JP3614740B2

JP3614740B2 - 同軸ケーブル

Info

Publication number: JP3614740B2
Application number: JP34705499A
Authority: JP
Inventors: 雅載大保; 健一細川; 幸三小川
Original assignee: Fujikura Ltd
Current assignee: Fujikura Ltd
Priority date: 1999-06-14
Filing date: 1999-12-07
Publication date: 2005-01-26
Anticipated expiration: 2019-12-07
Also published as: JP2001060418A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、同軸ケーブルに関するものであり、特にその外部導体に関するものである．
【０００２】
【従来の技術】
図２（ａ）に、従来の同軸ケーブルの一例を模型的に示す。符号１０は内部導体、２０は絶縁体、３０は外部導体である。４０はシースを示す。
【０００３】
この図２（ａ）の場合は、外部導体３０を、金属（銅又はアルミ）とポリエチレンテレフタレート（商品名：マイラー、以下ＰＥＴという）のラミネートテープの縦添えだけで構成している。金属が外側である。なお、アルミＰＥＴテープは、１００℃付近の高温雰囲気でも用いることができる。
【０００４】
また、図２（ｂ）は、外部導体３０に、金属ＰＥＴテープ３２と編組３４を併用した場合の例である。通常、銅ＰＥＴテープには、軟銅線編組又は錫メッキ軟銅線編組の編組３４を組み合わせる。このようにした同軸ケーブルの使用温度範囲は、−４０℃〜＋６０℃である。
また、アルミＰＥＴテープの場合は、編組３４に錫メッキ軟銅線編組を用いる。このようにした同軸ケーブルの使用温度範囲は、−４０℃〜＋１０５℃である。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
（１）外部導体３０に銅ＰＥＴテープを用いる場合、銅が酸化して、接続部（ケーブル同士間及びケーブルと他の部品間の）における、接触抵抗を増大させる恐れがある。
（２）移動体通信のアンテナ部分等に同軸ケーブルを使用する場合がある。アンテナ等の接地部分に錫メッキがしてあると、従来の金属ＰＥＴテープとの間に、異種金属の接触面が存在することになり、接触抵抗の増大によるＩＭ（ＩｎｔｅｒＭｏｄｕｌａｔｅｏｎ相互変調）の発生が懸念される。
【０００６】
（３）雰囲気温度１００℃付近で使用する場合に、銅の変色が懸念されるため、従来はアルミＰＥＴテープを使用していた。
しかし、銅ＰＥＴテープに比べて導電率が低いため、遮蔽効果の低下と、同軸ケーブルにおける減衰量の増大が問題であった。
（４）また、移動通信のアンテナ部に使用される場合、同軸ケーブルの位相特性の安定性が問題となるので、現在使われているケーブル（一般に外部導体は銅ＰＥＴテープ）よりも、さらに位相定数βが安定している同軸ケーブルが望まれる。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
本発明は、図１に例示するように、前記金属ＰＥＴテープとして、錫めっき銅ＰＥＴテープ３３を用い、この錫メッキ銅ＰＥＴテープ３３を接着剤３３６で絶縁体２０に接着したものである。また、絶縁体２０に架橋発泡ポリエチレンを用いたものである。接着剤３３６にはポリエステル系等の接着剤を用いる。
図１（ａ）に、錫めっき銅ＰＥＴテープ３３を模型的に示す。ＰＥＴ３３０の上に銅３３２の層をラミネートし、その上に錫めっき３３４の層を形成し、ＰＥＴ３３０の下面に接着剤３３６を塗布している。
【０００８】
図１（ｂ）に示す同軸ケーブルにおいては、外部導体３０を、上記接着剤３３６を塗布した錫めっき銅ＰＥＴテープ３３の縦添えのみで構成している。この時、錫メッキ銅ＰＥＴテープ３３の接着剤３３６が架橋発泡ポリエチレンからなる絶縁体２０に接着するようになっている。
また、図１（ｃ）の同軸ケーブルでは、接着剤３３６を塗布した錫めっき銅ＰＥＴテープ３３（縦添え）と錫メッキ軟銅線の編組３４との組合せからなる外部導体３０を設けている。
【０００９】
外部導体３０に錫めっき銅ＰＥＴテープ３３を用いることにより、端末との接触抵抗の低減化が期待される。
図１（ｃ）のように、錫めっき銅ＰＥＴテープ３３を錫メッキ軟銅線の編組３４と共に用いる場合、同一金属である錫が接触することになり、相性がよくなる。
【００１０】
上記のようにアンテナの接地部分に錫メッキしている場合、錫めっき銅ＰＥＴテープ３３を用いることにより、ＩＭの抑制が期待される。
高温雰囲気中においても、錫めっき銅ＰＥＴテープ３３は使用できる。アルミＰＥＴテープを使用していた場合に比べて、遮蔽効果の向上と減衰量の低減化が期待される。
【００１１】
また、絶縁体２０と錫めっき銅ＰＥＴテープ３３とが接着されているため、上記作用効果に加えて、位相特性の安定化という作用効果のあることが、確認されている。
【００１２】
【発明の実施の形態】
図１（ｃ）の構造の同軸ケーブル（本発明品）を試作した。その仕様は次のとおりである。
・内部導体１０：軟銅より線、７本／０．２３ｍｍ、外径０．６９ｍｍ、
・絶縁体２０：架橋発泡ポリエチレン、外径１．８ｍｍ、
・外部導体３０：接着剤３３６を塗布した錫めっき銅ＰＥＴテープ３３＋錫メッキ軟銅線の編組３４、
・シース４０：黒色耐熱ＰＶＣ、厚さ０．４ｍｍ、
・仕上外径：３．０ｍｍ
【００１３】
これと対比するため、図２（ｂ）の従来構造の同軸ケーブル（従来品）を製作した。
この従来品は、外部導体３０を、
・アルミＰＥＴテープ３２十錫メッキ軟銅線の編組３４、
とし、その他の部分は本発明品と同じにした。ただし、アルミＰＥＴテープ３２は絶縁体２０とは接着されていない。
【００１４】
上記試作品の特性を次に示す。
（1）本発明品も従来品も、次の項目は、等値であった。
・絶縁抵抗（最小）：１０ｋＭΩ・ｋｍ
・耐電圧：１０００Ａ．Ｃ．Ｖ／１分間
・静電容量（標準）：８６ｎＦ／ｋｍ
・特性インピーダンス:50±２Ω（１０ＭＨｚ）
【００１５】
（２）しかし、減衰量（標準値）は、次のようであった。
９００ＭＨｚの場合
・本発明品：０．５８ｄＢ／ｍ
・従来品：０．６３ｄＢ／ｍ
１５００ＭＨｚの場合
・本発明品：０．７７ｄＢ／ｍ
・従来品：０．８３ｄＢ／ｍ
【００１６】
以上の結果から、本発明品は、減衰量が従来品と比較して、９００ＭＨｚにおいて７．９％、１５００ＭＨｚにおいて７．２％、それぞれ低減していることが分かる。
【００１７】
本発明品と従来品の各試料ケーブルに、ケーブル外径の１５倍の曲げを１０回加え、その前後での位相変化量を測定した。
試験結果を、次の表１に示す。なお、位相変化量の単位は、ｒａｄ／５ｍである。
【００１８】
【表１】

【００１９】
上記表１のとおり、本発明品を使用することにより、位相安定性において、従来品よりも、７．３〜１１．６％の効果が現れていることが分かる。
【００２０】
【発明の効果】
（１）外部導体に錫めっき銅ＰＥＴテープを用いることにより、端末との接触抵抗の低減化が期待される。
（２）移動体通信等に使用するとき、接触抵抗の低減により、ＩＭの抑制が期待される。
（３）高温雰囲気中においても、錫めっき銅ＰＥＴテープは使用できるので、アルミＰＥＴテープを使用していた場合に比べて、遮蔽効果の向上と減衰量の低減化が期待できる。
（４）同軸ケーブルの電気特性の一つである位相定数の安定化が図られる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明にかかる模型的説明図で、（ａ）は接着剤を塗布した錫めっき銅ＰＥＴテープ３３を示し、（ｂ）は外部導体３０を錫めっき銅ＰＥＴテープのみで構成したケーブルを示し、（ｃ）は遮蔽層外部導体３０を錫めっき銅ＰＥＴテープ３３と編組３４により構成したケーブルを示す。
【図２】従来技術にかかる模型的説明図で、（ａ）は外部導体）３０を金属ＰＥＴテープのみで構成したケーブルを示し、（ｂ）は外部導体３０を金属ＰＥＴテープ３２と編組３４により構成したケーブルを示す。
【符号の説明】
１０・・内部導体、２０・・絶縁体、３・・外部導体、３２・・金属ＰＥＴＰテープ、３３・・錫めっき銅ＰＥＴテープ、３３０・・ＰＥＴ、３３２・・銅、３３４・・錫、３３６・・接着剤、３４・・編組、４０・・シース

Claims

内部導体上に絶縁体と外部導体を設け、外部導体に金属ＰＥＴテ−プを単独に用いるか、あるいは当該金属ＰＥＴテープと編組とを組み合わせて用いた同軸ケーブルにおいて、
前記絶縁体が、架橋発泡ポリエチレンからなり、
前記金属ＰＥＴテープとして、錫めっき銅ＰＥＴテープを用い、これを絶縁体に接着したことを特徴とする同軸ケーブル。