JP3605003B2 - インクジェット記録装置およびインクの情報収集方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボール状半導体素子を内蔵したインクタンクを有するインクジェット記録装置およびインクの情報収集方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、記録ヘッドに設けられた複数の噴射ノズルからインクを噴射させながら、記録ヘッドを搭載したキャリッジを印字方向に移動することで、画像をドットパターンで用紙に印字するようにしたインクジェット記録装置においては、記録用のインクを収容したインクタンクを設け、そのインクタンクのインクをインク供給路を介して記録ヘッドに供給している。そこで、そのインクタンクのインクの残量を検出するようにしたインク残量検出装置が種々提案され、実用にも供されている。
【0003】
例えば、特開平6−143607号によれば、図30に示すように非導電性のインクが満たされているインクタンク701の底側の内面に2本(1対)の電極702が配設され、インクタンク701内のインク中には、電極702と対向位置に電極704が配設された浮揚体703が浮揚している。2本の電極702は、両電極の導通状態を検知する検知部(不図示)にそれぞれ接続されており、両電極の導通状態を検知すると、インクタンク701内のインクが無いことを示すインク残量エラーを発し、インクジェット記録ヘッド705の動作を停止させることが開示されている。
【0004】
また、特許登録第2947245号には、図31に示すように下部が底面に向かって漏斗状に形成され、底面に2つの導電体801,802が設けられ、インク803よりも比重の小さい金属球804が内部に配置されている構成のインクジェットプリンタ用インクカートリッジ805が開示されている。このような構成では、インク803が消費されて減っていくとインク803の液面が下がる。それに伴って、インク803の表面に浮かんでいる金属球804の位置が下がっていく。インク803の液面がインクカートリッジ筺体の底面の位置まで下がると、金属球804は2つの導電体801,802に接する。すると、導電体801,802が導通するので、その間に電流が流れる。その電流を検出すれば、インクエンド状態を検出することができる。インクエンド状態が検出されれば、インクエンド状態を示す情報が使用者に知らされる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来公報に代表されるような、インクタンク内のインク残量を検出する構成が知られているが、このような構成ではインクタンク内に検出用の電極を配置する必要がある。また、電極間の導通状態によりインク残量を検知するため、インク成分に金属イオンが用いられないなど、使用するインクに制約が生じてしまう。
【0006】
また、上記の構成ではインク残量しか検知することができず、その他のタンク内情報を外部が知ることができない。例えばインクタンク内の圧力情報、インク物性の変化などは、インクジェットヘッドを常に安定した吐出量で動作するために重要なパラメータであり、タンク内のインク消費に伴って時々刻々と変化するタンク内圧を外部のインクジェット記録装置にリアルタイムで知らせたり、インク物性の変化を外部へ伝達できるタンクが望まれている。
【0007】
さらに、一方的にインクタンク内の検知した情報を外部へ知らせるのみならず、外部からの問いかけに対して内部情報を返答するような双方向の情報のやり取りを実施できるインクタンクが望まれている。
【0008】
上記のようなインクタンクを開発するにあたって、本発明者らは、直径1ミリのシリコン・ボールの球面上に半導体集積回路が形成されているボール・セミコンダクター社のボール・セミコンダクター(立体形半導体素子)に着目した。この立体形半導体素子は球形であるため、これをインクタンク内に収容すれば、周囲環境情報の検出や外部との双方向の情報のやり取りを平面形に比べて非常に効率良く行えることが予想された。
【0009】
そこで本出願人は、特願2000−114228号において、インクの情報収集に適した立体形半導体素子と、この立体形半導体素子を内蔵したインクタンクを有するインクジェット記録装置を提案している。これによると、立体形半導体素子の情報入手手段が素子周囲の環境情報を入手し、判断手段が、この入手情報と参照するための情報を情報蓄積手段より読み出し、この読み出した蓄積情報と入手情報とを比較し、情報伝達の必要性を判断する。そして、情報伝達の必要があると判断した場合に、判断手段は入手情報を情報伝達手段により外部へ伝達させる。このような立体形半導体素子をインクタンク内に少なくとも一つ配することで、インクタンク内に収容したインクに関する情報や、タンク内の圧力などをリアルタイムで外部装置に伝達させ、インクジェット記録動作に反映させることができる。
【0010】
インクタンク内の情報を収集するためにこのような立体形半導体素子をインクタンク内に配置する場合には、その立体形半導体素子を駆動するための動力が必要であり、立体形半導体素子はインクタンク内で浮遊しているため、非接触でエネルギー伝達を実施する必要がある。そこで、非接触で立体形半導体素子にエネルギーを供給する手段が求められている。
【0011】
しかも、インクタンク内には導電性のインクが収容される可能性があるため、インク中あるいはインクを介して電磁波を用いて立体形半導体素子にエネルギーを供給しようとすると、導電性のインクにより立体形半導体素子がシールドされた状態になったり、反射により電磁波が乱れるなどして、安定的に所望のエネルギー供給が行えないおそれがある。
【0012】
また、インクタンクが記録ヘッドとともにキャリッジに搭載されている構成の場合、印字動作中に、インクタンクがキャリッジごとスキャン移動するが、安定したエネルギーを維持するためには、印字中でもエネルギーを供給することが望まれる。特に、印字動作中の運動エネルギーが立体形半導体素子の駆動のために活用される構成であることが望ましい。一方、インクタンク内の情報を非接触で伝達するため、印字装置が動作していない時には情報伝達がなされないように誤動作を防止する必要性がある。
【0013】
そこで本発明の目的は、立体形半導体素子をインクタンク内に配置した構成で、この立体形半導体素子に非接触で安定的にエネルギー伝達を行い得るインクジェット記録装置を提供すること、さらに、印字動作中にインクタンクがスキャン移動するとき、その運動エネルギーを利用して印字動作中にも立体形半導体素子に安定的にエネルギーを供給し、しかも、印字装置が動作していない時の誤動作が防止されるインクジェット記録装置を提供することにある。
【0014】
また、本発明の他の目的は、インクジェット記録装置のインクの情報を適宜に収集することができるインクの情報収集方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の特徴は、記録ヘッドと、記録ヘッドに供給するインクを収容するインクタンクと、記録ヘッドおよびインクタンクが搭載され移動するキャリッジとを有するインクジェット記録装置において、インクタンクはインクを直接収納するインク室を備えており、インク室には、インダクターと、情報を入手する情報入手手段と、情報入手手段による情報を表示または伝達する情報伝達手段とを同一基体に形成したボール状半導体素子が収容され、ボール状半導体素子はインク表面もしくはインク中の所定の位置で浮遊するための空洞部を有し、ボール状半導体素子の重心が当該素子の中心より下部に位置するとともに、当該素子のメタセンタが重心より常に上部に位置するように構成されることでインダクターの向きが常に一定の向きとなるようにされており、キャリッジの移動範囲内の特定の位置に、静止状態のボール状半導体素子に対し非接触で電気エネルギーを供給する静止時起電力供給手段が設けられているところにある。
【0016】
これによると、キャリッジの停止時、すなわち非印字時に、ボール状半導体素子に起電力を供給することができ、効率的である。また、インクタンク内に電気配線等を設ける必要がない。
【0017】
静止時起電力供給手段が設けられる特定の位置はホームポジションであることが好ましい。ホームポジションは、インクジェット記録装置の電源を入れた際や非印字時に記録ヘッドやインク等にダメージを生じないようにキャリッジが待機する位置であり、印字終了時から磁界の印字開始時までの間にキャリッジが必ず立ち寄る場所であるから、ボール状半導体素子への起電力供給が滞るおそれが小さい。
【0018】
静止時起電力供給手段が電磁石装置を含んでいると、変化する磁束をボール状半導体素子の周囲に発生させることが容易にできる。
【0019】
また、キャリッジの移動範囲内に、搬送路を走行中のボール状半導体素子に対し非接触で電気エネルギーを供給する移動時起電力供給手段が設けられていてもよい。
【0020】
これによると、印字動作中などキャリッジの移動中にもボール状半導体素子に起電力を供給することができ、印字中にボール状半導体素子を動作させるための電気エネルギーが不足することが防げる。また、キャリッジの運動エネルギーを、起電力供給のために有効に利用することができる。
【0021】
移動時起電力供給手段が複数の電磁石装置を含んでいてもよい。または、移動時起電力供給手段が複数の永久磁石を含んでいてもよい。移動時起電力供給手段は、キャリッジの運動を利用し、磁束を変化させる必要がないからである。
【0022】
ボール状半導体素子は、インクタンクに収容されているインクに少なくとも一部が接しており、中空構造であり、前記した通り、インダクターの向きが常に一定の向きとなるように、インクタンクに収容されているインク中で浮遊していることにより、電磁誘導を利用した起電力発生が確実に安定的に行える。
【0023】
ボール状半導体素子に蓄電手段が搭載されていると、供給した起電力またはこの起電力を変換した電力を、その後のボール状半導体素子の動作のために蓄えておけるので好ましい。
【0024】
ボール状半導体素子に対し信号を送信する通信手段を有し、ボール状半導体素子は、通信手段からの要求に応じて、ボール状半導体素子の駆動に十分な電気エネルギーの有無を伝達する機能を有していてもよい。
【0025】
また、ボール状半導体素子に対し信号を送信する通信手段を有し、ボール状半導体素子は、通信手段からの要求に応じて、インクタンク内のインクの量、種類、成分、状態の少なくとも1つを検出して伝達する機能を有していてもよい。
【0026】
なお、本明細書中の「メタセンタ」とは、釣り合いにある時の重量の作用線と、傾いたときの浮力の作用線との交点を示す。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0029】
図1に、本発明の第1の実施の形態であるインクジェット記録装置の概略図が示されている。まず、このインクジェット記録装置600の全体構成について簡単に説明する。
【0030】
このインクジェット記録装置600にはヘッドカートリッジ601が搭載されており、ヘッドカートリッジ601は、印字記録のためにインクを吐出する液体吐出ヘッド(記録ヘッド)と、その液体吐出ヘッドに供給される液体を保持する後述するインクタンクとを有するものである。インクタンク内には立体形半導体素子(ボール状半導体素子)11が配されており、後述するが、この立体形半導体素子11は、外部から供給された起電力を電力に変換するエネルギー変換手段14と、エネルギー変換手段14で得た電力により起動する情報入手手段15と、判断手段16と、情報蓄積手段17と、情報伝達手段18とを備えている。記録装置600内には、外部エネルギーである起電力を立体形半導体素子11に供給する手段である静止時起電力供給手段622および移動時起電力供給手段623や、立体形半導体素子11と情報を双方向に通信する手段(不図示)が設置されている。後述するが、この起電力供給手段622,623は、電磁誘導により、立体形半導体素子11を動作させるための起電力を生じさせるものである。なお、液体吐出ヘッドは、液路内でヒーター等の電気熱変換素子の熱によりインクを発泡させ、その気泡成長エネルギーにより、液路と連通する微小開口よりインクを吐出するものが考えられる。なお、以下の説明において、本発明の「立体形半導体素子」とは全て「ボール状半導体素子」を指している。
【0031】
ヘッドカートリッジ601は、図1に示すように、駆動モータ602の正逆回転に連動して駆動力伝達ギヤ603および604を介して回転するリードスクリュー605の螺旋溝606に対して係合するキャリッジ607上に搭載されている。駆動モータ602の動力によってヘッドカートリッジ601がキャリッジ607とともにガイド608に沿って矢印aおよびbの方向に往復移動される。インクジェット記録装置600には、ヘッドカートリッジ601から吐出されたインクなどの液体を受ける被記録媒体としてのプリント用紙Pを搬送する被記録媒体搬送手段(不図示)が備えられている。その被記録媒体搬送手段によってプラテン609上を搬送されるプリント用紙Pの紙押さえ板610は、キャリッジ607の移動方向にわたってプリント用紙Pをプラテン609に対して押圧する。
【0032】
リードスクリュー605の一端の近傍には、フォトカプラ611および612が配設されている。フォトカプラ611および612は、キャリッジ607のレバー607aの、フォトカプラ611および612の領域での存在を確認して駆動モータ602の回転方向の切り換えなどを行うためのホームポジション検知手段である。プラテン609の一端の近傍には、ヘッドカートリッジ601の吐出口のある前面を覆うキャップ部材614を支持する支持部材613が備えられている。また、ヘッドカートリッジ601から空吐出などされてキャップ部材614の内部に溜まったインクを吸引するインク吸引手段615が備えられている。このインク吸引手段615によりキャップ部材614の開口部を介してヘッドカートリッジ601の吸引回復が行われる。
【0033】
インクジェット記録装置600には本体支持体619が備えられている。この本体支持体619には移動部材618が、前後方向、すなわちキャリッジ607の移動方向に対して直角な方向に移動可能に支持されている。移動部材618には、クリーニングブレード617が取り付けられている。クリーニングブレード617はこの形態に限らず、他の形態の公知のクリーニングブレードであってもよい。さらに、インク吸引手段615による吸引回復操作にあたって吸引を開始するためのレバー620が備えられており、レバー620は、キャリッジ607と係合するカム621の移動に伴って移動し、駆動モータ602からの駆動力がクラッチ切り換えなどの公知の伝達手段で移動制御される。ヘッドカートリッジ601に設けられた発熱体に信号を付与したり、前述した各機構の駆動制御を司ったりするインクジェット記録制御部は記録装置本体側に設けられており、図1には示されていない。
【0034】
上述した構成を有するインクジェット記録装置600では、前記の被記録媒体搬送手段によりプラテン609上を搬送されるプリント用紙Pに対して、ヘッドカートリッジ601がプリント用紙Pの全幅にわたって往復移動する。この移動時に不図示の駆動信号供給手段からヘッドカートリッジ601に駆動信号が供給されると、この信号に応じて液体吐出ヘッド部から被記録媒体に対してインク(記録液体)が吐出され、記録が行われる。
【0035】
次に、このインクジェット記録装置600のヘッドカートリッジ601のインクタンク内に収容される立体形半導体素子について詳細に説明する。
【0036】
図2は、立体形半導体素子の内部構成および外部とのやり取りを表したブロック構成図である。この立体形半導体素子11は、外部A(起電力供給手段622,623)から立体形半導体素子11に向かって非接触で供給された起電力12を電力13に変換するエネルギー変換手段14と、エネルギー変換手段14で得た電力により起動する情報入手手段15と、判断手段16と、情報蓄積手段17と、情報伝達手段18とを備えており、後述するインクタンク内に配される。立体形半導体素子11を動作させるために供給される起電力は、電磁誘導により生じる。また、少なくともエネルギー変換手段14および情報入手手段15は、立体形半導体素子11の表面もしくは表面付近に形成されていることが望ましい。
【0037】
情報入手手段15は、立体形半導体素子11の周囲環境情報であるインクタンク内の情報を入手する。判断手段16は、情報入手手段15より入手したタンク内部情報と情報蓄積手段17に記憶してある情報とを比較し、入手したタンク内部情報を外部へ伝達する必要があるかどうかを判断する。情報蓄積手段17は、情報入手手段15より入手したタンク内部情報や、このタンク内部情報と比較する諸条件を蓄積する。情報伝達手段18は、判断手段16の命令によって、電力を、タンク内部情報へ伝達するためのエネルギーに変換して、外部Bへインク内部情報を表示、伝達する。
【0038】
図3は、図2に示した立体形半導体素子11の動作を説明するためのフローチャートである。図2および図3に示すように、外部A(起電力供給手段)から立体形半導体素子11に対して起電力12を与えると、エネルギー変換手段14は起電力12を電力13へと変換し、その電力により情報入手手段15、判断手段16、情報蓄積手段17、および情報伝達手段18を起動する。
【0039】
起動した情報入手手段15は、立体形半導体素子周囲の環境情報であるインクタンク内の情報、例えば、インクの残量、インクの種類、温度、phなどの情報を入手する(図3のステップS11)。次に、判断手段16は、入手したタンク内部情報と参照するための条件を情報蓄積手段17より読み出し(図3のステップS12)、この読み出した条件と入手したタンク内部情報とを比較し、情報伝達の必要性を判断する(図3のステップS13)。ここで、情報蓄積手段17に予め設定してある条件とは、例えばインクの最低残量(例えば2ミリリットル)やインクのphなどであり、これに基づいて、インクの残量が2ミリリットル以下になったり、インクのphが大きく変化したりしたときには、タンク交換必要として外部に伝達する必要があると判断される。
【0040】
ステップS13において判断手段16が外部へタンク内の情報を伝達する必要がないと判断した場合には、情報蓄積手段17に現在のインクタンク内の情報が蓄積される(図3のステップS14)。この蓄積情報は次に情報入手手段15が入手した情報と判断手段16で比較してもよい。
【0041】
また、ステップS13において判断手段16が外部へタンク内の情報を伝達する必要があると判断した場合には、エネルギー変換により得た電力が、情報伝達手段18で、インクタンク内の情報を外部へ伝達するためのエネルギーへと変換される。この伝達するためのエネルギーは磁界、光、形、色、電波、音などを使用することが可能であり、例えばインク残量が2ミリリットル以下になったと判断された場合には音を鳴らしてタンク交換が必要であることを外部B(例えばインクジェット記録装置)に伝達する(図3のステップS15)。また、伝達先はインクジェット記録装置本体のみでなく、特に光、形、色や音などの場合は人の視覚や聴覚に伝達してもよい。さらに、インク残量が2ミリリットル以下になったと判断された場合には音で、インクのphが大きく変化したときには光で知らせるなど、情報に応じてその伝達方法を変えてもよい。
【0042】
インクジェット記録装置に用いられる場合、立体形半導体素子11に外部エネルギーとして起電力を供給する静止起電力供給手段623をホームポジションに設けると、印字終了時から磁界の印字開始時までの間にキャリッジ607が必ず立ち寄るので、立体形半導体素子への起電力供給が滞るおそれが小さい。また、起電力供給手段を用いてインクタンク内部の状態を知ることができ、例えば工場や販売店で用いれば検査などに用いられる(品質保証)。この起電力供給手段および方法については後述する。
【0043】
本実施形態では、上述したような立体形半導体素子がインクタンク内に収容されている。このインクタンクの構成例を図4〜図7に示す。図4に示すインクタンク501は、インクを収納した可撓性のインク袋502を筐体503内に配置し、筐体503に固定したゴム栓504で袋口502aを閉じておき、インク導出用の中空針505をゴム栓504に突き刺して袋内に連通させることで、不図示のインクジェットヘッドへインク供給を行なうものである。このようなインクタンク501のインク袋502内に立体形半導体素子506を配置することができる。
【0044】
また、図5に示すインクタンク511は、インク513を収容した筐体512のインク供給口514に、インクを記録紙Sに向けて吐出し記録を行なうインクジェットヘッド515を取付けたものである。このようなタンク511内のインク513中に本発明の立体形半導体素子516を配置することができる。
【0045】
また、図6に示すインクタンク521は、後述する図25、図28、図29に示すタンクと同様のタンクであり、インク522を収容する完全密閉状態の第1室と、負圧発生部材523を収納する大気連通状態の第2室と、タンク最下部で第1室と第2室を連通させる連通路524とを備えたものである。第2室側のインク供給口525よりインクが消費されると、第2室側より大気が第1室へ入ることに替わって第1室のインク522が第2室に導出される。このような構成のタンク521において第1室と第2室とにそれぞれ立体形半導体素子525,526を配し、分割された各々の室のインクに関する情報をやり取りしてもよい。
【0046】
また、図7に示すインクタンク531は、インクを保持した多孔質部材532を収納し、収納インクを記録のために使用するインクジェットヘッド533を取付けたものである。このような構成のタンク531においても、後述する図28、図29に示すタンクと同様に、インクタンク側とインクジェットヘッド側にそれぞれ立体形半導体素子534,535を配し、分割された各々の構成部内のインクに関する情報をやり取りしてもよい。
【0047】
本実施形態によれば、立体形半導体素子がエネルギー変換手段を有しているので、外部と直接的な電気的配線を行う必要がなくなり、外部と直接的な電気的配線を行うことが困難な個所、前記した図4〜図7に示すようなインク中など、対象物中のどの個所であっても立体形半導体素子を使用することができる。インク中に立体形半導体素子を配すれば、インクの状態をリアルタイムで正確に把握することが可能となる。
【0048】
また、立体形半導体素子がエネルギー変換手段を有しているので、立体形半導体素子を動作させるための起電力を蓄積する手段(本例では電源)を配置する必要がなくなるため、立体形半導体素子の小型化が可能となり、狭い個所、もしくは図4〜図7のようにインク中など、対象物中のどの個所であっても立体形半導体素子を使用することができる。
【0049】
次に、本実施形態の立体形半導体素子をインクタンク内に配置する場合の好ましい具体例をさらに詳しく説明する。
【0050】
まず、本実施形態の立体形半導体素子に適用可能な情報入手手段を例に挙げる。インクタンク内に配置される立体形半導体素子が球状シリコンに作り込まれる場合、上記した情報入手手段としては、(1)SiO膜やSiN膜をイオン感応膜として作り、インクのpHを検知するセンサーや、(2)ダイヤフラム構造を有し、タンク内の圧力変化を検知する圧力センサーや、(3)光を熱エネルギーに変換し、焦電効果を有するフォトダイオードを作り込み、現在の位置を検出し、インク残量を検知するセンサーや、(4)材料の導電効果を用いて、タンク内の水分量により、インク有無を検知するセンサー等が挙げられる。
【0051】
次に、本発明の立体形半導体素子に適用可能なエネルギー発生手段について説明する。図8は本発明の立体形半導体素子の構成要素であるエネルギー発生手段の電力発生原理を説明するための図である。
【0052】
まず、この電力発生原理について、図8を参照して説明する。
【0053】
本実施形態では、立体形半導体素子にコイル(インダクター)が設けられており、起電力供給手段が、コイルの周囲の磁束を変化させることにより、電磁誘導によりコイルに誘導起電力を発生させる。すなわち、起電力供給手段の外部共振回路101のコイルLaに隣接して、発振回路102の導電体コイルLを置き、外部共振回路101を通じてコイルLaに電流Iaを流すと、電流Iaによって発振回路102のコイルLを貫く磁束Bが生じる。ここで、電流Iaを変化させるとコイルLを貫く磁束Bが変化するので、コイルLには誘導起電力Vが生じる。したがって、球状シリコンにエネルギー発生手段としての発振回路102を作り込み、立体形半導体素子外部のインクジェット記録装置に、起電力供給手段としての外部共振回路101を、立体形半導体素子側の発振回路102の導電体コイルLと立体形半導体素子外部の外部共振回路101のコイルLaとが隣接するように配設することにより、外部からの電磁誘導による誘導起電力で、立体形半導体素子を動作させる電力を発生することができる。
【0054】
また、球状シリコンにエネルギー発生手段として作り込んだ発振回路102の巻き数NのコイルLを貫く磁束Bは、外部共振回路101のコイルLaの巻き数Naと電流Iaの積に比例するから、比例定数をkとして、
【0055】
【数1】
Figure 0003605003
【0056】
コイルLに生じる起電力Vは、
【0057】
【数2】
Figure 0003605003
【0058】
ここで、磁束Bは、コイルの磁心の透磁率をμa、磁界をHとすると、
【0059】
【数3】
Figure 0003605003
【0060】
となる。ここで、zは、外部共振回路のコイルと球状シリコンに作り込んだコイルとの距離を示している。
【0061】
▲2▼式の相互インダクタンス:Mは、
【0062】
【数4】
Figure 0003605003
【0063】
となる。ここで、μは、真空の透磁率である。
【0064】
そして、球状シリコンに作り込んだ発信回路のインピーダンス:Zは、
【0065】
【数5】
Figure 0003605003
【0066】
と表され、外部共振回路のインピーダンス:Zaは、
【0067】
【数6】
Figure 0003605003
【0068】
となる.ここで、Jは、磁化を表している。そして、この外部共振回路が共振(電流値:Iaが最大になるとき)した時のインピーダンス:Zoは、
【0069】
【数7】
Figure 0003605003
【0070】
となり、この外部共振回路の位相の遅れ:φは、
【0071】
【数8】
Figure 0003605003
となる。
【0072】
そして、この外部共振回路の共振周波数:foは、
【0073】
【数9】
Figure 0003605003
で求められる。
【0074】
上記のような関係から、球状シリコンに作り込んだ発振回路102のインピーダンスが、インクタンク内のインクの変化に応じて可変すると、外部共振回路101の周波数を変化させて、外部共振回路101のインピーダンスの振幅および位相差に、上記のインクの変化が表れてくる。さらには、この位相差や振幅には、インク残量(即ち、zの変化)も含まれている。
【0075】
例えば、外部共振回路101の共振周波数を可変にすることで、球状シリコンに作り込んだ発振回路102からの出力(インピーダンス)が、周囲の環境変化に応じて、変化するので、この周波数依存性を検出することで、インクの有無やインク残量を検出することができる。
【0076】
したがって、球状シリコンに作り込む発振回路102は、電力を発生させるエネルギー発生手段としてのみならず、その発振回路102と外部共振回路101との関係で、タンク内のインクの変化を検知する手段の一部としても使用することが可能である。
【0077】
このような原理に基づいて、立体形半導体素子に起電力を供給する具体的な手段および方法について、図9〜16を参照して説明する。なお、わかりやすくするために、図9,10,12,15にはキャリッジや記録ヘッドは省略しインクタンクのみを示している。
【0078】
図9に示すように、キャリッジ607に搭載されたインクタンク700は、印字記録中には往復移動し、非印字時には記録領域外に設けられているホームポジションHPに停止する。非印字時等にこのホームポジションHPにおいて、図1に示すヘッドカートリッジ601は、キャップ部材614やインク吸引手段615やクリーニングブレード617により、吸引回復処理等が施される。本実施形態では、キャリッジ607がこのホームポジションHPに停止している間に、立体形半導体素子11への起電力供給が行われる。
【0079】
前記した原理にのっとって電磁誘導により立体形半導体素子11に誘導起電力を発生させるため、ホームポジションHPに静止時起電力発生手段として電磁石装置622が配設されている。この電磁石装置622は、略コ字状であり、両端部622a,622bがキャリッジ607の搬送路(移動範囲)701を挟んで対向するように設けられている。そして、電磁石装置622の動作時にはこの両端部622a,622bがS極またはN極の磁極となり、キャリッジ607に搭載されたインクタンク700内の立体形半導体素子11を貫通する磁束を発生させる。
【0080】
本実施形態では、電磁石装置622が交流駆動され、両端部622a,622bの磁性が交互に変化し続けるため、図10に示すように立体形半導体素子11を貫通する磁束Bが、常に変化し続ける。すなわち、図8に示すコイルLを貫通する磁束Bが変化するため、コイルLに交流の誘導起電力が生じる。この交流の誘導起電力が、図11(a)に示すエネルギー変換手段14により、図11(b)に示すように整流かつ平滑安定化される。そして、直流となった電力の一部が、立体形半導体素子11の情報入手手段15と、判断手段16と、情報蓄積手段17と、情報伝達手段18に供給されて、これらを起動させる。また、残りの電力は、その後の立体形半導体素子11の起動や動作のために、図示しないバッテリーやコンデンサ等の蓄電手段に蓄えられる。このような構成によると、非印字時にホームポジションHPにて、立体形半導体素子11に起電力が非接触供給できる。
【0081】
前記した通り、キャリッジ607がホームポジションHPに停止している間に、立体形半導体素子11に起電力を供給する構成とすることが好ましいが、さらに、印字動作中にも起電力が供給できると、立体形半導体素子11の起動および動作の安定化のためにより効果的である。そのため、本実施形態では、図12に示すように、キャリッジ607の搬送路(移動範囲)701に多数の永久磁石を並べて移動時起電力供給手段623を構成している。この構成によると、印字動作中などにキャリッジ607が往復移動すると、図13に示すように、永久磁石623による磁束B中を立体形半導体素子11のコイルLが横切るため、コイルLに交流の誘導起電力が生じる。そして、前記したのと同様に、交流の誘導起電力が、整流かつ平滑安定化され、立体形半導体素子の各手段の起動および動作のために用いられるとともに、図示しないバッテリーやコンデンサに蓄えられる(図14参照)。この構成によると、永久磁石623により移動時起電力供給手段を構成して、キャリッジ607の移動を利用して電磁誘導による起電力の発生が可能である。従って、キャリッジ607がホームポジションHPに停止しているときも、印字動作などのため移動しているときも電力が得られ、立体形半導体素子11の起動および動作が極めて安定し、電力不足となるおそれがない。
【0082】
なお、図15に示すように、永久磁石623の両磁極がキャリッジ607の搬送路(移動範囲)701を挟んで対向するように設けられていると、立体形半導体素子11のコイルLを貫通する磁束Bが形成できるので、より大きな電磁誘導効果が得られる。また、永久磁石の代わりに電磁石装置を用いても構わない。この場合、ホームポジションHPに配置された電磁石装置622とは異なり、交流駆動で磁束を常に変化させる必要はない。
【0083】
ここで、図16のフローチャートを参照して、本実施形態のインクジェット記録装置の動作を説明する。
【0084】
インクジェット記録装置の電源が投入されると、まずフォトカプラ611,612(図1参照)によって、キャリッジ607がホームポジションHPにあるかどうか確認される。キャリッジ607がホームポジションHPにない場合には、駆動モータ602を作動させてキャリッジ607をホームポジションHPに移動させる。
【0085】
ホームポジションHPにおいて、キャリッジ607のインクタンク700内の立体形半導体素子11に十分な電力が蓄えられているかどうか確認する。具体的には、インクジェット記録装置本体の通信手段から立体形半導体素子11に対し信号を送信する。立体形半導体素子11が動作可能な状態にあれば、信号を受信した後、返信する。これに対し、立体形半導体素子11からインクジェット記録装置本体の通信手段に返信されない場合、立体形半導体素子11に十分な電力が蓄えられておらず、動作不能であると判断され、起電力供給が行われる。具体的には、前記した通り、ホームポジションHPに位置する電磁石装置622を交流駆動することにより、電磁誘導により立体形半導体素子11に起電力を生じさせる。
【0086】
次に、インクジェット記録装置本体の通信手段から信号を送信して立体形半導体素子11を作動させて、前記した計算式に基づきインクタンク700内のインク残量を検知する。インクがない、またはインク量が足りないと判断された場合は、インクタンク交換を指示する表示を行う。インクが十分あると判断された場合は、前記した通り、プリント用紙Pの搬送およびキャリッジ607の往復移動とともに、液体吐出ヘッドからプリント用紙Pにインク滴を噴射して、記録を行う。印字が完了したら、全ての動作を終了する。
【0087】
次に、本実施形態の立体形半導体素子11の製造方法について説明する。図17は、本発明の立体形半導体素子の製造方法の一例を説明するための工程図であり、各工程を球状シリコンの中心を通る断面で示している。また、ここでは、球状シリコンの重心を中心より下部になるように作成し、且つ、球面体内部の上部を空洞にして、さらに、その空洞部を気密状態に保持する製造方法を例に挙げる。
【0088】
図17(a)に示す球状シリコンに対し、その全表面上に図17(b)に示すように熱酸化のSiO膜202を形成した後、フォトリソグラフィプロセスを用いてパターニングをし、図17(c)に示すようにSiO膜の一部に開口203を形成する。
【0089】
そして、図17(d)に示すように、開口203を通じてのKOH溶液を用いた異方性エッチングにより、シリコンの上部を部分的に除去し、空洞部204を形成する。その後、図17(e)に示すように、LPCVD法を用いて、立体形素子の内外表面にSiN膜205を形成する。
【0090】
さらに、図17(f)に示すように、メタルCVD法を用いて、立体形素子の全表面上にCu膜206を形成する。そして、図17(g)に示すように、周知のフォトリソグラフィプロセスを用いてCu膜206をパターニングし、発振回路の一部である巻き数Nの導電体コイルLを形成する。その後、導電体コイルLを形成した立体形素子を真空装置から大気中に出し、上部の開口203を樹脂や栓などの封止部材207で塞ぎ、球面体内部の空洞部204を密閉状態にする。このように製造すれば、後述する第3の実施の形態のように電力を用いて浮力を発生する手段を備えなくても、シリコンからなる立体形半導体素子自体に浮力を持たせることができる。
【0091】
また、このような浮遊型の立体形半導体素子を製造する前に球状シリコンに形成しておくコイルL以外の駆動回路素子はN−MOS回路素子を用いている。図18に、N−MOS回路素子を縦断するように切断した模式的断面図を示す。
【0092】
図18によれば、P導電体のSi基板401に、一般的なMosプロセスを用いたイオンプランテーション等の不純物導入および拡散により、N型ウェル領域402にP−Mos450が構成され、P型ウェル領域403にN−Mos451が構成されている。P−Mos450およびN−Mos451は、それぞれ厚さ数百オングストロームのゲート絶縁膜408を介して、4000オングストローム以上5000オングストローム以下の厚さにCVD法で堆積したpoly−Siによるゲート配線415、およびN型あるいはP型の不純物導入をしたソース領域405、ドレイン領域406等で構成され、それらP−Mos450とN−Mos451によりC−Mosロジックが構成されている。
【0093】
素子駆動用のN−Mosトランジスタ301は、やはり不純物導入および拡散等の工程により、P型ウェル基板402上のドレイン領域411、ソース領域412およびゲート配線413等で構成されている。
【0094】
ここで、素子駆動ドライバとしてN−Mosトランジスタ301を使うと、1つのトランジスタを構成するドレインゲート間の距離Lは、最小値で約10μmとなる。その10μmの内訳の1つは、ソースとドレインのコンタクト417の幅であり、それらの幅分は2×2μmであるが、実際は、その半分が隣のトランジスタとの兼用となるため、その1/2の2μmである。内訳の他は、コンタクト417とゲート413の距離分の2×2μmの4μmと、ゲート413の幅分の4μmであり、合計10μmとなる。
【0095】
各素子間には、5000オングストローム以上10000オングストローム以下の厚さのフィールド酸化により酸化膜分離領域453が形成され、素子分離されている。このフィールド酸化膜は、一層目の蓄熱層414として作用する。
【0096】
各素子が形成された後、層間絶縁膜416が約7000オングストロームの厚さにCVD法によるPSG、BPSG膜等で堆積され、熱処理により平坦化処理等をされてから、コンタクトホールを介して、第1の配線層となるAl電極417により配線が行なわれている。その後、プラズマCVD法によるSiO膜等の層間絶縁膜418を10000オングストローム以上15000オングストローム以下の厚さに堆積し、さらにスルーホールを形成した。
【0097】
このN−Mos回路を、図17のように浮遊型の立体形半導体素子を形成する前に形成しておく。そして、本発明のエネルギー発生手段としての発振回路や情報入手手段としてのセンサ部などとの接続を上記スルーホールを介して行なう。
【0098】
また、本例の浮遊型の立体形半導体素子を配したインクタンクがどのような状態においても、上述のような製法で球状シリコンに作り込まれた発振回路と、図16に示した外部共振回路との間で、安定した磁束(磁界)が働いている必要がある。しかし、インクなど液体中に浮遊した場合、外部振動により液面が振動をすることがある。そのような場合でも、液体中で安定した状態を保持するために、本例では、浮遊型の立体形半導体素子の重心を決定している。
【0099】
図19に示しているように、液体中に本例の立体形半導体素子210を浮遊させた場合、図19(a)のように、釣り合いの状態にあるためには、
(1)浮力F=物体の重量W
(2)浮力の作用線と重量の作用線(重心Gを通る線)が一致
という関係が成り立っていることが必要である。
【0100】
そして、図19(b)のように、外力により液体が振動して、立体形半導体素子210が、釣り合いの状態から少し傾いた時、浮力の中心が移動し、浮力と重量とで偶力となる。
【0101】
ここで、釣り合いの状態にあるときの重量の作用線(図19(b)中の一点鎖線)と、傾いたときの浮力の作用線(図19(b)中の実線)との交点をメタセンタと呼び、メタセンタと重心との距離hをメタセンタの高さと呼んでいる。
【0102】
本例のように、立体形半導体素子210のメタセンタが重心より高い位置にあるので、偶力(復元力)は元の釣り合いの位置に戻そうとする向きに作用する。この復元力:Tは、
【0103】
【数10】
Figure 0003605003
【0104】
で表される。ここで、立体形半導体素子210が排除した液体の体積をVと、立体形半導体素子210の比重量をρgとしている。
【0105】
そこで、この復元力を正にするためには、h>0となることが必要十分条件である。
【0106】
そして、図19(b)から、
【0107】
【数11】
Figure 0003605003
【0108】
となる。ここで、IはO軸回りの慣性モーメントである。よって、
【0109】
【数12】
Figure 0003605003
【0110】
となることが、立体形半導体素子210が、インク中で安定して浮遊し、外部共振回路からの誘電起電力の供給や、立体形半導体素子外部の通信手段との双方向通信を行うための必要条件となる。
【0111】
この時の外部通信手段との双方向通信方法としては、マイクロ波帯周波数を用いる無線LANシステムや、準ミリ波・ミリ波帯周波数を利用する無線アクセスシステムを適用することができる。
【0112】
ここで、無線LANシステムによる送受信の概要を説明する。下記では、立体形半導体素子から記録装置へのデータ送信について述べる。尚、逆に記録装置側から立体形半導体素子へのデータ送信を行う場合は、それぞれ側にデータIDを配しており、それによって、識別される。
【0113】
送信側の立体形半導体素子には、ライン監視部、データ・ハンドリング部、アクノリッジ・チェック部、エラー処理部を有し、受信側の記録装置には、データ・ハンドリング部、アクノリッジ部、エラー処理部、そして、表示部などが付設されている。
【0114】
送信側の立体形半導体素子でのフローチャートを図20に示す。データの送信を行う場合、決められた送信プロトコルにより、初期設定を行った後、受信側のアドレスを設定し、データの送信を行う。送信中に信号の衝突が発生したり、あるいは、指定した受信側の装置からアクノリッジが返って来なかったときは再送を行う。動作中は、ラインの状態やアクノリッジの有無について、受信側の記録装置などに設けた表示部上に表示し、ユーザに的確な判断をうながす。
【0115】
受信側の記録装置でのフローチャートを図21に示す。この受信側では、常にライン監視を行い、自分のアドレスを確認したら、ラインからデータを取り込み、メイン・メモリ上のバッファに蓄積していく。受信中に、16バイト毎のブロック・マークが確認できなかったり、あるいは受信終了後の誤り検出処理でチェックサムが一致しなかった場合は、受信エラーとして、受信を中断し、再度ラインを監視し、ヘッダの到着を待つ。エラー無く受信できた場合には、表示部上に受信内容を表示する。
【0116】
また、本実施形態の立体形半導体素子は、着脱可能に装着されたインクタンクに収容されたインクをインクジェット記録ヘッドに供給し、その記録ヘッドから噴射するインク滴で記録用紙に印字するインクジェットプリンタに関してのインク情報およびタンク情報を検知し、該インクジェットプリンタに該情報を伝送して、最適な方法でプリンタを制御したり、タンク内の状態を最適維持する制御をするインクジェットプリンタに好ましく適用される。
【0117】
尚、本実施形態ではインクジェット記録装置の外装は不図示であるが、外装のカバーを半透明など中の状態が見られるものを用い、インクタンクも半透明のものを用いた場合には光を伝達手段として用いると、タンクの光をユーザーが見れるので、例えば「タンクを交換したい」ことが分かり易く、ユーザーに、タンクを交換しようとする意欲を持たせることができる。従来は、装置本体のボタンが光るが、いくつかの表示機能を兼ねているため、光っても何を知らせたいのかユーザーには分かりにくかったが、本実施形態によると、タンク交換必要であることがとても分かり易い。
【0118】
(第2の実施の形態)
図22は、本発明の第2の実施の形態の立体形半導体素子の内部構成および外部とのやり取りを表したブロック構成図である。なお、本実施形態は、立体形半導体素子以外の構成については第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
【0119】
この図で示す形態の立体形半導体素子21は、外部A(起電力供給手段622,623)から立体形半導体素子21に向かって非接触で供給された起電力22を電力23に変換するエネルギー変換手段24と、エネルギー変換手段24で得た電力により起動する情報入手手段25、判断手段26、情報蓄積手段27、情報伝達手段28、受信手段29とを備え、インクタンク内に配される。第1の実施の形態とは受信機能を有する点で異なる。また、少なくともエネルギー変換手段24と情報入手手段25と受信手段29は立体形半導体素子の表面もしくは表面付近に形成されていることが望ましい。
【0120】
情報入手手段25は、立体形半導体素子21の周囲環境情報であるインクタンク内の情報を入手する。受信手段29は外部Aまたは外部Bの通信手段からの入力信号20を受信する。判断手段26は、受信手段29からの入力信号に応じて、情報入手手段25にタンク内部情報を入手させ、この入手したタンク内部情報と情報蓄積手段27に記憶してある情報とを比較し、入手したタンク内部情報が所定の条件を満たすかどうかを判断する。情報蓄積手段27は、入手するタンク内部情報と比較する諸条件や情報入手手段25より入手したタンク内部情報を蓄積する。情報伝達手段28は、判断手段26の命令によって電力を、タンク内部情報へ伝達するためのエネルギーに変換して、判断手段26による判断結果を外部Aまたは外部Bまたは外部Cへ表示、伝達する。
【0121】
図23は図22に示した立体形半導体素子の動作を説明するためのフローチャートである。図22および図23を参照すれば、外部A(起電力供給手段)から立体形半導体素子21に向かって起電力22を与えると、エネルギー変換手段24は起電力22を電力23へと変換し、その電力により情報入手手段25、判断手段26、情報蓄積手段27、情報伝達手段28および受信手段29を起動する。
【0122】
この状態において、外部Aまたは外部Bから立体形半導体素子21にインクタンク内の情報を聞くための信号30を送信する。この入力信号30は例えばインクタンク内にまだインクが残っているかどうかを立体形半導体素子に聞くための信号であり、受信手段29で受信される(図23のステップS21)。すると、判断手段26は、情報入手手段25によりインクタンク内の情報、例えばインクの残量、インクの種類、温度、phなどの情報を入手させ(図23のステップS22)、かつ入手したタンク内部情報と参照するための条件を情報蓄積手段27より読み出し(図23のステップS23)、入手したタンク内部情報が設定条件を満たすかどうかを判断する(図23のステップS24)。
【0123】
ステップS24において入手情報が設定条件を満たさないと判断した場合にはその満たしていない旨を、入手情報が設定条件を満たすと判断した場合にはその満たしている旨を外部Aまたは外部Bまたは外部Cに伝達する(ステップS25,S26)。このとき、判断結果に併せて入手情報も伝達してもよい。この伝達は、エネルギー変換により得た電力を情報伝達手段28で、インクタンク内の情報を外部へ伝達するためのエネルギーへ変換することで行なう。この伝達するためのエネルギーは磁界、光、形、色、電波、音などを使用することが可能であり、判断結果に応じて変化させ、また、判断すべき質問内容(例えば、インク残量が2ミリリットル以下であるかや、インクのphが変化しているか等)に応じて、その伝達方法を変えてもよい。
【0124】
なお、外部Aまたは外部Bからの入力信号30と共に起電力をも立体形半導体素子21に与えても良く、例えばその起電力が電磁誘導の場合はインクの残量について聞くための信号、光の場合はphを聞くための信号など使い道を分けて与えても良い。
【0125】
本実施形態によれば、外部からの信号を受信する機能を有しているため、第1の実施の形態による効果に加え、外部からの様々な種類の信号による質問に対して返答することが可能となり、立体形半導体素子と外部とで情報のやり取りを行うことができる。
【0127】
(第3の実施の形態)
図24は本発明の第3の実施の形態の立体形半導体素子の内部構成および外部とのやり取りを表したブロック構成図である。なお、本実施形態は、立体形半導体素子以外の構成については、第1の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
【0128】
この図に示す形態の立体形半導体素子31は、外部Aから立体形半導体素子31に向かって非接触で供給された起電力32を電力33に変換するエネルギー変換手段34と、エネルギー変換手段34で得た電力を用いて浮力を発生させる浮力発生手段35とを備え、インクタンク内のインク中に配される。
【0129】
このような形態では、外部Aから立体形半導体素子31に向かって起電力32を与えると、エネルギー変換手段34が起電力32を電力33へと変換し、その電力33を用いて浮力発生手段35が浮力を発生し、立体形半導体素子31をインク液面で浮遊させる。この浮力は必ずしもインク液面だけでなく、インクが空の状態で吐出を行うのを防止するために、立体形半導体素子の位置が必ずインク液面から一定距離下方に存在するようにしてもよい。
【0130】
例えば図25にインクタンクのインク中に浮遊させた立体形半導体素子の位置を、インクの消費変化とともに示す。図25に示すようなタンクではインク供給口36より負圧発生部材37のインクが外部へ導出されるのに伴い、消費された分のインクが負圧発生部材37に保持される。これにより、生インク38中の立体形半導体素子31は、インク液面Hから一定距離下方に存在した状態で、インクの消費によるインク液面Hの位置の低下と共に移動する。
【0131】
図26は立体形半導体素子31の位置を確認し、タンク交換の必要性を判断するためのフローチャートである。図24および図26のステップS31〜S34を参照すると、外部Aまたは外部B(例えばインクジェット記録装置の通信手段)により立体形半導体素子31に向けて光を発信し、その光を外部Aまたは外部B(例えばインクジェット記録装置)または外部Cで受信することにより立体形半導体素子31の位置が検知され、この立体形半導体素子の位置によりインクタンク交換の必要があるか等をインクジェット記録装置が判断し、必要がある場合はタンク交換を音や光等で報知する。
【0132】
この立体形半導体素子の位置の検出は、発光手段と受光手段が対向して設けられていて、立体形半導体素子の部分が光を通さないことにより位置が確認されるもの、もしくは発光手段から発した光が受光手段に向けて反射することにより確認されるものなどが用いられる。
【0133】
本実施形態によれば、液体の比重が異なるなど立体形半導体素子が用いられる環境により立体形半導体素子に必要な浮力などが変化する場合においても、外部からの起電力をエネルギー変換手段により変換して所望の位置に常に立体形半導体素子が存在するように設定することができるので、立体形半導体素子が置かれる環境に関わらず立体形半導体素子を使用することが可能である。
【0134】
なお、詳述しないが、本実施形態においても上述した第1および第2の実施の形態と同様に、立体形半導体素子31は、インダクターと情報入手手段と情報伝達手段とが同一基体に形成されたものである。
【0135】
(第4の実施の形態)
図27は本発明の第4の実施の形態の立体形半導体素子の使用方法を説明するための概念図である。なお、本実施形態は、立体形半導体素子以外の構成については、第1の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
【0136】
本実施形態は第1または第2の実施の形態の立体形半導体素子に他の立体形半導体素子に情報を伝達する機能を付与し、これらを対象物中に複数配置した構成である。
【0137】
図27(A)の例では、第1の実施の形態の立体形半導体素子が対象物中に複数配されており、各立体形半導体素子に外部Aまたは外部Bの起電力供給手段より起電力が供給されると、各立体形半導体素子が周囲環境情報をそれぞれ入手し、立体形半導体素子41の入手情報aは立体形半導体素子42へ、立体形半導体素子41および立体形半導体素子42の入手情報a,bは次の立体形半導体素子へと順次伝達され、最後の立体形半導体素子43はすべての入手情報を外部Aまたは外部Bに伝達する。
【0138】
また、図27(B)の例では、第2の実施の形態の立体形半導体素子が対象物中に複数配され、各立体形半導体素子に外部Aまたは外部Bの起電力供給手段より起電力が供給されており、外部Aまたは外部Bの通信手段より例えば立体形半導体素子53に信号による所定の質問が入力されると、質問内容に対応する立体形半導体素子51または52は質問に応じた情報を入手して回答を行ない、立体形半導体素子51または52の質問回答は他の立体形半導体素子へと順次伝達され、所望の立体形半導体素子53より外部Aまたは外部Bまたは外部Cに返答される。
【0139】
また、図27(C)の例では、第2の実施の形態の立体形半導体素子が対象物中に複数配され、各立体形半導体素子に外部Aまたは外部Bの起電力供給手段より起電力が供給されており、外部Aまたは外部Bの通信手段より例えば立体形半導体素子63に対してある信号が入力されると、その信号は立体形半導体素子62および立体形半導体素子61へと順次伝達され、立体形半導体素子63により外部Aまたは外部Bまたは外部Cへ表示を行なう。
【0140】
なお、図27(A)〜(C)の例では、複数の立体形半導体素子の一つに第3の実施の形態の浮力発生手段を備えたものを使用してもよい。
【0141】
また、図28は、インクタンク内およびこれに接続したインクジェットヘッド内にそれぞれ、第1、第2または第3の実施の形態を適宜組み合わせた立体形半導体素子を配置した例を示している。この例では、第1の実施の形態に対して第3の実施の形態の浮力発生手段および他の立体形半導体素子79への情報伝達機能を付加した立体形半導体素子71がインクタンク72のインク73中の所望の位置に配置される。一方、インクタンク72のインク供給口74と連結した液路75および液室76を通じて供給されたインクを印字のために吐出口77から吐出する記録ヘッド78には、ID機能(認証機能)を備えた第2の実施の形態の立体形半導体素子79が配置される。この立体形半導体素子79への電力供給は立体形半導体素子表面に配した電極部と記録ヘッド78を駆動するための電気基板上のコンタクト部との接触によって行なってもよい。
【0142】
そして、各立体形半導体素子71,79に外部の起電力供給手段から起電力を供給すると、インク中の立体形半導体素子71は例えばインクの残量情報を入手し、記録ヘッド側の立体形半導体素子79は例えばタンク交換のためのインク残量を判断するID情報を立体形半導体素子71に伝達する。すると、立体形半導体素子71は入手したインク残量とIDを比較し、一致したときのみ、立体形半導体素子79に外部へタンク交換を知らせるよう伝達指示する。立体形半導体素子79はこれを受信して外部にタンク交換を知らせる信号を伝達したり、人の目や聴覚に訴える音や光等を出力する。
【0143】
以上のように、立体形半導体素子をある対象物中に複数配することで、複雑な情報の条件を設定することが可能となる。
【0144】
また、図27および図28に示した例では、各々の立体形半導体素子に起電力を供給する構成としたが、これに限らず、ある立体形半導体素子に供給した起電力を情報とともに他の立体形半導体素子に順次伝達する構成であってもよい。例えば図29に示すように、第1の実施の形態に対して第3の実施の形態の浮力発生手段と他の立体形半導体素子への情報伝達機能および起電力供給機能を付加した立体形半導体素子81および、第2の実施の形態に対して第3の実施の形態の浮力発生手段と他の立体形半導体素子への情報伝達機能および起電力供給機能を付加した立体形半導体素子82がそれぞれ、図28と同様のインクタンク72のインク73中の所望の位置に配置される。一方、インクタンク72と連結した記録ヘッド78には、ID機能(認証機能)を備えた第2の実施の形態の立体形半導体素子83が配置される。この立体形半導体素子83への電力供給は立体形半導体素子表面に配した電極部と記録ヘッド78を駆動するための電気基板上のコンタクト部との接触によって行なってもよい。
【0145】
そして、立体形半導体素子81に外部から起電力を供給すると、インク中の立体形半導体素子81は例えばインクの残量情報を入手して、この情報を内部の規定条件と比較し、他の立体形半導体素子へ伝達の必要がある場合は入手したインク残量情報を立体形半導体素子82に、立体形半導体素子82を動作させる起電力とともに伝達する。起電力が供給された立体形半導体素子82は、立体形半導体素子81から伝達されたインク残量情報を受信するとともに、例えばインクのphに関する情報を入手し、記録ヘッド側の立体形半導体素子83に、立体形半導体素子83を動作させる起電力を伝達する。すると、起電力が供給された記録ヘッド側の立体形半導体素子83は例えばタンク交換のためのインク残量またはインクのphを判断するID情報を立体形半導体素子82に伝達する。そして立体形半導体素子82は、入手したインク残量情報およびph情報とIDを比較し、一致したときのみ、立体形半導体素子83に外部へタンク交換を知らせるよう伝達指示する。立体形半導体素子83はこれを受信して外部にタンク交換を知らせる信号を伝達したり、人の目や聴覚に訴える音や光等を出力する。このように、ある立体形半導体素子から他の立体形半導体素子へと情報とともに起電力を供給する方法も考えられる。
【0146】
【発明の効果】
本発明によると、インクタンク内に電気配線等を設けたりすることなく、比較的簡単な構成で、インクタンク内の立体形半導体素子を駆動するための起電力を非接触で供給することができる。静止時起電力供給手段を有する構成であると、キャリッジの停止時、すなわち非印字時に、立体形半導体素子に起電力を供給することができ、効率的である。また、この静止時起電力供給手段がホームポジションに設けられていると、印字終了時から磁界の印字開始時までの間に必ず立体形半導体素子への起電力供給の機会があり、起電力供給が滞るおそれが小さい。
【0147】
また、移動時起電力供給手段を有する構成であると、記録装置の動作(キャリッジの移動)を利用して、立体形半導体素子を駆動するための起電力を補給することができる。また、キャリッジの運動エネルギーを、起電力供給のために有効に利用することができる。
【0148】
これらの構成によると、キャリッジがホームポジションに停止しているとき、または印字中でないと、立体形半導体素子を動作させる起電力がないため、非印字時の立体形半導体素子の誤動作が防止できる。
【0149】
立体形半導体素子は、インクタンクに収容されているインクに少なくとも一部が接しており、中空構造であり、インダクターの向きが常に一定の向きとなるように、インクタンクに収容されているインク中で浮遊していることにより、電磁誘導を利用した起電力発生が確実に安定的に行える。
【0150】
特に、立体形半導体素子構造を活かした微細パターンにて立体的にインダクタを構成することができ、その場合、巻数を多くすることや、コアとして高透磁率の物質を用いることにより、インダクタンスをより大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態のインクジェット記録装置を示す斜視図である。
【図2】第1の実施の形態の立体形半導体素子の内部構成および外部とのやり取りを表したブロック構成図である。
【図3】図1に示した立体形半導体素子の動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】立体形半導体素子を配するのに好適なインクタンクの第1の例を示す図である。
【図5】立体形半導体素子を配するのに好適なインクタンクの第2の例を示す図である。
【図6】立体形半導体素子を配するのに好適なインクタンクの第3の例を示す図である。
【図7】立体形半導体素子を配するのに好適なインクタンクの第4の例を示す図である。
【図8】第1の実施の形態の立体形半導体素子の電力発生原理を説明するための図である。
【図9】第1の実施の形態の静止時起電力発生手段を示す模式図である。
【図10】図9に示す静止時起電力発生手段による起電力供給動作を説明するための模式図である。
【図11】(a)は第1の実施の形態の立体形半導体素子のエネルギー変換手段の要部を示す電気回路図、(b)はエネルギーの変換を説明するためのグラフである。
【図12】第1の実施の形態の静止時起電力発生手段および移動時起電力供給手段を示す模式図である。
【図13】図12に示す移動時起電力発生手段による起電力供給動作を説明するための模式図である。
【図14】図12に示す移動時起電力発生手段による起電力供給動作を説明するフローチャートである。
【図15】第1の実施の形態の静止時起電力発生手段および移動時起電力供給手段の他の例を示す模式図である。
【図16】第1の実施の形態における記録動作を説明するフローチャートである。
【図17】第1の実施の形態の立体形半導体素子の製造方法を説明するための工程図である。
【図18】図17に示す立体形半導体素子に使用するN−MOS回路素子を縦断するように切断した模式的断面図である。
【図19】図17に示す方法で製造した立体形半導体素子が液体中で安定した状態を保持するための条件を説明するための図である。
【図20】本発明のインクジェット記録装置の立体形半導体素子と記録装置本体とで双方向通信を行なう場合の、送信側の立体形半導体素子でのフローチャートを示す図である。
【図21】本発明のインクジェット記録装置の立体形半導体素子と記録装置本体とで双方向通信を行なう場合の、受信側の記録装置本体でのフローチャートを示す図である。
【図22】本発明の第2の実施の形態の立体形半導体素子の内部構成および外部とのやり取りを表したブロック構成図である。
【図23】図22に示す立体形半導体素子の動作を説明するためのフローチャートである。
【図24】本発明の第3の実施の形態の立体形半導体素子の内部構成および外部とのやり取りを表したブロック構成図である。
【図25】図22に示す立体形半導体素子をインクタンク内のインク中に浮遊させたときの位置を、インク残量変化とともに示す図である。
【図26】図22に示す立体形半導体素子の位置を確認し、タンク交換の必要性を判断するためのフローチャートである。
【図27】本発明の第4の実施の形態の立体形半導体素子の使用方法を説明するための概念図である。
【図28】インクタンク内およびこれに接続したインクジェットヘッド内にそれぞれ、第1、第2または第3の実施の形態を適宜組み合わせた立体形半導体素子を配置した例を示す図である。
【図29】インクタンク内およびこれに接続したインクジェットヘッド内にて、ある立体形半導体素子に供給した起電力を情報とともに他の立体形半導体素子に順次伝達する構成例を示す図である。
【図30】特開平6−143607号に記載の従来のインク残量検知装置を示す図である。
【図31】特登録2947245号に記載の従来のインク残量検知装置を示す図である。
【符号の説明】
11、21、31、41〜43、51〜53、61〜63、71、79、81〜83 立体形半導体素子
12、22、32 起電力
13、23、33 電力
14、24、34 エネルギー変換手段
15、25 情報入手手段
16、26 判断手段
17、27 情報蓄積手段
18、28 情報伝達手段
29 受信手段
30 入力信号
35 浮力発生手段
36 インク供給口
37 負圧発生部材
72 インクタンク
73 インク
74 インク供給口
75 液路
76 液室
77 吐出口
78 インクジェット記録ヘッド
101 外部共振回路
102 発振回路
201 球状シリコン
202 SiO
203 開口
204 空洞部
205 SiN膜
206 Cu膜
207 封止部材
210 立体形半導体素子
501 インクタンク
502 インク袋
502a 袋口
503 筐体
504 ゴム栓
505 中空針
506 立体形半導体素子
511 インクタンク
512 筐体
513 インク
514 インク供給口
515 インクジェットヘッド
521 インクタンク
522 インク
523 負圧発生部材
524 連通路
525,526 立体形半導体素子
531 インクタンク
532 多孔質部材
533 インクジェットヘッド
534,535 立体形半導体素子
600 インクジェット記録装置
601 ヘッドカートリッジ
602 駆動モータ
603,604 駆動力伝達ギヤ
605 リードスクリュー
606 螺旋溝
607 キャリッジ
608 ガイド
609 プラテン
610 紙押さえ板
611,612 フォトカプラ
613 支持部材
614 キャップ部材
615 インク吸引手段
617 クリーニングブレード
618 移動部材
619 本体支持体
620 レバー
621 カム
622 静止時起電力供給手段(電磁石装置)
622a,622b 端部(磁極)
623 移動時起電力供給手段(永久磁石)
700 インクタンク
701 搬送路(移動範囲)
a,b 矢印
P プリント用紙
B 磁束
L コイル(インダクター)
HP ホームポジション

Claims (7)

  1. 記録ヘッドと、該記録ヘッドに供給するインクを収容するインクタンクと、前記記録ヘッドおよび前記インクタンクが搭載され移動するキャリッジとを有するインクジェット記録装置において、
    前記インクタンクはインクを直接収納するインク室を備えており、該インク室には、インダクターと、情報を入手する情報入手手段と、前記情報入手手段による情報を表示または伝達する情報伝達手段と、を同一基体に形成したボール状半導体素子が収容され、該ボール状半導体素子はインク表面もしくはインク中の所定の位置で浮遊するための空洞部を有し、前記ボール状半導体素子の重心が当該素子の中心より下部に位置するとともに、当該素子のメタセンタが前記重心より常に上部に位置するように構成されることで前記インダクターの向きが常に一定の向きとなるようにされており、
    前記キャリッジの移動範囲内の特定の位置に、静止状態の前記ボール状半導体素子に対し非接触で電気エネルギーを供給する静止時起電力供給手段が設けられていることを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 記録ヘッドと、該記録ヘッドに供給するインクを収容するインクタンクと、前記記録ヘッドおよび前記インクタンクが搭載され移動するキャリッジとを有するインクジェット記録装置において、
    前記インクタンクはインクを直接収納するインク室を備えており、該インク室には、インダクターと、情報を入手する情報入手手段と、前記情報入手手段による情報を表示または伝達する情報伝達手段と、を同一基体に形成したボール状半導体素子が収容され、該ボール状半導体素子はインク表面もしくはインク中の所定の位置で浮遊するための空洞部を有し、前記ボール状半導体素子の重心が当該素子の中心より下部に位置するとともに、当該素子のメタセンタが前記重心より常に上部に位置するように構成されることで前記インダクターの向きが常に一定の向きとなるようにされており、
    前記キャリッジの移動範囲内に、移動中の前記ボール状半導体素子に対し非接触で電気エネルギーを供給する移動時起電力供給手段が設けられていることを特徴とするインクジェット記録装置。
  3. 前記ボール状半導体素子には蓄電手段が搭載されている、請求項1または2に記載のインクジェット記録装置。
  4. 前記ボール状半導体素子に対し信号を送信する通信手段を有し、
    前記ボール状半導体素子は、前記通信手段からの要求に応じて、前記ボール状半導体素子の駆動に十分な電気エネルギーの有無を伝達する機能を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  5. 前記ボール状半導体素子に対し信号を送信する通信手段を有し、
    前記ボール状半導体素子は、前記通信手段からの要求に応じて、前記インクタンク内の前記インクの量、種類、成分、状態の少なくとも1つを検出して伝達する機能を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  6. 請求項1に記載のインクジェット記録装置を用いたインクジェット記録装置のインクの情報収集方法であって、
    前記キャリッジが移動範囲内の特定の位置に静止しているときに、前記ボール状半導体素子に対し非接触で電気エネルギーを供給し、
    前記ボール状半導体素子を前記電気エネルギーにより起動して、前記インクタンク内の前記インクの情報を収集させることを特徴とするインクジェット記録装置のインクの情報収集方法。
  7. 請求項2に記載のインクジェット記録装置を用いたインクジェット記録装置のインクの情報収集方法であって、
    前記キャリッジが移動しているときに、前記ボール状半導体素子に対し非接触で電気エネルギーを供給し、
    前記ボール状半導体素子を前記電気エネルギーにより起動して、前記インクタンク内の前記インクの情報を収集させることを特徴とするインクジェット記録装置のインクの情報収集方法。
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