JP3610363B2 - 人工タラコ及びそれを用いたタラコ加工食品、並びに人工タラコの製造方法 - Google Patents

人工タラコ及びそれを用いたタラコ加工食品、並びに人工タラコの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、人工タラコ及びそれを用いたタラコ加工食品、並びに人工タラコの製造方法、タラコ加工食品の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、食材の多用化に伴い、人工イクラや人工キャビア等の人工魚卵や人工飯粒が食品の分野で開発されている。例えば、特公昭61−4509号公報や特公平1−16143号公報には、ゲル状皮膜の粒体内に油性原料と水性原料からなる原料液を封じ込め、これらをさらに加工した人工魚卵が開示されている。
また、特開昭55−102373号公報や特開昭55−114273号公報には多重管状ノズルを使用して人工魚卵を製造する方法が示されている。更に、多重管状ノズルの先端部を段差形状に加工し生産性を向上させたとともに、イクラに近似させた人工魚卵が、特開昭55−148072号公報、特開昭56−32974号公報、特開昭56−144071号公報に開示されている。
また、特開平9−201179号公報には皮膜の含水率を調整することにより天然イクラと同様の風味を有する魚卵様食品が開示されている。
特開平6−246148号公報や特開平8−140636公報、特開平9−132649号公報には薄くて強靱な外皮を備えた人工魚卵や機能性食材を含有させたもの等が開示されている。
また、タラコに関しては、特公昭62−10634号公報に「スケトウダラの卵巣から成熟卵を取り出し、粒状タラコとした後、1%乃至8%重量の塩分を加えて塩漬けとし、更に10%乃至30%重量のワインを加えて約1時間乃至4時間浸し、必要に応じて食紅、人工保存料を添加し、その後水切りを行うタラコの加工方法」が開示されている。
また、特開平7−23748号公報には、「タラコをpH調整液に通して表面を弱酸性にし、水切り後、食塩及び植物系色素を含む溶液を加えて発色剤を使用することなく塩蔵、着色し、その後、得られた塩蔵タラコを、唐辛子,天然旨味成分を主成分とする調味液に漬け込み、味付け・熟成を行う辛子明太子の製造方法」が開示されている。
特開平7−99942号公報には、「トランスグルタミナーゼで処理したたら子を原料とする辛子明太子の製造法」が開示されている。
特開平10−57017号公報には、「食用赤色40号で着色したたらこ粒を含有し、かつpHが4.5〜5.5の範囲としたたらこ入りスパゲッティソース等のたらこ含有加工食品」が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の技術は以下のような課題を有していた。
a.天然魚卵は天然資源であるため、その供給が不安定であり、安定量の確保が難しいという問題点を有していた。
b.冷凍保存を行っており、凍結時に魚卵粒子が破損劣化し、そのために本来のツブツブ感が低下するという問題点を有していた。
c.未熟卵、過熱卵は魚卵粒子の弾性が弱く、そのため単体では製品となり難く完熟卵と混合して使用したり、2次加工しての使用が主流となっており、本来の生鮮食品として単体では製品価値が低く単体での利用が困難という問題点を有していた。
d.従来の人工粒状物は保水性の悪さにより均一の味付け加工が困難であったり、冷凍保存から解凍した場合に多量のドリップを派生させ、魚卵製品など生鮮食品に利用した場合、製品の劣化を速めてしまうことになるため、この利用が困難という問題点を有していた。
e.保存性を高めるために塩分濃度を高める必要性があり、どうしても高塩分食品となってしまうという問題点を有していた。
f.固化を目的として用いられる水酸化カルシウム等凝固剤を用いた製造では、そのpHにより魚卵本来の味を損なったり、調味液の味覚を損なうため魚卵との混合食品への利用は困難という問題点を有していた。
g.色沢を保つために、着色料の安定を保つために発色剤、例えば亜硝酸塩を使用する必要があった。
h.本来の味覚を優先するため、魚卵に少ない栄養成分の添加が困難で、加工性や機能性に欠けていた。
i.天然のタラコは、流通過程において冷凍するので、解凍時にドリップの発生量が多く、旨味成分が流出し品質が劣化するという問題点を有していた。
j.漬け込み残液は廃棄処分されるが、該残液には食塩やエキス分等が多量に含まれ排水処理の負荷を著しく増加させ、水質汚染等の公害問題を生じていた。
k.漬け込み残液中には、漬け込み時に天然タラコのバラコや魚卵のエキス分、水溶性蛋白質、食塩その他未利用有効成分が含まれているが、該バラコ等は全て廃棄処分されており、その有効利用が強く要求されていた。
【0004】
本発明は上記従来の課題を全て解決するもので、天然タラコの成熟卵の卵粒と同様の形状及びテクスチャーを持った人工タラコの提供、ドリップ量が少なく、かつ天然魚卵の有しない栄養源を付加することができるタラコ加工食品の提供、及び天然魚卵の味付加工に用いる漬け込み残液を含有させ、天然タラコと同様の色、味覚を持たせた人工タラコを低原価で量産できるとともに排水処理の負荷を著しく軽減することのできる人工タラコの製造方法の提供、更に、天然魚卵と混合することにより成熟卵の持つテクスチャーを特にツブツブ感を向上させ、低塩分、低コレステロールで食物繊維豊富な健康指向を兼ね備えたタラコ加工食品の製造方法の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記従来の課題を解決するために本発明は、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載の人工タラコは、ゲル形成物質に清水を加えて製造された粒径が0.1mm〜10mm好ましくは0.4mm〜5mmの球状に加工された人工粒状物の含水量が2〜10wt%好ましくは3〜7wt%に乾燥された後、スケソウダラ等の卵巣を漬け込み液に漬け込み天然タラコを製造する際に生じる漬け込み残液が浸潤され、前記人工粒状物が前記漬け込み残液で膨化されている構成を有している。
本発明の請求項2に記載の人工タラコは、ゲル形成物質に、スケソウダラ等の卵巣を漬け込み液に漬け込み天然タラコを製造する際に生じる漬け込み残液を加えて製造された粒径が0.1mm〜10mm好ましくは0.4mm〜5mmの球状に加工された人工粒状物の含水量が2〜10wt%好ましくは3〜7wt%に乾燥された後、清水が浸潤され、前記人工粒状物が前記清水で膨化されている構成を有している。
【0006】
請求項の構成により、以下の作用が得られる。
a.清水を用いて製造した人工粒状物に、スケトウダラ等の卵巣を用いたタラコ製造時の漬け込み残液が浸透圧で浸潤されているので、天然のタラ子の加工品と同様の色、、風味、味覚、テクスチャーを備えることができる。
b.タラコ製造時の漬け込み残液を用いて製造した人工粒状物を用いているので、簡単に天然タラコと同様の色、風味、味覚、テクスチャーを有する人工タラコを得ることができる。
c.人工粒状物の弾性率等を調整することにより最高級品の天然タラコと同様のテクスチャーを有する人工タラコを得ることができ、寿司ネタとしても有効に利用できる人工タラコを低原価で量産できる。
d.ゲル形成物質、漬け込み残液や複数の漬け込み残液を組み合わせた溶液に他の添加剤や調味料、DHA,キチン,キトサン,カルシウム塩,マグネシウム塩,ビタミンC,E等の機能性材料等を加えること、またはこれらを溶解した溶液に人工粒状物を浸漬させることにより、天然のタラ子と同様の風味や色、味覚、テクスチャーを備えながら機能性を付与することができる。
e.浸潤のコントロールが容易で、塩味や薄味等の天然のタラ子の加工品と同様の人工タラ子を高い生産性で得ることができる。
f.天然のタラ子と混合することにより、天然タラ子本来のテクスチャー、味覚を向上させ天然タラコの増量化を図ることができるとともに、増量効果により生産コストの低減化を図ることができる。
g.漬け込み残液は廃棄処分され、その排水が水質汚染等の公害問題を生じていたが、人工タラコの浸潤剤として有効利用され、その廃棄量を著しく減少させることができ排水処理の負荷を著しく減少させることができる。
h.タラコを製造する際、残液中には、漬け込み時に天然タラコのバラコが発生し、該バラコは廃棄処分されていたが、人工タラコの漬け込み終了後、人工タラコとともに回収されるので、バラコの有効利用を図ることが出来る。
i.タラコ製造時の漬け込み残液を用いて人工粒状物を製造した場合は、該残液中に10〜16Vol%も溶存する水溶性タン白質等の有効成分を略全量活用することができるとともに、人工粒状物中の成分の均質化を図ることができ、また、得られた人工タラコを、乾燥保存後又は流通後消費者が使用時に水に漬けるだけで、誰でも同一規格の天然タラコと類似の人工タラコを再現できる。
l.人工粒状物の含水量が10wt%〜2wt%好ましくは7wt%〜3wt%に調整されているので、人工粒状物に多量の漬け込み残液を吸収させることができる。
m.漬け込み残液を吸収しているので、漬け込み残液中のエキス等の旨味成分や呈味成分により天然のタラコと同様の風味や旨味、呈味を有することができる。
n.漬け込み残液を多量に吸収するので漬け込み残液を有効に活用でき、高BOD値や高COD値を有する水質汚濁源の発生量を著しく低減させることができる。
d.人工タラコ漬け込み残液の浸透圧を容易にコントロール出来るとともに、天然の調味済タラコやバラ子と混合ないしは天然タラコの卵巣内に注入した際でも浸透圧の影響を受けることがないため、風味、味覚、色沢、テクスチャ−の均一感が保たれる。
e.人工粒状物の保存性を高めることが出来、原料の流通、保管が容易であり、生産コストを削減することが出来る。
請求項2の構成により、作用a乃至iの他、以下の作用が得られる。
f.人工タラコの浸潤膨化の調整や作業が容易であり、出来上がった人工タラコの各粒子の栄養成分、調味成分、色素成分等の含有量を容易に一定化できる。
g.各成分がゲル形成時に練合されているので短時間での浸潤、膨化も可能であり生産時の調味浸潤時間を含め大幅に短縮することが出来、生産性を高めるとともに、生産コストを削減することが出来る。
h.人工粒状物の含水量が所定量に調整されているので、多量の清水を吸収するととも に浸透圧の作用で深部まで漬け込み残液が希釈され均一な濃度にすることができる。
i.前記残液中のエキス等の旨味成分や呈味成分がゲル形成工程で人工粒状物に均一に含有されているので、浸潤、膨化工程の作業性が高まると共に、各粒状物の味覚、色沢有用成分を均一にすることができる。
【0007】
ここで、人工粒状物の粒径が5mmよりも大きくなるにつれ、用途にもよるが浸潤性の不均一化に伴いテクスチャーがバラツくという傾向が現れ出し、また、粒径が0.4mmよりも小さくなるにつれ、浸潤した際ベトつき感によりテクスチャーが低下するという傾向が現れ出すので好ましくない。特に、粒径が10mmを越えたり又は0.1mmよりも小さい場合はこれらの傾向が著しいので好ましくない。
人工粒状物の粒径を0.5〜1.0mmにした場合は、漬け込み残液で又は清水で膨潤した際、完熟卵と大きさが変わらず、ツブツブ感があって完熟卵と同様のテクスチャーが得られるので好ましい。
【0008】
ここで、請求項1の場合、人工粒状物の含水量が7wt%よりも多くなるにつれ旨味成分や呈味成分の吸収量が少なくなるので、漬け込み残液の種類にもよるが、味が薄くなるという傾向が認められ、また、3wt%よりも少なくなるにつれ漬け込み残液の吸収に長時間を要し、生産性を低下させるという傾向が認められるのでいずれも好ましくない。特に、該含水量が10wt%よりも多くなるか又は2wt%よりも少なくなるとこれらの傾向が一層強まるとともに人工粒状物の劣化を極端に早めたり物性の劣化により使用ができなくなることがあるので好ましくない。
請求項2の場合、人工粒状物の含水量が7wt%よりも多くなるにつれ人工粒状物の保存時の劣化が早まり、浸潤、膨化した際の風味や味覚、色沢が劣ってくるという傾向が認められ、また、3wt%より少なくなるにつれ清水の吸収に長時間を要し、生産性を低下させるという傾向が認められるのでいずれも好ましくない。
【0009】
本発明の請求項に記載の人工タラコは、請求項1又は2において、前記人工粒状物の原料である前記ゲル形成物質が、a.澱粉類と、グルコマンナン及び/又はデキストリンを主とした混合物、若しくはb.こんにゃく粉を主とした混合物である構成を有している。
この構成により、請求項1又は2で得られる作用の他、以下の作用が得られる。
a.澱粉類とグルコマンナンを主とした人工粒状物により得られる作用としては、
・浸潤膨化工程の時間を容易にコントロールすることができるため、従来の天然タラコの加工や工程時間に合わせた人工タラコを提供することができる。
・水酸化カルシウム等のpHに影響を及ぼす凝固剤の使用量を最少限に押さえることができるので、天然タラコと同様の風味、色、味覚、テクスチャーを人工タラコに備えることができる。
・弾性の調整が容易であり浸潤性および保水性に優れ、天然タラコ本来のテクスチャーを高めるとともにドリップの少ない人工タラコを提供できるので呈味成分の流出を防ぐとともに商品劣化を防止できる。
b.澱粉類とデキストリンを主とした人工粒状物により得られる作用としては、
・低コストで人工粒状物を生産することができる。
・凝固剤を用いる必要性がないので、天然タラコそのものの味覚を損なうことがない。
・浸潤性に優れているので、浸潤・膨化工程を短時間で行うことができる。
・老化し難く耐凍性に優れるとともに、人工粒状物を冷凍、解凍した際の復元性に優れる。
c.澱粉類とグルコマンナン及びデキストリンを主とした人工粒状物により得られる作用としては、
・架橋構造の強さと共に耐凍性に優れており、人工粒状物を冷凍・解凍した際の復元性に優れる。
・浸潤性、保水性共に優れており、浸潤・膨化工程を短時間で行え、残液中の有用成分の保持能力も高い。
・水酸化カルシウム等のPHに影響を及ぼす凝固剤の使用を最小限に押さえることができるので天然タラコの加工品と同様の風味、色、味覚、テクスチャーを人工タラコに備えることができる。
d.こんにゃく粉を主とした人工粒状物により得られる作用としては、
・弾性が強く、保水性に優れているので、未熟卵、過熟卵と混合して用いることにより、人工タラコに完熟卵の持つツブツブ感を与えることができ、その利用性を高めることができる。
・漬け込み残液中の有用成分を人工粒状物製造時に添加した場合その保持能力が高く、その後の加工による成分の損失を防ぐことができる。
e.いずれも復元性に優れているので人工粒状物の浸潤、膨化工程を短縮することができ、人工タラコの生産性を高めることができる。
f.耐熱性に優れた人工粒状物を提供できるので、人工タラコとして使用するに際しての調理のレパートリーを拡げることができる。
【0010】
ここで、でん粉類は、稲,小麦,とうもろこし,馬鈴薯から得られるA形でん粉、カタクリ,カンナ等の根茎でん粉からなるB形でん粉、甘薯,タピオカ、豆類から得られるC形でん粉のいずれか1種以上が用いられる。
これにより、天然タラコと同等の弾力性を得ることができるとともに、架橋構造が安定しドリップがなく耐凍性に優れる。また、用途に応じて粘弾性のコントロールを容易に行うことができる。架橋構造が安定し弾力性に優れているので天然魚卵特有のテクスチャーを容易に再現することができる。という作用が得られる。
【0011】
でん粉は生産性の面でC型でん粉乃至テクスチャーの安定性の面で結晶構造の安定しているA型とC型でん粉の混合型、粘弾性コントロールの面でA型とB型の混合型というような特徴を生かして組合せや混合比を変えることにより、使用用途に合わせた人工タラコを得ることができる。
でん粉はα化し易いでん粉が好適に使用される。容易に粘性を得ることが出来るためである。
【0012】
こんにゃく粉としては、こんにゃく精粉が用いられる。
上記デンプンと同様にして、人工粒状物の製造時に加える清水又は残液量を少なめに調整することによりテクスチャーの面でツブツブ感を高めることができる。また、人工粒状物に光沢を与えることができるので、人工タラコの色沢を高め、新鮮な色合いを出すことができる。
また、粘着力、保水力が高まり、漬け込み残液中の有用成分を加えた場合、二次加工等による有用成分の流出、損失を防止できる。
【0013】
本発明の請求項に記載の人工タラコは、請求項において、前記人工粒状物の原料である前記ゲル形成物質の前記a及びbの混合物に、ゼラチン、澱粉糖、ガム類の1種以上を含有している構成を有している。
この構成により、請求項で得られる作用の他、以下の作用が得られる。
a.でん粉類やグルコマンナン,ゼラチン,ガム類に後でタラコ製造時の漬け込み残液を加えることだけで人工タラコとすることができる。
b.浸潤性および保水性を向上させ、天然タラコと同様の風味、色、味覚、テクスチャーを有する人工タラコを容易に得ることができる。
c.配合割合を変えるだけで弾力性や浸潤性および保水性等の品質特性のコントロールを容易に行うことができ、目的とする天然タラコ様の人工タラコを簡単に得ることができる。
d.得られた人工タラコが、弾力性や浸潤性および保水性等に優れているので、天然タラコと混合することにより、天然タラコ本来のテクスチャー、味覚を向上させることができる。
e.天然タラコと同等の弾力性を得ることができるとともに、架橋構造が安定しドリップがなく耐凍性を向上させることができる。
f.架橋構造が安定し弾力性に優れているので天然タラコ特有のテクスチャーを容易に再現することができる。
g.自由水の脱水効果やでん粉分子の再結合の阻害効果を高めα化されたでん粉の老化を抑制できるので保存時の品質の劣化を防止した人工タラコを得ることが出来る。
h.ゲル状物の固化時に用いられるアルカリ性の凝固剤の使用量を著しく削減化できる。
i.凝固剤の使用量が少ないのでpHの調整を容易に行うことができるとともに、天然タラコの味覚を人工粒状物に付与することができる。
j.長期保存時や長い流通経路でα化されたでん粉の老化を抑制し、使用時に天然タラコと同様に取り扱うことができるので、食材のデパートリーを広げることができる。
k.得られた人工タラコは保水性に優れ最適テクスチャーを保持できる。
l.α化されたでん粉の老化を抑制できるので、人工タラコの耐凍性を高め貯蔵性や流通性を高めることが出来る。
m.人工タラコの用途に応じて配合量を代えるだけで粘弾性のコントロールを容易に行うことが可能であり、テクスチャーの調整も容易に行うことができる。
n.ゾル状希釈液のゲル化に伴い水酸化カルシウム等pHに影響を及ぼす凝固剤の使用を最小限に押さえるために複数の多糖類等の生体高分子を用いほぼ中性で固化させた後に、ビーズ状や球状に形成させることにより、人工タラコの浸潤性及び保水性に優れる。
【0014】
ここで、でん粉糖の加水分解度(DE)は5<DE<50のでん粉糖が使用される。水分活性の調整や濃厚感の付与を最適にするとともに吸湿性のコントロールが行い易いためである。DEが5〜50であるので、長期保存時や長い流通過程でα化されたでん粉の老化を抑制し、使用時に天然魚卵と同様に取り扱うことができデパートリーを広げ使用性を高めることができる。保水性に優れ最適テクスチャーを保持できる。α化されたでん粉の老化を抑制できるので耐凍性を高め貯蔵性や流通性を高めることが出来る。
カラギーナン,アルギン酸及びその誘導体,寒天いずれか1種以上を用いた場合は、これにより、
a.ゾル状希釈液のゲル化に伴い水酸化カルシウム等pHに影響を及ぼす凝固剤の使用を最小限に押さえるために複数の多糖類等の生体高分子を用いほぼ中性で固化させた後に、ビーズ状や球状に形成させることにより、浸潤性および保水性に優れる。
b.自由水の脱水効果やでん粉分子の再結合の阻害効果を高めα化されたでん粉の老化を抑制できるので保存時の品質の劣化を防止できるとともにテクスチャーを保持できる。という作用を有する。
c.でん粉糖のコーティングによる防湿効果によりでん粉、デキストリン等の吸湿による、保存時の品質の劣化を防止できる。
【0015】
カラギーナン,アルギン酸及びその誘導体,寒天、ゼラチン、キサンタンガム、グアガム等のガム類やグルコマンナン,ゼラチン又はこれらの混合物は、用途(イクラ様、明太子等)に応じてゲル強度を変えるために選択して使用される。
粉あめ,酸糖化水あめ,酵素糖化水あめ,麦芽水あめ,米あめ,マルトデキストリン(でん粉糖)のいずれか1種以上を用いる場合は、DE(でん粉糖の加水分解度)は5〜50の物が用いられる。
これにより、ゲル状物の固化時に用いられるアルカリ性の凝固剤の使用量を著しく削減化できる。凝固剤の使用量が少ないのでpHの調整を容易に行うことができる。pHが中性に近いので天然魚卵の味覚を損なうことがない。という作用が得られる。
【0016】
人工粒状物の組成は、澱粉粒を用いる場合は、a.前記でん粉類が10〜90wt部、好ましくは20〜40wt部と、b.前記グルコマンナン,又はゼラチン,多糖類、ガム類のいずれか1種以上が1〜15wt部、好ましくは5〜10wt部と、c.前記でん粉糖溶液(BRIX=70〜90)又はデキストリン溶液(BRIX=70〜90)が150〜300wt部、好ましくは180〜250wt部と、を含有する構成を有している。
また、こんにゃく粉を用いる場合は、a.こんにゃく粉が1〜15wt部、好ましくは、0.5〜8.5wt部が、前記でん粉類に代えて用いられる。これにより、前述のでん粉類を用いたものと同様の作用が得られる。
【0017】
ここで、でん粉類が40wt部よりも多くなるにつれ、架橋構造の強度の低下により、保水性や弾力性が低下していくという傾向が現れ出し、又、でん粉が20wt部よりも少なくなるにつれ、架橋構造の強度が上がりすぎて脆くなりやすいという傾向が現れ出しやすいので、いずれも好ましくない。特に、でん粉が10wt部よりも少ないか90wt部よりも多い場合はこれらの傾向が著しいのでいずれも好ましくない。
こんにゃく粉が0.5wt部よりも少なくなるにつれ、弾性の低下、粘性の増加と共にテクスチャーの低下、保水性が低下していくという傾向が現れ出し、また、3.0wt部よりも多くなるにつれ固化力が強くなりテクスチャーの低下、浸潤性が低下する傾向が現れ出すので、いずれも好ましくない。特に、こんにゃく粉が1wt部よりも少ないか15wt部よりも多い場合はこれらの傾向が著しいのでいずれも好ましくない。
【0020】
次に、人工粒状物の製造方法の一例を示す。 a.でん粉類10〜90wt部、好ましくは20〜40wt部に、グルコマンナン、ゼラチン、多糖類、凝固剤のいずれか1種以上を1〜20wt部、好ましくは5〜20wt部を添加混合し、水を150〜400wt部、好ましくは250〜350wt部を混合し、前記でん粉を加熱しながらα化し、グルコースの平均重合度を4000〜5000に調整するα化でん粉含有ゾル生成工程と、b.次いで、前記工程で得られた粘調な粒状物素材をスリットや孔部を備えた成型器で粒状化する造粒化工程又はローラー部を備えた延圧機等で薄板状に成形する薄板成形工程と、c.次いで、60℃〜97℃、好ましくは85℃〜93℃で加熱攪拌後、冷却するゲル形成工程と、d.次いで、でん粉糖溶液(BRIX=70〜90)を150〜300wt部、好ましくは180〜250wt部を加え、攪拌含浸させる含浸工程と、e.次いで、これを乾燥する乾燥工程と、f.次いで、ミル等の破砕器で10mm〜0.1mm、好ましくは5〜0.4mmに破砕後、整粒機、ふるい機で分球する整粒化工程と、を有している。
【0021】
ここで、グルコースの平均重合度を4000〜5000に調整することにより人工粒状物に最適のテクスチャーを持たせることができる
α化でん粉含有ゾル生成工程での加熱温度は60〜90℃に調整される。
これにより、加工使用時の物性再現性を高めることができる。
ゲル形成工程での加熱温度は75℃〜93℃に調整される。
これにより、所期の物性を有しながら最適の流動性が得られ生産性を高めることが出来る。という作用を有する。
【0022】
造粒化工程で用いられる成形器としては、円筒式造粒機、網式造粒機等の製剤加工機械や製麺機等が用いられる。薄板成形工程で用いられる成形器としては、エクストルーダー、ドラムドライヤー、延圧ローラー等の加工機械が用いられる。
乾燥工程としては、70℃以上での温風乾燥法、遠赤外線乾燥法等の加熱乾燥、乃至は真空低温乾燥法、乃至は凍結乾燥法による冷却乾燥法が主に用いられる。速やかな乾燥工程を備えたことにより、人工粒状物の架橋構造における分子間結合を安定化させ、均一で安定した弾力性を持たせることが出来ると共に長時間でんぷんの老化を防止することが出来る。
整粒化工程で用いられる破砕器としては、ジェットミル、パワーミル等が好適に用いられ、これにより粉砕後、整粒機、ふるい機により粒径を整える。粒径を10〜0.1mm、好ましくは5〜0.4mmに整えることにより、調味液等への漬込み加工等の際に溶媒の浸潤に伴う膨化時に目的とする天然魚卵等の粒径に合わせることができる。例えば、明太子のバラコを生産する場合は、粒径を0.5〜0.6mmに粒径を調整して調味液へ漬込むことにより明太子のバラコと略同一の粒径(略1mm)にすることができる。
【0023】
請求項2乃至に記載の人工粒状物の製造方法は、a.こんにゃく精粉、グルコマンナン、ゼラチン、多糖類、凝固剤のいずれか1種以上を1〜15wt部、好ましくは5〜10wt部に、前記漬け込み残液を250〜400wt部、好ましくは270〜350wt部を混合し、前記でん粉を10〜90wt部、好ましくは20〜40wt部を少しずつ加え、加熱しながらα化し、グルコースの平均重合度を4000〜5000に調整するα化デンプン・タンパク含有ゾル生成工程と、b.次いで、前記工程で得られた粘調な粒状物素材をスリットや孔部を備えた成型器で粒状化する造粒化工程、又はローラー部を備えた延圧機等で薄板状に成形する薄板成形工程と、c.次いで、60℃〜97℃。好ましくは75℃〜93℃で加熱攪拌後、冷却するゲル形成工程と、d.次いで、でん粉糖溶液(BRIX=70〜90)を150〜300wt部、好ましくは180〜250wt部を加え、攪拌含浸させる含浸工程と、e.次いで、これを乾燥する乾燥工程と、f.次いで、ミル等の破砕器で10mm〜0.1mm、好ましくは5〜0.4mmに破砕後、整粒機、ふるい機で分球する整粒化工程と、を有している。
【0025】
本発明の請求項に記載の人工タラコは、請求項1乃至の内いずれか1項において、前記漬け込み残液がタラやスケトウダラの卵巣からタラコを製造する際の一段漬け込み処理時に用いられた漬け込み残液を主とした溶液からなる構成を有している。
これにより、請求項1乃至の内いずれか1項で得られる作用に加えて以下の作用を有する。
a.天然のタラや、スケトウダラの卵巣を一段漬け込みした際、浸透圧により滲出したエキス分と漬け込み液の塩分や調味成分で天然タラコと同様の旨味や呈味を付与することができる。
b.人工タラコに浸潤された前記漬け込み液の残液がタラやスケトウダラの卵巣を一段漬け込み処理する際に用いられた漬け込み液の残液を主成分としているので、一段漬け込み処理で得られた天然のタラコと同等の風味や味覚を得ることができる。
c.天然タラコのツブツブ感(粒子感)を高めるとともに増量化を図ることができる。
d.一段漬け込み処理する際に用いられた漬け込み液の残液のエキス分等の水溶性タンパク質を有効に利用することができる。
【0026】
本発明の請求項に記載の人工タラコは、請求項1乃至の内いずれか1項において、前記漬け込み残液がタラやスケトウダラの卵巣から天然タラコを製造する際の二段漬け込み処理時における、塩漬処理する際に用いられた一次漬け込み残液、及び/又は前記塩漬処理された前記卵巣を調味液漬処理する際に用いられた二次漬け込み残液を主とした溶液からなる構成を有している。
これにより、請求項1乃至の内いずれか1項において得られる作用に加えて以下の作用を有する。
a.天然のタラや、スケトウダラの卵巣を一次漬け込み液で漬け込みした際、一次漬け込み液の高濃度の塩分の浸透圧により滲出したエキス分と一次漬け込み残液中の塩分等で天然のタラコと同様の旨味や呈味を付与することができる。
b.天然のタラや、スケトウダラの卵巣を二次漬け込み液で漬け込みした際に、二次漬け込み液の塩分や調味料の浸透圧により滲出したエキス分と二次漬け込み残液中の塩分や調味料で味付けされるので天然タラコと同様の呈味、旨味を出すことができる。
c.漬け込み液中のバラコが人工タラコと混合され利用されるので、天然タラコの浪費を防ぐことができる。
d.天然タラコのツブツブ感(粒子感)を高めるとともに増量化を図ることができる。
e.二段漬け込み処理する際に用いられた漬け込み液の残液のエキス分等の水溶性タンパク質を有効に利用することができる。
f.二次漬け込み加工がされている天然タラコの辛子明太子と同等の品質を有する人工タラコを得ることができる。
【0027】
ここで、請求項又はに記載の漬け込み残液には清水や食塩、食用色素、機能性添加物、コンブのエキスや柚子、唐がらし等の香料が添加混合される。清水や食塩、食用色素を添加することにより漬け込み残液の濃度を漬け込み液の濃度に合わせことができ品質の均質化を図ることが出来る。また、機能性添加物を加えることにより栄養価を高めることができる。コンブのエキスや柚子、唐がらし等の香料を加えることにより味覚に彩りを添え食欲を増進しまた食材の広がりを図ることが出来る。
【0028】
尚、請求項又はにおいて、漬け込み残液や該漬け込み残液を主成分とした溶液に機能性添加剤を加えた場合、添加剤の種類に応じた添加効果を得ることが出来る。機能性添加剤としては、オリゴ糖、DHA,キトサン、カルシュウム塩、鉄塩、ポリフェノール等が用いられる。
【0029】
本発明の請求項に記載の人工タラコは、請求項1乃至の内いずれか1項において、前記漬け込み残液が、UV殺菌、高圧殺菌等によって滅菌処理されていること、又は遠心分離によって分画されていること若しくは精密濾過法で除菌されている構成を有している。
これにより、請求項1乃至の内いずれか1項において得られる作用に加えて以下の作用を有する。
a.請求項1乃至の人工タラコの呈味、色沢を保ったまま、一般生菌の増殖を大幅に抑えることが出来るので、人工タラコ及び人工タラコと天然タラコを混合して使用した場合にでも商品の品質保持期間を高めることが出来る。
b.微少な夾雑物まで除去されるので、商品の品質を高めることが出来る。
c.漬け込み残液を新鮮な漬け込み液と同様に使用でき、原料の有効利用を図ることができる。
【0030】
ここで、遠心分離により得た上澄み液部分への除菌、殺菌処理を行うことにより、作業を円滑に行うことができると共に、殺菌処理による、漬け込み残液中のタンパク質の変化を防ぐことができる。精密濾過法としては、濾過膜素材として膜の孔径が約0.01〜10μmの、セルロース、ポリアミド、ポリサルホン、四フッ化エチレン、セラミック、ガラス、メンブレンフイルター等が用いられる。モジュールとしては平膜タイプや中空糸膜、管状タイプが用いられる。
【0031】
本発明の請求項に記載のタラコ加工食品は、請求項1乃至の内いずれか1項に記載の人工タラコの100wt部に、調味加工されていない天然のスケソウダラの魚卵10〜250wt部好ましくは40〜150wt部が混合されている構成を有している。
これにより、以下の作用が得られる。
a.塩漬加工後の天然スケソウダラの魚卵と一次残液のみを用いた人工タラコを混合することにより
(1)塩漬加工のみを行った塩タラコの味覚、色沢を持たせたままテクスチャーを高めることができる。
(2)ドリップ量を減らすことができ品質の保持を従来より低塩分で行うことができる。
(3)テクスチャーの向上、歩留の向上、機能性の附与を目的として、人工タラコと天然のスケソウダラの魚卵を混合した後に二次調味加工をする場合、同じ調味液に同時間浸潤することが出来るので味覚、色沢を容易に均一にすることが出来る。
(4)人工タラコは色沢の安定性に優れている為、従来タラコ加工に使用されている発色剤(亜硝酸Na、亜硝酸K)の製品当たりの使用量を減らすことが出来る。
【0032】
ここで、天然のスケソウダラの魚卵としては、完熟卵の他、未熟卵、過熟卵が用いられる。
未熟卵、過熟卵を用いた場合には、テクスチャー、外観を高級品に近づけることができ、商品価値を高めることができる。
完熟卵と混合することにより、従来に近い商品性を保たせたまま、低価格での提供ができる。
天然のスケソウダラの魚卵は、混合量が40wt部よりも少なくなるにつれ、呈味やテクスチャーの面で違和感が現れるという傾向が認められ、150wt部よりも多くなるにつれ生産コストが上昇するとともに天然スケソウダラの魚卵が有する長所、欠点が強く現れるという作用が認められ、好ましくない。
【0033】
本発明の請求項に記載のタラコ加工食品は、請求項1乃至の内いずれか1項に記載の人工タラコの100wt部に、一段漬け込み処理で調味加工された天然のタラコ及び/又は二段漬け込み処理で調味加工された天然のタラコが、10〜250wt部好ましくは40〜150wt部混合された構成を有している。
これにより、以下の作用を有する。
a.人工タラ子が天然タラコと同様の風味や味覚、色、テクスチャーを有しているので、天然タラコと混合しても風味や味覚、色、テクスチャーが均質化し天然タラコの一体物として流通できる。
b.天然タラコの増量化を図ることが出来る。
c.従来の増量剤ではあり得なかったツブツブ感を高め、なおかつ増量化を行うことができる。
ここで、人工タラコに対する調味加工された天然タラコの添加量は、人工タラコ100wt部に対し40〜150wt部が好適に混合される。該天然タラコの添加量は40wt部よりも少なくなるにつれテクスチャ−の面で多少の違和感が現れるという傾向が認められ、又150wt部よりも多くなるにつれ生産コストが上昇するとともに、天然タラコが有する長所、欠点が強く現れるという傾向が認められるので好ましくない。特に、10wt部よりも少ないか、又は250wt部よりも多くなると、混合される天然タラコの種類や加工方法にもよるが、これらの傾向が著しいので好ましくない。
【0034】
本発明の請求項10に記載のタラコ加工食品は、請求項において、前記人工タラコが、前記人工タラコと混合される前記スケトウダラ等の卵巣の漬け込み残液で浸潤、膨化された構成を有している。
これにより、請求項で得られる作用に加えて、以下の作用を有する。
a.天然タラコと同一の漬け込み液が人工タラコに浸潤されているので、天然タラコと同一の味や色を有し、該天然タラコと混合しても違和感をあたえることがない。
b.漬け込み液中のバラコが人工タラコと混合され利用されるので、天然タラコの浪費を防ぐことが出来る。
c.漬け込み液の成分が同一なので浸透圧の調整が容易で混合した際の色沢、味覚等が均質化しかつ安定性に優れている。
d.完成度の高い一段漬け込み処理や二段漬け込み処理で得られた天然タラコに限りなく近いタラコ加工食品を低価格で安定的に提供できる。
【0035】
本発明の請求項11に記載人工タラコの製造方法は、請求項1,3,4の内いずれか1項に記載の人工粒状物100wt部に対し、請求項に記載の漬け込み残液50〜200wt部好ましくは60〜160wt部に1乃至28時間前記人工粒状物を浸漬、浸潤し、天然タラコと同一程度の大きさに膨化させる浸潤膨化工程有する構成を有している。
【0036】
これにより、以下の作用を有する。
a.該残液中の水溶性タンパク質等の有効成分を活用し、廃液となる漬け込み残液を完全に利用でき、排水処理の負荷を著しく軽減することができるとともにその生産方法は容易であり、大幅なコスト削減ができる。
b.漬け込み残液を用いることにより、呈味、色覚を天然タラコに限りなく近づけるとともに容易に浸透圧の調整ができるため、混合した際に味覚、色沢を均質化しかつ安定性に優れている。
c.短時間で調味タラコと同様の呈味、色沢、テクスチャーを持った人工タラコを得ることができる。
d.ツブツブ感を持った増量剤としての利用価値が高くかつ生産コストを削減できる。
e.一次加工タラコ(天然産の塩タラコ)、二次加工タラコ(天然産の辛子明太子)に最適な人工粒状物を容易に作ることができる。
ここで、人工粒状物100wt部に対し、漬け込み残液は50wt部〜200wt部好ましくは60wt部〜160wt部を加えるが、漬け込み残液が60wt部よりも少なくなるにつれ味覚や色沢の低下、混合した際の味覚や色沢のバラツキが認められるという傾向が現れ、又160wt部よりも多くなるにつれドリップの発生による製品の劣化や粒子感の低下が認められるという傾向が現れるので好ましくない。特に、50wt部よりも少ないか、又は200wt部よりも多くなると、混合される天然タラコの種類や加工方法にもよるが、これらの傾向が著しいので好ましくない。
【0037】
本発明の請求項12に記載の人工タラコの製造方法は、請求項2乃至の内いずれか1項に記載のゲル形成物質100wt部に対し、請求項に記載の漬け込み残液を50〜200wt部好ましくは60〜160wt部加え混合する混合工程と、得られた前記人工粒状物前記清水又は前記漬け込み残液に1乃至28時間浸漬、浸潤し、天然タラコと同一程度の大きさに膨化させる浸潤膨化工程と、を有する構成を有している。
これにより、以下の作用を有する。
a.人工粒状物のゲル化工程時に請求項に記載の漬け込み残液を加えているので各粒子に含まれる呈味成分、色沢成分、栄養成分等の均一性が優れており、人工粒状物の浸潤・膨化工程時における作業性が高まると共に、人工タラコの粒子間における味覚、色沢、栄養成分等のバラつきを防止できるという作用を有する。
ここで、人工粒状物100wt部に対し、漬け込み液の残液が60wt部よりも少なくなるにつれ均一なゲルの形成が行われにくくなりテクスチャーのバラつきが認められたり、味覚や色沢の低下、混合した際の味覚や色沢のバラつきが認められるという傾向が現れ、又160wt部よりも多くなるにつれドリップの発生による製品の劣化や粒子感の低下が認められるという傾向が現れるので好ましくない。特に、50wt部よりも少ないか、又は200wt部よりも多くなると、混合される天然タラコの種類や加工方法にもよるが、これらの傾向が著しいので好ましくない。
【0038】
本発明の請求項13に記載の人工タラコの製造方法は、請求項1,3,4の内いずれか1項に記載の人工粒状物100wt部に対し、請求項に記載の一次漬け込み残液及び二次漬け込み残液の混合溶液50〜200wt部好ましくは60〜160wt部に1乃至28時間前記人工粒状物を浸漬、浸潤し、天然のタラコと同一程度の大きさに膨化させる浸潤膨化工程有する構成を有している。
これにより、以下の作用を有する。
a.該残液中の水溶性タンパク質等の有効成分を活用し、廃液となる漬け込み残液を完全に利用でき、排水処理の負荷を著しく軽減することができるとともにその生産方法は容易であり、大幅なコスト削減ができる。
b.漬け込み残液を用いることにより、呈味、色覚を天然タラコに限りなく近づけるとともに容易に浸透圧の調整ができるため、混合した際に味覚、色沢を均質化しかつ安定性に優れている。
c.短時間で調味タラコと同様の呈味、色沢、テクスチャ−を持った人工タラコを得ることができる。
d.ツブツブ感を持った増量剤としての利用価値が高くかつ生産コストを削減できる。
e.一次漬け込み残液と二次漬け込み残液の混合比を調整することにより人工タラコの塩濃度を容易に調整することが出来ると共に味覚の調整を行いやすい。
f.短時間で高級調味タラコと同様の味覚、色沢、テクスチャーを持った人工タラコを得ることが出来るので高級調味タラコに最適な人工粒状物を作ることができる。
【0039】
ここで、人工粒状物100wt部に対し、一次漬け込み残液及び二次漬け込み残液の混合溶液50〜200wt部好ましくは60〜160wt部を加えるが、混合溶液が60wt部よりも少なくなるにつれ人工タラコのテクスチャーが天然タラコよりも硬くなる、味覚、色沢のバラつきが出るという傾向が認められ、又160wt部よりも多くなるにつれ凍結解凍時のドリップ発生量が増えると共に品質の劣化を早めるという傾向が現れるので好ましくない。特に、50wt部よりも少ないか、又は200wt部よりも多くなると、混合される天然タラコの種類や加工方法にもよるが、これらの傾向が著しいので好ましくない。
また、一次漬け込み残液(a)及び二次漬け込み残液(b)の混合比(a/b)は、一次漬け込み残液60〜90wt部に対し二次漬け込み残液40〜10wt部好ましくは一次漬け込み残液70〜85wt部に対し二次漬け込み残液30〜15wt部 一次漬け込み残液が60wt部よりも少なくなるにつれ人工粒状物へ浸潤した場合、塩濃度が低くなりすぎ水溶性タンパク質の浸潤量が少なくなり、味覚の違和感が強くなると共に商品の劣化が早まるという傾向が認められる。また90wt部よりも多くなるにつれ人工粒状物の残留塩濃度が高くなり、調味成分が少ない状態の塩味が強くなることにより調味タラコと混合した場合の味のバラつきが現れるという傾向が認められるのでいずれも好ましくない。
【0040】
本発明の請求項14に記載の人工タラコの製造方法は、請求項1,3,4の内いずれか1項に記載の人工粒状物100wt部に対し、請求項に記載の一次漬け込み残液30〜200wt部好ましくは50〜150wt部、又は、二次漬け込み残液10〜200wt部好ましくは20〜150wt部1乃至28時間前記人工粒状物を浸漬、浸潤し、天然のタラコと同一程度の大きさに膨化させる浸潤膨化工程有する構成を有している。
これにより、以下の作用を有する。
a.人工粒状物の浸潤に一次漬け込み残液のみを用いた場合は、天然タラコを一次漬け込み残液のみで塩漬加工した塩タラコに最適なテクスチャー、味覚、色沢を備えた人工タラコを容易に得ることができる。
b.前記a.により加工された人工タラコを一次漬け込み加工済の天然のタラコと混合した後、二次漬け込みを行えば、従来の高級品の加工方法のまま、テクスチャー、味覚、色沢が均一で高級調味タラコと同様の人工タラコと天然タラコの混合タラコを容易に生産できる。
c.二次漬け込み残液のみを用いることにより風味が高まり低塩でマイルドな味覚の人工タラコを提供できる。
【0041】
ここで、人工粒状物100wt部に対し、一次漬け込み残液は30〜200wt部好ましくは50〜150wt部が添加されるが、漬け込み液の残液が50wt部よりも少なくなるにつれ硬さによるテクスチャーの低下、水溶性タンパクの減量による味覚の低下、色沢のバラつきが認められるという傾向が現れ、又150wt部よりも多くなるにつれベトつき感によるテクスチャーの低下、ドリップの発生による品質の劣化が認められるという傾向が現れるので好ましくない。特に、30wt部よりも少ないか、又は200wt部よりも多くなると、混合される天然タラコの種類や加工方法にもよるが、これらの傾向が著しいので好ましくない。
また、人工粒状物100wt部に対し、二次漬け込み残液は10〜200wt部好ましくは20〜150wt部が添加されるが、漬け込み液の残液が20wt部よりも少なくなるにつれ硬さによるテクスチャーの低下、色沢のバラつき、味覚の低下が認められるという傾向が現れ、又150wt部よりも多くなるにつれベトつき感によるテクスチャーの低下、調味成分による味覚の強度が高すぎ味覚低下、ドリップの発生による品質の劣化が認められるという傾向が現れるので好ましくない。特に、10wt部よりも少ないか、又は200wt部よりも多くなると、混合される天然タラコの種類や加工方法にもよるが、これらの傾向が著しいので好ましくない。
【0042】
本発明の請求項15に記載の人工タラコの製造方法は、請求項2乃至の内いずれか1項に記載のゲル形成物質100wt部に対し、請求項に記載の一次漬け込み残液及び二次漬け込み残液の混合溶液50〜200wt部好ましくは60〜160wt部を加え混合する混合工程と、得られた人工粒状物を清水又は前記漬け込み残液に1乃至28時間浸漬、浸潤し、天然タラコと同一程度の大きさに膨化させる浸潤膨化工程と、を有する構成を有している。
これにより、以下の作用を有する。
a.人工粒状物の製造時に残液を用いることにより、人工粒状物の各粒子に塩分、調味成分、水溶性タンパク、色素等が均一に含まれている為浸漬、浸潤加工を行った場合、味覚、色沢が均一な人工タラコを生産できる。
b.浸漬、浸潤工程が主として人工粒状物に天然タラコに近いテクスチャーを持たせる目的であり、短時間でテクスチャー、味覚、色沢を持った人工タラコの生産が可能であり、浸潤、膨化の生産効率を上げることが出来る。
c.浸潤、膨化に清水を用いることにより、一般の家庭で人工粒状物を用いた場合、同じ品質を持った人工タラコを容易に再現出来る。
ここで、人工粒状物100wt部に対し、一次漬け込み残液及び二次漬け込み残液の混合溶液50〜200wt部好ましくは60〜160wt部を添加されるが、該混合溶液が60wt部よりも少なくなるにつれ、(1)味覚、色沢が薄くなり違和感を感じる。(2)α化デンプン・タンパク含有ゾル生成工程でのゾル形成物質の粘性が強くなり、人工粒状物各粒子間の成分バラつきが認められるという傾向が現れ、又160wt部よりも多くなるにつれ、(1)味覚、色沢が濃くなり違和感を感じる。(2)α化デンプン・タンパク含有ゾル生成工程でのゾル形成物質の粘性が弱くなり、人工粒状物各粒子間の成分バラつきが認められるという傾向が現れるので好ましくない。特に、50wt部よりも少ないか、又は200wt部よりも多くなると、混合される天然タラコの種類や加工方法にもよるが、これらの傾向が著しいので好ましくない。
【0043】
本発明の請求項16に記載の人工タラコの製造方法は、請求項2乃至の内いずれか1項に記載のゲル形成物質100wt部に対し、請求項に記載の一次漬け込み残液30〜200wt部好ましくは50〜150wt部、又は、二次漬け込み残液10〜200wt部好ましくは20〜150wt部を加え混合する混合工程と、得られた人工粒状物を清水又は前記漬け込み残液に1乃至28時間浸漬、浸潤し、天然タラコと同一程度の大きさに膨化させる浸潤膨化工程と、を有する構成を有している。
これにより、以下の作用を有する。
a.人工粒状物の各粒子に調味成分等を均一に含ませることが出来るので均一な規格の人工タラコを短時間で生産することが出来る。
b.一次漬け込み残液を用いた場合は、塩漬加工を行った塩タラコに近似したテクスチャー、味覚、色沢を持った人工タラコを容易に再現出来る。
c.二次漬け込み残液を用いた人工タラコを調味済天然タラコと混合して使用する際、低塩分、機能性を持たせた生品の生産ができる。
ここで、人工粒状物100wt部に対し、一次漬け込み残液は30〜200wt部好ましくは50150wt部が添加されるが、漬け込み液の残液が50wt部よりも少なくなるにつれ味覚が薄くなり違和感が出る、α化デンプン・タンパク含有ゾル生成工程でのゲル形成物質の粘性が強くなり過ぎたり、逆に弱すぎたりする為、人工粒状物各粒子間の成分バラつきが認められるという傾向が現れ、又150wt部よりも多くなるにつれ人工粒状物の塩濃度が高くなり過ぎ、塩味を強く感じる傾向が認められるので好ましくない。特に、30wt部よりも少ないか、又は200wt部よりも多くなると、混合される天然タラコの種類や加工方法にもよるが、これらの傾向が著しいので好ましくない。
また、人工粒状物100wt部に対し、二次漬け込み残液は10〜200wt部好ましくは20〜150wt部が添加されるが、漬け込み液の残液が20wt部よりも少なくなるにつれ味覚、色沢が薄くなり違和感が出る、混合工程でのゲル形成物質の粘性が強くなり、人工粒状物各粒子間の成分バラつきが認められるという傾向が現れ、又150wt部よりも多くなるにつれ調味成分濃度が高くなり、一次漬け込み又は二次漬け込みを行った天然タラコと混合して用いた場合、本来の味覚、色沢を損なう傾向が現れるので好ましくない。特に、10wt部よりも少ないか、又は200wt部よりも多くなると、混合される天然タラコの種類や加工方法にもよるが、これらの傾向が著しいので好ましくない。
【0044】
請求項13乃至16に記載された各漬け込み残液は、一次漬け込み液、二次漬け込み液の残液のみならず、各漬け込み処理後にスケトウダラの卵巣を絞る絞り工程での絞り液も含まれる。
これにより全ての残液や絞り液まで有効に利用するので、排水処理の負荷を著しく軽減化できるとともに、エキス分等の未利用有効成分を食材として活用できる。
【0045】
本発明の請求項17に記載の人工タラコの製造方法は、請求項11、13、14の内いずれか1項において、前記浸潤膨化工程で用いる前記漬け込み残液100wt部に、食塩が1〜3wt部好ましくは1〜2wt部及び/又は食用色素0.001〜0.004wt部好ましくは0.0015〜0.003wt部添加混合されている構成を有している。
これにより、請求項11、13、14の内いずれか1項において得られる作用の他、以下の作用を有する。
a.塩漬加工又は一段漬け込み又は二段漬け込み加工を行った天然タラコと同等の塩分濃度や色素濃度となり、人工タラコと天然タラコを混合した際の味覚や色沢等が均質化し、かつその安定性に優れる。
b.天然タラコの単品と同一の賞味期限を保持することができる。
c.人工タラコ粒子と天然タラコ粒子の浸透圧がほぼ等しく賞味期限中の調味成分や色成分の粒子間の移動がほとんどない為、生品の色ムラ、味のムラを防止出来る。
【0046】
ここで、食塩は1〜3wt部好ましくは1〜2wt部が混合されるが、添加量が1wt部よりも少なくなるにつれ味覚の低下、味のバラツキ感が出てくる。また人工タラコの混合量にもよるが劣化が早まる傾向が認められるという傾向が現れ、又2wt部よりも多くなるにつれ調味天然タラコ同様の高塩分食品になるという傾向が認められるという傾向が現れるので好ましくない。特に、1wt部よりも少ないか、又は3wt部よりも多くなると、混合される天然タラコの種類や加工方法にもよるが、これらの傾向が著しいので好ましくない。
また、食用色素を0.001〜0.004wt部好ましくは0.0015〜0.003wt部と、が添加混合されるが、添加量が0.0015wt部よりも少なくなるにつれ着色した天然タラコ粒子との色の違い、バラツキ感が認められるという傾向が現れ、又0.003wt部よりも多くなるにつれ無着色の天然タラコ粒子との色の違い、バラツキ感が認められるという傾向が現れるので好ましくない。特に、0.001wt部よりも少ないか、又は0.004wt部よりも多くなると、混合される天然タラコの種類や加工方法にもよるが、これらの傾向が著しいので好ましくない。
【0047】
本発明の請求項18に記載の人工タラコの製造方法は、請求項12、15、16の内いずれか1項において、前記浸潤膨化工程で用いる前記漬け込み残液100wt部又は清水100wt部に、食塩が1〜3wt部好ましくは1〜2wt部及び/又は食用色素0.001〜0.004wt部好ましくは0.0015〜0.003wt部添加混合されている構成を有している。
これにより、請求項12、15、16の内いずれか1項において得られる作用の他、以下の作用を有する。
a.天然タラコと人工タラコを混合する際、塩漬加工又は一段漬け込み又は二段漬け込み加工を行った天然タラコの特徴に合わせた、味覚、色沢を持った人工タラコの調整を容易に出来る。
a.塩漬加工又は一段漬け込み又は二段漬け込み加工を行った天然タラコと同等の塩分濃度や色素濃度となり、人工タラコと天然タラコを混合した際の味覚や色沢等が均質化し、かつその安定性に優れる。
b.天然タラコの単品と同一の賞味期限を保持することができる。
c.人工タラコ粒子と天然タラコ粒子の浸透圧がほぼ等しく賞味期限中の調味成分や色成分の粒子間の移動がほとんどない為、生品の色ムラ、味のムラを防止出来る。
【0048】
ここで、食塩は1〜3wt部好ましくは1〜2wt部が混合されるが、添加量が1wt部よりも少なくなるにつれ味覚の低下、味のバラつき感が出てくる。また人工タラコとの混合量にもよるが劣化が早まる傾向が現れ、又2wt部よりも多くなるにつれ調味天然タラコ同様の高塩分食品になるという傾向が現れるので好ましくない。特に、1wt部よりも少ないか、又は3wt部よりも多くなると、混合される天然タラコの種類や加工方法にもよるが、これらの傾向が著しいので好ましくない。
また、食用色素を0.001〜0.004wt部好ましくは0.0015〜0.003wt部と、が添加混合されるが、添加量が0.0015wt部よりも少なくなるにつれ着色した天然タラコ粒子との色の違い、バラつき感が認められるという傾向が現れ、又0.003wt部よりも多くなるにつれ無着色の天然タラコ粒子との色の違い、バラつき感が認められるという傾向が現れるので好ましくない。特に、0.001wt部よりも少ないか、又は0.004wt部よりも多くなると、混合される天然タラコの種類や加工方法にもよるが、これらの傾向が著しいので好ましくない。
【0049】
本発明の請求項19に記載の人工タラコの製造方法は、請求項12、15、16の内いずれか1項において、ゲル形成物質に加え混合する請求項に記載の漬け込み残液100wt部又は請求項に記載の一次漬け込み残液及び二次漬け込み残液の混合溶液100wt部又は一次漬け込み残液100wt部若しくは二次漬け込み残液100wt部に、食塩が1〜3wt部好ましくは1〜2wt部及び/又は食用色素0.001〜0.004wt部好ましくは0.0015〜0.003wt部添加混合されている構成を有している。
これにより、請求項12、15、16の内いずれか1項において得られる作用の他、以下の作用を有する。
a.人工粒状物を生産する上でゲル形成物質に加える残液に食塩、食用色素を加えることにより、人工粒状物を浸潤、膨化させることにより、目的とする天然タラコに近い味覚、色沢を持った人工粒状物を容易に得ることが出来る。
【0050】
尚、請求項17、18又は19において、食用色素としては、食用黄色5号、食用赤色106号、食用赤色40号等の混合溶液が用いられる。
【0051】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。尚、本発明はこれらの記載に限定されるものではない。
〈天然タラコの製造及び漬け込み残液の回収〉
新鮮なスケトウダラから卵巣を取り出し、これを水洗し、血や汚物を除去し、新鮮な卵巣を120kg準備した。
a.一段漬け込み処理
準備された卵巣10kgを塩分濃度が10±1vol%の漬け込み液に調味料を35〜65vol%発色剤として、亜硝酸ナトリウム、及び着色料として、食用黄色、食用赤色を含有させた一段処理漬け込み液10wt部に漬け込み24時間寝かせた。次いで、卵巣を一段処理漬け込み液から取り出し、天然タラコを得、その一部の卵巣を細断した後攪拌羽根付分離機により卵粒子を押し出し、篩を通し卵粒子を取り出し、次いで、魚卵を絞り工程で加圧して絞り、一段処理漬けバラコを得た。卵巣を一段処理漬け込み液から取り出した後に得られた一段処理漬け込み液残液と絞り工程で得られた絞り液とを合わせて一段処理漬け込み残液(T−1)とした。
一段漬け込み残液(T−1)中には、一段処理漬け込み液中の食塩や調味料の浸透圧作用により該卵巣からエキス分や水溶性蛋白等の旨味成分や未利用有効成分が滲出し、更に卵巣の接合部の切れ目や卵巣膜の切れ目からバラコが流出し残存していた。
【0052】
b.二段漬け込み処理
準備された卵巣10kgを、塩分濃度が15±1vol%で亜硝酸ナトリウム及び食用黄色、食用赤色を含有した一次漬け込み液10wt部に漬け込み8時間攪拌した。次いで、卵巣を一次漬け込み液から取り出し、その一部を天然タラコとし、その残余を加圧して絞り、一次漬け込みした卵巣を得た。絞り工程で得られた絞り液と一次漬け込み時の残液を合わせて一次漬け込み残液(T−21)とした。
一次漬け込み残液中には、食塩の浸透圧作用によりエキス分や水溶性蛋白等の旨味成分や未利用有効成分が滲出し、更に卵巣の接合部の切れ目や卵巣膜の切れ目からバラコが流出し残存していた。
一次漬け込みした卵巣を、次に、塩分濃度が4±1vol%の溶液に調味料を35〜65vol%を溶解させた二次漬け込み液4wt部に漬け込み24時間のあいだ浸漬した。
次いで、卵巣を二次漬け込み液から取り出し、天然タラコとし、その一部の卵巣を細断した後攪拌羽根付分離機により卵粒子を押し出し、篩を通し、卵粒子を取り出し、加圧して絞り、二次漬け込みバラコを得た。また、絞り工程でえられた絞り液と二次漬け込み時の残液を合わせて二次漬け込み残液(T−22)とした。
二次漬け込み残液(T−22)中には、食塩や調味料の浸透圧作用によりエキス分や水溶性蛋白等の旨味成分や未利用有効成分が滲出し、更にバラコが流出し残存していた。
【0053】
一段漬け込み残液(T−1),一次漬け込み残液(T−21),二次漬け込み残液(T−22)を遠心分離した後、その上澄み部分を精密濾過法の1種であるメンブレンフィルターを用い濾過して除菌した後、下澄液と混合し、一段漬け込み残液(T−1a),一次漬け込み残液(T−21a),二次漬け込み残液(T−22a)とした。
【0054】
<人工粒状物の作製>
人工粒状物試料No.1:清水800wt部にグルコマンナンを約300wt部加えた後、小麦でんぷん等のα化しやすい加工でんぷん(澱粉類)を約75wt部を徐々に加え攪拌しながら加熱しグルコースの平均重合度を4000〜5000となるように調整された糊化でんぷんを得る。
次いで、水酸化カルシウムを含んだ凝固液中で冷却放置凝固した後、スリットを備えた成形器を通し粗粒子を形成させる。この後、15分間加熱攪拌を行なった。次いで、室温で40〜60分間放置した。この後、形成原料として水あめ(澱粉糖)の希釈液(濃度は60〜80wt%)を600wt部加え常温で1時間攪拌含浸した。 次いで、これを室温まで冷却乾燥した後、ミルで粉砕し粒径1mm±0.5mmに整粒し人工粒状物試料No.1を得た。
【0055】
人工粒状物試料No.2:清水600wt部に、豆でんぷん(澱粉類)70wt部加え攪拌しながら加熱しゾル状希釈液と均一に混合できるようグルコースの平均重合度を4000〜5000となるように調整された糊化でんぷんを得る。
次に、ゼラチンで生成されたゾル状希釈液(30〜60wt%)を加え、さらに数分間加熱攪拌を行なった。次いで、室温で40〜60分間放置した。
この後、形成原料として水あめ(澱粉糖)の希釈液(濃度は60〜80wt%)を加え92℃±1°Cで1時間煮沸し攪拌した状態でスリットを備えた成形器を通し粗粒子を形成させる。
次いで、これを室温まで冷却乾燥した後、ミルで粉砕し粒径1mm±0.5mmに整粒し人工粒状物試料No.2を得た。
【0056】
人工粒状物試料No.3〜No.5:清水700wt部に、コーンスターチ(澱粉類)を各々70〜85wt部加え攪拌しながら加熱しゾル状希釈液と均一に混合できるようグルコースの平均重合度を4000〜5000となるように調整された糊化でんぷんを得る。
次に、カラギーナン(ガム類)(試料No.3)、寒天(ガム類)(試料No 4)、アルギン酸(ガム類)(試料No.5)等で生成されたゾル状希釈液(30〜60wt%)を加え、さらに数分間加熱攪拌を行なった。次いで、室温で40〜60分間放置した。
この後、形成原料として粉あめ(澱粉糖)(実施の形態3−1〜3−3)等の糖質の希釈液(濃度は60〜80wt%)を加え92℃±1°Cで1時間煮沸し攪拌した状態でスリットを備えた成形器を通し粗粒子を形成させる。
次いで、これを室温まで冷却乾燥した後、ミルで粉砕し粒径0.5mm±0.1mmに整粒し人工粒状物試料No.3〜No.5を得た。
【0057】
40〜50℃の清水300wt部にタピオカでんぷん(澱粉類)30wt部とグルコマンナン10wt部を加え攪拌後、水酸化カルシウム0.5wt部の水溶液30wt部を加え、攪拌し固化させた後、スリットを通し、細断しながら75℃の熱湯にて凝固させた後デキストリン溶液(BRIX=60)200wt部に混入し攪拌、含浸した後2時間放置後、乾燥させ、次いでミルで粉砕し粒径1mm±0.5mmに整粒し人工粒状物試料No.6を得た。
【0058】
〈人工タラコの製造〉
人工タラコ試料No.7A:一段漬け込み溶液(T−1a)120wt部に、食塩を1.8wt部、色素溶液を0.0031wt部を加えた後、40〜50℃に加熱する。
次いで、澱粉類を10wt部、グルコマンナン 3wt部、加工デンプンを55wt部混合攪拌した後、更に15〜30分攪拌する。
次いで、1〜2時間室温にて放冷する。
放冷後、1.5%濃度の水酸化カルシウム水溶液を10wt部加え攪拌した後、スリット孔より85〜90℃の温水中に押し出しながら細断し固化した後、冷水中にて冷却する。
次いで、含水量を5wt部になるように冷風乾燥した後、試料をミルで粉砕し粒径を1mm±0.5mmの球状にして人工タラコ試料No.7Aを得た。
【0059】
人工タラコ試料No.8A:二段漬け込み処理時の一次漬け込み残液(T−21a)130wt部に、食塩を1.9wt部、色素溶液を0.0031wt部を加えた後、40〜50℃に加熱する。
次いで、澱粉類を10wt部、ゼラチンを4wt部、澱粉糖を60wt部混合攪拌した後、更に15〜30分攪拌する。
次いで、1〜2時間室温にて放冷する。
放冷後、2%濃度の水酸化カルシウム水溶液を6wt部加え攪拌した後、スリット孔より85〜90℃の温水中に押し出しながら細断し固化した後、冷水中にて冷却する。
次いで、含水量を5wt部になるように冷風乾燥した後、半量の試料をミルで粉砕し粒径を1mm±0.5mmの球状にして人工タラコ試料No.8Aを得た。
【0060】
人工タラコ試料No.9A:二段漬け込み処理時の二次漬け込み残液(T−22a)140wt部に、食塩を2.3wt部、色素溶液を0.0025wt部を加えた後、40〜50℃に加熱する。
次いで、澱粉類を15wt部、多糖類を5wt部、澱粉糖を55wt部混合攪拌した後、更に15〜30分攪拌する。
次いで、1〜2時間室温にて放冷する。
放冷後、2%濃度の水酸化カルシウム水溶液を5wt部加え攪拌した後、スリット孔より85〜90℃の温水中に押し出しながら細断し固化した後、冷水中にて冷却する。
次いで、含水量を5wt部になるように冷風乾燥した後、半量の試料をミルで粉砕し粒径を1mm±0.5mmの球状にして人工タラコ試料No.9Aを得た。
【0061】
人工タラコ試料No.10A:二段漬け込み処理時の一次漬け込み残液(T−21a)100wt部と二次漬け込み残液(T−22a)35wt部の混合液150wt部に、食塩を2wt部、色素溶液を0.0029wt部を加えた後、40〜50℃に加熱する。
次いで、澱粉類を10wt部、グルコマンナンを3wt部、澱粉糖を45wt部混合攪拌した後、更に15〜30分攪拌する。
次いで、1〜2時間室温にて放冷する。
放冷後、2%濃度の水酸化カルシウム水溶液を5wt部加え攪拌した後、スリット孔より85〜90℃の温水中に押し出しながら細断し固化した後、冷水中にて冷却する。
次いで、含水量を5wt部になるように冷風乾燥した後、半量の試料をミルで粉砕し粒径を1mm±0.5mmの球状にして人工タラコ試料No.10Aを得
【0062】
人工粒状物試料No.1〜No.6を各々10Kg準備し、各々を乾燥機で乾燥し含水率を4.5wt%に調整した。乾燥人工粒状物試料No.1〜No.6とした。
次いで、各々を1Kg分取して試料とし、これを各々一段漬け込み残液(T−1a)を(a)液、一次漬け込み残液(T−21a)に食塩7.3g色素0.2gを添加した液(T−21a′)を(b)液,二次漬け込み残液(T−22a′)を(c)液、一次漬け込みと二次漬け込み残液(T−21a,T−22a)の混合残液に食塩15.3g色素0.02gを添加した液を(d)液とし、(a)〜(d)の各液の各1Kgに24時間の間浸漬し浸潤化させた。次いで浸潤化した試料を取り出し絞って、上記(a)液で得られた人工タラコ試料をNo.1a,No.2a,No.3a,No.4a,No.5a,No.6a、上記(b)液で得られた人工タラコ試料をNo.1b,No.2b,No.3b,No.4b,No.5b,No.6b、上記(c)液で得られた人工タラコ試料をNo.1c,No.2c,No.3c,No.4c,No.5c,No.6c、上記(d)液で得られた人工タラコ試料をNo.1d,No.2d,No.3d,No.4d,No.5d,No.6dとした。
【0063】
人工タラコ試料No.7B・・・10B:人工タラコ試料No.7A〜10Aを各々2Kg分取し、これを清水に浸漬し、清水を浸潤させ膨化させて、人工タラコ試料7B・・・10Bを得た。
【0064】
人工タラコ試料No.9C,10C:人工タラコ試料No.9A,10Aを各々1Kg分取し、これを二次漬け込み残液(T−22)に浸漬し、二次漬け込み残液を浸潤させ膨化させて、人工タラコ試料9C,10Cを得た。
二段漬けした天然のタラコと略同等品を得ることが出来た。
【0065】
人工タラコ試料No.1a,No.2b,No.3a,No.4c,No.5d,No.6d及びNo.7a,No.8bの浸潤量を測定したところ、いずれも10〜15wt%浸潤し増量していることがわかった。色、色沢は一段漬け、二段漬けの一次漬け、二段漬けの天然タラコと変わらないことがわかった。
また、該試料No.7c,No.10c,No.9cの浸潤量を測定したところ、いずれも14〜26wt%浸潤し増量していることがわかった。色沢は漬け込み残液を採取したときに得られた天然タラコと変わらないが、色は該天然タラコに比べ多少黒ずんでいた。
【0066】
人工タラコ試料No.1b,No.2c,No.3d,No.4a,No.5b,No.6c,No.7B,No.8B,No.9B,No10Bと、天然タラコを所定量づつ混合し、タラコ加工食品を作成した。天然タラコ100%のものと略同様のタラコ加工食品を得ることができた。
【0067】
〈評価試験〉
1)官能試験
a)目的.各人工タラコ試料の色沢、香味、食感、外形を評価する。
b)試験方法.
・被験者および性別
経験的に官能試験に適格と思われる被験者を選定。
被験者に対しては、試験内容、目的を一切教えず、官能評価方法のみを説明する。
・被験者内訳
女性;年齢 20代 1名,30代 1名,40代 1名,50代 1名,60代 1名
男性;年齢 30代 1名,40代 1名,50代 1名,60代 1名
c)結果.その結果を(表1)にした。
【表1】
Figure 0003610363
d)考察
▲1▼高級品に要求される、天然タラコのツブツブ感に対し、このテクスチャーを程よく高めていることが分かった。
▲2▼香味、外形についてはほぼ同等であるが、より高級品に近づけるにあたり、残液の濃度調整、塩分調整により高めることが出来ることが分かった。
▲3▼色沢については、淡いピンク色を呈しており、今回対象物(赤色102号,106号,黄色5号により着色)の濃赤色と比べ、違いはあるものの、無着色製品よりは淡いピンク色であり、消費者の嗜好に合わせた、着色が得られることがわかった。
▲4▼全体的な評価としては、天然タラコの高級品にほぼ同等と評価が得られることがわかった。
▲5▼単体商品としての実用に充分応え得るものと考えられる。
▲6▼従来、廃棄されていた残液を利用することにより、有効成分(水溶性タンパク他)を天然タラコに近い形で再成、活用出来るものと思われる。
【0068】
2)天然タラコとの混合物の官能試験
a)目的.天然タラコと人工タラコを混合した場合の、色沢、香味、食感、外形を配合割合の変化による影響を天然タラコ(完熟卵)の二段漬け込みタラコとの対比官能試験を行い評価した。
b)試験方法.被試験者及び評価は前記〈評価試験〉と同様に行なった。人工タラコNO.1aを用い、各配合量を変えて行なった。
c)結果.その結果を(表2)に示した。
【表2】
Figure 0003610363
d)考察.(表2)から明らかなように、
▲1▼天然タラコと人工タラコを配合して用いる場合
人工タラコの配合10%の場合、天然タラコの特性は、ほぼそのまま感じさせることができ、増量を目的として用いるにあたっては、10%配合で商品特性を活かしたまま増量が可能と思われる。
▲2▼未熟卵や過熟卵などの食感が低下している天然タラコに配合し、商品本来の香味、色沢を保持しつつ、食感の改善(ブツブツ感)を行なうにあたっては、30%前後の配合が最適であると思われる。
▲3▼配合比が50%を越えていった場合には、コピー食品としての色合いが強くなり、天然タラコとは違った意味での使用目的、例えば、低コレステロール天塩食品といった機能性を提供できる反面、配合比が50%を越えていった場合、天然タラコの持つ特性(特に香味、食感)との違いが出てくる為、天然タラコの種類、調味、着色方法、提供目的によって、配合比や、残液の濃縮度等の条件を決定していく必要があるものと思われた。
▲4▼具体的には、天然タラコと人工タラコを配合させることにより、天然タラコ本来の色沢、香味、外形を維持したまま、食感を高めることができるものと考えられた。
【発明の効果】
以上のように本発明における人工粒状物及びその製造方法によれば、以下の優れた効果を実現できる。
請求項1又は2に記載の発明によれば、
a.清水を用いて製造した人工粒状物を用いた場合、人工粒状物に、スケトウダラ等の卵巣を用いたタラコ製造時の漬け込み残液が浸透圧で浸潤されているので、天然のタラ子の加工品と同様の色、味覚、テクスチャーを備えることができる。
b.タラコ製造時の漬け込み残液を用いて製造した人工粒状物を用いた場合、人工粒状物に、製造時に漬け込み残液が含有されているので、簡単に天然タラコと同様の色、味覚、テクスチャーを有する人工タラコを得ることができる。
請求項1又は2に共通の効果として
c.人工粒状物の弾性率等を調整することにより最高級品の天然タラコと同様のテクスチャーを有する人工タラコを得ることができ、寿司ネタとしても有効に利用できる人工タラコを低原価で量産できる。
d.漬け込み残液を組み合わせた溶液や、漬け込み残液に他の添加剤や調味料、DNA,DHA,キチン,キトサン,カルシウム塩,マグネシウム塩,ビタミンC,E等の機能性材料等を溶解した溶液に人工粒状物を浸漬させることにより、天然のタラ子と同様の風味や色、味覚、テクスチャーを備えながら機能性を付与することができる。
e.浸潤のコントロールが容易で、塩味や薄味等の天然のタラ子の加工品と同様の人工タラ子を高い生産性で得ることができる。
f.天然のタラ子と混合することにより、天然タラ子本来のテクスチャー、味覚を向上させることができる。
g.漬け込み残液は廃棄処分され、その排水が水質汚染等の公害問題を生じていたが、人工タラコの浸潤剤として有効利用され、その廃棄量を著しく減少させることができ排水処理の負荷を著しく減少させることができる。
h.漬け込み残液中には、漬け込み時に天然タラコのバラコが発生し、該バラコは廃棄処分されていたが、人工タラコの漬け込み終了後、人工タラコとともに回収されるので、天然タラコの有効利用を図ることが出来る。
i.タラコ製造時の漬け込み残液を用いて人工粒状物を製造した場合は、該残液中に10〜16Vol%も溶存する水溶性タン白質等の有効成分を略全量活用することができるとともに、人工粒状物中の成分の均質化を図ることができ、また、乾燥保存後又は流通後消費者が使用時に水に漬けるだけで、誰でも同一規格の天然タラコと類似の人工タラコを再現できる。
【0069】
j.スケトウダラ等の卵巣を用いたタラコ製造時の漬け込み残液で人工粒状物が浸潤されているので、天然のタラ子の加工品と同様の色、味覚、テクスチャーを備えることができる。
k.漬け込み残液の組み合わせ溶液や、漬け込み残液に他の添加剤や調味料、機能性食品等を溶解した溶液に人工粒状物を浸漬させることにより、天然のタラ子と同様の風味や色、味覚、テクスチャーを備えながら機能性を付与することができる。
l.漬け込み残液は廃棄処分され、その排水が水質汚染等の公害問題を生じていたが、人工タラコの原料として有効利用され、その廃棄量を著しく減少させることができ排水処理の負荷を著しく減少させることができる。
m.漬け込み残液中には、漬け込み時に天然タラコのバラコが発生し、該バラコは廃棄処分されていたが、人工タラコの漬け込み終了後、人工タラコとともに回収されるので、天然タラコの有効利用を図ることが出来る。
【0070】
n.漬け込み残液の吸収保持性が優れているので、これを凍結保管後解凍してもドリップの発生が少なく、その風味、外観が凍結前とほとんど変わることがなく、十分流通に耐え得ることができる。
o.人工タラコには、コレステロールや脂肪分がほとんど含まれないため、コレステロールや脂肪分を気にしている人でも安心してタラコを食することができる。
p.人工タラコは漬け込み残液の調整により、塩分濃度を調整でき、高血圧症等の疾患を有している人でも安心して食することができる。
q.天然魚卵には殆ど含まれていない食物繊維質を豊富に含有しているため、整腸作用を与えることができる。他の食材やDHA等の機能性材料を混合した際の複合効果の維持、向上を図ることができ汎用性に優れる。
r.漬け込み残液の溶液を調整することにより、天然のタラコ以上の風味やテクスチャー、味覚を向上させることができる。
請求項1に記載の発明によれば、さらに
s.人工粒状物の含水量が10wt%〜2wt%好ましくは7wt%〜3wt%に調整されているので、多量の漬け込み残液を吸収させることができる。
t.多量の漬け込み残液を吸収しているので、漬け込み残液中のエキス等の旨味成分や呈味成分により天然のタラコと同様の旨味や呈味を有することができる。
u.漬け込み残液を多量に吸収するので漬け込み残液を有効に活用でき、高BOD値や高COD値を有する水質汚濁源の発生量を著しく低減させることができる。
v.人工タラコ漬け込み残液の浸透圧は、容易にコントロール出来、天然の調味済タラコやバラ子と混合ないしは天然タラコの卵巣内に注入した際でも浸透圧の影響を受けることがないため、味覚、色沢、テクスチャ−の均一感が保たれる。
w.人工粒状物の保存性を高めることが出来、原料の流通、保管が容易であり、生産コストを削減することが出来る。
【0071】
請求項に記載の発明によれば、請求項1のb乃至rの効果に加え、
a.人工タラコの浸潤膨化工程が容易であり、出来上がった人工タラコの各粒子の栄養成分、調味成分、色素成分等の含有量を容易に一定化できる。
b.各成分がゲル形成時に練合されているので短時間での浸潤、膨化も可能であり生産時の調味浸潤時間を含め大幅に短縮することが出来、生産コストを削減することが出来る。
c.人工粒状物の含水量が所定量に調整されているので、多量の清水を吸収するとともに浸透圧の効果で深部まで漬け込み残液が希釈され均一な濃度にすることができる。
d.前記残液中のエキス等の旨味成分や呈味成分がゲル形成工程で人工粒状物に均一に含有されているので、浸潤、膨化工程の作業性が高まると共に、各粒状物の味覚、色沢有用成分が均一にすることができる。
【0072】
請求項に記載の発明によれば、請求項1又は2で得られる効果の他、以下の効果が得られる。
a.澱粉類とグルコマンナンを主とした人工粒状物により得られる効果としては、
・浸潤膨化工程の時間をコントロールすることができるため、天然タラコの加工時間に合わせた人工タラコを提供することができる。
・水酸化カルシウム等pHに影響を及ぼす凝固剤の使用を最少限に押さえることができるので、天然タラコの加工品と同様の色、味覚,テクスチャーを備えることができる。
・弾性の調整が容易であり浸潤性および保水性に優れ、天然タラコ本来のテクスチャーを高めるとともにドリップの少ない人工タラコを提供できるので呈味成分の流出を防ぐとともに商品劣化を防止できる。
【0073】
b.澱粉類とデキストリンを主とした人工粒状物により得られる効果としては、
・低コストで人工粒状物を生産することができる。
・凝固剤を用いる必要性がなく天然タラコの加工品の味覚を損なうことがない。
・浸潤性に優れているので、浸潤・膨化工程を短時間で行うことができる。
・老化し難く耐凍性に優れ、人工粒状物を冷凍、解凍した際の還元性に優れる。
c.澱粉類とグルコマンナン及びデキストリンを主とした人工粒状物により得られる効果としては、
・架橋構造の強さと共に耐凍性に優れており、人工粒状物を冷凍・解凍した際の還元性に優れる。
・浸潤性、保水性共に優れており、浸潤・膨化工程を短時間で行え、残液中の有用成分の保持能力も高い。
・水酸化カルシウム等PHに影響を及ぼす凝固剤の使用を最小限に押さえることができるので天然タラコの加工品と同様の色、味覚を備えることができる。
d.こんにゃく粉を主とした人工粒状物により得られる効果としては、
・弾性が強く、保水性に優れているので、未熟卵、過熟卵と混合して用いることにより、完熟卵の持つツブツブ感を与えることができ、その利用性を高めることができる。
・残液中の有用成分を人工粒状物製造時に添加した場合その保持能力が高く、その後の加工による成分の損失がほとんどない。
e.いずれも還元性に優れているので人工粒状物の浸潤、膨化工程を短縮することができ、人工タラコの生産性を高めることができる。
【0074】
請求項に記載の発明によれば、請求項で得られる効果の他、以下の効果が得られる。
a.でん粉類やグルコマンナン,ゼラチン,多糖類に後でタラコ製造時の漬け込み残液を加えることだけで人工タラコとすることができる。
b.浸潤性および保水性を向上させ、天然タラコと同様の色、味覚、テクスチャーを有する人工タラコを容易に得ることができる。
c.配合割合を変えるだけで弾力性や浸潤性および保水性等の品質特性のコントロールを容易に行うことができ、目的とする天然タラコ様の人工タラコを簡単に得ることができる。
d.弾力性や浸潤性および保水性等に優れているので、天然タラコと混合することにより、天然タラコ本来のテクスチャー、味覚を向上させることができる。 e.天然タラコと同等の弾力性を得ることができるとともに、架橋構造が安定しドリップがなく耐凍性を向上させることができる。
f.架橋構造が安定し弾力性に優れているので天然タラコ特有のテクスチャーを容易に再現することができる。
【0075】
g.自由水の脱水効果やでん粉分子の再結合の阻害効果を高めα化されたでん粉の老化を抑制できるので保存時の品質の劣化を防止した人工タラコを得ることが出来る。
h.ゲル状物の固化時に用いられるアルカリ性の凝固剤の使用量を著しく削減化できる。
i.凝固剤の使用量が少ないのでpHの調整を容易に行うことができるとともに、天然魚卵の味覚を人工粒状物に付与することができる。
j.長期保存時や長い流通経路でα化されたでん粉の老化を抑制し、使用時に天然魚卵と同様に取り扱うことができ食材のデパートリーを広げることができる。
k.保水性に優れ最適テクスチャーを保持できる。
l.α化されたでん粉の老化を抑制できるので耐凍性を高め貯蔵性や流通性を高めることが出来る。
m.用途に応じて配合量を代えるだけで粘弾性のコントロールを容易に行うことが可能であり、テクスチャーの調整も容易に行うことができる。
n.ゾル状希釈液のゲル化に伴い水酸化カルシウム等pHに影響を及ぼす凝固剤の使用を最小限に押さえるために複数の多糖類等の生体高分子を用いほぼ中性で固化させた後に、ビーズ状や球状に形成させることにより、浸潤性及び保水性に優れる。
【0078】
請求項に記載の発明によれば、請求項1乃至の内いずれか1項で得られる効果に加えて以下の効果を有する。
a.天然のタラや、スケトウダラの卵巣を一段漬け込みした際、浸透圧により滲出したエキス分と漬け込み液の塩分や調味成分で天然タラコと同様の旨味や呈味を付与することができる。
b.人工タラコに浸潤された前記漬け込み液の残液がタラやスケトウダラの卵巣を一段漬け込み処理する際に用いられた漬け込み液の残液を主成分としているので、一段漬け込み処理で得られたタラコと同等の風味や味覚を得ることができる。
c.天然タラコのツブツブ感(粒子感)を高めるとともに増量化を図ることができる。
d.一段漬け込み処理する際に用いられた漬け込み液の残液のエキス分等の水溶性タンパク質を有効に利用することができる。
【0079】
請求項に記載の発明によれば、請求項1乃至の内いずれか1項において得られる効果に加えて以下の効果を有する。
a.天然のタラや、スケトウダラの卵巣を一次漬け込み液で漬け込みした際、一次漬け込み液の高濃度の塩分の浸透圧により滲出したエキス分と一次漬け込み残液中の塩分等で天然のタラコと同様の旨味や呈味を付与することができる。
b.天然のタラや、スケトウダラの卵巣を二次漬け込み液で漬け込みした際に、二次漬け込み液の塩分や調味料の浸透圧により滲出したエキス分と二次漬け込み残液中の塩分や調味料で味付けされるので天然タラコと同様の呈味、旨味を出すことができる。
c.漬け込み液中のバラコが人工タラコと混合され利用されるので、天然タラコの浪費を防ぐことができる。
d.天然タラコのツブツブ感(粒子感)を高めるとともに増量化を図ることができる。
e.二段漬け込み処理する際に用いられた漬け込み液の残液のエキス分等の水溶性タンパク質を有効に利用することができる。
f.二次漬け込み加工がされている辛子明太子と同等の品質を有する人工タラコを得ることができる。
【0080】
請求項に記載の発明によれば、請求項1乃至の内いずれか1項において得られる効果に加えて以下の効果を有する。
a.請求項1乃至の人工タラコの呈味、色沢を保ったまま、一般生菌の増殖を大幅に抑えることが出来るので、人工タラコ及び人工タラコと天然タラコを混合して使用した場合にでも商品の品質保持期間を高めることが出来る。
【0081】
請求項に記載の発明によれば、
a.塩漬加工後の天然スケソウダラの魚卵と一次残液のみを用いた人工タラコを混合することにより
(1)塩漬加工のみを行った塩タラコの味覚、色沢を持たせたままテクスチャーを高めることができる。
(2)ドリップ量を減らすことができ品質の保持を従来より低塩分で行うことができる。
(3)テクスチャーの向上、歩留の向上、機能性の附与を目的として、人工タラコと天然のスケソウダラの魚卵を混合した種に二次調味加工をする場合、同じ調味液に同時間浸潤することが出来るので味覚、色沢を容易に均一にすることが出来る。
【0082】
請求項に記載の発明によれば、
a.人工タラ子が天然タラコと同様の風味や味覚、色、テクスチャーを有しているので、天然タラコと混合しても風味や味覚、色、テクスチャーが均質化し天然タラコの一体物として流通できる。
b.天然タラコの増量化を図ることが出来る。
c.従来の増量剤ではあり得なかったツブツブ感を高め、なおかつ増量化を行うことができる。
【0083】
請求項10に記載の発明によれば、請求項で得られる効果に加えて、以下の効果を有する。
a.天然タラコと同一の漬け込み液が人工タラコに浸潤されているので、天然タラコと同一の味や色を有し、該天然タラコと混合しても違和感をあたえることがない。
b.漬け込み液中のバラコが人工タラコと混合され利用されるので、天然タラコの浪費を防ぐことが出来る。
c.漬け込み液の成分が同一なので浸透圧の調整が容易で混合した際の色沢、味覚等が均質化しかつ安定性に優れている。
d.完成度の高い一段漬け込み処理や二段漬け込み処理で得られた天然タラコに限りなく近いタラコ加工食品を低価格で安定的に提供できる。
【0084】
請求項11に記載の発明によれば、
a.該残液中の水溶性タンパク質等の有効成分を活用し、廃液となる漬け込み残液を完全に利用でき、排水処理の負荷を著しく軽減することができるとともにその生産方法は容易であり、大幅なコスト削減ができる。
b.漬け込み残液を用いることにより、呈味、色覚を天然タラコに限りなく近づけるとともに容易に浸透圧の調整ができるため、混合した際に味覚、色沢を均質化しかつ安定性に優れている。
c.短時間で調味タラコと同様の呈味、色沢、テクスチャ−を持った人工タラコを得ることができる。
d.ツブツブ感を持った増量剤としての利用価値が高くかつ生産コストを削減できる。
e.一次加工タラコ(塩タラコ)、二次加工タラコ(辛子明太子)に最適な人工粒状物を容易に作ることができる。
【0085】
請求項12に記載の発明によれば、
a.人工粒状物のゲル化工程時に請求項8に記載の漬け込み残液を加えているので各粒子に含まれる呈味成分、色沢成分、栄養成分等の均一性が優れており、人工粒状物の浸潤・膨化工程時における作業性が高まると共に、人工タラコの粒子間における味覚、色沢、栄養成分等のバラつきを防止できるという効果を有する。
【0086】
請求項13に記載の発明によれば、
a.該残液中の水溶性タンパク質等の有効成分を活用し、廃液となる漬け込み残液を完全に利用でき、排水処理の負荷を著しく軽減することができるとともにその生産方法は容易であり、大幅なコスト削減ができる。
b.漬け込み残液を用いることにより、呈味、色覚を天然タラコに限りなく近づけるとともに容易に浸透圧の調整ができるため、混合した際に味覚、色沢を均質化しかつ安定性に優れている。
c.短時間で調味タラコと同様の呈味、色沢、テクスチャ−を持った人工タラコを得ることができる。
d.ツブツブ感を持った増量剤としての利用価値が高くかつ生産コストを削減できる。
e.一次漬け込み残液と二次漬け込み残液の混合比を調整することにより人工タラコの塩濃度を容易に調整することが出来ると共に味覚の調整を行いやすい。
f.短時間で高級調味タラコと同様の味覚、色沢、テクスチャーを持った人工タラコを得ることが出来るので高級調味タラコに最適な人工粒状物を作ることができる。
【0087】
請求項14に記載の発明によれば、
a.人工粒状物の浸潤に一次漬け込み残液のみを用いた場合は、天然タラコを一次漬け込み残液のみで塩漬加工した塩タラコに最適なテクスチャー、味覚、色沢を備えた高品質の人工タラコを低原価で量産できる。
b.前記a.により加工された人工タラコを一次漬け込み加工済の天然のタラコと混合した後、二次漬け込みを行えば、従来の高級品の加工方法のまま、テクスチャー、味覚、色沢が均一で高級調味タラコと同様の人工タラコと天然タラコの混合タラコを容易に生産できる。
c.二次漬け込み残液のみを用いることにより風味が高まり低塩でマイルドな味覚の人工タラコを提供できる。
【0088】
請求項15に記載の発明によれば、
a.人工粒状物の製造時に残液を用いることにより、人工粒状物の各粒子に塩分、調味成分、水溶性タンパク、色素等が均一に含まれている為浸漬、浸潤加工を行った場合、味覚、色沢が均一な人工タラコを生産できる。
b.浸漬、浸潤工程が主として人工粒状物に天然タラコに近いテクスチャーを持たせる目的であり、短時間でテクスチャー、味覚、色沢を持った人工タラコの生産が可能であり、浸潤、膨化の生産効率を上げることが出来る。
c.浸潤、膨化に清水を用いることにより、一般の家庭で人工粒状物を用いた場合、同じ品質を持った人工タラコを容易に再現出来る。
【0089】
請求項16に記載の発明によれば、
a.人工粒状物の各粒子に調味成分等を均一に含ませることが出来るので均一な規格の人工タラコを短時間で生産することが出来る。
b.一次漬け込み残液を用いた場合は、塩漬加工を行った塩タラコに近似したテクスチャー、味覚、色沢を持った人工タラコを容易に再現出来る。
c.二次漬け込み残液を用いた人工タラコを調味済天然タラコと混合して使用する際、低塩分、機能性を持たせた生品の生産ができる。
【0090】
請求項17に記載の発明によれば、請求項11、13、14の内いずれか1項において得られる効果の他、以下の効果を有する。
a.塩漬加工又は一段漬け込み又は二段漬け込み加工を行った天然タラコと同等の塩分濃度や色素濃度となり、人工タラコと天然タラコを混合した際の味覚や色沢等が均質化し、かつその安定性に優れる。
b.天然タラコの単品と同一の賞味期限を保持することができる。
c.人工タラコ粒子と天然タラコ粒子の浸透圧がほぼ等しく賞味期限中の調味成分や色成分の粒子間の移動がほとんどない為、生品の色ムラ、味のムラを防止出来る。
【0091】
請求項18に記載の発明によれば、請求項12、15、16の内いずれか1項において得られる効果の他、以下の効果を有する。
a.天然タラコと人工タラコを混合する際、塩漬加工又は一段漬け込み又は二段漬け込み加工を行った天然タラコの特徴に合わせた、味覚、色沢を持った人工タラコの調整を容易に出来る。
b.塩漬加工又は一段漬け込み又は二段漬け込み加工を行った天然タラコと同等の塩分濃度や色素濃度となり、人工タラコと天然タラコを混合した際の味覚や色沢等が均質化し、かつその安定性に優れる。
c.天然タラコの単品と同一の賞味期限を保持することができる。
d.人工タラコ粒子と天然タラコ粒子の浸透圧がほぼ等しく賞味期限中の調味成分や色成分の粒子間の移動がほとんどない為、生品の色ムラ、味のムラを防止出来る。
【0092】
請求項19に記載の発明によれば、請求項12、15、16の内いずれか1項において得られる効果の他、以下の効果を有する。
a.人工粒状物を生産する上でゲル形成物質に加える残液に食塩、食用色素を加えることにより、人工粒状物を浸潤、膨化させることにより、目的とする天然タラコに近い味覚、色沢を持った人工粒状物を容易に得ることが出来る。

Claims (19)

  1. ゲル形成物質に清水を加えて製造された粒径が0.1mm〜10mmの球状に加工された人工粒状物の含水量が2〜10wt%に乾燥された後、スケソウダラ等の卵巣を漬け込み液に漬け込み天然タラコを製造する際に生じる漬け込み残液が浸潤され、前記人工粒状物が前記漬け込み残液で膨化されていることを特徴とする人工タラコ。
  2. ゲル形成物質に、スケソウダラ等の卵巣を漬け込み液に漬け込み天然タラコを製造する際に生じる漬け込み残液を加えて製造された粒径が0.1mm〜10mmの球状に加工された人工粒状物の含水量が2〜10wt%に乾燥された後、清水が浸潤され、前記人工粒状物が前記清水で膨化されていることを特徴とする人工タラコ。
  3. 前記人工粒状物の原料である前記ゲル形成物質が、a.澱粉類と、グルコマンナン及び/又はデキストリンを主とした混合物、若しくはb.こんにゃく粉を主とした混合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の人工タラコ。
  4. 前記人工粒状物の原料である前記ゲル形成物質の前記a及びbの混合物に、ゼラチン、澱粉糖、ガム類の1種以上を含有していることを特徴とする請求項に記載の人工タラコ。
  5. 前記漬け込み残液がタラやスケトウダラの卵巣からタラコを製造する際の一段漬け込み処理時に用いられた漬け込み残液を主とした溶液からなることを特徴とする請求項1乃至の内いずれか1項に記載の人工タラコ。
  6. 前記漬け込み残液がタラやスケトウダラの卵巣から天然タラコを製造する際の二段漬け込み処理時における、塩漬処理する際に用いられた一次漬け込み残液、及び/又は前記塩漬処理された前記卵巣を調味液漬処理する際に用いられた二次漬け込み残液を主とした溶液からなることを特徴とする請求項1乃至の内いずれか1項に記載の人工タラコ。
  7. 前記漬け込み残液が、UV殺菌、高圧殺菌等によって滅菌処理されていること、又は遠心分離によって分画されていること若しくは精密濾過法で除菌されていることを特徴とする請求項1乃至の内いずれか1項に記載の人工タラコ。
  8. 請求項1乃至の内いずれか1項に記載の人工タラコの100wt部に、調味加工されていない天然のスケソウダラの魚卵10〜250wt部が混合されていることを特徴とするタラコ加工食品。
  9. 請求項1乃至の内いずれか1項に記載の人工タラコの100wt部に、一段漬け込み処理で調味加工された天然のタラコ及び/又は二段漬け込み処理で調味加工された天然のタラコが、10〜250wt部混合されていることを特徴とするタラコ加工食品。
  10. 前記人工タラコが、前記人工タラコと混合される前記スケトウダラ等の卵巣の漬け込み残液で浸潤、膨化されたものであることを特徴とする請求項に記載のタラコ加工食品。
  11. 請求項1,3,4の内いずれか1項に記載の人工粒状物100wt部に対し、請求項に記載の漬け込み残液50〜200wt部に1乃至28時間前記人工粒状物を浸漬、浸潤し、天然タラコと同一程度の大きさに膨化させる浸潤膨化工程有することを特徴とする人工タラコの製造方法。
  12. 請求項2乃至の内いずれか1項に記載のゲル形成物質100wt部に対し、請求項に記載の漬け込み残液を50〜200wt部加え混合する混合工程と、得られた前記人工粒状物前記清水又は前記漬け込み残液に1乃至28時間浸漬、浸潤し、天然タラコと同一程度の大きさに膨化させる浸潤膨化工程と、を有することを特徴とする人工タラコの製造方法
  13. 請求項1,3,4の内いずれか1項に記載の人工粒状物100wt部に対し、請求項に記載の一次漬け込み残液及び二次漬け込み残液の混合溶液50〜200wt部に1乃至28時間前記人工粒状物を浸漬、浸潤し、天然のタラコと同一程度の大きさに膨化させる浸潤膨化工程有することを特徴とする人工タラコの製造方法。
  14. 請求項1,3,4の内いずれか1項に記載の人工粒状物100wt部に対し、請求項に記載の一次漬け込み残液30〜200wt部、又は、二次漬け込み残液10〜200wt部に1乃至28時間前記人工粒状物を浸漬、浸潤し、天然のタラコと同一程度の大きさに膨化させる浸潤膨化工程有することを特徴とする人工タラコの製造方法。
  15. 請求項2乃至の内いずれか1項に記載のゲル形成物質100wt部に対し、請求項に記載の一次漬け込み残液及び二次漬け込み残液の混合溶液50〜200wt部を加え混合する混合工程と、得られた人工粒状物を清水又は前記漬け込み残液に1乃至28時間浸漬、浸潤し、天然タラコと同一程度の大きさに膨化させる浸潤膨化工程と、を有することを特徴とする人工タラコの製造方法
  16. 請求項2乃至の内いずれか1項に記載のゲル形成物質100wt部に対し、請求項に記載の一次漬け込み残液30〜200wt部、又は、二次漬け込み残液10〜200wt部を加え混合する混合工程と、得られた人工粒状物を清水又は前記漬け込み残液に1乃至28時間浸漬、浸潤し、天然タラコと同一程度の大きさに膨化させる浸潤膨化工程と、を有することを特徴とする人工タラコの製造方法
  17. 前記浸潤膨化工程で用いる前記漬け込み残液100wt部に、食塩が1〜3wt部、及び/又は食用色素が0.001〜0.004wt部添加混合されていることを特徴とする請求項11、13、14の内いずれか1項に記載の人工タラコの製造方法。
  18. 前記浸潤膨化工程で用いる前記漬け込み残液100wt部又は清水100wt部に、食塩が1〜3wt部、及び/又は食用色素が0.001〜0.004wt部添加混合されていることを特徴とする請求項12、15、16の内いずれか1項に記載の人工タラコの製造方法。
  19. ゲル形成物質に加え混合する請求項に記載の漬け込み残液100wt部又は請求項に記載の一次漬け込み残液及び二次漬け込み残液の混合溶液100wt部又は一次漬け込み残液100wt部若しくは二次漬け込み残液100wt部に、食塩が1〜3wt部、及び/又は食用色素が0.001〜0.004wt部添加混合されていることを特徴とする請求項12、15、16の内いずれか1項に記載の人工タラコの製造方法。
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