JP3610286B2 - インクタンク - Google Patents

インクタンク Download PDF

Info

Publication number
JP3610286B2
JP3610286B2 JP2000181834A JP2000181834A JP3610286B2 JP 3610286 B2 JP3610286 B2 JP 3610286B2 JP 2000181834 A JP2000181834 A JP 2000181834A JP 2000181834 A JP2000181834 A JP 2000181834A JP 3610286 B2 JP3610286 B2 JP 3610286B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink
information
ink tank
outside
tank
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2000181834A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2001358291A (ja
Inventor
雅彦 久保田
良行 今仲
一郎 斉藤
無我 望月
孝明 山口
良二 井上
博之 石永
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority to JP2000181834A priority Critical patent/JP3610286B2/ja
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to AT08161261T priority patent/ATE468227T1/de
Priority to EP08161261A priority patent/EP1990201B1/en
Priority to EP06115291A priority patent/EP1710084B1/en
Priority to AT01114377T priority patent/ATE402821T1/de
Priority to EP01114377A priority patent/EP1164022B1/en
Priority to AT06115291T priority patent/ATE411900T1/de
Priority to US09/878,946 priority patent/US6827411B2/en
Priority to DE60142198T priority patent/DE60142198D1/de
Priority to DE60136304T priority patent/DE60136304D1/de
Priority to CA002350397A priority patent/CA2350397C/en
Priority to DE60135064T priority patent/DE60135064D1/de
Priority to SG200404745A priority patent/SG127735A1/en
Priority to SG200103511A priority patent/SG109453A1/en
Priority to CNB011412844A priority patent/CN100457463C/zh
Priority to TW090114637A priority patent/TW514964B/zh
Priority to KR10-2001-0034162A priority patent/KR100427203B1/ko
Publication of JP2001358291A publication Critical patent/JP2001358291A/ja
Priority to US10/127,594 priority patent/US7014287B2/en
Priority to US10/646,700 priority patent/US7210755B2/en
Publication of JP3610286B2 publication Critical patent/JP3610286B2/ja
Application granted granted Critical
Priority to US11/707,055 priority patent/US7922274B2/en
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Electric Means (AREA)
  • Ink Jet (AREA)
  • Level Indicators Using A Float (AREA)
  • Measuring Fluid Pressure (AREA)
  • Arrangements For Transmission Of Measured Signals (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、周囲の環境情報を検知し、その情報を外部へ伝達、表示する機能を有する半導体素子を用いたインクタンクに関する。
【0003】
【従来の技術】
従来、記録ヘッドに設けた複数の噴射ノズルからインクを噴射させながら、記録ヘッドを搭載したキャリッジを用紙に対して相対的に走査することで、画像をドットパターンで用紙に形成するインクジェット記録装置においては、記録用のインクを収容したインクタンクを設け、そのインクタンクのインクをインク供給路を介して記録ヘッドに供給するようにしている。そこで、そのインクタンクのインクの残量を検出するためのインク残量検出装置が実用に供されるととにも、種々提案されている。
【0004】
例えば、特開平6−143607号公報に開示されたものは、図32に示すように、非導電性のインクが満たされているインクタンク701の底側の内面に配設された2本(1対)の電極702と、インクタンク701内のインク液面に浮遊している浮揚体703とを有している。2本の電極702は、両者間の導通状態を検知する検知部(不図示)にそれぞれ接続されている。また、浮揚体703には、電極702と対向する位置に電極704が配設されている。インクタンク701内のインクが消費され、それと共に浮揚体703の位置が低下して電極704が電極702と接触すると、検知部により電極702間のの導通状態が検知される。これにより、インクタンク701内のインクが無いことが検出され、インクジェット記録ヘッド705の動作が停止される。
【0005】
また、特登録2947245号によれば、図33に示すように、下部が底面に向かって漏斗状に形成されるとともに、底面に2つの導電体801,802が設けられ、インク803よりも比重の小さい金属球804が内部に設置される構成のインクジェットプリンタ用インクカートリッジ805が開示されている。このような構成では、インク803が消費されて減っていくとインク803の液面が下がる。それに伴って、インク803の表面に浮かんでいる金属球804の位置が下がっていく。インク803の液面がインクカートリッジ筺体の底面の位置まで下がると、金属球804は2つの導電体801,802に接する。すると、導電体801,802が導通するので、その間に電流が流れる。その通流を検出すれば、インクエンド状態を検出することができる。インクエンド状態が検出されれば、インクエンド状態を示す情報が使用者に知らされる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述した構成はいずれも、インクタンク内に設置された電極間の導通の有無の検出によりインク無しを検出するものであるので、インクタンク内に検出用の電極を配置する必要がある。しかも、インクタンク内にインクが存在しているときにインクを介して電極間が導通しないようにするため、インク成分に金属イオンが用いられない等の、使用するインクに制約が生じてしまう。
【0007】
また、上記の構成ではインクの有無しか検知することが出来ず、その他のタンク内情報を外部が知ることが出来ない。例えば、インク残量がどれくらいであるか、インクタンク内の圧力情報、インク物性の変化などは、インクジェットヘッドを常に安定した吐出量で動作するために重要なパラメータであり、タンク内のインク消費に伴って時々刻々と変化するタンク内圧を外部のインクジェット記録装置にリアルタイムで知らせたり、インク物性の変化を外部へ伝達できるタンクが望まれている。
【0008】
さらに、一方的にインクタンク内の検知した情報を外部へ知らせるのみならず、外部からの問いかけに対して内部情報を返答するような双方向の情報のやり取りを実施できるインクタンクが望まれている。
【0009】
上記のようなインクタンクを開発するにあたって、本発明者らは、直径1ミリのシリコン・ボールの球面上に半導体集積回路を形成するというボール・セミコンダクター社のボール・セミコンダクターに着目した。このボールセミコンダクターは球形であるため、これをインクタンク内に収容すれば、周囲環境情報の検出や外部との双方向の情報のやり取りを平面形に比べて非常に効率良く行えることが予想された。しかしながら、このような機能を持つものを調査したところ、ボール・セミコンダクター同士を電気配線で接続する技術などが存在する(米国特許明細書第5877943号参照)だけで、上記の機能を持つ素子自体の開発が必要となった。また、この素子をインクタンクに有効に適用できるものとするために、いくつかの固有の課題もあった。
【0010】
第1に、タンク内に収容された素子を起動させるための電力の供給である。素子の起動のための電源をインクタンクに持たせるとタンクが大型になったり、タンク外部に電源を備える場合でも電源と素子との接続手段が必要になり、タンクの製造コストが増え、タンクカートリッジが高価になるので、外部より非接触で素子を起動させねばならない。
【0011】
第2に、素子を、インクタンクのインク液面や液面より一定の距離沈んだインク中で浮遊させなければならない場合があることである。例えば、インクタンク内のインク消費に伴う負圧量の変動を経時的に監視するには、インク液面に素子が位置するのが望ましいが、素子は水より比重の大きいシリコンからなるため、インクに浮遊させることは一般には困難である。
【0013】
発明目的は、インクタンク内の詳細な情報をリアルタイムで検出し、外部のインクジェット記録装置と双方向に情報のやり取りを行うことができる立体形半導体素子を配したインクタンクを提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明のインクタンクは、インクを吐出する吐出ヘッドに供給するインクを収容するインクタンクであって、
少なくとも前記インクの水素イオン濃度指数、濃度、密度の一つを含む、前記インクの化学的物性の情報を入手する情報入手手段と、
前記情報入手手段により入手された入手情報を外部へ表示または伝達する情報伝達手段と、
外部から与えられるエネルギーを、前記情報入手手段および前記情報伝達手段を動作させるための、前記エネルギーとは異なる種類のエネルギーに変換するエネルギー変換手段とを有した立体形半導体素子を備えており、
該立体形半導体素子は、前記インクタンクのインク貯蔵部のインク液面もしくはインク中の所定の位置で浮遊するための空洞部を有し、前記立体形半導体素子の重心が当該素子の中心より下部に位置するとともに、当該素子のメタセンタが前記重心より上部に位置するように構成されることで、インク中での前記立体形半導体素子の姿勢が保持されるように構成されたものであることを特徴とする。
【0017】
本発明のインクタンクは、情報を入手すべき対象であるインクに接して置かれる立体形半導体素子を有する立体形半導体素子は、情報入手手段により、インクに関する情報を入手し、その情報を、情報伝達手段により外部へ伝達する。これら情報入手手段および情報伝達手段を作動させるためのエネルギーは、エネルギー変換手段によって、外部からのエネルギーが異なる種類のエネルギーに変換されて与えられる。このように、インクに関する情報を入手して外部に伝達する機能を立体形の半導体素子に作り込んでいるので、情報の入手および伝達を三次元的に行える。そのため、平板型の半導体素子を用いる場合に比べ、情報の入手および伝達の方向の制限も少ないので、インクに関する情報の入手および外部への伝達が効率的に行えるようになる。
【0018】
入手情報と比較するための情報を蓄積する情報蓄積手段と、これに蓄積された情報と情報入手手段で入手した情報とを比較し外部への情報の伝達の必要性を判断する判断手段とを更に有することで、入手情報は必要に応じて外部へ伝達される。さらに、外部からの信号を受信する受信手段を付加することで、受信信号に応じて情報を入手し、蓄積情報との比較結果をその入手情報とともに外部へ伝達し、外部装置と双方向に信号の送受信を行うことも可能となる。
【0020】
本発明の立体形半導体素子は、好ましくは、インクジェット記録の分野における、記録用のインクに関する情報を入手するのに用いられる。記録用のインクは、一般的にはインクタンク内に収容されており、インクタンク内のインクに関する情報を入手することは、高品位な記録を行う上で非常に重要である。
【0029】
なお、本明細書中の「メタセンタ」とは、釣り合いにある時の重量の作用線と、傾いたときの浮力の作用線との交点を示す。
【0030】
また本明細書中の「立体形半導体素子」の「立体形」とは、三角柱、球、半球体、四角柱、回転楕円体、一軸回転体など、種々の立体形を全て含む。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0032】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態による立体形半導体素子の内部構成および外部とのやり取りを表したブロック構成図である。この図で示す形態の立体形半導体素子(以下、単に「素子」という)11は、インクタンク内に配置されており、外部Aから素子11に向かって非接触で供給された起電力12を電力13に変換するエネルギー変換手段14と、エネルギー変換手段14で変換された電力13により起動する情報入手手段15、判断手段16、情報蓄積手段17、および情報伝達手段18とを備えている。素子11を動作させるために供給する起電力には、電磁誘導、熱、光、放射線などを適用することができる。また、少なくともエネルギー変換手段14および情報入手手段15は素子11の表面もしくは表面付近に形成されていることが望ましい。
【0033】
情報入手手段15は、素子11の周囲環境情報であるインクタンク内のインクに関する情報(インク情報)を入手し、判断手段16へ出力する。判断手段16は、情報入手手段15より入手したインク情報と情報蓄積手段17に記憶されている情報とを比較し、入手したインク情報を外部へ伝達する必要があるか否かを判断する。情報蓄積手段17は、入手するインク情報と比較する諸条件や情報入手手段15より入手したインク情報そのものをデータテーブルとして蓄積する。情報伝達手段18は、判断手段16からの命令に基づき、エネルギー変換手段14により与えられた電力を、インク情報を外部A又は外部Bに伝達するためのエネルギーに変換して、外部A又は外部Bへインク情報を伝達する。ここで、外部Bとは、起電力12の供給源である外部Aとは異なる対象であり、この素子11が収容されるインクタンクを搭載するインクジェット記録装置の他に、例えば、人の視覚や聴覚といった感覚器官も含む。
【0034】
図2は、図1に示した素子の動作を説明するためのフローチャートである。図1及び図2を参照すれば、外部Aから素子11に向かって起電力12を与えると、エネルギー変換手段14は起電力12を電力13へと変換し、その電力13により情報入手手段15、判断手段16、情報蓄積手段17、および情報伝達手段18を起動する。
【0035】
起動した情報入手手段15は、素子11の周囲環境情報であるインクタンク内のインク情報、例えば、インクの残量、インクの種類、温度、phなどの情報を入手する(図2のステップS11)。次に、判断手段16は、入手したタンク内部情報と参照するための条件を情報蓄積手段17より読み出し(図2のステップS12)、この読み出した条件と入手したタンク内部情報とを比較し、情報伝達の必要性を判断する(図2のステップS13)。ここで、情報蓄積手段17に予め設定してある条件に基づく判断は、例えばインク残量が2ml以下になったり、インクのphが大きく変化したりした為にタンク交換が必要との判断を行うことが挙げられる。
【0036】
ステップS13において判断手段16が外部へタンク内の情報を伝達する必要がないと判断した場合には、情報蓄積手段17に現在のインクタンク内の情報が蓄積される(図2のステップS14)。なお、次に情報入手手段15がインクタンク内の情報を入手したとき、判断手段16は、その入手した情報とここで蓄積された情報とを比較してもよい。
【0037】
またステップS13において、判断手段16がインクタンク内の情報を外部へ伝達する必要があると判断した場合には、エネルギー変換手段15により変換され電力13が、情報伝達手段18でさらに、インクタンク内の情報を外部へ伝達するためのエネルギーへと変換される。この伝達するためのエネルギーとしては、磁界、光、形、色、電波、音などを使用することが可能であり、例えば、インク残量が2ml以下になったと判断された場合には音を鳴らしてタンク交換が必要であることを外部B(例えば、インクジェット記録装置)に伝達する(図2のステップS15)。また、伝達先はインクジェット記録装置のみでなく、特に光、形、色や音などの場合は人の視覚や聴覚に伝達してもよい。さらに、インク残量が2ml以下になったと判断された場合には音を発し、インクのphが大きく変化したときには光を発するなど、情報に応じてその伝達方法を変えてもよい。
【0038】
インクジェット記録装置に用いられる場合、素子11に外部エネルギーとして起電力を供給する手段を設けるのに好ましい位置としては、シリアル型のインクジェット記録装置を例に挙げると、記録ヘッド、キャリッジ、記録ヘッドの回復ポジション、もしくはキャリッジリターンポジション等が挙げられる。これ以外にも、起電力を供給する手段を有する装置を用いれば、インクジェット記録装置がなくてもインクタンク内部の状態を知ることができ、例えば、工場や販売店で、実際にインクタンクをインクジェット記録装置に装着することなく、インクタンクの品質検査を行うこともできる。
【0039】
本実施形態によれば、素子11がエネルギー変換手段15を有しているので、外部と直接的な電気的配線を行う必要がなくなり、外部と直接的な電気的配線を行うことが困難な個所、例えば、後述する図11〜図14に示すようなインク中など、対象物中のどの個所であっても素子11を使用することができる。インク中に素子11を配すれば、インクの状態をリアルタイムで正確に把握することが可能となる。
【0040】
また、素子11がエネルギー変換手段15を有しているので、素子11を動作させるための起電力を蓄積する手段(本例では電源)を素子11に設ける必要がなくなる。そのため、素子11の小型化が可能となり、狭い個所、もしくは図11〜図14のようにインク中など、対象物中のどの個所であっても素子を使用することができる。尚、本形態では素子11と非接触で素子11に起電力を供給したが、一時的に外部と接触して起電力を供給した後、外部と非接触となる形態でもよい。
【0041】
ここで、エネルギー変換手段14について、電磁誘導を利用して電力を発生させる場合を例に挙げて説明する。
【0042】
図3は、本発明の立体形半導体素子の構成要素であるエネルギー変換手段の電力発生原理を説明するための図である。
【0043】
図3において、コイルLaを有する外部共振回路101と、コイルLをを有する発振回路102とを、両コイルL,Lを隣接させて設置する。この状態で、外部共振回路101を通じてコイルLに電流Iを流すと、電流Iによって発振回路102のコイルLを貫く磁束Bが生じる。ここで、電流Iを変化させるとコイルLを貫く磁束Bが変化するので、コイルLには誘導起電力Vが生じる。したがって、素子11にエネルギー変換手段として発振回路102を作り込み、素子11の外部の例えばインクジェット記録装置に、外部共振回路101を、素子側の発振回路102のコイルLと素子外部の共振回路101のコイルLとが隣接するように配設する事により、外部からの電磁誘導による誘導起電力で、素子11を動作させる電力を発生することができる。
【0044】
素子11にエネルギー変換手段として作り込んだ発振回路102のコイルLを貫く磁束Bは、外部共振回路101のコイルLの巻き数Nと電流Iの積に比例するから、比例定数をkとして、
【0045】
【数1】
Figure 0003610286
【0046】
で表される。
【0047】
また、コイルLの巻き数をNとしたとき、コイルLに生じる起電力Vは、
【0048】
【数2】
Figure 0003610286
【0049】
となる。
【0050】
ここで、コイルLの磁心の透磁率をμ、磁界をH、外部共振回路102のコイルLと素子11に作り込んだコイルLとの距離をzとすると、磁束Bは、
【0051】
【数3】
Figure 0003610286
【0052】
となる。
【0053】
また、(2)式の相互インダクタンスMは、
【0054】
【数4】
Figure 0003610286
【0055】
となる。ここで、μは、真空での透磁率である。
【0056】
そして、素子11に作り込んだ発信回路102のインピーダンスZは、
【0057】
【数5】
Figure 0003610286
【0058】
と表され、外部共振回路101のインピーダンスZは、
【0059】
【数6】
Figure 0003610286
【0060】
となる.ここで、Jは、磁化を表している。
【0061】
この外部共振回路101が共振(電流値:Iが最大になるとき)した時のインピーダンスZは、
【0062】
【数7】
Figure 0003610286
【0063】
となり、この共振回路102の位相の遅れφは、
【0064】
【数8】
Figure 0003610286
【0065】
となる。
【0066】
そして、この外部共振回路101の共振周波数fは、
【0067】
【数9】
Figure 0003610286
【0068】
で求められる。
【0069】
上記のような関係から、素子11に作り込んだ発振回路102のインピーダンスZがインクタンク内のインクの変化に応じて変化すると、外部共振回路101の周波数が変化し、外部共振回路101のインピーダンスZの振幅および位相差に、上記のインクの変化が表れてくる。さらには、この位相差や振幅には、インク残量(即ち、Zの変化)も含まれている。
【0070】
例えば、外部共振回路101の共振周波数foを変化させることで、素子11に作り込んだ発振回路102からの出力(インピーダンスZ)が、周囲の環境変化に応じて変化するので、この周波数依存性を検出することで、インクの有無やインク残量を検出することができる。
【0071】
したがって、素子11に作り込む発振回路102は、電力を発生させるエネルギー変換手段14としてのみならず、その発振回路102と外部共振回路101との関係で、インクタンク内のインクの変化を検知する情報入手手段15の一部を兼用している。
【0072】
以上説明したような、外部共振回路101により電力が供給される素子11を、インク情報を検出するための素子として収容したインクタンクの構成例について、図4を参照して説明する。
【0073】
図4は、図1に示す素子11を収容したインクタンクの概略構成図である。図4に示すインクタンク50は、互いに仕切壁50aで仕切られた負圧発生室51とインク室52とを有する。仕切壁50aの下端部は連通路50bとなっており、この連通路50bを介して、負圧発生室51とインク室52とが連通している。負圧発生室51には、繊維体や多孔質体などで構成される負圧発生部材が収納されており、負圧発生室51内でインクは負圧発生部材に吸収された状態で保持されている。また、負圧発生室51には、負圧発生室51内のインクをインクジェット記録ヘッド(不図示)等、外部に供給するためのインク供給口53と、負圧発生室51の内部を大気と連通させる大気連通口(不図示)とが設けられている。インク室52は、連通路50bを除いて実質的に密閉構造で、インクをそのまま保持しており、素子11は、インク室52に保持されたインクの液面に浮かべられている。このような、素子11を浮かばせるための構造については後述する。素子11には、図3を用いて説明した発振回路(不図示)が作り込まれており、素子11は、インクタンク50の下方に配置された外部共振回路101からの電磁誘導による誘導起電力で電力を発生し、かつ、共振周波数を発生してインクタンク50内のインク情報を外部に伝達する。
【0074】
このような構成のインクタンク50によれば、インク供給口53からのインクの消費に伴い、連通路50bを介して、負圧発生室51からインク室52へ気体(大気連通口から導入された気体)が導出されるとともに、それと見合った量のインクがインク室52から負圧発生室51へ導入され、これにより、負圧発生室51内に保持されるインクの量すなわち負圧発生室51内の負圧がほぼ一定に保たれる。
【0075】
ここで、素子11に設けられた発振回路で発生する出力の例を、共振周波数と振幅との関係として、図5に示す。図5に示すように、発振回路で発生する出力は、インクタンク50内(正確にはインク室52)のインクの状況に応じて、例えばa〜cのように、振幅のピーク値を示す共振周波数およびそのピーク値での振幅にそれぞれ違いが生じる。具体的には、図6(a)に示すように、振幅のピーク値を示す共振周波数f、f、fは、インクのpHと相関関係をもっている。この図6(a)に示す関係を予め測定しておくことで、インクのpHの変化を検知することができる。インクの濃度に関しても、違う周波数領域帯で同様の関係があり、その関係を予め測定しておくことで、インクの濃度変化を検知することができる。
【0076】
また、図5に示した共振周波数領域での振幅値の変化A,B,Cは、図6(b)に示すように、素子11と外部共振回路101との距離と相関関係をもっている。従って、インクが満タンのときと空のときとの振幅値を予め測定しておくことで、インクタンク50内での素子11の位置、すなわちインクの残量を検知することができる。
【0077】
また、液体の密度は、状態方程式
PV=nRT (10)
(ここで、P:圧力、V:体積、n:グラム分子量、R:気体定数、T:絶対温度)
を用いて近似することも可能である。
【0078】
式(10)において、Tを一定とすると、密度ρは、
【0079】
【数10】
Figure 0003610286
【0080】
(ここで、M:分子量)
で表される。すなわち、液体の圧力および温度を検知することができれば、液体の密度の状態変化も測定可能である。
【0081】
液体の圧力については、例えば、詳しくは後述するが、ポリシリコン膜でダイアフラムを構成し、圧力の変化によるダイアフラムの変位に伴う抵抗値変化を利用した圧力センサを、本実施形態の素子11に作り込むことで検知することができる。
【0082】
また、液体の温度については、例えば、特開平7−52387号公報に記載されている、記録ヘッドの温度を検知するためのダイオードセンサを本実施形態の素子11に作り込むことによって、検知することができる。
【0083】
以上のように、素子11に圧力センサおよび温度センサを作り込むことで、インクの密度を検知することができる。経時変化も同様に検知できると、液体の粘度/表面張力の変化も推定することができる。
【0084】
液体の粘度に関しては、オリック・アーバーの式
【0085】
【数11】
Figure 0003610286
【0086】
(ここで、η:粘度、A:定数、B:定数)
から、密度の変化により液体の粘度の変化を推定することができる。
【0087】
液体の表面張力と密度との間には、マクレオドによる、
γ={C(ρ−ρ)}4.0 (13)
(ここで、γ:表面張力、C:液体により決められた定数)
の関係式がある。この式(13)から、密度の変化により、液体の表面張力の変化を推定することができる。
【0088】
以上のことから、素子11をインクタンク50に適用することにより、インクのpH、濃度、密度などといったインク情報を経時的に検知しインクタンク50の外部へ伝達することが可能となるので、例えば、使用していたインクタンクが別のものに換えられたり、インクタンク50内に別のインクが注入され、インクの量が以上に増加したりインクの成分が変化した場合であっても、これらを異常として正確に検知することができる。また、インクの粘度や表面張力の変化も推定することができるので、記録ヘッドの制御部へこれらの情報を伝達し、安定した吐出特性を保つ駆動条件を設定することもできる。
【0089】
なお、図4では、図1に示した構成を有する素子11を用いたが、判断手段16および情報蓄積手段17は、素子11にでなくインクタンク50の外部に設けてもよい。
【0090】
ところで、前述したように、図4に示すインクタンク50では素子11はインク液面に浮かべられているが、そのようなインク液面に浮かぶ素子11について、その製造方法とともに、以下に説明する。
【0091】
図7は、図4に示す浮遊型の素子11を、前述したボール・セミコンダクターのベースとなる球状シリコンを用いて製造する場合の製造方法の一例を説明するための一連の工程を示す図である。なお、図7では、各工程を球状シリコンの中心を通る断面で示している。また、ここでは、球状シリコンの重心を中心より下部になるように作成し、且つ、球面体内部の上部を空洞にして、更に、その空洞部を気密状態に保持する場合の製造方法を例に挙げる。
【0092】
まず、図7(a)に示す球状シリコン201に対し、その全表面上に、図7(b)に示すように熱酸化のSiO膜202を形成する。その後、図7(c)に示すようにSiO膜202の一部に開口203を形成するため、フォトリソグラフィプロセスを用いて、パターニングをする。
【0093】
そして、図7(d)に示すように、開口203を通じてのKOH溶液を用いた異方性エッチングにより、球状シリコン201の上半部を除去し、空洞部204を形成する。その後、図7(e)に示すように、LPCVD法を用いて、空洞部204の内面も含む、球状シリコン201およびSiO膜202の全露出面をSiN膜205で被覆する。
【0094】
更に、図7(f)に示すように、メタルCVD法を用いて、SiN膜205の外表面上にCu膜206を形成する。そして、図7(g)に示すように、周知のフォトリソグラフィプロセスを用いてCu膜206をパターニングし、発振回路102(図3参照)の一部である導電体コイルLを巻き数Nで形成する。その後、導電体コイルLを形成した立体形素子を真空装置から大気中に出し、上部の開口203を樹脂や栓などの封止部材207で塞ぎ、球面体内部の空洞部204を密閉状態にする。このように製造すれば、シリコンからなる素子自体に浮力を持たせることができる。
【0095】
また、このような浮遊型の立体形半導体素子を製造する前に球状シリコンに形成しておくコイルL以外の駆動回路素子は、N−MOS回路素子を用いている。図8に、N−MOS回路素子を縦断するように切断した模式的断面図を示す。
【0096】
図8によれば、P導電体のSi基板401に、一般的なMosプロセスを用いたイオンプランテーション等の不純物導入および拡散により、N型ウェル領域402にP−Mos450が構成され、P型ウェル領域403にN−Mos451が構成されている。P−Mos450およびN−Mos451は、それぞれ厚さ数百Åのゲート絶縁膜408を介して、4000Å以上5000Å以下の厚さにCVD法で堆積したpoly−Siによるゲート配線415、およびN型あるいはP型の不純物導入をしたソース領域405、ドレイン領域406等で構成され、それらP−Mos450とN−Mos451によりC−Mosロジックが構成されている。
【0097】
素子駆動用のN−Mosトランジスタ301は、やはり不純物導入および拡散等の工程により、P型ウェル基板402上のドレイン領域411、ソース領域412およびゲート配線413等で構成されている。
【0098】
ここで、素子駆動ドライバとしてN−Mosトランジスタ301を使うと、1つのトランジスタを構成するドレインゲート間の距離Lは、最小値で約10μmとなる。その10μmの内訳の1つは、ソースとドレインのコンタクト417の幅であり、それらの幅分は2×2μmであるが、実際は、その半分が隣のトランジスタとの兼用となるため、その1/2の2μmである。内訳の他は、コンタクト417とゲート413の距離分の2×2μmの4μmと、ゲート413の幅分の4μmであり、合計10μmとなる。
【0099】
各素子間には、5000Å以上10000Å以下の厚さのフィールド酸化により酸化膜分離領域453が形成され、素子分離されている。このフィールド酸化膜は、一層目の蓄熱層414として作用する。
【0100】
各素子が形成された後、層間絶縁膜416が約7000Åの厚さにCVD法によるPSG、BPSG膜等で堆積され、熱処理により平坦化処理等をされてから、コンタクトホールを介して、第1の配線層となるAl電極417により配線が行なわれている。その後、プラズマCVD法によるSiO膜等の層間絶縁膜418を10000Å以上15000Å以下の厚さに堆積し、更にスルーホールを形成した。
【0101】
このN−Mos回路を、浮遊型の素子を形成する前に形成しておく。そして、本発明のエネルギー変換手段としての発振回路などとの接続を上記スルーホールを介して行なう。
【0102】
図4に示した例では、素子11を起動させる電力を供給する外部エネルギーにコイルによる電磁誘導を利用したが、これ以外に、光の明暗を利用してもよい。光の明暗を電気信号に変換する場合は、光の照射により抵抗値が変化する材料(例えば、光導電体)を用いて、光導電効果により電力を発生させることができる。光導電体としては例えば、CdS,InSbやHg0.8Cd0.2Teなどの二元合金/三元合金や、GaAs,Si,Va−Siなどが用いられる。さらに、起電力として熱を使用する場合は、物質の放射エネルギーから量子効果により電力を発生させることができる。
【0103】
(第2の実施の形態)
図9は、本発明の第2の実施の形態による立体形半導体素子の内部構成および外部とのやり取りを表したブロック構成図である。この図で示す形態の立体形半導体素子(以下、単に「素子」という)21は、インクタンク内に配置されており、外部Aから素子21に向かって非接触で供給された起電力22を電力23に変換するエネルギー変換手段24と、エネルギー変換手段24で変換された電力により起動する情報入手手段25、判断手段26、情報蓄積手段27、情報伝達手段28、および受信手段29とを備えている。本実施形態は、第1の実施の形態とは受信機能を有する点、すなわち受信手段29を有する点が第1の実施形態と異なり、その他は第1の実施形態と同様である。素子21を動作させるために供給する起電力22には、電磁誘導、熱、光、放射線などを適用することができる。また、少なくともエネルギー変換手段24、情報入手手段25および受信手段29は素子21の表面もしくは表面付近に形成されていることが望ましい。
【0104】
情報入手手段25は、素子21の周囲環境情報であるインクタンク内のインク情報を入手する。受信手段29は外部Aまたは外部Bからの入力信号30を受信する。判断手段26は、受信手段29からの入力信号に応じて、情報入手手段25にインク情報を入手させ、この入手したインク情報と情報蓄積手段27に記憶してある情報とを比較し、入手したインク情報が所定の条件を満たすかどうかを判断する。情報蓄積手段27は、入手するインク情報と比較する諸条件や情報入手手段25より入手したインク情報そのものをデータテーブルとして蓄積する。情報伝達手段28は、判断手段26の命令によって、電力を、インク情報を外部A、外部Bまたは外部Cへ伝達するためのエネルギーに変換して、判断手段26による判断結果を外部A、外部Bまたは外部Cへ表示、伝達する。
【0105】
図10は、図9に示した素子の動作を説明するためのフローチャートである。図9及び図10を参照すれば、外部Aから素子21に向かって起電力22を与えると、エネルギー変換手段24は起電力22を電力23へと変換し、その電力により情報入手手段25、判断手段26、情報蓄積手段27、情報伝達手段28および受信手段29を起動する。
【0106】
この状態で、外部A又は外部Bから、素子21にインクタンク内の情報を聞くための信号30を送信する。この入力信号30は、例えばインクタンク内にまだインクが残っているかどうかを素子21に聞くための信号であり、受信手段29で受信される(図10のステップS21)。すると、判断手段26は、情報入手手段25に、インクタンク内のインク情報、例えばインクの残量、インクの種類、温度、pHなどの情報を入手させ(図10のステップS22)、かつ入手したインク情報と参照するための条件を情報蓄積手段27より読み出し(図10のステップS23)、入手したインク情報が設定条件を満たすかどうかを判断する(図10のステップS24)。
【0107】
ステップS24において入手情報が設定条件を満たさないと判断した場合にはその満たしていない旨を、入手情報が設定条件を満たすと判断した場合にはその満たしている旨を外部A又は外部B又は外部Cに伝達する(ステップS25,S26)。このとき、判断結果に併せて入手情報も伝達してもよい。この伝達は、エネルギー変換により得られた電力を、情報伝達手段28でさらに、インクタンク内のインク情報を外部へ伝達するためのエネルギーへ変換することで行なう。この伝達するためのエネルギーとしては、磁界、光、形、色、電波、音などを使用することが可能であり、判断結果に応じて変化させ、また、判断すべき質問内容(例えば、インク残量が2ml以下であるかや、インクのpHが変化しているか等)に応じて、その伝達方法を変えてもよい。
【0108】
なお、外部A又は外部Bからの入力信号30と共に起電力をも素子21に与えても良く、例えばその起電力が電磁誘導の場合はインクの残量について聞くための信号、光の場合はphを聞くための信号など、情報の種類によって使い道を分けて与えても良い。
【0109】
本実施形態によれば、外部からの信号を受信する機能を有しているため、第1の実施の形態による効果に加え、外部からの様々な種類の信号による質問に対して返答することが可能となり、素子と外部とで情報のやり取りを行うことができる。
【0110】
(第3の実施の形態)
図11は、本発明の第3の実施の形態による立体形半導体素子の内部構成および外部とのやり取りを表したブロック構成図である。この図で示す形態の立体形半導体素子(以下、単に「素子」という)31は、インクタンク内に配置されており、外部Aから素子31に向かって非接触で供給された起電力32を電力33に変換するエネルギー変換手段34と、エネルギー変換手段34で変換された電力を用いて浮力を発生させる浮力発生手段35とを備えている。
【0111】
本実施形態では、外部Aから素子31に向かって起電力32を与えると、エネルギー変換手段34は起電力32を電力33へと変換し、その電力33を用いて浮力発生手段35は素子31の浮力を発生し、素子31をインク液面で浮遊させる。この浮力は必ずしもインク液面だけでなく、インクが空の状態で吐出を行うのを防止するために、素子31の位置が必ずインク液面から一定距離下方に存在するようにしてもよい。
【0112】
図12に、インクタンクのインク中に浮遊させた素子の位置を、インクの消費変化とともに示す。なお、図12に示すインクタンクは図4に示すインクタンクと同様の構成であるので、ここではその説明は省略する。
【0113】
図12に示すようなインクタンクでは、インク供給口36より負圧発生部材37のインクが外部へ導出されるのに伴い、消費された分のインクがインク室から負圧発生部材37に導入される。これにより、インク室内のインク38中の素子31は、インク液面Hから一定距離下方に存在した状態で、インクの消費によるインク液面Hの位置の低下と共に移動する。
【0114】
図13は、素子31の位置を確認し、タンク交換の必要性を判断するためのフローチャートである。図11及び図13のステップS31〜S34を参照すると、外部A又は外部B(例えばインクジェット記録装置)により素子31に向けて光を発信し、その光を外部A又は外部B(例えばインクジェット記録装置)又は外部Cで受信することにより素子31の位置が検知され、この検出された素子31の位置により、インクタンクを交換する必要があるか等をインクジェット記録装置が判断し、必要がある場合はタンク交換を音や光等で報知する。
【0115】
素子31の位置の検出方法としては、エネルギー変換手段34として図3に示した発振回路102を用い、インクタンクの外部に外部共振回路101と設置すれば、発振回路102からの出力に基づいて第1の実施形態と同様に検知する方法が挙げられる。また、その他に、インク液面の変位に伴って素子31が通過する位置に発光手段と受光手段とを対向配置し、発光手段から発せられた光を素子31が遮蔽することにより素子31の位置を検出する方法、または、発光手段から発した光を素子31で反射させ、その反射光により素子31の位置を検出する方法などが挙げられる。
【0116】
本実施形態によれば、第1の実施形態において図7を参照して説明したように内部に空洞部を設けなくても素子31を浮遊させることができ、しかも、液体の比重が異なるなど、素子31が用いられる環境により素子31に必要な浮力などが変化する場合においても、外部からの起電力32をエネルギー変換手段34により変換して所望の位置に常に素子が存在するように設定することができるので、素子31が置かれる環境に拘わらず素子31を使用することが可能である。
【0117】
なお、本実施形態は上述した第1及び第2の実施の形態に適宜組み合わせることも可能である。
【0118】
(第4の実施の形態)
本実施形態は、第1又は第2の実施形態と同様の構成を有する素子に、他の素子に情報を伝達する機能を付与し、これらを対象物中に複数配置した構成としたものである。
【0119】
まず、本実施形態の概念について図14を参照して説明する。図14は、本発明の第4の実施の形態の概念を説明するための図である。
【0120】
図14(A)に示す例では、第1の実施の形態と同様の構成を有する複数の素子41,42,…,43が対象物中に配されており、各素子41,42,…,43に外部A又は外部Bより起電力が供給されると、各素子41,42,…,43はそれぞれ周囲環境情報を入手する。そして、素子41の入手情報aは素子42へ、素子41及び素子42の入手情報a,bは次の素子へと順次伝達され、最後の素子43はすべての入手情報を外部A又は外部Bに伝達する。
【0121】
また、図14(B)に示す例では、第2の実施の形態と同様の構成を有する複数の素子51,52,…,53が対象物中に配され、各素子51,52,…,53に外部A、外部B又は外部Cより起電力が供給されている。例えば、素子53に外部A又は外部Bから信号による所定の質問が入力されると、素子51又は52はそれぞれ質問に応じた情報を入手して回答を行ない、素子51又は52の質問回答は他の素子へと順次伝達され、所望の素子53より外部A又は外部B又は外部Cに返答される。
【0122】
また、図14(C)に示す例では、第2の実施の形態と同様の構成を有する複数の素子61,62,…,63が対象物中に配され、各素子61,62,…,63に外部A、外部B又は外部Cより起電力が供給されている。外部A又は外部Bより例えば素子63に対してある信号が入力されると、その信号は素子62および素子61へと順次伝達され、素子61により外部A又は外部B又は外部Cへ表示を行なう。
【0123】
なお、図14(A)〜(C)の例では、複数の素子のうち一つを、第3の実施の形態と同様に浮力発生手段を備えたものとしてもよい。
【0124】
以上、本実施形態の概念について説明したが、以下に、上述の概念に基づいた本実施形態でのインク情報の検知について、図15及び図16を参照して説明する。
【0125】
図15は、インクタンク内及びこれに接続したインクジェット記録ヘッド内にそれぞれ、第1、第2又は第3の実施の形態の構成を適宜組み合わせた素子を配置した例を示している。この例では、第1の実施の形態に対して第3の実施の形態の浮力発生手段および他の素子79への情報伝達機能を付加した素子71がインクタンク72のインク73中の所望の位置に配置される。一方、インクタンク72のインク供給口74と連結した液路75及び液室76を通じて供給されたインクを印字のために吐出口77から吐出する記録ヘッド78には、ID機能(認証機能)を備えた、第2の実施の形態と同様の構成を有する素子79が配置される。この素子79への電力供給は、素子表面に配した電極部と記録ヘッド78を駆動するための電気基板上のコンタクト部との接触によって行なってもよい。
【0126】
そして、各素子71,79に外部から起電力を供給すると、インク73中の素子71は、インク情報として例えばインクの残量情報を入手し、記録ヘッド78側の素子79は例えばタンク交換のためのインク残量を判断するID情報を素子71に伝達する。すると、素子71は入手したインク残量とIDとを比較し、これらが一致したときのみ、素子79に、外部へタンク交換を知らせるよう伝達指示する。素子79はこれを受信して外部にタンク交換を知らせる信号を伝達したり、人の目や聴覚に訴える音や光等を出力する。
【0127】
以上のように、素子をある対象物中に複数配することで、複雑な情報の条件を設定することが可能となる。
【0128】
また、図14及び図15に示した例では、各々の素子に起電力を供給する構成としたが、これに限らず、ある素子に供給した起電力を情報とともに他の素子に順次伝達する構成であってもよい。
【0129】
例えば図16に示すように、第1の実施の形態の構成に、第3の実施の形態と同様の浮力発生手段と、他の素子への情報伝達機能および起電力供給機能とを付加した素子81、及び、第2の実施の形態の構成に、第3の実施の形態と同様の浮力発生手段と、他の素子への情報伝達機能および起電力供給機能とを付加した素子82がそれぞれ、図15と同様のインクタンク72のインク73中の所望の位置に配置される。一方、インクタンク72と連結した記録ヘッド78には、ID機能(認証機能)を備えた、第2の実施の形態と同様の構成を有する素子83が配置される。この素子83への電力供給は素子表面に配した電極部と記録ヘッド78を駆動するための電気基板上のコンタクト部との接触によって行なってもよい。
【0130】
そして、素子81に外部から起電力を供給すると、インク73中の一方の素子81は、インク情報として例えばインクの残量情報を入手して、この情報を内部の規定条件と比較し、他方の素子82へ伝達の必要がある場合は、入手したインク残量情報を他方の素子82に、その素子82を動作させる起電力とともに伝達する。起電力が供給された他方の素子82は、素子81から伝達されたインク残量情報を受信するとともに、インク情報として例えばインクのpHに関する情報を入手し、記録ヘッド78側の素子83に、素子83を動作させる起電力を伝達する。すると、起電力が供給された記録ヘッド78側の素子83は例えばタンク交換のためのインク残量又はインクのpHを判断するID情報を素子82に伝達する。そして素子82は、入手したインク残量情報およびpH情報とIDを比較し、一致したときのみ、素子83に外部へタンク交換を知らせるよう伝達指示する。素子83はこれを受信して外部にタンク交換を知らせる信号を伝達したり、人の目や聴覚に訴える音や光等を出力する。このように、ある素子から他の素子へと情報とともに起電力を供給する方法も考えられる。
【0131】
なお、記録ヘッド78は、液路内でヒーター等の電気熱変換素子の熱によりインクを発泡させ、その気泡成長エネルギーにより、液路と連通する微小開口よりインクを吐出するものが考えられる。
【0132】
(その他の実施の形態)
以下に、上述した各実施形態に適用可能なその他の実施形態について説明する。
【0133】
〈情報入力手段〉
インクに関する情報およびその情報を入手する情報入手手段としては、上述した各実施形態で述べたものの他に、(1)SiO膜やSiN膜をイオン感応膜として作り、インクのpHを検知するセンサ(イオンセンサ)、(2)ダイヤフラム構造を有し、タンク内の圧力変化を検知する圧力センサ、(3)光を熱エネルギーに変換し、焦電効果を有するフォトダイオードを作り込み、現在の位置を検出し、インク残量を検知するセンサ、(4)材料の導電効果を用いて、タンク内の水分量によりインク有無を検知するセンサ等が挙げられる。
【0134】
以下に、情報入手手段をイオンセンサとした場合について詳細に説明する。
【0135】
図17は、本発明の立体形半導体素子に設けられたイオンセンサの断面図である。
【0136】
図17に示すように、立体形半導体素子のベースとなる球状シリコン301の表面には、SiNまたはSiOからなるイオン感応膜302が、その一部を間隙部307を介して球状シリコン301と間隔をあけて形成されている。イオン感応膜302の表面にはゲート絶縁膜303が形成されている。さらに、ゲート絶縁膜303の表面には、N型不純物を導入したソース領域304aおよびドレイン領域304bからなるN型ウェル層が形成され、さらにその上に、P型ウェル層305が形成されている。また、間隙部307が形成された領域の、球状シリコン301の表面の一部には参照電極306が形成され、以上により、イオン選択性FET(電界効果トランジスタ)であるイオンセンサ300が構成される。
【0137】
間隙部307は、参照電極306が形成された球状シリコン301の表面に、インク感応膜302等を形成する前に、参照電極306を覆って犠牲層を形成しておき、P型ウェル領域305が形成された後、この犠牲層をエッチング等により除去することで形成することができる。また、間隙部307は、不図示の連通部を介してイオンセンサ300の外部と連通しており、この立体形半導体素子がインク中に設置された状態では、インクは連通部を介して間隙部307内を自由に行き来できる。
【0138】
インク感応膜302がインクと接することにより、インク感応膜302とインクとの間でインク中のイオン種とその濃度に応じた界面電位が発生する。イオンセンサ300のソース−ドレイン間に所定のバイアス電圧を印加しておくことにより、界面電位に応じたドレイン電流が流れる。測定時には、参照電極306とソースとの間に適当なバイアスを印加しておき、界面電位とこのバイアスとの和に応じたドレイン電流を観測する。あるいは、イオンセンサ300をソースフォロア回路として構成し、抵抗を介して電位として出力を得るようにしてもよい。
【0139】
ところで、インクジェット記録装置で使用されるインクは、一般的に、溶媒としての水に、染料や顔料を溶解または分散させたものである。具体的には、カルボキシル基や水酸基を有する染料イオンや、これらの基を有する分散剤によって親水化された顔料や、これらの基を付着させた顔料粒子を水に溶解または分散させたものである。このような染料あるいは顔料は、水溶液系であるインク中で、図18(a)、(b)に示すように、水素結合などの比較的弱い結合により、会合状態を形成する。このような会合状態が数十/数百の分子間で起こると、仮想的に高分子の色材分子となり、インクの動的粘度を低下させ、その結果、記録ヘッドからの吐出特性の劣化をもたらすことになる。
【0140】
上述した会合状態が形成されると、見かけ上、イオンとしてのカルボキシル基や水酸基の活量が低下することになるとともに、イオン自体の実効的な分子量が大きくなるため、イオンセンサ300での検出電位に変化を生じさせることになる。本例の立体形半導体素子は、例えば記録ヘッドのインクと接触する領域に設置し、インク中での染料イオン等の会合状態をイオンセンサ300によって検知し、必要に応じて記録ヘッドの回復動作等を行って、記録ヘッド内のインクを常に一定の解離状態にする。
【0141】
図19(a)は、イオンセンサでの検知結果を出力するための回路の一例を示す図であり、図19(b)は、図19(a)の回路をロジック回路として表したものである。ここでは、イオン濃度に応じて発振周波数が変化する発振回路を説明する。
【0142】
図19に示す例では、MOSトランジスタ320,321を直列に接続してインバータ回路322,323が構成され、このようなインバータ回路322,323を2段、リング状に接続して発振回路を構成し、さらにインバータ回路323の出力をバッファとしての1段のインバータ回路322を介して取り出すことにより、発振出力としている。イオンセンサ300は、インバータ回路322の出力(すなわちインバータ回路323の入力)と接地点との間に挿入されている。この回路によれば、イオンセンサ300での検出電位に応じて発振周波数が変化する。従って、この発振周波数を検出することにより、インクのイオン濃度を検出することができる。
【0143】
本発明の立体形半導体素子をインクタンクのインク中、特に液面付近に配しておくと、上述したように、インク中の色材分子等が会合していくと、仮想的に高分子状態になり、底面付近に沈降し、インクタンク中のインクに濃度分布やpH分布が発生するのを検知することができる。その結果を外部に伝達することで、これらの分布をなくす動作を機能させることが可能となる。
【0144】
イオンセンサ300での検出電圧値は、ネルンスト(Nernst)の式によって支配されるため、温度の関数でもある。そこで、温度の影響をなくすため、例えば温度センサも別に設け、温度の測定値に応じてイオン濃度の測定値を補正できるようにしてもよい。このように温度センサを設けた場合には、イオンセンサと温度センサとを同一の素子に形成してもよいし、それぞれ別の素子に形成し、第4の実施形態のように、温度センサを形成した素子が入手した情報を、イオンセンサを形成した素子に伝達する構成としてもよい。
【0145】
また、流体力学の面から導かれたストークス(Stokes)の法則によれば、イオンのモル濃度λは、
【0146】
【数12】
Figure 0003610286
【0147】
(ここで、Z:イオンの電荷数、F:ファラデー定数、N:単位面積当たりの分子数、η:粘性率、r:イオン半径)
で与えられ、また、イオンの拡散係数Dは、
【0148】
【数13】
Figure 0003610286
【0149】
(ここで、R:気体定数、T:絶対温度)
で与えられる。この流体力学のストークスの法則がインク中のイオンの運動に当てはめることができるとする。その際、インクカートリッジやインクタンクに注入する前に、インクのモル伝導度λや拡散係数Dを測定しておいて、素子に設けられている情報蓄積手段または素子の外部に予め設けられているメモリに認識させておく。
【0150】
インク中の色材成分(染料もしくは顔料)にのみ着目してみると、イオン半径r、粘性率η、電荷数Zが、可変するパラメータになる。
【0151】
さらに、着目したイオンの双極子モーメントμは、
【0152】
【数14】
Figure 0003610286
【0153】
で表され、インクの被誘電率εは、
【0154】
【数15】
Figure 0003610286
【0155】
(ここで、g:隣接分子の相対的な配向で決まる量、k:ボルツマン定数)
で表される。
【0156】
上述のイオンセンサを用いて、検出電位の変化が、(イオンの電荷数Z/イオン半径r)に比例すると考えると、(10)式から、粘性率ηの変化を相対的に見積もることができる、この粘性率ηの変化に応じて吐出特性を一定にするためのパルス制御が、極めて有効な手段になると考えられる。
【0157】
〈インクタンクの構成〉
上述した実施の形態の立体形半導体素子を適用できるインクタンクのいくつかの構成例を図20〜図23に示す。
【0158】
図20に示すインクタンク501は、インクを収容した可撓性のインク袋502を筐体503内に配置し、筐体503に固定したゴム栓504で袋口502aを閉じておき、インク導出用の中空針505をゴム栓504に突き刺して袋内に連通させることで、不図示のインクジェットヘッドへインク供給を行なうものである。このようなインクタンク501のインク袋502内に本発明の立体形半導体素子506を配置し、インク袋502内に収容されているインクの情報を検知することができる。
【0159】
また、図21に示すインクタンク511は、インク513を収容した筐体512のインク供給口514に、インクを記録紙Sに向けて吐出し記録を行なうインクジェットヘッド515を取り付けたものである。このようなタンク511内のインク513中に本発明の立体形半導体素子516を配置し、筐体512内のインク513の情報を検知することができる。
【0160】
また、図22に示すインクタンク521は、図4等に示したインクタンクと同様の構成を有し、インク522を収容し連通路524を除いて実質的に密閉状態のインク室と、負圧発生部材523を収納する大気連通状態の負圧発生室と、タンク最下部でインク室と負圧発生室を連通させる連通路524とを備えたものである。このような構成のインクタンク521において、インク室と負圧発生室とにそれぞれ本発明の立体形半導体素子525,526を配し、分割された各々の室のインクに関する情報をやり取りしてもよい。
【0161】
また、図23に示すインクタンク531は、インクを吸収保持した多孔質部材532を内部に収納し、収納したインクを記録のために使用するインクジェットヘッド533を取付けたものである。このような構成のタンク531においても、図15、図16に示した構成と同様に、インクタンク531側とインクジェットヘッド533側にそれぞれ本発明の立体形半導体素子534,535を配し、分割された各々の構成部内のインクに関する情報をやり取りしてもよい。
【0162】
〈インクジェット記録装置〉
図24に、本発明の立体形半導体素子を備えたインクタンクを搭載するインクジェット記録装置の概略斜視図を示す。図24に示されるインクジェット記録装置600に搭載されたヘッドカートリッジ601は、印字記録のためにインクを吐出する液体吐出ヘッドと、その液体吐出ヘッドに供給される液体を保持する図20〜図23に示したようなインクタンクとを有するものである。また、インクタンク内に配された立体形半導体素子(不図示)へ外部エネルギーである起電力を供給する外部エネルギー供給手段622や、立体形半導体素子と情報を双方向に通信する手段(不図示)が記録装置600内に設置されている。
【0163】
ヘッドカートリッジ601は、図24に示すように、駆動モータ602の正逆回転に連動して駆動力伝達ギヤ603および604を介して回転するリードスクリュー605の螺旋溝606に対して係合するキャリッジ607上に搭載されている。駆動モータ602の動力によってヘッドカートリッジ601がキャリッジ607ともとにガイド608に沿って矢印aおよびbの方向に往復移動される。インクジェット記録装置600には、ヘッドカートリッジ601から吐出されたインクなどの液体を受ける被記録媒体としてのプリント用紙Pを搬送する被記録媒体搬送手段(不図示)が備えられている。その被記録媒体搬送手段によってプラテン609上を搬送されるプリント用紙Pの紙押さえ板610は、キャリッジ607の移動方向にわたってプリント用紙Pをプラテン609に対して押圧する。
【0164】
リードスクリュー605の一端の近傍には、フォトカプラ611および612が配設されている。フォトカプラ611および612は、キャリッジ607のレバー607aの、フォトカプラ611および612の領域での存在を確認して駆動モータ602の回転方向の切り換えなどを行うためのホームポジション検知手段である。プラテン609の一端の近傍には、ヘッドカートリッジ601の吐出口のある前面を覆うキャップ部材614を支持する支持部材613が備えられている。また、ヘッドカートリッジ601から空吐出などされてキャップ部材614の内部に溜まったインクを吸引するインク吸引手段615が備えられている。このインク吸引手段615によりキャップ部材614の開口部を介してヘッドカートリッジ601の吸引回復が行われる。
【0165】
インクジェット記録装置600には本体支持体619が備えられている。この本体支持体619には移動部材618が、前後方向、すなわちキャリッジ607の移動方向に対して直角な方向に移動可能に支持されている。移動部材618には、クリーニングブレード617が取り付けられている。クリーニングブレード617はこの形態に限らず、他の形態の公知のクリーニングブレードであってもよい。さらに、インク吸引手段615による吸引回復操作にあたって吸引を開始するためのレバー620が備えられており、レバー620は、キャリッジ607と係合するカム621の移動に伴って移動し、駆動モータ602からの駆動力がクラッチ切り換えなどの公知の伝達手段で移動制御される。ヘッドカートリッジ601に設けられた発熱体に信号を付与したり、前述した各機構の駆動制御を司ったりするインクジェット記録制御部は記録装置本体側に設けられており、図24では示されていない。
【0166】
上述した構成を有するインクジェット記録装置600では、前記の被記録媒体搬送手段によりプラテン609上を搬送されるプリント用紙Pに対して、ヘッドカートリッジ601がプリント用紙Pの全幅にわたって往復移動する。この移動時に不図示の駆動信号供給手段からヘッドカートリッジ601に駆動信号が供給されると、この信号に応じて液体吐出ヘッド部から被記録媒体に対してインク(記録液体)が吐出され、記録が行われる。
【0167】
なお、図24ではインクジェット記録装置の外装は示していないが、外装のカバーを半透明など中の状態が見れるものを用い、インクタンクも半透明のものを用いた場合には光を伝達手段として用いると、タンクの光をユーザーが見ることができるので、例えば「タンク交換の必要がある」ことが分かり易く、ユーザーに、タンク交換の必要性を喚起することができる。従来は、記録装置本体の操作ボタンに発光手段を設け、その発光手段を発光させることによってタンク交換をユーザーに知らせていたが、発光手段は幾つかの表示機能を兼用している場合が多く、発光手段が発光してもユーザーはこの発光が何を意味しているのか分かりにくい場合が多かった。
【0168】
〈浮遊型の立体形半導体素子の液面での安定化〉
立体形半導体素子が、図7に示すような空洞部を有する構成であり、また、立体形半導体素子への電力の供給が、図3に示した発振回路と外部共振回路とによりなされる場合、インクタンクがどのような状態においても、素子に作り込まれた発振回路と外部の外部共振回路との間で安定した磁束(磁界)が働いている必要がある。つまり、外部共振回路に対する素子の向きが安定している必要がある。しかし、素子がインクなど液体中に浮遊している場合、外部振動により液面が振動し、素子の向きが変動することがある。そのような場合でも、素子が液体中で安定した姿勢を保持するために、浮遊型の立体形半導体素子の重心を以下のように決定する。
【0169】
図25で示しているように、球体として形成した立体形半導体素子210を液体中に浮遊させた場合、図25(a)のように、釣り合いの状態にあるためには、
(1)浮力F=物体の重量W、かつ、
(2)浮力の作用線と重量の作用線(重心Gを通る線)とが一致、
という関係が成り立っていることが必要である。
【0170】
そして、図25(b)のように、外力により液体が振動して、立体形半導体素子210が、釣り合いの状態から少し傾いた時、浮力の中心Cが移動し、浮力と重量とで偶力となる。
【0171】
ここで、釣り合いの状態にあるときの重量の作用線(図25(b)中の一点鎖線)と、傾いたときの浮力の作用線(図25(b)中の実線)との交点をメタセンタといい、メタセンタと重心Gとの距離hをメタセンタの高さという。
【0172】
立体形半導体素子210のメタセンタは重心Gよりも高い位置にあり、これにより、偶力(復元力)は元の釣り合いの位置に戻そうとする向きに作用する。この復元力Tは、
T=Whsinθ=Fhsinθ
=ρgVhsinθ (>0) (14)
で表される。ここで、Vは、立体形半導体素子210が排除した液体の体積、ρgは、立体形半導体素子210の比重量である。
【0173】
そこで、この復元力Tを正にするためには、h>0となることが必要十分条件である。
【0174】
そして、図25(b)から、
【0175】
【数16】
Figure 0003610286
【0176】
となる。ここで、IはO軸回りの慣性モーメントである。よって、
【0177】
【数17】
Figure 0003610286
【0178】
となることが、立体形半導体素子210が、インク中で安定して浮遊し、外部共振回路からの誘電起電力の供給や、素子外部の通信手段との双方向通信を行うための必要条件となる。
【0179】
〈圧力センサ〉
ここでは、第1の実施形態で述べた、液体の密度を検知するのに利用される圧力センサの一例について詳しく説明する。
【0180】
図26は、本発明の立体形半導体素子に設けられる圧力センサの構造の一例を説明する断面図である。
【0181】
図26に示す圧力検知センサは、ポリシリコン膜におけるピエゾ抵抗効果を利用した半導体歪ゲージであり、球状シリコンから作られる立体形半導体素子の表面の常にインクと接する部位に形成されている。ポリシリコン抵抗層221は、球状シリコン200の表面に、空洞部225を介して部分的に浮き上がったダイアフラムとして形成されている。ポリシリコン抵抗層221の浮き上がった領域での両端部には、例えばCuまたはWからなる配線222が設けられている。そして、ポリシリコン抵抗層221および配線222は、SiNからなる保護膜223で覆われ、これにより圧力調整手段が構成されている。
【0182】
次に、図26に示す圧力検知センサによる圧力検知原理について、図26、および図26に示すポリシリコン抵抗層からの出力をモニタする回路の回路図である図27を参照して説明する。
【0183】
図27において、ポリシリコン抵抗層221の通常時の抵抗値をrとすると、電流計230には、
i=VDD/{R+R×r(R+r)} (19)
の電流が流れる。また、ポリシリコンは、その変位にほぼ比例して抵抗値が増加する特性を有する。従って、通路212の圧力の変化によってポリシリコン抵抗層221が変位すると、ポリシリコン抵抗層221の抵抗値rが変化し、その結果、電流計230で測定される電流iも変化する。すなわち、電流iの変化からポリシリコン抵抗層221の変位量がわかり、それによってインクの圧力が検知可能となる。
【0184】
更に詳細に説明すると、ポリシリコン抵抗層221の長さをL、断面積をSとすると、抵抗率ρを用い、全抵抗値Rは、
R=ρL/S (20)
で表される。ここで、ポリシリコン抵抗層221が、圧力変化に伴って変化すると、その長さはL+ΔLと長くなり、抵抗値が増加する。一方、断面積はS−ΔSと小さくなり、また、ρもρ’と変化する。抵抗値の増加分ΔRと長さの増加部ΔLとの関係は、
【0185】
【数18】
Figure 0003610286
【0186】
で表され、更に、
【0187】
【数19】
Figure 0003610286
【0188】
となる。ここで、kgは、歪みに対する抵抗値の変化係数を表している。
【0189】
そして、ブリッジ回路等を用いて、抵抗値の変化分ΔRを検出することで圧力変動を求めることができる。
【0190】
ポリシリコンは温度によって歪み抵抗が変化する特性を持つ。そのため、ポリシリコン抵抗層221を有する圧力検知センサでは、ポリシリコン抵抗層221の温度をモニタする温度センサを更に備えることが望ましい。つまり、ポリシリコン抵抗層221に、温度センサを介して電圧VDDを供給することにより、環境温度の変化によるポリシリコン抵抗層221の抵抗変化を補償して、インクの圧力をより正確に検知することができる。
【0191】
〈立体形半導体素子のインクタンク以外への応用〉
以上、本発明について、インクジェット記録装置に用いられるインクタンク内のインク情報を検知する場合を例に挙げて説明した。本発明は、これに限らず、素子が接している液体に関する情報を外部から検知するのに有効な発明である。
【0192】
ここでは、本発明の立体形半導体素子のインクタンク以外への適用例について説明する。
【0193】
図28は、本発明の立体形半導体素子を配した水管の断面図である。図28に示す例では、水道管など、図示矢印方向に液体が流れる水管151内に、本発明の立体形半導体素子153が固定されている。立体形半導体素子153は、エネルギー変換手段として発振回路(不図示)を有し、水管151の外側の、立体形半導体素子153の近くに、共振回路を介して立体形半導体素子153に電力を供給するための外部共振回路152が配されている。このような水管151内に立体形半導体素子153を配することによって、外部共振回路152による共振周波数領域を可変させて、立体形半導体素子153内の発振回路から発生する出力により、水管151内の液体の流れに伴って液体の特性変化を読み取ることができる。
【0194】
図29は、本発明の立体形半導体素子を配したマイクロバルブの概略断面図である。図29に示すように、マイクロバルブ160は、壁面に圧電素子162が取り付けられるとともに、液体の流入口および排出口が形成された液体室161と、液体室161の流入口に設けられ、液体室161の内側にのみ開く流入弁164a,164bと、液体室161の流出口に設けられ、液体室161の外側にのみ開く流出弁166a,166bとを有する。流入口には流入管163が接続され、流出口には流出管165が接続されている。そして、本発明の立体形半導体素子167は、液体室161内に固定されている。
【0195】
図29に示すマイクロバルブ160では、圧電素子162に電圧を印加することによる圧電素子162のたわみ変形を利用して、図30(a)および(b)に示すように、液体室161の容積を変化させている。すなわち、図30(a)に示すように圧電素子162を変形させると、液体室161の容積が増大し、これにより流入弁164a,164bが開き、流入管163から液体室161内に液体が流入する。その後、図30(b)に示すように圧電素子162を変形させると、液体室161の容積が減少し、これにより流出弁166a,166bが開き、液体室161内の液体が流出管165へ流出する。この動作を繰り返すことで、液体室161を経由して、流入管163から流出管165へ液体を送ることができる。
【0196】
液体室161内に配された立体形半導体素子167は、液体室161内の液体の化学的物性変化を経時的に検出することができる。その検出された化学的物性変化から物理的物性を推定し、圧電素子162の駆動条件を最適化させることができる。その結果、図29に示したマイクロバルブ160は、定量ポンプや、またはインクジェットヘッドのように一定量の液滴を吐出させるデバイスにも適用することができる。
【0197】
図31に、図29に示すマイクロバルブを適用したインクジェットデバイスの概略断面図を示す。図31に示すインクジェットデバイス170は、圧電素子172が取り付けられた液体室171と、液体室171の流入口に接続された供給管173と、液体室171の流出口に接続され、オリフィス175aが形成された吐出部175とを有する。液体室171の流入口には液体室171の内側にのみ開く流入弁174a,174bが設けられ、液体室161の流出口には液体室171の外側にのみ開く流出弁176a,176bが設けられている。立体形半導体素子177は、液体室171内に固定されている。
【0198】
図31に示すインクジェットデバイス170の基本的な動作は、図30に示したマイクロバルブ160と同様であり、圧電素子172を駆動することで、供給管173から供給された液体が、液体室171を経由して、吐出部175のオリフィス175aから液滴として吐出される。インクジェットデバイス170においても、立体形半導体素子177での検知結果に基づいて圧電素子172の駆動を最適化し、ひいては液滴の吐出特性を最適化することができる。
【0199】
このように、本発明は、液体を取り扱うあらゆる装置において、その液体に関する情報を入手するのに有効であるが、最も好ましいのは、上述した各実施形態で説明したような、着脱可能に装着されたインクタンクに収容されたインクをインクジェット記録ヘッドに供給し、その記録ヘッドから噴射するインク滴で記録用紙に印字するインクジェットプリンタに関してのインク情報を検知し、インクジェットプリンタにその情報を伝送して、最適な方法でプリンタを制御したり、タンク内の状態を最適維持するのに適用する場合である。
【0200】
また、上述した各実施形態では、インクタンク、水管、あるいはマイクロバルブといった、液体を取り扱う装置に立体形半導体素子を配した例を挙げて説明したが、その立体形半導体素子の持つ機能をこれらの装置に直接付与してもよい。
【0201】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、イクに関する情報を入手する機能と、入手した情報を外部に伝達する機能とを有する立体形半導体素子をインクタンク内部に備えることで、液体に関する情報の入手および外部への伝達を効率的に行い、立体形半導体素子が入手した情報に基づいて記録ヘッドの駆動等を制御し、高品位な記録を行うことができる。具体的には、インクタンクが別のものに換えられたり、異なる種類のインクが挿入されてもそれを検知することができ、また、インクの粘度や表面張力の変化を推定し、その推定結果に基づいて記録ヘッドの駆動条件を最適に制御し、安定した吐出特性を保つことができる。また、立体形半導体素子が空洞部を有し、さらに立体形半導体素子を、重心が中心より下部に位置するとともに、メタセンタが重心より上部に位置するように構成することで、立体形半導体素子はインク中で安定した姿勢を保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による立体形半導体素子の内部構成および外部とのやり取りを表したブロック構成図である。
【図2】図1に示した立体形半導体素子の動作を説明するためのフローチャートである。
【図3】本発明の立体形半導体素子の構成要素であるエネルギー変換手段の電力発生原理を説明するための図である。
【図4】図1に示す立体形半導体素子を収容したインクタンクの概略構成図である。
【図5】図3に示す発振回路からの出力を共振周波数と振幅との関係で示す図である。
【図6】図3に示す発振回路からの出力の振幅のピーク値とインクのpHとの関係を示す図である。
【図7】図4に示す浮遊型の立体形半導体素子の製造方法の一例を説明するための一連の工程を示す図である。
【図8】本発明の立体形半導体素子に使用するN−MOS回路素子を縦断するように切断した模式的断面図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態による立体形半導体素子の内部構成および外部とのやり取りを表したブロック構成図である。
【図10】図9に示した立体形半導体素子の動作を説明するためのフローチャートである。
【図11】本発明の第3の実施の形態による立体形半導体素子の内部構成および外部とのやり取りを表したブロック構成図である。
【図12】インクタンクのインク中に浮遊させた図9の構成の素子の位置を、インクの消費変化とともに示す図である。
【図13】図9に示す構成の素子の位置を確認し、タンク交換の必要性を判断するためのフローチャートである。
【図14】本発明の第4の実施の形態の概念を説明するための図である。
【図15】インクタンク内及びこれに接続したインクジェットヘッド内にそれぞれ、第1、第2又は第3の実施の形態を適宜組み合わせた立体形半導体素子を配置した例を示す図である。
【図16】インクタンク内及びこれに接続したインクジェットヘッド内にて、ある立体形半導体素子に供給した起電力を情報とともに他の立体形半導体素子に順次伝達する構成例を示す図である。
【図17】本発明の立体形半導体素子を構成する情報入手手段の一例であるイオンセンサを説明する図である。
【図18】インク中の染料イオンの会合状態を説明する図である。
【図19】図17に示すイオンセンサでの検知結果を出力するための回路の一例を示す図である。
【図20】本発明の種々の実施の形態による立体形半導体素子を配するのに好適なインクタンクの例を示す図である。
【図21】本発明の種々の実施の形態による立体形半導体素子を配するのに好適なインクタンクの例を示す図である。
【図22】本発明の種々の実施の形態による立体形半導体素子を配するのに好適なインクタンクの例を示す図である。
【図23】本発明の種々の実施の形態による立体形半導体素子を配するのに好適なインクタンクの例を示す図である。
【図24】本発明の立体形半導体素子を備えたインクタンクを搭載するインクジェット記録装置の一例の概略斜視図である。
【図25】図7で示す方法で製造した立体形半導体素子が液体中で安定した状態を保持するための条件を説明するための図である。
【図26】本発明の立体形半導体素子に設けられる圧力センサの構造の一例を説明する図である。
【図27】図26に示すポリシリコン抵抗層からの出力をモニタする回路の回路図である。
【図28】本発明の立体形半導体素子を配した水管の断面図である。
【図29】本発明の立体形半導体素子を配したマイクロバルブの概略断面図である。
【図30】図29に示すマイクロバルブの動作を説明する図である。
【図31】図29に示すマイクロバルブを適用したインクジェットデバイスの概略断面図である。
【図32】従来のインク残量検知装置の一例を示す図である。
【図33】従来のインク残量検知装置の他の例を示す図である。
【符号の説明】
11,21,31,71,79,81,82,83,153,167,177立体形半導体素子
12,22,32 起電力
13,23,33 電力
14,24,34 エネルギー変換手段
15,25 情報入手手段
16,26 判断手段
17,27 情報蓄積手段
18,28 情報伝達手段
29 受信手段
30 入力信号
35 浮力発生手段
36,53,74 インク供給口
37 負圧発生部材
38,73 インク
50,72,501,511,521,531 インクタンク
50a 仕切壁
50b 連通路
51 負圧発生室
52 インク室
75 液路
76 液室
77 吐出口
78 記録ヘッド
101,152 外部共振回路
102 発振回路
151 水管
160 マイクロバルブ
161,171 液体室
162,172 圧電素子
163 流入管
164a,164b,174a,174b 流入弁
165 流出管
166a,166b,174a,174b 流出弁
170 インクジェットデバイス
173 供給管
175 吐出部
175a オリフィス
201,301 球状シリコン
202 SiO
203 開口
204 空洞部
205 SiN膜
206 Cu膜
207 封止部材
300 イオンセンサ
302 インク感応膜
303 ゲート絶縁膜
304a ソース領域
304b ドレイン領域
305 P型ウェル層
306 参照電極
307 間隙部
600 インクジェット記録装置
601 ヘッドカートリッジ
607 キャリッジ
622 外部エネルギー供給手段

Claims (5)

  1. インクを吐出する吐出ヘッドに供給するインクを収容するインクタンクであって、
    少なくとも前記インクの水素イオン濃度指数、濃度、密度の一つを含む、前記インクの化学的物性の情報を入手する情報入手手段と、
    前記情報入手手段により入手された入手情報を外部へ表示または伝達する情報伝達手段と、
    外部から与えられるエネルギーを、前記情報入手手段および前記情報伝達手段を動作させるための、前記エネルギーとは異なる種類のエネルギーに変換するエネルギー変換手段とを有した立体形半導体素子を備えており、
    該立体形半導体素子は、前記インクタンクのインク貯蔵部のインク液面もしくはインク中の所定の位置で浮遊するための空洞部を有し、インク中で、前記立体形半導体素子の重心が当該素子の中心より下部に位置するとともに、当該素子のメタセンタが前記重心より上部に位置するように構成されることで、インク中での前記立体形半導体素子の姿勢が保持されるように構成されたものであることを特徴とするインクタンク。
  2. 前記入手情報と比較するための情報を蓄積する情報蓄積手段と、
    前記入手情報とこれに対応する前記情報蓄積手段に蓄積された情報とを比較し、外部への情報伝達の必要性を判断する判断手段とを更に有し、
    前記情報伝達手段は、前記判断手段にて情報伝達が必要と判断された場合に、前記入手情報を外部へ表示または伝達し、
    前記情報蓄積手段および前記判断手段は、前記エネルギー変換手段で変換されたエネルギーによって作動する、請求項に記載のインクタンク。
  3. 前記入手情報と比較するための情報を蓄積する情報蓄積手段と、
    外部からの信号を受信する受信手段と、
    前記受信手段で受信した信号に応じて前記情報入手手段に前記インクに関する情報を入手させ、前記入手情報とこれに対応する前記情報蓄積手段に蓄積された情報とを比較し、前記入手情報が所定の条件を満たすか否か判断する判断手段とを更に有し、
    前記情報伝達手段は、少なくとも前記判断手段による判断結果を外部へ表示または伝達し、
    前記情報蓄積手段、前記受信手段、および前記判断手段は、前記エネルギー変換手段で変換されたエネルギーによって作動する、請求項に記載のインクタンク。
  4. 前記エネルギー変換手段は、外部に配された共振回路との間で電磁誘導による誘導起電力で電力を発生させる発振回路を有する、請求項に記載のインクタンク。
  5. 前記インクに関する情報は前記発振回路からの出力の変化で与えられる、請求項に記載のインクタンク。
JP2000181834A 2000-06-16 2000-06-16 インクタンク Expired - Fee Related JP3610286B2 (ja)

Priority Applications (20)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000181834A JP3610286B2 (ja) 2000-06-16 2000-06-16 インクタンク
DE60142198T DE60142198D1 (de) 2000-06-16 2001-06-13 Kommunikationssystem mit Festkörperhalbleiterbauelement, Tintenbehälter, mit diesem Tintenbehälter ausgestattete Tintenstrahlaufzeichnungsvorrichtung.
EP06115291A EP1710084B1 (en) 2000-06-16 2001-06-13 Solid semiconductor element, ink tank, ink jet recording apparatus provided with ink tank, and associated method of use
AT01114377T ATE402821T1 (de) 2000-06-16 2001-06-13 Tintenstrahlaufzeichnungsgerät das ein festkörperhalbleiterbauelement verwendet
EP01114377A EP1164022B1 (en) 2000-06-16 2001-06-13 Ink jet recording apparatus utilizing solid semiconductor element
AT06115291T ATE411900T1 (de) 2000-06-16 2001-06-13 Festkörperhalbleiterbauelement, tintenbehälter, tintenstrahlaufzeichnungsgerät ausgestattet mit diesem tintenbehälter und verfahren zum gebrauch
US09/878,946 US6827411B2 (en) 2000-06-16 2001-06-13 Solid semiconductor element, ink tank, ink jet recording apparatus provided with ink tank, liquid information acquiring method and liquid physical property change discriminating method
EP08161261A EP1990201B1 (en) 2000-06-16 2001-06-13 Communication system with solid semiconductor element, ink tank, ink jet recording apparatus provided with ink tank.
DE60136304T DE60136304D1 (de) 2000-06-16 2001-06-13 Festkörperhalbleiterbauelement, Tintenbehälter, Tintenstrahlaufzeichnungsgerät ausgestattet mit diesem Tintenbehälter und Verfahren zum Gebrauch
CA002350397A CA2350397C (en) 2000-06-16 2001-06-13 Solid semiconductor element, ink tank, ink jet recording apparatus provided with ink tank, liquid information acquiring method and liquid physical property change discriminating method
AT08161261T ATE468227T1 (de) 2000-06-16 2001-06-13 Kommunikationssystem mit festkörperhalbleiterbauelement, tintenbehälter, mit diesem tintenbehälter ausgestattete tintenstrahlaufzeichnungsvorrichtung.
DE60135064T DE60135064D1 (de) 2000-06-16 2001-06-13 Tintenstrahlaufzeichnungsgerät das ein Festkörperhalbleiterbauelement verwendet
SG200103511A SG109453A1 (en) 2000-06-16 2001-06-14 Solid semiconductor element, ink tank, ink jet recording apparatus provided with ink tank, liquid information acquiring method and liquid physical property change discriminating method
SG200404745A SG127735A1 (en) 2000-06-16 2001-06-14 Solid semiconductor element, ink tank, ink jet recording apparatus provided with ink tank, liquid information acquiring method and liquid physical property change discriminating method
TW090114637A TW514964B (en) 2000-06-16 2001-06-15 Solid semiconductor element, ink tank, ink jet recording apparatus provided with ink tank, liquid information acquiring method and liquid physical property change discriminating method
CNB011412844A CN100457463C (zh) 2000-06-16 2001-06-15 喷墨记录设备
KR10-2001-0034162A KR100427203B1 (ko) 2000-06-16 2001-06-16 고체 반도체 소자, 잉크 탱크, 잉크 탱크를 구비한 잉크제트 기록 장치, 액체 정보 수집 방법 및 액체의 물리적특성 변화 식별 방법
US10/127,594 US7014287B2 (en) 2000-06-16 2002-04-23 Solid semiconductor element, ink tank, ink jet recording apparatus provided with ink tank, liquid information acquiring method and liquid physical property change discriminating method
US10/646,700 US7210755B2 (en) 2000-06-16 2003-08-25 Solid semiconductor element, ink tank, ink jet recording apparatus provided with ink tank, liquid information acquiring method and liquid physical property change discriminating method
US11/707,055 US7922274B2 (en) 2000-06-16 2007-02-16 Solid semiconductor element, ink tank, ink jet recording apparatus provided with ink tank, liquid information acquiring method and liquid physical property change discriminating method

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000181834A JP3610286B2 (ja) 2000-06-16 2000-06-16 インクタンク

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001358291A JP2001358291A (ja) 2001-12-26
JP3610286B2 true JP3610286B2 (ja) 2005-01-12

Family

ID=18682700

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000181834A Expired - Fee Related JP3610286B2 (ja) 2000-06-16 2000-06-16 インクタンク

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3610286B2 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3826062B2 (ja) * 2002-04-10 2006-09-27 キヤノン株式会社 インクカートリッジ
US7128380B2 (en) 2002-04-10 2006-10-31 Canon Kabushiki Kaisha Recording liquid container, ink jet recording apparatus, and cartridge collecting apparatus
JP4539054B2 (ja) * 2002-08-12 2010-09-08 セイコーエプソン株式会社 印刷材の収容容器およびその検出装置
MXPA04012681A (es) 2003-12-26 2005-07-01 Canon Kk Recipiente para liquido y sistema de suministro de liquido.
JP4677886B2 (ja) * 2005-11-18 2011-04-27 セイコーエプソン株式会社 液体検出装置及びそれを備えた液体収容容器
JP4677906B2 (ja) * 2006-01-16 2011-04-27 セイコーエプソン株式会社 液体収容容器の液体残量検出装置、液体収容容器及び液体消費装置
JP4677885B2 (ja) * 2005-11-18 2011-04-27 セイコーエプソン株式会社 液体検出装置及びそれを備えた液体収容容器

Also Published As

Publication number Publication date
JP2001358291A (ja) 2001-12-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7922274B2 (en) Solid semiconductor element, ink tank, ink jet recording apparatus provided with ink tank, liquid information acquiring method and liquid physical property change discriminating method
CN100364775C (zh) 固体半导体元件、带有该元件的墨水盒、以及它们的使用方法
CA2350402C (en) Ink tank and ink jet recording apparatus provided with the same
JP3610286B2 (ja) インクタンク
JP3610296B2 (ja) 液体収納容器
JP3814465B2 (ja) インクジェット記録システム
JP3745199B2 (ja) 立体形半導体素子が配されたインクタンク、および該インクタンクが搭載されるインクジェット記録装置
JP3610281B2 (ja) インクタンク
JP3610287B2 (ja) インクタンク
JP3592203B2 (ja) 立体形半導体素子、インクタンク、および圧力調整方法
JP3605003B2 (ja) インクジェット記録装置およびインクの情報収集方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20040531

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040602

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040729

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20040729

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040929

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20041018

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071022

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081022

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091022

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091022

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101022

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101022

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111022

Year of fee payment: 7

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees