JP3617120B2 - アクリルゴム組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、アクリルゴムを原料ゴムとする架橋可能なアクリルゴム組成物に関し、更に詳しくは、当該組成物を架橋して得られる架橋組成物と金属部材とを接触させた場合において、当該架橋組成物が金属部材に固着されることがなく、当該架橋組成物が金属部材を腐食させることのないアクリルゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
アクリル酸アルキルエステルおよび/またはアクリル酸アルコキシアルキルエステルを主成分とするアクリルゴムは、耐熱性、耐油性、耐候性、圧縮永久ひずみ性等が良好なゴムとして知られており、パッキン、オイルシール、各種ホース等の用途に使用されている。
【0003】
しかし、例えばパッキン、Oリングなどのシール材として用いられるアクリルゴムは、鋳鉄や軟鋼等よりなる金属部材間に挟持されて例えば10〜40%の圧縮状態に保持されるのであるが、このような状態で一定時間の使用に供された後において、金属部材に圧着されているアクリルゴムを剥がそうとしても、容易に金属面から剥がすことができず、ゴム材の一部が金属面に付着残留してしまう現象が生じる(以下、このような現象を「固着」というものとする)。また、ホース材として用いられるアクリルゴムにおいても、ホースが接続される金属パイプや締め付け金具などの金属部材に対して固着が生じる、という問題がある。
更に、これらの用途に用いられるアクリルゴムは、これに接触する金属部材を腐食させる、という問題もある。
【0004】
従来において、アクリルゴムの金属に対する固着を防止し、アクリルゴムによる金属の腐食を抑制するために、以下のような技術が紹介されている。
▲1▼ アクリルゴム材(架橋物)の表面に反応性シリコーン液を塗布して乾燥させることにより、アクリルゴム材の表面にシリコーン被覆膜を形成する技術(特開平3−17435号公報参照)。
▲2▼ アクリルゴム組成物中に過剰の可塑剤等の離型性配合剤を添加し、アクリルゴム材の表面に当該離型性配合剤をブリードさせて被覆膜を形成する技術(特開平6−88005号公報参照)。
【0005】
上記の各技術は、アクリルゴムと金属との間に被覆膜を形成して、両者が直接接触することを避けるものであるが、アクリルゴム本来の特性である耐熱性や耐油性などが損なわれる傾向があり、また上記▲1▼の技術では、シリコーン液の塗布工程および乾燥工程が必須となり、製造コストの増加を招くので好ましくない。更に上記▲2▼の技術では、加工段階においてもブリードが生じ、このため成形加工が困難になるという問題がある。このように、アクリルゴムにおける金属に対する固着の問題および金属腐食の問題を解決するために十分満足できる技術は提供されていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上のような事情に基いてなされたものである。
本発明の第1の目的は、金属部材に圧縮状態で接触させた場合においても、金属部材に固着されることのない架橋組成物を得ることができるアクリルゴム組成物を提供することにある。
本発明の第2の目的は、金属部材に接触させた場合においても、当該金属部材を腐食させることのない、金属に対して不活性な架橋組成物を得ることができるアクリルゴム組成物を提供することにある。
本発明の第3の目的は、アクリルゴム本来の良好な加工性や特性が維持され、製造コストを増加させることのないアクリルゴム組成物を提供することにある。
本発明の第4の目的は、パッキン、Oリング、オイルシール、ホースなど金属部材と接触する用途に好適に用いることができ、機器のオーバーフロー時において、交換が容易な架橋組成物を得ることができるアクリルゴム組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のアクリルゴム組成物は、アクリル酸アルキルエステルおよび/またはアクリル酸アルコキシアルキルエステルよりなる単量体成分(a)70〜100重量%、塩素原子含有単量体、エポキシ基含有単量体および分子中に2個以上の不飽和二重結合を含有する単量体より選ばれる単量体成分(b)0〜5重量%、これらと共重合可能な単量体成分(c)0〜30重量%よりなり、単量体成分(a)、単量体成分(b)および単量体成分(c)の合計が100重量%となる単量体混合物を共重合して得られるアクリルゴムと、
下記一般式(1)で表されるアルキルリン酸エステルおよび下記一般式(2)で表されるアルキルエーテルリン酸エステルからなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物(以下、「特定のリン酸エステル系化合物」ともいう)とが含有されていることを特徴とする。
【0008】
【化2】
Figure 0003617120
【0009】
本発明のアクリルゴム組成物においては、
(1)単量体成分(b)が塩素原子含有単量体であること、
(2)単量体成分(b)がエポキシ基含有単量体であること、
(3)単量体成分(b)が含まれない単量体混合物を共重合して得られるアクリルゴムが含有されていること、
(4)上記一般式(1)において、R1 で示されるアルキル基の炭素原子数が5〜20、特に12〜20であること、
(5)組成物に添加含有される特定のリン酸エステル系化合物のうち、モノエステル化合物〔上記一般式(1)〜(2)におけるnが1である化合物〕の割合が50重量%以上、特に60重量%以上であること、
(6)単量体成分(b)が塩素原子含有単量体および/またはエポキシ基含有単量体である場合において、架橋剤としてトリアジンチオール化合物および/またはアミン化合物が含有されていること、
(7)架橋剤として有機過酸化物が含有されていること、
(8)特定のリン酸エステル系化合物の含有割合が、アクリルゴム100重量部に対して0.05〜100重量部、更に0.3〜50重量部、特に0.3〜20重量部であることが好ましい。
【0010】
以下、本発明のアクリルゴム組成物について具体的に説明する。
本発明の組成物は、アクリルゴムを原料ゴムとする組成物である。本発明の組成物を構成するアクリルゴムは、アクリル酸アルキルエステルおよび/またはアクリル酸アルコキシアルキルエステルよりなる単量体成分(a)と、塩素原子含有単量体、エポキシ基含有単量体、分子中に2個以上の不飽和二重結合を含有する単量体より選ばれる単量体成分(b)と、これらと共重合可能な単量体成分(c)とよりなる単量体混合物を共重合することにより調製することができる。
【0011】
単量体成分(a)であるアクリル酸アルキルエステルとしては、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレートなどを挙げることができる。これらのうち、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレートが好ましい。
【0012】
単量体成分(a)であるアクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、例えばメトキシメチルアクリレート、エトキシメチルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−ブトキシエチルアクリレート、3−メトキシプロピルアクリレートなどを挙げることができる。これらのうち、2−メトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレートが好ましい。
【0013】
単量体成分(b)は、得られるアクリルゴムに架橋点(活性塩素、エポキシ基、不飽和二重結合)を導入するための架橋用モノマーである。
【0014】
アクリルゴムに活性塩素を導入するための塩素原子含有単量体としては、2−クロロエチルビニルエーテル、2−クロロエチルアクリレート、2−クロロエチルメタクリレート、クロロ酢酸ビニル、クロロメチルスチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデンなどを挙げることができる。
【0015】
アクリルゴムにエポキシ基を導入するためのエポキシ基含有単量体としては、グリシジル(メタ)アクリレート、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、メタクリルグリシジルエーテルなどを挙げることができる。
【0016】
アクリルゴムに不飽和二重結合を導入するために用いられる、分子中に2個以上の不飽和二重結合を含有する単量体としては、ジビニルベンゼン、ブタジエン、イソプレン、ピペリレン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ビニルアクリレート、ビニルメタクリレートアルキレングリコールジアクリレート、トリアリルイソシアヌレート、アリルアルコール、アルキレングリコールジメタクリレート、ポリアルキレングリコールジアクリレート、ポリアルキレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジシクロペンタジエニルアクリレート、ジシクロペンタジエニルエチルアクリレート、ジシクロペンタジエニルメタクリレートなどを挙げることができる。
【0017】
単量体成分(c)としては、上記の単量体成分(a)〜(b)と共重合可能なモノマーであれば特に限定されるものではなく、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジオクチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジオクチル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチル、イタコン酸ジオクチル、スチレン、α−メチルスチレン、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、エチルビニルエーテル、エチレン、アクリル酸オリゴエステル類、アクリル酸オリゴエーテル類、ビニル基、メタクリル基、アクリル基およびスチリル基からなる群より選ばれた少なくとも1つの基を含有するシランまたはシリコーン化合物のビニル系、ビニリデン系、ビニレン系、アクリル系などの不飽和化合物を例示することができる。
【0018】
単量体混合物(100重量%)中における単量体成分(a)〜(c)の含有割合としては、単量体成分(a)が70〜100重量%、単量体成分(b)が0〜5重量%、単量体成分(c)が0〜30重量%とされる。
【0019】
本発明の組成物は、上記一般式(1)〜(2)で表される、アルキルリン酸エステルおよびアルキルエーテルリン酸エステルから選ばれた少なくとも1種のリン酸エステル系化合物(リン酸モノエステルまたはリン酸ジエステル)が添加含有されている点に特徴を有する。
【0020】
上記一般式(1)〔PO(OR(OH)3−n 〕で表されるアルキルリン酸エステルのうち、金属に対する固着防止効果・金属腐食の防止効果が特に優れていることからモノエステル(n=1)が好ましい。
なお、モノエステルとジエステル(n=2)との混合物であってもよいが、金属に対する固着防止効果・金属腐食の防止効果を低下させないために、特定のリン酸エステル系化合物中のモノエステルの含有率は50重量%以上であること、特に60重量%以上であることが好ましい。
また、アルキル基Rにおける炭素原子数は3〜30であることが、混練り加工性およびアクリルゴムとの相溶性の観点から好ましく、更に好ましくは5〜20であり、特に好ましくは12〜20とされる。
【0022】
上記一般式(2)〔PO(OR2 OR3 n (OH)3-n 〕で表されるアルキルエーテルリン酸エステルのうち、金属に対する固着防止効果・金属腐食の防止効果が特に優れていることからモノエステル(n=1)が好ましい。
なお、モノエステルとジエステル(n=2)との混合物であってもよいが、金属に対する固着防止効果・金属腐食の防止効果を低下させないために、モノエステルの含有率は特定のリン酸エステル系化合物中50重量%以上であること、特に60重量%以上であることが好ましい。
また、アルキレン基R2 の炭素原子数は1〜3であり、アルキル基R3 の炭素原子数は3〜30であることが、混練り加工性およびアクリルゴムとの相溶性の観点から好ましく、更に好ましくは5〜20であり、特に好ましくは12〜20とされる。
【0024】
本発明の組成物における特定のリン酸エステル系化合物の含有割合としては、アクリルゴム100重量部に対して0.05〜100重量部とされ、好ましくは0.3〜50重量部、更に好ましくは0.3〜20重量部とされる。
この割合が0.05重量部未満である場合には、このような組成物を架橋して得られる架橋組成物と、金属部材とを接触させた場合において、当該架橋組成物の金属部材への固着防止効果、金属部材の腐食防止効果を十分に発揮することができない。一方、この割合が100重量部を超える場合には、組成物の混練加工時における作業性が劣り、添加剤の分散不良などの問題が生じるおそれがあるので好ましくない。
【0025】
本発明の組成物は架橋可能な組成物であり、本発明の組成物には、通常、架橋剤が含有されている。斯かる架橋剤としては、組成物中における架橋点(活性塩素、エポキシ基、不飽和二重結合)の有無、架橋点の種類によって異なる。
【0026】
塩素原子含有単量体〔単量体(b)〕に由来する活性塩素を含有するアクリルゴムを架橋するための架橋剤としては、▲1▼ トリアジンチオール系化合物−ジチオカルバミン酸塩類、▲2▼ トリアジンチオール系化合物−チウラム類、▲3▼ トリアジンチオール系化合物−ジチオカルバミン酸塩類−チウラム類、▲4▼ 金属石鹸−硫黄などの組合せを挙げることができる。
【0027】
ここに、トリアジンチオール系化合物の具体例としては、トリアジントリチオール、1−メチル−3,5−メルカプトトリアジン、1−(N,N−ジメチルアミノ)−3,5−メルカプトトリアジンなどが挙げられる。ジチオカルバミン酸塩類化合物の具体例としては、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジオクチルジチオカルバミン酸亜鉛などが挙げられる。チウラム類の具体例としては、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、テトラオクチルチウラムジスルフィド、テトラベンジルチウラムジスルフィドなどが挙げられる。金属石鹸の具体例としては、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウムなどが挙げられる。
【0028】
アクリルゴム100重量部に対する架橋剤の添加量としては、上記▲1▼〜▲3▼の架橋系において、トリアジンチオール系化合物0.01〜10重量部、ジチオカルバミン酸塩類および/またはチウラム類0.01〜10重量部とされ、また、上記▲4▼の架橋系において、金属石鹸0.1〜20重量部、硫黄0.01〜10重量部とされる。
【0029】
エポキシ基含有単量体〔単量体(b)〕に由来するエポキシ基を含有するアクリルゴムを架橋するための架橋剤の具体例としては、安息香酸アンモニウム、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンカルバメートなどのアミン化合物などを挙げることができ、アクリルゴム100重量部に対する当該架橋剤の添加量は0.01〜10重量部とされる。
【0030】
本発明の組成物は、有機過酸化物によっても架橋することができる。斯かる有機過酸化物としては、半減期が1分間となるときの温度が130〜200℃の範囲にあることが好ましい。好ましい有機過酸化物の具体例としては、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、n−ブチル−4,4−ジ−t−ブチルバレレート、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなどを挙げることができ、アクリルゴム100重量部に対する当該架橋剤の添加量は0.1〜20重量部とされる。
【0031】
有機過酸化物による架橋を行う場合には、架橋助剤を併用することが好ましい。斯かる架橋助剤の具体例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、メタフェニレンビスマレイミドなどを挙げることができ、アクリルゴム100重量部に対する当該架橋剤の添加量は0.1〜20重量部とされる。
【0032】
本発明のアクリルゴム組成物には、上述した特定のリン酸エステル系化合物や架橋剤が必須成分として含まれるが、これら以外に、各種のゴム用配合剤が含まれていてもよい。斯かるゴム用配合剤としては、例えば補強剤、充填剤、老化防止剤、安定剤、加硫遅延剤、可塑剤、架橋助剤、滑剤などを挙げることができる。
【0033】
本発明のアクリルゴム組成物を製造するために、アクリルゴム、特定のリン酸エステル系化合物、架橋剤およびゴム用配合剤を混合・混練する方法としては、バンバリー型ミキサー、加圧ニーダー、オープンロールなどを使用する従来公知の方法を採用することができる。また、加硫方法としても、通常のゴム配合物に適用されるプレス加硫、射出成形加硫、熱空気加硫、蒸気加硫などを採用することができる。加硫温度は、通常150℃以上とされる。
【0034】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下において、「部」は「重量部」を意味するものとする。
【0035】
特定のリン酸エステル系化合物としては、以下の特定化合物A〜Cを用いた。
なお、『アルキル基(R1 )を構成する炭素原子数』および『アルキル基(R3 )を構成する炭素原子数』は、核磁気共鳴分析法による測定値であり、『モノエステル(n=1)含有割合』は赤外線分光分析法による測定値である。
【0036】
(1)特定化合物A
アルキルリン酸エステル〔PO(OR1 n (OH)3-n
「フォスファノールML200」〔東邦化学工業(株)製〕
アルキル基(R1 )を構成する炭素原子数 :12
モノエステル(n=1)含有割合 :67重量%
(2)特定化合物B
アルキルエーテルリン酸エステル〔PO(OR2 OR3 n (OH)3-n
「フォスファノールGF820E」〔東邦化学工業(株)製〕
アルキル基(R3 )を構成する炭素原子数 :18
モノエステル(n=1)含有割合 :60重量%
(3)特定化合物C
アルキルエーテルリン酸エステル〔PO(OR2 OR3 n (OH)3-n
「フォスファノールGF810E」〔東邦化学工業(株)製〕
アルキル基(R3 )を構成する炭素原子数 :20
モノエステル(n=1)含有割合 :45重量%
【0037】
実施例1〜3
活性塩素系極超耐寒タイプのアクリルゴム「JSR AREX411」(日本合成ゴム(株)製)100部と、カーボンブラック「シースト116」(東海カーボン(株)製)60部と、ステアリン酸を1部と、老化防止剤「ノクラックCD」(大内新興化学(株)製)2部とをバンバリーミキサーで混練り後、得られたコンパウンドをオープンロールに移した。
このオープンロールにて、加硫剤であるトリアジントリチオール「ジスネットF」(三協化成製)0.8部と、加硫促進剤BZ「ノクセラーBZ」(大内新興化学(株)製)2.0部と、表1に示す特定のリン酸エステル系化合物とを添加して混練りすることにより本発明の組成物1〜3を製造した。
【0038】
<実施例4>
アクリルゴムとして、活性塩素系超耐寒タイプのアクリルゴム「JSR AREX310」(日本合成ゴム(株)製)100部を用いたこと以外は実施例1と同様にして本発明の組成物4を製造した。
【0040】
<比較例1>
特定化合物Aを添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして比較用の組成物C1を製造した。
【0041】
<比較例2>
特定化合物Aを添加しなかったこと以外は実施例4と同様にして比較用の組成物C2を製造した。
【0042】
実施例5〜6
エポキシ系超耐寒タイプのアクリルゴム「JSR AREX320」(日本合成ゴム(株)製)100部と、カーボンブラック「シースト116」(東海カーボン(株)製)60部と、ステアリン酸を1部と、老化防止剤「ノクラックCD」(大内新興化学(株)製)2部とをバンバリーミキサーで混練り後、得られたコンパウンドをオープンロールに移した。
このオープンロールにて、加硫剤である安息香酸アンモニウム「バルノックAB」(大内新興化学(株)製)1.5部と、表1に示す特定のリン酸エステル系化合物とを添加して混練りすることにより本発明の組成物5〜6を製造した。
【0043】
<比較例3>
特定化合物Aを添加しなかったこと以外は実施例5と同様にして比較用の組成物C3を製造した。
【0044】
<比較例4>
特定化合物Aに代えて、トリス(ノニルフェニル)フォスファイト1.5部を添加したこと以外は実施例1と同様にして比較用の組成物C4を製造した。
【0045】
<比較例5>
特定化合物Aに代えて、トリオクチルフォスフェート(TOP)10部を添加したこと以外は実施例1と同様にして比較用の組成物C5を製造した。
【0046】
実施例7〜8
過酸化物架橋用超耐寒タイプのアクリルゴム「JSR AREX290」(日本合成ゴム(株)製)100部と、カーボンブラック「シースト116」(東海カーボン(株)製)60部と、ステアリン酸を1部と、老化防止剤「ノクラックCD」(大内新興化学(株)製)2部とをバンバリーミキサーで混練り後、得られたコンパウンドをオープンロールに移した。
このオープンロールにて、加硫剤である有機過酸化物「パーカドックス14/40」(化薬アクゾ製)2.5部と、架橋助剤「バルノックPM」(大内新興化学(株)製)2.5部と、表2に示す特定のリン酸エステル系化合物とを添加して混練りすることにより本発明の組成物7〜8を製造した。
【0047】
<比較例6>
特定化合物Aを添加しなかったこと以外は実施例7と同様にして比較用の組成物C6を製造した。
【0048】
実施例9〜10
過酸化物架橋用標準タイプのアクリルゴム「JSR AR102X」(日本合成ゴム(株)製)100部と、カーボンブラック「シースト116」(東海カーボン(株)製)60部と、ステアリン酸を1部と、老化防止剤「ノクラックCD」(大内新興化学(株)製)2部とをバンバリーミキサーで混練り後、得られたコンパウンドをオープンロールに移した。
このオープンロールにて、加硫剤である有機過酸化物「パーカドックス14/40」(化薬アクゾ製)2.5部と、架橋助剤「バルノックPM」(大内新興化学(株)製)2.5部と、表2に示す特定のリン酸エステル系化合物とを添加して混練りすることにより本発明の組成物9〜10を製造した。
【0049】
<比較例7>
特定化合物Aを添加しなかったこと以外は実施例9と同様にして比較用の組成物C7を製造した。
【0050】
<組成物の架橋>
以上のようにして得られた本発明の組成物1〜10および比較用の組成物C1〜C7の各々について、170℃で20分間のプレス加硫を行い、更に後加硫として175℃のオーブン内に4時間放置することにより、JIS K6301の圧縮永久ひずみ試験用試験片と同一形状の架橋された成形物を得た。
【0051】
<実験例>
上記のようにして得られた成形物を、2枚のJIS鋳鉄板(FC200)によって挟み、圧縮永久ひずみ試験用の圧縮装置で25%圧縮し、この状態で圧力容器内のエンジンオイル中に浸漬し、圧力容器を密封後、140℃の条件下で放置した。100時間経過後、試験片を取り出し、金属板に付着している成形物(ゴム)を剥がし、そのときに要した荷重を測定するとともに、剥離後の金属表面におけるゴムの残留の有無、金属表面の腐食状態を観察した。結果を表1〜2に併せて示す。なお、組成物1および組成物C4〜C5により得られた成形物については、表3に示す浸漬条件(温度・時間)によって浸漬し、測定および観察を行った。結果を表3に併せて示す。
【0052】
【表1】
Figure 0003617120
【0053】
【表2】
Figure 0003617120
【0054】
【表3】
Figure 0003617120
【0055】
【発明の効果】
本発明のアクリルゴム組成物によれば、アクリルゴム本来の良好な特性を有し、しかも、金属に対して不活性な架橋組成物を得ることができる。これにより、当該架橋組成物を金属部材に接触させた場合においても、当該架橋組成物が金属部材に固着されることがなく、また、当該架橋組成物によって金属部材が腐食することはない。
従って、本発明のアクリルゴム組成物によれば、ガスケット、パッキン、Oリング、オイルシール、ホース、ダイヤフラムなど、金属部材と接触する用途に好適に用いることができ、機器のオーバーフロー時において、交換が容易な架橋組成物を得ることができる。

Claims (1)

  1. アクリル酸アルキルエステルおよび/またはアクリル酸アルコキシアルキルエステルよりなる単量体成分(a)70〜100重量%、塩素原子含有単量体、エポキシ基含有単量体および分子中に2個以上の不飽和二重結合を含有する単量体より選ばれる単量体成分(b)0〜5重量%、これらと共重合可能な単量体成分(c)0〜30重量%よりなり、単量体成分(a)、単量体成分(b)および単量体成分(c)の合計が100重量%となる単量体混合物を共重合して得られるアクリルゴムと、
    下記一般式(1)で表されるアルキルリン酸エステルおよび下記一般式(2)で表されるアルキルエーテルリン酸エステルからなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物とが含有されていることを特徴とするアクリルゴム組成物。
    Figure 0003617120
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