JP3627552B2 - 可逆架橋性成形体の製造方法 - Google Patents

可逆架橋性成形体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、成形体の製造方法に関し、詳しくは、低温下での架橋の形成と高温下での架橋の解離を繰り返し得る、いわゆる熱可逆架橋性の成形体の製造方法に関する。
特に、本発明は、成形性、加工安定性に優れ、且つ簡便な架橋処理が可能で、かつ、再利用も可能な熱可逆架橋性成形体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂は、成形性、機械的強度、透明性、耐薬品性等に優れ、押出成形、射出成形、中空成形、圧縮成形、回転成形等の各種成形法により溶融状態で所望の形状に賦形されて各種分野で汎用されており、又、耐熱性を付与し高温時の機械的強度等を改良すべく、有機過酸化物の配合、放射線の照射、或いはシラノール縮合反応の利用等により架橋処理を施した架橋体としても多用されている。
【0003】
一方、環境保護や省資源等の立場から、使用済の樹脂の再利用が益々要求される状況となっているが、この、架橋処理を施して架橋体とされた樹脂は、もはや熱可塑性を有さず溶融成形による再利用は不可能であって、この架橋体への熱可塑性の付与が強く求められている。
【0004】
この解決のため、低温下では架橋を形成し、高温下ではその架橋を解離させ熱可塑性を有せしめる可逆架橋方法がいくつか提案されている。例えば、架橋形成反応速度と架橋解離反応速度が高く優れた熱可逆架橋性を有するオレフィン系樹脂組成物として、特開平6−57062号公報、及び同7−94029号公報においては、不飽和カルボン酸無水物変性オレフィン系樹脂と、分子内に少なくとも2個の水酸基を有する多価アルコール化合物、例えば、エチレングリコール等のグリコール類、1,4−ブタンジオール等のアルコール類、ソルビトール等の糖類、トリメチロールプロパン等のポリオキシアルキレン化合物類、ジグリセリンモノステアレート等のポリグリセリンアルキルエステル類、ソルビタンモノステアレート等のソルビタンアルキルエステル類、エチレン−ヒドロキシエチルアクリレート共重合体等の分子内に複数個の水酸基を有する重合体等と、カルボン酸の金属塩等の反応促進剤とからなるオレフィン系樹脂組成物が開示されている。
【0005】
この種の、カルボン酸無水物基と水酸基との反応に基づく熱可逆架橋性組成物においては、本発明者等の検討によると、基本的には、1分子のカルボン酸無水物基と1分子の水酸基が反応してカルボン酸モノエステルを生成する反応と、生成したカルボン酸モノエステル1分子と1分子の水酸基がさらに反応してカルボン酸ジエステルを生成する反応の二つの反応が起こり、前者のカルボン酸モノエステル生成反応は熱可逆性が良好であるが、後者のカルボン酸ジエステル生成反応は熱可逆性が不良であること、そして、更に、前述の従来技術においては、カルボン酸金属塩の促進効果により初期の架橋度は高いが、酸無水物基が有機カルボン酸金属塩と反応して金属塩を生成してしまうため、その後の架橋の形成が著しく遅くなるとともに、この反応が起こることによってエステルの生成が減少するために全体として耐熱性のある架橋の程度が低下してしまい、結果として成形品の耐熱性が劣ること、及び、カルボン酸の金属塩は熱可逆性の劣るジエステルの生成も促進するために、架橋の解離性が悪化してしまう、等の問題があることが判明した。
一方、このようなカルボン酸金属塩を用いずに熱可逆架橋性の成形品を得ようとすると、成形条件によっては、外観の良好な成形体が得られないことがあった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、前述の従来技術に関する検討結果を踏まえ、有機カルボン酸の金属塩を実質的に用いずに成形性、加工安定性が良好で、かつ架橋形成性と架橋解離性に優れた熱可逆架橋性成形体の製造方法について鋭意検討した結果、本発明に到達したものである。即ち、本発明は、成形性、加工安定性、及び架橋の形成/解離性に優れた品質良好な熱可逆架橋性成形体の製造方法を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、不飽和カルボン酸無水物と不飽和カルボン酸エステルとによって変性された特定の変性オレフィン系重合体に特定の水酸基含有重合体を特定量配合した混合物を特定の条件下で熱溶融成形することによって前述の目的を達成できることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
即ち、本発明の要旨は、下記の(A)成分及び(B)成分からなり、かつ(A)成分のカルボン酸無水物基数に対する(B)成分の水酸基数の比が0.1〜5である架橋性混合物を、その架橋解離温度以上の温度で熱溶融成形することを特徴とする可逆架橋性成形体の製造方法、に存している。
【0009】
(A)不飽和カルボン酸無水物と不飽和カルボン酸エステルとによって変性された変性オレフィン系重合体であって、1分子当たりのカルボン酸無水物基の平均結合数が1個以上で、かつ、該変性オレフィン系重合体中のカルボン酸無水物基数に対するカルボン酸エステル基数の比が0.5〜20である変性オレフィン系重合体
(B)1分子当たりの水酸基の平均結合数が1個以上の水酸基含有重合体
【0010】
本発明の要旨は、(A)成分の変性オレフィン系重合体が、エチレン−マレイン酸無水物−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体である上記の可逆架橋性成形体の製造方法、及び(A)成分の変性オレフィン系重合体の1分子当たりのカルボン酸無水物基の平均結合数が1.5個以上で、かつ、(B)成分の水酸基含有重合体の1分子当たりの水酸基の平均結合数が1.5個以上である上記の可逆架橋性成形体の製造方法にも存しており、また本発明の別の要旨は、前記いずれかの熱溶融成形された成形体を、そのガラス転移温度以上で、かつ該成形体の架橋解離温度未満の温度で架橋処理を行なう可逆架橋性成形体の製造方法、熱溶融成形が押出成形である前記いずれかの可逆架橋性成形体の製造方法、にも存しており、更に本発明の他の要旨は、前記いずれかの製造方法によって得られる可逆架橋性成形体、及び前記の成形体のスクラップを該成形体の架橋解離温度以上の成形温度で熱溶融成形することを特徴とする可逆架橋性成形体、にも存している。
【0011】
更に、本発明のもう一つの要旨は、下記(A)成分及び(B)成分とからなり、かつ(A)成分のカルボン酸無水物基数に対する(B)成分の水酸基数の比が0.1〜5である架橋性混合物と、請求項6に記載の成形体のスクラップとを、その両者の架橋解離温度のうち、より高い温度以上の温度で熱溶融成形することを特徴とする可逆架橋性成形体の製造方法、にも存している。
【0012】
(A)不飽和カルボン酸無水物と不飽和カルボン酸エステルとによって変性された変性オレフィン系重合体であって、1分子当たりのカルボン酸無水物基の平均結合数が1個以上で、かつ、該変性オレフィン系重合体中のカルボン酸無水物基数に対するカルボン酸エステル基数の比が0.5〜20である変性オレフィン系重合体
(B)1分子当たりの水酸基の平均結合数が1個以上の水酸基含有重合体
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明における(A)成分の不飽和カルボン酸無水物と不飽和カルボン酸エステルとによって変性された変性オレフィン系重合体としては、基本的には、α−オレフィンとエチレン性不飽和カルボン酸無水物とエチレン性不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体、及び、α−オレフィンとエチレン性不飽和カルボン酸無水物との二元共重合体のエチレン性不飽和カルボン酸エステルによるグラフト体、α−オレフィンとエチレン性不飽和カルボン酸エステルとの二元共重合体のエチレン性不飽和カルボン酸無水物によるグラフト体、α−オレフィン系重合体のエチレン性不飽和カルボン酸無水物とエチレン性不飽和カルボン酸エステルとによるグラフト体を用いるのがよい。
【0014】
前者の三元共重合体におけるα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン−1,3−メチルブテン−1、ペンテン−1,3−メチルペンテン−1,4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1等が挙げられる。
また、エチレン性不飽和カルボン酸無水物としては、例えば、コハク酸2−オクテン−1−イル無水物、コハク酸2−ドデセン−1−イル無水物、コハク酸2−オクタデセン−1−イル無水物、マレイン酸無水物、2,3−ジメチルマレイン酸無水物、ブロモマレイン酸無水物、ジクロロマレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、1−ブテン−3,4−ジカルボン酸無水物、1−シクロペンテン−1,2−ジカルボン酸無水物、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物、exo−3,6−エポキシ−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、endo−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸無水物等が挙げられる。
【0015】
エチレン性不飽和カルボン酸エステルとしては、炭素原子数1〜20程度のアルキル基のエステルが好ましく、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、マレイン酸ジメチル等が挙げられる。なお、ここで、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸を言うものとする。
【0016】
前者の三元共重合体としては、前記α−オレフィンと前記エチレン性不飽和カルボン酸無水物と前記エチレン性不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体の他、さらに、(メタ)アクリル酸、マレイン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸化合物、酢酸ビニル等のエチレン性不飽和エステル化合物、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド等のエチレン性不飽和アミド化合物、スチレン、(メタ)アクリロニトリル等のその他のエチレン性不飽和化合物等を共重合した四元以上の多元共重合体であってもよい。
【0017】
これらの共重合体は、塊状、溶液、懸濁等の重合法により製造することができる。
後者のグラフト体におけるα−オレフィンとエチレン性不飽和カルボン酸無水物との二元共重合体、及び、α−オレフィンとエチレン性不飽和カルボン酸エステルとの二元共重合体としては、前者の三元共重合体において挙げたと同様のα−オレフィン、エチレン性不飽和カルボン酸無水物、及び、エチレン性不飽和カルボン酸エステルが挙げられ、又、後者のグラフト体におけるα−オレフィン系重合体としては、例えば、低密度・中密度・高密度ポリエチレン等(分岐状又は直鎖状)のエチレンの単独重合体、エチレンと、プロピレン、ブテン−1、3−メチルブテン−1、ペンテン−1,3−メチルペンテン−1,4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1等のα−オレフィンとの共重合体、エチレンと、酢酸ビニル等のビニルエステル、(メタ)アクリル酸又はそれらのエステル等の他単量体との共重合体等のエチレン系樹脂、プロピレンの単独重合体、プロピレンと、エチレン、ブテン−1,3−メチルブテン−1、ペンテン−1,3−メチルペンテン−1,4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1等のα−オレフィンとの共重合体、プロピレンと、イソプレン、1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,9−デカジエン等のジエン化合物等の他単量体との共重合体等のプロピレン系樹脂、その他ブテン−1,4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1等のα−オレフィンの単独重合体や共重合体等が挙げられる。
グラフトされるエチレン性不飽和カルボン酸エステル、エチレン性不飽和カルボン酸無水物としては、前記三元共重合体において挙げたと同様のものが挙げられる。
【0018】
これらのグラフト体は、溶融混練、溶液、懸濁等のグラフト化法により製造することができる。
本発明における(A)成分の前記変性オレフィン系重合体としては、エチレンと、マレイン酸無水物と、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの三元共重合体、及びα−オレフィン系重合体の、マレイン酸無水物と、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとによるグラフト体が好ましく、特にはエチレンと、マレイン酸無水物と、(メタ)アクリル酸メチル又はエチルとの三元共重合体が好ましい。
【0019】
本発明において、(A)成分である前記変性オレフィン系重合体は、前記不飽和カルボン酸無水物単位の含有量が、0.1重量%以上、特には0.5重量%以上であるのが好ましく、変性オレフィン系重合体の数平均分子量とこの含有量との乗数に基づいて求められる、変性オレフィン系重合体1分子当たりのカルボン酸無水物基としての平均結合数が、1個以上であることが必須であり、1.5個以上であることが好ましい。この平均結合数が1個未満では、組成物としての架橋形成性が劣ることとなる。
【0020】
また、本発明において、(A)成分の前記変性オレフィン系重合体は、前記不飽和カルボン酸無水物に由来するカルボン酸無水物基数に対する前記不飽和カルボン酸エステルに由来するカルボン酸エステル基数の比が0.5〜20であることが必須であり、0.5〜15であるのが好ましい。この比が前記範囲未満では成形体としての架橋解離性が劣り、一方、前記範囲超過では架橋形成性が劣ることとなる。
【0021】
なお、本発明における(A)成分の変性オレフィン系重合体としては、1分子当たりのカルボン酸無水物基の平均結合数、及び、カルボン酸無水物基数に対するカルボン酸エステル基数の比が、前記範囲を満足する限り、変性オレフィン系重合体を未変性オレフィン系重合体で希釈したものであってもよい。
【0022】
本発明において、(A)成分の前記不飽和カルボン酸無水物及び不飽和カルボン酸エステル変性オレフィン系重合体のカルボン酸無水物基と結合して架橋を形成せしめる(B)成分の水酸基含有重合体としては、例えば、エチレン−(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルグラフトポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物、ポリビニルアルコール、低分子量ポリオレフィンポリオール類、ポリアルキレンエーテルグリコール類、ポリオキシアルキレンポリオール類、水酸基末端ジエンポリマー及びその水素添加物或いはそのアジペート類、水酸基末端ポリカプロラクトン類等が挙げられ、これらは、数平均分子量が500〜10000であるのが好ましい。中でも、低分子量ポリオレフィンポリオール類、ポリアルキレンエーテルグリコール類、ポリオキシアルキレンポリオール類、水酸基末端ジエンポリマー及びその水素添加誘導体などが、成形品に柔軟性が求められる場合などに賞用される。
【0023】
本発明において、(B)成分の前記水酸基含有重合体は、水酸基含有重合体の数平均分子量と水酸基の含有量との乗数に基づいて求められる、水酸基含有重合体1分子当たりの水酸基の平均結合数が1個以上であることが必須であり、1.5個以上であることが好ましい。1分子当たりの水酸基が1個未満の場合は、架橋性混合物や成形体の架橋形成性が劣ることとなる。
【0024】
なお、本発明における(B)成分の水酸基含有重合体としては、1分子当たりの水酸基の平均結合数が前記範囲を満足する限り、水酸基を含有しない重合体で希釈したものであってもよい。
本発明の可逆架橋性成形体の製造に用いられる(A)成分の前記変性オレフィン系重合体と(B)成分の前記水酸基含有重合体との組成比としては、(A)成分のカルボン酸無水物基数に対する(B)成分の水酸基数の比が0.1〜5であることが必須であり、0.1〜3であることが好ましい。ここで、カルボン酸無水物基数に対する水酸基数の比が前記範囲未満では、架橋性混合物や成形体の架橋形成性が劣ることとなり、一方、前記範囲超過では、成形体の架橋解離性が劣ることとなり、いずれの場合も本発明の目的を達成することができない。
【0025】
本発明において「可逆架橋性」とは、架橋形成性、即ち架橋時の加熱変形率が35%以下で、かつ架橋解離性、即ち架橋解離処理後の加熱変形率が65%以上となる性質を言う。
これらの値が上記の範囲を外れると、架橋の進行が遅くなったり、或は一旦架橋した後は、その解離が起きにくくなったりする等の問題が生じる。
【0026】
架橋形成性のより好ましい範囲は30%以下、更に好ましい範囲は20%以下であり、架橋解離性のより好ましい範囲は80%以上、更に好ましい範囲は90%以上である。
本発明の可逆架橋性成形体の製造に用いる架橋性混合物は、基本的には前記(A)成分と(B)成分からなるが、本発明の効果を損なわない範囲で、前記(A)、(B)成分以外の成分を含有していてもよく、具体的には、例えば、通常用いられる各種の添加剤、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、造核剤、中和剤、滑剤、ブロッキング防止剤、分散剤、流動性改良剤、離型剤、難燃剤、着色剤、充填剤等を添加することができる。
【0027】
一方、例えばカルボン酸の金属塩のような従来「反応促進剤」として用いられていたものは、前述の通り、本発明においては可逆架橋を阻害する傾向となるので、添加しない方がよい。
本発明の可逆架橋性成形体の製造方法としては、前記(A)成分と(B)成分とを必須成分とし、必要に応じその他の任意成分を加えて、各成分をヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型ブレンダー等により均一に混合した後、熱溶融成形する方法、またはこれらの方法により均一に混合した後、一軸又は多軸押出機、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー、ブラベンダー等により溶融混練し、可逆架橋性組成物を得た後、必要に応じてペレット化して熱溶融成形する方法等が挙げられる。
【0028】
また、これらの方法によって得られた成形体又は架橋成形体の用済後等のスクラップを必要に応じて切削・粉砕等の前処理を行い、更に要すれば前述の架橋性混合物と混合した上で、熱溶融成形する方法がある。
ここで用いられる具体的な成形方法としては、射出成形、押出成形、中空成形、圧縮成形、回転成形等の各種成形方法により溶融状態で所望の形状に賦形して成形体を挙げることができる。使用済成形体の再利用時等においても、同様の成形法により溶融状態で所望の形状に再度賦形して架橋成形体とすることができる。
【0029】
上記の可逆架橋性混合物及び成形体は、高温での架橋解離、低温での架橋形成という性質を有し、更に高温下では架橋が進行しない、という性質も有している。
本発明の可逆架橋性成形体の製造方法においては、前述の(A)成分の組成、(B)成分の組成、(A)成分と(B)成分の組成比により応じて定まる架橋解離温度以上で成形することが必要である。一般的にこの架橋解離温度はポリオレフィンの成形温度に比して高く、通常230〜300℃の範囲が用いられる。
【0030】
この熱溶融成形温度が該可逆架橋性成形体の架橋解離温度以下で、特に、成形時の滞留時間が長かったり、成形機内の樹脂滞留量が多い場合には架橋が速かに進行してしまい、或は一旦架橋した可逆架橋性押出成形体を再度成形しようとする場合には架橋の解離が不十分となるため、成形体の外観が悪化し、また架橋の進行による、樹脂の溶融粘度の上昇が起こって、成形機の負荷も高くなるという問題等も発生し、本発明の目的を十分達成する事ができない。
【0031】
なお、このようにして得られた可逆架橋性成形体を架橋させるためには、実質的に架橋が進行する温度条件として、該可逆架橋性成形体のガラス転移温度以上、該可逆架橋性成形体の架橋解離温度未満を用いる。この温度範囲としては、通常0〜200℃で、該成形体の融点以下の温度を用いるのがよい。
また架橋処理温度がこの成形体のガラス転移温度未満の場合には、該可逆架橋性成形体の分子運動が停止しているか、または著しく遅いため架橋が実質的に進行せず、またたとえ進行したとしてもその架橋速度は著しく遅い。一方、架橋処理温度が架橋解離温度以上では、該可逆架橋性成形体の分子運動は活発であるが、架橋解離温度を超えているために架橋反応が進行せず、たとえ進行したとしてもその架橋の程度は著しく低いので、いずれの場合も本発明の目的を達成することが困難である。
【0032】
以上のようにして製造された可逆架橋性成形体は、成形性、加工安定性に優れ、かつ、簡便な架橋処理により架橋させる事ができ、更には該成形体の架橋体や使用済み成形体も同様の成形法によって溶融成形を行うことにより、再び架橋性成形体を得ることができる。
また、本発明においては可逆架橋性混合物及び成形体の製造に際しては、実質的に架橋していない状態で成形する事が可能であるので、前述の通り熱可塑性樹脂において通常用いられる各種の成形法、即ち、射出成形、押出成形、中空成形、圧縮成形、回転成形等を適用することができる。中でも、押出成形法を用いるのが架橋制御等の点で有利であり、好適である。
【0033】
【実施例】
以下、本発明を実施例を用いて更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。
尚、実施例及び比較例で用いた(A)成分の変性オレフィン系重合体、(B)成分の水酸基含有重合体、有機カルボン酸の金属塩((C)成分)、水架橋性樹脂((D)成分)、安定剤((E)成分)は、以下に示すものである。
【0034】
(A)成分
A−1;エチレン−マレイン酸無水物−アクリル酸エチル三元共重合体(赤外吸収スペクトルにより測定したマレイン酸無水物単位含有量2.4重量%、アクリル酸エチル単位含有量7.5重量%、カルボン酸無水物基数に対するカルボン酸エステル基数の比3.1、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した数平均分子量19300、数平均分子量とマレイン酸無水物単位含有量の乗数に基づいて求めた変性オレフィン系重合体1分子当たりのカルボン酸無水物基の平均結合数4.7個、住友化学工業社製、「ボンダインLX4110」)
【0035】
A−2;エチレン−マレイン酸無水物−アクリル酸エチル三元共重合体(赤外吸収スペクトルにより測定したマレイン酸無水物単位含有量2.5重量%、アクリル酸エチル単位含有量12.5重量%、カルボン酸無水物基数に対するカルボン酸エステル基数の比4.9、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した数平均分子量19800、数平均分子量とマレイン酸無水物単位含有量の乗数に基づいて求めた変性オレフィン系重合体1分子当たりのカルボン酸無水物基の平均結合数5.0個、住友化学工業社製、「ボンダインTX8030」)
【0036】
A−3;エチレン−ブテン−1共重合体(メルトフローレート9g/10分、密度0.925g/cm、日本ポリケム(株)製「Z−50MG」)100重量部に対し、マレイン酸無水物0.85重量部、アクリル酸ステアリル3.0重量部、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ターシャリーブチルパーオキシ)ヘキサン0.1重量部を添加してヘンシェルミキサーにて均一に混合後、二軸押出機((株)池貝製、PCM−30、D=30mm、L/D=32)にて溶融グラフト反応を行い、エチレン−ブテン−1共重合体のマレイン酸無水物とアクリル酸ステアリルとによる変性オレフィン系重合体を得た。なお、押出機はC:150℃、C:190℃、C〜D:230℃、Ns:200rpm、Q:10kg/hrの条件にて運転した。得られた変性オレフィン系重合体は、メルトフローレート4.2g/10分、再沈精製処理を行い未グラフト物を除いた後に赤外吸収スペクトルにより測定したマレイン酸無水物単位含有量0.64重量%、アクリル酸ステアリル単位含有量1.6重量%、カルボン酸無水物基数に対するカルボン酸エステル基数の比0.76、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した数平均分子量25700、数平均分子量とマレイン酸無水物単位含有量の乗数に基づいて求めた変性オレフィン系重合体1分子当たりのカルボン酸無水物基の平均結合数1.7個であった。
【0037】
A−4(比較例用);エチレン−マレイン酸無水物−アクリル酸エチル三元共重合体(赤外吸収スペクトルにより測定したマレイン酸無水物単位含有量0.8重量%、アクリル酸エチル単位含有量30.0重量%、カルボン酸無水物基数に対するカルボン酸エステル基数の比36.7、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した数平均分子量18700、数平均分子量とマレイン酸無水物単位含有量の乗数に基づいて求めた変性オレフィン系重合体1分子当たりのカルボン酸無水物基の平均結合数1.5個、住友化学(株)製、「ボンダインAX8390」)
【0038】
(B)成分
B−1;水酸基末端ポリブタジエンの水素添加物(水酸基含有量2.0重量%、数平均分子量1000、数平均分子量と水酸基含有量の乗数に基づいて求めた水酸基含有重合体1分子当たりの水酸基の平均結合数1.6個、日本曹達社製「ニッソーPB GI−1000」)
【0039】
B−2;低分子量ポリオレフィンポリオール(水酸基含有量1.3重量%、数平均分子量1500、数平均分子量と水酸基含有量の乗数に基づいて求めた水酸基含有重合体1分子当たりの水酸基の平均結合数1.1個、三菱化学社製「ポリテールH」)
【0040】
(C)成分(比較例用;カルボン酸金属塩類)
C−1;酢酸亜鉛二水和物
C−2;ステアリン酸カルシウム
C−3;ジブチル錫ジラウレート1重量部を含有するマスターバッチ
【0041】
(D)成分(比較例用)
低密度ポリエチレン(メルトフローレート2g/10分、密度0.919g/cm、日本ポリケム(株)製「EH−30」)100重量部、ビニルトリメトキシシラン2.0重量部、ジクミルパーオキサイド0.1重量部をヘンシェルミキサーにて均一に混合後、単軸押出機(D=40mm、L/D=28)にてシラングラフトポリエチレンを得た。なお、押出機はC:120℃、C:160℃、C〜D:200℃、Ns:70rpm、Q:7kg/hrの条件にて運転した。得られたシラングラフトポリエチレンは、メルトフローレート1.3g/10分、蛍光X線により測定したビニルトリメトキシシラン単位含有量0.7重量%であった。
【0042】
(E)成分(安定剤)
E−1;IRGANOX1010(チバガイギー社製、フェノール系酸化防止剤)
E−2;Irgafos168(チバガイギー社製、リン系酸化防止剤)
実施例及び比較例において用いた評価方法を以下に記載する。
【0043】
加工安定性
単軸押出機(D=40mm、L/D=28)を用いて48時間の連続押出を行い、押出量の経時変化を測定した。尚、押出機条件はC:170℃、C:210℃、C〜D:250℃、Ns:70rpmに設定し、諸条件は押出開始から終了までの間、一定とした。
但し、(D)成分を用いた場合に限り、押出機条件の温度設定をC:150℃、C:170℃、C〜D:190℃に変更した。
【0044】
シート成形
シート成形機(D=20mm、L/D=20)を用いて、1mm厚のシート成形を行った。成形条件は、C:170℃、C:210℃、C〜D:250℃、Ns:50rpmとした。但し、(D)成分を用いた場合に限り、成形条件の温度設定をC:150℃、C:170℃、C〜D:190℃に変更した。
【0045】
電線成形
電線被覆装置(D=50mm、L/D=25)を用いて、1mm径の銅線7本を撚り合わせた公称断面積5.5mmの導体上に厚み4mmの被覆層を成形した。成形条件は、C:170℃、C:210℃、C〜D:250℃、押出線速5m/分とした。但し、(D)成分を用いた場合は、成形条件の温度設定をC:150℃、C:170℃、C〜D:190℃に変更した。
【0046】
パイプ成形
パイプ成形機(D=60mm、L/D=24)を用いて外径34mm、肉厚5mmのパイプを成形した。
成形条件は、C:170℃、C:210℃、C〜D:250℃、Ns:50rpmとした。但し、(D)成分を用いた場合は、成形条件の温度設定をC:150℃、C:170℃、C〜D:190℃に変更した。
【0047】
架橋処理
内温を80℃に保ったオーブン中にて、可逆架橋性成形体を所定時間加温することにより行った。但し、(D)成分を用いた場合は、成形体を80℃の温水中に所定時間浸漬する方法に変更した。
【0048】
加熱変形
JIS C−3005に基づいて測定した。
熱間内圧クリープ試験
JIS K−6762に基づいて測定した。
【0049】
熱融着試験
パッド融着法により、加熱温度200℃で1分間融着接合し、1分間放冷したのち融着治具を取り外した。該パイプより、接合部が中央になるように、JISK−6301に基づく2号ダンベルを作成し、引張速度50mm/分で引張試験を行い、引張強度、引張伸びを求めた。
【0050】
架橋形成性
実施例及び比較例で得た可逆架橋性組成物のペレットを230℃で、5分間予熱した後、100kg/cmの加圧下で5分間加熱し、120kg/cmの加圧下で冷却することにより作製した厚さ1mmのプレス成形試験片を、80℃で24時間加熱処理して架橋させた後、JIS C3005(加熱変形)に準拠して、140℃、1kgfの条件で加熱変形率を測定した。
【0051】
架橋解離性
上と同じペレットを230℃で、5分間予熱した後、100kg/cmの加圧下で5分間加熱し、120kg/cmの加圧下で冷却することにより作製した厚さ1mmのプレス成形試験片を、80℃で24時間加熱処理して架橋させた後、再度、230℃で、5分間予熱した後、100kg/cmの加圧下で5分間加熱し、120kg/cmの加圧下で冷却した後、JIS C3005(加熱変形)に準拠して、140℃、1kgfの条件で加熱変形率を測定した。
【0052】
ガラス転移温度(Tg)
上で得られたペレット又は成形体を230℃で5分間予熱した後、100kg/cmの加圧下で5分間加熱し、120kg/cmの加圧下で冷却して厚さ2mm、幅12.7mm、長さ63mmのプレス成形試験片を作成した。この試験片を用いて、レオメトリックサイエンティフィック・エフ・イー(株)製メカニカルスペクトロメータ(RMS 605型)にて、温度−150℃〜0℃、歪み0.1%、周波数6.28ラジアン/秒の条件で、損失弾性率G″の温度依存性を測定し、そのピークを示す温度としてガラス転移温度(Tg)を求めた。
【0053】
<実施例1>
(A)成分としてA−1と、(E)成分としてE−1及びE−2とをヘンシェルミキサーにて均一に混合して得た混合物を二軸混練機((株)池貝製、PCM−45、D=45mm、L/D=34)のホッパー口より供給し、予め約65℃に加熱し粘度を下げておいたB−1をB成分として、ギアポンプにより混練機途中から供給し、可逆架橋性組成物のペレットを得た。
【0054】
各成分の組成比はA−1:82.8重量%、B−1:17.2重量%とし、その合計100重量部に対しE−1:0.1重量部、E−2:0.1重量部になるように調整した。(カルボン酸無水物基数に対する水酸基数の比:1.00)
また、押出機の条件はC:50℃、C:150℃:C〜D:230℃、Ns:200rpm、Q:20kg/hrに設定し、(B)成分はCゾーンから供給した。
得られた可逆架橋性組成物のペレットを用い、加工安定性を評価した。結果を表1に示す。
【0055】
<実施例2>
(A)成分としてA−3:93.5重量%と(B)成分としてB−2:6.5重量%(カルボン酸無水物基数に対する水酸基数の比:0.81)の配合比とし、その合計100重量部に対して(E)成分としてE−1:0.1重量部、E−2:0.1重量部を用い、この各成分をヘンシェルミキサーで混合して得た混合物を使用して加工安定性を評価した。結果を表1に示す。
<比較例1>
(C)成分としてC−1を加えたこと以外は実施例1と同様にして、可逆架橋性組成物のペレットを得た。このペレットを用いて加工安定性を評価した。結果を表1に示す。
なお、各成分の組成比はA−1:82.8重量%、B−1:17.2重量%の合計100重量部に対しC−1:0.06重量部、E−1:0.1重量部、E−2:0.1重量部になるように調整した。(カルボン酸無水物基数に対する水酸基数の比:1.00)
【0056】
<比較例2>
(D)成分としてD−1を100重量部用い、これに対して(C)成分としてC−3を5重量部、(E)成分としてE−1:0.1重量部、E−2:0.1重量部をそれぞれ加えてヘンシェルミキサーにて均一に混合した組成物を用いて加工安定性を評価した。結果を表1に示す。
【0057】
<実施例3>
(A)成分としてA−1を、(E)成分としてE−1及びE−2を用い、これらをヘンシェルミキサーで均一に混合して得た混合物を二軸混練機((株)池貝、PCM−45、D=45mm、L/D=34)のホッパー口より供給し、予め約65℃に加熱し粘度を下げておいたB−1をB成分としてギアポンプにより混練機途中から供給し、可逆架橋性組成物のペレットを得た。
【0058】
各成分の組成比はA−1:92.3重量%、B−1:7.7重量%とし、その合計100重量部に対しE−1:0.1重量部、E−2:0.1重量部になるように調整した。(カルボン酸無水物基数に対する水酸基数の比:0.40)
又、押出機条件はC:50℃、C:150℃、C〜D:230℃、Ns:200rpm、Q:20kg/hrに設定し、(B)成分はCゾーンから供給した。
【0059】
得られた可逆架橋性組成物のペレットを用い、シート押出を行い、得られた押出シートを3時間又は8時間かけて架橋処理を行い加熱変形率を測定した。
8時間架橋処理を行った押出シートについてはシートペレタイザーにてペレット化した後、再度シート押出を行い、得られた押出シートについて再び3時間、8時間の架橋処理を行い加熱変形率を測定した。結果を表2に示す。
【0060】
<実施例4>
(A)成分としてA−2:88.2重量%、(B)成分としてB−2:11.8重量%(カルボン酸無水物基数に対する水酸基数の比:0.40)の配合比とし、その合計100重量部に対して、(E)成分としてE−1:0.1重量部、E−2:0.1重量部を用い、これらをヘンシェルミキサーにて均一に混合して得た混合物を用いたこと以外は実施例3と同様にしてペレットの製造及びシート押出を行い押出シートを作成した。この押出シートについて実施例3と同様に架橋処理及び再シート化・再架橋処理を行いそれぞれ加熱変形を測定した。結果を表2に示す。
【0061】
<比較例3>
(A)成分としてA−4を、(B)成分としてB−1を用い、A−4:93.5重量%、B−1:6.5重量%の組成比になるように調整(カルボン酸無水物基数に対する水酸基数の比:1.00)したこと以外は実施例3と同様に操作してシート成形及び架橋処理等を行った。結果を表2に示す。
【0062】
<比較例4>
(A)成分と(B)成分の合計100重量部に対して(C)成分としてC−1:0.06重量部を用いたこと以外は実施例3と同様にして押出シートの作成及び架橋性の評価を行った。結果を表2に示す。
【0063】
<比較例5>
実施例4の各成分に加え、更に(A)成分、(B)成分の合計100重量部に対し(C)成分としてC−2:2.0重量部を用いたこと以外は実施例4と同様に操作して押出シートの作成及び架橋性の評価を行った。結果を表2に示す。
【0064】
<比較例6>
(A)成分、(B)成分に代えて(D)成分としてD−1:100重量部を用い、これに対し(C)成分としてC−3:5重量部、更に(E)成分としてE−1:0.1重量部及びE−2:0.1重量部を用いたこと以外は実施例4と同様に操作した。結果を表2に示す。
なお、架橋押出シートの再成形は押出負荷が非常に高く成形する事ができなかった。
【0065】
<実施例5>
(A)成分としてA−1:88.7重量%、(B)成分としてB−2:11.3重量%の合計100重量部に対して(E)成分としてE−1:0.1重量部、E−2:0.1重量部を用い、これらをヘンシェルミキサーにて均一に混合して得た混合物を二軸混練機にて溶融混練し、可逆架橋性組成物のペレットを得た。
【0066】
押出機条件はC:50℃、C:150℃、C〜D:230℃、Ns:200rpm、Q:20kg/hrに設定した。
得られた可逆架橋性組成物のペレットを用い、プレス成形した後8時間の架橋処理を行った上でJIS K−6911に基づき体積固有抵抗の測定を行った。また、該ペレットを用いて電線成形を行いこれを8時間架橋処理した後の加熱変形を測定した。結果を表3に示す。
8時間架橋処理を行った被覆電線から剥離して得た樹脂部分を粉砕した後、再度溶融してシート成形を行った。得られたシートを再び8時間架橋処理して、加熱変形を測定した。結果を表3に示す。
【0067】
<実施例6>
(A)成分としてA−2を、(B)成分としてB−1を用い、A−2:88.2重量%、B−1:11.8重量%の組成比になるように調整(カルボン酸無水物基数に対する水酸基数の比:0.40)したこと以外は実施例1と同様にして可逆架橋性組成物のペレットを製造し、更にこれを用いて実施例5と同様にしてプレス成形、電線成形を行った。
これらの試料について上記実施例5と同様に評価を行った。結果を表3に示す。
【0068】
<比較例7>
(A)成分と(B)成分の合計100重量部に対して(C)成分としてC−1:0.06重量部を更に加えたこと以外は実施例5と同様に成形・評価を実施した。結果を表3に示す。
【0069】
<比較例8>
(A)成分、(B)成分に代えて(D)成分としてD−1:100重量部を用い、これに対し(C)成分としてC−3:5重量部、更に(E)成分としてE−1:0.1重量部及びE−2:0.1重量部を用い、これらをロールミルで温度120℃にて7分間混合した後、プレス成形を行った。得られたシートを8時間架橋処理を行った後にJIS K−6911に従って体積固有抵抗を測定した。結果を表3に示す。又同じ組成・配合で電線成形を行い、同様に8時間架橋処理した後の加熱変形を測定した。更に前記実施例5と同様にして被覆部分の再使用を試みたが、押出負荷が非常に高く成形することができなかった。結果を表3に示す。
【0070】
<実施例7>
実施例2と同じ組成の配合物をヘンシェルミキサーにて均一に混合して得た架橋性混合物を用いてパイプ成形を行い、得られたパイプを8時間架橋処理した。
この架橋パイプを用い、熱間内圧クリープ試験、熱融着試験を行った。結果を表4に示す。
【0071】
<比較例9>
(A)成分、(B)成分に代えて(D)成分としてD−1:100重量部を用い、これに対し(C)成分としてC−3:5重量部、更に(E)成分としてE−1:0.1重量部及びE−2:0.1重量部を用い、これらをヘンシェルミキサーにて均一に混合して得た混合物を用いたこと以外は実施例7と同様にしてパイプ成形を行い、評価を行った。結果を表4に示す。
【0072】
<結果の評価>
上記の実施例、比較例から、以下の諸点が判明した。
(1)表1において(C)成分を含み、可逆架橋性のない比較例1及びベース樹脂そのものが本発明の範囲外の比較例2では、実施例と比べて、押出量の経時的な低下が見られ、加工の安定性が乏しい。
(2)表2において、エステル基とカルボン酸基数の比が本発明の範囲外である比較例3は、加熱変形率が大きく、架橋性が劣っている。また、可逆架橋性のない比較例2、3では、再成形時の架橋性が不十分である。樹脂が本発明の範囲外である比較例6の場合は、架橋後の再成形が不可能であった。
(3)表3においても、上記と同様、可逆架橋性のない比較例7は再成形時に外観不良を起こし、また樹脂が範囲外の比較例8は、再成形できなかった。
(4)表4においても、本発明の範囲外の比較例9は、熱融着性が著しく劣っていた。
【0073】
【表1】
Figure 0003627552
【0074】
【表2】
Figure 0003627552
【0075】
【表3】
Figure 0003627552
【0076】
【表4】
Figure 0003627552
【0077】
【発明の効果】
本発明は、押出成形性、加工安定性に優れ、且つ簡便な架橋処理、再利用可能な熱可逆架橋性押出成形体の製造方法を提供する事ができる。従って、本発明の熱可逆架橋性押出成形体は、熱可塑性樹脂において通常用いられる成形法により溶融状態で所望の形状に賦形する事によって得られ、又長時間の成形においても成形機内での架橋は実質的に進行しない為、スコーチを招く事はごくまれである。
又、使用済成形体の再利用等においても、同様の成形法により溶融状態で所望の形状に再度賦形して再度架橋成形体とする事ができる為に、環境保護や省資源等の立場からも有用な押出成形体となる。
更には、このような特徴を活かして、架橋フィルム、架橋チューブ、或いはブロー成形、射出成形等に応用する事も可能である。

Claims (8)

  1. 下記(A)成分及び(B)成分とからなり、かつ(A)成分のカルボン酸無水物基数に対する(B)成分の水酸基数の比が0.1〜5である架橋性混合物を、その架橋解離温度以上の温度で熱溶融成形することを特徴とする可逆架橋性成形体の製造方法。
    (A)不飽和カルボン酸無水物と不飽和カルボン酸エステルとによって変性された変性オレフィン系重合体であって、1分子当たりのカルボン酸無水物基の平均結合数が1個以上で、かつ、該変性オレフィン系重合体中のカルボン酸無水物基数に対するカルボン酸エステル基数の比が0.5〜20である変性オレフィン系重合体
    (B)1分子当たりの水酸基の平均結合数が1個以上の水酸基含有重合体
  2. (A)成分の変性オレフィン系重合体が、エチレン−マレイン酸無水物−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体である請求項1に記載の可逆架橋性成形体の製造方法。
  3. (A)成分の変性オレフィン系重合体の1分子当たりのカルボン酸無水物基の平均結合数が1.5個以上で、かつ、(B)成分の水酸基含有重合体の1分子当たりの水酸基の平均結合数が1.5個以上である請求項1又は2に記載の可逆架橋性成形体の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱溶融成形された成形体を、そのガラス転移温度以上で、かつ該成形体の架橋解離温度未満の温度で架橋処理を行なう可逆架橋性成形体の製造方法。
  5. 熱溶融成形が押出成形である請求項1〜4のいずれか1項に記載の可逆架橋性成形体の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法によって得られる可逆架橋性成形体。
  7. 請求項6に記載の成形体のスクラップを該成形体の架橋解離温度以上の成形温度で熱溶融成形することを特徴とする可逆架橋性成形体の製造方法。
  8. 下記(A)成分及び(B)成分とからなり、かつ(A)成分のカルボン酸無水物基数に対する(B)成分の水酸基数の比が0.1〜5である架橋性混合物と、請求項6に記載の成形体のスクラップとを、その両者の架橋解離温度のうち、より高い温度以上の温度で熱溶融成形することを特徴とする可逆架橋性成形体の製造方法。
    (A)不飽和カルボン酸無水物と不飽和カルボン酸エステルとによって変性された変性オレフィン系重合体であって、1分子当たりのカルボン酸無水物基の平均結合数が1個以上で、かつ、該変性オレフィン系重合体中のカルボン酸無水物基数に対するカルボン酸エステル基数の比が0.5〜20である変性オレフィン系重合体
    (B)1分子当たりの水酸基の平均結合数が1個以上の水酸基含有重合体
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