JP3625303B2 - 回転電機 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、誘導電動機などの回転電機に係り、特に、アルミニウム製のハウジングを有する比較的小容量の汎用誘導電動機として使用するのに好適な回転電機に関する。
【0002】
【従来の技術】
比較的小容量の汎用誘導電動機からなる回転電機の一構成例を図5に示す。同図において、1はハウジングで、鋳鉄などの鉄系材料を鋳造することによりほぼ筒状に形成され、電動機の外被を構成している。1aは放熱フィンで、ハウジング1の外周に軸方向に沿った長さをなして放射状に一体的に形成されている。2A,2Bはエンドブラケットで、ハウジング1の両側の開口部に夫々インロー嵌合して取付けられている。
3は固定子で、ケイ素鋼板を複数枚積層して形成された固定子鉄心3aと、この固定子鉄心3aの内周部に複数形成されたスロット部に巻回された固定子コイル3bとで構成され、ハウジング1の内周部に嵌合しかつ固定されている。
5は回転子で、6は回転子5を取付けた回転軸である。回転子5は回転軸6の外周部において固定子2と対向位置に取付けられ、その両端面には図示しない二次導体バーと、エンドリング7とを有し、さらにエンドリング7と一体的に形成された内部冷却扇(以下、内ファンと称す)8を有している。回転軸6は、エンドブラケット2A,2Bに対し軸受4A,4Bを介し回転自在に保持されている。また、回転軸6の一端部(図において右側)はエンドブラケット2Bを挿通して外部に突出し、出力軸をなしており、その他端部(図において左側)はエンドブラケット2Aを挿通して外部冷却扇9(以下、外ファンと称す)を装着している。
10は外ファン9を覆うエンドカバーで、その一側面に外気を取り込むための開孔10aを有している。また、エンドカバー10の開孔10aと反対側の他端は、開放された円筒形に形成され、エンドカバー10をエンドブラケット2Aに組み付けたとき、エンドブラケット2A及びハウジング1の外径部との間に径方向の隙間部10bを形成する。
【0003】
この回転電機は、予め固定子3をハウジング1の内周壁に嵌合して固定しておき、その後、この固定子3内に回転軸6を有する回転子5を挿入し、かつ回転軸6にエンドブラケット4A,4B内の軸受4A,4Bが嵌合するよう、エンドブラケット4A,4Bをハウジング1の両端にそれぞれインロー嵌合させ、これに複数本のボルト(図示せず)により取付ける。
そして、回転軸6の駆動により外ファン9が回転すると、その回転力によりエンドカバー10の開孔10aから矢印イの如く外気が吸い込まれ、吸い込まれた空気は、隙間部10bからエンドカバー10の他端側の外部に吹き出され、エンドブラケット2A,ハウジング1,エンドブラケット2Bの表面を通風することにより、冷却作用が得られるようにしている。一方、回転電機の内部においては、回転子5が回転すると、それに伴い内ファン8が回転することにより内部空気の流通を発生させ、発生した流通空気は、回転子5,エンドリング7,固定子コイル3b及び固定子鉄心3aを冷却しながら通過した後、ハウジング1に比べ、比較的温度上昇の低いエンドブラケット2A,2Bの内側を通過することにより冷却されるようにしている。
なお、この種に関連する公知例として、特開昭61−251440号公報等が挙げられる。
【0004】
ところで、今日では、回転電機の小形軽量化が強く要求されている。そのような場合、ハウジング1の材料として、軽量で熱電導率のよいアルミニウムやアルミニウム合金材(鋼に比べ、比重は約1/3、ヤング率は約1/3、非熱は約2倍、熱電導率は約3倍)などの軽金属を用い、回転電機の内部で発生する熱をハウジングに良好に伝達することにより冷却を改善すると共に、小形軽量化を得ることが容易に考えられる。その際、ハウジングは生産性のよいダイカスト金型によって製作するが、ダイカスト金型からハウジング1を如何に上手く抜くことが重要となる。従来技術では、ハウジング1の内側からダイカスト金型を容易に抜けるようにするため、ハウジング1の内径部に抜き勾配をつけ、従って、ハウジング1の内径は、その軸方向の一端側が大径部をなすと共に、その他端側が小径部をなし、一端側から他端側に次第に小さくなる形状をなしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来技術では、ハウジング1の内周壁に固定子3を取付けたときに発生する問題について配慮されていない。
即ち、固定子3は図6に示すように外径が一様の寸法をなしており、ハウジング1に焼嵌によって取付けると、固定子3の内周に軸方向の変位が生じる。これは、固定子3の外径がハウジング1の内径より僅かに大きい締代嵌合により取付けるためであるが、ハウジング1の内径が前述の如く、一端の大内径部1bから他端の小内径部1cに至るに従い次第に小さくなっているので、固定子3とハウジング1両者の締代を軸方向で観察すると、ハウジング1の大内径部1b近辺が小内径部1c近辺に比べ、緩い締代となる。
そして、これら両者1b,1c間における締代の違いは固定子3外圧の違いとなる。その結果、固定子内周に生じる変位を軸方向で検討すれば、当然のことながら、締代の緩い部位は変位が小さく、締代のきつい部位は変位が大きくなり、また小さい方から大きい方に次第に変化することとなる。そのため、回転子5は、固定子3と同様に一様の外径寸法をなしているので、固定子3との間の寸法、即ちエアギャップが軸方向に不平衡となる。
例えば出力が3.7KW−4P程度の汎用誘導電動機においては、有限要素法を用いて解析した結果、固定子3の内径部の変位は、図7に示すように、その一端から他端に向かう軸方向に増加し、最大で約20μmmもある。この数値は、エアギャップの7%にも相当するほど大きい。
このように、固定子3と回転子5間のエアギャップが軸方向に不平衡となると、回転電機の駆動時、振動及び騒音の増大を招く問題が発生し、しかも固定子3に対し回転子5が吸引される如くずれてしまい、回転軸6が変位することによって軸受4A,4Bに負荷として作用するので、軸受寿命が短くなる等の問題がある。
【0006】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、簡単かつ確実に低振動化及び低騒音化を実現し得る回転電機を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明では、ダイカストにより形成され、かつ内周壁の軸方向の一端が大内径部をなすと共に、その一端から他端に至るに従い内径寸法を次第に狭めて形成されたハウジングを有する回転電機において、前記ハウジングの内周壁を形成する肉厚を、該内周壁の一端の大内径部から他端に至るに従い次第に薄く形成したことを特徴とするものである。
【0008】
【作用】
ハウジング内に固定子を焼嵌めして取付けると、ハウジング内周壁の軸方向の一端が大内径部をなすと共に他端が小内径部をなし、しかもその大内径部から小内径部にかけて次第に小さい径をなしているので、ハウジングと固定子との締代(焼嵌め代)は、ハウジングの内径の大きさが次第に小さくなるに従い、即ち大内径部側から小内径部側に至るに従って次第に増加する。
その際、ハウジングによって受けた固定子の外圧が、そのまま反力となってハウジングに作用するが、ハウジングの肉厚が前述の如く、一端である大内径部側から他端である小内径部側に至るに従い次第に小さくなる形状に形成されているので、肉厚が次第に小さくなっているのに伴いハウジングの外周が変位する一方、固定子の軸方向の変位を吸収することができる。この場合、ハウジング肉厚の軸方向の厚みの差を適切に選定すれば、固定子と回転子間のエアギャップ寸法が不平衡となるのを防ぐことができ、軸方向の均一なエアギャップにできるので、振動及び騒音が増大するのを確実に防止できる。
【0009】
【実施例】
以下、本発明の一実施例を図1乃至図4により説明する。図1は本発明による回転電機を汎用の誘導電動機に適用した一実施例を示す上半分を断面した全体図、図2はハウジングの正面図、図3はハウジングの要部を示す説明図、図4は固定子の積厚方向とハウジング内径の軸方向の変位との関係を示す説明図で、これらの図において図5乃至図7に示す従来技術と同一符号のものは夫々同じものもしくは相当するものを表している。
実施例の回転電機は、図1に示すように、ハウジング1,エンドブラケット2A・2B,固定子3,軸受4A・4B,回転子5,回転軸6,外ファン9,エンドカバー10を有して構成されている。そして、前記ハウジング1はアルミニウム或いはアルミニウム合金材をダイカスト成形することによって適宜の肉厚1dを有する筒状に形成され、その内周壁の軸方向の一端が大内径部1bをなすと共に、その他端が大内径部1bより小さい小内径部1cをなし、しかも大内径部1bから小内径部1cに至るに従い次第に径を狭めてテーパ状に形成され、このテーパ形状がダイカスト成形したときの抜き勾配となるようにしている。この点は従来技術と同様である。
そして、この実施例において前記従来技術と異なるのは、ハウジング1に固定子3を取付けたとき、該固定子3に変位が発生し得ないようにハウジング1の形状を変更したものである。具体的に述べると、図2及び図3に示すように、ハウジング1の内周壁を形成する肉厚1dは、軸方向の一端である大内径部1bをそのままの大きさとし、その大内径部1bから他端の小内径部1cに至るに従い次第に薄い寸法に形成されている。従って、肉厚1dの外周面が一端の大内径部1bから他端の小内径部1cにかけて次第に細くなっている。
【0010】
上記の如く形成されたハウジング1内に固定子鉄心3aを焼嵌めして取付けると、ハウジング内周壁の軸方向の一端が大内径部1bをなすと共に他端が小内径部1cをなし、しかもその大内径部1bから小内径部1cにかけて次第に小さい径をなしているので、ハウジング1と固定子鉄心3aとの締代(焼嵌め代)1eは、図3に示すように、ハウジング1の内径の大きさが次第に小さくなるに従い、即ち大内径部1b側から小内径部1c側に至るに従って次第に増加する。
その際、ハウジング1によって受けた固定子鉄心3aの外圧が、そのまま反力となってハウジング1に作用するが、ハウジング1の肉厚1dが前述の如く、一端である大内径部1b側から他端である小内径部1c側に至るに従い次第に薄くなる形状に形成されているので、肉厚1dが次第に小さくなっているのに伴いハウジング1の外周が変位し、そのため図4に示すように、固定子鉄心3aの軸方向の変位を吸収することができる。この場合、ハウジング肉厚1dの軸方向の厚みの差を適切に選定すれば、固定子鉄心3aと回転子5間のエアギャップ寸法が不平衡となるのを防ぐことができ、軸方向の均一なエアギャップにできるので、振動及び騒音が増大するのを確実に防止できる。しかも、ハウジング1と固定子3間の嵌合部の応力が一定となり、ハウジング強度を安定化させることができるので、限界設計することが可能となる。
また図示実施例では、図1に示すように、ハウジング肉厚1dの小内径部1c側をエンドブラケット2A側に配置し、ハウジング肉厚1dを前述の如く形成したことにより、エンドカバー10の隙間部10bと連絡する放熱フィン1aの一端側が、エンドブラケット2B側の他端より径方向に長くなる。そのため、隙間部10bから放熱フィン1bに流れ込む空気量をそれだけ多くでき、しかもハウジング肉厚1dの外周が一端(小内径部1c側)から他端(大内径部1b側)にかけて次第に大きくしているので、空気がハウジング外周を軸方向全体に沿って流れ、ハウジングの冷却効果が良好となる。
【0011】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、ハウジングの肉厚が、一端である大内径部側から他端である小内径部側に至るに従い次第に薄くなる形状に形成し、肉厚が次第に小さくなっているのに伴い固定子の軸方向の変位を吸収することができるように構成したので、固定子と回転子間のエアギャップ寸法が不平衡となるのを防ぎ、軸方向で均一なエアギャップにできる結果、振動及び騒音が増大するのを確実に防止でき、またハウジング強度の安定により限界設計ができることから、製作コストを低減でき、さらにダイカストでハウジングを成形することにより部品精度がよく、製作が容易となるばかりでなく、軸受寿命を延ばすことができると云う効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による回転電機を汎用誘導電動機に適用した一実施例を示す一部破断の全体図。
【図2】ハウジングを示す一部破断の正面図。
【図3】ハウジングの要部を示す拡大説明図。
【図4】固定子の積厚方向とハウジング内径の軸方向の変位との関係を示す説明図。
【図5】一般的な汎用誘導電動機を示す一部破断の全体図。
【図6】従来技術のハウジングと固定子との関係を示す拡大の説明図。
【図7】図6に示す固定子の積厚方向とハウジング内径の軸方向との関係を示す説明図。
【符号の説明】
1…ハウジング、1b…ハウジング内周壁の大内径部、1c…ハウジング内周壁の小内径部、1d…ハウジングの肉厚、3…固定子。
Claims (1)
- ダイカストにより形成され、かつ内周壁の軸方向の一端が大内径部をなすと共に、その一端から他端に至るに従い内径寸法を次第に狭めて形成されたハウジングを有する回転電機において、前記ハウジングの内周壁を形成する肉厚を、該内周壁の一端の大内径部から他端に至るに従い次第に薄く形成したことを特徴とする回転電機。
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JP19436494A JP3625303B2 (ja) | 1994-08-18 | 1994-08-18 | 回転電機 |
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JP19436494A JP3625303B2 (ja) | 1994-08-18 | 1994-08-18 | 回転電機 |
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