伝わり、各車輪に対してブレーキ力が発生する。
【0009】
次に作用を説明する。
図3は制御装置29の演算処理を示すフローチャートである。このルーチンは所定周期(本実施例では10msecに1回流れる周期)で実行される割り込み処理ルーチンである。
ステップ100〜107までが、制御パラメータの計算ルーチン、ステップ200〜211までがアシスト制御判定ルーチンである。
【0010】
まずステップ100で、車輪の回転速度から自車速Vmが読み込まれる。本実施例では、従動輪2輪の回転速度の平均値から求めた。次にステップ101では、レーザレーダ31から自車と前方対象物との車間距離Lが検出される。
次にステップ102で、車間距離Lと前回の記憶された値とから車間距離の微分値(車間距離変化量)dL/dtが算出される。
【0011】
ステップl03では、前方対象物に接触せずに停止するために必要な目標減速度Gbが計算される。ここで得られる目標減速度は、後述の二次遅れ処理が行われる前の仮値であり、本実施例では、
Gb=(Vm**2-(Vm−dL/dt)**2)/2L
とした。
【0012】
次にステップl08では目標減速度の二次遅れ要素を付加する。本実施例では、経過時間tに応じて、
G=Gb*e^-2t(C1sinβt+C2cosβt)
とした。この中で、C1,C2,βは車両特性等によって一義的に定められる定数である。また、これらの値は、自車速度あるいは仮目標減速度の値に応じて変更される変数としてもよい。
【0013】
ステップ104では、ステップ108で得られた目標減速度Gに基づいて、その減速度を実現するための目標液圧を求める。本実施例ではマップ検索により求めており、高G域でのブレーキパッドの摩擦係数低下を補償するためにゲインを高める非線型特性としているが、摩擦係数低下が顕著でないブレーキ部品の場合は係数kの線形特性としてもかまわない。
【0014】
ステップ105ではブレーキストロークセンサ23の信号からブレーキストロークsを検出し、ステップ106で前回の記憶された値とからストローク速度の微分値すなわちストローク速度ds/dtが算出される。
【0015】
ステップ107では、運転者がブレーキペダル21に施す仕事率(力と移動量との積の時間微分値:Nm/sec)を計算する。本実施例では、ストローク速度ds/dtと踏力推定値k*sとから仕事率Jを算出した。
【0016】
ステップ200では、自車速が所定値よりも大きいか否かが判定され、車速が低い場合はステップ211へ進み、アシスト制御は行われない。所定値の設定は、低車速での例えはゴミゴミした商店街で、危険でない看板や障害物を検出しないように30km/h程度の値とした。
【0017】
ステップ201では、運転者がブレーキペダル21を踏み込んでいるかどうかが判定される。踏み込んでいない場合は、後述のブレーキアシスト用フラグBAフラグをクリアしてステップ211へ進み、アシスト制御は行われない。
【0018】
ステップ202では、BAフラグが1か否かが判定される。このフラグは、ステップ203にて仕事率Jがしきい値より大きくて緊急と判断されたときにステップ204でセットされるフラグで、いったんセットされると運転者がブレーキペダル21を開放するまでリセットされない。
【0019】
以上の過程を経て、ステップ206〜210は、ある程度高い車速で、運転者が通常よりも速いブレーキ操作を行ったときに通過するルーチンである。
ステップ206〜207は目標液圧Ptの更新ルーチンである。すなわち、ステップ206で目標液圧Ptがこれまでの過去の値よりも大きいか否かが判定され、大きい場合(前方対象車が急減速したり、より近い別の対象物が新たに現れた場合)はステップ207で目標液圧Ptが更新され、これまでの値よりも小さい場合(前方対象11が加速して遠ざかった場合)は目標液圧は更新されずにステップ208へ進む。
【0020】
ステップ208では実際の液圧Prが検出され、ステップ209にて目標液圧Ptが実際の液圧Prよりも大きい場合(すなわち運転者のブレーキ操作が不十分でアシストが必要な場合)はステップ2l0へ進んで増圧アシスト制御が行われる。
【0021】
一方ステップ209で目標液圧Ptが実際の液圧Prよりも小さい場合(すなわち運転者のブレーキ操作が十分でアシストが不必要な場合)はステップ211
進み、アシスト制御は行われない。
ステップ2l0で増圧アシスト制御を行う具体的な例としては、電子式負圧ブースタ25の真空弁3が閉位置、大気弁4が開位置となるように電磁弁5を駆動し、変圧室1に大気を導入することにより負圧室2との差圧を発生させてマスタシリンダ〜ホイルシリンダで液圧を発生させる。
【0022】
ステップ2l1では制御が行われず通常のブレーキブースタとして機能するが、それまで増圧アシスト制御が行われた後にこのステップにくる場合は増圧アシストの解除を行う。
【0023】
アシスト制御を解除する具体的な例としては、負圧ブ一スタ23の真空弁3が開位置、大気弁4が閉位置となるように電磁弁5を駆動して制御を終了する。なお、電磁弁5の通電を遮断するだけでもスプリングの付勢力で真空弁3が開位置、大気弁4が閉位置となるため制御終了の目的は達せられる。
【0024】
【発明の効果】
本発明では、自車両と前方車との車間距離を検出し、運転者がブレーキペダルを踏み込んだときの車間距離と自車速とから、衝突せずに停止するために必要な減速度を計算し、その減速度に応じたブレーキ液圧をアシストするブレーキアシストシステムにおいて、計算された目標減速度あるいはブレーキ液圧に二次遅れ要素を持たせて、制動初期にやや高目のアシスト圧を加え、その後は停止するために必要十分なブレーキ圧をかけるような熟練者のブレーキ操作パターンを再現する事ができ、安心感のある緊急ブレーキアシストをもたらす事ができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のブレーキアシストを示す全体構成図である。
【図2】実施の形態1のブレーキアシストを行う電子式負圧ブースタである。
【図3】実施の形態1の制御装置29の演算処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】実施の形態1の制御装置29の演算処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
21 ブレーキペダル
23 ブレーキストロークセンサ
25 電子式負圧ブースタ
26 マスタシリンダ
27 車輪
28 車輪速センサ
29 制御装置
31 レーザレーダ
33 液圧センサ
Claims (3)
- 自車両と前方対象物との車間距離を検出する手段と、
自車両の走行速度を検出する手段と、
ブレーキペダルの操作量を検出する手段を持ち、
運転者がブレーキを踏み込んだときの車間距離と自車速とから、停止するために必要な減速度を計算し、計算された減速度に応じたブレーキ液圧をかけるブレーキアシストシステムにおいて、
計算された目標減速度を二次遅れ要素を持たせた数値に補正すると共に、二次遅れ要素の制御ゲインは、制動初期に所定量のオーバーシュートになるように設定することを特徴とするブレーキアシストシステム。 - 自車両と前方対象物との車間距離を検出する手段と、
自車両の走行速度を検出する手段と、
ブレーキペダルの操作量を検出する手段を持ち、
運転者がブレーキを踏み込んだときの車間距離と自車速とから、停止するために必要な減速度を計算し、計算された減速度に応じたブレーキ液圧をかけるブレーキアシストシステムにおいて、
計算されたブレーキ液圧を二次遅れ要素を持たせた数値に補正すると共に、二次遅れ要素の制御ゲインは、制動初期に所定量のオーバーシュートになるように設定することを特徴とするブレーキアシストシステム。 - 請求項1または2記載のブレーキアシストシステムにおいて、
オーバーシュート量は、目標減速度と自車速の少なくとも一つの物理量に応じて変えるようにゲインを変更する事を特徴とするブレーキアシストシステム。
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JP00596099A Expired - Fee Related JP3646774B2 (ja) | 1999-01-13 | 1999-01-13 | ブレーキアシストシステム |
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1999
- 1999-01-13 JP JP00596099A patent/JP3646774B2/ja not_active Expired - Fee Related
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