JP3643404B2 - 酵母に凝集性を付与する遺伝子及びその遺伝子産物 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、酵母凝集遺伝子およびその利用に関し、さらに詳細には、酵母にビール酵母型凝集性を付与する活性を有する蛋白、前記蛋白をコードするDNA 、前記DNA を含むプラスミド、前記DNA を利用して、ビール酵母型凝集性を付与または強化された酵母を製造する方法およびビール酵母型凝集性が欠失または減少した酵母を製造する方法、並びに、前記DNA の発現を抑制することによって、酵母のビール酵母型凝集性を欠失または減少させる方法に関する。
【0002】
本発明はまた、前記方法によりビール酵母型凝集性が付与または強化または欠失または減少した酵母に関する。
さらに、本発明は、前記の酵母を培養することを含む醸造製品の製造法、ならびに当該製造法により得られる醸造製品に関する。
【0003】
【従来の技術】
ビール、ワイン等の酒類において、その醸造に供される酵母の凝集性はその製品の香味を左右するばかりでなく、醸造工程の作業上からも重要であることは周知の事実である。ドイツを中心に日本、その他の各国で広く製造されているラガータイプのビールの製造に使用される酵母は、発酵が終了に近づくと酵母が凝集して発酵液の底に沈降する特性を持ち、特に下面酵母と呼ばれている。ビール醸造では、発酵が終了して沈降した酵母を回収して、さらに次回の発酵に繰り返して使用するという、他の醸造では見られない製造上の特徴があるために、下面酵母のこの発酵後期に沈降する性質は、ビール醸造にとって特に大きな意味を持つ。
【0004】
ビール酵母は製品ビールの香味等を決定する大きな要因の一つであるため、優秀な酵母を育種することはビール生産者の重要な課題となっている。その下面酵母の育種において、適切な凝集性を持たせることは重要な意味がある。なぜならば、凝集性が強すぎる酵母は発酵途中に発酵液中で沈降してしまい、それ以降の発酵が進まず、逆に、凝集性が無い酵母は発酵後期になっても浮遊したままで、酵母をビールから取り除くために遠心分離などの操作が必要になる。したがって、発酵の初期には発酵液中に分散して、しかも発酵後期には凝集性が強くなって良く沈降する酵母が現在の製造法には相応しい酵母である。製造法が異なれば、それに適した凝集性を持つ酵母が必要なのは言うまでもない。
【0005】
これらの産業上重要な性質である酵母の凝集性に関する膨大な研究にもかかわらず、酵母凝集の機構は未だ明らかにされておらず、酵母自体の改良による凝集性の制御は成功しているとは言い難い。長年に渡る酵母の遺伝子レベルの研究から、酵母の凝集性に関与する遺伝子として、FLO1、flo3、FLO5、FLO8、sfl1、fsu1、fsu2、tup1、cyc8、cka2、FMC1などの遺伝子、およびミトコンドリアDNA 中のoli1、oxi2遺伝子の存在がこれまでに確認されてきた。これらの酵母の凝集性に関与する遺伝子の分子レベルの研究としては、FLO1遺伝子の単離とその解析がなされている[YEAST, 9, 423 (1993) およびYEAST, 10, 211 (1994)]。また、FLO5遺伝子の単離とその解析についても報告されており、そこでは、FLO5遺伝子はこれまで報告されているFLO1遺伝子と酵母染色体DNA 上で存在位置が異なるものの、制限地図およびDNA 塩基配列がほぼ同等であることが示されている[J. Inst. Brew., 85, 95, (1979) およびCurr. Genet., 25, 196 (1994)] 。
【0006】
しかしながら、これらの遺伝子の分子レベルでの解析は十分なものではなく、これらの遺伝子が酵母の凝集にどのようなメカニズムで関与しているのかは明らかにされていない。また、FLO1およびFLO5遺伝子以外の酵母の凝集性に関与する遺伝子については、単離やその構造解析すら行われておらず、これらの遺伝子がコードしている蛋白についても全く報告されていない。
【0007】
上記のような酵母の凝集性に関与する遺伝子を利用して、酵母の凝集性を改良する試みとしては、サッカロマイセス・セレビシエの凝集遺伝子であるFLO1遺伝子の導入によって、ビール酵母を含む各種非凝集性酵母へ凝集性を付与するという報告がある [Agric. Biol. Chem., 55, 1547 (1991)]。しかしながら、このようにして取得された形質転換体であるビール酵母の凝集能は発酵の初期から発現し、発酵が遅れ気味になることが報告されている [醸造協会誌 88, 665 (1993)]。したがって、このFLO1遺伝子による酵母への凝集性付与は好ましい様式で制御されているとは言い難く、実用化のためには更なる改良が必要であった。さらに、FLO1遺伝子は酵母に凝集性を付与することができることは知られていたが、その遺伝子産物の酵母凝集における役割は、解明されていない。FLO1遺伝子のDNA 塩基配列から推定されるアミノ酸配列の解析より、FLO1遺伝子産物は酵母細胞表層に局在すると推定されていた。このことは、凝集性ビール酵母特異的に酵母細胞表層から取得される蛋白(flocculin)のN末端の14残基のアミノ酸配列が、FLO1遺伝子のDNA 塩基配列から推定されるアミノ酸配列と相同性が有るという報告 [Appl. Environ. Microbiol., 60, 2754 (1994)] からも支持されると考えられるが、この蛋白の機能解明には至っていない。また、凝集性酵母特異的な酵母細胞表層蛋白は他にも幾つか知られているが、いずれもその役割は解明されていない。このため、FLO1遺伝子を改変することによって、酵母凝集を制御するという試みは、行き詰まっていた。
【0008】
FLO1遺伝子以外の遺伝子を利用する試みとしては、細胞融合法を用いたFLO5遺伝子による酵母への遺伝形質の付与が試みられ、その遺伝形質付与の有用性が示された [J. Inst. Brew., 98, 315 (1992)] 。しかしながら、遺伝形質導入法が細胞融合法であるために、目的とする形質をもつ酵母を取得するのが困難であるばかりでなく、取得された酵母には目的とする凝集関連遺伝子以外のDNA 配列も導入されてしまい、たとえば、多くのサッカロマイセス・セレビシエのもつ、ビールにフェノール臭を付加するPOF1遺伝子も同時に導入される [Proc, Eur. Brew. Conv. 497 (1981)]という問題を生じていた。すなわち、本方法による実用酵母の凝集性の改良は、制御されているものとは言い難い。
以上のように、これまで試みられてきた酵母の凝集に関与する遺伝子を用いる酵母の凝集能の改良は、実用に耐えうるものではなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明は、以下の各事項:
(1) 酵母にビール酵母型凝集性を付与する活性を有する蛋白を提供すること;
(2) 酵母にビール酵母型凝集性を付与する活性を有する蛋白をコードする遺伝子DNA を提供すること;
【0010】
(3) 上記の遺伝子DNA を利用して、ビール酵母型凝集性が付与または強化された酵母、あるいはビール酵母型凝集性が欠失または減少した酵母の製造方法、ならびに該方法によりビール酵母型凝集性が付与または強化または欠失または減少した酵母を提供すること;
(4) 上記の遺伝子DNA の発現を抑制することによって、酵母のビール酵母型凝集性を欠失または減少させる方法を提供すること、ならびに
(5) 上記の酵母を培養することを含む醸造製品の製造法ならびに該製造法により得られた醸造製品を提供することも目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の各課題を解決すべく、下面ビール酵母の凝集性に関して鋭意研究した結果、凝集性下面ビール酵母が特異的に持つFLO1相同遺伝子(以下、Lg-FLO1 遺伝子)の存在と、Lg-FLO1 遺伝子と凝集性の関係を明かにし、次いで、このLg-FLO1 遺伝子を導入することによってLg-FLO1 遺伝子産物をFLO1遺伝子が破壊されて非凝集性になっている酵母内で生成せしめたところ、ビール酵母型の酵母凝集が引き起こされることを見い出した。これは、ビール酵母型凝集性の付与のみならず、実験酵母型凝集性を持つ酵母のビール酵母型凝集性への転換も意味する。さらに、当該遺伝子産物における下面ビール酵母型の酵母凝集を決定している領域を決定した。また、本発明者らは、Lg-FLO1 遺伝子を破壊したものを凝集性の下面ビール酵母に導入することにより、その酵母を非凝集性に転換させることに成功して、本発明を完成させるに至った。
【0012】
すなわち、本発明は、実質的に配列表の配列番号1に示したアミノ酸配列を有するLg-FLO1 遺伝子産物、あるいは、実質的に配列表の配列番号1に示したアミノ酸配列を有するペプチドを含み、酵母にビール酵母型凝集性を付与する活性を有する蛋白、あるいは実質的に配列表の配列番号1に示したアミノ酸配列のうち、25番目のアミノ酸残基から213 番目のアミノ酸残基を含むアミノ酸配列を有するポリペプチドを含み、酵母にビール酵母型凝集性を付与する活性を有する蛋白、あるいは実質的に配列表の配列番号1に示したアミノ酸配列のうち、少なくとも25番目のアミノ酸残基から97番目のアミノ酸残基を含むアミノ酸配列を有するポリペプチドを含み、酵母にビール酵母型凝集性を付与する活性を有する蛋白、さらには、酵母にビール酵母型凝集性を付与する活性を有し、実質的に配列表の配列番号2に示したアミノ酸配列を有するポリペプチドを提供する。尚、「実質的に」とは、酵母にビール酵母型凝集性を付与する活性を有する限りアミノ酸配列の一部にアミノ酸の幾つかについて欠失、置換、付加、重合などを許容することを意味するものである。
【0013】
また、本発明は、実質的に配列表の配列番号1に示したアミノ酸配列をコードする塩基配列を含む遺伝子DNA 、あるいは実質的に配列表の配列番号1に示したアミノ酸配列のうち、25番目のアミノ酸残基から213 番目のアミノ酸残基を含むアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする塩基配列を含むDNA 、あるいは実質的に配列表の配列番号1に示したアミノ酸配列のうち、少なくとも25番目のアミノ酸残基から97番目のアミノ酸残基を含むアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする塩基配列を含むDNA を提供する。尚、「実質的に」とは、酵母にビール酵母型凝集性を付与する活性を有する限りアミノ酸配列の一部にアミノ酸の幾つかについて欠失、置換、付加、重合などを許容することを意味するものである。
【0014】
さらに、本発明は、酵母にビール酵母型凝集性を付与する活性を有するアミノ酸配列をコードする塩基配列を含み、配列表の配列番号3に示した塩基配列のうち59番目の塩基から697 番目の塩基までの配列を含むDNA またはその相補鎖であるDNA 、あるいは酵母にビール酵母型凝集性を付与する活性を有する蛋白をコードする塩基配列を含み、配列表の配列番号3に示した塩基配列のうち、131 番目の塩基から697 番目の塩基を含むDNA またはその相補鎖、あるいは配列表の配列番号3に示した塩基配列のうち、131 番目の塩基から349 番目の塩基を含むDNA またはその相補鎖、さらには、配列表の配列番号4に示した塩基配列を含み、酵母にビール酵母型凝集性を付与する活性を有するポリペプチドをコードするDNA またはその相補鎖を提供する。
【0015】
本発明はまた、プラスミドKTYT2 、YESKT2、KNWtC3またはKNYES に組み込まれ、酵母にビール酵母型凝集性を付与する活性を有する蛋白をコードする塩基配列を含むDNA 、ならびに前記のDNA を含むプラスミドを提供する。
本発明はまた、前記のDNA を導入することを特徴とする、ビール酵母型凝集性が付与または強化された酵母の製造方法、ならびに前記のDNA を破壊することによって、ビール酵母型凝集性を付与する活性を持つ蛋白を発現させる能力を欠失または減少させたDNA を導入することを特徴とする、ビール酵母型凝集性が欠失または減少した酵母の製造方法を提供する。
【0016】
さらに、本発明は、前記いずれかの方法により製造されたビール酵母型凝集性が付与または強化または欠失または減少した酵母を提供する。
本発明はまた、前記のDNA の発現を抑制することによって、酵母のビール酵母型凝集性を欠失または減少させる方法も提供する。
さらに、本発明は、前記の酵母を培養することを含む醸造製品の製造法、およびその醸造製品を提供する。
【0017】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本明細書では、「DNA」、「塩基配列」、「遺伝子」および「遺伝子DNA」という用語を実質的に同義のものとして用いることとする。また、本明細書では、「アミノ酸配列」、「ペプチド」、および「蛋白」という用語を実質的に同義のものとして用いることとする。
【0018】
〈酵母細胞間凝集〉
酵母細胞間の凝集は、a型細胞とα型細胞間の性的凝集、出芽娘細胞の母細胞からの未分離、非性的凝集などに起因することが知られているが、本発明は、これらのうちの非性的凝集の制御を目的とする。
非性的凝集の機構を説明するモデルとしては、凝集性酵母の細胞表層にあるレクチン様蛋白と糖鎖の結合で隣り合う酵母が結合しているとするレクチン仮説 [J. Bacteriol., 150, 878 (1982)] が有力であるが、レクチン様蛋白の同定は成されていない。このことが、酵母凝集の制御が未だ困難である要因でもある。
非性的凝集は、それを阻害する糖の種類によって、マンノース特異的なFlo1タイプと、マンノースの他にマルトースやグルコース等によっても阻害されるNewFloタイプの、大きく2つに分類できることが報告されている[YEAST, 7, 559 (1991)]。本発明者らは、一般的な下面ビール酵母の凝集性はNewFloタイプに属することを発見した。本明細書では、理解を容易にするため、これらのタイプの凝集性を以下のような用語で示す。
【0019】
すなわち、一般的な実験酵母が示す凝集性である、共存するマンノースにより阻害されるが、マルトース、グルコースなどでは阻害されない凝集性を、本明細書では「実験酵母型凝集性」という用語で示す。また、一般的な下面ビール酵母に代表される酵母が示す凝集性である、共存するマンノースの他にマルトース、グルコース等によっても阻害される凝集性を、「ビール酵母型凝集性」という用語で示す。両タイプの凝集性は共にガラクトースでは、凝集が阻害されない。本発明者らは、下面ビール酵母が「ビール酵母型凝集性」という形質を持つことは、以下の理由から、少なくともビール製造において、非常に重要であると推察する。すなわち、この「ビール酵母型凝集性」が、実験酵母の持つ凝集性と大きく異なるのは、グルコース、マルトースなどでも阻害されることである。ビールは、麦汁をビール酵母で発酵して製造されるものであるが、この麦汁中には、約6%のマルトースおよび約1%のグルコースが含まれていることから、これらの糖によって凝集阻害がかかるということは、重要な意義を持つ。言い換えれば、この「ビール酵母型凝集性」の性質のために、麦汁に添加されたビール酵母は、麦汁中の糖類により凝集が阻害され、麦汁中に分散できるため、発酵が速やかに進行する、そして、発酵後期に発酵液中の糖濃度が低くなると、凝集阻害が弱くなって、酵母は凝集塊となり沈降するために、酵母回収が容易になると推察できる。
【0020】
〈Lg−Flo1蛋白〉
Lg-Flo1 蛋白は、本来、ビール酵母型凝集性を示す下面ビール酵母およびその減数体に特徴的なFLO1相同遺伝子、すなわち、Lg-FLO1 遺伝子がコードする蛋白である。
本発明はLg-Flo1 蛋白および誘導体を包含する。Lg-Flo1 蛋白は、酵母、特にサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)から誘導されうるものであり、酵母にビール酵母型凝集性を付与できる性質を有する。Lg-Flo1 蛋白は、実質的に配列表の配列番号1に示したアミノ酸配列をそのアミノ酸配列中に含む。「実質的に配列表の配列番号1に示したアミノ酸配列」とは、「配列表の配列番号1に示したアミノ酸配列」に加えて、酵母にビール酵母型凝集性を付与する限りにおいて、配列表の配列番号1に示したアミノ酸配列が改変されたアミノ酸配列、すなわち配列表の配列番号1に示したアミノ酸配列の一部にアミノ酸が付加、挿入、欠失または置換されたアミノ酸配列を含むものである。
【0021】
本発明の「配列表の配列番号1に示したアミノ酸配列」は、公知の実験酵母FLO1遺伝子の塩基配列から推定されるアミノ酸配列と相同性が有る。しかしながら、両者の決定的な違いは、本発明の「配列表の配列番号1に示したアミノ酸配列」を含むLg-Flo1 蛋白およびその誘導体は、前述したビール酵母にとって重要な性質である「ビール酵母型凝集性」を酵母に付与できることである。本発明が完成して初めて、Lg-Flo1 蛋白およびその誘導体が、「ビール酵母型凝集性」を酵母に付与できることが示された。
【0022】
凝集性ビール酵母の細胞表層から取得された蛋白であるflocculin はその生物学的機能については解明されていないが、N末端の16残基のアミノ酸配列が決定されている(*TQACLPVG*RKNGMN:* は同定出来なかったアミノ酸残基 [Appl. Environ., Microbiol., 60, 2754 (1994)]。本発明により、初めて機能が解明されたLg-Flo1 蛋白は、この配列を含んでいる(配列表の配列番号1の25番目から40番目) 。本発明のLg-Flo1 蛋白とflocculin が同一であるという証拠は現時点ではない。しかしながら、本発明のLg-Flo1 蛋白でも、配列表の配列番号1の1番目から24番目のアミノ酸配列の相当する領域は、Lg-Flo1 蛋白が細胞表層に局在するために必要な分泌シグナル配列である可能性は極めて高い。すなわち、凝集性酵母の細胞表層に局在し、酵母に凝集性を付与する活性をもつ蛋白は、配列表の配列番号1の25番目以降のアミノ酸配列をもつ蛋白であると推察される。
【0023】
〈Lg-FLO1 遺伝子〉
本発明はLg-FLO1 遺伝子DNA を包含する。ここで、「Lg-FLO1 遺伝子DNA 」とは、酵母にビール酵母型凝集性を付与する活性を持つLg-Flo1 蛋白およびその誘導体をコードする塩基配列を含むDNA をいうものとする。
具体的には、本発明は、実質的に配列表の配列番号1に示したアミノ酸配列を有する蛋白をコードする塩基配列を含む遺伝子DNA を包含する。なお、ここでいう「アミノ酸配列を有する蛋白をコードする塩基配列」とは、縮重関係にある全ての塩基配列を意味している。
【0024】
本発明を完成するために不可欠であったのは、実施例1に記載した、ビール酵母型凝集性を示す下面ビール酵母およびその減数体は、特徴的なFLO1相同遺伝子を持っていることの発見であった。明細書中では、この「ビール酵母型凝集性を示す下面ビール酵母およびその減数体に特徴的なFLO1相同遺伝子」を「Lg-FLO1 遺伝子」という用語で示している。しかしながら、この発見だけでは、「Lg-FLO1 遺伝子」が「ビール酵母型凝集性」を付与する活性を持つことには、全く繋がらない。本発明完成には、更なる工夫が必要であった。
また別の見地からすると、本発明は、プラスミドKTYT2 に組み込まれ、酵母にビール酵母型凝集性を付与する活性を有する蛋白をコードする塩基配列を含むDNA も包含する。
【0025】
以上に記載した本発明のDNA を総称して、以下、「Lg-FLO1 遺伝子DNA 」ということとする。
本発明のLg-FLO1 遺伝子DNA は、天然物由来のものでも、全合成したものでも、あるいは天然物由来のものの一部を利用して合成を行ったもの、すなわち半合成のものでもよい。
【0026】
〈形質転換〉
本発明のLg-FLO1 遺伝子DNA を導入することにより、ビール酵母型凝集性が付与あるいは強化された酵母を得ることができる。
Lg-FLO1 遺伝子DNA を導入する方法としては、遺伝子工学の分野において慣用されているものを用いればよく、それを慣用基準 [ANALYTICAL BIOCHEMISTRY 163. 391 (1987)等] に準じて実施すればよい。具体的には、所望のDNA をベクターに組み込んでこれを酵母に導入する方法、ベクターに組み込まずに直接酵母に導入する方法などを挙げることができる。
【0027】
上記のDNA をベクターに組み込んでこれを酵母に導入する方法において、使用可能なベクターとしては、たとえば、YRp 系(酵母染色体のARS 配列を複製起点とする酵母用マルチコピーベクター)、YEp 系(酵母の2μm DNA の複製起点を持つ酵母用マルチコピーベクター)、YCp 系(酵母染色体のARS 配列を複製起点として持ち、かつ酵母染色体のセントロメアのDNA 配列を持つ酵母用シングルコピーベクター)、YIp 系(酵母の複製起点を持たない酵母染色体組み込み用ベクター)等、知られているもの全てのものを用いることができる。これらのベクターは文献に記載されており [医学出版センター刊、「酵母のニューバイオテクノロジー」、p.284]、容易に作製することができる。
【0028】
ベクターに組み込まずに直接酵母にDNA を導入する手法の代表的なものとしては、薬剤耐性遺伝子等のマーカー遺伝子を持つプラスミドと導入するDNA 配列とで同時に酵母を形質転換する共形質転換法をあげることができる(特公平5-60918 号公報)。
上記のような方法において、導入した遺伝子DNA を酵母中で発現させるために、あるいは発現を増加もしくは減少させるためには、転写および翻訳を制御するユニットであるプロモーターを本発明DNA 鎖の5’−上流域に、ターミネーターを3’−下流域にそれぞれ組み込めば良い。このプロモーターおよびターミネーターとしては、Lg-FLO1 遺伝子それ自身に由来するものの他、アルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子 [J. Biol. Chem., 257, 3018 (1982)] 、ホスホグリセレートキナーゼ遺伝子 [Nucleic Acids Res., 10, 7791 (1982)]、グリセロールアルデヒド−3−燐酸デヒドロゲナーゼ遺伝子 [J. Biol. Chem., 254, 9839 (1979)] 等既に知られている遺伝子由来のもの、もしくは、人工的にそれを改良したものの使用が可能である。より具体的には、ADH (別名ADC )、GAPDH (別名GPD)、PHO 、GAL 、PGK 、ENO 、TRP 、HIP 等のプロモーターやターミネーターを使用することができる。
【0029】
さらに、適当なプロモーターを選択することにより、本発明DNA 鎖の遺伝子を酵母中で制御して発現させることも可能である。例えば、ガラクトキナーゼ遺伝子のプロモーターを使用すれば、培地の糖源をたとえばグルコースからガラクトースに変えることにより発現を増加させることができる。
また、本発明のLg-FLO1 遺伝子DNA を破壊することによって、Lg-Flo1 蛋白を発現させる能力を欠失または減少させたDNA を導入することにより、凝集性が欠失または減少した酵母を得ることができる。Lg-FLO1 遺伝子DNA の破壊は、Lg-FLO1 遺伝子のLg-Flo1 蛋白発現に関与する領域、たとえば、プロモーター領域やコード領域の内部へ単一あるいは複数の塩基を付加あるいは欠失させたり、これらの領域全体を欠失させることにより行うことができる。このようにしてLg-FLO1 遺伝子を破壊することによって、Lg-Flo1 蛋白を発現させる能力を欠失または減少させたDNA は、上記したDNA 導入法と同じ手法で酵母に導入することができる。その導入によって、ホスト酵母の染色体DNA 中のLg-FLO1 遺伝子と導入したDNA との間で相同組換えが起こり、ホスト酵母のLg-FLO1 遺伝子が分断されてLg-Flo1 蛋白を発現する能力が欠失または減少し、その結果、ホスト酵母の凝集性が欠失または減少すると考えられる。
【0030】
本発明において形質転換すべき酵母、すなわちホスト酵母、は分類学上、酵母の範疇に入りうる任意のものでありうるが、本発明の目的からすれば、サッカロマイセス・セレビシエに属する酒類製造用酵母、具体的にはビール酵母、ワイン酵母等、あるいは、アルコール製造に用いられる酵母等が好ましい。
本発明は、上記のLg-FLO1 遺伝子DNA の発現を抑制することによって、酵母の凝集性を欠失または減少させる方法をも包含する。このような方法の例としては、Lg-FLO1 遺伝子DNA を破壊することによって、Lg-Flo1 蛋白を発現させる能力を欠失または減少させたDNA を導入する方法、アンチセンスRNA法等を挙げることができる。
【0031】
本発明は、実施例1(6)に示したような、上記のLg-FLO1 遺伝子DNA を実験酵母型のFLO1遺伝子などと入れ替えることによる、実験酵母型凝集性をビール酵母型凝集性に転換する方法をも包含する。また、この逆の転換も本発明により提供されたLg-FLO1 遺伝子DNA により可能である。
本発明の酵母を培養することを含む醸造製品は、ビール、清酒、焼酎、ワイン、ウイスキー、ブランデーを含むアルコール飲料、また醤油、味噌、みりんなどの調味料、さらには、燃料用アルコールなどを包含する。本発明における醸造製品の製造法としては、前記醸造製品に係わる醸造過程を包含する。
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、酵母にビール酵母型凝集性を付与する活性を有するLg-Flo1 蛋白、ならび該蛋白をコードするLg-FLO1 遺伝子DNA が提供される。本発明のDNA を外来遺伝子として遺伝子工学的手法によって酵母に導入すること、即ち、このDNA を核外および(または)核内遺伝子として酵母細胞内に導入することによって、酵母にビール酵母型凝集性を付与したり、酵母のビール酵母型凝集性を強化することができる。また逆に、このDNA を破壊したものを酵母細胞内に導入したり、このDNA の発現を抑制することにより、凝集性の酵母を非凝集性に転換したり、凝集性を減少させることができる。
【0033】
【実施例】
〔実施例1〕 ビール酵母型凝集に深く関与するFLO1相同遺伝子のクローニング
(1)ビール酵母の凝集性に関与する遺伝子の探索
ビール酵母の凝集性に関与する遺伝子を探索する目的で、以下の実験を実施した。凝集性ビール酵母、KI084株から、Stewartの方法 [J.Inst.Brew., 93, 216-219, (1987)]によって胞子を形成させ、染色体数の減少した株(以降、このような株を減数体と呼ぶ)を作成した。得られた減数体の内、6株に関して、表1に記載した培地を用いて20℃で静置条件下で48時間培養した。培養後の細胞は遠心にて集菌し、0.1M EDTAで2回洗浄後、滅菌水で2回洗浄し、滅菌水に再懸濁した。この細胞の凝集性判定を以下の方法によって行なった。すなわち、最終OD600=2.0となるように、凝集測定用緩衝液(50mM 酢酸ナトリウム、0.1% 塩化カルシウム、pH4.6)に懸濁し、室温で30分間置いた後、20秒間激しく攪拌し、さらに5分間静置した後、目視によって凝集、非凝集の別を判定した。この結果、供試した6株の減数体は、2株の非凝集性株と4株の凝集性株に分類された。
【0034】
【表1】
Figure 0003643404
【0035】
これらの株から、以下に述べるようにサザン解析およびノザン解析を行なった。全DNAの抽出は、YPD培地 [2% バクトペプトン(ディフコ社)、1% 酵母抽出物(ディフコ社)、2% グルコース] で30℃で振とう培養し、静止期に達した細胞から、Herefordらの方法 [Cell, 18, 1261-1271, (1979)]によって実施した。抽出されたDNAは2μg相当をHindIII(ベーリンガー社)で消化し、1%アガロースゲルを用いて電気泳動後、ナイロンフィルターHybond N+(アマシャム社)に、そのプロトコールに従ってブロッティングを行ない、その後のサザン解析に供試した。また、全RNAの抽出は、これらの株に関し、表1に記載の培地を用いて48時間、20℃で静置培養を行なった細胞から、VilleneveとMeyerの方法 [Cell, 48, 25-37 (1987)] によって実施した。得られたRNAの10μgを、16μlのグリオキサール・DMSO溶液 [1M グリオキサール、50% DMSO、10mM りん酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)] 中で、1時間、50℃の処理によってグリオキサール化を行なった後、2μlのアプライ用緩衝液 [50% (w/v) グリセロール、10mM りん酸緩衝液(pH7.0)、0.4% (w/v) ブロムフェニルブルー] および1μlの1mg/ml 臭化エチジウム溶液を加え、10mM りん酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)、1% アガロースを含むゲル中で電気泳動を行なった。電気泳動中は、ペリスタポンプを用いて、電気泳動層中の緩衝液を常に循環させ、pHの勾配が生ずることを防いだ。ブロムフェニルブルーがゲルの長さの70% 程度まで達したときに電気泳動を中止し、紫外線トランスイルミネーターを用いて臭化エチジウムで染色されたゲル中のRNAを観察し、リボゾーマルRNAを指標にRNAが分解されていないことを確認した。その後に、ゲル中のRNAを、その添付されたプロトコールに従って、ナイロンフィルターGenescreen-Plus(デュポン社)にブロッティングし、RNAがブロッティングされたフィルターに対し、80℃、2時間の処理を行なった。このフィルターは、Genescreen-Plusに添付されたプロトコールに従ってノザン解析に供試した。
【0036】
サザン解析およびノザン解析にプローブとして用いたFLO1遺伝子の部分長のDNA断片は、以下のように調製した。Teunissen ら [Yeast, 9, 423-427, (1993)]の報告したFLO1遺伝子の塩基配列をもとに、5'GATGAAACTGTCATTGTTGTCAAA3'と5'TCGTTTCAGCAGCTAAAGTAT3'の2種のプライマーを合成した。これらのプライマーを用い、凝集性ABXL-1D株(a, FLO1, Yeast Genetic Stock Center)の全DNAを鋳型としてPCRを行ない、全PCR産物を1%アガロースゲル中で電気泳動し、増幅された1045bpのDNA断片(以降、FLO1部分長断片と呼ぶ)をゲルから切り出し、Prep-A-Gene(バイオラッド社)を用いて回収したDNA断片を得た。この断片は、[α-32P]dCTP(アマシャム社)で標識し、プローブとして用いた。放射能の検出は、X線フィルムを用いて行なった。
【0037】
結果を図1に示す。サザン解析の結果、親株KI084には、約9.5kb、5.4kb、4.8kb、3.7kbの4本のFLO1遺伝子と相同性のあるHindIII断片が検出された。KI084株に由来する減数体株では、約4.8kbと3.7kbの2本の断片に関しては供試した全ての株に見られた。また、凝集性判定試験で凝集性と判定された4株の減数体についてのみ、共通なバンドに加えて約9.5kbの断片が検出された。また、ノザン解析の結果から、親株および凝集性判定試験で凝集性と判定された4株の減数体についてのみ、FLO1遺伝子の転写産物が観察された。これらの結果から、KI084に由来する減数体では、FLO1遺伝子と相同な3本のHindIII断片の内、約9.5kbのHindIII断片に一部もしくは全長が含まれるFLO1相同遺伝子のみが転写され、この相同遺伝子を持つ株のみが凝集性となることが示唆された。以降、このKI084株の約9.5kbのHindIII断片に一部もしくは全長が含まれるFLO1相同遺伝子を、Lg-FLO1(Lager Type-FLO1)と呼ぶ。
【0038】
(2)Lg-FLO1遺伝子の制限酵素地図の作成
KI084株に由来する減数体の内、凝集性のKMS004株および、非凝集性のKMS001株の各1株ずつを選び、前述の方法でDNAを調製し、数種類の制限酵素(ベーリンガー社)を単独で、もしくは2種の酵素を組み合わせて用い、前述のFLO1部分長断片をプローブとしたサザン解析を実施した。その結果、凝集性のKMS004株には常に、非凝集性の減数体と共通な2本のバンドの他に、非凝集性の減数体には観察されない1本のバンドが検出された。この凝集性減数体に特異的なバンドにLg-FLO1遺伝子の一部、もしくは全長が含まれると考えられ、この断片の長さを測定し、図2に示すような制限酵素地図を作成した。
【0039】
(3)Lg-FLO1遺伝子の部分長を含むKpnI断片のクローニング
図2に示した制限酵素地図をもとに、約5.6kbのKpnI断片のクローニングを試みた。KI084株に由来する凝集性の減数体KMS004株のDNAをKpnI(ベーリンガー社)で完全消化後、0.8%アガロース電気泳動法により分画し、約5.6kbに相当するDNA断片ミックスをゲルより切り出し、透析チューブ中で電気溶出することにより精製した。前述のFLO1遺伝子の部分長をプローブとしたサザン解析により、精製したDNA断片ミックス中に、目的のDNA断片が含まれているのを確認した後に、KpnIで完全消化したプラスミドpUC18(宝酒造)と精製DNA断片ミックスをDNAライゲーションキット(宝酒造)を用いて連結し、大腸菌DH5α(BRL社)を形質転換した。得られた形質転換体のうち、5000株について、ナイロンフィルターHybond N+(アマシャム社)に添付プロトコールに従ってブロッティングし、前述のFLO1部分長断片をプローブとしたコロニーハイブリダイゼーションを実施し、10株の陽性株を取得した。これらの陽性株からアルカリ法によってプラスミドを調製し、制限酵素解析を行なった結果、これらの株がもつプラスミドは同一の挿入断片を持っていることが確認できた。その中の1株のプラスミド、pKF-Kpn11の挿入断片について、凝集性減数体KMS004株と非凝集性減数体KMS001株のDNAをコントロールとするサザン解析をした結果、挿入断片は目的のLg-FLO1遺伝子の一部であることが確認できた。
【0040】
(4)Lg-FLO1遺伝子の部分長を含むKpnI断片の一部の塩基配列決定
pKF-Kpn11の挿入断片の塩基配列を決定するために、キロシーケンス用 デレーションキット(宝酒造)を用い、添付プロトコールに従ってpKF-Kpn11の挿入断片のデレーションシリーズを作成した。塩基配列の決定は、PCR/Sequencing キット(パーキン・エルマー社)を用い、DNAシーケンサ(パーキン・エルマー社)によって行なった。塩基配列の解析は、DNASIS(日立ソフトウェアエンジニアリング社)によって行なった。既知のFLO1遺伝子のコード領域の塩基配列と相同なコード領域が見出されたKpnI部位からHindIII部位までの2.9kbの塩基配列を両方向から決定した。決定された塩基配列中には、Lg-FLO1遺伝子のコード領域の途中から、終止コドンに至る2.6kbのORFが存在していた。
【0041】
(5)inverse-PCRによるLg-FLO1遺伝子の全長の取得
inverse-PCRによるLg-FLO1遺伝子の全長の取得を模式的に図3に示す。先に決定したLg-FLO1遺伝子の部分長 [図3 (1)] の塩基配列より、primer5 [5'AATACACAACATGGTGTCCT3'、図3 (2)] および primer8 [5'ACCAGAGGTGGAACTACTGG3' 、図3 (3)] を合成した。凝集性減数体KMS004株のDNA 60μg を300ユニットのHindIII(ベーリンガー社)で消化し、エタノール沈殿で回収後、30μlのTE緩衝液に溶解し、300μlのスケールでDNAライゲーションキット(宝酒造)を用いてDNA断片の自己閉環化を行なった。その結果反応物中に、図3中の(4)および(5)に示されたHindIII部位が連結した環状分子が存在していることが期待される。この反応生成物をエタノール沈殿で回収し、その4μg相当を鋳型として、上記のprimer5 [図3 (2)] およびprimer8 [図3 (3)] をプライマーとして、LA-PCRキット(宝酒造)を用い、inverse-PCR反応を行なった。反応液の組成は添付プロトコールに従い、反応はDNAサーマルサイクラー480(パーキン・エルマー社)を用いて、94℃1分を1サイクル後、98℃20秒、68℃10分のサイクルを30サイクル繰り返すことによって行なった。その反応生成物を0.8%アガロースを用いて電気泳動した結果、約8.2kb、約3.6kb、約3.0kbのDNA断片が増幅されているのが観察された。
【0042】
この内、約8.2kbのDNA断片 [図3 (6)] をゲルから切り出し、Prep-A-Gene(バイオラッド社)を用いて添付プロトコールに従ってDNA断片を精製した。この断片は図2に示された制限酵素地図中のBamHI部位、EcoRI部位、XbaI部位を有していたので、この断片中にLg-FLO1遺伝子の未取得の部分が含まれていると判断した。このDNA断片を、AluI(ベーリンガー社)で消化し、pUC118(宝酒造)のHincII部位に連結し、大腸菌DH5株(東洋紡)に導入した。出現した形質転換体の内、30株のプラスミドを調製し、挿入断片の大きさを調べたところ、24種類に分類できたため、これらのプラスミドに関して前述の方法で挿入断片の塩基配列を決定した。その結果、既知のFLO1遺伝子のアミノ基末端付近と相同性の高い断片467bpの挿入断片を持つ1クローンを得、そのプラスミドをKF1と命名した。KF1の挿入断片の染色体中の位置を図3中(7)に示す。
【0043】
しかしながら、KF1の挿入断片には翻訳開始部位と思われる配列は、含まれていなかった。KF1の塩基配列をもとに、primerKN-2 [5'TTGTATCGGAGTATTTATA3'、図3 (8)] を合成した。次いで上記のinverse-PCR反応に用いた鋳型を用い、上述のprimer5 [図3 (2)] およびprimerKN-2 [図3 (8)] をプライマーとして、ジーンアンプPCRリージェントキット(宝酒造)によってinverse-PCRを行なった。反応液の組成は添付プロトコールに従い、反応はDNAサーマルサイクラー480を用いて、94℃1分、55℃2分、72℃2分のサイクルを30サイクル繰り返した後、72℃10分の反応を1サイクル行なった。その反応生成物を0.8%アガロースを用いて電気泳動した結果、約4.4kb、約1.1kb、約0.6kbのDNA断片が増幅されているのが観察された。この内、約4.4kbのDNA断片 [図3 (9)] をゲルから切り出し、上述の方法で精製し、クレノウフラグメント(宝酒造)を用いて平滑末端化し、pUC118のHincII部位に連結し、大腸菌DH5株に導入した。得られた形質転換体のプラスミド、KF14は、図2に示された制限酵素地図中のBamHI部位、EcoRI部位、XbaI部位を有していたので、この断片中にLg-FLO1遺伝子の翻訳開始部位およびその5'上流部分が含まれているものと判断された。
【0044】
KF14の挿入断片中、図3(10)に示したEcoRI部位から3'方向の塩基配列を部分的に決定する目的で、KF14をEcoRIで消化後、自己閉環化したプラスミド、KF14ΔEcを構築した。このプラスミドは図3中、(10)のEcoRI部位から(8)のprimerKN-2のアニール部位までの間の断片を持つ。KF14ΔEcの挿入断片の塩基配列をEcoRI部位から部分的に決定した。その塩基配列をもとに、primerKT5'Ec [5'AGCGGTCGACCTAATAAAGGAAAAGGGGAA3'、図3 (11)]を合成した。また、すでに決定したpKF-Kpn11の挿入断片の部分的な塩基配列をもとに、primerKT3'Hd [5'GGAAGCTTTTTTGTAAAACAGATTTTTTGCCCCGCTT3'、図3 (12)]の合成を行なった。これら2種のプライマーを用いて、凝集性減数体KMS004株のDNAの2μgを鋳型として、LA-PCRキットを用いてPCRを行なった。反応は、94℃1分を1サイクル後、98℃20秒、68℃10分のサイクルを30サイクル繰り返すことによって行なった。その反応生成物を0.8%アガロースを用いて電気泳動した結果、約9kbの断片 [図3 (13)]が増幅されているのが観察された。この断片には、図2に示された制限酵素地図中のBamHI部位およびXbaI部位が含まれていたので、この断片中にLg-FLO1遺伝子の全長が含まれているものと判断された。以降、このPCRによる断片をLg-FLO1遺伝子全長断片と呼ぶ。Lg-FLO1遺伝子全長断片を、数種の制限酵素で消化し、0.8%アガロースゲルを用いて電気泳動を行ない、制限酵素断片長を測定し、制限酵素地図を作成した。図4にLg-FLO1遺伝子全長断片の制限酵素地図を示す。
【0045】
(6)Lg-FLO1遺伝子全長断片の酵母への導入と凝集性の性格付け
Lg-FLO1遺伝子の導入による表現型の変化を調べる酵母宿主としては、以下のようにして作成したFLO1遺伝子破壊株、KY644株を用いた。FLO1部分長断片を、pRS405(ストラタジーン社)のBamHI〜HindIII部位に連結した。このプラスミドを、挿入断片中にのみ一ケ所存在するBstEII部位を切断後、凝集性酵母KY642株(a、ura3、leu2、FLO8)にリチウム法にて導入し、FLO1遺伝子座の相同組換えによって非凝集性となった株を得た。この株のFLO1遺伝子がpRS405の挿入によって破壊されていることを、サザン解析によって確認し、KY644株と命名した。 Lg-FLO1遺伝子全長断片は、5'末端にSalI部位、3'末端にHindIII部位を持つようにデザインされたプライマーによってPCR増幅されている。この断片を、SalIおよびHindIIIで消化した。クローニングのベクターとしては、YIp5のEcoRI(ベーリンガー社)部位に、遺伝子配列のデータバンクであるアントレー(ナショナルセンター フォー バイオテクノロジーインフォメーション社)から得たCEN3の塩基配列および酵母第3染色体の全塩基配列をもとにPCRにて取得した1.2kbのCEN3を含む断片と、YRP7由来のEcoRI-HindIII断片として取得したARS配列を含む断片を導入した、pYT37を用いた。pYT37のSalI〜HindIII部位にLg-FLO1遺伝子全長断片を連結し、リチウム法によって直接、KY644株に導入した。
【0046】
得られた形質転換体のDNAのサザン解析を実施し、1株に関してLg-FLO1遺伝子全長断片が導入されていることを確認した。この株(KY650と命名)の持つプラスミドをKTYT2と命名した。KY650株および、ベクターであるpYT37のみがKY644株に導入されている株(KY652株と命名)に関して、表1に記載した培地で20℃、振とう条件下で静止期に達するまで培養後、前述の方法で凝集性の性格付けを行なった。糖による凝集性の阻害を調べるためには、最終濃度1Mの糖を凝集測定用緩衝液に加えた。その結果を表2に示す。
【0047】
【表2】
Figure 0003643404
【0048】
KY652株ではどの条件においても凝集性を示さなかったのに対し、Lg-FLO1遺伝子全長断片を含むKY650株では、糖を加えない場合に凝集測定用緩衝液中で凝集性を示した。この凝集性は、マンノース、グルコース、マルトースによって阻害され、フラクトースによってもある程度阻害されたが、ガラクトースによっては阻害を受けなかった。これらのことから、Lg-FLO1遺伝子全長断片を導入することによって、実験酵母にビール酵母型凝集性を付与することができると結論された。
【0049】
〔実施例2〕 Lg-FLO1 遺伝子のコード領域のPCRによる取得と実験酵母への導入および評価
KF14の挿入断片のベクターに連結された部分の近傍に関し、上記の方法で塩基配列の決定を行なった。その結果、KF1の挿入断片の5'上流49bpの部分にLg-FLO1遺伝子の翻訳開始部位と思われる部位が存在していた。この開始コドンの5'上流58bpの位置から3'方向へのPCR用プライマー、primerKTF7 [5'CCCCAAGCTTGCTCTGCAGTAAATTCCGCA3'、図3 (14)]を合成した。また、先に決定したpKF-Kpn11の挿入断片の塩基配列をもとに、Lg-FLO1遺伝子のコード領域の終始コドンの3'下流53bpの位置から5'方向へのPCR用プライマー、primerKTORFA [5'CGGAATTCTAAACACTATAAGCGTGATGATAG3'、図3 (15)])を、合成した。これら2種のプライマーを用い、凝集性減数体KMS004株のDNAの2μgを鋳型として、LA-PCRキットを用いてPCRを行なった。反応は、94℃30秒、60℃1分、72℃3分30秒のサイクルを30サイクル繰り返すことによって行なった。その反応生成物を0.8%アガロースを用いて電気泳動した結果、約5.8kbの断片 [図3 (16)]が増幅されているのが観察された。以降、この断片をLg-FLO1ORF断片と呼ぶ。Lg-FLO1ORF断片は5'末端にHindIII部位、3'末端にEcoRI部位が存在するようにデザインされたプライマーによってPCR増幅されている。この断片を、HindIIIおよびEcoRIで消化し、酵母発現用ベクターpYES2(インビトロジェン社)のGAL1遺伝子のプロモーターの下流に正方向に挿入されるよう、HindIII〜EcoRI部位に連結し、リチウム法によって直接上述のKY644株に導入した。得られた形質転換体のDNAのサザン解析を実施し、Lg-FLO1ORF断片が導入されていることが確認された株の内の1株をKY646株と命名した。また、KY646株の持つプラスミドをYESKT2と命名した。KY646株と、ベクターであるpYES2のみがKY644株に導入されている株(KY649株と命名)に関して、表1に記載した培地で20℃、振とう条件下で静止期に達するまで培養後、前述の方法で、凝集性の性格付けを行なった。その結果を表3に示す。
【0050】
【表3】
Figure 0003643404
【0051】
KY649株ではどの条件においても凝集性を示さなかったのに対し、Lg-FLO1ORF断片を含むKY646株では、糖を加えない場合に凝集測定用緩衝液中で凝集性を示した。この凝集性は、KY650株の凝集性と同様、ビール酵母型凝集性であり、すなわち、マンノース、グルコース、マルトースによって阻害され、フラクトースによってもある程度阻害されたが、ガラクトースによっては阻害を受けなかった。これらのことから、GAL1遺伝子のプロモーターの制御を受けたLg-FLO1ORF断片を導入することによって、実験酵母にビール酵母型凝集性を付与することができると結論された。すなわち、Lg-FLO1ORF断片中に、Lg-FLO1遺伝子のコード領域が存在していると結論された。
【0052】
〔実施例3〕 Lg-FLO1 遺伝子中のビール酵母型凝集を支配する領域の特定
Lg-FLO1遺伝子中のビール酵母型凝集を支配する領域を特定するために、図5に示すような方法で、Lg-FLO1とSc-FLO1[Watari ら(Yeast, 10, 211-225 (1994))の公表した実験酵母型FLO1遺伝子] のキメラ遺伝子を作成し、その凝集性を調査した。Lg-FLO1ORF断片をXhoIおよびKpnIで消化し、クレノウフラグメントをもちいて末端を平滑化後、pUC118のHincII部位にクローニングした。得られた形質転換体の内、約1kbの挿入断片を持つ1クローンを選び、挿入断片の塩基配列を決定した。その結果をもとに、Lg-FLO1遺伝子の開始コドンより3'下流639bp目から5'方向へのプライマー、primerKTF8(5'CGGGATCCATCTGGCAATACCACACTAACA3')を合成した。primerKTF7およびprimerKTF8を用い、凝集性減数体KMS004株のDNAの2μgを鋳型として、LA-PCRキットを用いてPCRを行なった。反応は、94℃30秒、60℃1分、72℃3分30秒のサイクルを30サイクル繰り返すことによって行なった。その反応生成物を0.8%アガロースを用いて電気泳動した結果、約0.7kbの断片が増幅されているのが観察された。以降、この断片をLg-FLO1N末断片と呼ぶ。得られた断片を、PCR産物クローニング用ベクターであるpT7Blue(ノヴァジェン社)にクローニングし、4つの独立なクローンについて、挿入断片の塩基配列を両方向から決定した。4つのクローンは全て同一の挿入断片を有していた。得られた塩基配列を配列表の配列番号3に示す。この中の1クローンをKNTA1と命名した。Lg-FLO1N末断片は5'末端にHindIII部位、3'末端にBamHI部位が存在するようにデザインされたプライマーによってPCR増幅されている。KNTA1をHindIIIおよびBamHIで消化し、ベクターから分離された挿入断片を電気泳動後のゲルから切り出し、上述の方法で精製し、pYES2のGAL1遺伝子のプロモーターの下流に正方向に挿入されるよう、HindIII〜BamHI部位にクローニングし、得られたプラスミドをKNYESと命名した。このプラスミドKNYES を含む大腸菌(Escherichia coli) EKB707 は、平成7 年1 月27日付けで工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託され、寄託番号FERM BP-4983が付与されている。
【0053】
Watariら[Yeast, 10, 211-225 (1994)]の公表した実験酵母型FLO1遺伝子(以降、Sc-FLO1遺伝子と呼ぶ)の塩基配列をもとに、開始コドンから3'下流721bp目より、3'方向へのプライマー、primerWtF1N(5'CGGGATCCACTGTAAGTGATGACTTCGAAG3')および、終止コドンの3'下流58bp目より、5'方向へのプライマー、primerFLID4(5'CGGAATTCTCAGCGTATAATTAGCAAAGAA3')を合成し、これら2種のプライマーを用い、ABXL-1D株のDNAの2μgを鋳型として、LA-PCRキットを用いてPCRを行った。反応は、94℃30秒、60℃1分、72℃3分30秒のサイクルを30サイクル繰り返すことによって行った。その反応生成物を0.8%アガロースを用いて電気泳動した結果、約3.9kbの断片が増幅されているのが観察された。以降、この断片をSc-FLO1C末断片と呼ぶ。Sc-FLO1C末断片は、5'末端にBamHI部位、3'末端にEcoRI部位が存在するようにデザインされたプライマーによってPCR増幅されている。この断片を、BamHIおよびEcoRIで消化し、先に構築したKNYESのLg-FLO1N末断片の下流に正方向に挿入されるよう、BamHI〜EcoRI部位に連結した。この結果、Sc-FLO1遺伝子のコード領域のアミノ基末端から240アミノ酸に相当する部分が、Lg-FLO1遺伝子のアミノ基末端から213アミノ酸に相当する部分と置き換わった、キメラFLO1タンパクをコードする遺伝子が構築されることが期待される。連結反応生成物を、リチウム法によって直接上述のKY644株に導入した。得られた形質転換体のDNAのサザン解析を実施し、Lg-FLO1N末断片とSc-FLO1C末断片のキメラ遺伝子が導入されていることが確認された株の内の1株をKY648株と命名した。また、この株の持つプラスミドをKNWtC3と命名した。
【0054】
また、Sc-FLO1遺伝子の開始コドンの5'上流-69bp目より、3'方向へのプライマー、primerFLID1(5'CCCCAAGCTTTCGTTTGATGTAAGCTCTCT3')を合成した。primerFLID1およびprimerFLID4をプライマーとして用い、ABXL-1D株のDNAの2μgを鋳型として、LA-PCRキットを用いてPCRを行なった。反応は、94℃30秒、60℃1分、72℃3分30秒のサイクルを30サイクル繰り返すことによって行なった。その反応生成物を0.8%アガロースを用いて電気泳動した結果、約4.8kbの断片が増幅されているのが観察された。以降、この断片をSc-FLO1ORF断片と呼ぶ。Sc-FLO1ORF断片は、5'末端にHindIII部位、3'末端にEcoRI部位が存在するようにデザインされたプライマーによってPCR増幅されている。この断片を、HindIIIおよびEcoRIで消化し、pYES2のGAL1遺伝子のプロモーターの下流に正方向に挿入されるよう、HindIII〜EcoRI部位に連結し、リチウム法によって直接上述のKY644株に導入した。得られた形質転換体のDNAのサザン解析を実施し、Sc-FLO1ORF断片が導入されていることが確認された株の内の1株をKY647株と命名し、凝集性の比較のために用いた。また、この株の持つプラスミドをYESWt1と命名した。
【0055】
KY647株、KY648株および先述のKY649株に関し、表1に記載した培地で20℃、振とう条件下で静止期に達するまで培養後、前述の方法で、凝集性の性格付けを行なった。その結果を表4に示す。
【0056】
【表4】
Figure 0003643404
【0057】
KY649株ではどの条件においても凝集性を示さなかったのに対し、Lg-FLO1N末断片とSc-FLO1C末断片のキメラ遺伝子を含むKY648株および、Sc-FLO1ORF断片を含むKY647株では、糖を加えない場合に凝集測定用緩衝液中で凝集性を示した。KY648株の凝集性は、KY650株と同様、マンノース、グルコース、マルトースによって阻害され、フラクトースによってもある程度阻害されたが、ガラクトースによっては阻害を受けなかった。これに対し、KY647株の凝集性は、マンノースによってのみ阻害され、グルコース、マルトース、フラクトースおよびガラクトースによっては阻害を受けなかった。すなわち、Sc-FLO1ORF断片は実験酵母型凝集性を付与するのに対し、その開始コドンから3'方向へ720bp目より5'上流の部分を、Lg-FLO1遺伝子の開始コドンから3'方向へ639bp目までと置き換えることによって、作られたキメラ遺伝子が付与する凝集性はビール酵母型へと転換された。これらのことから、ビール酵母型凝集性の付与に深く関与しているのは、Lg-FLO1ORF断片の中の、Lg-FLO1N末断片、すなわち、配列表の配列番号3に示された配列であると結論された。
【0058】
〔実施例4〕 Lg-FLO1遺伝子破壊ビール酵母の評価
(1)Lg-FLO1遺伝子破壊用プラスミドの作製
Lg-FLO1遺伝子破壊用プラスミドは、図6、図7に示すように作製した。プラスミドpUC18をKpnIで消化後、クレノウフラグメントを用いて末端を平滑化したDNA断片をセルフライゲーションし、プラスミドpUC18ΔKを作製した。このプラスミドをHincIIで消化後、KpnIリンカー(GGGTACCC)を挿入し、プラスミドpUC18±Kを作製した。このプラスミドのEcoRI〜BamHI部位間に、プラスミドKF14から取得した0.9kbのEcoRI-BamHI断片(5'隣接領域を含む)を挿入し、プラスミドpKF5B1を作製した。
【0059】
プラスミドpKF-Kpn11から取得した1.7kb HincII-PvuII断片(3'隣接領域を含む)をプラスミドpUC118のSmaI部位に挿入して得たプラスミドpKF3HPから、1.7kb BamHI-KpnI断片を取得し、プラスミドpKF5B1のBamHI-KpnI部位間に挿入して、プラスミドpKF53-1を作製した。
酵母のGPD(グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ)遺伝子のプロモーター領域(1.0 kb)と酵母のPGK(ホスホグリセレートキナーゼ)遺伝子のターミネーター領域(0.4kb)を有するプラスミドpSY114P(特開平2-265488号公報)をSmaI消化後、HindIIIリンカー(CAAGCTTG)を連結し、HindIII消化後セルフライゲーションしてプラスミドpSY114Hを作製した。このプラスミドのHindIII部位に、ブラストサイジンS耐性遺伝子を有するプラスミドpSV2bsr(フナコシ)の0.5kb HindIII断片を挿入し、プラスミドpGPDBSRを作製した。このプラスミドをSalIで消化後、クレノウフラグメントで末端を平滑化し、1.9kbのDNA断片を取得した。このDNA断片と、プラスミドpKF53-1をBamHI消化後、クレノウフラグメントで末端を平滑化したDNA断片を連結し、プラスミドpKF53BSR19を作製した。
【0060】
(2)ビール酵母の形質転換
ビール酵母の形質転換は、電気パルス法を用いた。200mlのYPD培地でOD600が約7になるまで培養した凝集性ビール酵母を、無菌水で2回、1Mソルビトールで2回洗浄後、1mlの1Mソルビトールに再懸濁した。このうちの50μlの酵母懸濁液に、プラスミドpKF53BSRをEcoRIで消化したDNA断片2.7μgと10μgのサケ***DNA(シグマ)を加え、5分放置後、ジーンパルサー(バイオラッド社)の0.2cmセルを用いて、1.5KV、25μF、200Ωの電気パルスをかけた。この懸濁液に、1mlの1mソルビトールと400μlのYPDを加え、30℃で4時間振盪培養した後、50μg/mlのブラストサイジンS(フナコシ)を含むYPD寒天培地に塗布し、30℃で3日間培養した。出現した形質転換体について、サザン解析を実施し、Lg-FLO1遺伝子が破壊されていることを確認した。このようにして得られたLg-FLO1遺伝子が破壊されたビール酵母の凝集性を評価したところ、非凝集性へと転換していた。
【0061】
〔実施例5〕 Lg-FLO1 遺伝子とSc-FLO1 遺伝子のN末端領域の推測されるアミノ酸配列の比較
実施例3によって、Lg-FLO1 遺伝子のN末端領域213 アミノ酸の配列によって、ビール酵母型凝集性は支配されていることが示された。そこで、Lg-FLO1 遺伝子とSc-FLO1 遺伝子のこの部分の推測されるアミノ酸配列を比較した。その結果、図8に示す通り、以下の特徴的な差異が両者の間に観察された。1) Lg-FLO1遺伝子では、Sc-FLO1 遺伝子の84番目のアミノ酸から110 番目のアミノ酸に相当する27アミノ酸が欠失している。2) Sc-FLO1遺伝子で数えて123 番目のアミノ酸までは、Sc-FLO1 遺伝子とLg-FLO1 遺伝子の相同性は比較的低い。3) Sc-FLO1遺伝子で数えて124 番目のアミノ酸以降は、Sc-FLO1 遺伝子とLg-FLO1 遺伝子の相同性は高い。
【0062】
これらの結果を踏まえて、Sc-FLO1 とLg-FLO1 のキメラ遺伝子及び、Sc-FLO1 の84番目のアミノ酸から110 番目のアミノ酸に相当する27アミノ酸の部分を欠失させた遺伝子を作成した。これらの改変FLO1遺伝子のN末端領域は、「PCR実験マニュアル」(M. A. Innisら編、斉藤 隆監訳、HBJ 出版、1991) のp.155 〜160 に記載された、リコンビナントPCR 法を用いて作成した。このようにして作成された改変FLO1遺伝子のN末端領域の断片を、実施例3中のプラスミドKNWtC3のHindIII 〜BamHI 部位(GAL1 のプロモーターとSc-FLO1 C末断片の間) に正方向に連結し、酵母KY644 株に導入した。得られた形質転換体の培養及び凝集性の評価は、実施例3と同様の方法で行った。結果を図9に示す。Sc-FLO1 遺伝子で数えて46、68、83番目のアミノ酸に相当する部分までがLg-FLO1 遺伝子由来で、それ以降がSc-FLO1 遺伝子由来であるキメラFLO1遺伝子を持つ株(それぞれ、KY707 、KY708 、KY709)は、Sc-FLO1 遺伝子を持つ株(KY706) と同様、強い実験酵母型凝集を示したのに対し、Sc-FLO1 遺伝子で数えて124 番目のアミノ酸(Lg-FLO1遺伝子で数えた場合は97番目のアミノ酸) に相当する部分までがLg-FLO1 遺伝子由来で、それ以降がSc-FLO1 遺伝子由来であるキメラFLO1遺伝子を持つ株は、実施例3に示したKY648 株やKY646 株と同様の、弱いビール酵母型凝集を示した。一方、Sc-FLO1 遺伝子の84番目のアミノ酸から110 番目のアミノ酸に相当する27アミノ酸の部分を欠失させた改変FLO1遺伝子を持つKY711 株は、弱い実験酵母型凝集を示した。以上の結果から、Lg-FLO1 遺伝子のビール酵母型凝集に関与する部分は、Lg-FLO1 遺伝子で数えて84番目のアミノ酸から97番目のアミノ酸までの14アミノ酸に相当する部分、すなわち配列表の配列番号2に示されたアミノ酸配列をコードする、配列番号4に示された配列であることが示された。
【0063】
【配列表】
Figure 0003643404
Figure 0003643404
【0064】
Figure 0003643404
【0065】
Figure 0003643404
Figure 0003643404
【0066】
Figure 0003643404

【図面の簡単な説明】
【図1】ビール酵母およびその減数対のFLO1遺伝子に関するサザンおよびノザン解析による電気泳動の結果(写真)を示す。
【図2】 Lg-FLO1 遺伝子の制限酵素地図を示す。
【図3】 inverse PCR によるLg-FLO1 遺伝子の全長クローニングの概念図を示す。
【図4】 Lg-FLO1 遺伝子全長断片の制限酵素地図を示す。
【図5】 Lg-Sc-キメラFLO1遺伝子構築の概念図を示す。
【図6】 Lg-FLO1 遺伝子破壊用プラスミドの構築図を示す。
【図7】 Lg-FLO1 遺伝子破壊用プラスミドの構築図(続き)を示す。
【図8】 Lg-FLO1 遺伝子とSc-FLO1 遺伝子のN末部分の推測されるアミノ酸配列の比較を示す。
【図9】 各種の改造型 FLO1 遺伝子を持つ株の凝集の表現型を示す。

Claims (17)

  1. 配列番号1に示すアミノ酸配列において84番目〜97番目のアミノ酸配列を含むポリペプチド、または該ポリペプチドのアミノ酸配列において1個若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ酵母にビール酵母型凝集性を付与する活性を有するポリペプチドをコードするDNAまたはその相補鎖。
  2. 配列番号1に示すアミノ酸配列において25番目〜97番目のアミノ酸配列を含むポリペプチド、または該ポリペプチドのアミノ酸配列において1個若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ酵母にビール酵母型凝集性を付与する活性を有するポリペプチドをコードするDNAまたはその相補鎖。
  3. 配列番号1に示すアミノ酸配列において25番目〜213番目のアミノ酸配列を含むポリペプチド、または該ポリペプチドのアミノ酸配列において1個若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ酵母にビール酵母型凝集性を付与する活性を有するポリペプチドをコードするDNAまたはその相補鎖。
  4. 配列番号1に示すアミノ酸配列からなるポリペプチド、または該ポリペプチドのアミノ酸配列において1個若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ酵母にビール酵母型凝集性を付与する活性を有するポリペプチドをコードするDNAまたはその相補鎖。
  5. 配列番号3に示す塩基配列において308番目〜349番目の塩基配列を含む、DNAまたはその相補鎖。
  6. 配列番号3に示す塩基配列において131番目〜349番目の塩基配列を含む、DNAまたはその相補鎖。
  7. 配列番号3に示す塩基配列において131番目〜697番目の塩基配列を含む、DNAまたはその相補鎖。
  8. 配列番号3に示す塩基配列の59番目〜697番目の塩基配列からなる、DNAまたはその相補鎖。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のDNAを含むプラスミド。
  10. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のDNAで形質転換された酵母。
  11. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のDNAを酵母細胞に導入することを含む、ビール酵母型凝集性が付与または強化された酵母の製造方法。
  12. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のDNAを破壊することによって、ビール酵母型凝集性を付与する活性を有するポリペプチドを発現させる能力を欠失または減少させたDNAを調製し、該DNAを酵母細胞に、該酵母細胞の染色体上の対応する DNA と相同組換えが起こるように導入することを含む、ビール酵母型凝集性が欠失または減少した酵母の製造方法。
  13. 請求項11に記載の方法により製造された、ビール酵母型凝集性が付与または強化された酵母。
  14. 請求項12に記載の方法により製造された、ビール酵母型凝集性が欠失または減少した酵母。
  15. 請求項13に記載の酵母を適当な培地中で培養して醸造製品を得ることを含む、醸造製品の製造方法。
  16. 請求項14に記載の酵母を適当な培地中で培養して醸造製品を得ることを含む、醸造製品の製造方法。
  17. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のDNAを保持する酵母において、アンチセンスRNA法によって該DNAの発現を抑制することを含む、酵母のビール酵母型凝集性を欠失または減少させる方法。
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