JPH08270A - 酵母凝集遺伝子flo8 - Google Patents

酵母凝集遺伝子flo8

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JPH08270A
JPH08270A JP6141520A JP14152094A JPH08270A JP H08270 A JPH08270 A JP H08270A JP 6141520 A JP6141520 A JP 6141520A JP 14152094 A JP14152094 A JP 14152094A JP H08270 A JPH08270 A JP H08270A
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JP
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yeast
gene
asn
dna
ser
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JP6141520A
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Osamu Kobayashi
統 小林
Hidetaka Sone
秀隆 曽根
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Kirin Brewery Co Ltd
Original Assignee
Kirin Brewery Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 酵母凝集遺伝子およびその利用方法の提供。 【構成】 酵母に凝集性を付与する活性を有するFLO
8蛋白、FLO8蛋白をコードするFLO8遺伝子DN
A、前記DNAを含むベクター、前記FLO8遺伝子D
NAを利用して、凝集性を付与または強化された酵母を
製造する方法および凝集性が欠失または減少した酵母を
製造する方法、並びに、前記FLO8遺伝子の発現を抑
制することによって、酵母の凝集性を欠失または減少さ
せる方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酵母凝集遺伝子および
その利用に関し、さらに詳細には、酵母に凝集性を付与
する活性を有するFLO8蛋白、FLO8蛋白をコード
するFLO8遺伝子DNA、前記DNAを含むベクタ
ー、前記FLO8遺伝子DNAを利用して、凝集性を付
与または強化された酵母を製造する方法および凝集性が
欠失または減少した酵母を製造する方法、並びに、前記
FLO8遺伝子の発現を抑制することによって、酵母の
凝集性を欠失または減少させる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ビール、ワイン等の酒類において、その
醸造に供される酵母の凝集性がその製品の香味を左右す
るばかりでなく、醸造工程の作業性からも重要であるこ
とは、周知の事実である。そのため、これまでにも多く
の酵母凝集に関する研究がなされている。また、その他
にも、排水処理の分野でも酵母凝集の研究は盛んに行わ
れている。
【0003】これらの産業上重要な性質である酵母の凝
集性に関する膨大な研究にもかかわらず、酵母凝集の機
構は未だ明かにされておらず、酵母自体の改良による凝
集性の制御は成功していない。長年に渡る酵母の遺伝子
レベルの研究から、酵母の凝集性に関与する遺伝子とし
て、FLO1、flo3、FLO5、FLO8、sfl
1、fsu1、fsu2、tup1、cyc8、cka
2、FMC1等の遺伝子、およびミトコンドリアDNA
中のoli1、oxi2遺伝子の存在がこれまでに確認
されてきた。
【0004】これらの酵母の凝集性に関与する遺伝子の
分子レベルでの研究としては、FLO1遺伝子の単離と
その解析がなされている(YEAST, 9, 423 (1993)および
YEAST, 10, 211 (1994) )。また、FLO5遺伝子の単
離とその解析についても報告されており、そこでは、F
LO5遺伝子はこれまでに報告されているFLO1遺伝
子と存在位置が異なるものの、制限地図およびDNA塩
基配列がほぼ同等であることが示されている(J. Inst.
Brew., 85, 95 (1979) およびCurr. Genet.,25, 196
(1994))。
【0005】しかしながら、これらの遺伝子の分子レベ
ルでの解析は十分なものではなく、これらの遺伝子が酵
母の凝集にどのようなメカニズムで関与しているのかは
明かにされていない。また、FLO1およびFLO5遺
伝子以外の酵母の凝集性に関与する遺伝子については、
単離やその構造解析すら行われておらず、これらの遺伝
子がコードしている蛋白についても全く報告されていな
い。
【0006】上記のような酵母の凝集性に関与する遺伝
子を利用して、酵母の凝集能を改良する試みとしては、
サッカロマイセス・セレビシエの凝集性遺伝子であるF
LO1遺伝子の導入による非凝集性酵母への凝集性の付
与の報告があり、ここで取得されている形質転換体の凝
集能は発酵の初期から発現し、この形質転換されたビー
ル酵母の発酵は親株よりも遅れ気味であることが報告さ
れている(醸造協会誌88 p665(1993)) 。従って、この
FLO1遺伝子による酵母への凝集性付与は好ましい様
式で制御されているとは言い難く、実用化のためには更
なる改良が必要であった。
【0007】FLO1遺伝子以外の遺伝子を利用する試
みとしては、細胞融合法を用いたFLO5遺伝子による
酵母への遺伝形質の付与が試みられ、その遺伝形質付与
の有用性が示された(J.Inst. Brew., 98, 315 (199
2))。しかしながら、遺伝形質導入法が細胞融合法であ
るために、目的とする形質をもつ酵母を取得するのが困
難であるばかりでなく、取得された細胞融合株には目的
とする凝集関連遺伝子以外のDNA配列も導入されてし
まい、たとえば、実験酵母の持つ、ビールにフェノール
臭を付加するPOF1遺伝子も同時に導入される(Proc. Eu
r. Brew. Conv. 497 (1981)) という問題を生じてい
た。
【0008】以上のように、これまで試みられてきた酵
母の凝集に関与する遺伝子を用いる酵母の凝集能の改良
は、実用に耐えうるものではなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、酵
母に凝集性を付与する活性を有するFLO8蛋白を提供
することを目的とする。また、本発明は、酵母の凝集性
に関与するFLO8遺伝子DNAを提供することを目的
とする。
【0010】さらに、本発明は、上記のFLO8遺伝子
DNAを含有するベクターを提供することを目的とす
る。さらにまた、本発明は、凝集性が付与または強化さ
れた酵母の製造方法を提供することを目的とする。ま
た、本発明は、凝集性が欠失した酵母の製造方法を提供
することも目的とする。
【0011】さらに、本発明は、酵母の凝集性を欠失ま
たは減少させる方法を提供することも目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、FLO8
遺伝子を単離してその構造を明らかにし、次いでこのF
LO8遺伝子を導入することによってFLO8蛋白を非
凝集性の酵母内で生成せしめたところ、酵母の凝集が引
き起こされることを見出した。さらに、本発明者らは、
FLO8遺伝子を破壊したものを凝集性の酵母に導入す
ることにより、その酵母を非凝集性に転換させることに
成功して、本発明を完成させるに至った。すなわち、本
発明は、実質的に配列表の配列番号1に示したアミノ酸
配列を有するFLO8蛋白を提供する。また、本発明
は、実質的に配列表の配列番号1に示したアミノ酸配列
を有するFLO8蛋白をコードする塩基配列を含むFL
O8遺伝子DNAを提供する。さらに、本発明は、酵母
に凝集性を付与する活性を有するFLO8蛋白をコード
する塩基配列を含み、以下の(a)および(b)から成る群よ
り選択されるDNAを提供する。
【0013】(a) 配列表の配列番号2に示した塩基配列
のうち267番目の塩基から2453番目の塩基までの配列を
含むDNAまたはその相補鎖、および(b) (a)のDNA
またはその断片とハイブリダイズするDNA
【0014】さらにまた、本発明は、プラスミドpF415-
1 、p7H12 、pNEOF8、pYESF8またはpLF8に組み込まれ、
酵母に凝集性を付与する活性を有するFLO8蛋白をコ
ードする塩基配列を含むDNAを提供するものである。
また、本発明は、前記のDNAを含むベクターを提供す
る。さらに、本発明は、前記のDNAを導入することを
特徴とする、凝集性が付与または強化された酵母の製造
方法を提供する。さらにまた、発明は、前記のDNAを
破壊することによって、FLO8蛋白を発現させる能力
を欠失または減少させたDNAを導入することを特徴と
する、凝集性が欠失または減少した酵母の製造方法を提
供する。また、本発明は、前記のDNAの発現を抑制す
ることによって、酵母の凝集性を欠失または減少させる
方法も提供する。
【0015】酵母細胞間の凝集は、a型細胞とα型細胞
間の性的凝集、出芽娘細胞の母細胞からの未分離、非性
的凝集などに起因することが知られているが、本発明
は、これらのうちの非性的凝集の制御を目的とする。以
下、本発明を詳細に説明する。なお、本明細書では、
「DNA」、「遺伝子」、および「遺伝子DNA」とい
う用語を実質的に同義のものとして用いることとする。
【0016】〈FLO8蛋白〉本発明はFLO8蛋白を
包含する。FLO8蛋白は、酵母、特にサッカロマイセ
ス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)から誘導
されうるものであり、酵母に凝集性を付与することがで
きる性質を有する。なお、ここでいうサッカロマイセス
・セレビシエは、The yeast, a taxonomic study 3rd.
Edition (ed. by. N. J. W. Kreger-van Rij. Elsevier
Science Publisher B. V., Amsterdam(1984), p379)に
記載されているところのサッカロマイセス・セレビシエ
およびそのシノニムないし変異体を含むものである。F
LO8蛋白は、実質的に配列表の配列番号1に示したア
ミノ酸配列を有する。「実質的に配列表の配列番号1に
示したアミノ酸配列」とは、「配列表の配列番号1に示
したアミノ酸配列」に加えて、酵母に凝集性を付与する
活性を有する限りにおいて、配列表の配列番号1に示し
たアミノ酸配列が改変されたアミノ酸配列、すなわち配
列表の配列番号1に示したアミノ酸配列の一部にアミノ
酸が付加、挿入、削除、欠失または置換されたアミノ酸
配列を含むものである。
【0017】理論に拘泥するわけではないが、本発明の
FLO8遺伝子の産物であるFLO8蛋白は、FLO1
遺伝子を活性化してその転写量を増加させることによっ
て、酵母の凝集を引き起こすと考えられる。ここで、F
LO8蛋白により活性化されて酵母に凝集性を付与でき
る、あるいは、酵母の凝集性を強化できるFLO1遺伝
子は、これまで報告されている強い凝集性を示す酵母由
来のFLO1遺伝子のみならず、強い凝集性を示さず、
これまで非凝集性であると報告されてきた酵母由来のF
LO1遺伝子であってもよい。
【0018】本発明のFLO8蛋白は、以下に記載する
FLO8遺伝子を適当な宿主、特に酵母に導入して発現
させることによって、生産することができる。
【0019】〈FLO8遺伝子〉本発明はFLO8遺伝
子DNAを包含する。ここで、「FLO8遺伝子DN
A」とは、酵母に凝集性を付与する活性を持つFLO8
蛋白質をコードする塩基配列を含むDNAをいうものと
する。
【0020】具体的には、本発明は、実質的に配列表の
配列番号1に示したアミノ酸配列を有する蛋白をコード
する塩基配列を含むFLO8遺伝子DNAを包含する。
なお、ここでいう「アミノ酸配列を有する蛋白をコード
する塩基配列」とは、縮重関係にあるすべての塩基配列
を意味している。このようなFLO8遺伝子DNAは、
例えば以下のようにして取得することができる。まず、
凝集性酵母遺伝子ライブラリーを大腸菌酵母シャトルベ
クターを用いて作成し、このライブラリーにより非凝集
性酵母を形質転換し、次いで凝集性を示すようになった
クローンから凝集性遺伝子をクローニングする。
【0021】ひとたび、FLO8遺伝子DNAが取得さ
れれば、このDNAの一部をプローブとして使用して、
プラークハイブリダイゼーション、コロニーハイブリダ
イゼーション、ポリメラーゼ・チェイン・リアクション
(PCR)などの手段によりこれと同じまたはこれと相
同な他の遺伝子DNAを取得することができる。これら
の方法は、いずれも当該分野に関わる当業者に周知であ
って、容易に実施できるものである。
【0022】本発明のFLO8遺伝子DNAを取得する
ための有用な遺伝子源としては、Saccharomyces 属の酵
母の他、Saccharomyces 属と近縁の酵母などを使用する
ことができる。
【0023】別の見地からすると、本発明は、酵母に凝
集性を付与する活性を有するFLO8蛋白をコードする
塩基配列を含み、以下の(a)および(b)から成る群より選
択されるDNAを包含する。 (a) 配列表の配列番号2に示した塩基配列のうち267番
目の塩基から2453番目の塩基までの配列を含むDNAま
たはその相補鎖。 (b) (a)のDNAまたはその断片とハイブリダイズする
DNA。
【0024】(a)のDNAは、配列表の配列番号2に示
した塩基配列のうち267番目の塩基から2453番目の塩基
までの配列以外に、他の塩基ないしは塩基配列、例え
ば、配列表の配列番号2に示した塩基配列のうち267番
目の塩基から2453番目の塩基までの配列以外の塩基ない
しは塩基配列等を含んでもよく、また、それらの相補鎖
であってもよい。
【0025】(b)のDNAは、特にその塩基配列を示し
ていないが、配列表の配列番号2に示した塩基配列のう
ち、267番目の塩基から2453番目の塩基までの配列の中
から比較的塩基数の少ない配列を選択し、この配列を含
むDNAをプローブとして、酵母の染色体遺伝子ライブ
ラリーから、プラークハイブリダイゼーション、コロニ
ーハイブリダイゼーション、PCRなどの手法を用いて
容易に取得することができる。ハイブリダイゼーション
において、相補性が完全でない核酸配列の検出を実施す
るためには、プローブとの接触条件を緩くすればよい。
ハイブリダイゼーションの代表的な方法としては、6×
SSC(0.9M塩化ナトリウム、0.09Mクエン酸ナトリ
ウム)、5×デンハルト液(0.1%ポリビニルピロリド
ン、0.1%フィコール、0.1%牛血清アルブミン)、0.5
%SDS、10μg/ml一本鎖サケ***DNAを含む水溶
液中で、60℃で一晩プローブと接触させた後、2×SS
C(0.3M塩化ナトリウム、0.03Mクエン酸ナトリウ
ム)、0.1%SDSを含む水溶液を用い、60℃で結合し
なかったプローブを除去する方法を挙げることができ
る。相補性がさらに低い核酸の検出は、プローブとの接
触時のSSCの濃度を上げる、あるいは、温度を下げ
る、または、結合しなかったプローブを除去する際のS
SCの濃度を上げる、あるいは、温度を下げることによ
り実施可能である。プローブとしてのDNAの鎖長は、
それが短かすぎると十分にハイブリダイゼーションが起
こらないので、好ましくは少なくとも20塩基であり、さ
らに好ましくは100塩基以上である。このプローブを適
用すべき遺伝子ライブラリーは、好ましくは、酵母の染
色体を化学的手段または物理的手段、例えば制限酵素ま
たは超音波で切断して得られた5×103 塩基〜30×103
塩基の範囲のほぼ等しい鎖長のDNAをベクターに組み
込んでなるDNAからなる。このようなベクターつきの
DNAのライブラリーからのプローブによる相同性DN
Aの回収、ならびに、回収された目的のベクター付きD
NAのクローニング、例えば酵母細胞によるクローニン
グは、遺伝子工学において既に周知の手法に従って実施
することができる。その詳細については、たとえば、Mo
lecular Cloning, Cold Spring Harbor Laboratory(198
9)を参照されたい。このような手法の具体例として、ビ
ール酵母のアルコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝
子の一部をプローブとしたビール酵母の該遺伝子の相同
遺伝子の取得に用いた方法(特開平6−62849)を
あげることができる。この方法により取得された相同遺
伝子はアルコールアセチルトランスフェラーゼ活性を有
していた。
【0026】また別の見地からすると、本発明は、プラ
スミドpF415-1 、p7H12 、pNEOF8、pYESF8またはpLF8に
組み込まれ、酵母に凝集性を付与する活性を有するFL
O8蛋白をコードする塩基配列を含むDNAも包含す
る。プラスミドpF415-1 を導入した大腸菌JM109 、およ
び、プラスミドpLF8を導入した大腸菌DH5 αは、それぞ
れ、工業技術院生命工学工業技術研究所に平成6年5月
10日付けで寄託され、それらの微生物受託番号はFERM B
P-4664およびFERM BP-4665である。このようなDNAの
ひとつとしては、プラスミドpF415-1 に組み込まれ、図
1に示した制限地図を有する約11.2kbのDNA断片を挙
げることができる。
【0027】以上に記載した本発明のDNAを総称し
て、以下、「FLO8遺伝子DNA」ということとす
る。本発明のFLO8遺伝子DNAは、天然物由来のも
のでも、全合成したものでも、あるいは天然物由来のも
のの一部を利用して合成を行ったもの、すなわち半合成
のものでもよい。
【0028】〈形質転換〉本発明のFLO8遺伝子DN
Aを導入することにより、凝集性が付与あるいは強化さ
れた酵母を得ることができる。
【0029】FLO8遺伝子DNAを導入する方法とし
ては、遺伝子工学の分野において慣用されているものを
用いればよく、それを慣用基準(ANALYTICAL BIOCHEMIS
TRY163. 391 (1987)等)に準じて実施すればよい。具体
的には、所望のDNAをベクターに組み込んでこれを酵
母に導入する方法、ベクターに組み込まずに直接酵母に
導入する方法等を挙げることができる。
【0030】上記のDNAをベクターに組み込んでこれ
を酵母に導入する方法において、使用可能なベクターと
しては、たとえば、YRp系(酵母染色体のARS配列
を複製起点とする酵母用マルチコピーベクター)、YE
p系(酵母の2μmDNAの複製起点を持つ酵母用マル
チコピーベクター)、YCp系(酵母染色体のARS配
列を複製起点として持ち、かつ酵母染色体のセントロメ
アのDNA配列を持つ酵母用シングルコピーベクタ
ー)、YIp系(酵母の複製起点を持たない酵母染色体
組み込み用ベクター)等の酵母用として知られている全
てのものを用いることができる。これらのベクターは文
献に記載されており(医学出版センター刊、「酵母のニ
ューバイオテクノロジー」、p284)、容易に作製するこ
とができる。
【0031】ベクターに組み込まずに直接酵母にDNA
を導入する手法の代表的なものとしては、薬剤耐性遺伝
子等のマーカー遺伝子を持つプラスミドと導入する遺伝
子DNAとで同時に酵母を形質転換する共形質転換法を
あげることができる(特公平5−60918号)。
【0032】上記のような方法において、導入した遺伝
子DNAを酵母中で発現させるため、あるいは発現を増
加もしくは減少させるためには、転写および翻訳を制御
するユニットであるプロモーターを本発明のFLO8遺
伝子DNAの5’−上流域に、ターミネーターを3’−
下流域にそれぞれ組み込めば良い。このプロモーターお
よびターミネーターとしては、FLO8遺伝子それ自身
に由来するものの他、アルコールデヒドロゲナーゼ遺伝
子(J. Biol. Chem., 257, 3018 (1982))、ホスホグリ
セレートキナーゼ遺伝子(Nucleic Acids Res., 10, 77
91 (1982))、グリセロールアルデヒド−3−燐酸デヒ
ドロゲナーゼ遺伝子(J. Biol. Chem.,254, 9839 (197
9))等の既に知られている遺伝子由来のもの、もしく
は、人工的にそれを改良したものを使用することができ
る。より具体的には、ADH(別名ADC)、GAPDH(別名GPD)、
PHO、GAL、PGK、ENO、TRP、HIP等のプロモーターやター
ミネーターを使用することができる。
【0033】さらに、適当なプロモーターを選択するこ
とにより、本発明のFLO8遺伝子DNAを酵母中で制
御して発現させることも可能である。例えば、ガラクト
キナーゼ遺伝子のプロモーターを使用すれば、培地の糖
源をたとえばぶどう糖からガラクトースに変えることに
より発現量を増加させることができる。
【0034】また、本発明のFLO8遺伝子DNAを破
壊することによって、FLO8蛋白を発現させる能力を
欠失または減少させたDNAを導入することにより、凝
集性が欠失または減少した酵母を得ることができる。F
LO8遺伝子DNAの破壊は、FLO8遺伝子のFLO
8蛋白発現に関与する領域、例えば、プロモーター領域
やコード領域の内部へ単一あるいは複数の塩基を付加あ
るいは欠失させたり、これらの領域全体を欠失させるこ
とにより行うことができる。このようにしてFLO8遺
伝子DNAを破壊することによって、FLO8蛋白を発
現させる能力を欠失または減少させたDNAは、上記し
たDNA導入法と同じ手法で酵母に導入することができ
る。その導入によって、ホスト酵母の染色体DNA中の
FLO8遺伝子と導入したDNAとの間で相同組換えが
起こり、ホスト酵母のFLO8遺伝子が分断されてFL
O8蛋白を発現させる能力が欠失または減少し、その結
果、ホスト酵母の凝集性が欠失または減少すると考えら
れる。
【0035】本発明において使用可能なホスト酵母は、
分類学上酵母の範疇に入りうる任意のものでありうる
が、サッカロマイセス・セレビシエに属する酒類製造用
酵母、具体的にはビール酵母、ワイン酵母等、あるい
は、アルコール製造に用いられる酵母等が好ましい。
【0036】本発明は、上記のFLO8遺伝子DNAの
発現を抑制することによって、酵母の凝集性を欠失また
は減少させる方法をも包含する。このような方法の例と
しては、FLO8遺伝子DNAを破壊することによっ
て、FLO8蛋白を発現させる能力を欠失または減少さ
せたDNAを導入する方法、アンチセンスRNA法、等
を挙げることができる。
【0037】<他のFLO8蛋白>本発明によれば、配
列表の配列番号2に示した塩基配列のうち267番目の塩
基から2453番目の塩基までの配列を含むDNAの一部を
プローブとして、これとハイブリダイズするDNAを酵
母染色体DNAライブラリーからクローニングし、これ
を非凝集性酵母に導入したところ、この酵母は凝集性に
転換した。従って、配列表の配列番号2に示した塩基配
列のうち267番目の塩基から2453番目の塩基までの配列
を含むDNAとハイブリダイズするDNAにコードされ
ている蛋白も、本発明のFLO8蛋白と同等な生物学的
活性、すなわち酵母に凝集能を付加する活性を有するこ
とは容易に推察される。
【0038】
【発明の効果】本発明により、酵母に凝集性を付与する
活性を有するFLO8蛋白が提供された。また、本発明
により、FLO8遺伝子DNAが提供された。本発明の
DNAを外来遺伝子として遺伝子工学的手法によって酵
母に導入し、酵母を形質転換させることが可能である。
すなわち、このDNAを核外および(または)核内遺伝
子として酵母細胞内に導入することによって、酵母に凝
集性を付与したり、酵母の凝集性を強化することができ
る。また逆に、このDNAを破壊したものを酵母細胞内
に導入したり、このDNAの発現を抑制することによ
り、凝集性の酵母を非凝集性の酵母に転換させることが
できる。
【0039】
【実施例】
【0040】〔実施例1〕凝集性遺伝子FLO8の酵母ATCC
60715株よりのクローニング (i)酵母遺伝子ライブラリーの作成 酵母の全DNAの抽出は、Herefordらの方法( Cell, 18,
1261-1271, (1979))を改変した以下のような方法によ
り行なった。
【0041】凝集性酵母ATCC60715株(a、leu2-3、leu2
-112、his4、STA1、FLO8)を200mlのYPD培地(2%バク
トペプトン(ディフコ社)、1%酵母抽出物(ディフコ
社)、2%ぶどう糖)に植菌し、30℃で48時間振とう培
養し、集菌後、100mMのEDTA、滅菌水で順次洗浄した。
これを12.5mlの0.2Mトリス溶液に懸濁し、0.625mlのβ
−メルカプトエタノールを加え、室温に30分間放置後、
12000rpmで5秒間遠心して集菌した。これを12.5mlのザ
イモリエース液(1Mソルビトール、40mMリン酸ナトリウ
ム緩衝液(pH6.8)、0.125mg/mlザイモリエース100T
(生化学工業(株)))に懸濁し、30℃に2時間置き、酵
母を完全にプロトプラスト化した。これを12000rpmで10
秒間遠心して集菌し、12.5mlの溶菌用緩衝液(50mMトリ
ス塩酸緩衝液(pH8.0)、0.2M塩化ナトリウム、0.1M ED
TA、5% SDS、1mg/mlプロナーゼE(シグマ社))に懸濁
し、60℃で30分間置き、溶菌させた。これに等量のフェ
ノール:クロロホルム:イソアミルアルコール(25:2
4:1)を加え緩やかに攪拌した後水層を回収するとい
う作業を2回繰り返した。得られた水層に25mlのエタノ
ールを加え、析出した糸状の核酸をパスツールピペット
にからませて回収し、これを70%エタノールで洗浄後、
乾燥させた。これを3mlのTE緩衝液(10mMトリス塩酸緩
衝液(pH8.0)、1mM EDTA)に溶かして透析チューブに
つめ、1リットルのTE緩衝液中で一晩透析を行なった。
透析チューブ中の液を回収し、一部をリボヌクレアーゼ
A(シグマ社)で処理後、DNA濃度を定量した。残りの液
は1μg/μl に調製し、これをDNA溶液としてその後の
実験に用いた。
【0042】1000μg相当のDNAを制限酵素Sau3AI(宝
酒造)で部分分解し、日立超遠心チューブ40PA中に用意
した32mlの10%〜40%のショ糖密度勾配液(1M塩化ナト
リウム、20mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)、5mM EDTA)
にのせ、日立超遠心機SCP70H2と同ローターSRP28SA1を
用いて、20℃、26000rpmで21.5時間遠心した。遠心終了
後、注射針でチューブの底に穴をあけ、落下するサンプ
ルを約0.5mlずつ1.5mlチューブに分取した。各々の画分
の一部を用いてアガロース電気泳動によってDNAの分子
量を確認し、約10kbの大きさのDNAを含む画分からエタ
ノール沈殿によってDNAを回収した。
【0043】クローニングのベクターとしては、YIp5
(ATCC 37061)のEcoRI部位に、遺伝子配列のデータバ
ンクであるアントレー(ナショナルセンター フォー
バイオテクノロジーインフォメーション社)から得たCE
N3の塩基配列および酵母第3染色体の全塩基配列をもと
にPCRにて取得した1.2kbのCEN3を含む断片と、YRP7由来
のEcoRI-HindIII断片として取得したARS配列を含む断片
とを導入したpYT37を用いた。このプラスミド中のユニ
ークなBamHI部位を切断後アルカリフォスファターゼ
(宝酒造)で脱リン酸化し、その2.1μgと前述の約10kb
の長さの酵母DNA断片11.6μgとをライゲーションキッ
ト(宝酒造)を用いてそのプロトコールに従ってライゲ
ーションし、その一部を大腸菌コンピテントセルDH5株
(東洋紡)に導入した。その結果、合計約22000の形質
転換体を合計50枚のLBプレート上(1%バクトトリプトン
(ディフコ社)、0.5%酵母抽出物、1% NaCl、50μg/ml
アンピシリン、1.5%寒天、pH7.0)に得た。この形質転
換体をプレート上から滅菌水を用いて回収し、5プレー
ト分ごとに菌体を合計10本のチューブに集め、滅菌水で
1回洗浄後、アルカリ法にてプラスミドを調製した。プ
ラスミド溶液を含む各チューブからDNAを1μg ずつ集
め、合計10μg のDNA(濃度480ng/μl )を含むプラスミ
ド溶液を酵母遺伝子ライブラリーとして酵母の形質転換
に用いた。
【0044】(ii)凝集性の測定 凝集性の測定は、Watariらの方法(Agric. Biol. Che
m., 53, 901-903, (1989))を改変して行なった。平底の
96穴マイクロタイタープレートに300 μlの液体培地を
分注し、そこに固体培地上で成育した酵母を1白金耳植
菌し、これを72時間、30℃で静置培養した。マイクロタ
イタープレートの周囲はビニールテープを張って培地の
蒸発を防いだ。培地の飛散を防ぐためのシリコン板をマ
イクロタイタープレートの本体とふたの間にはさみ、岩
城振とう機 CST-100(岩城ガラス)を用いて激しく1分
間振とうした後、1分間静置し、目視により凝集性の観
察を行なった。この時点で、非凝集性の酵母はまだ培地
中に分散しているのに対し、凝集性酵母はすみやかに凝
集して沈降するため、目視による両者の識別は可能であ
った。
【0045】(iii)凝集性遺伝子取得のための酵母宿主
の選定 酵母においては、凝集性遺伝子が存在してもその上位に
働いてそれを抑制する働きを持つ凝集性抑制遺伝子が存
在する場合があることが知られている。非凝集性酵母に
酵母遺伝子ライブラリーを導入し、非凝集性から凝集性
へ転換することを指標として凝集性遺伝子を取得しよう
と試みても、宿主となる非凝集性酵母にこのような凝集
性抑制遺伝子が存在した場合、凝集性遺伝子の取得は望
むことができない。そこで凝集性遺伝子取得のための酵
母宿主の選定にあたっては、酵母宿主が、凝集性抑制遺
伝子を有していないことを確認した。すなわち、非凝集
性酵母が凝集性抑制遺伝子を持たない場合は、これを凝
集性遺伝子FLO8を持つ凝集性酵母と接合させた後、胞子
を形成させて、その四分子解析を実施すれば、凝集性:
非凝集性が2:2に分離するはずである。そこでFLO8遺伝
子を持つ凝集性酵母ATCC60715株と非凝集性酵母YPH500
株(a、ura3-52、lys2-801 amber、ade2-101ochre、trp
1Δ63 、his3Δ200 、leu2Δ1 、ストラタジーン社)を
接合させ、その四分子10個について、小野による記載の
方法で(蛋白質核酸酵素増刊, vol.39, No.4, 760-769
(1994)) 各々の4胞子を分離し、それに由来する各々4
株のYPD培地中における凝集性を測定したところ、その1
0個の四分子すべてにおいて、凝集性:非凝集性が2:2
に分離した。このことから、YPH500株はFLO8に対する凝
集性抑制遺伝子を持たないことが予想されるので、この
株を凝集性遺伝子FLO8取得のための酵母宿主として選定
した。
【0046】(iv)酵母の形質転換 酵母の形質転換はプロトプラスト法により、以下のよう
にして行なった(実験医学, 8, 85-91, (1990))。酵母
YPH500株を100mlのYPD培地で30℃、24時間振とう培養し
た後、500 x gで4分間遠心して集菌し、滅菌水および1
Mソルビトールで1回ずつ洗浄した。集めた菌体を20ml
のSCE(1Mソルビトール、0.1Mクエン酸ナトリウム(p
H5.8)、10mM EDTA)に懸濁し、0.2mlの1M DTT、および
134 μlのザイモリエース100T液(2mg/ml SCE)を加
え、30℃で1時間緩やかに振とうし、プロトプラスト化
した。300gで4分間遠心して集菌し、STC(1Mソルビト
ール、10mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)、10mM塩化カル
シウム)で2回洗浄した後、4mlのSTCに懸濁した。2 μ
lの前述した酵母遺伝子ライブラリーおよび 20μl の20
mg/ml子牛胸腺DNA(シグマ社)に、プロトプラスト懸
濁液1mlを加え、10分間室温に放置した後、10mlのPEG溶
液(20%(w/v)PEG8000、10mMトリス塩酸緩衝液(pH7.
5)、10mM塩化カルシウム)を緩やかに加え、さらに10
分間室温に放置した。これを300 x gで4分間遠心し、菌
体を2mlのSOC(1Mソルビトール、7mM 塩化カルシウ
ム、25% YPD培地)に懸濁し、30℃で30分間放置した。
この40μl に、あらかじめ溶かして50℃に保持しておい
た5mlのSOB上層寒天(1Mソルビトール、0.67% イース
トナイトロジェンベース(アミノ酸を含まない、ディフ
コ社)、0.06%アミノ酸ミックス(ウラシルを含まな
い)、2%ぶどう糖、2.5%寒天)を緩やかに混合し、SOB
下層寒天培地(寒天濃度を2%とした以外の組成はSOB上
層寒天と同じ)上に重層し、30℃で培養した。このよう
にして約12000株の形質転換体を得た。
【0047】(v)凝集性遺伝子のクローニング 得られた形質転換体のうち11130クローンに関して、1ク
ローンずつ96穴マイクロタイタープレート中のSD(ウラ
シルを含まない)培地(0.67% イーストナイトロジェン
ベース(アミノ酸を含まない)、0.06% アミノ酸ミック
ス(ウラシルを含まない)、2%ぶどう糖、pH5.8)に植
菌し、培養した後、凝集性を測定した。その結果、非常
に強い凝集性となった形質転換体が4クローン見出され
た。
【0048】これらのクローンから、以下の方法で導入
されているプラスミドを回収した。クローンをTE緩衝液
で洗浄した後、30μlのSTES緩衝液(0.5M塩化ナトリ
ウム、0.2Mトリス塩酸緩衝液(pH7.6)、0.01M EDT
A、1% SDS)に懸濁した。そこへ0.3gのガラスビーズを
加え、5分間激しく振とうして細胞を破砕した後、30ml
のフェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール
(25:24:1)を加えて2分間激しく振とう抽出し、遠
心分離して得た水層5μlを大腸菌コンピテントセルDH
5株(東洋紡)に導入した。
【0049】得られた形質転換体から、アルカリ法によ
ってプラスミドを調製した。その結果得られた4種のプ
ラスミドをHindIII(ベーリンガー社)で消化後、1%ア
ガロースゲルで電気泳動し、生じた制限酵素断片長の解
析を行なったところ、挿入断片中に、4.0kb、2.6kb、1.
6kb、0.9kbの共通のHindIII断片が4種類出現したこと
から、これらは全て酵母の同じ座位の遺伝子をクローニ
ングしたものと推測された。これらのプラスミドの中か
らp7H12と命名したプラスミドを選び、これをXhoI(ベ
ーリンガー社)で消化し、得られた約11.2kbのXhoI断片
をプラスミドpRS415(ストラタジーン社)のXhoI部位に
クローニングし、pF415-1と命名した。
【0050】これら2種のプラスミドp7H12およびpF415
-1を非凝集性のYPH500株に導入したところ、形質転換体
はいずれも凝集性に転換されていたので、凝集性酵母AT
CC60715株に由来する凝集性遺伝子を取得できたと判断
した。pF415-1の制限地図を図1に示す。
【0051】(vi)得られた凝集性遺伝子がFLO8である
ことの確認 上記のようして得られた凝集性遺伝子がFLO8であること
を確認するために、図2に示すように、インテグレーシ
ョンマッピングを実施した。すなわち、p7H12をEcoRI
(ベーリンガー社)で消化(切断箇所を図2中、1)と
2)の矢印で示した)後セルフライゲーションすること
によってATCC60715株に由来する配列の一部とCEN3およ
びARSを除去したプラスミド p7H12ΔE を得、このプラ
スミド中のATCC60715株に由来する配列の中にのみユニ
ークに存在するXhoI部位を切断(切断箇所を図2中、
3)の矢印で示した)後、Chenらの方法(Curr. Gene
t., 21, 83-84, (1992))で凝集性酵母YF191株(a、ura
3-52、ade2-101 ocher、leu2Δ1、FLO8)に導入した。
得られたウラシル非要求性形質転換体は凝集性を示した
ので、FLO8遺伝子は破壊されていないと判断された。
【0052】この形質転換体をYF191URAと命名し、サザ
ン解析によって、URA3遺伝子を含むベクター配列の挿入
の状態を解析した。すなわち、YF191URAのDNAを前述の
方法で調製し、NruI(宝酒造)で消化後、1%アガロース
ゲルで電気泳動し、そのプロトコールに従ってナイロン
メンブレンHybond N+(アマシャム)にブロッティング
した。p7H12中のATCC60715株の遺伝子に由来する4.0kb
のHindIII断片をプローブとして、[α−32P]dCTP(ア
マシャム)で標識し、Hybond N+のプロトコールに従っ
てメンブレンと65℃で16時間ハイブリダイズさせた後、
最終的に0.1x SSPE、0.1% SDSを用いて65℃で洗浄し、
ハイブリッドバンドからのシグナルをX線フィルムに感
光させてオートラジオグラフィーを撮ったところ、YF19
1URAの染色体DNAには、p7H12にクローニングされたA
TCC60715株由来の遺伝子配列中にURA3遺伝子を含むベク
ター配列が挿入されていることが確認された(図2参
照)。
【0053】YF191URA株を非凝集性酵母株TD1(a、his4
-38、ura3-52、trp1-289、can s、MAK(K))と接合さ
せ、四分子形成をさせ、凝集性およびウラシル要求性に
関して15個の四分子解析を実施した。その結果、一つの
四分子に由来する4株は、凝集性と非凝集性が2:2、
またウラシル要求性と非要求性が2:2に分離し、か
つ、凝集性株は全てウラシル非要求性であった(表
1)。
【0054】
【表1】 表1.FLO8遺伝子に関する四分子解析 YF191URA(a, leu2, FLO8, URA3) ×TD1(α, LEU2, ura3, flo8) ────────────────────────────────── 両親二型 非両親二型 テトラ型 ────────────────────────────────── Leu+ −Ura+ 1 4 10 Flo+ −Ura+ 15 0 0 ────────────────────────────────── これらのことから、YF191URA株においてURA3遺伝子は相
同組換えによりFLO8遺伝子のごく近傍に挿入されたこと
が証明された。従って、p7H12にクローニングされてい
るATCC60715株由来の凝集性遺伝子はFLO8遺伝子である
と結論される。
【0055】〔実施例2〕FLO8遺伝子の塩基配列の決定 pF415-1の挿入断片中の2.6kb、1.6kb、0.9kbの3つのHin
dIII断片を、pBluescriptII KS+(ストラタジーン社)
のHindIII部位にサブクローニングし、キロシーケンス
用デレーションキット(宝酒造)を用いてプロトコール
に従ってそれらのデレーションシリーズを作成し、ジデ
オキシ法によって塩基配列を決定した。各サブクローン
同士のつながりは、5'GAGGGCTGAATTAATGTGTT3'(配列番
号3)、5'GGAAAAATTATTAACGATAG3'(配列番号4)、5'
AAGTAGTAAAGGCAATCGTA3'(配列番号5)、5'TTTAATACCA
GTTCTTCCAG3'(配列番号6)の4種の合成DNAをプライマ
ーとして用いて塩基配列を決定した。得られた塩基配列
を配列表の配列番号2に示す。
【0056】〔実施例3〕FLO8遺伝子のオープンリーデ
ィングフレームの機能の確認 FLO8遺伝子の塩基配列から、全長2187bpのオープンリー
ディングフレームの存在が示唆された。この予想された
オープンリーディングフレームが機能することを確認す
るために、この部分の前後を5'TTTGAGCTCAGCAGCAGCAGTG
GATAAATCAACT3'(配列番号7)および5'GCTCTAGAATTATG
TTTCCTGTCATTAAGAGTT3'(配列番号8)の2種の合成DNA
をプライマーとして用いてpF415-1を鋳型としてPCRで合
成し、得られたPCR産物をSacI、XbaI(共にベーリンガ
ー社)で消化後、pYES2(インビトロジェン社)のGAL1
プロモーターの下流にあるXbaI - SacI部位にクローニ
ングすることによって得られたプラスミドpYESF8を、Ch
enらの方法(Curr. Genet., 21, 83-84, (1992))によ
って酵母YPH500株に導入した。
【0057】得られた形質転換体は、SD(ウラシルを含
まない)培地の糖源を2%ガラクトースとした場合に、強
い凝集性を示した。このことから、FLO8遺伝子の塩基配
列から予想されたオープンリーディングフレームは、凝
集性を付与するタンパクをコードしていると判断され
た。
【0058】〔実施例4〕他の遺伝子型を持つ酵母にお
けるFLO8相同遺伝子の探索 他の遺伝子型を持つ酵母にFLO8遺伝子が存在するか否か
を確認するために、凝集性実験酵母3株(ABXL-1D 、AB
XR11A 、ATCC60715)、非凝集性実験酵母2株(S288C 、
X2180-1A)、凝集性上面発酵酵母2株(NCYC1007、NCYC
1195)、凝集性下面発酵酵母3株(KBY001、KBY002、TU
M59 )、非凝集性下面発酵酵母2株(KBY003、AJL2155
)の計12株に関し、前述の方法でサザン解析を実施し
た。ただし、菌株の全DNAはHindIIIで消化し、プローブ
としてはpF415-1の挿入断片の1574bpのHindIII断片を用
いた(図1参照)。その結果、使用した全ての株におい
て、1.6kb付近に一本のシグナルが検出された。このこ
とから、FLO8遺伝子は凝集性の有無にかかわらず、酵母
に広く存在しているものと判断された。
【0059】〔実施例5〕FLO8遺伝子の破壊株の作製と
評価 FLO8遺伝子の破壊株の作製は、図3に示すようにして実
施した。プラスミドpRS405(ストラタジーン社)をSacI
およびSmaIで同時に消化したSacII サイトを除去した
後、クレノーDNAポリメラーゼ(宝酒造)を用いて末端
を平滑化し、ライゲーションキット(宝酒造)を用いて
セルフライゲーションした。こうして得たプラスミドpR
S405ΔのHindIII部位に、FLO8遺伝子を含むプラスミドp
F415-1から得たFLO8遺伝子のコード領域の内部にある15
74bpのHindIII断片(図1参照)をクローニングした。
なお、この1574bpのHindIII断片は、FLO8遺伝子のカル
ポキシル末端を284bp 、アミノ末端を bp欠失してい
るものである。このプラスミドを、1574bpのHindIII断
片中にユニークに存在するSacIIで消化後、Chenらの方
法(Curr. Genet., 21, 83-84, (1992))で凝集性酵母Y
F191株に導入して、ロイシン非要求性形質転換体YE191L
EUを得た。
【0060】ロイシン非要求性形質転換体YF191LEUにつ
いて前述の方法でサザン解析を実施し、FLO8遺伝子座に
LEU2遺伝子を含むベクター配列が挿入されていること、
すなわち、FLO8遺伝子が破壊されていることを確認し
た。ただし、菌株の全DNAはHindIIIで消化し、プローブ
はpF415-1の1574bpのHindIII断片を用いた。従って、YF
191LEUにおいては、pRS405に由来する配列が染色体中の
FLO8遺伝子に相同組換えで挿入された結果、284bp のカ
ルボキシル末端が欠如したFLO8遺伝子と、329bp の
アミノ末端が欠如したFLO8遺伝子の2コピーのFL
O8遺伝子がpRS405に由来する配列を挟んで並んでいる
と推定される(図3参照)このようにして得られたFLO8
遺伝子の破壊株YF191LEUの凝集性を評価したところ、非
凝集性へと転換していた。
【0061】〔実施例6〕FLO8遺伝子による凝集性発現
の機構の確認 凝集性酵母YF191株、および、YF191株のFLO8遺伝子破壊
株である非凝集性酵母YF191LEU株の2株を、OD600が0.1
5となるようにSD培地(形質転換体の培養に関してはロ
イシンを含まないものを使用)に植菌し、30℃で15時
間、振とう培養した。培養後、100 x OD600に相当する
量の菌体を回収し、最終濃度50μg/mlとなるように5
μg/mlのシクロヘキシミドを加えた後、氷中で5分間冷
却し、遠心分離で菌体を回収した。これを8mlの氷冷し
た50mg/mlのシクロヘキシミド水溶液で1回洗浄した。回
収した菌体から、ElionとWarnerの方法で(Cell, 39, 6
63-673,(1984))、全RNAを調製した。得られたRNAの10
μg を、16μl のグリオキサール・DMSO溶液(1Mグリオ
キサール、50% DMSO、10mMりん酸ナトリウム緩衝液(pH
7.0))中で、1時間、50℃の処理によってグリオキサー
ル化を行なった後、2μlのアプライ用緩衝液(50% (w/
v) グリセロール、10mMりん酸緩衝液(pH7.0)、0.4%
(w/v)ブロムフェニルブルー)および1μlの1mg/ml臭化
エチジウム溶液を加え、10mMりん酸ナトリウム緩衝液
(pH7.0)、1%アガロースを含むゲル中で電気泳動を行
なった。電気泳動中は、ペリスタポンプを用いて、電気
泳動層中の緩衝液を常に循環させ、pHの勾配が生ずるこ
とを防いだ。ブロムフェニルブルーがゲルの長さの70%
程度まで達したときに電気泳動を中止し、紫外線トラン
スイルミネーターを用いて臭化エチジウムで染色された
ゲル中のRNAを観察し、リボゾーマルRNAを指標にRNAが
分解されていないことを確認した。その後に、ゲル中の
RNAを、その添付されたプロトコールに従って、ナイロ
ンメンブレンGenescreen-Plus(デュポン社)にブロッ
ティングし、RNAがブロッティングされたメンブレンに
対し、80℃、2時間のインキュベーション処理を行なっ
た。このメンブレンは、Genescreen-Plusに添付された
プロトコールに従ってノーザン分析に使用した。プロー
ブとしては、以下の2種を用いた。FLO8遺伝子の一部の
断片としてはpF415-1由来の1574bpのHindIII断片を用い
た(図1参照)。FLO1遺伝子の一部の断片としては、Te
unisen,A.W.R.H.らの報告(Yeast, 9, 423-427, 199
3))をもとに、凝集性ABXL-1D株(a, FLO1, Yeast Gen
etic Stock Center)の全DNAを鋳型として、5'GATGAA
ACTGTCATTGTTGTCAAA3'(配列番号9)と5'TCGTTTCAGCAG
CTAAAGTAT3'(配列番号10)の2種の合成プライマーを用
いてPCRを行ない、全PCR産物を1%アガロースゲル中で電
気泳動し、増幅された1045bpのDNA断片をゲルから切り
出し、Prep-A-Gene(バイオラッド社)を用いて回収し
たDNA断片を用いた。これらの2種の断片は、各々[α-
32P]dCTP(アマシャム)で標識し、ノーザン解析に使
用した。これらの遺伝子の転写物量の測定には、バイオ
イメージアナライザーBAS2000(富士写真フィルム
(株))を、そのプロトコールに従って用いた。その結果
を表2に示す。
【0062】
【表2】 表2.FLO8遺伝子破壊株におけるFLO8、FLO1の転写量 ─────────────────────────────────── YF191LEU株 YF191株 ─────────────────────────────────── 凝集性(注1) − + FLO8相対的転写量 1.87(注2) 1.00 FLO1相対的転写量 0.06 1.00 ─────────────────────────────────── (注1):凝集性の表示は、−が非凝集性、+が凝集性を表す。 (注2):YF191LEU株のFLO8転写物はC末端を欠くために機能を持たない。
【0063】FLO8遺伝子に関しては、YF191LEU株の10μ
g の全RNA当たりの転写量はYF191株のそれの1.87倍であ
ったが、YF191LEU株のFLO8遺伝子はカルボキシル末端を
284bp欠失しているため、YF191LEU株のFLO8遺伝子転写
物は、YF191株のFLO8遺伝子転写物より分子量がわずか
に小さかった。FLO1遺伝子に関しては、YF191LEU株の10
μg 全RNA当たりの転写量は、FLO8遺伝子を破壊してい
ないYF191株のそれの6%に過ぎなかった。このことか
ら、FLO8遺伝子のカルボキシル末端を欠失させてその機
能を失わせた場合、FLO1遺伝子の転写量が大幅に減少す
ることによって凝集性が失われることが示された。
【0064】さらに、Yamanoらの記載した1.0kbのグリ
セルアルデヒド - 3 -ホスフェートデヒドロゲナーゼ遺
伝子のプロモーター領域、0.38kbのホスホグリセレート
キナーゼ遺伝子のターミネーター領域の間に(J. Biote
chnol., 32, 165 - 171, (1994))、pUC4K(ファルマシ
ア社) のG418耐性遺伝子を含む1.1kbのPst-XhoI断片を
クレノウDNA ポリメラーゼで平滑末端化しライゲーショ
ンしたカセットを作製し、これを酵母多コピーベクター
YEp13K(Sone H.ら、Appl. Env. Microbiol.,54, 38-4
2, (1988))のBglII - SalI部位に挿入した。こうして
得たプラスミドのユニークなXhoI部位に、FLO8遺伝子を
含むpF415-1の挿入断片中の約11.2kbのXhoI断片をラ
イゲーションし、pNEOF8を作製した。このプラスミドを
Chenらの方法(Curr. Genet., 21, 83-84, (1992))で
非凝集性酵母YPH500株(ストラタジーン社)に導入し
た。このようにして得られた形質転換体YNEOF8は、凝集
性に転換していた。
【0065】非凝集性酵母YPH500株、および、YPH500株
にpNEOF8を導入した凝集性酵母YNEOF8株の2株を、OD600
が0.15となるようにSD培地(形質転換体の培養に関して
はロイシンを含まないものを使用)に植菌し、振とうし
ながら30℃で15時間培養した。培養後、100 x OD600の
菌体を回収し、前述の方法でFLO8遺伝子、FLO1遺伝子の
転写産物の測定を行なった。その結果を表3に示す。
【0066】
【表3】 表3.FLO8遺伝子増強株におけるFLO8、FLO1の転写量 ─────────────────────────────────── YNEOF8 株 YPH500 株 ─────────────────────────────────── 凝集性(注1) + − FLO8相対的転写量 2.25 1.00 FLO1相対的転写量 6.05 1.00 ─────────────────────────────────── (注1):凝集性の表示は、−が非凝集性、+が凝集性を表す。
【0067】FLO8遺伝子に関しては、10μg全RNA当た
りでYNEOF8株はYPH500株の2.25倍の転写量が見られた。
FLO1遺伝子に関しては、YNEOF8株の10μg全RNA当たり
の転写量は、YPH500株のそれの6.05倍におよんだ。この
ことから、非凝集性のYPH500株にFLO8遺伝子を多コピー
で導入した場合、FLO1遺伝子の転写量が増加することに
よって凝集性が付与されることが示された。
【0068】以上に示された2つの事実から、FLO8遺伝
子は、FLO1遺伝子の転写量を増加させることによって凝
集性を酵母に与えることが示された。
【0069】〔実施例7〕FLO8遺伝子とハイブリダイズ
するDNA鎖のビール酵母よりの取得 特開平6-62849に記載の方法に従い、以下のようにして
ビール酵母染色体DNAライブラリーを作成した。
【0070】1リットルのYPD培地で酵母を OD600=1
0 となるまで培養し、集菌後、滅菌水で1回洗浄し、菌
体1g当たり2mlのA液(1Mソルビトール、0.125M EDT
A 、0.1 M クエン酸3ナトリウム(pH7.0) 、0.75% 2-メ
ルカプトエタノール、0.01%ザイモリエース100T) に懸
濁させ、37℃で2時間ゆるやかに振とうし、酵母をプロ
トプラスト化した。これに菌体1g当たり3.5 mlのB液
(0.5Mトリス塩酸緩衝液(pH9.0) 、0.2M EDTA 、3% SD
S) を加え、緩やかに攪拌後、65℃に15分間置き、溶菌
させた。これを室温まで冷却後、あらかじめ日立超遠心
チューブ40PAに作製しておいた23.5mlの10% 〜40% のシ
ョ糖密度勾配液(0.8% NaCl、0.02M トリス塩酸緩衝液(p
H8.0) 、0.01M EDTA、10% 〜40% ショ糖) に10mlずつ静
かにのせた。これを日立超遠心機SCP85Hを用いて4℃、
26000rpm、3時間で遠心した。遠心後、駒込ピペットを
用いてチューブ底になるべく近い部分を5mlずつ回収
し、これを一晩、1 リットルのTE緩衝液中で透析し
た。こうして得られたDNA溶液を、Frischauf らの方
法(Mehtods in Enzymology, 152, p.183, Academic pre
ss1987)に準じて、制限酵素Sau3AIで部分分解し、再び1
0% 〜40% のショ糖密度勾配液にのせ、20℃、25000rp
m、22時間の遠心を行った。超遠心終了後、注射針を用
いて超遠心チューブの底に穴を開け、落下するサンプル
を約0.5ml ずつ分取し、各サンプルの一部をアガロース
ゲルを用いて電気泳動し、15〜20kbのDNAを含む画分
をエタノール沈殿によって回収した。この画分から1μ
gに相当するDNA溶液をとり、λ-EMBL3/BamHI vecto
r kit (ストラタジーン社)のλ-EMBL3ベクター1μg
と16℃で一晩、そのプロトコールに従ってライゲーショ
ンした。これをGIGAPACK GOLD (ストラタジーン社)を
用いて、そのプロトコールに従ってパッケージングを行
った。得られたパッケージング液50μl をλ-EMBL3/Bam
HIvector kit に添付されている宿主菌株P2392 に感染
させた。すなわち、P2392の1白金耳をTB培地(1%バ
クトトリプトン、0.5% NaCl 、0.2%麦芽糖、pH7.4)5ml
で一晩培養し、この培養液の1ml を50mlのTB培地に植
菌し、OD600=0.5 になるまで培養し、これを氷浴上で冷
却後、集菌し、15mlの氷冷した10mM硫酸マグネシウム液
に懸濁させた。この菌液1ml に、0.95mlのSM液(0.1M
塩化ナトリウム、10mM硫酸マグネシウム、50mMトリス塩
酸緩衝液(pH7.5) 、0.01% ゼラチン)と50μl のパッケ
ージング液を加えて軽く攪拌し、37℃で15分間保温し
た。この液を 200μl ずつ、あらかじめ 7mlずつ分注し
て47℃に保温しておいたBBL軟寒天培地(1% Triptic
ase peptone (BBL社) 、0.5% NaCl 、0.5%アガロース)
に加え、軽く攪拌した後、直径15cmのBBLプレート
(0.5%のアガロースのかわりに1.5%の寒天を加えた以外
はBBL軟寒天培地と同じ)に重層して広げた。これを
37℃で8時間培養し、合計で約 30000個のサイズのファ
ージライブラリーを作製した。
【0071】上記のようして作成したビール酵母染色体
DNAライブラリーから、例1で得られた酵母ATCC60715株
のFLO8遺伝子をプローブとすることによって、これとハ
イブリダイズするDNAをクローニングした。具体的には
まず、宿主としてP2 392株(ストラタジーン)を用い
て、ビール酵母染色体DNAライブラリーを、「植物バイ
オテクノロジー実験マニュアル、クローニングとシーケ
ンス」(農村文化社、(1989))に記載された方法で、NZ
YMプレート(1% NZアミン(和光純薬社)、0.5%酵母抽
出物、0.5% NaCl、10mM MgSO4、下層は1.5%寒天、上層
は0.6%アガロース)上に培養した。出現した合計約2000
0個のプラークを、そのプロトコールに従ってナイロン
メンブレンHybond N+(アマシャム社)にブロッティン
グした。pF415-1由来の1574bpのHindIII 断片(図1参
照)を、例1に記載した方法でラベルし、Hybond N+の
プロトコールに従って、ハイブリダイゼーションおよび
洗浄を行なった。X線フィルム上にハイブリッドバンド
からのシグナルを感光させてオートラジオグラフィーを
撮り、合計10個のポジティブなプラークを得た。これら
のプラークから液体培養で増幅させたファージから「植
物バイオテクノロジー実験マニュアル、クローニングと
シーケンス」(農村文化社、(1989))に記載された方法
でDNAを調製し、制限酵素HindIIIで消化した断片を1%ア
ガロースに電気泳動して観察したところ、共通の長さの
断片が見られたため、これらは全て同じ座位の遺伝子を
取得したものと判断された。その中の1プラークのDNA
を制限酵素XhoIで消化し、11.2kbの断片をpRS415(スト
ラタジーン社)のXhoI部位にクローニングした。得られ
たプラスミドpLF8は、pF415-1と同一のHindIII断片長の
パターンを示した。pLF8を非凝集性実験酵母YPH500株
(ストラタジーン社)に、Itoらの方法(J. Bacterio
l., 153, 163-168, (1983))を用いて導入したところ、
形質転換体は凝集性に転換した。このことから、ビール
酵母から取得されたFLO8遺伝子とハイブリダイズするDN
Aは、FLO8遺伝子と同様の凝集性付加能を有していると
判断される。
【0072】
【配列表】
【0073】配列番号:1 配列の長さ:729 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Met Asn Cys Lys Asn Thr Leu Asn Glu Tyr Ile Phe Asp Phe Leu Thr 1 5 10 15 Lys Ser Ser Leu Lys Asn Thr Ala Ala Ala Phe Ala Gln Asp Ala His 20 25 30 Leu Asp Arg Asp Lys Gly Gln Asn Pro Ile Asp Gly Ser Lys Ser Lys 35 40 45 Glu Asn Asn Gly Asn Gln Asn Thr Phe Ser Lys Val Val Asp Thr Pro 50 55 60 Gln Gly Phe Leu Tyr Glu Trp Trp Gln Ile Phe Trp Asp Ile Phe Asn 65 70 75 80 Thr Ser Ser Ser Arg Gly Gly Ser Glu Phe Ala Gln Gln Tyr Tyr Gln 85 90 95 Leu Val Leu Gln Glu Gln Arg Gln Glu Gln Ile Tyr Arg Ser Leu Ala 100 105 110 Val His Ala Ala Arg Leu Gln His Asp Ala Glu Arg Arg Gly Glu Tyr 115 120 125 Ser Asn Glu Asp Ile Asp Pro Met His Leu Ala Ala Met Met Leu Gly 130 135 140 Asn Pro Met Ala Pro Ala Val Gln Met Arg Asn Val Asn Met Asn Pro 145 150 155 160 Ile Pro Ile Pro Met Val Gly Asn Pro Ile Val Asn Asn Phe Ser Ile 165 170 175 Pro Pro Tyr Asn Asn Ala Asn Pro Thr Thr Gly Ala Thr Ala Val Ala 180 185 190 Pro Thr Ala Pro Pro Ser Gly Asp Phe Thr Asn Val Gly Pro Thr Gln 195 200 205 Asn Arg Ser Gln Asn Val Thr Gly Trp Pro Val Tyr Asn Tyr Pro Met 210 215 220 Gln Pro Thr Thr Glu Asn Pro Val Gly Asn Pro Cys Asn Asn Asn Thr 225 230 235 240 Thr Asn Asn Thr Thr Asn Asn Lys Ser Pro Val Asn Gln Pro Lys Ser 245 250 255 Leu Lys Thr Met His Ser Thr Asp Lys Pro Asn Asn Val Pro Thr Ser 260 265 270 Lys Ser Thr Arg Ser Arg Ser Ala Thr Ser Lys Ala Lys Gly Lys Val 275 280 285 Lys Ala Gly Leu Val Ala Lys Arg Arg Arg Lys Asn Asn Thr Ala Thr 290 295 300 Val Ser Ala Gly Ser Thr Asn Ala Gly Ser Pro Asn Ile Thr Thr Pro 305 310 315 320 Gly Ser Thr Thr Ser Glu Pro Ala Met Val Gly Ser Arg Val Asn Lys 325 330 335 Thr Pro Arg Ser Asp Ile Ala Thr Asn Phe Arg Asn Gln Ala Ile Ile 340 345 350 Phe Gly Glu Glu Asp Ile Tyr Ser Asn Ser Lys Ser Ser Pro Ser Leu 355 360 365 Asp Gly Thr Ser Pro Ser Ala Leu Val Ser Lys Gln Pro Thr Lys Val 370 375 380 Arg Lys Asn Thr Lys Lys Ala Ser Thr Ser Ala Phe Pro Val Glu Ser 385 390 395 400 Thr Asn Lys Leu Gly Gly Asn Ser Val Val Thr Gly Lys Lys Arg Ser 405 410 415 Pro Pro Asn Thr Arg Val Ser Arg Arg Lys Ser Thr Pro Ser Val Ile 420 425 430 Leu Asn Ala Asp Ala Thr Lys Asp Glu Asn Asn Met Leu Arg Thr Phe 435 440 445 Ser Asn Thr Ile Ala Pro Asn Ile His Ser Ala Pro Pro Thr Lys Thr 450 455 460 Ala Asn Ser Leu Pro Phe Pro Gly IleAsn Leu Gly Ser Phe Asn Lys 465 470 475 480 Pro Ala Val Ser Ser Pro Leu Ser Ser Val Thr Glu Ser Cys Phe Asp 485 490 495 Pro Glu Ser Gly Lys Ile Ala Gly Lys Asn Gly Pro Lys Arg Ala Val 500 505 510 Asn Ser Lys Val Ser Ala Ser Ser Pro Leu Ser Ile Ala Thr Pro Pro 515 520 525 Ser Gly Asp Ala Gln Lys Gln Arg Ser Ser Lys Val Pro Gly Asn Val 530 535 540 Val Ile Lys Pro Pro His Gly Phe Ser Thr Thr Asn Leu Asn Ile Thr 545 550 555 560 Leu Lys Asn Ser Lys Ile Ile Thr Ser Gln Asn Asn Thr Val Ser Gln 565 570 575 Glu Leu Pro Asn Gly Gly Asn Ile Leu Glu Ala Gln Val Gly Asn Asp 580 585 590 Ser Arg Ser Ser Lys Gly Asn Arg Asn Thr Leu Ser Thr Pro Glu Glu 595 600 605 Lys Lys Pro Ser Ser Asn Asn Gln Gly Tyr Asp Phe Asp Ala Leu Lys 610 615 620 Asn Ser Ser Ser Leu Leu Phe Pro Asn Gln Ala Tyr Ala Ser Asn Asn 625 630 635 640 Arg Thr Pro Asn Glu Asn Ser Asn Val Ala Asp Glu Thr Ser Ala Ser 645 650 655 Thr Asn Ser Gly Asp Asn Asp Asn Thr Leu Ile Gln Pro Ser Ser Asn 660 665 670 Val Gly Thr Thr Leu Gly Pro Gln Gln Thr Ser Thr Asn Glu Asn Gln 675 680 685 Asn Val His Ser Gln Asn Leu Lys Phe Gly Asn Ile Gly Met Val Glu 690 695 700 Asp Gln Gly Pro Asp Tyr Asp Leu Asn Leu Leu Asp Thr Asn Glu Asn 705 710 715 720 Asp Phe Asn Phe Ile Asn Trp Glu Gly 725
【0074】配列番号:2 配列の長さ:2846 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:Genomic DNA 起源 生物名:サッカロマイセス セレビシエ(Saccharomyce
s cerevisiae) 株名:ATCC60715 配列の特徴 特徴を表す記号:CDC 存在位置:267 ..2456 特徴を決定した方法:E 配列 CACGAAGACG TTTATAGACA TAAATAAAGA GGAAACGCAT TCCGTGGTAG AATGAGTTAT 60 AAAGTGAATA GTTCGTATCC AGATTCAATT CCTCCCACGG AACAACCGTA CATGGCAAGC 120 CAGTATAAAC AAGATTTGCA GAGTAATATT GCAATGGCAA CGAATAGTGA ACAGCAGCGA 180 CAACAACAGC AGCAACAGCA GCAGCAGCAG CAGCAGCAGC AGTGGATAAA TCAACTACGG 240 CGGAAAATTC GGATTTGAAG GAAAAA ATG AAC TGC AAG AAT ACG CTC AAT GAG 293 Met Asn Cys Lys Asn Thr Leu Asn Glu 1 5 TAC ATA TTT GAC TTT CTT ACG AAG TCG TCT TTG AAA AAC ACT GCA GCA 341 Tyr Ile Phe Asp Phe Leu Thr Lys Ser Ser Leu Lys Asn Thr Ala Ala 10 15 20 25 GCC TTT GCT CAA GAT GCG CAC CTA GAT AGA GAC AAA GGC CAA AAC CCA 389 Ala Phe Ala Gln Asp Ala His Leu Asp Arg Asp Lys Gly Gln Asn Pro 30 35 40 ATC GAC GGA TCC AAA TCT AAA GAA AAC AAT GGT AAC CAG AAT ACG TTC 437 Ile Asp Gly Ser Lys Ser Lys Glu Asn Asn Gly Asn Gln Asn Thr Phe 45 50 55 TCG AAG GTA GTA GAT ACA CCT CAA GGC TTT TTG TAT GAA TGG TGG CAA 485 Ser Lys Val Val Asp Thr Pro Gln Gly Phe Leu Tyr Glu Trp Trp Gln 60 65 70 ATA TTC TGG GAC ATC TTT AAT ACC AGT TCT TCC AGA GGT GGC TCA GAG 535 Ile Phe Trp Asp Ile Phe Asn Thr Ser Ser Ser Arg Gly Gly Ser Glu 75 80 85 TTC GCT CAG CAA TAT TAT CAA CTA GTT CTT CAA GAA CAA AGG CAG GAA 581 Phe Ala Gln Gln Tyr Tyr Gln Leu Val Leu Gln Glu Gln Arg Gln Glu 90 95 100 105 CAA ATA TAT AGA AGC TTG GCT GTT CAT GCG GCA AGG CTA CAA CAC GAT 629 Gln Ile Tyr Arg Ser Leu Ala Val His Ala Ala Arg Leu Gln His Asp 105 110 115 GCA GAA CGA AGA GGG GAA TAT AGT AAC GAG GAC ATA GAC CCC ATG CAC 677 Ala Glu Arg Arg Gly Glu Tyr Ser Asn Glu Asp Ile Asp Pro Met His 125 130 135 TTG GCT GCT ATG ATG CTA GGA AAT CCT ATG GCA CCT GCG GTT CAA ATG 725 Leu Ala Ala Met Met Leu Gly Asn Pro Met Ala Pro Ala Val Gln Met 140 145 150 CGC AAT GTT AAT ATG AAC CCT ATA CCA ATT CCT ATG GTT GGT AAC CCT 773 Arg Asn Val Asn Met Asn Pro Ile Pro Ile Pro Met Val Gly Asn Pro 155 160 165 ATC GTT AAT AAT TTT TCC ATT CCA CCA TAC AAT AAT GCA AAC CCC ACG 821 Ile Val Asn Asn Phe Ser Ile Pro Pro Tyr Asn Asn Ala Asn Pro Thr 170 175 180 185 ACT GGT GCA ACT GCT GTT GCT CCC ACA GCG CCG CCT TCC GGC GAT TTT 869 Thr Gly Ala Thr Ala Val Ala Pro Thr Ala Pro Pro Ser Gly Asp Phe 190 195 200 ACA AAT GTA GGG CCA ACC CAG AAT CGG AGT CAA AAC GTT ACT GGC TGG 917 Thr Asn Val Gly Pro Thr Gln Asn Arg Ser Gln Asn Val Thr Gly Trp 205 210 215 CCA GTC TAT AAT TAT CCA ATG CAA CCC ACT ACG GAA AAT CCA GTG GGA 965 Pro Val Tyr Asn Tyr Pro Met Gln Pro Thr Thr Glu Asn Pro Val Gly 220 225 230 AAC CCG TGT AAC AAT AAT ACC ACA AAT AAT ACA ACT AAT AAC AAA TCT 1013 Asn Pro Cys Asn Asn Asn Thr Thr Asn Asn Thr Thr Asn Asn Lys Ser 235 240 245 CCA GTG AAC CAA CCT AAA AGT TTA AAA ACT ATG CAT TCA ACA GAT AAA 1061 Pro Val Asn Gln Pro Lys Ser Leu Lys Thr Met His Ser Thr Asp Lys 250 255 260 265 CCA AAT AAT GTC CCG ACG TCA AAA TCT ACA AGA AGT AGA TCT GCA ACC 1109 Pro Asn Asn Val Pro Thr Ser Lys Ser Thr Arg Ser Arg Ser Ala Thr 270 275 280 TCA AAA GCG AAG GGT AAA GTT AAA GCC GGT CTA GTG GCT AAG AGA CGA 1157 Ser Lys Ala Lys Gly Lys Val Lys Ala Gly Leu Val Ala Lys Arg Arg 285 290 295 AGA AAA AAT AAT ACC GCT ACA GTT TCC GCG GGA TCG ACG AAC GCT GGT 1205 Arg Lys Asn Asn Thr Ala Thr Val Ser Ala Gly Ser Thr Asn Ala Gly 300 305 310 TCG CCA AAT ATT ACC ACA CCA GGC TCA ACA ACA AGT GAA CCC GCT ATG 1253 Ser Pro Asn Ile Thr Thr Pro Gly Ser Thr Thr Ser Glu Pro Ala Met 315 320 325 GTA GGT TCA AGA GTA AAT AAG ACT CCA AGA TCA GAT ATT GCT ACT AAC 1301 Val Gly Ser Arg Val Asn Lys Thr Pro Arg Ser Asp Ile Ala Thr Asn 330 335 340 345 TTC CGC AAT CAA GCA ATA ATA TTT GGC GAG GAA GAT ATT TAT TCT AAT 1349 Phe Arg Asn Gln Ala Ile Ile Phe Gly Glu Glu Asp Ile Tyr Ser Asn 350 355 360 TCC AAA TCT AGC CCA TCG TTG GAT GGA ACA TCA CCT TCC GCT TTA GTT 1397 Ser Lys Ser Ser Pro Ser Leu Asp Gly Thr Ser Pro Ser Ala Leu Val 365 370 375 TCT AAA CAG CCC ACA AAG GTA AGG AAA AAT ACA AAA AAG GCA TCC ACC 1445 Ser Lys Gln Pro Thr Lys Val Arg Lys Asn Thr Lys Lys Ala Ser Thr 380 385 390 TCA GCT TTT CCA GTA GAG TCT ACG AAT AAA CTC GGT GGC AAC AGC GTG 1493 Ser Ala Phe Pro Val Glu Ser Thr Asn Lys Leu Gly Gly Asn Ser Val 395 400 405 GTG ACA GGT AAA AAG CGC AGT CCC CCT AAC ACT AGA GTG TCG AGG AGG 1541 Val Thr Gly Lys Lys Arg Ser Pro Pro Asn Thr Arg Val Ser Arg Arg 410 415 420 425 AAA TCC ACT CCT TCT GTT ATT CTG AAT GCT GAT GCC ACT AAG GAT GAG 1589 Lys Ser Thr Pro Ser Val Ile Leu Asn Ala Asp Ala Thr Lys Asp Glu 430 435 440 AAT AAT ATG TTA AGA ACA TTC TCG AAT ACT ATT GCT CCG AAT ATT CAT 1637 Asn Asn Met Leu Arg Thr Phe Ser Asn Thr Ile Ala Pro Asn Ile His 445 450 455 TCC GCT CCG CCC ACT AAA ACT GCG AAT TCT CTC CCT TTT CCA GGT ATA 1685 Ser Ala Pro Pro Thr Lys Thr Ala Asn Ser Leu Pro Phe Pro Gly Ile 460 465 470 AAT TTG GGA AGT TTC AAC AAG CCG GCT GTA TCC AGT CCA TTA TCT TCA 1737 Asn Leu Gly Ser Phe Asn Lys Pro Ala Val Ser Ser Pro Leu Ser Ser 475 480 485 GTG ACA GAG AGT TGC TTC GAT CCA GAA AGT GGC AAG ATT GCC GGA AAG 1781 Val Thr Glu Ser Cys Phe Asp Pro Glu Ser Gly Lys Ile Ala Gly Lys 490 495 500 505 AAT GGA CCC AAG CGA GCA GTA AAC TCA AAA GTT TCG GCA TCA TCC CCA 1829 Asn Gly Pro Lys Arg Ala Val Asn Ser Lys Val Ser Ala Ser Ser Pro 510 515 520 TTA AGC ATA GCA ACA CCT CCG TCT GGT GAC GCT CAG AAG CAA AGA AGT 1877 Leu Ser Ile Ala Thr Pro Pro Ser Gly Asp Ala Gln Lys Gln Arg Ser 525 530 535 TCT AAG GTA CCA GGA AAC GTG GTT ATA AAG CCG CCA CAT GGG TTT TCA 1925 Ser Lys Val Pro Gly Asn Val Val Ile Lys Pro Pro His Gly Phe Ser 540 545 550 ACC ACC AAT TTG AAT ATT ACT TTA AAG AAC TCT AAA ATA ATC ACT TCA 1973 Thr Thr Asn Leu Asn Ile Thr Leu Lys Asn Ser Lys Ile Ile Thr Ser 555 560 565 CAG AAT AAT ACA GTA TCC CAA GAA TTG CCG AAT GGG GGA AAC ATA CTG 2021 Gln Asn Asn Thr Val Ser Gln Glu Leu Pro Asn Gly Gly Asn Ile Leu 570 575 580 585 GAG GCG CAA GTA GGC AAT GAT TCA AGA AGT AGT AAA GGC AAT CGT AAC 2069 Glu Ala Gln Val Gly Asn Asp Ser Arg Ser Ser Lys Gly Asn Arg Asn 590 595 600 ACA TTA TCT ACT CCA GAG GAA AAA AAG CCG AGT AGT AAT AAT CAA GGA 2117 Thr Leu Ser Thr Pro Glu Glu Lys Lys Pro Ser Ser Asn Asn Gln Gly 605 610 615 TAT GAT TTT GAC GCC CTC AAA AAT TCA AGT TCT TTG TTG TTT CCT AAT 2165 Tyr Asp Phe Asp Ala Leu Lys Asn Ser Ser Ser Leu Leu Phe Pro Asn 620 625 630 CAA GCT TAT GCT TCT AAC AAT AGA ACA CCA AAC GAG AAT TCA AAT GTT 2213 Gln Ala Tyr Ala Ser Asn Asn Arg Thr Pro Asn Glu Asn Ser Asn Val 635 640 645 GCT GAT GAA ACC TCT GCA TCT ACA AAT AGT GGC GAT AAT GAT AAC ACA 2261 Ala Asp Glu Thr Ser Ala Ser Thr Asn Ser Gly Asp Asn Asp Asn Thr 650 655 660 665 TTA ATT CAG CCC TCA TCC AAT GTG GGT ACA ACT TTG GGT CCT CAG CAA 2309 Leu Ile Gln Pro Ser Ser Asn Val Gly Thr Thr Leu Gly Pro Gln Gln 670 675 680 ACC AGT ACT AAT GAA AAT CAG AAT GTA CAC TCT CAG AAC TTG AAG TTT 2357 Thr Ser Thr Asn Glu Asn Gln Asn Val His Ser Gln Asn Leu Lys Phe 685 690 695 GGG AAT ATT GGT ATG GTT GAA GAC CAA GGA CCG GAT TAC GAT CTC AAT 2405 Gly Asn Ile Gly Met Val Glu Asp Gln Gly Pro Asp Tyr Asp Leu Asn 700 705 710 GAA GGC TTA CTG GAT ACA AAT GAA AAT GAT TTC AAT TTT ATT AAT TGG 2453 Leu Leu Asp Thr Asn Glu Asn Asp Phe Asn Phe Ile Asn Trp Glu Gly 715 720 725 TGA AGTC ACGTGTTGAG TATTATAATA AAAAATAAAA ACTCTTAATG ACAGGAAACA 2510 TAATAAAAAG CTAGGAGAAT GGAGTTACGT ATCTGACATT TCGCTAAATT TGGGGATGG 2570 TTTAAGCCCT GTGAACTGAA CCATTTTCAC AGCAACGACT TTTTATAAAC GGTTTTTTA 2630 GATATTTGTT TTGTGATAGC TTTATTTTTC TTCCATGATA AGATAGAAGT GTTTAATTT 2690 TAGATAAGAT ATTGTACTTA TAAAAAGAAC ATTTGAACCA TTAAATACAG GCACTTTTC 2750 GGTTGATGTA CACTCATTGA AGTAGCTTGG CATAATGGTA AATTAACTTT TGACATTAC 2810 ATGATCATGA TTTACGATGA CCGTCTCGTC TCTTTT 2846
【0075】配列番号:3 配列の長さ:10 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 GAGGGCTGAA TTAATGTGTT 10
【0076】配列番号:4 配列の長さ:10 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 GGAAAAATTA TTAACGATAG 10
【0077】配列番号:5 配列の長さ:10 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 AAGTAGTAAA GGCAATCGTA 10
【0078】配列番号:6 配列の長さ:10 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 TTTAATACCA GTTCTTCCAG 10
【0079】配列番号:7 配列の長さ:34 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 TTTGAGCTCA GCAGCAGCAG TGGATAAATC AACT 34
【0080】配列番号:8 配列の長さ:33 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 GCTCTAGAAT TATGTTTCCT GTCATTAAGA GTT 33
【0081】配列番号:9 配列の長さ:24 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 GATGAAACTG TCATTGTTGT CAAA 24
【0082】配列番号:10 配列の長さ:21 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 TCGTTTCAGC AGCTAAAGTA T 21
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、プラスミドpF415-1 の挿入断片(全長
11.2kb)の制限地図を示す。
【図2】図2は、プラスミドp7H12 のインテグレーショ
ンマッピングの操作手順を示す。
【図3】図3は、FLO8遺伝子が破壊された酵母YF191LEU
株の作製手順を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12N 15/09 ZNA C12R 1:865) (C12N 1/19 C12R 1:865) C12R 1:865)

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質的に配列表の配列番号1に示したア
    ミノ酸配列を有するFLO8蛋白。
  2. 【請求項2】 実質的に配列表の配列番号1に示したア
    ミノ酸配列を有するFLO8蛋白をコードする塩基配列
    を含むFLO8遺伝子DNA。
  3. 【請求項3】 酵母に凝集性を付与する活性を有するF
    LO8蛋白をコードする塩基配列を含み、以下の(a)お
    よび(b)から成る群より選択されるDNA。 (a) 配列表の配列番号2に示した塩基配列のうち267番
    目の塩基から2453番目の塩基までの配列を含むDNAま
    たはその相補鎖、および(b) (a)のDNAまたはその断
    片とハイブリダイズするDNA
  4. 【請求項4】 プラスミドpF415-1 、p7H12 、pNEOF8、
    pYESF8または pLF8に組み込まれ、酵母に凝集性を付与
    する活性を有するFLO8蛋白をコードする塩基配列を
    含むDNA。
  5. 【請求項5】 プラスミドpF415-1 に組み込まれ、以下
    の制限地図を有する約11.2kbのDNA断片である請
    求項4記載のDNA。 【化1】
  6. 【請求項6】 請求項2ないし5のいずれかに記載のD
    NAを含むベクター。
  7. 【請求項7】 請求項2ないし5のいずれかに記載のD
    NAを導入することを特徴とする、凝集性が付与または
    強化された酵母の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項2ないし5のいずれかに記載のD
    NAを破壊することによって、FLO8蛋白を発現させ
    る能力を欠失または減少させたDNAを導入することを
    特徴とする、凝集性が欠失または減少した酵母の製造方
    法。
  9. 【請求項9】 請求項2ないし5のいずれかに記載のD
    NAの発現を抑制することによって、酵母の凝集性を欠
    失または減少させる方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112592844A (zh) * 2021-01-11 2021-04-02 南京工业大学 一种重组毕赤酵母基因工程菌及其构建方法与在产木聚糖酶中的应用

Cited By (2)

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CN112592844A (zh) * 2021-01-11 2021-04-02 南京工业大学 一种重组毕赤酵母基因工程菌及其构建方法与在产木聚糖酶中的应用
CN112592844B (zh) * 2021-01-11 2023-08-18 南京工业大学 一种重组毕赤酵母基因工程菌及其构建方法与在产木聚糖酶中的应用

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