JP3612751B2 - 液晶配向剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、液晶配向剤に関し、さらに詳しくは、液晶の配向性が良好でかつ膜厚条件やラビング条件に影響されない大きなプレチルト角が発現される液晶配向膜を形成することができる液晶配向剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリイミドなどからなる液晶配向膜が透明導電膜を介して表面に形成されている2枚の基板の間に、正の誘電異方性を有するネマチック型液晶の層を形成してサンドイッチ構造のセルとし、前記液晶分子の長軸が一方の基板から他方の基板に向かって連続的に90度捻れるようにしたTN型液晶セルを有するTN(Twisted Nematic)型表示素子が知られている。このTN型表示素子における液晶の配向は、通常、ラビング処理が施された液晶配向膜により実現される。
【0003】
然るに、TN型表示素子はコントラストおよび視角依存性が劣ることから、最近、これらが改善されたSTN(Super Twisted Nematic)型表示素子が開発された。このSTN型表示素子は、ネマチック型液晶物質に光学活性物質であるカイラル剤をブレンドしたものを液晶材料として用い、当該液晶分子の長軸が基板間で連続的に180度以上にわたって捻れるようにしたことにより生じる複屈折効果を利用するものである。
【0004】
しかして、液晶基板間において液晶分子の長軸が大きく捻れた状態を得るためには、大きなプレチルト角、例えば6度以上のプレチルト角が必要となる。これを達成するために、初期のSTN型表示素子における基板表面の配向処理法として、二酸化ケイ素の斜方蒸着法が利用されていた。しかし、斜方蒸着法による配向処理は生産性に難点があるため、現在ではポリイミドなどの有機高分子樹脂の薄膜をレーヨンなどの布材で一定の方向に擦ることによって当該薄膜に液晶分子の配向能を付与するラビング処理が広く行われている。
【0005】
しかしながら、従来のポリイミドを含有する液晶配向膜によってSTN型表示素子が構成されている場合には、当該液晶配向膜におけるプレチルト角が小さいために、液晶基板間において液晶分子の長軸が180度以上捻れた状態を得ることができず、所期の表示機能を得ることが困難である。
【0006】
また、STN型表示素子においては、その原理上、膜厚斑やラビング斑などにより生じるプレチルト角のばらつきが表示斑となって現れやすいため、プレチルト角を発現させるための工程に大きい自由度を有する材料が求められていた。
【0007】
一方、STN型表示素子に比べて大きなプレチルト角を必要としないTN型表示素子についても、近年における表示品位の向上の要請に応えるために、従来のTN型表示素子におけるプレチルト角よりも1度から2度程度大きなプレチルト角(例えば3〜4度程度)が得られることが要求されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、本発明の第1の目的は、液晶の配向性が良好でプレチルト角の大きな液晶配向膜を形成することができる液晶配向剤を提供することにある。
本発明の第2の目的は、液晶配向膜に発現されるプレチルト角の大きさが膜厚条件やラビング条件によって影響されにくい液晶配向剤を提供することにある。本発明の第3の目的は、STN型表示素子用の配向膜およびTN型表示素子用の配向膜を形成するために特に好適に用いることができる液晶配向剤を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の液晶配向剤は、(A)ブタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物および1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオンから選ばれたテトラカルボン酸二無水物(以下「酸A」という)に対して、
(B)下記式(I)で表されるビスアミノフェノキシ化合物(以下「ジアミンB」という)、
(C)下記化合物(C−1)〜化合物(C−4)から選ばれる少なくとも1種のジアミン化合物(以下「ジアミンC」という)、および
(D)ジアミンBおよびジアミンC以外のジアミン化合物(以下「ジアミンD」という)を、
ジアミンB:ジアミンC:ジアミンDの比が20〜80:20〜80:0〜40(モル%)となる割合で反応させて得られるポリアミック酸(以下「重合体P」という)および/または重合体Pを脱水閉環した重合体(以下「重合体Q」という)を含有することを特徴とする。
【0010】
【化3】
Figure 0003612751
【0011】
【化4】
Figure 0003612751
【0012】
以下、本発明の液晶配向剤について詳細に説明する。
<重合体P>
本発明の液晶配向剤を構成する重合体Pは、特定の比率のジアミンBおよびジアミンCの二者、あるいは、特定の比率のジアミンB、ジアミンCおよびジアミンDの三者を酸Aに対して反応させることにより得られるポリアミック酸である。
【0013】
<酸A>
重合体Pの合成に供される酸A(テトラカルボン酸二無水物)としては、液晶配向性の観点から、ブタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物および1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオンから選ばれたものが用いられる。
【0014】
<ジアミン化合物>
重合体Pの合成に供されるジアミン化合物としては、上記式(I)で表されるジアミンB(ビスアミノフェノキシ化合物)およびジアミンCが必須成分とされる。
【0015】
<ジアミンB>
ジアミンBを表す上記式(I)において、Rは炭素数2〜20、好ましくは8〜14の直鎖または分岐アルキレン基を示す。Rの炭素数が1であると、液晶配向剤の安定性が悪化し、Rの炭素数が20を超える場合には、液晶配向性能が低下するので好ましくない。
【0016】
ジアミンBは、例えば3−ニトロフェノール、4−ニトロフェノールなどのニトロフェノール化合物と、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を分子中に2つ含有する直鎖または分岐アルキレン骨格のジハロゲン化合物とを、溶媒中において、塩基性触媒の存在下で反応させてジニトロ化合物を得、さらに、このジニトロ化合物を還元してニトロ基をアミノ基に変換することにより得られる。
【0017】
以上において、ジハロゲン化物の具体例としては、例えば1,2−ジクロロエタン、1,3−ジクロロプロパン、1,4−ジクロロブタン、1,5−ジクロロペンタン、1,6−ジクロロヘキサン、1,7−ジクロロヘプタン、1,8−ジクロロオクタン、1,9−ジクロロノナン、1,10−ジクロロデカン、1,11−ジクロロウンデカン、1,12−ジクロロドデカン、1,13−ジクロロトリデカン、1,14−ジクロロテトラデカン、1,15−ジクロロペンタデカン、1,16−ジクロロヘキサデカン、1,17−ジクロロヘプタデカン、1,18−ジクロロオクタデカン、1,19−ジクロロノナデカン、1,20−ジクロロエイコサン、1,2−ジクロロプロパン、2,3−ジクロロブタン、1,2−ジブロモエタン、1,3−ジブロモプロパン、1,4−ジブロモブタン、1,5−ジブロモペンタン、1,6−ジブロモヘキサン、1,7−ジブロモヘプタン、1,8−ジブロモオクタン、1,9−ジブロモノナン、1,10−ジブロモデカン、1,11−ジブロモウンデカン、1,12−ジブロモドデカン、1,13−ジブロモトリデカン、1,14−ジブロモテトラデカン、1,15−ジブロモペンタデカン、1,16−ジブロモヘキサデカン、1,17−ジブロモヘプタデカン、1,18−ジブロモオクタデカン、1,19−ジブロモノナデカン、1,20−ジブロモエイコサン、1,2−ジブロモプロパン、2,3−ジブロモブタン、1,2−ジヨードエタン、1,3−ジヨードプロパン、1,4−ジヨードブタン、1,5−ジヨードペンタン、1,6−ジヨードヘキサン、1,7−ジヨードヘプタン、1,8−ジヨードオクタン、1,9−ジヨードノナン、1,10−ジヨードデカン、1,11−ジヨードウンデカン、1,12−ジヨードドデカン、1,13−ジヨードトリデカン、1,14−ジヨードテトラデカン、1,15−ジヨードペンタデカン、1,16−ジヨードヘキサデカン、1,17−ジヨードヘプタデカン、1,18−ジヨードオクタデカン、1,19−ジヨードノナデカン、1,20−ジヨードエイコサン、1,2−ジヨードプロパン、2,3−ジヨードブタンなどを挙げることができる。これらの中では、1,12−ジブロモデカンおよび1,10−ジブロモドデカンが液晶配向性および液晶配向膜の強度の観点から好ましい。
【0018】
ジニトロ化合物の生成反応に用いられる溶媒としては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールなどのアルコール類、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、メチルブチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、アセトン、トルエン、水などを挙げることができる。また、塩基性触媒としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウムなどを挙げることができる。
【0019】
前記ジニトロ化合物を還元するためには、例えば亜鉛、鉄、スズ、塩化スズ(II)、硫化ナトリウム(Na S、Na 、Na)、ナトリウムヒドロスルフィド、亜二チオン酸ナトリウム、硫化アンモニウムなどの還元剤が有利に用いられる。
また、例えばパラジウム−炭素、白金、ラネーニッケル、白金黒、ロジウム−アルミナ、硫化白金炭素などを触媒とし、水素ガス、ヒドラジン、塩酸などによって前記ジニトロ化合物を還元することもできる。
還元反応に用いられる溶媒としては、例えばエチルアルコール、メチルアルコール、2−プロピルアルコールなどのアルコール類、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、メチルブチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、アンモニア水、トルエン、水、クロロホルムまたはジクロロメタンを挙げることができる。
【0020】
<ジアミンC>
重合体Pの合成に供されるジアミンCは、上記化合物(C−1)〜化合物(C−4)から選ばれる少なくとも1種のジアミン化合物である。
ジアミンCをジアミンBと共に使用することにより、得られる液晶配向剤によって形成される液晶配向膜は、これに発現されるプレチルト角の大きさが、膜厚条件やラビング条件によって影響を受けにくいものとなる。
【0021】
<ジアミンD>
重合体Pの合成に際して、本発明の効果を損なわない範囲で、上記のジアミンBおよびジアミンC以外のジアミン化合物であるジアミンDを併用することができる。
ジアミンDを使用することにより、ラビング処理に対する耐久性および液晶配向の安定性を向上させることができる。
ジアミンDの具体例としては、例えば、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノベンズアニリド、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)−10−ヒドロアントラセン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、2,2’,5,5’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノ−5,5’−ジメトキシビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニルなどの芳香族ジアミン類;ジアミノテトラフェニルチオフェンなどのヘテロ原子を有する芳香族ジアミン類;1,1−メタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、4,4−ジアミノヘプタメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6,2,1,02.7 ]−ウンデシレンジメチルジアミンなどの脂肪族または脂環族ジアミン類;さらに、下記の一般式で表されるジアミノオルガノシロキサンなどを挙げることができ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0022】
【化5】
Figure 0003612751
〔式中、Rはメチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基またはフェニル基などのアリール基のような炭素数1〜12の炭化水素基を示す。mは1〜3の整数であり、nは1〜20の整数である。〕
【0023】
これらの中では、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレンなどが液晶配向性の観点から好ましい。
【0024】
<ジアミン化合物の組成>
重合体Pの製造において、酸Aと反応させるジアミン化合物の組成としては、ジアミンBの割合が20〜80モル%、好ましくは40〜60モル%、ジアミンCの割合が20〜80モル%、好ましくは40〜60モル%、ジアミンDの割合が0〜40モル%、好ましくは0〜20モル%とされる。
【0025】
ジアミンBの割合が20モル%未満である場合には、得られる液晶配向剤は、大きなプレチルト角を発現させる液晶配向膜を形成することができないものとなり、また、このプレチルト角にバラツキが生じやすくなる。一方、ジアミンBの割合が80モル%を超える場合には、得られる液晶配向剤によって形成される液晶配向膜が十分な硬度を有するものとならないためラビング処理による効果が短時間で失われてしまう。
【0026】
また、ジアミンCの割合が20モル%未満である場合には、得られる液晶配向剤によって形成される液晶配向膜に発現されるプレチルト角の大きさが、膜厚条件やラビング条件によって影響を受けやすくなる。一方、ジアミンCの割合が80モル%を超える場合には、結果としてジアミンBの割合が20モル%未満となって既述した問題を招く。
【0027】
さらに、ジアミンDの割合が40モル%を超える場合には、ジアミンBおよびジアミンCを用いることにより発揮される本発明の効果が損なわれる。
【0028】
<酸Aとジアミン化合物との使用割合>
重合体Pの製造において、酸Aとジアミン化合物との使用割合としては、ジアミンBおよびジアミンCの二者、あるいは、ジアミンB、ジアミンCおよびジアミンDの三者よりなるジアミン化合物に含まれる全アミノ基1当量に対して、酸A中の酸無水物基が0.8〜1.2当量となる割合が好ましく、さらに好ましくは0.9〜1.1当量となる割合である。
酸Aの使用割合が過大または過少である場合には、重合が十分に進行しないために高分子量の重合体Pが得られず、原材料が多く残留し、液晶配向剤として不都合が生じる。
【0029】
酸Aとジアミン化合物とによる重合反応、すなわち、重合体Pの合成反応は、有機溶媒中で、通常0〜150℃、好ましくは0〜100℃の温度条件下で行われる。ここに、重合体Pの合成に用いられる有機溶媒としては、当該重合体Pを溶解し得るものであれば特に制限はなく、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルトリアミドなどの非プロトン系極性溶媒;m−クレゾール、キシレノール、フェノール、ハロゲン化フェノールなどのフェノール系溶媒を挙げることができる。
なお、この有機溶媒には、貧溶媒であるアルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類を生成する重合体が析出しない程度に併用することができる。かかる貧溶媒としては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジエチル、ジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−i−プロピルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジクロロブタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどを挙げることができる。
有機溶媒の使用量(a)としては、反応原料である酸Aとジアミン化合物との総量(b)が反応溶液の全量(a+b)に対して0.1〜30重量%になるような量であることが好ましい。
【0030】
<重合体Q>
本発明の液晶配向剤を構成する他の重合体Qは、通常、ポリイミドまたはポリイソイミドである。重合体Qは、ポリアミック酸である重合体Pを脱水閉環することにより得られる。この脱水閉環は、重合体Pを加熱することにより、または、重合体Pを有機溶媒に溶解し、この溶液中に脱水剤および環化触媒を添加し必要に応じて加熱することにより行われる。
【0031】
重合体Pを加熱する方法における加熱温度は、通常60〜200℃とされ、好ましくは100〜170℃とされる。加熱温度が60℃未満では脱水閉環が十分に進行せず、加熱温度が200℃を超えると得られる重合体Qが分子量の小さいものになる。
【0032】
一方、重合体Pの溶液中に脱水剤および環化触媒を添加する方法において、脱水剤としては、例えば無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸などの酸無水物を用いることができる。脱水剤の使用量は、重合体Pの繰り返し単位1モルに対して1.6〜20モルとするのが好ましい。
また、環化触媒としては、例えばピリジン、コリジン、ルチジン、トリエチルアミンなどの3級アミンを用いることができるが、これらに限定されるものではない。環化触媒の使用量は、使用する脱水剤1モルに対して0.5〜10モルとするのが好ましい。
脱水閉環の際に用いられる有機溶媒としては、重合体Pの合成に用いられるものとして例示した有機溶媒を挙げることができる。
脱水閉環の反応温度は、通常0〜180℃、好ましくは60〜150℃とされる。
【0033】
本発明の液晶配向剤は、上記重合体Pおよび/または上記重合体Qを含有するものであるが、基板表面との接着性を向上させる観点から、官能性シラン含有化合物が液晶配向剤に含有されていてもよい。かかる官能性シラン含有化合物としては、例えば3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリメトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシランなどを挙げることができる。
【0034】
<液晶表示素子の製造法>
本発明の液晶配向剤を用いて得られる液晶表示素子は、例えば次の方法によって製造することができる。
(1)透明導電膜が設けられている基板の一面に、本発明の液晶配向剤を塗布し、次いで、塗布面を加熱することにより塗膜を形成する。
ここに、基板としては、例えばフロートガラス、ソーダガラスなどのガラス;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネートなどのプラスチックフィルムからなる透明基板を用いることができる。基板の一面に設けられた透明導電膜としては、酸化スズ(SnO)からなるNESA膜(米国PPG社登録商標)、酸化インジウム−酸化スズ(In −SnO )からなるITO膜などを用いることができ、これらの透明導電膜のパターニングには、フォト・エッチング法や予めマスクを用いる方法などが用いられる。液晶配向剤の塗布方法としてはロールコーター法、スピンナー法、印刷法などの方法を用いることができる。
液晶配向剤の塗布に際しては、基板表面および透明導電膜と塗膜との接着性をさらに良好にするために、基板の一面および透明導電膜上に、官能性シラン含有化合物、官能性チタン化合物などを予め塗布することもできる。また、塗膜を形成する際の加熱温度は80〜200℃とされ、好ましくは120〜200℃とされる。形成される塗膜の膜厚は、通常0.001〜1μmであり、好ましくは0.005〜0.5μmである。
【0035】
(2)形成された塗膜面を、例えばナイロンなどの合成繊維からなる布を巻き付けたロールで一定方向に擦るラビング処理を行う。これにより、液晶分子の配向能が塗膜に付与されて液晶配向膜となる。
【0036】
(3)上記のようにして液晶配向膜が形成された基板を2枚作製し、それぞれの液晶配向膜におけるラビング方向が直交または逆平行となるように、2枚の基板を、間隙(セルギャップ)を介して対向配置し、2枚の基板の周辺部をシール剤を用いて貼り合わせ、基板表面およびシール剤により区画されたセルギャップ内に液晶を注入充填し、注入孔を封止して液晶セルを構成する。そして、液晶セルの外表面、すなわち、液晶セルを構成するそれぞれの基板の他面側に、偏光板を、その偏光方向が当該基板の一面に形成された液晶配向膜のラビング方向と一致または直交するように貼り合わせることにより、液晶表示素子が得られる。
ここに、シール剤としては、例えば硬化剤およびスペーサーとしての酸化アルミニウム球を含有するエポキシ樹脂などを用いることができる。
液晶材料としては、ネマティック型液晶およびスメクティック型液晶を挙げることができ、その中でもネマティック型液晶が好ましく、例えばシッフベース系液晶、アゾキシ系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶、エステル系液晶、ターフェニル系液晶、ビフェニルシクロヘキサン系液晶、ピリミジン系液晶、ジオキサン系液晶、ビシクロオクタン系液晶、キュバン系液晶などを用いることができる。また、これらの液晶に、例えばコレスチルクロライド、コレステリルノナエート、コレステリルカーボネートなどのコレステリック型液晶や商品名「C−15」「CB−15」(メルク社製)として販売されているようなカイラル剤などを添加して使用することもできる。さらに、p−デシロキシベンジリデン−p−アミノ−2−メチルブチルシンナメートなどの強誘電性液晶も使用することができる。
液晶セルの外表面に貼り合わされる偏光板としては、ポリビニルアルコールを延伸配向させながら、ヨウ素を吸収させたH膜と称される偏光膜を酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板、またはH膜そのものからなる偏光板などを挙げることができる。
【0037】
本発明の液晶配向剤は、STN型表示素子用の液晶配向膜やTN型表示素子用の液晶配向膜を形成するために特に好適に用いることができる。
また、本発明の液晶配向剤により形成される液晶配向膜を備えた液晶表示素子は、基板間に注入充填される液晶材料の種類を選択することにより、強誘電表示素子としても好適に使用することができる。
さらに、本発明の液晶配向剤により形成される液晶配向膜を備えた液晶表示素子は、液晶の配向性および信頼性に優れ、種々の装置に有効に使用することができ、例えば卓上計算機、腕時計、置時計、係数表示板、ワードプロセッサ、パーソナルコンピュータ、液晶テレビなどの表示装置として好適に用いられる。
【0038】
【実施例】
以下、本発明を実施例により、さらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。なお、以下の実施例において、液晶表示素子のプレチルト角の測定は、[T.J.Schffer,et al.,J.Appl.Phys.,19,2013(1980)]に記載の方法に準拠し、He−Neレーザー光を用いる結晶回転法により行った。また、配向性評価は、電圧をオン・オフさせた時の液晶セル中の異常の有無を偏光顕微鏡で観察し、異常のない場合を「良好」と判定した。
【0039】
合成例1〔ジアミン(B−1)〕
1,12−ジブロモドデカン328.1g(1モル)と、p−ニトロフェノール278.2g(2モル)とを5000gのエチルアルコールに溶解させた後、濃度10重量%の水酸化ナトリウム溶液1000gを徐々に滴下した後78℃で8時間還流した。次いで、反応液を水中に注いで析出物を濾別した後、エチルアルコールを用いて再結晶を行い、淡黄色結晶のジニトロ化合物を得た。このジニトロ化合物の収率は81.7%であった。
得られたジニトロ化合物200gをエチルアルコール800gに溶解させ、パラジウム−炭素(Pd/C)触媒0.1gと、ヒドラジン1水和物10gとを添加し、78℃で6時間還流した。室温まで冷却した後、析出物を濾別してエチルアルコールを用いて再結晶を行い、アルキル骨格を主鎖に有するビスアミノフェノキシ化合物である1,12−ビス−(4’ −アミノフェノキシ)ドデカンを得た。これを「ジアミン(B−1)」とする。このジアミン(B−1)の収率は42.4%であった。
【0040】
合成例2〔重合体(P−1)〕
酸Aとして、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物〔これを「酸(A−1)」とする〕4.75g(21.2ミリモル)とp−フェニレンジアミン〔化合物(C−1)〕1.15g(10.6ミリモル)と合成例1で得られたジアミン(B−1)4.10g(10.6ミリモル)とを、N−メチル−2−ピロリドン90gに溶解させ、室温で6時間反応させた。次いで、反応生成物を大過剰のメチルアルコールに注いで反応生成物を沈澱させた。その後、メタノールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させ、固有粘度が1.20dl/gのポリアミック酸〔これを「重合体(P−1)」とする〕8.90gを得た。
【0041】
合成例3〔重合体(Q−1)〕
合成例2で得られた重合体(P−1)5.00gを95.00gのγ−ブチロラクトンに溶解し、この溶液に、1.68gのピリジンと、2.16gの無水酢酸とを添加し、120℃で3時間加熱することにより脱水閉環させた。次いで、反応生成液を合成例2と同様にして沈澱させ、固有粘度が1.20dl/gのポリイミド〔これを「重合体(Q−1)」とする〕4.89gを得た。
【0042】
合成例4〔重合体(P−2),重合体(Q−2)〕
酸(A−1)の使用量を4.50g(20.1ミリモル)に変更し、ジアミン(B−1)の使用量を3.88g(10.1ミリモル)に変更し、ジアミンCとして、p−フェニレンジアミン〔化合物(C−1)〕1.15g(10.6ミリモル)を4,4’−ジアミノジフェニルメタン〔化合物(C−2)〕2.00g(10.1ミリモル)に変更した以外は合成例2と同様にしてポリアミック酸〔これを「重合体(P−2)」とする〕を得た。
次いで、重合体(P−1)に代えて重合体(P−2)を用いたこと以外は合成例3と同様にして脱水閉環を行い、固有粘度が1.10dl/gのポリイミド〔これを「重合体(Q−2)」とする〕4.00gを得た。
【0045】
合成例5〔比較重合体(p−5),比較重合体(q−5)〕
酸(A−1)の使用量を6.75g(30.1ミリモル)に変更し、化合物(C−1)の使用量を3.25g(30.1ミリモル)に変更し、ジアミンBを使用しなかった以外は合成例2と同様にしてポリアミック酸〔これを「比較重合体(p−5)」とする〕を得た。
次いで、重合体(P−1)に代えて比較重合体(p−5)を用いたこと以外は合成例3と同様にして脱水閉環を行い、固有粘度が1.21dl/gのポリイミド〔これを「比較重合体(q−5)」とする〕4.11gを得た。
【0046】
合成例6〔比較重合体(p−6),比較重合体(q−6)〕
酸(A−1)の使用量を3.70g(16.5ミリモル)に変更し、ジアミン(B−1)の使用量を6.30g(16.5ミリモル)に変更し、ジアミンCを使用しなかった以外は合成例2と同様にしてポリアミック酸〔これを「比較重合体(p−6)」とする〕を得た。
次いで、重合体(P−1)に代えて比較重合体(p−6)を用いた以外は合成例3と同様にして脱水閉環を行い、固有粘度が0.78dl/gのポリイミド〔これを「比較重合体(q−6)」とする〕3.56gを得た。
【0047】
合成例7〔重合体(P−7),重合体(Q−7)〕
酸(A−1)の使用量を3.84g(17.1ミリモル)に変更し、ジアミン(B−1)の使用量を3.30g(8.6ミリモル)に変更し、ジアミンCとして、化合物(C−3)2.86g(8.6ミリモル)を用いた以外は合成例2と同様にして、固有粘度が0.71dl/gのポリアミック酸〔これを「重合体(P−7)」とする〕8.8gを得た。
次いで、重合体(P−1)に代えて重合体(P−7)を用いたこと以外は合成例3と同様にして脱水閉環を行い、固有粘度が0.71dl/gのポリイミド〔これを「重合体(Q−7)」とする〕3.0gを得た。
【0048】
合成例8〔重合体(P−8),重合体(Q−8)〕
酸(A−1)の使用量を3.32g(14.8ミリモル)に変更し、ジアミン(B−1)の使用量を2.85g(7.4ミリモル)に変更し、ジアミンCとして、化合物(C−4)3.84g(7.4ミリモル)を用いた以外は合成例2と同様にして、固有粘度が0.68dl/gのポリアミック酸〔これを「重合体(P−8)」とする〕7.8gを得た。
次いで、重合体(P−1)に代えて重合体(P−8)を用いたこと以外は合成例3と同様にして脱水閉環を行い、固有粘度が7.0dl/gのポリイミド〔これを「重合体(Q−8)」とする〕3.8gを得た。
【0049】
〔実施例1〕
(1)液晶配向剤の調製
合成例3で得られた重合体(Q−1)をγ−ブチロラクトンに溶解させて固形分濃度4重量%の溶液とし、この溶液を孔径1μmのフィルターで濾過して本発明の液晶配向剤を調製した。
【0050】
(2)液晶表示素子の作製
▲1▼ ガラス基板の一面に設けられたITO膜からなる透明導電膜上に、本発明の液晶配向剤を、スピンナーを用いて回転数3000rpmで3分間かけて塗布し、180℃で1時間乾燥することにより乾燥膜厚500Åの塗膜を形成した。
▲2▼ 形成された塗膜面を、ナイロン製の布を巻き付けたロールを有するラビングマシーンを用いてラビング処理を行うことにより、液晶分子の配向能を塗膜に付与して液晶配向膜を作製した。ここに、ラビング処理条件は、ロールの回転数500rpm、ステージの移動速度1cm/秒、ラビング回数2回とした。
▲3▼ 上記のようにして液晶配向膜が形成された基板を2枚作製し、それぞれの基板の外縁部に、直径17μmの酸化アルミニウム球を含有するエポキシ樹脂をスクリーン印刷塗布した後、それぞれの液晶配向膜におけるラビング方向が逆平行となるように2枚の基板を間隙を介して対向配置し、外縁部同士を当接させて圧着して接着剤を硬化させた。
▲4▼ 次いで、基板の表面および外縁部の接着剤により区画されたセルギャップ内に、ネマティック型液晶「ZLI−2293」(メルク社製)を注入充填し、次いで、注入孔をエポキシ系接着剤で封止して液晶セルを構成した。次いで、液晶セルの外表面、すなわち、液晶セルを構成するそれぞれの基板の他面に、偏光方向が当該基板の一面に形成された液晶配向膜のラビング方向と一致するように偏光板を貼り合わせることにより、液晶表示素子を作製した。
以上のようにして作製した液晶表示素子についてプレチルト角の測定および配向性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0051】
〔実施例2〜実施例4〕
実施例1(1)と同様にして調製された本発明の液晶配向剤を用い、実施例1(2)と同様にして、それぞれの膜厚が200Å,1000Åおよび1500Åである液晶配向膜が形成されてなる3種の液晶表示素子を作製した。これらの液晶表示素子についてプレチルト角の測定および配向性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0052】
〔実施例5〜実施例6〕
重合体(Q−1)に代えて合成例4で得られた重合体(Q−2)を用いたこと以外は実施例1(1)と同様にして本発明の液晶配向剤を調製した。次いで、この液晶配向剤を用い、更に、ラビング回数を1回(実施例5)および5回(実施例6)に変更したこと以外は実施例1(2)と同様にして2種の液晶表示素子を作製した。これらの液晶表示素子についてプレチルト角の測定および配向性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0053】
〔実施例7〕
重合体(Q−1)に代えて、合成例4で得られた重合体(P−2)を用いたこと以外は実施例1(1)と同様にして本発明の液晶配向剤を調製した。次いで、得られた液晶配向剤を用いたこと以外は、実施例1(2)と同様にして液晶表示素子を作製した。これらの液晶表示素子についてプレチルト角の測定および配向性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0054】
【表1】
Figure 0003612751
【0055】
表1に示すように、本発明の液晶配向剤を用いて作製された液晶表示素子は、プレチルト角が大きくて液晶配向性が良好なものである。しかも、液晶配向膜の膜厚やラビング回数を変更してもプレチルト角の変化量は小さい。従って、本発明の液晶配向剤によって発現されるプレチルト角の大きさは、膜厚条件やラビング条件によって影響を受けにくいものであることが理解される。
【0056】
〔比較例1〜比較例3〕
重合体(Q−1)に代えて合成例5で得られた比較重合体(q−5)を用いたこと以外は実施例1(1)と同様にして比較用の液晶配向剤を調製した。次いで、この比較用の液晶配向剤を用い、実施例1(2)と同様にして、それぞれの膜厚が200Å,1000Åおよび1500Åである液晶配向膜が形成されてなる3種の液晶表示素子を作製した。これらの液晶表示素子についてプレチルト角の測定および配向性の評価を行った。結果を表2に示す。
【0057】
〔比較例4〜比較例5〕
重合体(Q−1)に代えて合成例5で得られた比較重合体(q−5)を用いたこと以外は実施例1(1)と同様にして比較用の液晶配向剤を調製した。次いで、この比較用の液晶配向剤を用い、更に、ラビング回数を1回(比較例4)および5回(比較例5)に変更したこと以外は実施例1(2)と同様にして2種の液晶表示素子を作製した。これらの液晶表示素子についてプレチルト角の測定および配向性の評価を行った。結果を表2に示す。
【0058】
〔比較例6〜比較例9〕
重合体(Q−1)に代えて合成例6で得られた比較重合体(q−6)を用いたこと以外は実施例1(1)と同様にして比較用の液晶配向剤を調製した。次いで、この比較用の液晶配向剤を用い、実施例1(2)と同様にして、それぞれの膜厚が200Å,500Å,1000Åおよび1500Åである液晶配向膜が形成されてなる4種の液晶表示素子を作製した。これらの液晶表示素子についてプレチルト角の測定および配向性の評価を行った。結果を表2に示す。
【0059】
〔比較例10〜比較例11〕
重合体(Q−1)に代えて合成例6で得られた比較重合体(q−6)を用いたこと以外は実施例1(1)と同様にして比較用の液晶配向剤を調製した。次いで、この比較用の液晶配向剤を用い、更に、ラビング回数を1回(比較例10)および5回(比較例11)に変更したこと以外は実施例1(2)と同様にして2種の液晶表示素子を作製した。これらの液晶表示素子についてプレチルト角の測定および配向性の評価を行った。結果を表2に示す。
【0060】
【表2】
Figure 0003612751
【0061】
表2に示すように、比較例1〜5により作製された液晶表示素子は、ジアミンBを含まない比較重合体(q−5)によって液晶配向膜が構成されているので、プレチルト角が低いものである。また、比較例6〜11により作製された液晶表示素子は、ジアミンCを含まない比較重合体(q−6)によって液晶配向膜が構成されているので、液晶配向膜に発現されるプレチルト角が、液晶配向膜の膜厚やラビング回数の変化に伴って大きく異なっている。
【0062】
〔実施例8〜実施例11〕
重合体(Q−1)に代えて合成例7で得られた重合体(Q−7)を用いたこと以外は実施例1(1)と同様にして本発明の液晶配向剤を調製した。次いで、この液晶配向剤を用い、実施例1(2)と同様にして、それぞれの膜厚が200Å,500Å,1000Åおよび1500Åである液晶配向膜が形成されてなる4種の液晶表示素子を作製した。これらの液晶表示素子についてプレチルト角の測定および配向性の評価を行った。結果を表3に示す。
【0063】
〔実施例12〜実施例13〕
重合体(Q−1)に代えて合成例7で得られた重合体(Q−7)を用いたこと以外は実施例1(1)と同様にして本発明の液晶配向剤を調製した。次いで、この液晶配向剤を用い、更に、ラビング回数を1回(実施例12)および5回(実施例13)に変更したこと以外は実施例1(2)と同様にして2種の液晶表示素子を作製した。これらの液晶表示素子についてプレチルト角の測定および配向性の評価を行った。結果を表3に示す。
【0064】
〔実施例14〜実施例17〕
重合体(Q−1)に代えて合成例8で得られた重合体(Q−8)を用いたこと以外は実施例1(1)と同様にして本発明の液晶配向剤を調製した。次いで、この液晶配向剤を用い、実施例1(2)と同様にして、それぞれの膜厚が200Å,500Å,1000Åおよび1500Åである液晶配向膜が形成されてなる4種の液晶表示素子を作製した。これらの液晶表示素子についてプレチルト角の測定および配向性の評価を行った。結果を表3に示す。
【0065】
〔実施例18〜実施例19〕
重合体(Q−1)に代えて合成例8で得られた重合体(Q−8)を用いたこと以外は実施例1(1)と同様にして本発明の液晶配向剤を調製した。次いで、この液晶配向剤を用い、更に、ラビング回数を1回(実施例18)および5回(実施例19)に変更したこと以外は実施例1(2)と同様にして2種の液晶表示素子を作製した。これらの液晶表示素子についてプレチルト角の測定および配向性の評価を行った。結果を表3に示す。
【0066】
【表3】
Figure 0003612751
【0067】
【発明の効果】
本発明の液晶配向剤によれば、優れた透明性を有し、液晶の配向性が良好で、プレチルト角が4〜10度と大きい液晶配向膜を形成することができる。しかも、本発明の液晶配向剤により発現されるプレチルト角の大きさは、液晶配向膜の膜厚条件やラビング条件による影響を受けにくいものである。従って、本発明の液晶配向剤は、STN型表示素子用の配向膜やTN型表示素子用の配向膜を形成するために特に好適に用いることができる。

Claims (1)

  1. (A)ブタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物および1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオンから選ばれたテトラカルボン酸二無水物に対して、
    (B)下記式(I)で表されるビスアミノフェノキシ化合物、
    (C)下記化合物(C−1)〜化合物(C−4)から選ばれる少なくとも1種のジアミン化合物、および
    (D)上記(B)ビスアミノフェノキシ化合物および上記(C)化合物(C−1)〜化合物(C−4)から選ばれる少なくとも1種のジアミン化合物以外のジアミン化合物を、
    (B):(C):(D)の比が20〜80:20〜80:0〜40(モル%)となる割合で反応させて得られるポリアミック酸および/またはそのポリアミック酸を脱水閉環した重合体を含有することを特徴とする液晶配向剤。
    Figure 0003612751
    Figure 0003612751
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