JP3635682B2 - 水性被覆用組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、水性被覆用組成物に関する。より詳しくは、塗膜の耐水性、耐スチーム性、加工性、付着性、硬度、光沢等に優れ、かつ、塗液の顔料分散性、塗装性、貯蔵安定性等に優れ、有機溶剤の含有量の低減が可能な水性被覆用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、塗料業界においても、地球温暖化、大気汚染等の地球環境問題、省資源化、あるいは火災、爆発等の危険防止等への対応が重要な課題の一つである。この課題に対する方策の一つとして、水を揮発分とした塗料、いわゆる水性塗料が注目されており、開発が盛んに行われ、一部実用化されている。
【0003】
水性塗料は、水分散性塗料と水溶性塗料とに大別される。水分散性塗料の塗膜形成主要素である水分散性樹脂は一般に、界面活性剤、保護コロイドの存在下で乳化重合して合成される。従って、水分散性塗料より得られる塗膜中に界面活性剤、保護コロイドが残存し、耐水性、耐スチーム性、付着性に劣る欠点がある。一方、水溶性塗料の塗膜形成主要素である水溶性樹脂は一般に、有機溶剤の存在下で溶液重合して合成されるが、水溶性を付与するためカルボキシル基、スルホン酸基、水酸基等の親水性基が骨格中に導入されている。従って、水溶性塗料より得られる塗膜は、耐水性、耐スチーム性に劣る欠点がある。
【0004】
これらの水性塗料から得られる塗膜の欠点を解決する手段として、尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、アセトグアナミン樹脂、スピログアナミン樹脂及びシクロヘキシルグアナミン樹脂等のアミノ樹脂、フェノール樹脂等の水溶性あるいは水分散性の架橋樹脂を多量に混合する方法が知られている。しかしながら、この方法による水性塗料より得られる塗膜は、耐水性、耐スチーム性が向上するものの、加工性、付着性が著しく低下する欠点がある。
【0005】
また、他の解決する手段として、特公平2−41555号公報には脂肪酸と燐酸とエポキシ樹脂とを反応して得られるものを添加する方法が記されている。又特開平5−320568号公報には無水ポリカルボン酸と燐酸エステルとエポキシ化合物とを反応して得られるものを添加する方法が記されている。
【0006】
しかしながら、これらの方法による水性塗料組成物より得られる塗膜は、耐水性、耐スチーム性、付着性が向上するものの、相溶性、顔料分散性が劣るため、塗膜の光沢、塗液の塗装性、貯蔵安定性に劣る欠点がある。また、これらの欠点は、有機溶剤を多量に添加すれば解決されるが、水性塗料の特徴が損なわれる欠点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、塗液中の有機溶剤の含有量が低いにもかかわらず、塗液の顔料分散性、塗装性、貯蔵安定性等に優れ、かつ、耐水性、耐スチーム性、加工性、付着性、硬度、光沢等に優れた塗膜を形成し得る水性被覆用組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明はα、βーエチレン性不飽和カルボン酸と芳香族系ビニルモノマーと(メタ)アクリルアミド系モノマーとを必須の成分とする水性アクリル系樹脂(a)、燐酸系化合物(b)、及び顔料(c)を、被膜形成成分として用いることにより、塗液中の有機溶剤の含有量が低いにもかかわらず、塗液の顔料分散性、塗装性、貯蔵安定性等に優れ、かつ、耐水性、耐スチーム性、加工性、付着性、硬度、光沢等に優れた塗膜を得ることが出きる水性被覆用組成物に関する。
【0009】
本発明に使用される水性アクリル系樹脂(a)とは、α、βーエチレン性不飽和カルボン酸と芳香族系ビニルモノマーと(メタ)アクリルアミド系モノマーとを必須の成分とするものである。
【0010】
α、βーエチレン性不飽和カルボン酸としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸等の如きモノカルボン酸;(無水)マレイン酸、フマル酸、(無水)イタコン酸等の如きジカルボン酸及びそれらの無水物;モノメチルマレート、モノエチルマレート、モノブチルマレート、モノー2ーエチルヘキシルマレート、モノメチルフマレート、モノエチルフマレート、モノブチルフマレート、モノー2ーエチルヘキシルフマレート、モノメチルイタコネート、モノエチルイタコネート、モノブチルイタコネート、モノー2ーエチルヘキシルイタコネート等の如きジカルボン酸のモノアルキルエステル等を挙げる事が出来、これらを単独、あるいは混合して用いてよい。
【0011】
この中で特に、(メタ)アクリル酸の単独、あるいは併用が好ましい。かかるα、βーエチレン性不飽和カルボン酸の水性アクリル系樹脂中の比率は、本発明の効果を生ずる範囲であればいかなる量でも差し支えなく、通常1〜25重量%、好ましくは、4〜20重量%が本発明の効果をよりよく発揮することが出来る。α、βーエチレン性不飽和カルボン酸の水性アクリル系樹脂中の比率が1重量%未満では、本樹脂を水溶化、もしくは水分散化が困難である。また、25重量%を越えると、塗膜の耐水性、耐スチーム性、加工性等に劣る。
【0012】
芳香族ビニルモノマーとしては、例えば、スチレン、αーメチルスチレン、tertーブチルスチレン、クロルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン等を挙げる事が出来、これらを単独、あるいは混合して用いてよい。この中で特に、スチレン、ビニルトルエンの単独、あるいは併用が好ましい。
【0013】
かかる芳香族系ビニルモノマーの水性アクリル系樹脂中の比率は、本発明の効果を生ずる範囲であればいかなる量でも差し支えなく、通常5〜50重量%、好ましくは、15〜35重量%が本発明の効果をよりよく発揮することが出来る。芳香族系ビニルモノマーの水性アクリル系樹脂中の比率が5重量%未満では、塗液の顔料分散性、塗装性、貯蔵安定性に劣り、かつ、塗膜の耐水性、耐スチーム性、硬度、光沢に劣る。また、50重量%を越えると、塗膜の加工性、付着性に劣る。
【0014】
(メタ)アクリルアミド系モノマーとしては、例えば(メタ)アクリルアミド;ジアセトン(メタ)アクリルアミド;N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、Nーヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド等の如きN−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド;N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−(n−,イソ)ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−(n−、イソ)ブトキシエチル(メタ)アクリルアミド等の如きN−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド等を挙げることが出来、これらを単独、あるいは混合して用いてよい。
【0015】
この中で特に、N−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミドの単独、あるいは併用が好ましい。かかる(メタ)アクリルアミド系モノマーの水性アクリル系樹脂中の比率は、本発明の効果を生ずる範囲であればいかなる量でも差し支えなく、通常5〜50重量%、好ましくは、15〜40重量%が本発明の効果をよりよく発揮することが出来る。(メタ)アクリルアミド系モノマーの水性アクリル系樹脂中の比率が5重量%未満では、塗液の顔料分散性、塗装性、貯蔵安定性に劣り、かつ、塗膜の耐水性、耐スチーム性、硬度、光沢等に劣る。また、50重量%を越えると、塗膜の加工性、付着性に劣る。
【0016】
その他の成分としては、例えばヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2ーヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2ーヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4ーヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等の如きヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、(n−,イソ,)ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2ーエチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の如きアルキル(メタ)アクリレート;メトキシメチル(メタ)アクリレート、エトキシメチル(メタ)アクリレート、(n−、イソ)ブトキシメチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、(n−、イソ)ブトキシエチル(メタ)アクリレート等の如きアルコキシアルキル(メタ)アクリレート;ジメチルマレート、ジエチルマレート、ジブチルマレート、ジー2ーエチルヘキシルマレート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、ジブチルフマレート、ジー2ーエチルヘキシルフマレート、ジメチルイタコネート、ジエチルイタコネート、ジブチルイタコネート、ジー2ーエチルヘキシルイタコネート等の如きジカルボン酸のジアルキルエステル;ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルピバレート、ビニルバーサテート等の如きカルボン酸のビニルエステル;さらには、(メタ)アクリロニトリル、塩化ビニル、ビニルピロリドン等の如き共重合可能なビニルモノマーを加えることが出来る。
【0017】
これらの成分を適宜選択し、常法により共重合せしめればよい。例えば、水可溶性溶媒中でラジカル重合触媒の存在下でラジカル重合せしめればよい。
【0018】
水可溶性溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の如きケトン類;エチレングリコール(モノ、ジ)メチルエーテル、エチレングリコール(モノ、ジ)エチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノ(n−,イソ)ブチルエーテル、ジエチレングリコール(モノ、ジ)メチルエーテル、ジエチレングリコール(モノ、ジ)エチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ(n−,イソ)ブチルエーテル、トリエチレングリコール(モノ、ジ)メチルエーテル、プロピレングリコール(モノ、ジ)メチルエーテル、ジプロピレングリコール(モノ、ジ)メチルエーテル等の如きグリコールエーテル類;メタノール、エタノール、プロパノール、(n−、イソ)ブタノール等の如きアルコール類等を挙げる事が出来、これらを単独、あるいは混合して用いてよい。
【0019】
ラジカル重合触媒としては、例えば、ベンゾイルパーオキシド、メチルエチルケトンパーオキシド、tertーブチルパーベンゾエート、ジーtertーブチルパーオキシド、キュメンハイドロパーオキシド等の如き有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスバレロニトリル等の如きアゾ系化合物等を挙げる事が出来る。
【0020】
また、これらの各種ラジカル重合触媒と同時に、ラウリルメルカプタン、チオグリコール酸エステル等の如き連鎖移動剤を、必要に応じて使用する事が出来る。
【0021】
かくして得られた反応生成物の重量平均分子量は、本発明の効果を生ずる範囲であればいかなる値でも差し支えなく、通常2000〜80000である。但し、水溶化する場合は、4000〜20000、水分散化する場合は、10000〜40000の範囲で本発明の効果をよりよく発揮することが出来る。
【0022】
反応生成物の重量平均分子量が2000未満では、塗膜の耐水性、耐スチーム性、加工性、硬度に劣る。、また、80000を越えると、塗液の粘度が高くなり、塗装性に劣る。
【0023】
かくして得られた反応生成物は、含有するカルボキシル基を少なくとも部分的に中和するために塩基性化合物を添加して、中和率50%〜150%、好ましくは、80%〜100%とし、水溶化、もしくは水分散化する。
【0024】
塩基性化合物としては、例えば、(モノ、ジ、トリ)メチルアミン、(モノ、ジ、トリ)エチルアミン、モノプロピルアミン、ジメチルプロピルアミン等の如きアルキルアミン;(モノ、ジ、トリ)エタノールアミン、(モノ、ジ、トリ)イソプロパノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、2−アミノ−2−メチルプロパノ−ル、2−(ジメチルアミノ)−2−メチルプロパノ−ル、Nーメチルジエタノールアミン等の如きヒドロキシアミン;エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等の如き多価アミン類等の有機アミン等を挙げる事が出来、これらを単独、あるいは混合して用いてもよい。
【0025】
かくして得られた水性アクリル系樹脂(a)の全水性塗料組成物の樹脂固形分中の比率は、本発明の効果を生ずる範囲であればいかなる量でも差し支えなく、通常25〜80重量%であり、好ましくは、40〜70重量%の範囲で本発明の効果をよりよく発揮することが出来る。
【0026】
水性アクリル系樹脂の全水性塗料組成物の樹脂固形分中の比率が25重量%未満では、塗液の顔料分散性、塗装性、貯蔵安定性に劣り、かつ、塗膜の加工性、付着性、光沢に劣る。また、80重量%を越えると、塗膜の耐水性、耐スチーム性、硬度に劣る。
【0027】
本発明に使用される燐酸系化合物(b)とは、一分子中に少なくとも一個の燐原子に結合した水酸基を有する化合物(b−0)、及び一分子中に少なくとも一個の燐原子に結合した水酸基を有する化合物により変性されたエポキシ化合物(b−1)からなる群から選ばれた少なくとも一種である。また、化合物(b−1)をカルボン酸により更に変性された化合物(b−2)も挙げられる。また、化合物(b−1),(b−2)は、イソシアネート、フェノール樹脂、アミン等の化合物によって、更に変性されてもよい(化合物(b−3))。
【0028】
一分子中に少なくとも一個の燐原子に結合した水酸基を有する化合物(b−0)としては、例えば、メタ燐酸、オルト燐酸、ピロ燐酸、三燐酸、四燐酸等の如き十酸化四燐を加水分解してできる酸、亜燐酸、二亜燐酸、次亜燐酸等を挙げる事が出来る。さらには、(モノ、ジ)メチルホスフェート、(モノ、ジ)エチルホスフェート、(モノ、ジ)ブチルホスフェート、(モノ、ジ)オクチルホスフェート、(モノ、ジ)ー2ーエチルヘキシルホスフェート、(モノ、ジ)イソデシルホスフェート、モノメチルホスファイト、モノエチルホスファイト、モノブチルホスファイト、モノオクチルホスファイト、モノー2ーエチルヘキシルホスファイト、モノイソデシルホスファイト等の如きこれらのエステル化合物を挙げることが出来る。
【0029】
エポキシ化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ジグリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、スピログリコール、水添ビスフェノールA等の如き脂肪族ポリオールとエピクロルヒドリンとを反応して得られるグリシジルエーテル型エポキシ化合物;
【0030】
カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、ビスフェノール(A,F,S,AD)、テトラヒドロキシフェニルメタン等の如き芳香族ポリヒドロキシ化合物とエピクロルヒドリンとを反応して得られるグリシジルエーテル型エポキシ化合物;芳香族ポリヒドロキシ化合物のエチレンオキシドもしくはプロピレンオキシド付加体等の如きポリオール類とエピクロルヒドリンとを反応して得られるグリシジルエーテル型エポキシ化合物;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の如きポリエーテルポリオールとエピクロルヒドリンとを反応して得られるグリシジルエーテル型エポキシ化合物;
【0031】
プロパントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸等の如き脂肪族ないしは芳香族ポリカルボン酸とエピクロルヒドリンとを反応して得られるグリシジルエステル型エポキシ化合物;アニリン、(p,m−)アミノフェノール、ジアミノジフェニルメタン、ビスアミノメチルシクロヘキサン、メタキシリレンジアミン等の如きアミンとエピクロルヒドリンとを反応して得られるグリシジルアミン型エポキシ化合物;
【0032】
フェノールノボラックとエピクロルヒドリンとを反応して得られるフェノールノボラック型エポキシ化合物;クレゾールノボラックとエピクロルヒドリンとを反応して得られるクレゾールノボラック型エポキシ化合物;3、4ーエポキシー6ーメチルシクロヘキシルメチルー3’、4’ーエポキシー6’ーメチルシクロヘキサンカルボキシレート、3、4ーエポキシシクロヘキシルメチルー3’、4’ーエポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3、4ーエポキシー6ーメチルシクロヘキシルメチル)アジぺート、ビニルシクロヘキセンジエポキシサイド、ジシクロペンタジエンオキサイド、ビス(2、3ーエポキシシクロペンチル)エーテル、リモネンジオキサイド等の如きシクロ環の二重結合を酸化して得られる環式脂肪族型エポキシ化合物;
【0033】
ブタジエン、ヘキサジエン、オクタジエン、ドデカジエン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、大豆油等の線状脂肪族の二重結合を酸化して得られる線状脂肪族エポキシ化合物;さらにはトリアジン、ヒダントイン等の如き複素環を含有するエポキシ化合物等の多官能エポキシ化合物を挙げることが出来る。これらを単独、あるいは混合して用いてよい。
【0034】
なお、カルボン酸をはじめ、イソシアネート、フェノール樹脂、アミン等の化合物によって、更に変性しないならば、n−ブチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2ーエチルヘキシルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート、スチレンオキサイド、フェニルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル等の如き一官能のエポキシ化合物を用いることも出来る。
【0035】
カルボン酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバル酸、メトキシ酢酸、ピルビン酸、グリオキシル酸等の如き脂肪族飽和モノカルボン酸;(メタ)アクリル酸、3、3ージメチルアクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、チグリン酸、ビニル酢酸、ペンテン酸、オレイン酸等の如きエチレン性不飽和モノカルボン酸;
【0036】
シュウ酸、マロン酸、メチルマロン酸(無水物)、(無水)コハク酸、ジメチルコハク酸(無水物)、ジグリコール酸、(無水)グルタル酸、2ーオキソグルタル酸、3ーオキソグルタル酸、ジメチルグルタル酸(無水物)、アジピン酸、3ーメチルアジピン酸、3ーオキサアジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバチン酸、ジアセチル酒石酸等の如き脂肪族飽和ジカルボン酸およびそれらの無水物;
【0037】
1、1ーシクロプロパンジカルボン酸、1、1ーシクロブタンジカルボン酸、1、2ーシクロペンタンジカルボン酸、1、2ーシクロヘキサンジカルボン酸(無水物)、1、4ーシクロヘキサンジカルボン酸、メチルー1、2ーシクロヘキサンジカルボン酸(無水物)、4ーメチルー1、2ーシクロヘキサンジカルボン酸(無水物)、1、1ーシクロヘキサン二酢酸、ビシクロ[2.2.2]オクタンジカルボン酸(無水物)等の如き脂環族飽和ジカルボン酸およびそれらの無水物;
【0038】
(無水)マレイン酸、2、3ージメチルマレイン酸(無水物)、フマル酸、(無水)イタコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、(無水)シトラコン酸、ムコン酸、3ーメチレンシクロプロパンー1、2ージカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクトー5ーエンー2、3ージカルボン酸(無水物)、4ーオクテンー1、8ージカルボン酸、1ーシクロペンテンー1、2ージカルボン酸、5ーノルボルネンー2、3ージカルボン酸(無水物)、テトラヒドロフタル酸(無水物)、4ーメチルテトラヒドロフタル酸(無水物)、4、5ーエポキシー1、2、3、6ーテトラヒドロフタル酸(無水物)等の如きエチレン性不飽和ジカルボン酸およびそれらの無水物;
【0039】
安息香酸、o−トルイル酸、1ーナフトエ酸、アトロパ酸、ケイ皮酸等の如き芳香族モノカルボン酸;(無水)フタル酸、4ーメチルフタル酸(無水物)、ホモフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、カルボキシフェノキシ酢酸、フェニルマロン酸、フェニレン二酢酸、フェニルコハク酸、ベンジルマロン酸、カルボキシケイ皮酸等の如き芳香族ジカルボン酸およびそれらの無水物;ニコチン酸、イソニコチン酸、2ーフランカルボン酸、2ーチオフェンカルボン酸等の如き複素環カルボン酸およびそれらの無水物等を挙げることが出来る。
【0040】
また、グリコール酸、乳酸、グリセリン酸、3ーヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシピルビン酸、1ーヒドロキシー1ーシクロプロパンカルボン酸、ヒドロキシ酪酸、2ーヒドロキシイソ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、2ーヒドロキシイソ吉草酸、ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、コメン酸、2ーヒドロキシカプロン酸、メバロン酸、メコン酸、サリチル酸、3ーイソプロピルサリチル酸、2ーヘキサヒドロキシサリチル酸、pーヒドロキシ安息香酸、2、3ージヒドロキシ安息香酸、トリヒドロキシ安息香酸、レゾルシル酸、ゲンチシン酸、ホモゲンチシン酸、プロトカテク酸、シキミ酸、バニリン酸、イソバニリン酸、ホモバニリン酸、ヒドロキシーoートルイル酸、ヒドロキシーmートルイル酸、ヒドロキシーpートルイル酸、ヒドロキシフェニル酢酸、マンデル酸、ジヒドロキシマンデル酸、バニリルマンデル酸、2ーヒドロキシオクタン酸、o−オルセリン酸、p−ヒドロキシフェニルピルビン酸、ヒドロクマル酸、メリロット酸、フロレチン酸、2ーヒドロキシノナン酸、カフェイン酸、ヒドロキシケイ皮酸、ヒドロキシヒドロケイ皮酸、シリンガ酸、アトロラクチン酸、トロパ酸、2ーヒドロキシデカン酸、ヘスペリチン酸、フェルラ酸、10ーヒドロキシデカン酸、10ーヒドロキシー2ーデセン酸、ロイヤルジェリー酸、o−チモチン酸、カルバクロチン酸、ヒドロキシー1ーナフトエ酸、ヒドロキシー2ーナフトエ酸、ジヒドロキシナフトエ酸、イソボルネオル酢酸、ヒドロキシステアリン酸、フロイオノル酸、ロイコトリエンB4、デオキシコール酸、αーヒオデキシコール酸、ケノデオキシコール酸、ウルソデオキシコール酸、ヒオコール酸、アザフリン等の如きオキシモノカルボン酸;
【0041】
(無水)タルトロン酸、ジヒドロキシマロン酸、リンゴ酸、酒石酸、オキサロ酢酸、2、3ージヒドロキシコハク酸、テトラヒドロキシコハク酸、ジヒドロキシフマル酸、シトラマル酸、3ーヒドロキシグルタル酸、ガラクタール酸、ジクロタリン酸、2ーヒドロキシー2ーイソプロピルコハク酸、ヒドロキシフタル酸(無水)、ヒドロキシイソフタル酸、2ーヒドロキシテレフタル酸、エチル(2ーヒドロキシー3ーブテニル)ーマロン酸、2ー(ヒドロキシメチル)ー3ーイソブチルーコハク酸、3ーヒドロキシー5ーメチルー4ーシクロヘキセンー1、2ージカルボン酸、4ーヒドロキシー1、3ージメチルー1、2ーシクロヘキサンジカルボン酸、5ー(2ーヒドロキシエチル)ーベンゼンジカルボン酸、2、5ージヒドロキシー1、4ーベンゼン二酢酸、フロイオン酸、クエン酸等の如きオキシポリカルボン酸およびそれらの無水物等を挙げることが出来る。これらを単独、あるいは混合して用いてよい。
【0042】
一分子中に少なくとも一個の燐原子に結合した水酸基を有する化合物と、エポキシ化合物との反応、あるいは、一分子中に少なくとも一個の燐原子に結合した水酸基を有する化合物と、エポキシ化合物と、カルボン酸との反応は、無溶媒中あるいは水可溶性溶媒で行い、必要によりアミン化合物のような触媒も使用してよい。
【0043】
水可溶性溶媒としては、前述のものを挙げることが出来る。また、触媒としては、前述の有機アミン化合物およびそれらの無機酸塩または有機酸塩;三フッ化ホウ素、塩化リチウム、塩化スズ、臭化リチウム、臭化スズ等の如きハロゲン化金属;塩化水素、臭化水素等の如きハロゲン化水素;水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等の如き金属水酸化物;2ーメチルイミダゾール、2ーエチルー4ーメチルイミダゾール、2ーフェニルイミダゾール等の如きイミダゾール類およびそれらの無機物または有機物等の付加物;トリフェニルホスフィン、トリフェニルアンチモン等を挙げることが出来、これらを単独、あるいは混合して用いてよい。
【0044】
かかる燐酸系化合物(b)の全水性塗料組成物の樹脂固形分中の比率は、本発明の効果を生ずる範囲であればいかなる範囲でも差し支えなく、通常0.4〜40重量%である。化合物(b−0)の場合、好ましくは0.6〜3.0重量%の範囲である。
【0045】
一分子中に少なくとも一個の燐原子に結合した水酸基を有する化合物により変性されたエポキシ化合物(b−1)、更にカルボン酸で変性された化合物(b−2)、イソシアネート、フェノール樹脂、アミン等で更に変性された化合物(b−3)の場合は、5.0〜20.0重量%の範囲で本発明の効果をよりよく発揮することが出来る。
【0046】
燐酸系化合物(b)の全水性塗料組成物の樹脂固形分中の比率が0.4重量%未満では、塗膜の耐水性、耐スチーム性、加工性、付着性に劣る。また、40重量%を越えると、塗液の顔料分散性、塗装性、貯蔵安定性に劣り、かつ、塗膜の光沢に劣る。
【0047】
本発明に使用される顔料(c)としては、例えば、クロム酸塩(黄鉛、クロムバーミリオン)、フエロシアン化物(紺青)、硫化物(カドミウムエロー、カドミウムレッド)、酸化物(酸化チタン、ベンガラ、鉄黒、亜鉛華)、硫酸塩(硫酸バリウム、硫酸鉛)、珪酸塩(群青、珪酸カルシウム)、炭酸塩(炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム)燐酸塩(コバルトバイオレット)、金属粉末(アルミニウム粉末、ブロンズ)、炭素(カーボンブラック)等如き無機顔料;
【0048】
アゾ系(ベンジジンエロー、ハンザエロー、バルカンオレンジ、パーマネントレッドF5R、カーミン6B,レーキレッドC,クロモフタールレッド、クロモフタールエロー)、フタロシアニン系(フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン)、建染染料系(インダスレンブルー、チオインジゴボルドー)、染付レーキ系(エオシンレーキ、キノリンエロー、ローダミンレーキ、メチルバイオレットレーキ)、キナクリドン系(シンカシアレッド、シンカシアバイオレット)、ジオキサジン系(PVファストバイオレットBL)等如き有機顔料等を挙げることが出来、これらを単独、あるいは混合して用いてよい。
【0049】
かかる顔料の全水性塗料組成物の全固形分中の比率は、本発明の効果を生ずる範囲であればいかなる範囲でも差し支えない。例えば、酸化チタンの場合、通常30〜70重量、好ましくは、40〜60重量%の範囲で本発明の効果をよりよく発揮することが出来る。酸化チタンの全水性塗料組成物の全固形分中の比率が30重量%未満では、塗膜の隠ぺい性、着色力に劣る。また、70重量%を越えると、塗膜の加工性、付着性に劣る。
【0050】
本発明の水性塗料組成物には、塗膜の耐水性、耐スチーム性、硬度等を更に向上させる目的で、例えば、アルキルエーテル化尿素樹脂、アルキルエーテル化メラミン樹脂、アルキルエーテル化ベンゾグアナミン樹脂、アルキルエーテル化アセトグアナミン樹脂、アルキルエーテル化スピログアナミン樹脂、アルキルエーテル化シクロヘキシルグアナミン樹脂等の如きアミノ樹脂;レゾール樹脂、ノボラック樹脂の如きフェノール樹脂;
【0051】
トリレンジイソシアネート、4、4’ージフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4、4’ーメチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート等の如きイソシアネートと、メタノール、エタノール、フェノール、m−クレゾール、アセチルアセトン、アセト酢酸エチル、εーカプロラクタム、αーピロリドン等の如き活性水素化合物(ブロック剤)とを反応させたブロックイソシアネート等の如き水溶性あるいは水分散性の架橋樹脂を単独、あるいは混合して添加してもよい。
【0052】
また、同様の目的で、例えば、燐酸、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸等の如き酸触媒及びこれらのアミン塩;チタンキレート、アルミニウムキレート、ジルコニウムキレート等の如き金属キレート化合物等を単独、あるいは混合して添加してもよい。
【0053】
また、本発明の水性塗料組成物には、必要に応じて、従来より一般的に用いられている水性樹脂、例えば、アクリル系樹脂、アルキッド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオール等を単独、あるいは混合して添加してもよい。また、同様に、例えば、レベリング剤、タレ防止剤、消泡剤、紫外線吸収剤、老化防止剤、滑剤等の各種添加剤を添加してもよい。
【0054】
本発明の水性塗料組成物の製造には、例えば、ロールミル、サンドミル、ボールミル等の混合機(あるいは、練肉機)を用いることが出来る。
【0055】
本発明の水性塗料組成物は、例えば、刷毛塗り、浸漬法、スプレー塗装、ロール塗装、カーテンフローコート、静電塗装等の公知の塗装法により塗装することが出来る。被覆対象物としては、例えば、木、紙、繊維、プラスチック、セラミックス、セメント、鉄、非鉄金属等の如き各種素材を挙げることが出来るが、特に、鉄、非鉄金属において、本発明の効果をよりよく発揮することが出来る。
【0056】
本発明の水性塗料組成物は、通常、100〜250℃なる温度で、5秒から30分の加熱条件で焼き付けをすることにより、諸性能に優れた硬化塗膜が得られる。
【0057】
かくして得られた水性塗料組成物は、従来の水性塗料組成物に比べて、塗液中の有機溶剤の含有量が低いにもかかわらず、塗液の顔料分散性、塗装性、貯蔵安定性等に優れ、かつ、耐水性、耐スチーム性、加工性、付着性、硬度、光沢等に優れた塗膜を形成し得る。
【0058】
【実施例】
次に実施例、比較例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらにより何等限定されるものではない。尚、例中の部及び%はすべて重量基準である。
【0059】
合成例1(水溶性アクリル系樹脂A−1の合成)
攪拌機、温度計、還流冷却器、窒素ガス導入管、及び滴下槽を備えた反応容器に、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル 150.0部を仕込み、120℃まで昇温した。120℃を保持しつつ、滴下槽から、メタクリル酸 6.0部、スチレン 15.0部、Nーメトキシメチルアクリルアミド 15.0部、2ーヒドロキシエチルメタクリレート 5.0部、エチルアクリレート 59.0部、及びベンゾイルパーオキシド 4.0部の混合物を4時間かけて連続滴下した。滴下終了1時間後にジ−tert−ブチルパーオキシド 1.0部を添加し、更に2時間反応させた。得られた樹脂溶液を減圧下でエチレングリコールモノイソプロピルエーテル 125.0部を留去し、トリエチルアミン 7.0部で中和し、更に、水 66.7部で希釈して、重量平均分子量 15000、酸価 19.3mgKOH/g、不揮発分 52.2%の水溶性アクリル系樹脂A−1を得た。
【0060】
合成例2〜9(水溶性アクリル系樹脂A−2〜9の合成)
合成例1において、第1表に示す部数のモノマーを用いた以外は同様に合成し、水溶性アクリル系樹脂A−2〜9を得た。
【0061】
合成例10(燐酸系化合物B−1の合成)
攪拌機、温度計、還流冷却器及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、エピコート1001(シェル化学株式会社製 エポキシ化合物) 110.8部とプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 101.8部を、仕込んで加熱溶解し、75℃に達したら、50%燐酸 7.6部を1時間かけて連続滴下した。75℃で8時間反応させた後、トリエチルアミン 6.1部で中和し、酸価15.1mgKOH/g、不揮発分 51.6%の燐酸系化合物B−1を得た。
【0062】
合成例11(燐酸系化合物B−2の合成)
攪拌機、温度計、及び還流冷却器を備えた反応容器に、エピコート1001(シェル化学株式会社製 エポキシ化合物) 99.3部とプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 88.7部を、仕込んで加熱溶解し、80℃に達したら、メタアクリル酸 14.3部を加えて100℃まで昇温した。同温度で10時間反応させ、酸価が1.0mgKOH/g以下になったところで70℃に下げて、85%燐酸 2.8部を添加した。引き続き、70℃で5時間反応させ、次いでトリエチルアミン 4.3部で中和し、酸価 11.4mgKOH/g、不揮発分 56.5%の燐酸系化合物B−2を得た。
【0063】
合成例12(メチルエーテル化ベンゾグアナミン樹脂Dの合成)
攪拌機、温度計、還流冷却器及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、メタノール 106.7部、80%パラホルムアルデヒド 62.5部、ベンゾグアナミン 62.3部を仕込み、5Nー水酸化ナトリウムでpH 10.0に調整し、70℃に昇温した。70℃を2時間維持してメチロール化反応を行い、引き続き、50%硫酸でpH 3.0に調整し、70℃4時間でエーテル化反応を行った。次いで、5N−水酸化ナトリウムでpH 7.0に調整し、減圧下でメタノール、ホルムアルデヒド及び水を留去した。最後に、エチレングリコールモノブチルエーテル 19.8部で希釈し、析出した塩類を濾別して、不揮発分 84.3%のメチルエーテル化ベンゾグアナミン樹脂Dを得た。
【0064】
比較例6
合成例1で得られた水溶性アクリル系樹脂A−1 124.5部、モノブチルホスフェート 0.6部、合成例12で得られたメチルエーテル化ベンゾグアナミン樹脂D 40.8部、CR−93(石原産業株式会社製 酸化チタン) 100部、ネイキュア 2500X(キング社製 p−トルエンスルホン酸のアミン塩) 1.0部、ポリフローKL−245(共栄社化学株式会社製 レベリング剤) 0.2部,さらにジエチレングリコールモノエチルエーテル、及び水を混合して、有機溶剤量 18%、固形分 60%の塗料組成物を調整した。但し、アクリル系樹脂と酸化チタンとは、あらかじめロールミルを用いて練肉した。
【0065】
実施例3〜11、比較例1〜5、7
第2表に示す部数(固形分換算)の水溶性アクリル系樹脂、燐酸系化合物、メチルエーテル化ベンゾグアナミン樹脂Dを配合し、有機溶剤量 18%、固形分 60%の塗料組成物を調整した。
【0066】
実施例及び比較例で得られた塗料組成物の貯蔵安定性試験、塗膜物性試験を行い、それらの結果を第3表に示す。なお各種試験方法は以下の通りである。
1.塗料組成物
a)貯蔵安定性試験
実施例〜11、比較例1〜で得られた塗料組成物を40℃で30日間貯蔵した後、塗料組成物の増粘、ゲル化、分離等の有害な変化の程度を目視判定した。
【0067】
b)塗装性
実施例〜11、比較例1〜で得られた塗料組成物をロールコーターを用いて、ブリキ板(新日本製鐵株式会社製)に塗装し、直ちに200℃1分加熱硬化した。得られた塗膜のレベリングの程度を目視判定した。
【0068】
2.塗膜物性
実施例〜11、比較例1〜で得られた塗料組成物をロールコーターを用いて、ブリキ板(新日本製鐵株式会社製)に塗装し、200℃1分加熱硬化した。得られた塗膜の厚さは、9〜11μmであった。更に、この塗膜の上に、比較例6の塗料組成物から酸化チタンを除いた透明な被覆用組成物をロールコーターで塗装し、200℃2分加熱硬化し、塗膜物性試験用テストパネルを得た。最終的な塗膜の厚さは、13〜16μmであった。
【0069】
a)耐水性
テストパネルを沸騰水中に30分浸浸し、その後の塗膜外観のブリスター、白化等の有害な変化の程度を目視判定した。
【0070】
b)耐スチーム性
オートクレーブを用い、テストパネルを130℃のスチーム中に30分間放置し、その後の塗膜外観のブリスター、白化等の有害な変化の程度を目視判定した。
【0071】
c)加工性
JIS Z 2247に準じて、テストパネルに深さ6.0mmの凹加工を施し、加工部の塗膜外観のクラック、剥離等の有害な変化の程度を目視判定した。
【0072】
d)付着性
JIS K 5400に準じて、碁盤目剥離法を行った。
e)硬度
JIS K 5400に準じて、鉛筆引っかき値を測定した。
【0073】
3.塗膜の光沢
実施例〜11、比較例1〜で得られた塗料組成物をロールコーターを用いて、ブリキ板(新日本製鐵株式会社製)に塗装し、200℃1分加熱硬化した。得られた塗膜の厚さは、9〜11μmであった。JIS Z8741に準じて、この塗膜の20°鏡面光沢を測定した。
【0074】
尚、目視判定基準は以下の通りである。
◎・・きわめて良好
○・・良好
△・・やや不良
×・・不良
【0075】
【発明の効果】
実施例から明らかなように、本発明による水性塗料組成物は、塗膜の耐水性、耐スチーム性、加工性、付着性、硬度、光沢等に優れ、かつ、塗液の顔料分散性、塗装性、貯蔵安定性等に優れており、例えば、各種形態への加工に耐える加工性、搬送行程での耐外傷性、食品殺菌処理の一種であるレトルト処理行程に耐える(耐レトルト性)等の高度な性能が要求される金属缶外面用白色塗料等に適応できる。また、有機溶剤の含有量の低減が可能であり、地球温暖化、大気汚染等の地球環境問題、省資源化、あるいは火災、爆発等の危険防止等への対応に有効である。
【0076】
【表1】
Figure 0003635682
【0077】
【表2】
Figure 0003635682
【0078】
AA :アクリル酸
MAA :メタクリル酸
ST :スチレン
VT :ビニルトルエン
MMAM :N−メトキシメチルアクリルアミド
n−BMAM :N−(n−ブトキシ)メチルアクリルアミド
MMMAM :N−メトキシメチルメタクリルアミド
2−HEMA :2−ヒドロキシエチルメタクリレート
EA :エチルアクリレート
MEA :メトキシエチルアクリレート
【0079】
【表3】
Figure 0003635682
【0080】
【表4】
Figure 0003635682
【0081】
【表5】
Figure 0003635682
【0082】
【表6】
Figure 0003635682
【0083】
【表7】
Figure 0003635682

Claims (8)

  1. α、β−エチレン性不飽和カルボン酸と芳香族系ビニルモノマーと(メタ)アクリルアミド系モノマーとを必須の成分とする水性アクリル系樹脂(a)、燐酸系化合物(b)、及び顔料(c)を、必須の被膜形成成分とする缶外面水性被覆用組成物であって、該燐酸系化合物(b)が、フェノール性水酸基を有する化合物とエピクロルヒドリンとから合成されるエポキシ化合物と、若しくは、フェノール性水酸基を有する化合物とエピクロルヒドリンとから合成されるエポキシ化合物とカルボキシル基を有する化合物と、リン原子に結合した水酸基を有する化合物とを反応させて得られる、リン原子に結合した水酸基を有する化合物であり、缶外面水性被覆用組成物の顔料(c)を除く全固形分中の該燐酸系化合物(b)の比率が5〜20重量%であり、顔料(c)が酸化チタンであり、缶外面水性被覆用組成物の全固形分中の顔料(c)の比率が30〜70重量%であることを特徴とする缶外面水性被覆用組成物。
  2. α、β−エチレン性不飽和カルボン酸の水性アクリル系樹脂中の比率が、1〜25重量%である、請求項1に記載の缶外面水性被覆用組成物。
  3. 芳香族系ビニルモノマーの水性アクリル系樹脂中の比率が、5〜50重量%である、請求項1又は2に記載の缶外面水性被覆用組成物。
  4. (メタ)アクリルアミド系モノマーの水性アクリル系樹脂中の比率が、5〜50重量%である、請求項1〜3のいずれかに記載の缶外面水性被覆用組成物。
  5. 水性アクリル系樹脂(a)の全缶外面水性被覆組成物の樹脂固形分中の比率が25〜80重量%である、請求項1〜4のいずれかに記載の缶外面水性被覆用組成物。
  6. α、β−エチレン性不飽和カルボン酸が、(メタ)アクリル酸の少なくとも一種である、請求項1〜のいずれかに記載の缶外面水性被覆用組成物。
  7. 芳香族系ビニルモノマーが、スチレン、ビニルトルエンの少なくとも一種である、請求項1〜のいずれかに記載の缶外面水性被覆用組成物。
  8. (メタ)アクリルアミド系モノマーが、N−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミドからなる群から選ばれた少なくとも一種である、請求項1〜のいずれかに記載の缶外面水性被覆用組成物。
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