JP3629407B2 - レジスト塗布処理装置およびレジスト塗布処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウエハ等の基板上にレジスト膜を形成するためのレジスト塗布処理装置およびレジスト塗布処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、半導体デバイスの製造プロセスにおけるフォトリソグラフィー工程のためのレジスト塗布・現像処理システムにおいては、半導体ウエハ(ウエハ)の表面にレジスト膜を形成するレジスト塗布処理と、レジスト塗布後のウエハに対して露光処理を行った後に前記ウエハを現像する現像処理とが行われている。このうち、レジスト塗布処理は、このシステムに搭載されたレジスト塗布ユニットを用いて行われており、ウエハ表面にレジスト液を均一に塗布するための方法としては、スピンコーティング法等が多用されている。
【0003】
このスピンコーティング法は、例えば、水平面内で回転可能なスピンチャック上にウエハを真空吸着して固定保持し、ウエハの上方からレジスト液をウエハの中央部に滴下にして、ウエハをスピンチャックとともに回転させることにより、滴下されたレジスト液を遠心力によってウエハの径方向外側に向かって拡げるものである。
【0004】
そして、レジスト液の滴下を停止して、ウエハを所定速度で回転させることにより、ウエハ上の残余のレジストを振り切るとともに、形成されたレジスト膜を乾燥させている。さらに、多くの場合、レジスト液に含まれる揮発性溶剤を、レジスト膜が形成された基板の裏面および周縁部に吐出して、不要に付着したレジストを除去するバックリンス処理やサイドリンス処理が行われる。
【0005】
従来、このようなレジスト膜の形成処理にあたって、ウエハ上から振り切られたレジスト液およびバックリンス処理やサイドリンス処理の際に排出される低粘度のレジスト液は、ともに廃棄されていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、均一な厚みを有するレジスト膜を形成するために、ウエハ上に滴下されるレジスト液の量は、実際に膜となる量を大きく上回る。このため、結果的に1枚のウエハあたりのレジスト消費量は増大し、処理コストが割高となる問題を有していた。
【0007】
本発明はこのような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものであって、使用されたレジスト液の効率的な回収と再利用を可能とするレジスト塗布処理装置およびレジスト塗布処理方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、基板にレジスト液を塗布する塗布処理部と、
前記塗布処理部から排出される排レジスト液を回収する回収部と、
前記回収部に貯留された排レジスト液を濃縮する増粘処理部と、
前記排レジスト液の増粘処理時に発生する溶剤の蒸気を液化させて回収する溶剤回収部と、
前記溶剤回収部で回収した溶剤を一時貯留する溶剤貯留部と、
前記増粘処理部において製造された増粘レジスト液と、前記溶剤回収部に貯留された溶剤とを混合する混合処理部と、
前記溶剤貯留部と前記混合処理部との間と、前記増粘処理部と前記混合処理部との間に、それぞれ設けられた定量ポンプと、
を具備し、
前記溶剤貯留部と前記増粘処理部から前記各定量ポンプを通して溶剤と増粘レジスト液を前記混合処理部へ送液することにより、前記溶剤と増粘レジスト液の混合量の変動を抑制して、所定濃度の再生レジスト液が製造されることを特徴とするレジスト塗布処理装置、が提供される。
【0010】
さらに本発明によれば、基板上にレジスト膜を形成するレジスト塗布処理方法であって、
前記基板にレジスト液を塗布して成膜処理を行うとともに、不要な基板上のレジスト液を除去する第1工程と、
前記第1工程において排出される排レジスト液を回収する第2工程と、
前記第2工程において回収された排レジスト液から溶剤を蒸発させることにより濃縮して増粘レジスト液を製造するとともに、蒸発した溶剤の蒸気を冷却することによって溶剤を液体として回収する第3工程と、
レジスト液の溶剤を一時貯留する溶剤貯留部に、前記第3工程において回収されたレジスト液の溶剤を送液し、貯留する第4工程と、
前記第3工程において製造された前記増粘レジスト液と、前記第4工程により前記溶剤貯留部に貯留されたレジスト液の溶剤とを、それぞれ定量ポンプを用いて混合器へ送液し、混合することにより、前記増粘レジスト液と前記溶剤の混合量の変動を抑制し、所定粘度の再生レジスト液を製造する第5工程と、
を有することを特徴とするレジスト塗布処理方法、が提供される。
【0011】
このようなレジスト塗布処理装置およびレジスト塗布処理方法によれば、塗布処理部から排出される排レジスト液およびレジスト液の溶剤のいずれもが回収されることから、廃棄される液量が低減され、また、再生されたレジスト液を用いて基板にレジスト膜を形成することが可能となることから、基板1枚あたりに使用されるレジスト液量が低減されて、処理コストの低減が図られる。また、回収された排レジスト液は、高粘度のレジスト液とレジスト液に含まれる揮発性溶剤とに分離されることから、その後の粘度調整が容易である。
【0012】
また、レジスト塗布処理装置を、大きくは塗布処理部、回収部、増粘処理部、混合処理部等にブロック分けすることにより、排レジスト液の回収、保存、再生といった処理を独立に行うことができるようになり、レジスト塗布処理装置の運転シーケンスを、作業内容に合わせて都度好適なものとして、処理作業性を向上させることができる。さらに、各部についてのメンテナンスや洗浄処理も容易に行うことが可能であり、保守性が向上する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について、半導体ウエハ(ウエハ)へレジスト膜を形成するために用いられるレジスト塗布・現像処理システムを例として詳細に説明する。図1は本発明のレジスト塗布処理装置が搭載されたレジスト塗布・現像処理システムを示す概略平面図、図2はその正面図、図3はその背面図である。
【0014】
このレジスト塗布・現像処理システム1は、搬送ステーションであるカセットステーション10と、複数の処理ユニットを有する処理ステーション11と、処理ステーション11と隣接して設けられる露光装置(図示せず。)との間でウエハWを受け渡すためのインターフェイス部12とを具備している。
【0015】
カセットステーション10は、被処理体としてのウエハWを複数枚、例えば25枚単位でウエハカセットCRに搭載された状態で他のシステムからこのレジスト塗布・現像処理システム1へ搬入またはこのレジスト塗布・現像処理システム1から他のシステムへ搬出する等、ウエハカセットCRと処理ステーション11との間でウエハWの搬送を行うためのものである。
【0016】
このカセットステーション10においては、図1に示すように、載置台20上に図中X方向に沿って複数(図では4個)の位置決め突起20aが形成されており、この突起20aの位置にウエハカセットCRがそれぞれのウエハ出入口を処理ステーション11側に向けて1列に載置可能となっている。ウエハカセットCRにおいてはウエハWが垂直方向(Z方向)に配列されている。また、カセットステーション10は、載置台20と処理ステーション11との間に位置するウエハ搬送機構21を有している。
【0017】
ウエハ搬送機構21は、カセット配列方向(X方向)およびその中のウエハWのウエハ配列方向(Z方向)に移動可能なウエハ搬送用アーム21aを有しており、このウエハ搬送用アーム21aによりいずれかのウエハカセットCRに対して選択的にアクセス可能となっている。また、ウエハ搬送用アーム21aは、図1中に示されるθ方向に回転可能に構成されており、後述する処理ステーション11の第3の処理部G3に属するアライメントユニット(ALIM)およびエクステンションユニット(EXT)にもアクセスできるようになっている。
【0018】
一方、処理ステーション11は、ウエハWへ対して塗布・現像を行う際の一連の工程を実施するための複数の処理ユニットを備え、これらが所定位置に多段に配置されており、これらによりウエハWが1枚ずつ処理される。この処理ステーション11は、図1に示すように、中心部にウエハ搬送路22aを有しており、この中に主ウエハ搬送機構22が設けられ、ウエハ搬送路22aの周りに全ての処理ユニットが配置された構成となっている。これら複数の処理ユニットは、複数の処理部に分かれており、各処理部は複数の処理ユニットが垂直方向(Z方向)に沿って多段に配置されている。
【0019】
主ウエハ搬送機構22は、図3に示すように、筒状支持体49の内側に、ウエハ搬送装置46を上下方向(Z方向)に昇降自在に装備している。筒状支持体49はモータ(図示せず。)の回転駆動力によって回転可能となっており、それに伴ってウエハ搬送装置46も一体的に回転可能となっている。
【0020】
ウエハ搬送装置46は、搬送基台47の前後方向に移動自在な複数本の保持部材48を備え、これらの保持部材48によって各処理ユニット間でのウエハWの受け渡しを実現している。
【0021】
また、図1に示すように、この実施の形態においては、4個の処理部G1・G2・G3・G4がウエハ搬送路22aの周囲に配置されており、第5の処理部G5は必要に応じて配置可能となっている。これらのうち、第1および第2の処理部G1・G2はレジスト塗布・現像処理システム1の正面(図1において手前)側に並列に配置され、第3の処理部G3はカセットステーション10に隣接して配置され、第4の処理部G4はインターフェイス部12に隣接して配置されている。また、第5の処理部G5は背面部に配置可能となっている。
【0022】
第1の処理部G1では、コータカップ(CP)内でウエハWをスピンチャック(図示せず。)に乗せて所定の処理を行う2台のスピナ型処理ユニットであるレジスト塗布ユニット(塗布処理部)(COT)およびレジストのパターンを現像する現像処理ユニット(DEV)が下から順に2段に重ねられている。第2の処理部G2も同様に、2台のスピナ型処理ユニットとしてレジスト塗布ユニット(COT)および現像処理ユニット(DEV)が下から順に2段に重ねられている。
【0023】
第3の処理部G3においては、図3に示すように、ウエハWを載置台SP(図1)に載せて所定の処理を行うオーブン型の処理ユニットが多段に重ねられている。すなわち冷却処理を行うクーリングユニット(COL)、レジストの定着性を高めるためのいわゆる疎水化処理を行うアドヒージョンユニット(AD)、位置合わせを行うアライメントユニット(ALIM)、ウエハWの搬入出を行うエクステンションユニット(EXT)、露光処理前や露光処理後、さらには現像処理後にウエハWに対して加熱処理を行う4つのホットプレートユニット(HP)が下から順に8段に重ねられている。なお、アライメントユニット(ALIM)の代わりにクーリングユニット(COL)を設け、クーリングユニット(COL)にアライメント機能を持たせてもよい。
【0024】
第4の処理部G4も、オーブン型の処理ユニットが多段に重ねられている。すなわち、クーリングユニット(COL)、クーリングプレートを備えたウエハ搬入出部であるエクステンション・クーリングユニット(EXTCOL)、エクステンションユニット(EXT)、クーリングユニット(COL)、および4つのホットプレートユニット(HP)が下から順に8段に重ねられている。
【0025】
主ウエハ搬送機構22の背部側に第5の処理部G5を設ける場合に、第5の処理部G5は、案内レール25に沿って主ウエハ搬送機構22から見て側方へ移動できるようになっている。従って、第5の処理部G5を設けた場合でも、これを案内レール25に沿ってスライドすることにより空間部が確保されるので、主ウエハ搬送機構22に対して背後からメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0026】
インターフェイス部12は、奥行方向(X方向)については、処理ステーション11と同じ長さを有している。図1、図2に示すように、このインターフェイス部12の正面部には、可搬性のピックアップカセットCRと定置型のバッファカセットBRが2段に配置され、背面部にはウエハWの周辺部のレジストを露光する周辺露光装置23が配設され、中央部には、ウエハ搬送機構24が配設されている。
【0027】
このウエハ搬送機構24は、ウエハ搬送用アーム24aを有しており、このウエハ搬送用アーム24aは、X方向、Z方向に移動して両カセットCR・BRおよび周辺露光装置23にアクセス可能となっている。なお、このウエハ搬送用アーム24aは、θ方向に回転可能であり、処理ステーション11の第4の処理部G4に属するエクステンションユニット(EXT)や、さらには隣接する露光装置側のウエハ受け渡し台(図示せず。)にもアクセス可能となっている。
【0028】
上述したレジスト塗布・現像処理システム1においては、まず、カセットステーション10において、ウエハ搬送機構21のウエハ搬送用アーム21aが載置台20上の未処理のウエハWを収容しているウエハカセットCRにアクセスして、1枚のウエハWを取り出し、第3の処理部G3のエクステンションユニット(EXT)に搬送する。
【0029】
ウエハWは、このエクステンションユニット(EXT)から、主ウエハ搬送機構22のウエハ搬送装置46により、処理ステーション11に搬入される。そして、第3の処理部G3のアライメントユニット(ALIM)によりアライメントされた後、アドヒージョン処理ユニット(AD)に搬送され、そこでレジストの定着性を高めるための疎水化処理(HMDS処理)が施される。この処理は加熱を伴うため、その後ウエハWは、ウエハ搬送装置46により、クーリングユニット(COL)に搬送されて冷却される。
【0030】
アドヒージョン処理が終了し、クーリングユニット(COL)で冷却されたウエハWは、引き続き、ウエハ搬送装置46によりレジスト塗布ユニット(COT)に搬送され、そこでウエハWにレジスト液が塗布され、レジスト膜が形成される。このレジスト塗布処理終了後、ウエハWは第3または第4の処理部G3・G4のいずれかのホットプレートユニット(HP)内でプリベーク処理され、その後いずれかのクーリングユニット(COL)にて冷却される。
【0031】
冷却されたウエハWは、第3の処理部G3のアライメントユニット(ALIM)に搬送され、そこでアライメントされた後、第4の処理部G4のエクステンションユニット(EXT)を介してインターフェイス部12に搬送される。
【0032】
インターフェイス部12では、周辺露光装置23により周辺露光されて、その後ウエハWはインターフェイス部12に隣接して設けられた露光装置(図示せず。)により、所定のパターンに従ってウエハWのレジスト膜に露光処理が施される。
【0033】
露光後のウエハWは、再びインターフェイス部12に戻され、ウエハ搬送機構24により、第4の処理部G4に属するエクステンションユニット(EXT)に搬送される。そして、ウエハWは、ウエハ搬送装置46により、いずれかのホットプレートユニット(HP)に搬送されてポストエクスポージャーベーク処理が施され、次いで、クーリングユニット(COL)により冷却される。
【0034】
その後、ウエハWは現像処理ユニット(DEV)に搬送され、そこで露光パターンの現像が行われる。現像終了後、ウエハWはいずれかのホットプレートユニット(HP)に搬送されてポストベーク処理が施され、次いで、クーリングユニット(COL)により冷却される。このような一連の処理が終了した後、第3の処理部G3のエクステンションユニット(EXT)を介してカセットステーション10に戻され、いずれかのウエハカセットCRに収容される。
【0035】
次に、上述したレジスト塗布ユニット(塗布処理部)(COT)について説明する。図4および図5は、レジスト塗布ユニット(COT)の全体構成を示す概略断面図および概略平面図である。
【0036】
レジスト塗布ユニット(COT)の中央部には環状のコータカップ(CP)が配置され、コータカップ(CP)の内側にはスピンチャック52が配置されている。スピンチャック52は真空吸着によってウエハWを固定保持した状態で駆動モータ54によって回転駆動される。コータカップ(CP)の底部にはドレイン69が設けられており、不要なレジスト液や、レジスト塗布後のサイドリンス処理および/またはバックリンス処理に使用された溶剤(シンナー)がここから排出される。
【0037】
駆動モータ54は、ユニット底板50に設けられた開口50aに昇降移動可能に配置され、例えばアルミニウムからなるキャップ状のフランジ部材58を介して例えばエアシリンダからなる昇降駆動手段60および昇降ガイド手段62と結合されている。駆動モータ54の側面には、例えばSUSからなる筒状の冷却ジャケット64が取り付けられ、フランジ部材58は、この冷却ジャケット64の上半部を覆うように取り付けられている。
【0038】
レジスト塗布時、フランジ部材58の下端58aは、開口50aの外周付近でユニット底板50に密着し、これによってユニット内部が密閉される。スピンチャック52と主ウエハ搬送機構22の保持部材48との間でウエハWの受け渡しが行われるときは、昇降駆動手段60が駆動モータ54ないしスピンチャック52を上方へ持ち上げることでフランジ部材58の下端がユニット底板50から浮くようになっている。
【0039】
レジスト液をウエハWの表面に吐出するレジストノズル86は、レジストノズルスキャンアーム92の先端部にノズル保持体100を介して着脱可能に取り付けられ、レジストノズル86には、レジスト液供給部95からレジスト液が供給されるようになっている。レジストノズルスキャンアーム92は、ユニット底板50の上に一方向(Y方向)に敷設されたガイドレール94上で水平移動可能な垂直支持部材96の上端部に取り付けられており、Y軸駆動機構111によって垂直支持部材96と一体にY方向に移動するようになっている。また、レジストノズル86は、Z軸駆動機構112によって上下方向(Z方向)に移動可能となっている。
【0040】
なお、レジストノズルスキャンアーム92は、レジストノズル待機部90でレジストノズル86を選択的に取り付けるためにY方向と直角なX方向にも移動可能であり、図示しないX方向駆動機構によってX方向にも移動するようになっている。
【0041】
さらに、レジストノズル待機部90でレジストノズル86の吐出口が溶剤雰囲気室の口90aに挿入され、中で溶剤の雰囲気に晒されることで、ノズル先端のレジスト液が固化または劣化しないようになっている。また、複数本のレジストノズル86が設けられ、例えばレジスト液の種類に応じてそれらのノズルが使い分けられるようになっている。
【0042】
また、レジストノズルスキャンアーム92の先端部(ノズル保持体100)には、ウエハ表面へのレジスト液の吐出に先立ってウエハ表面にウエハ表面を濡らすための溶剤、例えばシンナーを吐出するシンナーノズル101が取り付けられている。このシンナーノズル101は図示しない溶剤供給管を介してシンナー供給部に接続されている。シンナーノズル101とレジストノズル86はレジストノズルスキャンアーム92のY移動方向に沿う直線上に各々の吐出口が位置するように取り付けられている。
【0043】
さらに、ガイドレール94上には、レジストノズルスキャンアーム92を支持する垂直支持部材96だけでなく、リンスノズルスキャンアーム120を支持しY方向に移動可能な垂直支持部材124も設けられている。このリンスノズルスキャンアーム120の先端部には、ウエハWの表面周辺部や側縁部にリンス液を吐出してレジストを溶解除去、洗浄するサイドリンス処理用のリンスノズル122が取り付けられている。
【0044】
Y軸駆動機構111によってリンスノズルスキャンアーム120およびリンスノズル122は、コータカップ(CP)の側方に設定されたリンスノズル待機位置(実線の位置)とスピンチャック52に設置されているウエハWの周辺部の真上に設定されたリンス液(洗浄液)吐出位置(点線の位置)との間で並進または直線移動するようになっている。また、スピンチャック52の下方周辺位置には、バックリンス処理用のリンスノズル123が配設されており、ウエハWの裏面に向かってリンス液を吐出させ、ウエハWの裏面洗浄が可能となるように構成されている。なお、リンス液(洗浄液)としては、レジスト液に含まれる揮発性溶剤の1つであるシンナーが好適に用いられる。
【0045】
レジスト塗布ユニット(COT)の駆動系の動作は、制御部110によって制御される。すなわち、駆動モータ54、Y軸駆動機構111、Z軸駆動機構112、レジスト液供給部95、図示しないシンナー供給部等は、制御部110の指令により駆動、制御される。
【0046】
続いて、このように構成されたレジスト塗布ユニット(COT)におけるレジスト液の塗布処理動作について以下に説明する。まず、主ウエハ搬送機構22の保持部材48によってレジスト塗布ユニット(COT)内のコータカップ(CP)の真上までウエハWが搬送されると、そのウエハWは、例えばエアシリンダからなる昇降駆動手段60および昇降ガイド手段62によって上昇してきたスピンチャック52によって真空吸着される。主ウエハ搬送機構22はウエハWをスピンチャック52に真空吸着せしめた後、保持部材48をレジスト塗布ユニット(COT)内から引き戻し、レジスト塗布ユニット(COT)へのウエハWの受け渡しを終える。
【0047】
次いで、スピンチャック52はウエハWがコータカップ(CP)内の定位置まで下降し、駆動モータ54によってスピンチャック52の回転駆動が開始される。その後、レジストノズル待機部90からのノズル保持体100の移動が開始される。このノズル保持体100の移動はY方向に沿って行われる。
【0048】
シンナーノズル101の吐出口がスピンチャック52の中心(ウエハWの中心)上に到達したところで、シンナーを回転するウエハWの表面に供給する。ウエハWの表面に供給されたシンナーは遠心力によってウエハW中心からその周囲全域にむらなく拡げられる。このように、レジスト液の塗布に先立ってシンナー等の溶剤でウエハWの表面全体を濡らす、いわゆるプリウエット処理を行うことにより、レジスト液がより拡散しやすくなり、結果としてより少量のレジスト液量で均一なレジスト膜を形成することができるようになる。
【0049】
次いで、ノズル保持体100は、レジストノズル86の吐出口がウエハWの中心上に到達するまでY方向に移動され、レジストノズル86の吐出口からレジスト液が回転するウエハWの表面の中心に滴下され、遠心力によりウエハWの中心から周辺に向けて拡散されて、ウエハW上にレジスト膜が形成される。なお、このレジストノズル86からのレジスト液の吐出開始時には、ノズルの先端部86aから気泡を巻き込まないように、レジスト液の供給量、吐出圧を調整することが好ましい。
【0050】
このレジスト液の滴下終了後には、ウエハWを所定の回転速度で回転させて膜厚の調整を行う。ウエハWの回転速度が加速されて大きくなると、残余のレジスト液が振り切られるとともに乾燥が進行し、所定厚みのレジスト膜が形成される。その後、レジストノズル86をレジストノズル待機部90へ収容するようにY方向へ移動させ、リンスノズル123からなる洗浄手段により、ウエハWの背面にバックリンス処理を施し、また必要があればリンスノズル122を用いて、ウエハWの側縁部にサイドリンス処理を施す。これらバックリンス処理やサイドリンス処理には、レジスト液の溶剤の1つであるシンナーが用いられ、またシンナーを使うことにより、後述するようにレジスト液の再生利用が行われる。所定時間の回転処理を行って洗浄液を振り切った後、ウエハWの回転が停止されて、塗布処理工程が終了する。
【0051】
このようなレジスト塗布処理において、ウエハW上から振り切られたレジスト液およびバックリンス処理およびサイドリンス処理に用いられたレジスト液を含むシンナーはドレイン69から排出されるが、本発明においては、このレジスト塗布ユニット(COT)から排出される排レジスト液を回収し、再利用する。なお、シンナーはレジスト液を構成する揮発性溶剤であることから、レジスト液におけるシンナーの含有量を調整して、レジスト液の粘度を調整することにより、排レジスト液の再生が可能となる。
【0052】
図6はレジスト塗布ユニット(COT)を含むレジスト塗布処理装置70の一実施形態の全体構成を示す説明図である。レジスト塗布処理装置70は、レジスト塗布ユニット(塗布処理部)(COT)、回収部80、増粘処理部30、混合処理部40、レジスト液供給部95の大きく分けて5つの部から構成されている。ウエハWにレジスト液を塗布するレジスト塗布ユニット(COT)の構成については、既に詳述した通りである。
【0053】
回収部80には回収タンク81が設けられており、回収タンク81にレジスト塗布ユニット(COT)のドレイン69から排出される排レジスト液が回収され、一時的に保管される。この回収部80を設けることなく、排レジスト液が直接に増粘処理部30へ流れ込むように構成することも可能であるが、その場合には、レジスト塗布ユニット(COT)におけるウエハWへのレジスト塗布処理の進行に合わせて増粘処理部30に排レジスト液が流れ込むこととなる。
【0054】
この場合、増粘処理部30に貯留される排レジスト液の量が一定せず、そのためウエハWへのレジスト塗布処理中は所定粘度の増粘レジスト液の製造が困難となる問題を生ずる。逆に、増粘処理部30で排レジスト液の粘度調整を行う際には、新たに増粘処理部30に排レジスト液を流入させることは好ましくないため、この場合には、排レジスト液を廃棄する必要が生じ、レジスト液の効率的なリサイクルが行えなくなるという問題を生ずる。つまり、回収タンク81を設けて排レジスト液を一時的に保管し、増粘処理部30での処理を、レジスト塗布ユニット(COT)での処理とは独立して行うことができるようにすることで、排レジスト液のリサイクル効率が向上する。
【0055】
なお、1枚のウエハWのレジスト塗布処理に用いられるレジスト液の量は多いものではないので、複数枚のウエハWの処理に係る排レジスト液を回収タンク81に回収し、所定量ほど貯留された後に増粘処理部30へ所定量の排レジスト液を送液すると、増粘処理部30における粘度調整のバッチ処理が容易となる。
【0056】
回収タンク81には、オーバーフローを防止するための排液機構(ドレイン)82が設けられている。回収タンク81は複数配設してもよく、1個の回収タンクがオーバーフローしたときに、ドレイン82から流出する排レジスト液を他の回収タンクに送液するように構成してもよい。もちろん、ドレイン82から排レジスト液を廃棄処理へ回すこともできる。
【0057】
また、レジスト塗布ユニット(COT)と回収タンク81との間のドレイン配管に、図示しない切替バルブを設けて、排レジスト液が回収タンク81またはドレイン82のいずれか一方へ流れ出るように構成することもできる。レジスト塗布ユニット(COT)から直接にドレイン82へ排レジスト液を流す場合としては、再生を多数回繰り返した結果、組成変動や化学的特性の変化が生じて、レジスト液本来の機能が発揮されなくなった場合や、レジスト液に含まれるゴミ等の不純物量が増加することによって所定の品質を保持できなくなった場合等が挙げられる。
【0058】
回収部80から増粘処理部30への排レジスト液の送液は、回収部80と増粘処理部30との間の配管に設けられた送液ポンプ35の運転とバルブ36の開閉により行われる。なお、回収部80と増粘処理部30との間の配管途中の任意の位置にフィルタ37を配設して、排レジスト液中の不純物を除去することも好ましい。
【0059】
増粘処理部30は、排レジスト液の粘度を高める処理を行う部分である。増粘処理部30に配設された処理タンク31には、水位センサ39およびドレイン38が設けられており、水位センサ39が処理タンク31内の処理液量を監視し、一定以上となったときにドレイン38から排出し、液量を一定にすることができるようになっている。また、使用に適さなくなった排レジスト液を、バルブ38aを開いてドレイン38から廃棄することもできる。もちろん、ドレイン38から排レジスト液を排出しないように処理条件を設定することが、排レジスト液の再生率を高める上で好ましいことはいうまでもない。
【0060】
処理タンク31の上部には、バルブ29が配設された排気管28が設けられ、処理タンク31内の圧力調整が可能となっている。これにより、排レジスト液の処理タンク31内への流入や増粘レジスト液の処理タンク31からの送液が容易に行われる。また、処理タンク31には、粘度センサ41が配設されており、処理タンク31のレジスト液粘度を監視、モニタしている。この粘度センサ41の測定値を処理タンク31内での増粘レジスト液の粘度調整方法にフィードバックすることにより、増粘レジスト液の製造制御を自動で行うことも可能である。
【0061】
増粘処理部30において、排レジスト液を濃縮し、増粘させる方法としては、(1)減圧処理によってシンナーを蒸発させる方法、(2)加熱によってシンナーを蒸発させる方法、(3)超音波を与えることによってシンナーを蒸発させる方法、(4)前記排レジスト液よりも高粘度に調整されたレジスト液を添加する方法、等が挙げられる。
【0062】
このうち、(1)〜(3)の方法は、結果として排レジスト液中のシンナーを蒸発させることによって、排レジスト液の粘度を大きくする増粘方法であり、このような増粘方法を行うために、図6においては、回収タンク31に、蒸発したシンナーの蒸気を冷却する冷却凝縮器32aと、液化されたシンナーを貯留するシンナー回収タンク32bからなるシンナー回収部32が取り付けられている。冷却凝縮器32aの前段(処理タンク31側)には、開閉バルブ34が設けられており、必要に応じて処理タンク31からシンナーの蒸気を冷却凝縮器32aに送ることができるようになっている。
【0063】
前記した(1)の減圧処理によってシンナーを蒸発させる方法を用いる場合には、例えば、冷却凝縮器32aとシンナー回収タンク32bとの間に排気ポンプを設けて、排気に含まれるシンナーの蒸気が冷却凝縮器32aを通過する際に液化、凝縮され、回収される構造とすればよい。また、図6に示されるように、シンナー回収タンク32bに、別途、排気管26と排気ポンプ27を設け、排気ポンプ27による減圧雰囲気が、シンナー回収タンク32bと冷却凝縮器32aを通じて処理タンク31にまで及ぶ構成としてもよい。排気管26に設けられたバルブ16は、回収タンク32bからのシンナーの蒸発を防ぐために、排気ポンプ27を動作させるとき以外は閉口した状態とすることが好ましい。
【0064】
前記した(2)の加熱によってシンナーを蒸発させる方法を用いる場合には、処理タンク31の底部や側部に図示しない加熱装置を取り付けて、処理タンク31内の排レジスト液を所定温度に温めてシンナーを蒸発させ、シンナーの蒸気が冷却凝縮器32aを通る際に液化され、シンナー回収タンク32bに回収される構造とすればよい。なお、排レジスト液を加熱する場合には、レジスト液に、その機能を低下させるような変性等の化学的な変化が起こらないように注意する必要がある。
【0065】
さらに、前記した(3)の超音波を与えることによってシンナーを蒸発させる方法を用いる場合には、処理タンク31の底部や側部に図示しない超音波振動子を取り付けて、排レジスト液に超音波振動を加え、内部からシンナーを蒸発させるものであるが、この場合にも結果的に排レジスト液の温度上昇を伴う場合が殆どであることから、過加熱に注意を要する。
【0066】
なお、前記した(4)の排レジスト液よりも高粘度に調整されたレジスト液を添加する方法は、シンナーを蒸発させるものでないことから、シンナー回収部32を設ける必要はない。一方で、添加すべき高粘度レジスト液を供給する機構を設ける必要がある。この方法の場合には、結果的に製造されるレジスト液の量が増大することから、過剰のレジスト液が再生されないように、添加する高粘度レジスト液の量を調整することが好ましい。
【0067】
このような増粘処理部30での増粘処理と並行して、シンナー回収部32で得られたシンナー(回収シンナー)は、シンナー回収タンク32bに一時的に貯留され、その後、所定量に達した時点で、また適宜必要に応じて、送液ポンプ42を用いてシンナー貯留タンク43へ送液される。
【0068】
シンナー貯留タンク43には、シンナー補充部44から新たなシンナーが供給されるようになっている。これは、レジスト液中のシンナーは、レジスト液をウエハWへ塗布する処理中等に蒸発することから、シンナー回収部32で得られるシンナーの量が、後述するように、増粘レジスト液に加えるために必要な量に満たない場合があるためである。なお、このシンナー貯留タンク43に貯留されたシンナーを、シンナーノズル101および/またはリンスノズル122・123へ供給するように、シンナー供給管97を設けた構成とすることも好ましい。このようにシンナーの供給経路をまとめることによって、装置の構造を簡単なものとすることができる。
【0069】
シンナー貯留タンク43に貯留されたシンナーは、バルブ77を開閉操作し、定量ポンプ76を用いて混合処理部40へ送られる。後述するように、増粘処理部30において製造された増粘レジスト液も、定量ポンプ71を用いて一定量が混合処理部40へ送られることから、混合処理部40でのシンナーと増粘レジスト液の混合比率は一定とされ、これにより、混合処理部40において、所定濃度のレジスト液(再生レジスト液)を再生、製造することが可能となる。なお、後述するように、粘度センサ78の測定結果を定量ポンプ71・76にフィードバックして、その流量を制御することができることから、前記「混合処理部40でのシンナーと増粘レジスト液の混合比率は一定とされ」とは、定量ポンプ71・76における流量が所定値に設定された状態では、シンナーと増粘レジスト液の混合量の変動が抑制される、という意味である。
【0070】
増粘処理部30と混合処理部40との間には、定量ポンプ71、圧力センサ72、フィルタ73、バルブ74、回収ライン75が設けられており、定量ポンプ71により一定量の増粘レジスト液が混合処理部40へ送液される。
【0071】
フィルタ73は、増粘レジスト液中に含まれるゴミ等の各種浮遊物を除去する役割を果たし、圧力センサ72は、フィルタ73の目詰まりを検知する役割を担う。また、フィルタ73には、一般的に脱泡用ベントが設けられており、図6においては、この脱泡用ベントから排出される増粘レジスト液を処理タンク31へ循環回収するように、回収ライン75が設けられている。こうして、廃棄される増粘レジスト液の量が低減される。バルブ74は必要に応じて適宜開閉される。
【0072】
混合処理部40では、シンナーと増粘レジスト液が均一に混合されて、所定の濃度のレジスト液が再生される。これらシンナーと増粘レジスト液の混合方法に限定はないが、内部に邪魔板等の障害物を設けて液体の流れを変化させ、自然に均一な混合が行われるようなインラインミキシング機構が好適に用いられる。この場合、動的な撹拌子等の手段を設ける必要がなく、装置自体がコンパクトとなり、また電源等を必要としない点でも好ましい。
【0073】
なお、混合処理部40において製造された再生レジスト液の粘度を監視するために、混合処理部40における再生レジスト液の出口近傍または再生レジスト液が送液されるレジスト液貯留タンク89との間に粘度センサ78が設けられている。この粘度センサ78の測定結果を、定量ポンプ71・76にフィードバックして、流量を制御することによって、再生レジスト液の粘度の微調整を行うことができる。
【0074】
混合処理部40において製造された再生レジスト液は、レジスト液供給部95の構成部分の1つであるレジスト液貯留タンク89に貯留され、その後所定のタイミングでレジスト塗布ユニット(COT)へ送液される。レジスト液供給部95には、レジスト液補充部87が設けられており、再生レジスト液の量が必要量に満たない場合等に、新しいレジスト液をレジスト液貯留タンク89へ送液する。レジスト液貯留タンク89には、水位センサ93が設けられており、新しいレジスト液の補充量および混合処理部40からの送液量が制御される。
【0075】
なお、レジスト液貯留タンク89を設けずに、混合処理部40から直接にレジスト塗布ユニット(COT)へ再生レジスト液を送液することも可能であるが、その場合には、混合処理部40での再生レジスト液の製造量を、レジスト塗布ユニット(COT)での処理における必要量に合わせるような制御を行うことが必要とされる。
【0076】
レジスト液供給部95は、図6に示されるように、レジスト液送液経路88に設けられた送液ポンプ83等の各種の装置を構成部分として含む。レジスト液送液経路88には、脱気機構99が配設されており、例えば、減圧作用によりレジスト液中の気泡除去が行われる。このとき、レジスト液中のシンナーが過度に蒸発しないようにその条件を設定する。また、レジスト液送液経路88にはレジスト液温度調節機構85が配設され、レジスト液は、特性が発揮される所定温度に調整が行われた後に、レジスト塗布ユニット(COT)において、レジストノズル86からウエハWへ供給される。
【0077】
レジスト液貯留タンク89とレジスト塗布ユニット(COT)との間には、レジスト液中のゴミ等を除去するフィルタ84が配設されており、レジスト液がフィルタを通過する際に、フィルタ84の脱泡用ベントから排出される再生レジスト液をレジスト液貯留タンク89に循環回収する回収ライン98も設けられている。この回収ライン98によりレジスト液の廃棄量を低減することができる。レジスト液送液経路88に設けられた送液ポンプ83により、所定量のレジスト液がレジストノズル86へ送られ、こうして、ウエハWにレジスト液が塗布される。
【0078】
なお、バルブ91を開閉することにより、レジスト液の送液の開始または停止を制御することができるが、図6には、バルブ91以外にも、各部間にバルブが配設されており、各部の運転を独立に行うことができるようになっている。つまり、バルブが開口されて連通した部間では連動して運転が行われるが、バルブが閉口された部間では、運転は独立して行うことができる。こうして特定の部での処理時間を他の部での処理時間とずらして行うことや、各部の洗浄処理やメンテナンス等を独立して効率的に行うことが可能となる。
【0079】
次に、上述したレジスト塗布処理装置70の使用形態について説明する。レジスト塗布ユニット(COT)において、ウエハWにレジスト膜が形成される際に発生する排レジスト液を、ドレイン69を通して回収タンク81に回収する。そして、例えば、ある一定の枚数(1ロット)のウエハWの処理を行い、回収された排レジスト液が所定量に達した時点で、増粘処理部30の処理タンク31へ送液する。
【0080】
こうして回収タンク81に貯留される排レジスト液量が低下すれば、引き続いてレジスト塗布ユニット(COT)では、次ロットのウエハWに対するレジスト塗布処理を行うことができ、排レジスト液を回収タンク81に貯留することができる。そして、その間に増粘処理部30では、先に述べた種々の方法を用いて排レジスト液中のシンナーを蒸発させることにより、排レジスト液の粘度を高める増粘処理を行うとともに、蒸発したシンナーを冷却凝縮器32aを用いて液化し、再生シンナーとして得る処理を行う。
【0081】
得られた再生シンナーは、ウエハWへのレジスト液塗布中等に蒸発して消失しているものがあることから、増粘レジスト液の希釈に必要な量に満たない場合がある。そのため得られた再生シンナーは、シンナー貯留タンク43において、シンナー補充部44から供給される新たなシンナーと混合されて貯留される。なお、シンナー貯留タンク43に貯留されたシンナーは、レジスト塗布ユニット(COT)におけるプリウエット処理やバックリンス処理、サイドリンス処理のための洗浄液として用いることもできる。
【0082】
シンナー貯留タンク43に貯留されたシンナーと、増粘処理部30で予め製造された増粘レジスト液は、所定量ずつ混合処理部40へ送液され、混合されて所定粘度のレジスト液が再生される。再生されたレジスト液はレジスト液貯留タンク89に一時的に貯留される。こうして、増粘処理部30の処理タンク31から増粘レジスト液が排出された後には、再び回収タンク81から排レジスト液を処理タンク31へ送液して、増粘処理を行うことができるようになる。
【0083】
ある一定の枚数のウエハWに対して使用されるレジスト液から回収される排レジスト液から同じ枚数のウエハWを処理するに必要なレジスト液を再生することは、レジスト液が減少しているために不可能であるから、不足分の新しいレジスト液をレジスト液補充部87からレジスト液貯留タンク89へ補充する。
【0084】
上述のようにして各部での処理を行うことにより、レジスト液貯留タンク89から所定のタイミングでレジスト塗布ユニット(COT)へウエハWに塗布されるレジスト液が供給される一方、新しいレジスト液および再生レジスト液がレジスト液貯留タンク89に供給されることから、予め再生レジスト液が供給可能なように準備されており、レジスト塗布ユニット(COT)へのレジスト液の供給が停止することはない。
【0085】
ところで、このような再生処理を繰り返すと、複数の送液経路にフィルタを設けているにもかかわらず、レジスト液中のゴミ等の不純物量が増加して、所定の品質を保つことが困難となる場合がある。この場合には、再生が不可能となった時点で、例えば、処理タンク31や回収タンク81に設けられたドレイン82・38から、排レジスト液を廃棄する。また、レジスト塗布ユニット(COT)から直接廃棄することにより、処理タンク31や回収タンク81の汚染を少なくして、排レジスト液を廃棄することもできる。
【0086】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、混合処理部では、予め一定量の増粘レジスト液を貯留しておき、増粘レジスト液を撹拌しながらシンナーを供給して、粘度を確認しながらレジスト液を再生し、所定粘度に到達した時点でシンナーの供給を停止して、レジスト液貯留タンクへ送液する増粘レジスト液の再生方法を用いることも可能である。
【0087】
また、レジスト液の再生について、レジスト液に含まれる揮発性溶剤がシンナーである場合を例に説明したが、レジスト液の種類によって使用されている溶剤が異なっても、上述したレジスト液の再生方法を用いることができることは明らかである。例えば、溶剤としてシンナーよりも沸点の高いNMP(ノルマルメチルピロリドン)が用いられているポリイミド系レジストも、本発明のレジスト塗布処理装置を用いて処理することができる。また、複数種の揮発性溶剤が用いられている場合には、溶剤の回収手段として蒸留等の分離手段が必要となる場合があることを除いて、上述したレジスト液の再生方法を用いることができる。
【0088】
さらに、上記説明では、半導体ウエハ用のレジスト塗布・現像処理システムに組み込まれたレジスト塗布処理装置を例に挙げて説明したが、レジスト塗布処理装置単独で用いるものであってもよく、また半導体ウエハ以外の他の被処理基板、例えばLCD基板用のレジスト塗布処理装置にも本発明を適用することができる。
【0089】
【発明の効果】
上述の通り、本発明によれば、従来は廃棄されていたレジスト液が回収されて再利用されるため、結果的に1枚あたりに使用されるレジスト液の使用量が低減され、レジスト塗布の処理コストを低減することが可能となる。また、レジスト塗布処理装置をレジスト塗布ユニット(COT)、回収部、増粘処理部、混合処理部、レジスト液供給部等の各部に分割して構成することにより、各部の運転を独立して行うことが可能となり、作業効率が向上する。また、各部のメンテナンスも独立して行うことが可能となり、作業効率が向上する。そして、混合処理部をインラインミキシング機構を用いて構成することにより、簡単でコンパクトな装置とすることができる。さらに、シンナーの供給経路をまとめることによっても装置の構造を簡単なものとすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るレジスト塗布処理装置が組み込まれた半導体ウエハのレジスト塗布・現像処理システムの全体構成を示す平面図。
【図2】本発明の実施形態に係るレジスト塗布処理装置が組み込まれた半導体ウエハのレジスト塗布・現像処理システムの全体構成を示す正面図。
【図3】本発明の実施形態に係るレジスト塗布処理装置が組み込まれた半導体ウエハのレジスト塗布・現像処理システムの全体構成を示す背面図。
【図4】本発明のレジスト塗布処理装置に用いられるレジスト塗布ユニット(COT)の一実施形態を示す断面図。
【図5】図4記載のレジスト塗布ユニット(COT)の平面図。
【図6】本発明のレジスト塗布処理装置の全体構成の一実施形態を示す説明図。
【符号の説明】
30;増粘処理部
31;処理タンク
32;シンナー回収部
32a;冷却凝縮器
32b;シンナー回収タンク
38;ドレイン
39;水位センサ
40;混合処理部
41;粘度センサ
43;シンナー貯留タンク
44;シンナー補充部
69;ドレイン
70;レジスト塗布処理装置
75;回収ライン
78;粘度センサ
80;回収部
81;回収タンク
82;ドレイン
84;フィルタ
85;レジスト液温調機構
87;レジスト液補充部
88;レジスト液送液経路
89;レジスト液貯留タンク
95;レジスト液供給部
97;シンナー供給管
98;回収ライン
W;半導体ウエハ(基板)
Claims (12)
- 基板にレジスト液を塗布する塗布処理部と、
前記塗布処理部から排出される排レジスト液を回収する回収部と、
前記回収部に貯留された排レジスト液を濃縮する増粘処理部と、
前記排レジスト液の増粘処理時に発生する溶剤の蒸気を液化させて回収する溶剤回収部と、
前記溶剤回収部で回収した溶剤を一時貯留する溶剤貯留部と、
前記増粘処理部において製造された増粘レジスト液と、前記溶剤回収部に貯留された溶剤とを混合する混合処理部と、
前記溶剤貯留部と前記混合処理部との間と、前記増粘処理部と前記混合処理部との間に、それぞれ設けられた定量ポンプと、
を具備し、
前記溶剤貯留部と前記増粘処理部から前記各定量ポンプを通して溶剤と増粘レジスト液を前記混合処理部へ送液することにより、前記溶剤と増粘レジスト液の混合量の変動を抑制して、所定濃度の再生レジスト液が製造されることを特徴とするレジスト塗布処理装置。 - 前記混合処理部において製造された再生レジスト液を貯留し、前記再生レジスト液を前記塗布処理部に送液するためのレジスト液供給部を備えたことを特徴とする請求項1に記載のレジスト塗布処理装置。
- 新しいレジスト液を前記レジスト液供給部に供給するレジスト液補充部をさらに具備することを特徴とする請求項2に記載のレジスト塗布処理装置。
- 前記混合処理部と前記レジスト液供給部との間に粘度センサが設けられ、前記粘度センサの検出値により、前記増粘レジスト液と溶剤の混合量が制御されることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のレジスト塗布処理装置。
- 前記溶剤貯留部へ新しい溶剤を供給する溶剤補充部をさらに有し、前記溶剤貯留部において回収された溶剤と新しい溶剤とを混合して調製された溶剤が、前記溶剤貯留部から前記混合処理部へ供給されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のレジスト塗布処理装置。
- 前記溶剤貯留部に貯留された溶剤が、前記塗布処理部における基板のバックリンス処理および/またはサイドリンス処理に供されるように構成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のレジスト塗布処理装置。
- 前記増粘処理部は、(1)減圧処理によって溶剤を蒸発させる方法、(2)加熱によって溶剤を蒸発させる方法、(3)超音波を与えることによって溶剤を蒸発させる方法、(4)前記排レジスト液よりも高粘度に調整されたレジスト液を添加する方法、のいずれかの増粘方法を用いるものであることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のレジスト塗布処理装置。
- 前記増粘処理部と前記混合処理部との間に設けられた送液経路にフィルタが配設され、前記フィルタの脱泡用ベントから排出される増粘レジスト液を、前記増粘処理部に循環回収する機構を有することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のレジスト塗布処理装置。
- 前記混合処理部では、インラインミキシング機構により前記増粘レジスト液と前記溶剤との混合が行われることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のレジスト塗布処理装置。
- 前記塗布処理部と前記回収部との間、前記回収部と前記増粘処理部との間、前記増粘処理部と前記混合処理部との間、の各部間の送液経路に開閉バルブが設けられ、
前記各部の運転のタイミングに合わせて前記開閉バルブを開閉させ、所定量の前記排レジスト液または増粘レジスト液の送液が行われることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のレジスト塗布処理装置。 - 基板上にレジスト膜を形成するレジスト塗布処理方法であって、
前記基板にレジスト液を塗布して成膜処理を行うとともに、不要な基板上のレジスト液を除去する第1工程と、
前記第1工程において排出される排レジスト液を回収する第2工程と、
前記第2工程において回収された排レジスト液から溶剤を蒸発させることにより濃縮して増粘レジスト液を製造するとともに、蒸発した溶剤の蒸気を冷却することによって溶剤を液体として回収する第3工程と、
レジスト液の溶剤を一時貯留する溶剤貯留部に、前記第3工程において回収されたレジスト液の溶剤を送液し、貯留する第4工程と、
前記第3工程において製造された前記増粘レジスト液と、前記第4工程により前記溶剤貯留部に貯留されたレジスト液の溶剤とを、それぞれ定量ポンプを用いて混合器へ送液し、混合することにより、前記増粘レジスト液と前記溶剤の混合量の変動を抑制し、所定粘度の再生レジスト液を製造する第5工程と、
を有することを特徴とするレジスト塗布処理方法。 - 前記混合器における増粘レジスト液と溶剤の混合はインラインミキシング機構により行われ、前記インラインミキシング機構内またはインラインミキシング機構外の再生レジスト液排出側に粘度センサを設け、前記粘度センサの検出値に基づいて前記インラインミキシング機構に供給される増粘レジスト液と溶剤の流量を制御することを特徴とする請求項11に記載のレジスト塗布処理方法。
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