JP3826062B2 - インクカートリッジ - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、装置本体に着脱自在に装着されるカートリッジ部材に関し、特に、プリンタ装置のプリンタ本体に装着されるインクカートリッジに関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、装置本体の一部をカートリッジ部材として着脱自在に形成したものがあり、例えば、インクジェットプリンタは、プリンタ本体に別体のインクカートリッジを装着する構造となっている。
【０００３】
また、特開２０００−０３７８８０号公報には、インクカートリッジに情報記憶媒体を搭載することで、インクカートリッジからプリンタ本体に情報を提供できるプリンタ装置が開示されており、さらに、その情報通信を無線電波で非接触に実行することも開示されている。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記公報に開示された技術では、インクカートリッジがプリンタ本体に装着された使用状態で情報を通信することしか想定していないので、例えば、プリンタ本体に装着される以前の物流状態のインクカートリッジと通信することが困難である。つまり、物流状態のインクカートリッジは梱包部材で梱包されているので、その梱包部材の外側から無線通信することが要求されるが、そのためには、インクカートリッジの通信範囲が梱包部材の外側まで到達する大きさである必要がある。
【０００５】
しかし、このようにインクカートリッジの通信範囲を拡大すると、プリンタ本体に装着されたときに、プリンタ本体の回路に悪影響を及ぼす可能性がある。また、フルカラータイプのインクジェットプリンタでは、複数のインクカートリッジを配列して装着するが、このような場合にインクカートリッジの通信範囲が大きいと、複数のインクカートリッジの無線電波が混信することになる。
【０００６】
本発明は上述のような課題に鑑みてなされたものであり、プリンタ本体に装着される以前の物流状態と装着された使用状態との両方で適切に無線通信することができるインクカートリッジを提供することを目的とする。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、プリンタに搭載されたインクジェットヘッドに対して供給されるインクを貯留し、前記インクジェットヘッドに対して着脱されるインクカートリッジにおいて、
前記インクカートリッジに配され、情報を記憶している情報記憶媒体と、
前記情報を無線電波として少なくとも送信する、複数部分からなる無線アンテナと、を有しており、
該複数部分のうち一つを切り離すことで無線通信の範囲を変えられることを特徴とする。
前記無線アンテナは、前記インクカートリッジが物流される梱包状態では前記複数部分を用いて無線通信を可能とし、前記複数部分のうち一つを切り離すことで、前記インクジェットヘッドに対して前記インクカートリッジが複数装着される使用状態で前記梱包状態での長さより短い、個別の無線通信が可能な長さになることが好ましい。
また、前記無線アンテナが第１無線アンテナ部分と前記第２の無線アンテナ部分からなり、
前記第１無線アンテナ部分と前記第２の無線アンテナ部分とは前記インクカートリッジの隣接した異なる側面にそれぞれ配されていることが好ましい。
また、前記インクカートリッジが物流に供される状態では前記第１無線アンテナ部分と前記第２無線アンテナ部分によって無線通信の範囲が２つの異なる位置にあり、前記インクカートリッジがプリンタに搭載された状態では前記第１無線アンテナ部分と前記第２無線アンテナ部分のいずれか一方が取り外されて無線通信の範囲が１つになることが好ましい。
また、前記複数部分からなる無線アンテナは、前記情報記憶媒体と連結している第１無線アンテナ部分と、前記インクカートリッジを前記インクジェットヘッドに対して装着した状態では通信範囲が小さくなるように、前記プリンタの一部と係合して前記第１無線アンテナ部分から離れ、前記インクジェットヘッドに対して非装着状態では通信範囲が長くなるように前記第１無線アンテナ部分から離れた状態から前記第１無線アンテナ部分と連結した状態に復帰する第２無線アンテナ部分とを有することが好ましい。
また、前記複数部分からなる無線アンテナは、前記情報記憶媒体と連結している第１無線アンテナ部分と、前記第１無線アンテナ部分上に積層され前記第１無線アンテナ部分より短い第２無線アンテナ部分と、前記第２無線アンテナ部分が積層されていない前記第１無線アンテナ部分上に積層され前記第１無線アンテナ部分の当該部分の無線通信を阻害する通信阻害部と、前記第２無線アンテナ部分と前記通信阻害部との上部に積層され前記第１無線アンテナ部分と同等な長さの第３無線アンテナ部分と、を有していることが好ましい。
【００１８】
【発明の実施の形態】
［第１の実施の形態］
図１ないし図９を参照して本発明の第１の実施の形態を以下に説明する。なお、本形態では図面に示すように前後左右上下の方向を規定して説明するが、これは説明を簡単とするために便宜的に規定するものであり、本発明の装置の製造時や使用時などの方向を限定するものではない。
【００１９】
［構成］
図１および図２に示すように、本形態のカートリッジ部材はインクカートリッジ１００であり、カートリッジ本体１０１を有している。図８に示すように、このインクカートリッジ１００は、カートリッジ装着装置であるプリンタ装置２００の装置本体であるプリンタ本体２０１に着脱自在に装着される。
【００２０】
カートリッジ本体１０１は、図１に示すように、扁平なボックス状に樹脂で成型されており、図２に示すように、内部がインク収容室１０２と負圧発生室１０３とに区分されている。インク収容室１０２は、下端で負圧発生室１０３に連通されており、内部にインク１０４が液体状態で収容されている。
【００２１】
負圧発生室１０３は、下部にインク供給口１０６が形成されており、上部に大気連通口１０７が形成されている。負圧発生室１０３の内部には多孔体１０８が充填されており、インク供給口１０６の内部には多孔体１０９が充填されている。このカートリッジ本体１０１では、インク収容室１０２のインク１０４が負圧発生室１０３を介してインク供給口１０６からプリンタ本体２０１に供給される。
【００２２】
本形態のインクカートリッジ１００は、プリンタ本体２０１に装着される以前の物流状態では、図１(ａ)に示すように、カートリッジ本体１０１のインク供給口１０６が保護部材であるインクキャップ１１１で密閉されており、このインクキャップ１１１とカートリッジ本体１０１とが、保護部材であり無線ユニットでもあるラベル１２０で一体に梱包されている。
【００２３】
このラベル１２０は、図３に示すように、透明な熱収縮シート１２１を有しており、図４に示すように、展開された状態で左右方向に連通する帯状部分１２３が形成されている。図１(ａ)に示すように、この帯状部分１２３が環状に連結されており、インクキャップ１１１とともにカートリッジ本体１０１を梱包すると同時に、このカートリッジ本体１０１の大気連通口１０７を密閉している。
【００２４】
図１(ａ)および図４に示すように、このラベル１２０の帯状部分１２３には、カートリッジ本体１０１の上面の左右両側に対応した位置に二列のミシン目１２４が形成されており、このミシン目１２４に対応してカートリッジ本体１０１の上面から前方に突出するタブ１２５が形成されている。このラベル１２０のタブ１２５と反対の方向にも凸状の矩形部分１２６が形成されており、この矩形部分１２６と帯状部分１２３との境界の位置には、ミシン目１２７が形成されている。
【００２５】
図３に示すように、ラベル１２０は、矩形部分１２６の裏面のみに接着剤１２８が塗布されているので、図１に示すように、カートリッジ本体１０１を梱包した状態でタブ１２５が上方に引かれると、ミシン目１２４，１２７の位置で破断されて矩形部分１２６のみカートリッジ本体１０１に残存する。
【００２６】
そして、図１および図４に示すように、本形態のインクカートリッジ１００では、ラベル１２０の矩形部分１２６の後端の位置にシート状の回路チップ１３０が内蔵されている。この回路チップ１３０には二列のシート状の無線アンテナ１３１が接続されており、この無線アンテナ１３１は、ラベル１２０の矩形部分１２６からタブ１２５の手前まで形成されている。
【００２７】
このため、無線アンテナ１３１は、ラベル１２０の矩形部分１２６に位置する第１部分１３２と、帯状部分１２３に位置する第２部分１３３からなる。前述のようにカートリッジ本体１０１を梱包したラベル１２０がミシン目１２４，１２７で破断されて矩形部分１２６のみカートリッジ本体１０１に残存すると、無線アンテナ１３１はアンテナ長が“１／２〜１／３”程度となる。
【００２８】
つまり、本形態のインクカートリッジ１００では、ミシン目１２７でラベル１２０とともに無線アンテナ１３１が破断される構造により、無線通信の範囲を変えられる。
【００２９】
回路チップ１３０は、図５に示すように、情報記憶媒体であるフラッシュメモリ１３５、無線送信手段および情報格納手段である無線通信回路１３６、電力発生手段の一部である電源回路１３７、を有している。
【００３０】
フラッシュメモリ１３５には、インクカートリッジ１００の製品種別の識別データ、プリンタ本体２０１の製品種別の識別データ、インクカートリッジ１００の製造年月日および使用期限、インク１０４の残量、等の情報が更新自在に格納されている(図示せず)。
【００３１】
電源回路１３７には、電力発生手段の一部である誘導コイル１３８が接続されており、この誘導コイル１３８は、例えば、ラベル１２０の矩形部分１２６の下層に形成されている。誘導コイル１３８および電源回路１３７は電磁誘導により電力を発生し、無線通信回路１３６は、電源回路１３７から供給される電力により、フラッシュメモリ１３５に格納されている所定の情報を無線電波として無線アンテナ１３１に送信させるとともに、無線アンテナ１３１の受信電波を所定の情報としてフラッシュメモリ１３５に格納する。
【００３２】
本形態のインクカートリッジ１００は、図６に示すように、工場から出荷されてエンドユーザまで搬送される物流状態では、ラベル１２０の全体がカートリッジ本体１０１に装着され、図８に示すように、エンドユーザによりプリンタ本体２０１に装着される使用状態では、ラベル１２０の矩形部分１２６のみカートリッジ本体１０１に残存する。
【００３３】
このため、本形態のインクカートリッジ１００は、無線アンテナ１３１のアンテナ長が使用状態では物流状態の“１／２〜１／３”程度となるので、物流状態での無線通信の通信範囲ＲＬは使用状態での通信範囲ＲＳより大きい。
【００３４】
本形態のインクカートリッジ１００は、前述のように物流状態ではカートリッジ本体１０１のインク供給口１０６がインクキャップ１１１で密閉されるとともに大気連通口１０７がラベル１２０で密閉されており、図６に示すように、物流パック１４０として梱包部材１４１〜１４４で梱包されている。
【００３５】
梱包部材１４１は箱型の容器であり、梱包部材１４２〜１４４は梱包部材１４１とインクカートリッジ１００との間隙に位置する充填材である。これらの梱包部材１４１〜１４４は、紙や樹脂などの無線電波を良好に透過する材料で形成されており、最も外側に位置している箱型の梱包部材１４１の６つの外面の５つがインクカートリッジ１００の通信範囲ＲＬの内側に位置するように形成されている。
【００３６】
本形態のインクカートリッジ１００は、図８に示すように、エンドユーザによりプリンタ本体２０１に装着される使用状態では、図１(ｂ)に示すように、最初にラベル１２０の帯状部分１２３が取り外されて矩形部分１２６のみカートリッジ本体１０１に残存する。
【００３７】
本形態のプリンタ装置２００は、フルカラータイプのインクジェットプリンタからなり、図９に示すように、カートリッジ保持手段である１個のキャリッジ２０２には、ＹＭＣＫ(Yellow Magenta Cyan blacK)の４種類のインクカートリッジ１００が左右方向に配列されて装着される。
【００３８】
キャリッジ２０２の下面にはインクジェットヘッド２０３が装着されており、このインクジェットヘッド２０３とキャリッジ２０２とは、ガイドレールや駆動モータからなるカートリッジ移動手段である主走査機構(図示せず)により左右方向に移動自在に支持されている。
【００３９】
また、プリンタ本体２０１の内部下方には、図８に示すように、フィードローラ２０４や駆動モータ２０５で副走査機構(図示せず)が形成されており、この副走査機構により、インクジェットヘッド２０３に下方から対向する位置で印刷用紙Ｐが前方に搬送される。
【００４０】
さらに、プリンタ本体２０１の内部上方には、電力供給手段であり無線通信手段である１個の通信ユニット２０６が配置されており、この通信ユニット２０６は、キャリッジ２０２に搭載されたインクカートリッジ１００の誘導コイル１３８に電磁誘導で電力を供給するとともに、インクカートリッジ１００の無線アンテナ１３１の第１部分１３２と所定の情報を無線通信する。ただし、前述のようにインクカートリッジ１００は４種類が配列方向に移動されるので、図９に示すように、１個の通信ユニット２０６は通信範囲ＲＳの４個のインクカートリッジ１００の１個ずつと無線通信する。
【００４１】
なお、プリンタ本体２０１の内部後方には、図８に示すように、回路基板２０７が配置されており、この回路基板２０７が、主走査機構、副走査機構、インクジェットヘッド２０３、通信ユニット２０６、等の各部に接続されている。回路基板２０７にはマイクロコンピュータ(図示せず)が形成されており、このマイクロコンピュータが上述の各部を統合制御する。
【００４２】
上述のような構成において、以下に本実施の形態のインクカートリッジ１００の使用方法を具体的に説明する。本形態のインクカートリッジ１００は、生産業者により生産されて物流業者によりエンドユーザまで物流され、エンドユーザによりプリンタ装置２００のプリンタ本体２０１に装着される。
【００４３】
本形態のインクカートリッジ１００では、図１(ａ)に示すように、生産工程の最終段階でカートリッジ本体１０１にラベル１２０が装着され、そのラベル１２０の回路チップ１３０に、電磁誘導で電力が供給されるとともに無線通信で製品種別の識別データや生産年月日などの情報が格納される(図示せず)。
【００４４】
このように所定の情報が格納されたインクカートリッジ１００は、図６に示すように、梱包部材１４１〜１４４で梱包されて物流パック１４０とされ、物流業者により生産業者からエンドユーザまで物流される。その場合、例えば、物流業者は無線通信手段である無線通信装置２０９の電磁誘導および無線通信により、インクカートリッジ１００から所定の情報を読み出して物流管理に使用し、必要により入庫日時や販売店舗などの所定の情報をインクカートリッジ１００に格納する。
【００４５】
このとき、インクカートリッジ１００は、ラベル１２０の全体が装着されており、その無線アンテナ１３１も全体が存在している。このため、通信範囲ＲＬが物流パック１４０の外形より大きいので、物流業者は物流パック１４０を開封することなく無線通信装置２０９でインクカートリッジ１００と無線通信する。
【００４６】
このインクカートリッジ１００を入手したエンドユーザは、物流パック１４０を開封して梱包部材１４１〜１４４を除去し、図１に示すように、タブ１２５を上方に引き上げてラベル１２０の帯状部分１２３をカートリッジ本体１０１から取り外す。
【００４７】
このとき、本形態のインクカートリッジ１００では、カートリッジ本体１０１にラベル１２０の矩形部分１２６が残存するので、無線アンテナ１３１も第１部分１３２のみ残存することになり、通信範囲ＲＳが物流状態の通信範囲ＲＬより小さくなる。このインクカートリッジ１００をプリンタ本体２０１に適切に装着すると、プリンタ装置２００は印刷作業を実行できる状態となる。
【００４８】
例えば、ホストコンピュータ(図示せず)に接続したプリンタ装置２００の電源を投入すると、プリンタ装置２００は、図９および図１０に示すように、キャリッジ２０２を順次移動させ(ステップＳ１〜Ｓ３)、１個の通信ユニット２０６で４個のインクカートリッジ１００の１個ずつと無線通信する(ステップＳ４)。
【００４９】
このとき、通信ユニット２０６が無線電波を受信しないと(ステップＳ５)、その位置にインクカートリッジ１００が装着されていないとプリンタ装置２００は判断し、カートリッジ未装着のエラーガイダンスをホストコンピュータに返信する(ステップＳ８)。
【００５０】
通信ユニット２０６がインクカートリッジ１００から無線電波を受信すると(ステップＳ５)、その受信データから、適切なインク色のインクカートリッジ１００がキャリッジ２０２の適切な位置に装着されているか、そのインクカートリッジ１００のインク残量は許容範囲か、そのインクカートリッジ１００の使用期限は超過していないか、等が確認される(ステップＳ６)。プリンタ装置２００は、上述の確認で不適を判定したときも(ステップＳ７)、それに対応したエラーガイダンスをホストコンピュータに返信する(ステップＳ８)。
【００５１】
一方、プリンタ装置２００は、４個のインクカートリッジ１００の全部が適正と判定すると、準備完了を示すレディガイダンスをホストコンピュータに返信するので(ステップＳ１０)、これを認識したホストコンピュータが印刷データを転送するとプリンタ装置２００は印刷動作を実行する。なお、プリンタ装置２００は印刷動作を完了するごとにインク１０４の使用量を算出し、インクカートリッジ１００に格納されているインク１０４の残量を更新する。
【００５２】
［効果］
本形態のインクカートリッジ１００は、上述のように回路チップ１３０で所定の情報を記憶していて無線通信するので、無線通信装置２０９やプリンタ本体２０１に各種データを提供することができ、無線通信装置２０９やプリンタ本体２０１から各種データを取得することもできる。
【００５３】
特に、インクカートリッジ１００は各種データを無線電波で通信するので、物流業者は物流パック１４０を開封することなく無線通信装置２０９でインクカートリッジ１００とデータ通信することができ、例えば、プリンタ本体２０１はインク１０４に起因した接触不良を懸念することなくインクカートリッジ１００とデータ通信することができる。
【００５４】
しかも、図６に示すように、インクカートリッジ１００は物流状態では通信範囲ＲＬが物流パック１４０の外形より大きく、物流パック１４０の梱包部材１４１〜１４４は無線電波を良好に透過するので、物流業者は無線通信装置２０９で物流パック１４０の外側からインクカートリッジ１００と無線通信することができる。
【００５５】
それでいて、図８および図９に示すように、インクカートリッジ１００は使用状態の通信範囲ＲＳが物流状態の通信範囲ＲＬより小さいので、プリンタ本体２０１は複数のインクカートリッジ１００が搭載されても個別に無線通信することができ、インクカートリッジ１００の送信電波が回路基板２０７のマイクロコンピュータや駆動モータ２０５に影響することも防止できる。
【００５６】
しかも、プリンタ本体２０１は複数のインクカートリッジ１００を配列方向に移動させるので、１個の通信ユニット２０６で複数のインクカートリッジ１００の１個ずつと無線通信することができる。特に、インクジェットヘッド２０３を移動させる副走査機構で複数のインクカートリッジ１００を配列方向に移動させるので、この移動のために専用の機構をプリンタ本体２０１に追加する必要もない。
【００５７】
さらに、図１に示すように、エンドユーザがカートリッジ本体１０１からラベル１２０を取り外すと自動的に無線アンテナ１３１のアンテナ長が短縮されるので、その通信範囲を変化させるために専用の作業を実行する必要がない。しかも、無線通信に必要な回路チップ１３０や無線アンテナ１３１はラベル１２０に形成されているので、カートリッジ本体１０１を設計変更する必要もない。
【００５８】
［変形例］
本発明は本形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で各種の変形を許容する。例えば、本形態のインクカートリッジ１００では、ラベル１２０の帯状部分１２３をカートリッジ本体１０１から取り外すと、無線アンテナ１３１が第１部分１３２と第２部分１３３とに二分割されることを例示した。
【００５９】
しかし、図１１に例示するインクカートリッジ１５０のように、無線アンテナ１５１が、カートリッジ本体１０１に残存する第１部分１５２および第３部分１５３と、カートリッジ本体１０１から取り外される第２部分１５４とに三分割され、残存した第３部分１５３は機能することなく第１部分１５２のみ機能する構成も可能である。
【００６０】
また、本形態ではキャリッジ２０２の移動により１個の通信ユニット２０６が複数のインクカートリッジ１００の１個ずつと無線通信することを例示したが、図１２に示すように、例えば、複数の通信ユニット２０６が複数のインクカートリッジ１００と個々に無線通信することも可能である。
【００６１】
この場合、複数の通信ユニット２０６も１個のキャリッジ２０２に搭載することが好適であり、インクカートリッジ１００と通信ユニット２０６との相対位置が変化しないので、インクカートリッジ１００の通信範囲ＲＳが小さくても良好に無線通信することができる。
【００６２】
さらに、本形態ではカートリッジ部材としてインクカートリッジ１００を例示したが、本発明は使用状態で装置本体に装着され、物流状態と使用状態などで通信特性を変化させたい各種のカートリッジ部材に適用することが可能であり、例えば、電子写真プリンタに装着されるトナーカートリッジ、ビデオデッキに装着されるビデオカセット、カメラに装着される写真フィルム、ＦＤＤ(FD Drive)に装着されるＦＤ(Flexible Disc-cartridge)、等に適用可能である。
【００６３】
また、本形態ではインクカートリッジ１００がフラッシュメモリ１３５により所定の情報を更新自在に記憶しており、プリンタ本体２０１等がインクカートリッジ１００のフラッシュメモリ１３５から所定の情報を読み出すとともに書き込むことを例示した。しかし、インクカートリッジ１００の情報記憶媒体を所定の情報を固定的に記憶しているＲＯＭ(Read Only Memory)とし、プリンタ本体２０１および無線通信装置２０９がインクカートリッジ１００から所定の情報を読み出すのみとすることも可能である。
【００６４】
さらに、本形態ではインクカートリッジ１００が情報記憶媒体としてフラッシュメモリを有していることを例示したが、これをＥＥＰＲＯＭ(Electrically Erasable Programmable ROM)、ＦｅＲＡＭ(Ferroelectric RAM)，バッテリが接続されたＲＡＭ(Random Access Memory)、ＲＯＭ、等とすることも可能である。
【００６５】
さらに、本形態では無線通信に必要な各種要素の全部がカートリッジ本体１０１とは別体のラベル１２０に搭載されていることを例示したが、例えば、回路チップ１３０をカートリッジ本体１０１と一体に形成することも可能である。
【００６６】
また、本形態ではインクカートリッジ１００が、誘導コイル１３８と電源回路１３７からなる電力発生手段を有しており、電磁誘導により電力を発生することを例示したが、例えば、インクカートリッジ１００にバッテリを搭載することも可能である。
【００６７】
さらに、本形態では無線アンテナ１３１のアンテナ長を可変することにより、その通信性能を変更して通信範囲を可変することを例示したが、例えば、誘導コイル１３８のコイル長を可変することにより、その発電能力を変更して通信範囲を可変することも可能である。
【００６８】
また、本形態では無線アンテナ１３１と誘導コイル１３８とが別個に形成されていることを例示したが、例えば、無線アンテナ１３１と誘導コイル１３８とを兼用させることも可能である。また、本形態では物流状態と使用状態とで変化させる通信特性として通信範囲を例示したが、例えば、通信方向を変化させることも可能である。
【００６９】
［第２の実施の形態］
図１３ないし図１６を参照し、上述の通信方向が変化するインクカートリッジ１６０を第２の実施の形態として以下に簡単に説明する。なお、これより以下の説明では、それより以上の説明と同一の部分は、同一の名称および符号を使用して詳細な説明は省略する。
【００７０】
［構成］
図１３に示すように、本形態のカートリッジ部材であるインクカートリッジ１６０では、カートリッジ本体１０１の後面下方に回路チップ１３０が装着されており、第１の無線アンテナ１６１および第２の無線アンテナ１６２がカートリッジ本体１０１の後面と下面とに個々に装着されている。第１の無線アンテナ１６１はカートリッジ本体１０１の後面に固定されており、第２の無線アンテナ１６１はカートリッジ本体１０１の下面にインクキャップ１１１とともに着脱自在に装着されている。
【００７１】
本形態のインクカートリッジ１６０は、上述のように第１の無線アンテナ１６１および第２の無線アンテナ１６２の方向および位置が相違するので、図１４に示すように、方向および位置が相違する第１の通信範囲Ｒ１および第２の通信範囲Ｒ２を発生する。このため、本形態のインクカートリッジ１６０を梱包部材１４１〜１４４で梱包した物流パック１６５では、その後面と下面のみが第１の通信範囲Ｒ１および第２の通信範囲Ｒ２の内側に個々に位置している。
【００７２】
本形態のインクカートリッジ１６０は、図１６に示すように、エンドユーザによりプリンタ装置２１０のプリンタ本体２１１に装着される使用状態では、図１５に示すように、エンドユーザによりインクキャップ１１１が第２の無線アンテナ１６１とともに取り外される。
【００７３】
本形態のプリンタ装置２１０は、シングルカラータイプのインクジェットプリンタからなり、図１６に示すように、カートリッジ保持手段であるキャリッジ２１２には、インク１０４が黒色のインクカートリッジ１６０が１個だけ装着される。
【００７４】
このように装着されたインクカートリッジ１６０の後方には、通信範囲Ｒ１より内側に通信ユニット２０６が配置されており、通信範囲Ｒ１より外側となるインクカートリッジ１６０の下方には、駆動モータ２０５や回路基板２０７が配置されている。
【００７５】
上述のような構成において、本実施の形態のインクカートリッジ１６０は、物流状態では、その後方および下方に第１の通信範囲Ｒ１および第２の通信範囲Ｒ２が位置し、使用状態では、その後方に第１の通信範囲Ｒ１のみが位置する。
【００７６】
本形態のインクカートリッジ１６０を取り扱う物流業者には、物流パック１６５の後面および下面のみ無線通信装置２０９で無線通信できることが予め通達されているので、図１４に示すように、物流業者は無線通信装置２０９を物流パック１６５の後方または下方に配置してインクカートリッジ１６０と無線通信する。
【００７７】
本形態のインクカートリッジ１６０を入手したエンドユーザは、図１５に示すように、カートリッジ本体１０１からインクキャップ１１１を第２の無線アンテナ１６２とともに取り外すので、これでインクカートリッジ１６０は第１の通信範囲Ｒ１のみ発生する。図１６に示すように、このインクカートリッジ１６０をプリンタ本体２１１に適切に装着すると、その通信範囲Ｒ１に位置する通信ユニット２０６がインクカートリッジ１６０と無線通信する。
【００７８】
［効果］
本形態のインクカートリッジ１６０は、物流パック１６５の後方および下方に第１の通信範囲Ｒ１および第２の通信範囲Ｒ２が位置するので、その両方で無線通信装置２０９と良好に無線通信することができ、１つの通信範囲でしか無線通信できない場合に比較して利便性が良好である。
【００７９】
しかも、インクカートリッジ１６０の通信範囲Ｒ１，Ｒ２が物流パック１６５の後方と下方とに位置することを知らない者は、無線通信装置２０９を所有していてもインクカートリッジ１６０とデータ通信できないので、そのセキュリティ性が良好である。
【００８０】
さらに、本形態のインクカートリッジ１６０は、使用状態では後方に第１の通信範囲Ｒ１のみ位置するので、プリンタ本体２１１の後方の通信ユニット２０６と良好に無線通信することができ、それでいて、プリンタ本体２１１の下方の回路基板２０７のマイクロコンピュータに悪影響を及ぼすこともない。
【００８１】
［変形例］
なお、本形態のインクカートリッジ１６０では、無線通信の方向を可変するため、位置および方向が相違する２本の無線アンテナ１６１，１６２の一方を切除することを例示したが、例えば、Ｌ字型に形成した１本の無線アンテナ(図示せず)の一部を切除して直線状にすることで無線通信の方向を可変することも可能である。
【００８２】
また、第１および第２の実施の形態のインクカートリッジ１００，１６０では、物流状態と使用状態とで通信特性を可変することを例示したが、さらにプリンタ本体２０１，２１１から取り外されて廃棄される廃棄状態でも通信特性を可変することも可能である。
【００８３】
［第３の実施の形態］
図１７ないし図１９を参照し、上述の廃棄状態にも通信特性を可変するインクカートリッジ１７０を、第３の実施の形態として以下に簡単に説明する。
【００８４】
［構成］
図１７に示すように、本形態のカートリッジ部材であるインクカートリッジ１７０では、カートリッジ本体１７１の前面下端に回路チップ１３０が装着されており、この回路チップ１３０より上方のカートリッジ本体１７１の前面に無線アンテナ１７２が装着されている。
【００８５】
ただし、この無線アンテナ１７２は、第１部分１７３と第２部分１７４とが上下に分割されており、特性可変手段であり接離部に相当する押圧スイッチ１７５が、その第１部分１７３と第２部分１７４とを接離自在に接続している。より具体的には、カートリッジ本体１７１の前面には凹部１７６が形成されており、この凹部１７６に弾性部である押圧スプリング１７７を介して第３部分１７８が装着されている。
【００８６】
本形態のインクカートリッジ１７０は、図１７(ｂ)および図１８に示すように、プリンタ装置２２０のプリンタ本体２２１に装着された使用状態のみ、キャリッジ２０２の後部から前方に突出した凸部２２２により、押圧スイッチ１７５がオフ状態とされる。
【００８７】
上述のような構成において、本実施の形態のインクカートリッジ１７０は、物流状態では押圧スイッチ１７５がオン状態に維持されて所定サイズの通信範囲ＲＬを発生するが、プリンタ装置２２０のプリンタ本体２２１に装着された使用状態では、キャリッジ２０２の後部から前方に突出した凸部２２２により押圧スイッチ１７５がオフ状態とされるので、その通信範囲ＲＳが物流状態の通信範囲ＲＬより小さくなる。
【００８８】
さらに、本形態のインクカートリッジ１７０は、プリンタ本体２２１から取り外されて廃棄される廃棄状態では、押圧スイッチ１７５がオン状態に復帰するので、その通信範囲ＲＬが使用状態の通信範囲ＲＳより大きくなる。図１９に示すように、このような状態のインクカートリッジ１７０を専用のカートリッジ回収装置３００の回収装置本体３０１に投入すると、そのカートリッジ回収装置３００の無線通信装置２０９がインクカートリッジ１７０と無線通信する。
【００８９】
なお、本形態のカートリッジ回収装置３００は、回収装置本体３０１のインクカートリッジ１７０が投入される部分が、廃棄状態の通信範囲ＲＬより幅狭の湾曲した形状に形成されており、その凹状に湾曲した位置に無線通信装置２０９が配置されている。
【００９０】
［効果］
本形態のインクカートリッジ１７０は、上述のように使用状態では通信範囲ＲＳが物流状態の通信範囲ＲＬより小さくなるが、廃棄状態では通信範囲ＲＬが使用状態の通信範囲ＲＳより大きくなる。このため、プリンタ本体２２１から取り外されて廃棄されるインクカートリッジ１７０とカートリッジ回収装置３００の無線通信装置２０９とが良好に無線通信することができ、廃棄業者(図示せず)が廃棄されたインクカートリッジ１７０を容易にデータ管理するようなことができる。
【００９１】
しかも、インクカートリッジ１７０をプリンタ本体２２１に装着すると自動的に押圧スイッチ１７５がオフ状態となって通信範囲ＲＳが小さくなり、インクカートリッジ１７０をプリンタ本体２２１から取り外すと自動的に押圧スイッチ１７５がオン状態となって通信範囲ＲＬが大きいので、エンドユーザが専用の作業を実行する必要もない。
【００９２】
さらに、本形態のカートリッジ回収装置３００では、回収装置本体３０１にインクカートリッジ１７０が投入されたとき、その落下する過程で無線通信装置２０９の通信範囲ＲＬに無線通信装置２０９が位置するので、無線通信装置２０９は投入された１個のインクカートリッジ１７０のみと無線通信することができる。
【００９３】
［変形例］
なお、本形態のインクカートリッジ１７０では、押圧スイッチ１７５、回路チップ１３０、無線アンテナ１７２、等がカートリッジ本体１７１と一体に形成されていることを例示したが、図２０に例示するインクカートリッジ１８０のように、上述の各部をカートリッジ本体１０１とは別体の通信ユニット１８１に搭載することも可能である。
【００９４】
また、本形態ではインクカートリッジ１７０をキャリッジ２０２に装着することで凸部２２２により押圧スイッチ１７５がオフ状態とされることを例示したが、例えば、その凸部２２２をソレノイド(図示せず)でスライドさせて押圧スイッチ１７５をオン／オフすることも可能である。
【００９５】
さらに、本形態のカートリッジ回収装置３００では、回収装置本体３０１の形状を工夫することにより、無線通信装置２０９が投入される複数のインクカートリッジ１７０の１個ずつと無線通信することを例示したが、例えば、投入された複数のインクカートリッジ１７０の全部と無線通信する位置に無線通信装置２０９が配置されていても、インクカートリッジ１７０が個別の識別データを無線送信することなどにより、無線通信の混信を防止することは可能である。
【００９６】
また、本形態では廃棄されるインクカートリッジ１７０を廃棄業者がデータ管理することのみ説明したが、インクカートリッジ１７０が生産されてから廃棄されるまでを生産業者が一元管理するようなことも可能である。
【００９７】
例えば、生産業者がインクカートリッジ１７０に製品ごとの識別データを格納しておき、その識別データを、契約している流通業者の無線通信装置２０９からインターネットでデータ収集し、登録しているエンドユーザのプリンタ装置２２０からパーソナルコンピュータとインターネットを介してデータ収集し、契約している廃棄業者の無線通信装置２２０からインターネットでデータ収集することが可能である(図示せず)。
【００９８】
この場合、生産業者はインクカートリッジ１７０が生産されてから廃棄されるまでを一元管理できるので、これを生産計画の立案や修正などに利用することが可能である。
【００９９】
［第４の実施の形態］
［構成］
つぎに、図２１を参照して本発明の第４の実施の形態を以下に簡単に説明する。本形態のカートリッジ部材であるインクカートリッジ１９０では、カートリッジ本体１０１の上面後方に回路チップ１３０が装着されており、この回路チップ１３０より前方のカートリッジ本体１０１の上面に所定のアンテナ長の第１の無線アンテナ１９１が装着されている。
【０１００】
この第１の無線アンテナ１９１の上面後方には、これよりアンテナ長が短い第２の無線アンテナ１９２が積層されており、この第２の無線アンテナ１９２より前方の第１の無線アンテナ１９１の上面には通信阻害部である電波吸収層１９３が積層されており、第２の無線アンテナ１９２と電波吸収層１９３との上面には、第１の無線アンテナ１９１と同等なアンテナ長の第３の無線アンテナ１９４が積層されている。
【０１０１】
第３の無線アンテナ１９４は、例えば、ラベル(図示せず)と一体に形成されており、図２１(ｂ)に示すように、第２の無線アンテナ１９２と電波吸収層１９３との上面に着脱自在に装着されている。第２の無線アンテナ１９２は、例えば、電波吸収層１９３とともにクーポン券として形成されており(図示せず)、図２１(ｃ)に示すように、第１の無線アンテナ１９１の上面に着脱自在に装着されている。
【０１０２】
電波吸収層１９３は、フェライトやカーボンなどの電波吸収材料からなり、第３の無線アンテナ１９４が取り外された使用状態では、その下方に位置する部分の第１の無線アンテナ１９１の無線通信を阻害する。
【０１０３】
上述のような構成において、本実施の形態のインクカートリッジ１９０では、図２１(ａ)に示すように、物流状態では第３の無線アンテナ１９４が機能することにより所定サイズの通信範囲ＲＬを発生するが、プリンタ本体２０１に装着される使用状態では、図２１(ｂ)に示すように、第３の無線アンテナ１９４が取り外されて第２の無線アンテナ１９２のみ機能することにより、その通信範囲ＲＳが物流状態の通信範囲ＲＬより小さくなる。
【０１０４】
そして、本形態のインクカートリッジ１９０は、プリンタ本体２０１から取り外された廃棄状態では、図２１(ｃ)に示すように、例えば、廃棄業者により第２の無線アンテナ１９２が電波吸収層１９３とともに取り外されるので、第１の無線アンテナ１９１が機能することにより、その通信範囲ＲＬが使用状態の通信範囲ＲＳより大きくなる。
【０１０５】
なお、本形態のインクカートリッジ１９０では、前述のように第２の無線アンテナ１９２と電波吸収層１９３との部分がクーポン券として形成されているので、例えば、エンドユーザが使用したインクカートリッジ１９０を廃棄業者に渡すと、廃棄業者がエンドユーザに回収費用を支払い、この回収費用を廃棄業者がクーポン券と引き替えに生産業者から徴収する。
【０１０６】
［効果］
本形態のインクカートリッジ１９０も、上述のように使用状態では通信範囲ＲＳが物流状態の通信範囲ＲＬより小さくなるが、廃棄状態では通信範囲ＲＬが使用状態の通信範囲ＲＳより大きくなる。
【０１０７】
なお、前述のように第２の無線アンテナ１９２と電波吸収層１９３とは、例えば、クーポン券として形成されているので、廃棄業者がエンドユーザに回収費用を支払い、この回収費用をクーポン券と引き替えに生産業者から徴収することにより、廃棄されるインクカートリッジ１９０の回収をエンドユーザに促すことができる。
【０１０８】
［変形例］
なお、本形態のインクカートリッジ１９０では、電波吸収層１９３が第２の無線アンテナ１９２とともに取り外されることを例示したが、図２２に例示するインクカートリッジ１９６のように、第２の無線アンテナ１９２は残存させたまま電波吸収層１９３のみ取り外すことも可能であり、図２３に例示するインクカートリッジ１９７のように、第２の無線アンテナ１９２を省略することも可能である。
【０１０９】
【発明の効果】
本発明のインクカートリッジは、情報記憶媒体が記憶している所定の情報を無線アンテナに無線送信させることができ、その無線送信の通信特性を可変することができるので、例えば、物流状態と使用状態と廃棄状態との各々で最適な通信特性を実現するようなことができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明の第１の実施の形態のカートリッジ部材であるインクカートリッジの物流状態と使用状態との外観を示す斜視図である。
【図２】 インクカートリッジの内部構造を示す縦断側面図である。
【図３】 保護部材であり無線ユニットでもあるラベルの要部の内部構造を示す縦断側面図である。
【図４】 ラベルの展開した外観を示す平面図である。
【図５】 ラベルの回路構造を示すブロック図である。
【図６】 物流パックの内部構造を示す縦断側面図である。
【図７】 使用状態のインクカートリッジを示す模式的な側面図である。
【図８】 プリンタ装置の内部構造を示す縦断側面図である。
【図９】 カートリッジ保持手段であるキャリッジにインクカートリッジが搭載された状態を示す正面図である。
【図１０】 プリンタ装置の初期設定の処理動作を示すフローチャートである。
【図１１】 第１の変形例のインクカートリッジを示す斜視図である。
【図１２】 第２の変形例のプリンタ装置でキャリッジにインクカートリッジが搭載された状態を示す正面図である。
【図１３】 第２の実施の形態のインクカートリッジの物流状態の外観を示す模式的な側面図である。
【図１４】 物流パックの内部構造を示す縦断側面図である。
【図１５】 使用状態のインクカートリッジを示す模式的な側面図である。
【図１６】 プリンタ装置の内部構造を示す縦断側面図である。
【図１７】 第３の実施の形態のインクカートリッジの内部構造を示す縦断側面図である。
【図１８】 プリンタ装置の内部構造を示す縦断側面図である。
【図１９】 カートリッジ回収装置の構造を示す模式図である。
【図２０】 第３の変形例のインクカートリッジの内部構造を示す縦断側面図である。
【図２１】 第４の実施の形態のインクカートリッジを示す模式的な側面図である。
【図２２】 第４の変形例のインクカートリッジを示す模式的な側面図である。
【図２３】 第５の変形例のインクカートリッジを示す模式的な側面図である。
【符号の説明】
１００，１５０，１６０，１７０，１８０，１９０，１９６，１９７ カートリッジ部材であるインクカートリッジ
１０１，１７１， カートリッジ本体
１０４ インク
１０６ インク供給口
１０７ 大気連通口
１１１ 保護部材であるインクキャップ
１２０ 保護部材であり無線ユニットでもあるラベル
１３１，１５１，１６１，１６２，１７２，１９１，１９２，１９４ 無線アンテナ
１３２，１５２，１７３ 第１部分
１３３，１５４，１７４ 第２部分
１３５ 情報記憶媒体であるフラッシュメモリ
１３６ 無線送信手段および情報格納手段である無線通信回路
１３７ 電力発生手段の一部である電源回路
１３８ 電力発生手段の一部である誘導コイル
１４０，１６５， 物流パック
１４１〜１４４ 梱包部材
１７５ 特性可変手段であり接離部に相当する押圧スイッチ
１７８ 第３部分
１７７ 弾性部である押圧スプリング
１８１ 通信ユニット
１９３ 通信阻害部である電波吸収層
２００，２１０，２２０ プリンタ装置
２０１，２１１，２２１， 装置本体であるプリンタ本体
２０２， カートリッジ保持手段であるキャリッジ
２０６ 電力供給手段であり無線通信手段である通信ユニット
２０９ 無線通信手段である無線通信装置
３００ カートリッジ回収装置
３０１ 回収装置本体
Ｒ１，Ｒ２，ＲＬ，ＲＳ 通信範囲
【発明の属する技術分野】
本発明は、装置本体に着脱自在に装着されるカートリッジ部材に関し、特に、プリンタ装置のプリンタ本体に装着されるインクカートリッジに関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、装置本体の一部をカートリッジ部材として着脱自在に形成したものがあり、例えば、インクジェットプリンタは、プリンタ本体に別体のインクカートリッジを装着する構造となっている。
【０００３】
また、特開２０００−０３７８８０号公報には、インクカートリッジに情報記憶媒体を搭載することで、インクカートリッジからプリンタ本体に情報を提供できるプリンタ装置が開示されており、さらに、その情報通信を無線電波で非接触に実行することも開示されている。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記公報に開示された技術では、インクカートリッジがプリンタ本体に装着された使用状態で情報を通信することしか想定していないので、例えば、プリンタ本体に装着される以前の物流状態のインクカートリッジと通信することが困難である。つまり、物流状態のインクカートリッジは梱包部材で梱包されているので、その梱包部材の外側から無線通信することが要求されるが、そのためには、インクカートリッジの通信範囲が梱包部材の外側まで到達する大きさである必要がある。
【０００５】
しかし、このようにインクカートリッジの通信範囲を拡大すると、プリンタ本体に装着されたときに、プリンタ本体の回路に悪影響を及ぼす可能性がある。また、フルカラータイプのインクジェットプリンタでは、複数のインクカートリッジを配列して装着するが、このような場合にインクカートリッジの通信範囲が大きいと、複数のインクカートリッジの無線電波が混信することになる。
【０００６】
本発明は上述のような課題に鑑みてなされたものであり、プリンタ本体に装着される以前の物流状態と装着された使用状態との両方で適切に無線通信することができるインクカートリッジを提供することを目的とする。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、プリンタに搭載されたインクジェットヘッドに対して供給されるインクを貯留し、前記インクジェットヘッドに対して着脱されるインクカートリッジにおいて、
前記インクカートリッジに配され、情報を記憶している情報記憶媒体と、
前記情報を無線電波として少なくとも送信する、複数部分からなる無線アンテナと、を有しており、
該複数部分のうち一つを切り離すことで無線通信の範囲を変えられることを特徴とする。
前記無線アンテナは、前記インクカートリッジが物流される梱包状態では前記複数部分を用いて無線通信を可能とし、前記複数部分のうち一つを切り離すことで、前記インクジェットヘッドに対して前記インクカートリッジが複数装着される使用状態で前記梱包状態での長さより短い、個別の無線通信が可能な長さになることが好ましい。
また、前記無線アンテナが第１無線アンテナ部分と前記第２の無線アンテナ部分からなり、
前記第１無線アンテナ部分と前記第２の無線アンテナ部分とは前記インクカートリッジの隣接した異なる側面にそれぞれ配されていることが好ましい。
また、前記インクカートリッジが物流に供される状態では前記第１無線アンテナ部分と前記第２無線アンテナ部分によって無線通信の範囲が２つの異なる位置にあり、前記インクカートリッジがプリンタに搭載された状態では前記第１無線アンテナ部分と前記第２無線アンテナ部分のいずれか一方が取り外されて無線通信の範囲が１つになることが好ましい。
また、前記複数部分からなる無線アンテナは、前記情報記憶媒体と連結している第１無線アンテナ部分と、前記インクカートリッジを前記インクジェットヘッドに対して装着した状態では通信範囲が小さくなるように、前記プリンタの一部と係合して前記第１無線アンテナ部分から離れ、前記インクジェットヘッドに対して非装着状態では通信範囲が長くなるように前記第１無線アンテナ部分から離れた状態から前記第１無線アンテナ部分と連結した状態に復帰する第２無線アンテナ部分とを有することが好ましい。
また、前記複数部分からなる無線アンテナは、前記情報記憶媒体と連結している第１無線アンテナ部分と、前記第１無線アンテナ部分上に積層され前記第１無線アンテナ部分より短い第２無線アンテナ部分と、前記第２無線アンテナ部分が積層されていない前記第１無線アンテナ部分上に積層され前記第１無線アンテナ部分の当該部分の無線通信を阻害する通信阻害部と、前記第２無線アンテナ部分と前記通信阻害部との上部に積層され前記第１無線アンテナ部分と同等な長さの第３無線アンテナ部分と、を有していることが好ましい。
【００１８】
【発明の実施の形態】
［第１の実施の形態］
図１ないし図９を参照して本発明の第１の実施の形態を以下に説明する。なお、本形態では図面に示すように前後左右上下の方向を規定して説明するが、これは説明を簡単とするために便宜的に規定するものであり、本発明の装置の製造時や使用時などの方向を限定するものではない。
【００１９】
［構成］
図１および図２に示すように、本形態のカートリッジ部材はインクカートリッジ１００であり、カートリッジ本体１０１を有している。図８に示すように、このインクカートリッジ１００は、カートリッジ装着装置であるプリンタ装置２００の装置本体であるプリンタ本体２０１に着脱自在に装着される。
【００２０】
カートリッジ本体１０１は、図１に示すように、扁平なボックス状に樹脂で成型されており、図２に示すように、内部がインク収容室１０２と負圧発生室１０３とに区分されている。インク収容室１０２は、下端で負圧発生室１０３に連通されており、内部にインク１０４が液体状態で収容されている。
【００２１】
負圧発生室１０３は、下部にインク供給口１０６が形成されており、上部に大気連通口１０７が形成されている。負圧発生室１０３の内部には多孔体１０８が充填されており、インク供給口１０６の内部には多孔体１０９が充填されている。このカートリッジ本体１０１では、インク収容室１０２のインク１０４が負圧発生室１０３を介してインク供給口１０６からプリンタ本体２０１に供給される。
【００２２】
本形態のインクカートリッジ１００は、プリンタ本体２０１に装着される以前の物流状態では、図１(ａ)に示すように、カートリッジ本体１０１のインク供給口１０６が保護部材であるインクキャップ１１１で密閉されており、このインクキャップ１１１とカートリッジ本体１０１とが、保護部材であり無線ユニットでもあるラベル１２０で一体に梱包されている。
【００２３】
このラベル１２０は、図３に示すように、透明な熱収縮シート１２１を有しており、図４に示すように、展開された状態で左右方向に連通する帯状部分１２３が形成されている。図１(ａ)に示すように、この帯状部分１２３が環状に連結されており、インクキャップ１１１とともにカートリッジ本体１０１を梱包すると同時に、このカートリッジ本体１０１の大気連通口１０７を密閉している。
【００２４】
図１(ａ)および図４に示すように、このラベル１２０の帯状部分１２３には、カートリッジ本体１０１の上面の左右両側に対応した位置に二列のミシン目１２４が形成されており、このミシン目１２４に対応してカートリッジ本体１０１の上面から前方に突出するタブ１２５が形成されている。このラベル１２０のタブ１２５と反対の方向にも凸状の矩形部分１２６が形成されており、この矩形部分１２６と帯状部分１２３との境界の位置には、ミシン目１２７が形成されている。
【００２５】
図３に示すように、ラベル１２０は、矩形部分１２６の裏面のみに接着剤１２８が塗布されているので、図１に示すように、カートリッジ本体１０１を梱包した状態でタブ１２５が上方に引かれると、ミシン目１２４，１２７の位置で破断されて矩形部分１２６のみカートリッジ本体１０１に残存する。
【００２６】
そして、図１および図４に示すように、本形態のインクカートリッジ１００では、ラベル１２０の矩形部分１２６の後端の位置にシート状の回路チップ１３０が内蔵されている。この回路チップ１３０には二列のシート状の無線アンテナ１３１が接続されており、この無線アンテナ１３１は、ラベル１２０の矩形部分１２６からタブ１２５の手前まで形成されている。
【００２７】
このため、無線アンテナ１３１は、ラベル１２０の矩形部分１２６に位置する第１部分１３２と、帯状部分１２３に位置する第２部分１３３からなる。前述のようにカートリッジ本体１０１を梱包したラベル１２０がミシン目１２４，１２７で破断されて矩形部分１２６のみカートリッジ本体１０１に残存すると、無線アンテナ１３１はアンテナ長が“１／２〜１／３”程度となる。
【００２８】
つまり、本形態のインクカートリッジ１００では、ミシン目１２７でラベル１２０とともに無線アンテナ１３１が破断される構造により、無線通信の範囲を変えられる。
【００２９】
回路チップ１３０は、図５に示すように、情報記憶媒体であるフラッシュメモリ１３５、無線送信手段および情報格納手段である無線通信回路１３６、電力発生手段の一部である電源回路１３７、を有している。
【００３０】
フラッシュメモリ１３５には、インクカートリッジ１００の製品種別の識別データ、プリンタ本体２０１の製品種別の識別データ、インクカートリッジ１００の製造年月日および使用期限、インク１０４の残量、等の情報が更新自在に格納されている(図示せず)。
【００３１】
電源回路１３７には、電力発生手段の一部である誘導コイル１３８が接続されており、この誘導コイル１３８は、例えば、ラベル１２０の矩形部分１２６の下層に形成されている。誘導コイル１３８および電源回路１３７は電磁誘導により電力を発生し、無線通信回路１３６は、電源回路１３７から供給される電力により、フラッシュメモリ１３５に格納されている所定の情報を無線電波として無線アンテナ１３１に送信させるとともに、無線アンテナ１３１の受信電波を所定の情報としてフラッシュメモリ１３５に格納する。
【００３２】
本形態のインクカートリッジ１００は、図６に示すように、工場から出荷されてエンドユーザまで搬送される物流状態では、ラベル１２０の全体がカートリッジ本体１０１に装着され、図８に示すように、エンドユーザによりプリンタ本体２０１に装着される使用状態では、ラベル１２０の矩形部分１２６のみカートリッジ本体１０１に残存する。
【００３３】
このため、本形態のインクカートリッジ１００は、無線アンテナ１３１のアンテナ長が使用状態では物流状態の“１／２〜１／３”程度となるので、物流状態での無線通信の通信範囲ＲＬは使用状態での通信範囲ＲＳより大きい。
【００３４】
本形態のインクカートリッジ１００は、前述のように物流状態ではカートリッジ本体１０１のインク供給口１０６がインクキャップ１１１で密閉されるとともに大気連通口１０７がラベル１２０で密閉されており、図６に示すように、物流パック１４０として梱包部材１４１〜１４４で梱包されている。
【００３５】
梱包部材１４１は箱型の容器であり、梱包部材１４２〜１４４は梱包部材１４１とインクカートリッジ１００との間隙に位置する充填材である。これらの梱包部材１４１〜１４４は、紙や樹脂などの無線電波を良好に透過する材料で形成されており、最も外側に位置している箱型の梱包部材１４１の６つの外面の５つがインクカートリッジ１００の通信範囲ＲＬの内側に位置するように形成されている。
【００３６】
本形態のインクカートリッジ１００は、図８に示すように、エンドユーザによりプリンタ本体２０１に装着される使用状態では、図１(ｂ)に示すように、最初にラベル１２０の帯状部分１２３が取り外されて矩形部分１２６のみカートリッジ本体１０１に残存する。
【００３７】
本形態のプリンタ装置２００は、フルカラータイプのインクジェットプリンタからなり、図９に示すように、カートリッジ保持手段である１個のキャリッジ２０２には、ＹＭＣＫ(Yellow Magenta Cyan blacK)の４種類のインクカートリッジ１００が左右方向に配列されて装着される。
【００３８】
キャリッジ２０２の下面にはインクジェットヘッド２０３が装着されており、このインクジェットヘッド２０３とキャリッジ２０２とは、ガイドレールや駆動モータからなるカートリッジ移動手段である主走査機構(図示せず)により左右方向に移動自在に支持されている。
【００３９】
また、プリンタ本体２０１の内部下方には、図８に示すように、フィードローラ２０４や駆動モータ２０５で副走査機構(図示せず)が形成されており、この副走査機構により、インクジェットヘッド２０３に下方から対向する位置で印刷用紙Ｐが前方に搬送される。
【００４０】
さらに、プリンタ本体２０１の内部上方には、電力供給手段であり無線通信手段である１個の通信ユニット２０６が配置されており、この通信ユニット２０６は、キャリッジ２０２に搭載されたインクカートリッジ１００の誘導コイル１３８に電磁誘導で電力を供給するとともに、インクカートリッジ１００の無線アンテナ１３１の第１部分１３２と所定の情報を無線通信する。ただし、前述のようにインクカートリッジ１００は４種類が配列方向に移動されるので、図９に示すように、１個の通信ユニット２０６は通信範囲ＲＳの４個のインクカートリッジ１００の１個ずつと無線通信する。
【００４１】
なお、プリンタ本体２０１の内部後方には、図８に示すように、回路基板２０７が配置されており、この回路基板２０７が、主走査機構、副走査機構、インクジェットヘッド２０３、通信ユニット２０６、等の各部に接続されている。回路基板２０７にはマイクロコンピュータ(図示せず)が形成されており、このマイクロコンピュータが上述の各部を統合制御する。
【００４２】
上述のような構成において、以下に本実施の形態のインクカートリッジ１００の使用方法を具体的に説明する。本形態のインクカートリッジ１００は、生産業者により生産されて物流業者によりエンドユーザまで物流され、エンドユーザによりプリンタ装置２００のプリンタ本体２０１に装着される。
【００４３】
本形態のインクカートリッジ１００では、図１(ａ)に示すように、生産工程の最終段階でカートリッジ本体１０１にラベル１２０が装着され、そのラベル１２０の回路チップ１３０に、電磁誘導で電力が供給されるとともに無線通信で製品種別の識別データや生産年月日などの情報が格納される(図示せず)。
【００４４】
このように所定の情報が格納されたインクカートリッジ１００は、図６に示すように、梱包部材１４１〜１４４で梱包されて物流パック１４０とされ、物流業者により生産業者からエンドユーザまで物流される。その場合、例えば、物流業者は無線通信手段である無線通信装置２０９の電磁誘導および無線通信により、インクカートリッジ１００から所定の情報を読み出して物流管理に使用し、必要により入庫日時や販売店舗などの所定の情報をインクカートリッジ１００に格納する。
【００４５】
このとき、インクカートリッジ１００は、ラベル１２０の全体が装着されており、その無線アンテナ１３１も全体が存在している。このため、通信範囲ＲＬが物流パック１４０の外形より大きいので、物流業者は物流パック１４０を開封することなく無線通信装置２０９でインクカートリッジ１００と無線通信する。
【００４６】
このインクカートリッジ１００を入手したエンドユーザは、物流パック１４０を開封して梱包部材１４１〜１４４を除去し、図１に示すように、タブ１２５を上方に引き上げてラベル１２０の帯状部分１２３をカートリッジ本体１０１から取り外す。
【００４７】
このとき、本形態のインクカートリッジ１００では、カートリッジ本体１０１にラベル１２０の矩形部分１２６が残存するので、無線アンテナ１３１も第１部分１３２のみ残存することになり、通信範囲ＲＳが物流状態の通信範囲ＲＬより小さくなる。このインクカートリッジ１００をプリンタ本体２０１に適切に装着すると、プリンタ装置２００は印刷作業を実行できる状態となる。
【００４８】
例えば、ホストコンピュータ(図示せず)に接続したプリンタ装置２００の電源を投入すると、プリンタ装置２００は、図９および図１０に示すように、キャリッジ２０２を順次移動させ(ステップＳ１〜Ｓ３)、１個の通信ユニット２０６で４個のインクカートリッジ１００の１個ずつと無線通信する(ステップＳ４)。
【００４９】
このとき、通信ユニット２０６が無線電波を受信しないと(ステップＳ５)、その位置にインクカートリッジ１００が装着されていないとプリンタ装置２００は判断し、カートリッジ未装着のエラーガイダンスをホストコンピュータに返信する(ステップＳ８)。
【００５０】
通信ユニット２０６がインクカートリッジ１００から無線電波を受信すると(ステップＳ５)、その受信データから、適切なインク色のインクカートリッジ１００がキャリッジ２０２の適切な位置に装着されているか、そのインクカートリッジ１００のインク残量は許容範囲か、そのインクカートリッジ１００の使用期限は超過していないか、等が確認される(ステップＳ６)。プリンタ装置２００は、上述の確認で不適を判定したときも(ステップＳ７)、それに対応したエラーガイダンスをホストコンピュータに返信する(ステップＳ８)。
【００５１】
一方、プリンタ装置２００は、４個のインクカートリッジ１００の全部が適正と判定すると、準備完了を示すレディガイダンスをホストコンピュータに返信するので(ステップＳ１０)、これを認識したホストコンピュータが印刷データを転送するとプリンタ装置２００は印刷動作を実行する。なお、プリンタ装置２００は印刷動作を完了するごとにインク１０４の使用量を算出し、インクカートリッジ１００に格納されているインク１０４の残量を更新する。
【００５２】
［効果］
本形態のインクカートリッジ１００は、上述のように回路チップ１３０で所定の情報を記憶していて無線通信するので、無線通信装置２０９やプリンタ本体２０１に各種データを提供することができ、無線通信装置２０９やプリンタ本体２０１から各種データを取得することもできる。
【００５３】
特に、インクカートリッジ１００は各種データを無線電波で通信するので、物流業者は物流パック１４０を開封することなく無線通信装置２０９でインクカートリッジ１００とデータ通信することができ、例えば、プリンタ本体２０１はインク１０４に起因した接触不良を懸念することなくインクカートリッジ１００とデータ通信することができる。
【００５４】
しかも、図６に示すように、インクカートリッジ１００は物流状態では通信範囲ＲＬが物流パック１４０の外形より大きく、物流パック１４０の梱包部材１４１〜１４４は無線電波を良好に透過するので、物流業者は無線通信装置２０９で物流パック１４０の外側からインクカートリッジ１００と無線通信することができる。
【００５５】
それでいて、図８および図９に示すように、インクカートリッジ１００は使用状態の通信範囲ＲＳが物流状態の通信範囲ＲＬより小さいので、プリンタ本体２０１は複数のインクカートリッジ１００が搭載されても個別に無線通信することができ、インクカートリッジ１００の送信電波が回路基板２０７のマイクロコンピュータや駆動モータ２０５に影響することも防止できる。
【００５６】
しかも、プリンタ本体２０１は複数のインクカートリッジ１００を配列方向に移動させるので、１個の通信ユニット２０６で複数のインクカートリッジ１００の１個ずつと無線通信することができる。特に、インクジェットヘッド２０３を移動させる副走査機構で複数のインクカートリッジ１００を配列方向に移動させるので、この移動のために専用の機構をプリンタ本体２０１に追加する必要もない。
【００５７】
さらに、図１に示すように、エンドユーザがカートリッジ本体１０１からラベル１２０を取り外すと自動的に無線アンテナ１３１のアンテナ長が短縮されるので、その通信範囲を変化させるために専用の作業を実行する必要がない。しかも、無線通信に必要な回路チップ１３０や無線アンテナ１３１はラベル１２０に形成されているので、カートリッジ本体１０１を設計変更する必要もない。
【００５８】
［変形例］
本発明は本形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で各種の変形を許容する。例えば、本形態のインクカートリッジ１００では、ラベル１２０の帯状部分１２３をカートリッジ本体１０１から取り外すと、無線アンテナ１３１が第１部分１３２と第２部分１３３とに二分割されることを例示した。
【００５９】
しかし、図１１に例示するインクカートリッジ１５０のように、無線アンテナ１５１が、カートリッジ本体１０１に残存する第１部分１５２および第３部分１５３と、カートリッジ本体１０１から取り外される第２部分１５４とに三分割され、残存した第３部分１５３は機能することなく第１部分１５２のみ機能する構成も可能である。
【００６０】
また、本形態ではキャリッジ２０２の移動により１個の通信ユニット２０６が複数のインクカートリッジ１００の１個ずつと無線通信することを例示したが、図１２に示すように、例えば、複数の通信ユニット２０６が複数のインクカートリッジ１００と個々に無線通信することも可能である。
【００６１】
この場合、複数の通信ユニット２０６も１個のキャリッジ２０２に搭載することが好適であり、インクカートリッジ１００と通信ユニット２０６との相対位置が変化しないので、インクカートリッジ１００の通信範囲ＲＳが小さくても良好に無線通信することができる。
【００６２】
さらに、本形態ではカートリッジ部材としてインクカートリッジ１００を例示したが、本発明は使用状態で装置本体に装着され、物流状態と使用状態などで通信特性を変化させたい各種のカートリッジ部材に適用することが可能であり、例えば、電子写真プリンタに装着されるトナーカートリッジ、ビデオデッキに装着されるビデオカセット、カメラに装着される写真フィルム、ＦＤＤ(FD Drive)に装着されるＦＤ(Flexible Disc-cartridge)、等に適用可能である。
【００６３】
また、本形態ではインクカートリッジ１００がフラッシュメモリ１３５により所定の情報を更新自在に記憶しており、プリンタ本体２０１等がインクカートリッジ１００のフラッシュメモリ１３５から所定の情報を読み出すとともに書き込むことを例示した。しかし、インクカートリッジ１００の情報記憶媒体を所定の情報を固定的に記憶しているＲＯＭ(Read Only Memory)とし、プリンタ本体２０１および無線通信装置２０９がインクカートリッジ１００から所定の情報を読み出すのみとすることも可能である。
【００６４】
さらに、本形態ではインクカートリッジ１００が情報記憶媒体としてフラッシュメモリを有していることを例示したが、これをＥＥＰＲＯＭ(Electrically Erasable Programmable ROM)、ＦｅＲＡＭ(Ferroelectric RAM)，バッテリが接続されたＲＡＭ(Random Access Memory)、ＲＯＭ、等とすることも可能である。
【００６５】
さらに、本形態では無線通信に必要な各種要素の全部がカートリッジ本体１０１とは別体のラベル１２０に搭載されていることを例示したが、例えば、回路チップ１３０をカートリッジ本体１０１と一体に形成することも可能である。
【００６６】
また、本形態ではインクカートリッジ１００が、誘導コイル１３８と電源回路１３７からなる電力発生手段を有しており、電磁誘導により電力を発生することを例示したが、例えば、インクカートリッジ１００にバッテリを搭載することも可能である。
【００６７】
さらに、本形態では無線アンテナ１３１のアンテナ長を可変することにより、その通信性能を変更して通信範囲を可変することを例示したが、例えば、誘導コイル１３８のコイル長を可変することにより、その発電能力を変更して通信範囲を可変することも可能である。
【００６８】
また、本形態では無線アンテナ１３１と誘導コイル１３８とが別個に形成されていることを例示したが、例えば、無線アンテナ１３１と誘導コイル１３８とを兼用させることも可能である。また、本形態では物流状態と使用状態とで変化させる通信特性として通信範囲を例示したが、例えば、通信方向を変化させることも可能である。
【００６９】
［第２の実施の形態］
図１３ないし図１６を参照し、上述の通信方向が変化するインクカートリッジ１６０を第２の実施の形態として以下に簡単に説明する。なお、これより以下の説明では、それより以上の説明と同一の部分は、同一の名称および符号を使用して詳細な説明は省略する。
【００７０】
［構成］
図１３に示すように、本形態のカートリッジ部材であるインクカートリッジ１６０では、カートリッジ本体１０１の後面下方に回路チップ１３０が装着されており、第１の無線アンテナ１６１および第２の無線アンテナ１６２がカートリッジ本体１０１の後面と下面とに個々に装着されている。第１の無線アンテナ１６１はカートリッジ本体１０１の後面に固定されており、第２の無線アンテナ１６１はカートリッジ本体１０１の下面にインクキャップ１１１とともに着脱自在に装着されている。
【００７１】
本形態のインクカートリッジ１６０は、上述のように第１の無線アンテナ１６１および第２の無線アンテナ１６２の方向および位置が相違するので、図１４に示すように、方向および位置が相違する第１の通信範囲Ｒ１および第２の通信範囲Ｒ２を発生する。このため、本形態のインクカートリッジ１６０を梱包部材１４１〜１４４で梱包した物流パック１６５では、その後面と下面のみが第１の通信範囲Ｒ１および第２の通信範囲Ｒ２の内側に個々に位置している。
【００７２】
本形態のインクカートリッジ１６０は、図１６に示すように、エンドユーザによりプリンタ装置２１０のプリンタ本体２１１に装着される使用状態では、図１５に示すように、エンドユーザによりインクキャップ１１１が第２の無線アンテナ１６１とともに取り外される。
【００７３】
本形態のプリンタ装置２１０は、シングルカラータイプのインクジェットプリンタからなり、図１６に示すように、カートリッジ保持手段であるキャリッジ２１２には、インク１０４が黒色のインクカートリッジ１６０が１個だけ装着される。
【００７４】
このように装着されたインクカートリッジ１６０の後方には、通信範囲Ｒ１より内側に通信ユニット２０６が配置されており、通信範囲Ｒ１より外側となるインクカートリッジ１６０の下方には、駆動モータ２０５や回路基板２０７が配置されている。
【００７５】
上述のような構成において、本実施の形態のインクカートリッジ１６０は、物流状態では、その後方および下方に第１の通信範囲Ｒ１および第２の通信範囲Ｒ２が位置し、使用状態では、その後方に第１の通信範囲Ｒ１のみが位置する。
【００７６】
本形態のインクカートリッジ１６０を取り扱う物流業者には、物流パック１６５の後面および下面のみ無線通信装置２０９で無線通信できることが予め通達されているので、図１４に示すように、物流業者は無線通信装置２０９を物流パック１６５の後方または下方に配置してインクカートリッジ１６０と無線通信する。
【００７７】
本形態のインクカートリッジ１６０を入手したエンドユーザは、図１５に示すように、カートリッジ本体１０１からインクキャップ１１１を第２の無線アンテナ１６２とともに取り外すので、これでインクカートリッジ１６０は第１の通信範囲Ｒ１のみ発生する。図１６に示すように、このインクカートリッジ１６０をプリンタ本体２１１に適切に装着すると、その通信範囲Ｒ１に位置する通信ユニット２０６がインクカートリッジ１６０と無線通信する。
【００７８】
［効果］
本形態のインクカートリッジ１６０は、物流パック１６５の後方および下方に第１の通信範囲Ｒ１および第２の通信範囲Ｒ２が位置するので、その両方で無線通信装置２０９と良好に無線通信することができ、１つの通信範囲でしか無線通信できない場合に比較して利便性が良好である。
【００７９】
しかも、インクカートリッジ１６０の通信範囲Ｒ１，Ｒ２が物流パック１６５の後方と下方とに位置することを知らない者は、無線通信装置２０９を所有していてもインクカートリッジ１６０とデータ通信できないので、そのセキュリティ性が良好である。
【００８０】
さらに、本形態のインクカートリッジ１６０は、使用状態では後方に第１の通信範囲Ｒ１のみ位置するので、プリンタ本体２１１の後方の通信ユニット２０６と良好に無線通信することができ、それでいて、プリンタ本体２１１の下方の回路基板２０７のマイクロコンピュータに悪影響を及ぼすこともない。
【００８１】
［変形例］
なお、本形態のインクカートリッジ１６０では、無線通信の方向を可変するため、位置および方向が相違する２本の無線アンテナ１６１，１６２の一方を切除することを例示したが、例えば、Ｌ字型に形成した１本の無線アンテナ(図示せず)の一部を切除して直線状にすることで無線通信の方向を可変することも可能である。
【００８２】
また、第１および第２の実施の形態のインクカートリッジ１００，１６０では、物流状態と使用状態とで通信特性を可変することを例示したが、さらにプリンタ本体２０１，２１１から取り外されて廃棄される廃棄状態でも通信特性を可変することも可能である。
【００８３】
［第３の実施の形態］
図１７ないし図１９を参照し、上述の廃棄状態にも通信特性を可変するインクカートリッジ１７０を、第３の実施の形態として以下に簡単に説明する。
【００８４】
［構成］
図１７に示すように、本形態のカートリッジ部材であるインクカートリッジ１７０では、カートリッジ本体１７１の前面下端に回路チップ１３０が装着されており、この回路チップ１３０より上方のカートリッジ本体１７１の前面に無線アンテナ１７２が装着されている。
【００８５】
ただし、この無線アンテナ１７２は、第１部分１７３と第２部分１７４とが上下に分割されており、特性可変手段であり接離部に相当する押圧スイッチ１７５が、その第１部分１７３と第２部分１７４とを接離自在に接続している。より具体的には、カートリッジ本体１７１の前面には凹部１７６が形成されており、この凹部１７６に弾性部である押圧スプリング１７７を介して第３部分１７８が装着されている。
【００８６】
本形態のインクカートリッジ１７０は、図１７(ｂ)および図１８に示すように、プリンタ装置２２０のプリンタ本体２２１に装着された使用状態のみ、キャリッジ２０２の後部から前方に突出した凸部２２２により、押圧スイッチ１７５がオフ状態とされる。
【００８７】
上述のような構成において、本実施の形態のインクカートリッジ１７０は、物流状態では押圧スイッチ１７５がオン状態に維持されて所定サイズの通信範囲ＲＬを発生するが、プリンタ装置２２０のプリンタ本体２２１に装着された使用状態では、キャリッジ２０２の後部から前方に突出した凸部２２２により押圧スイッチ１７５がオフ状態とされるので、その通信範囲ＲＳが物流状態の通信範囲ＲＬより小さくなる。
【００８８】
さらに、本形態のインクカートリッジ１７０は、プリンタ本体２２１から取り外されて廃棄される廃棄状態では、押圧スイッチ１７５がオン状態に復帰するので、その通信範囲ＲＬが使用状態の通信範囲ＲＳより大きくなる。図１９に示すように、このような状態のインクカートリッジ１７０を専用のカートリッジ回収装置３００の回収装置本体３０１に投入すると、そのカートリッジ回収装置３００の無線通信装置２０９がインクカートリッジ１７０と無線通信する。
【００８９】
なお、本形態のカートリッジ回収装置３００は、回収装置本体３０１のインクカートリッジ１７０が投入される部分が、廃棄状態の通信範囲ＲＬより幅狭の湾曲した形状に形成されており、その凹状に湾曲した位置に無線通信装置２０９が配置されている。
【００９０】
［効果］
本形態のインクカートリッジ１７０は、上述のように使用状態では通信範囲ＲＳが物流状態の通信範囲ＲＬより小さくなるが、廃棄状態では通信範囲ＲＬが使用状態の通信範囲ＲＳより大きくなる。このため、プリンタ本体２２１から取り外されて廃棄されるインクカートリッジ１７０とカートリッジ回収装置３００の無線通信装置２０９とが良好に無線通信することができ、廃棄業者(図示せず)が廃棄されたインクカートリッジ１７０を容易にデータ管理するようなことができる。
【００９１】
しかも、インクカートリッジ１７０をプリンタ本体２２１に装着すると自動的に押圧スイッチ１７５がオフ状態となって通信範囲ＲＳが小さくなり、インクカートリッジ１７０をプリンタ本体２２１から取り外すと自動的に押圧スイッチ１７５がオン状態となって通信範囲ＲＬが大きいので、エンドユーザが専用の作業を実行する必要もない。
【００９２】
さらに、本形態のカートリッジ回収装置３００では、回収装置本体３０１にインクカートリッジ１７０が投入されたとき、その落下する過程で無線通信装置２０９の通信範囲ＲＬに無線通信装置２０９が位置するので、無線通信装置２０９は投入された１個のインクカートリッジ１７０のみと無線通信することができる。
【００９３】
［変形例］
なお、本形態のインクカートリッジ１７０では、押圧スイッチ１７５、回路チップ１３０、無線アンテナ１７２、等がカートリッジ本体１７１と一体に形成されていることを例示したが、図２０に例示するインクカートリッジ１８０のように、上述の各部をカートリッジ本体１０１とは別体の通信ユニット１８１に搭載することも可能である。
【００９４】
また、本形態ではインクカートリッジ１７０をキャリッジ２０２に装着することで凸部２２２により押圧スイッチ１７５がオフ状態とされることを例示したが、例えば、その凸部２２２をソレノイド(図示せず)でスライドさせて押圧スイッチ１７５をオン／オフすることも可能である。
【００９５】
さらに、本形態のカートリッジ回収装置３００では、回収装置本体３０１の形状を工夫することにより、無線通信装置２０９が投入される複数のインクカートリッジ１７０の１個ずつと無線通信することを例示したが、例えば、投入された複数のインクカートリッジ１７０の全部と無線通信する位置に無線通信装置２０９が配置されていても、インクカートリッジ１７０が個別の識別データを無線送信することなどにより、無線通信の混信を防止することは可能である。
【００９６】
また、本形態では廃棄されるインクカートリッジ１７０を廃棄業者がデータ管理することのみ説明したが、インクカートリッジ１７０が生産されてから廃棄されるまでを生産業者が一元管理するようなことも可能である。
【００９７】
例えば、生産業者がインクカートリッジ１７０に製品ごとの識別データを格納しておき、その識別データを、契約している流通業者の無線通信装置２０９からインターネットでデータ収集し、登録しているエンドユーザのプリンタ装置２２０からパーソナルコンピュータとインターネットを介してデータ収集し、契約している廃棄業者の無線通信装置２２０からインターネットでデータ収集することが可能である(図示せず)。
【００９８】
この場合、生産業者はインクカートリッジ１７０が生産されてから廃棄されるまでを一元管理できるので、これを生産計画の立案や修正などに利用することが可能である。
【００９９】
［第４の実施の形態］
［構成］
つぎに、図２１を参照して本発明の第４の実施の形態を以下に簡単に説明する。本形態のカートリッジ部材であるインクカートリッジ１９０では、カートリッジ本体１０１の上面後方に回路チップ１３０が装着されており、この回路チップ１３０より前方のカートリッジ本体１０１の上面に所定のアンテナ長の第１の無線アンテナ１９１が装着されている。
【０１００】
この第１の無線アンテナ１９１の上面後方には、これよりアンテナ長が短い第２の無線アンテナ１９２が積層されており、この第２の無線アンテナ１９２より前方の第１の無線アンテナ１９１の上面には通信阻害部である電波吸収層１９３が積層されており、第２の無線アンテナ１９２と電波吸収層１９３との上面には、第１の無線アンテナ１９１と同等なアンテナ長の第３の無線アンテナ１９４が積層されている。
【０１０１】
第３の無線アンテナ１９４は、例えば、ラベル(図示せず)と一体に形成されており、図２１(ｂ)に示すように、第２の無線アンテナ１９２と電波吸収層１９３との上面に着脱自在に装着されている。第２の無線アンテナ１９２は、例えば、電波吸収層１９３とともにクーポン券として形成されており(図示せず)、図２１(ｃ)に示すように、第１の無線アンテナ１９１の上面に着脱自在に装着されている。
【０１０２】
電波吸収層１９３は、フェライトやカーボンなどの電波吸収材料からなり、第３の無線アンテナ１９４が取り外された使用状態では、その下方に位置する部分の第１の無線アンテナ１９１の無線通信を阻害する。
【０１０３】
上述のような構成において、本実施の形態のインクカートリッジ１９０では、図２１(ａ)に示すように、物流状態では第３の無線アンテナ１９４が機能することにより所定サイズの通信範囲ＲＬを発生するが、プリンタ本体２０１に装着される使用状態では、図２１(ｂ)に示すように、第３の無線アンテナ１９４が取り外されて第２の無線アンテナ１９２のみ機能することにより、その通信範囲ＲＳが物流状態の通信範囲ＲＬより小さくなる。
【０１０４】
そして、本形態のインクカートリッジ１９０は、プリンタ本体２０１から取り外された廃棄状態では、図２１(ｃ)に示すように、例えば、廃棄業者により第２の無線アンテナ１９２が電波吸収層１９３とともに取り外されるので、第１の無線アンテナ１９１が機能することにより、その通信範囲ＲＬが使用状態の通信範囲ＲＳより大きくなる。
【０１０５】
なお、本形態のインクカートリッジ１９０では、前述のように第２の無線アンテナ１９２と電波吸収層１９３との部分がクーポン券として形成されているので、例えば、エンドユーザが使用したインクカートリッジ１９０を廃棄業者に渡すと、廃棄業者がエンドユーザに回収費用を支払い、この回収費用を廃棄業者がクーポン券と引き替えに生産業者から徴収する。
【０１０６】
［効果］
本形態のインクカートリッジ１９０も、上述のように使用状態では通信範囲ＲＳが物流状態の通信範囲ＲＬより小さくなるが、廃棄状態では通信範囲ＲＬが使用状態の通信範囲ＲＳより大きくなる。
【０１０７】
なお、前述のように第２の無線アンテナ１９２と電波吸収層１９３とは、例えば、クーポン券として形成されているので、廃棄業者がエンドユーザに回収費用を支払い、この回収費用をクーポン券と引き替えに生産業者から徴収することにより、廃棄されるインクカートリッジ１９０の回収をエンドユーザに促すことができる。
【０１０８】
［変形例］
なお、本形態のインクカートリッジ１９０では、電波吸収層１９３が第２の無線アンテナ１９２とともに取り外されることを例示したが、図２２に例示するインクカートリッジ１９６のように、第２の無線アンテナ１９２は残存させたまま電波吸収層１９３のみ取り外すことも可能であり、図２３に例示するインクカートリッジ１９７のように、第２の無線アンテナ１９２を省略することも可能である。
【０１０９】
【発明の効果】
本発明のインクカートリッジは、情報記憶媒体が記憶している所定の情報を無線アンテナに無線送信させることができ、その無線送信の通信特性を可変することができるので、例えば、物流状態と使用状態と廃棄状態との各々で最適な通信特性を実現するようなことができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明の第１の実施の形態のカートリッジ部材であるインクカートリッジの物流状態と使用状態との外観を示す斜視図である。
【図２】 インクカートリッジの内部構造を示す縦断側面図である。
【図３】 保護部材であり無線ユニットでもあるラベルの要部の内部構造を示す縦断側面図である。
【図４】 ラベルの展開した外観を示す平面図である。
【図５】 ラベルの回路構造を示すブロック図である。
【図６】 物流パックの内部構造を示す縦断側面図である。
【図７】 使用状態のインクカートリッジを示す模式的な側面図である。
【図８】 プリンタ装置の内部構造を示す縦断側面図である。
【図９】 カートリッジ保持手段であるキャリッジにインクカートリッジが搭載された状態を示す正面図である。
【図１０】 プリンタ装置の初期設定の処理動作を示すフローチャートである。
【図１１】 第１の変形例のインクカートリッジを示す斜視図である。
【図１２】 第２の変形例のプリンタ装置でキャリッジにインクカートリッジが搭載された状態を示す正面図である。
【図１３】 第２の実施の形態のインクカートリッジの物流状態の外観を示す模式的な側面図である。
【図１４】 物流パックの内部構造を示す縦断側面図である。
【図１５】 使用状態のインクカートリッジを示す模式的な側面図である。
【図１６】 プリンタ装置の内部構造を示す縦断側面図である。
【図１７】 第３の実施の形態のインクカートリッジの内部構造を示す縦断側面図である。
【図１８】 プリンタ装置の内部構造を示す縦断側面図である。
【図１９】 カートリッジ回収装置の構造を示す模式図である。
【図２０】 第３の変形例のインクカートリッジの内部構造を示す縦断側面図である。
【図２１】 第４の実施の形態のインクカートリッジを示す模式的な側面図である。
【図２２】 第４の変形例のインクカートリッジを示す模式的な側面図である。
【図２３】 第５の変形例のインクカートリッジを示す模式的な側面図である。
【符号の説明】
１００，１５０，１６０，１７０，１８０，１９０，１９６，１９７ カートリッジ部材であるインクカートリッジ
１０１，１７１， カートリッジ本体
１０４ インク
１０６ インク供給口
１０７ 大気連通口
１１１ 保護部材であるインクキャップ
１２０ 保護部材であり無線ユニットでもあるラベル
１３１，１５１，１６１，１６２，１７２，１９１，１９２，１９４ 無線アンテナ
１３２，１５２，１７３ 第１部分
１３３，１５４，１７４ 第２部分
１３５ 情報記憶媒体であるフラッシュメモリ
１３６ 無線送信手段および情報格納手段である無線通信回路
１３７ 電力発生手段の一部である電源回路
１３８ 電力発生手段の一部である誘導コイル
１４０，１６５， 物流パック
１４１〜１４４ 梱包部材
１７５ 特性可変手段であり接離部に相当する押圧スイッチ
１７８ 第３部分
１７７ 弾性部である押圧スプリング
１８１ 通信ユニット
１９３ 通信阻害部である電波吸収層
２００，２１０，２２０ プリンタ装置
２０１，２１１，２２１， 装置本体であるプリンタ本体
２０２， カートリッジ保持手段であるキャリッジ
２０６ 電力供給手段であり無線通信手段である通信ユニット
２０９ 無線通信手段である無線通信装置
３００ カートリッジ回収装置
３０１ 回収装置本体
Ｒ１，Ｒ２，ＲＬ，ＲＳ 通信範囲
Claims (6)
- プリンタに搭載されたインクジェットヘッドに対して供給されるインクを貯留し、前記インクジェットヘッドに対して着脱されるインクカートリッジにおいて、
前記インクカートリッジに配され、情報を記憶している情報記憶媒体と、
前記情報を無線電波として少なくとも送信する、複数部分からなる無線アンテナと、を有しており、
該複数部分のうち一つを切り離すことで無線通信の範囲を変えられることを特徴とするインクカートリッジ。 - 前記無線アンテナは、前記インクカートリッジが物流される梱包状態では前記複数部分を用いて無線通信を可能とし、前記複数部分のうち一つを切り離すことで、前記インクジェットヘッドに対して前記インクカートリッジが複数装着される使用状態で前記梱包状態での長さより短い、個別の無線通信が可能な長さになることを特徴とする請求項１に記載のインクカートリッジ。
- 前記無線アンテナが第１無線アンテナ部分と前記第２の無線アンテナ部分からなり、
前記第１無線アンテナ部分と前記第２の無線アンテナ部分とは前記インクカートリッジの隣接した異なる側面にそれぞれ配されていることを特徴とする請求項１に記載のインクカートリッジ。 - 前記インクカートリッジが物流に供される状態では前記第１無線アンテナ部分と前記第２無線アンテナ部分によって無線通信の範囲が２つの異なる位置にあり、前記インクカートリッジがプリンタに搭載された状態では前記第１無線アンテナ部分と前記第２無線アンテナ部分のいずれか一方が取り外されて無線通信の範囲が１つになることを特徴とする請求項３に記載のインクカートリッジ。
- 前記複数部分からなる無線アンテナは、前記情報記憶媒体と連結している第１無線アンテナ部分と、前記インクカートリッジを前記インクジェットヘッドに対して装着した状態では通信範囲が小さくなるように、前記プリンタの一部と係合して前記第１無線アンテナ部分から離れ、前記インクジェットヘッドに対して非装着状態では通信範囲が長くなるように前記第１無線アンテナ部分から離れた状態から前記第１無線アンテナ部分と連結した状態に復帰する第２無線アンテナ部分とを有することを特徴とする請求項１に記載のインクカートリッジ。
- 前記複数部分からなる無線アンテナは、前記情報記憶媒体と連結している第１無線アンテナ部分と、前記第１無線アンテナ部分上に積層され前記第１無線アンテナ部分より短い第２無線アンテナ部分と、前記第２無線アンテナ部分が積層されていない前記第１無線アンテナ部分上に積層され前記第１無線アンテナ部分の当該部分の無線通信を阻害する通信阻害部と、前記第２無線アンテナ部分と前記通信阻害部との上部に積層され前記第１無線アンテナ部分と同等な長さの第３無線アンテナ部分と、を有していることを特徴とする請求項１に記載のインクカートリッジ。
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