JP3614551B2 - 光学素子の製造方法及び光学素子成形用回転非対称型の製造方法 - Google Patents
光学素子の製造方法及び光学素子成形用回転非対称型の製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学機器に用いられる非球面レンズ等の光学素子の製造方法及びそれに適する回転非対称型の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、光ディスクや光磁気ディスク用の光ヘッドは、ディスクの記録面上をトラッキングするために、常にディスクの半径方向に駆動される。従って、ほとんどの場合、ディスクの記録面上のデータを読み出したり、記録面上にデータを書込むのに、対物レンズの軸外領域が使用される。しかしながら、軸外領域におけるレンズの光学性能は、軸外領域において非点収差が増加するため、近軸領域における光学性能と比較して劣っている。さらに、光源として用いられる半導体レーザーからの光は非点隔差を有する。また、ディスクの記録面により反射された光を光検出器に集光するための第2のレンズも非点収差を有する。そのため、光ヘッドの記録再生性能はさらに劣化してしまう。
【0003】
そのため、光ヘッドの性能を向上させるために種々の方法が提案されている。第1の従来例として、例えば特開平5−107467号公報には、少なくとも回転非対称な光学機能面を有する対物レンズが提案されている。対物レンズの光学機能面を回転非対称に形成することにより、光軸上の収差に非点収差成分を発生させることができる。対物レンズの方向は、回転非対称面により発生される非点収差により、上記半導体レーザや第2のレンズによる収差を相殺させるように調整される。また、第2の従来例として、光学素材を直接研磨して加工する方法が知られている。
【0004】
第3の従来例として、例えば米国特許第5,015,280号に、プレス成形による光学素子の製造技術が提案されている。プレス成形方法は、型形状を光学素材に転写する工法である。それゆえ、もし型を高精度に加工できれば、所望の光学素子を容易に製造することができる。製造されるべき光学素子が回転対称非球面レンズ等のように回転対称である場合、型は超精密CNC制御工作機械を用いて形成することができる。型は光軸を中心として回転され、研削あるいは切削工具はレンズの断面形状となる非円弧の軌跡で送り運動される。これにより、約0.1μmの形状精度で、比較的容易に型を製造することができる。
【0005】
第4の従来例として、例えば特開平5−107467公報には、回転対称形状の型を用いて、成形条件を制御することにより非点収差を発生させる方法が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記第1の従来例のように回転非対称な光学素子を製造することは、実際問題として非常に困難である。また、第2の従来例である直接研磨法では、ガラス等の光学素材と砥石を相互に揺動させ、擦り合わせて研磨するため、必然的に平面かあるいは球面形状しか加工することができない。従って、従来の直接研磨法では、回転非対称形状の光学素子を製造することができないという問題点を有する。
【0007】
第3の従来例では、製造されるべき光学素子が回転非対称な光学機能面を有する場合、型を製作する加工機は非常に複雑で、高精度でかつ高価なものとなる。すなわち、例えば型の回転角度を検知するためにエンコーダを加工機の主軸に取り付け、型の回転角度を測定しながら、型又は主軸の1回転中に、工具の前進後退を高精度に制御しながら、繰り返し行わなければならない。さらに、この加工により形成された型の形状精度を確保することは困難である。また、工具の位置を型又は主軸の回転に追従させるために主軸を非常にゆっくりと回転させなければならず、型の加工時間が長くなってしまうという問題点を有する。
【0008】
第4の従来例では、成形温度、温度勾配、成形圧力、成形素材形状等を高精度に制御管理しなければならない。さらに、光学素子の量産において歩留まりを確保することは困難であり、また、レンズの非点収差の方向が定まらないという問題点を有する。
【0009】
以上のように、従来の製造方法では、回転非対称形状の光学素子を製造することは困難であった。本発明の目的は、非回転対称形状の光学機能面を有する光学素子を容易に製造する方法及びそれに適する型の製造方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の光学素子の製造方法は、光学素材を一対の型の間に配置し、前記光学素材及び前記型を所定の温度に加熱し、前記型をプレスすることにより前記型の光学機能面の形状を前記光学素材の表面に転写する光学素子の製造方法であって、前記型の少なくとも1つの光学機能面は回転非対称な曲面であり、前記回転非対称形状は型母材の回転対称な面を不均一にエッチングすることにより形成される。
【0011】
上記構成において、前記型の回転非対称形状はドライエッチング法により形成され、前記ドライエッチング法はマスクを前記型母材の回転対称表面に接する位置又は回転対称表面から上方に離れた位置に配置した状態で、前記型母材の回転対称表面にイオンビーム又はラジカルビームを照射することにより行うことが好ましい。
【0012】
または、上記構成において、前記型の回転非対称形状はウエットエッチング法により形成され、前記ウエットエッチング法はエッチングされるべき所定形状の部分を除いて少なくとも前記型母材の回転対称表面にレジスト膜を形成し、少なくとも前記型母材の回転対称表面をエッチング溶液に浸すことにより行うことが好ましい。
【0013】
上記各構成において、前記型の回転非対称形状がトーリック面又はシリンドリカル面であることが好ましい。
また、上記各構成において、前記回転非対称形状は、光学素子に転写された際に、軸上波面収差の非点収差成分を生じる形状であることが好ましい。
また、上記各構成において、前記型の回転非対称表面に保護膜を均一に形成することが好ましい。
【0014】
一方、本発明の別の光学素子の製造方法は、光学素材を一対の型の間に配置し、前記光学素材及び前記型を所定の温度に加熱し、前記型をプレスすることにより前記型の光学機能面の形状を前記光学素材の表面に転写する光学素子の製造方法であって、前記型の少なくとも1つの光学機能面は回転非対称な曲面であり、前記回転非対称形状は型母材上に形成された保護膜の回転対称な面を不均一にエッチングすることにより形成される。
【0015】
上記構成において、前記型の回転非対称形状はドライエッチング法により形成され、前記ドライエッチング法はマスクを前記型母材上の保護膜の回転対称表面に接する位置又は回転対称表面から上方に離れた位置に配置した状態で、前記保護膜の回転対称表面にイオンビーム又はラジカルビームを照射することにより行うことが好ましい。
【0016】
または、上記構成において、前記型の回転非対称形状はウエットエッチング法により形成され、前記ウエットエッチング法はエッチングされるべき所定形状の部分を除いて、少なくとも前記型母材の表面に形成された保護膜の回転対称表面にレジスト膜を形成し、少なくとも前記型母材の回転対称表面をエッチング溶液に浸すことにより行うことが好ましい。
【0017】
上記各構成において、前記型の回転非対称形状がトーリック面又はシリンドリカル面であることが好ましい。
また、上記各構成において、前記回転非対称形状は、光学素子に転写された際に、軸上波面収差の非点収差成分を生じる形状であることが好ましい。
【0018】
また、本発明のさらに別の光学素子の製造方法は、光学素材を一対の型の間に配置し、前記光学素材及び前記型を所定の温度に加熱し、前記型をプレスすることにより前記型の光学機能面の形状を前記光学素材の表面に転写する光学素子の製造方法であって、前記型の少なくとも1つの光学機能面は回転非対称であり、前記回転非対称形状は型母材の回転対称表面に膜を不均一に成膜することにより形成される。
【0019】
上記構成において、前記型の回転非対称形状は、スパッタリング法、PVD(physical vapor deposition)法及びCVD(chemical vapor deposition)法から選択されたいずれかの方法により形成され、前記方法はマスクを前記型母材の回転対称面に接する位置又は回転対称面から上方に離れた位置に配置した状態で、前記型母材の回転対称面に粒子を照射することにより行うことが好ましい。
【0020】
また、上記各構成において、前記型の回転非対称形状がトーリック面又はシリンドリカル面であることが好ましい。
また、上記各構成において、前記回転非対称形状は、光学素子に転写された際に、軸上波面収差の非点収差成分を生じる形状であることが好ましい。
【0021】
一方、本発明の光学素子成形用回転非対称型の製造方法は、マスクを型母材の回転対称な曲面に接する位置又は回転対称な曲面から上方に離れた位置に配置し、前記型母材の回転対称な曲面にイオンビーム又はラジカルビームを照射することにより前記型母材の回転対称な曲面を不均一にエッチングする。
【0022】
また、本発明の別の光学素子成形用回転非対称型の製造方法は、エッチングされるべき所定形状の部分を除いて、少なくとも型母材の回転対称表面にレジスト膜を形成し、少なくとも前記型母材の回転対称表面をエッチング溶液に浸すことにより前記型母材の回転対称表面を不均一にエッチングする。
【0023】
本発明のさらに別の光学素子成形用回転非対称型の製造方法は、マスクを型母材上に形成された保護膜の回転対称な曲面に接する位置又は回転対称な曲面から上方に離れた位置に配置し、前記保護膜の回転対称な曲面にイオンビーム又はラジカルビームを照射することにより前記保護膜の回転対称な曲面を不均一にエッチングする。
【0024】
本発明のさらに別の光学素子成形用回転非対称型の製造方法は、エッチングされるべき所定形状の部分を除いて、少なくとも型母材上に形成された保護膜の回転対称表面にレジスト膜を形成し、少なくとも前記保護膜の回転対称表面をエッチング溶液に浸すことにより前記保護膜の回転対称表面を不均一にエッチングする。
【0025】
上記各構成において、前記型の回転非対称形状がトーリック面又はシリンドリカル面であることが好ましい。
また、上記各構成において、前記回転非対称形状は、光学素子に転写された際に、軸上波面収差の非点収差成分を生じる形状であることが好ましい。
【0026】
本発明のさらに別の光学素子成形用回転非対称型の製造方法は、型母材の回転対称表面に膜を不均一に成膜する。
上記構成において、前記型の回転非対称形状は、スパッタリング法、PVD(physical vapor deposition)法及びCVD(chemical vapor deposition)法から選択されたいずれかの方法により形成され、前記方法はマスクを前記型母材の回転対称面に接する位置又は回転対称面から上方に離れた位置に配置した状態で、前記型母材の回転対称面に粒子を照射することにより行うことが好ましい。
また、上記各構成において、前記型の回転非対称形状がトーリック面又はシリンドリカル面であることが好ましい。
また、上記各構成において、前記回転非対称形状は、光学素子に転写された際に、軸上波面収差の非点収差成分を生じる形状であることが好ましい。
【0027】
さらに、型母材を直接エッチングする場合には、前記型の回転非対称表面に保護膜を均一に形成することが好ましい。
【0028】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
本発明の光学素子の製造方法及びそれに適する型の製造方法の第1の実施形態について、図1から図5及び図12及び図13を参照しつつ説明する。本発明の方法により製造されるべき光学素子50は、例えば非球面レンズであり、図12に示す。光学素子50の光学機能面51は回転非対称非球面であり、垂直な陵線52及び水平な陵線53を有する。垂直方向の曲率半径と水平方向の曲率半径とは異なる。それゆえ、陵線52及び53はそれぞれ2つの異なった点に焦点を結ぶ。光学素子50はその軸上において非点収差を有する。光学素子50は、一対の型の間に配置された光学素材をプレス成型することにより、製造される。少なくとも型の1つは回転非対称非球面を有し、回転非対称非球面は光学素材の表面に転写される。それゆえ、光学素子50の光学機能面51が形成される。
【0029】
次に、回転非対称非球面を有する型の製造方法について説明する。図1に示すように、中間組み立て体100は型母材1と、マスク4とマスク治具7を具備する。型母材1は、タングステン(W)及びカーボン(C)を主成分とする超硬合金で出来ている。型表面の傷付きや成形時の光学素材の融着を防ぐために、型母材1の表面1a上に保護膜2を形成してもよい。マスク4は、マスク治具7を介して型母材1の表面1a又は保護膜2の表面3よりも上方に所定距離だけ離れた位置に配置されている。アルゴン(Ar)イオンビーム6は、型母材1の表面1a又は保護膜2の表面3をエッチングするために、マスク4の上方から下方に照射される。型母材1は、型製造工程が完了した時点で、回転非対称非球面を有する型となる。
【0030】
型母材1の表面1aには、従来の回転対称非球面を形成するための方法により、あらかじめ回転対称な非球面が形成されている。型母材1は、製造されるべき光学素子の光軸に対応する軸を中心として回転される。そして、研削砥石と型母材の接する加工点が光学素子50の所定方向、例えば図12の陵線52に沿った非円弧の断面形状を描くように、砥石を送り運動させる。この加工法により加工された型母材1の形状精度は±0.1μm程度であった。型母材1の表面1aに保護膜2を形成する場合、プラチナ−イリジウム(Pt−Ir)合金等の保護膜をスパッタ法により厚さ3μmで成膜する。
【0031】
図2から明らかなように、斜線部は型母材1のマスク4により遮へいされている部分である。例えば、エッジ部を含めた型母材1の成形面の直径は5mmであり、表面1a又は3の直径は4mmである。矩形開口5の大きさは5mm×2mmであり、各開口5は1mmの間隔をおいて平行に配置されている。
【0032】
次に、図1に示す上記中間組み立て体100を図4に示すエッチング装置に配置する。第1の実施形態では、ECR(electron cyclotron resonance)イオンビームエッチング装置を用いている。エッチング装置は、エッチング室9と、中間組み立て体100が装着されるステージ10と、エッチング室9の上端部に設けられたイオンビーム加速電極11と、エッチング室9の上に設けられたイオン銃13を具備する。
【0033】
中間組み立て体100がステージ10に装着されると、エッチング室9の内部が真空となるように空気が除去される。その後、アルゴン(Ar)ガスを、ガス導入バルブ14を介してイオン銃13内に導入し、プラズマ12を発生させる。イオン加速電極11はプラズマ12からArイオンを引きだし、イオンビーム6を中間組み立て体100に照射する。型母材1の表面1a又は保護膜2の表面3の原子又は分子は、飛来してきたイオンの衝突により、弾き飛ばされる。それにより、型母材1の表面1a又は保護膜2の表面3のエッチング加工が行われる。
【0034】
第1の実施形態において、中間組み立て体100の最大直径は15mmであった。エッチング室9内のステージ10上に7つの中間組み立て体100を装着した。イオン銃13からのイオンビーム束の直径は60mmであった。マスク4は、型母材1の表面1a又は保護膜2の表面3から10mm離した。エッチング条件は以下の通りである。導入Arガスの圧力0.09Pa、イオンビーム6の加速電圧800V、イオンビーム6の電流密度1.0mA/cm2、イオンビーム6の照射時間3分であった。
【0035】
型1個当たりの加工に要した時間は、中間組み立て体100の組み立て時間、中間組み立て体100をエッチング室9内にセッティングする時間及びエッチング室9の内部を真空にするために空気を引く時間を含めて、約90分(1時間半)であった。もし、イオンビーム束の直径を更に大きくすることができれば、多数の型を効率的に製造することができる。
【0036】
以上のようにして形成された型の断面形状を、図2及び図3に示すX軸及びY軸方向に測定した。測定結果を図5に示す。図5において、横軸は型中心から測定点までの距離を表し、縦軸は測定点におけるエッチングする前の回転対称な形状とエッチング後の回転非対称な形状とのずれ量を型の中心を0として表したものである。図5から明らかなように、型母材1の表面1a又は保護膜2の表面3のY軸に沿った領域はマスク4で蔽われ、イオンビーム6により均一にエッチングされるので、Y軸方向の型の断面形状はエッチング前の回転対称な形状から変化していない。一方、X軸方向に型の中心から離れた領域は中心部分よりも多くイオンビーム6にさらされるので、X軸方向の型の断面形状は中心から周辺部に向かってゆるやかに傾斜している。その結果、エッチング後の型母材1の表面1a又は保護膜2の表面3の表面形状は、例えばトーリック面のような回転非対称となる。X軸方向の型の全体的な曲率半径は、Y軸方向の型の曲率半径よりも大きくなる。
【0037】
さらに、回転対称な表面を有する別の型を、従来の方法によりあらかじめ用意しておく。図13に示すように、例えばガラスや樹脂等の光学素材60を型61と62の間に配置する。型61と62のいずれか一方は、上記エッチング方法により形成された回転非対称面を有し、他方は従来の方法で形成された回転対称面を有する。型61及び62と光学素材60は、少なくとも光学素材60の表面が軟化する所定の温度に加熱される。型61及び62は、型61及び62の表面形状が光学素材60の表面に転写されるように、所定の圧力でプレスされる。その後、型61及び62と光学素材60は冷却され、回転非対称な光学機能面51を有する非球面レンズである光学素子50が得られる。
【0038】
第1の実施形態において、外周部におけるX軸方向の型の断面形状の最大ずれ量を0.15μmとした。上記エッチング工程を5回繰り返し、合計で35個の型を製作した。型の形状誤差は、設計ずれ量0.15μmに対して±0.02μmであった。
【0039】
プレス成型工程を繰り返し、同一型で1000個のレンズを成形した。光学素材として光学ガラスSF8を用いた。上記型を用いて成型した光学素子50は、例えばトーリック面等の回転非対称な光学機能面51を有するので、光学素子50は非点収差を発生する。光学素子50の光学性能を測定したところ、各光学素子50はほぼ同じ方向にほぼ同じ量の非点収差を発生させた。非点収差の平均値は30mλ(mλ:用いられる光源の波長の1/1000)であり、光ディスク装置用光ヘッドの対物レンズとして適度な値であった。その上、光学素子50全体の波面収差も良好であった。この光学素子50を用いて光ヘッドを組み立てた。光学素子50は、回転非対称非球面による軸上非点収差によって光ディスクの半径方向の軸外非点収差が相殺されるように取り付けられている。第1の実施形態の光学素子50を用いた光ヘッドによる光ディスクの再生特性は、従来の回転対称形状のレンズを用いた従来の光ヘッドを用いた再生特性よりも優れていた。
【0040】
マスク4の開口5の形状、マスク4と型母材1の表面1a又は保護膜2の表面3との距離、エッチング条件及びエッチング量を制御することにより、所望の回転非対称形状を型に形成することができる。それにより、所望する非点収差を発生させる光学素子を得ることができる。
【0041】
第1の実施形態では、型母材又はその表面の保護膜をエッチングするためにアルゴンイオンを照射したが、他のイオンやラジカルを用いたドライエッチング法であっても、同様の形状を得ることができる。さらに、保護膜2を形成する場合、エッチング処理の前に型母材1の表面1aに保護膜2を形成し、保護膜2の表面3をエッチングしたが、保護膜2を形成する前に型母材1の表面1aを回転非対称にエッチングし、そのあと保護膜2を均一に形成してもよい。さらに、マスクを用いずに、型母材1の表面1a又は保護膜2の表面3をイオンビームを操作(scanning)させることによりエッチングを行ってもよい。
【0042】
(第2の実施形態)
本発明の光学素子の製造方法及びそれに適する型の製造方法の第2の実施形態について、図6から図8を参照しつつ説明する。第2の実施形態において、製造されるべき光学素子の形状及び型を用いた光学素子の製法工程は第1の実施形態の場合と実質的に同じである。しかしながら、回転非対称非球面を有する型の製造方法が異なる。
【0043】
図6に示すように、開口23及び24を除いて型母材20の全面がレジスト膜22により蔽われている。開口23は、型母材20の表面21に対向するように形成されている。マークを形成するための開口24は、表面21のエッジ部21aに対向するように形成されている。レジスト膜22を有する型母材20はエッチング溶液25に浸されている。それゆえ、型母材20の表面21は回転非対称形状にエッチングされる。型母材20は、クロム合金ステンレス工具鋼でできている。
【0044】
型母材20の表面21は、従来の方法により、大まかに回転対称非球面形状に形成されている。少なくとも型母材20の表面21には無電解ニッケルメッキ膜(図示せず)が施されている。さらに、型母材20の表面21上のニッケルメッキ膜は超精密旋盤を用いてダイヤモンド工具により切削される。それゆえ、型母材20上の表面21上のニッケルメッキ膜は、例えば図12に示す陵線52に沿った光学素子50の断面形状に正確に一致するように回転対称非球面に仕上げられる。エッチング溶液25としては、硫酸の5倍希釈液を用いた。
【0045】
例えば、型母材20の表面21の半径は2mmであり、平坦なエッジ部21aの幅は1mmであった。従って、エッジ部を含む型母材20の成型面の全半径は3mmであった。開口23及び24を除く型母材20の全表面は、エッチング溶液25によってエッチングされないように、レジスト膜22により蔽われている。開口23は図7に示す軸Yに沿って配置されている。開口23の幅は1mmであり、長さは約4mmであった。開口24は軸Yと直交する軸X上に設けられている。開口24の直径は0.6mmであった。
【0046】
エッチング溶液25は、直径約200mmのガラス容器に満たされ、40℃に保温されている。最大直径16mmのレジスト膜で蔽われた型母材20を40個樹脂成のかごに並べ、5分間エッチング溶液25に浸した。その後、かごをエッチング液25から引き上げ、純水で洗浄した。その結果、型母材20の表面21上のニッケルメッキ膜は回転非対称にエッチングされた。
【0047】
上記方法により形成された型の断面形状を図7に示すX軸及びY軸方向に測定した。測定結果を図8に示す。図8において、横軸は型中心から測定点までの距離を表し、縦軸は測定点におけるエッチング前の回転対称な形状とエッチング後の回転非対称な形状とのずれ量を型の中心を0として表したものである。図8から明らかなように、型母材20の表面21上のニッケルメッキ膜のY軸方向の中心部分はレジスト膜22で蔽われておらず、エッチング液25によりにより均一にエッチングされるので、Y軸方向の型の断面形状はエッチング前の回転対称な形状から変化していない。一方、X軸方向の表面21上のニッケルメッキ膜の周辺部はレジスト膜22で蔽われており、型の中心部分は周辺部分よりもエッチング液により多くエッチングされるため、X軸方向の型の断面形状において、周辺部分は中心部分に対して相対的に約0.1μm高くなっている。さらに、図8の距離(半径)−2から−3の部分において、開口24に対向する位置に凹みが形成されている。その結果、型表面の形状は、例えばトーリック面の様な回転非対称となる。X軸方向の型の曲率半径は、Y軸方向の型の曲率半径よりも相対的に小さくなる。
【0048】
上記方法により形成された40個の型の形状を測定したところ、X軸方向の型の断面形状の形状誤差は、平均ずれ量0.1μmに対して−0.02μmから+0.03μmの範囲内であり、ばらつきは小さかった。
【0049】
なお、光学素子の成型時における型表面の傷付きや光学素材の融着を防ぐために、プラチナ−タンタル(Pt−Ta)合金の保護膜をスパッタリング法により、型の回転非対称面に、厚さ2μmの保護膜を形成した。
【0050】
さらに、回転対称非球面を有する他の型を用意しておく。図13に示す第1の実施形態と同様に、ポリカーボネイト樹脂製の光学素材60を型61と62の間に配置する。型61と62のいずれか一方は上記エッチング方法により形成された回転非対称面を有し、他方は従来の方法で形成された回転対称面を有する。光学素材60及び型61及び62を所定の温度に加熱した後、型61と62を所定の圧力でプレスした。その後、光学素材60及び型61及び62を冷却した。この様にして、光学素子50が得られた。
【0051】
このようなプレス成型工程を繰り返すことにより、同一型で1000個のレンズを成形した。図13に示すように、上記型を用いたプレス成型により製造した光学素子50はトーリック面等の回転非対称光学機能面51を有するので、光学素子50は非点収差を発生する。光学素子50の光学性能を測定したところ、各光学素子50はほぼ同じ方向にほぼ同じ量の非点収差を発生させた。非点収差の平均値は25mλ(mλ:用いられる光源の波長の1/1000)であり、光ディスク装置用光ヘッドの対物レンズとして適度な値であった。その上、光学素子50全体の波面収差も良好であった。この光学素子50を用いて光ヘッドを組み立てた。図7及び図8に示すように、回転非対称の方向を示すマークを検出することにより、光学素子の位置決めを行った。第2の実施形態では、実際に非点収差を測定する必要がないので、光学素子50が光ヘッドに装着される際に、最適な光学性能を有する方向に光学素子50を容易に取り付けることができる。第2の実施形態の光学素子50を用いた光ヘッドによる光ディスクの再生特性は、従来の回転対称形状の型によって成形したレンズを用いた従来の光ヘッドを用いた再生特性よりも優れていた。
【0052】
レジスト膜22の開口23の形状、エッチング条件及びエッチング量を制御することにより、所望の回転非対称形状を型に形成することができる。それにより、所望する非点収差を発生させる光学素子を得ることができる。さらに、エッチング工程は図6に示す例に限定されない。表面21を含む型母材20の一部分だけをエッチング溶液に浸してもよい。この場合、レジスト膜22は型母材20の表面21近傍のみに設ければよい。エッチング溶液25の成分は、型母材20の材料をエッチングできるものであればよい。第2の実施形態では、型母材20の表面21上のニッケルメッキ膜をエッチングするために硫酸を用いたが、型母材又はその表面の保護膜をエッチングできるものであれば、他のものを用いてもよい。また、第2の実施形態では型母材20の表面21上のニッケルメッキ膜をエッチングしたが、型母材20の表面21を直接エッチングしてもよい。
【0053】
(第3の実施形態)
本発明の光学素子の製造方法及びそれに適する型の製造方法の第3の実施形態を、図9から図11を参照しつつ説明する。第3の実施形態において、製造されるべき光学素子及び型を用いた光学素子の製造工程は第1の実施形態と実質的に同じである。しかしながら、回転非対称非球面を有する型の製造方法が第1の実施形態とは異なる。第3の実施形態においては、回転非対称な型の形成方法としてスパッタリング法を用いている。
【0054】
図9に示すように、中間組み立て体200は型母材30と、マスク33とマスク治具35を具備する。マスク33は型母材30の上方にマスク治具35を介して配置されている。スパッタ粒子36は、マスク33の上方から下方に向かって飛来し、型母材30の表面に膜31を形成する。型母材30はアルミナを主成分とするサーメットでできている。
【0055】
スパッタリング工程に先立って、従来の方法により、型母材30の表面30aに回転対称非球面を形成する。型母材30を成形されるべき回転非対称非球面レンズ等の光学素子の光軸に対応する軸を中心として回転させる。研削砥石は、砥石と型母材の接する加工点が、光学素子50の所定方向、例えば図12の陵線52に沿った非円弧断面形状を描くように送り運動される。
【0056】
図10に示すように、斜線部はマスク33により型母材30を遮蔽している部分である。例えば、型母材30の表面30aの直径は6mmであり、矩形開口34の大きさは6mm×4mmであった。マスク33と型母材30の表面30aとの距離は5mmであった。
【0057】
次に、14個の中間組み立て体200をスパッタリング装置の直径約100mmのホルダ上に配列し、スパッタリング装置の内部の空気を引いて真空にした。その後、アルゴン(Ar)ガスをスパッタリング装置内に導入した。アルゴンガスの圧力を0.13Paとし、RFパワー100Wで放電を発生させた。Pt−Reをターゲットとして、スパッタリングを60分間行った。その結果、不均一な厚さを有する膜31が、回転非対称となるように型母材30の表面30a上に形成された。第3の実施形態では、膜31の材料はスパッタリング法により形成されたプラチナ−レニウム(Pt−Re)合金である。この膜31は、傷付きや成形時の光学素材融着を防ぐための保護膜としても機能する。型の中心部分における膜31の厚さは2μmであった。また、X軸方向に型の中心から2.5mm離れた位置における膜31の厚さは1.87μmであった。最初の回転対称な形状からのX軸方向における型の断面形状の変位量は0.13μmであった。型の形状誤差は平均変位量0.13μmに対して±0.02μmであった。
【0058】
図10に示すX軸及びY軸方向の型の断面形状を測定した。測定結果を図11に示す。図11において、横軸は型中心から測定点までの距離を表し、縦軸は測定点における型母材30の表面30a上に形成されたオリジナルの回転対称な形状と膜31の表面32とのずれ量を型の中心を0として表したものである。図11から明らかなように、Y軸方向における型母材30の表面30aの中心部分はマスク33により蔽われておらず、膜31がその上に均一に形成されるため、Y軸方向の型の断面形状は型母材30の表面30aの最初の形状から変化していない。一方、X軸方向における型母材30の外周部近傍はマスク33により蔽われており、型母材30の表面30aの中心部近傍に付着する粒子の量は周辺部に付着する粒子の量よりも多いため、X軸方向における型の断面形状は中心部から外側に向かって緩やかに傾斜する形状になる。その結果、型母材30上の膜31の表面32に対応する型の表面形状は、例えばトーリック面等の回転非対称となる。X軸方向の加担曲率半径は、全体としてY軸方向の曲率半径よりも大きくなる。
【0059】
さらに、回転対称非球面を有する別の型を用意し、図13に示す第1の実施形態と同様に、型61と62の間に光学ガラスVC79でできた光学素材60を配置した。型61及び62の一方は上記スパッタリング法により形成された回転非対称非球面を有し、他方は従来の方法により形成された回転対称非球面を有する。光学素材60及び型61及び62を所定の温度に加熱し、型61及び62を所定の圧力でプレスした。その後、光学素材60及び型61及び62を冷却した。このようにして、光学素子50が得られた。
【0060】
この様なプレス成型工程を繰り返し、同じ型で1000個の光学素子を製造した。上記型により成型された光学素子50は、例えばトーリック面等の回転非対称光学機能面51を有するので、光学素子50は非点収差を発生する。光学素子50の光学性能を測定したところ、各光学素子50はほぼ同じ方向にほぼ同じ量の非点収差を発生した。非点収差の平均値は25mλ(mλ:用いられる光源の波長の1/1000)であり、光ディスク装置用光ヘッドの対物レンズとして適度な値であった。そのうえ、光学素子50全体の波面収差も良好であった。この光学素子50を用いて光ヘッドを組み立てた。光学素子50は、回転非対称非球面によって光磁気ディスクの半径方向の軸外非点収差が相殺されるように取り付けられている。第3の実施形態の光学素子50を用いた光ヘッドによる光磁気ディスクの再生特性は、従来の回転対称形状のレンズを用いた従来の光ヘッドの再生特性よりも優れていた。
【0061】
マスク33の開口34の形状、マスク33と型母材30の表面30aとの距離、スパッタリング条件及び型母材30の表面30aに付着する粒子の量等を制御することにより、所望の回転非対称形状を型に形成することができる。それにより、所望する非点収差を発生させる光学素子を得ることができる。
【0062】
第3の実施形態では、膜31を形成する方法としてスパッタリング法を用いたが、PVD(physical vapor deposition)法やCVD(chemical vapor deposition)法を用いてもよい。また、保護膜を兼ねる膜31を回転非対称に形成したが、中間層を回転非対称に形成し、中間層の上に保護膜を均一に形成してもよい。
【0063】
上記第1、第2及び第3の各実施形態において、図2、図7及び図10の各平面図に示すように、型母材1、20及び30は型全体が回転対称形であるが、型母材の形状は必ずしも回転対称形には限定されない。例えば光学機能面が形成される表面が回転対称であれば、型母材の他の部分、例えば成形面の外周部、型の首あるいはツバ等の光学機能面が形成される部分以外の形状については、矩形断面等の回転非対称形であってもよい。
【0064】
さらに、上記各実施形態において、型又は保護膜の表面1a、3、21及び30aの形状はそれぞれY軸に対して対称であるが、本発明を軸非対称な光学機能面を形成するために応用することができる。マスク4及び33、マスク治具7及び35の構成は上記図示した実施形態には限定されず、エッチング粒子又は成膜粒子を遮蔽し得るものであればよい。
【0065】
【発明の効果】
以上のように、本発明の光学素子の製造方法は、光学素材を一対の型の間に配置する工程と、光学素材及び型を所定の温度に加熱する工程と、光学素材の表面に型の形状を転写するために型を押圧する工程を具備し、型の少なくとも1面は回転非対称である。この方法によれば、型の回転非対称形状が光学素子の表面に転写されるので、同一の光学的性能を有する光学素子を大量生産することが可能になる。
【0066】
また、型の回転非対称形状は、型母材又はその表面に設けられた保護膜の回転対称な表面を不均一にエッチングすることにより、または、型母材の回転対称な表面上に不均一に膜を堆積させることにより形成されるので、特別なそして高価な加工機を用いることなく、型の製造が容易になる。また、表面に回転対称な形状を有する型母材は、従来の切削又は研削方法により容易に形成することができる。さらに、エッチング処理又は成膜処理において、エッチングレート又は成膜レートが安定しているので、その加工量を容易に制御することができる。それゆえ、型母材の最初の回転対称形状を損なうことなく、型の回転非対称形状を正確に形成することができる。
【0067】
また、型の回転非対称形状を、型母材等の回転対称な表面上又は回転対称な表面から上に離れた位置にマスクを配置する工程と、マスクを通して型母材等の回転対称な表面にイオン又はラジカルを照射する工程を有するドライエッチング処理により形成するか、または、エッチングされるべき所定形状の部分を除く少なくとも型母材等の回転対称な表面にレジスト膜を形成する工程と、少なくとも型母材等の回転対称な表面をエッチング液中に浸す工程を有するウエットエッチング処理により形成することにより、従来より行われているエッチング処理技術を応用することができる。その結果、新たに特殊な装置や技術を用いることなく、比較的容易に回転非対称な型を得ることができる。
【0068】
また、上記型母材の回転対称な表面上に不均一に膜を堆積させる方法において、型の回転非対称形状は、型の回転対称な表面上又は回転対称な表面から上に離れた位置にマスクを配置する工程と、型母材の回転対称な表面に粒子を照射する工程を有する、スパッタリング法、PVD(physical vapor deposition)法及びCVD(chemical vapor deposition)法から選ばれたいずれかの方法により形成することができ、従来より行われている成膜技術を応用することができる。特に、従来の方法では製作が困難であったトーリック面又はシリンドリカル面を型の表面に形成することが可能となる。さらに、エッチング処理又は成膜処理により、多数の型を同時に形成することができる。それゆえ、型1個当たりの形成に要する時間を短くし、また型1個当たりのコストを低減させることができる。
【0069】
また、マスクを通して型母材の表面をエッチングする又は型母材の表面に膜を形成する方法において、型母材の光学機能面は、マスクの開口部の形状及び/又は型母材の光学機能面に対する光学機能面の位置を調節することにより、所望の形状に形成することができる。さらに、成膜法は、従来から行われている型の光学機能面への保護膜や離型膜の形成工程に適用することが可能であり、型の製造工程数を増やすことなく回転非対称な型を形成することができる。
【0070】
さらに、型の回転非対称な形状は、この回転非対称な形状が光学素子に転写された場合に、軸上波面収差に非点収差成分を発生させるように構成されているので、上記方法により製造された少なくとも1つの回転非対称光学機能面を有する非球面レンズ等の光学素子は、軸上の波面収差に非点収差成分を発生させることができる。それゆえ、ほぼ同じ方向にほぼ同じ量の非点収差を発生させる光学素子を量産することができる。
【0071】
また、光学素子の回転非対称光学機能面により発生される非点収差の方向を検出し、光学素子の(取り付け)方向をマーキングすることにより、そのマークを光学装置の所定の位置に位置決めすることにより光学素子を容易に装着することができる。それゆえ、非点収差をモニターしながら光軸に対する光学素子の方向を調節することを省略することができる。さらに、型のエッジ部分にマークに対応する凹凸形状を形成すれば、光学素子の製造と同時に光学素子のエッジ部にマークを形成することができる。それゆえ、回転非対称な光学機能面により発生される非点収差の方向の検出を省略することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光学素子の製造方法及びそれに適する型の製造方法の第1の実施形態において用いられる型を形成する方法及び中間組み立て体を示す断面図
【図2】第1の実施形態における型母材とマスクの形状及び相対位置を示す図1に示した中間組み立て体の平面図
【図3】第1の実施形態において形成された型の形状を示す斜視図
【図4】型を形成するために第1の実施形態で用いられるエッチング装置を示す側部断面図
【図5】第1の実施形態における図2及び図3の軸X及びY方向のエッチング後の型の断面形状に対応するデータを示すグラフ
【図6】本発明の光学素子の製造方法及びそれに適する型の製造方法の第2の実施形態において用いられる型を形成する方法を示す側部断面図
【図7】第2の実施形態における型母材とマスクの形状及び相対位置を示す型母材の中間段階の平面図
【図8】第2の実施形態における図7の軸X及びY方向のエッチング後の型の断面形状に対応するデータを示すグラフ
【図9】本発明の光学素子の製造方法及びそれに適する型の製造方法の第3の実施形態において用いられる型を形成する方法及び中間組み立て体を示す側部断面図
【図10】第3の実施形態における型母材とマスクの形状及び相対位置を示す図9に示した中間組み立て体の平面図
【図11】第3の実施形態における図10の軸X及びY方向の成膜後の型の断面形状に対応するデータを示すグラフ
【図12】本発明の方法により製造される光学素子を示す斜視図
【図13】本発明の光学素子の製造方法のプレスモールディング工程を示す側部断面図
【符号の説明】
1 :型母材
1a:型母材表面
2 :保護膜
3 :保護膜表面
4 :マスク
5 :矩形開口
6 :イオンビーム
7 :マスク治具
9 :エッチング室
10 :ステージ
11 :イオンビーム加速電極
12 :プラズマ
13 :イオン銃
14 :導入バルブ
20 :型母材
21 :型母材表面
22 :レジスト膜
23 :開口
24 :開口
25 :エッチング液
30 :型母材
30a:型母材表面
31 :膜
32 :膜表面
33 :マスク
34 :矩形開口
35 :マスク治具
36 :スパッタ粒子
50 :光学素子
51 :光学機能面
52 :陵線
53 :陵線
60 :光学素材
61 :型
62 :型
100 :中間組み立て体
200 :中間組み立て体
Claims (26)
- 光学素材を一対の型の間に配置し、前記光学素材及び前記型を所定の温度に加熱し、前記型をプレスすることにより前記型の光学機能面の形状を前記光学素材の表面に転写する光学素子の製造方法であって、前記型の少なくとも1つの光学機能面は回転非対称な曲面であり、前記回転非対称形状は型母材の回転対称な面を不均一にエッチングすることにより形成される光学素子の製造方法。
- 前記型の回転非対称形状はドライエッチング法により形成され、前記ドライエッチング法はマスクを前記型母材の回転対称表面に接する位置又は回転対称表面から上方に離れた位置に配置した状態で、前記型母材の回転対称表面にイオンビーム又はラジカルビームを照射することにより行う請求項1記載の光学素子の製造方法。
- 前記型の回転非対称形状はウエットエッチング法により形成され、前記ウエットエッチング法はエッチングされるべき所定形状の部分を除いて少なくとも前記型母材の回転対称表面にレジスト膜を形成し、少なくとも前記型母材の回転対称表面をエッチング溶液に浸すことにより行う請求項1記載の光学素子の製造方法。
- 前記型の回転非対称形状がトーリック面又はシリンドリカル面である請求項1から3のいずれかに記載の光学素子の製造方法。
- 前記回転非対称形状は、光学素子に転写された際に、軸上波面収差の非点収差成分を生じる形状である請求項1から4のいずれかに記載の光学素子の製造方法。
- 前記型の回転非対称表面に保護膜を均一に形成した請求項1から5のいずれかに記載の光学素子の製造方法。
- 光学素材を一対の型の間に配置し、前記光学素材及び前記型を所定の温度に加熱し、前記型をプレスすることにより前記型の光学機能面の形状を前記光学素材の表面に転写する光学素子の製造方法であって、前記型の少なくとも1つの光学機能面は回転非対称な曲面であり、前記回転非対称形状は型母材上に形成された保護膜の回転対称な面を不均一にエッチングすることにより形成される光学素子の製造方法。
- 前記型の回転非対称形状はドライエッチング法により形成され、前記ドライエッチング法はマスクを前記型母材上の保護膜の回転対称表面に接する位置又は回転対称表面から上方に離れた位置に配置した状態で、前記保護膜の回転対称表面にイオンビーム又はラジカルビームを照射することにより行う請求項7記載の光学素子の製造方法。
- 前記型の回転非対称形状はウエットエッチング法により形成され、前記ウエットエッチング法はエッチングされるべき所定形状の部分を除いて、少なくとも前記型母材の表面に形成された保護膜の回転対称表面にレジスト膜を形成し、少なくとも前記型母材の回転対称表面をエッチング溶液に浸すことにより行う請求項7記載の光学素子の製造方法。
- 前記型の回転非対称形状がトーリック面又はシリンドリカル面である請求項7から9のいずれかに記載の光学素子の製造方法。
- 前記回転非対称形状は、光学素子に転写された際に、軸上波面収差の非点収差成分を生じる形状である請求項7から10のいずれかに記載の光学素子の製造方法。
- 光学素材を一対の型の間に配置し、前記光学素材及び前記型を所定の温度に加熱し、前記型をプレスすることにより前記型の光学機能面の形状を前記光学素材の表面に転写する光学素子の製造方法であって、前記型の少なくとも1つの光学機能面は回転非対称であり、前記回転非対称形状は型母材の回転対称表面に膜を不均一に成膜することにより形成される光学素子の製造方法。
- 前記型の回転非対称形状は、スパッタリング法、PVD(physical vapor deposition)法及びCVD(chemical vapor deposition)法から選択されたいずれかの方法により形成され、前記方法はマスクを前記型母材の回転対称面に接する位置又は回転対称面から上方に離れた位置に配置した状態で、前記型母材の回転対称面に粒子を照射することにより行う請求項12記載の光学素子の製造方法。
- 前記型の回転非対称形状がトーリック面又はシリンドリカル面である請求項12又は13に記載の光学素子の製造方法。
- 前記回転非対称形状は、光学素子に転写された際に、軸上波面収差の非点収差成分を生じる形状である請求項12から14のいずれかに記載の光学素子の製造方法。
- マスクを型母材の回転対称な曲面に接する位置又は回転対称な曲面から上方に離れた位置に配置し、前記型母材の回転対称な曲面にイオンビーム又はラジカルビームを照射することにより前記型母材の回転対称な曲面を不均一にエッチングする光学素子成形用回転非対称型の製造方法。
- エッチングされるべき所定形状の部分を除いて、少なくとも型母材の回転対称表面にレジスト膜を形成し、少なくとも前記型母材の回転対称表面をエッチング溶液に浸すことにより前記型母材の回転対称表面を不均一にエッチングする光学素子成形用回転非対称型の製造方法。
- マスクを型母材上に形成された保護膜の回転対称な曲面に接する位置又は回転対称な曲面から上方に離れた位置に配置し、前記保護膜の回転対称な曲面にイオンビーム又はラジカルビームを照射することにより前記保護膜の回転対称な曲面を不均一にエッチングする光学素子成形用回転非対称型の製造方法。
- エッチングされるべき所定形状の部分を除いて、少なくとも型母材上に形成された保護膜の回転対称表面にレジスト膜を形成し、少なくとも前記保護膜の回転対称表面をエッチング溶液に浸すことにより前記保護膜の回転対称表面を不均一にエッチングする光学素子成形用回転非対称型の製造方法。
- 前記型の回転非対称形状がトーリック面又はシリンドリカル面である請求項16から19のいずれかに記載の光学素子成形用回転非対称型の製造方法。
- 前記回転非対称形状は、光学素子に転写された際に、軸上波面収差の非点収差成分を生じる形状である請求項16から20のいずれかに記載の光学素子成形用回転非対称型の製造方法。
- 型母材の回転対称表面に膜を不均一に成膜する光学素子成形用回転非対称型の製造方法。
- 前記型の回転非対称形状は、スパッタリング法、PVD(physical vapor deposition)法及びCVD(chemical vapor deposition)法から選択されたいずれかの方法により形成され、前記方法はマスクを前記型母材の回転対称面に接する位置又は回転対称面から上方に離れた位置に配置した状態で、前記型母材の回転対称面に粒子を照射することにより行う請求項22記載の光学素子成形用回転非対称型の製造方法。
- 前記型の回転非対称形状がトーリック面又はシリンドリカル面である請求項22又は23に記載の光学素子成形用回転非対称型の製造方法。
- 前記回転非対称形状は、光学素子に転写された際に、軸上波面収差の非点収差成分を生じる形状である請求項22から24のいずれかに記載の光学素子成形用回転非対称型の製造方法。
- 前記型の回転非対称表面に保護膜を均一に形成した請求項16又は17に記載の光学素子成形用回転非対称型の製造方法。
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