JP3609543B2 - 脂肪族ポリエステル系ポリマーブレンド体およびその製造方法ならびに脂肪族ポリエステル系ポリマーブレンド体の成形加工方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、生分解性を有する脂肪族ポリエステルであるポリ乳酸または乳酸を主な構成成分とし主鎖にポリエチレングリコール鎖を含む共重合体と、特定の融点を有するポリヒドロキシアルカノエートまたは2種以上のヒドロキシアルカン酸を構成成分とする共重合体とを特定の割合で含有する脂肪族ポリエステル系ポリマーブレンド体およびその製造方法ならびに生分解性に優れた脂肪族ポリエステル系ポリマーブレンド体の成形加工方法および成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近、プラスチックの廃棄物処理問題に関連して、生分解性樹脂の開発研究が盛んに行われている。ポリ乳酸および乳酸を主な構成成分とする共重合体およびポリヒドロキシアルカノエートまたは2種以上のヒドロキシアルカン酸を構成成分とする共重合体は、それぞれ生分解性を有する脂肪族ポリエステルである。
【0003】
しかしながら、ポリ乳酸および乳酸を主な構成成分とする共重合体は、それぞれ、通常は、化学合成により製造されている。このようなポリ乳酸および乳酸を主な構成成分とする共重合体は、それぞれ、生分解性を有する脂肪族ポリエステルであり、他の熱可塑性樹脂に匹敵する機械的強度を有する。しかしながら、その生分解性は、実用上、満足し得る程に大きくなく、しかも融点が高く、成形温度と熱分解開始温度とが比較的近いことから、成形時の温度の許容範囲が狭く、その制御の困難性が問題とされている。
【0004】
従って、当業界では、機械的強度に優れるとともに生分解性にも優れ、使用後の廃棄物処理の問題が解消され、広い産業分野への適用が可能な生分解性高分子化合物およびこのような生分解性高分子化合物を容易に、しかも、短時間で成形加工し得る方法および成形品の出現が強く要望されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記欠点を解決するためになされたものであり、機械的強度および生分解性に優れた高分子化合物の組成物およびその製造方法ならびに機械的強度および生分解性に優れた高分子化合物の組成物を、容易にしかも短時間で成形加工する方法および成形品を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる課題を解決すべく、鋭意、研鑚を重ねた結果、同じ脂肪族ポリエステルであり特定の融点を有するポリヒドロキシアルカノエートまたは2種以上のヒドロキシアルカン酸を構成成分とする共重合体とポリ乳酸または乳酸を主な構成成分とし主鎖にポリエチレングリコール鎖を含む共重合体とを特定の割合で混合することにより、さらにこの両重合体を加熱押出成形機中で熔融混練することにより、各種特性に優れ、生分解性が大きく、成形が容易なポリマーブレンド体が得られるとの知見を得、この知見に基づいて本発明を完成させた。
【0007】
ポリ乳酸および乳酸を主な構成成分とする共重合体のそれぞれの自然環境下での分解は、その初期には化学的な加水分解が支配的であって乳酸にまで分解された後で微生物の代謝による分解が開始される。他方、ポリヒドロキシアルカノエートまたは2種以上のヒドロキシアルカン酸を構成成分とする共重合体は、分解の初期段階から微生物の代謝による分解が開始される。これらのことから、本発明は、生分解に先立って加水分解が支配的なポリマーと、最初から微生物の代謝による分解が支配的なポリマーとを混合して、互いに均一に分散させることにより分解速度を制御し、生分解性および成形性をともに向上させるものである。
【0008】
すなわち、本発明は、
(1) ポリ乳酸または乳酸を主な構成成分とし主鎖にポリエチレングリコール鎖を含む共重合体および融点が110〜180℃であるポリヒドロキシアルカノエートまたは2種以上のヒドロキシアルカン酸を構成成分とする共重合体を含有し、該ポリヒドロキシアルカノエートまたは2種以上のヒドロキシアルカン酸を構成成分とする共重合体の配合量がポリ乳酸または乳酸を主な構成成分とし主鎖にポリエチレングリコール鎖を含む共重合体とポリヒドロキシアルカノエートまたは2種以上のヒドロキシアルカン酸を構成成分とする共重合体との和に対して10〜30重量%とされてなる生分解性の脂肪族ポリエステル系ポリマーブレンド体。
(2) ポリ乳酸または乳酸を主な構成成分とし主鎖にポリエチレングリコール鎖を含む共重合体と、融点が110〜180℃であるポリヒドロキシアルカノエートまたは2種以上のヒドロキシアルカン酸を構成成分とする共重合体とをブレンドし、該ポリヒドロキシアルカノエートまたは2種以上のヒドロキシアルカン酸を構成成分とする共重合体の配合量をポリ乳酸または乳酸を主な構成成分とし主鎖にポリエチレングリコール鎖を含む共重合体とポリヒドロキシアルカノエートまたは2種以上のヒドロキシアルカン酸を構成成分とする共重合体との和に対して10〜30重量%とすることによるポリ乳酸または乳酸を主な構成成分とし主鎖にポリエチレングリコール鎖を含む共重合体の生分解速度の制御方法。
【0009】
(3) ポリ乳酸または乳酸を主な構成成分とし主鎖にポリエチレングリコール鎖を含む共重合体と、融点が110〜180℃であるポリヒドロキシアルカノエートまたは2種以上のヒドロキシアルカン酸を構成成分とする共重合体とを、該ポリヒドロキシアルカノエートまたは2種以上のヒドロキシアルカン酸を構成成分とする共重合体の配合量をポリ乳酸または乳酸を主な構成成分とし主鎖にポリエチレングリコール鎖を含む共重合体とポリヒドロキシアルカノエートまたは2種以上のヒドロキシアルカン酸を構成成分とする共重合体との和に対して10〜30重量%として加熱押出成形機中にて熔融混練することを特徴とする脂肪族ポリエステル系ポリマーブレンド体の製造方法。
(4) ポリ乳酸または乳酸を主な構成成分とし主鎖にポリエチレングリコール鎖を含む共重合体と、融点が110〜180℃であるポリヒドロキシアルカノエートまたは2種以上のヒドロキシアルカン酸を構成成分とする共重合体とを、該ポリヒドロキシアルカノエートまたは2種以上のヒドロキシアルカン酸を構成成分とする共重合体の配合量をポリ乳酸または乳酸を主な構成成分とし主鎖にポリエチレングリコール鎖を含む共重合体とポリヒドロキシアルカノエートまたは2種以上のヒドロキシアルカン酸を構成成分とする共重合体との和に対して10〜30重量%として加熱押出成形機中にて熔融混練し、成形加工することを特徴とする脂肪族ポリエステル系ポリマーブレンド体の成形加工方法。
【0010】
(5)前記(1)記載の脂肪族ポリエステル系ポリマーブレンド体から得られた成形品
であり、かつ
(6) 前記(1)記載の脂肪族ポリエステル系ポリマーブレンド体ならびに(2)記載のポリ乳酸または乳酸を主な構成成分とし主鎖にポリエチレングリコール鎖を含む共重合体の生分解速度の制御方法(3)記載の脂肪族ポリエステル系ポリマーブレンド体の製造方法および(4)記載の脂肪族ポリエステルポリマーブレンド体の成形加工方法のそれぞれにおいて、ポリ乳酸または乳酸を主な構成成分とし主鎖にポリエチレングリコール鎖を含む共重合体(両者を総称して以下 L系重合体 と記すこともある)と融点が110〜180℃であるポリヒドロキシアルカノエートまたは2種以上のヒドロキシアルカン酸を構成成分とする共重合体(両者を総称して以下 H系重合体 と記すこともある)との配合割合は、〔H系重合体/(L系重合体+H系重合体)〕×100重量%で示される配合量として10〜30重量%とされる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の脂肪族ポリマーブレンド体は、L系重合体としてポリ乳酸または乳酸を主な構成成分とし主鎖にポリエチレングリコール鎖を含む共重合体と、H系重合体として融点が110〜180℃であるポリヒドロキシアルカノエートまたは2種以上のヒドロキシアルカン酸を構成成分とする共重合体とを含有するものである。
【0012】
本発明において、ポリ乳酸は市販のもの、例えば、株式会社島津製作所製のラクティ(商品名)などが好適に使用される他、各種重合法により得られたものも使用することができる。また、乳酸を主な構成成分とし主鎖にポリエチレングリコール鎖を含む共重合体は、たとえば、特開平7−165896号公報に記載されている。すなわち、ここで記載されている共重合体は、L−乳酸および/またはD−乳酸と、数平均分子量が300以上のポリエチレングリコールとを特定の割合で重合させてなる共重合体である。
【0013】
いずれの場合も、分子量は、機械的強度および熔融粘度などの点から、重量平均分子量で10万以上が好ましく、10万〜30万が特に好ましい。
融点はポリマーの重合度や、共重合体の他のモノマー成分により異なるが、前記の重量平均分子量の範囲内において、たとえば、ポリ乳酸では約170℃である。
【0014】
L系重合体の重合は、常法によって行われるほかに、H系重合体の共存下においてL系重合体の原料である乳酸、ラクチド、乳酸およびポリエチレングリコールならびにラクチドおよびポリエチレングリコールなどのそれぞれと、適当な重合触媒とを共存せしめて行うことができる。この方法によれば、L系重合体とH系重合体との混合が一層均一に行われ好ましい。H系重合体の共存下で、ラクチドをL系重合体の原料としてこれを重合せしめ得るが、ラクチドを開環重合させるための重合触媒としては通常使用されている触媒でよく、特に制限はないが、たとえば、オクチル酸錫などが好適に使用される。
【0015】
本発明において用いられるポリヒドロキシアルカノエートまたは2種以上のヒドロキシアルカン酸を構成成分とする共重合体は、分子量が重量平均分子量で10万〜150万の微粉末であり、融点は約110〜約180℃である。ポリヒドロキシアルカノエートの代表例として、ポリ−3−ヒドロキシ酪酸(PHB)、ポリ−3−ヒドロキシ吉草酸およびポリ−4−ヒドロキシ酪酸などがある。また、2種以上のヒドロキシアルカン酸の共重合体の代表例として、ポリ−(3−ヒドロキシ酪酸−3−ヒドロキシ吉草酸)およびポリ−(3−ヒドロキシ酪酸−4−ヒドロキシ吉草酸)などがある。
【0016】
ヒドロキシアルカン酸を構成成分とする共重合体には2種以上の異種のヒドロキシアルカン酸が使用され、種々の組成比のものを使用することができる。
これらのポリヒドロキシアルカノエートおよび2種以上のヒドロキシアルカン酸を構成成分とする共重合体のそれぞれは、通常は、微生物に由来するものである。この微生物として、たとえば、プロトモナス エクストルクエンス(Protomonas extorquens)K(微工研条寄第3548号)、ハイホミクロビウム メチロボラム(Hyphomicrobium methylovorum)IFO 14180、ハイホミクロビウム ホウランディカム(Hyphomicrobium hollandicum)ATCC 27498、メチロバクテリウム フジサワエンス(Methylobacterium fujisawaense)NCIB 12417、パラコッカス デニトリフィカンス(Paracoccus denitrificans)ATCC 17441、アルカリゲネス ユートロファス(Alcaligenes eutrophus)ATCC 17697およびシュードモナス レモニエリ(Pseudomonas lemonnieri)ATCC 17989などを挙げることができる。これらの製造法の詳細は、たとえば、特開平5−7492号公報および特開平7−75590号公報などに記載されている。
【0017】
ポリヒドロキシアルカノエートおよび2種以上のヒドロキシアルカン酸を構成成分とする共重合体のそれぞれは、重量平均分子量が20万以下ではポリ乳酸および乳酸を主な構成成分とし主鎖にポリエチレングリコール鎖を含む共重合体のそれぞれとの相溶性が良く、無色透明な熔融ポリマーブレンド体が得られるので好ましい。他方、この重量平均分子量が30万以上のように比較的大きい場合には、相溶性がそう大きくならず、得られる熔融ポリマーブレンド体の色相もよくない。しかし、この場合でも、たとえば、高剪断力下での混合によりその分子量を20万以下までに低下させることにより、相溶性は向上し、無色透明な熔融ポリマーブレンド体が得られる。
【0018】
本発明の脂肪族ポリエステル系ポリマーブレンド体、ポリ乳酸または乳酸を主な構成成分とし主鎖にポリエチレングリコール鎖を含む共重合体の生分解速度の制御方法、脂肪族ポリエステル系ポリマーブレンド体の製造方法および脂肪族ポリエステル系ポリマーブレンド体の成形方法のそれぞれにおいて、ポリヒドロキシアルカノエートまたは2種以上のヒドロキシアルカン酸を構成成分とする共重合体の配合量は、ポリ乳酸または乳酸を主な成分とし主鎖にポリエチレングリコール鎖を含む共重合体の量とポリヒドロキシアルカノエートまたは2種以上のヒドロキシアルカン酸を構成成分とする共重合体の量との和に対して、10〜30重量%とされる。
【0019】
この配合量が10重量%未満では成形品の生分解性はそう大きく向上しなくなる傾向がある。また、この配合量が30重量%を越えると両ポリマーの相溶性がそう大きくならず成形品の色相および透明性がやや低下する危険性がある。両重合体の量比を、適宜、選択することにより、ポリ乳酸または乳酸を主な成分とし主鎖にポリエチレングリコール鎖を含む共重合体の生分解速度を任意に制御することができる。
【0020】
前記の脂肪族ポリエステル系ポリマーブレンド体は、たとえば、以下に説明する本発明の製造方法で好適に得ることができるが、この製造方法に限定されるものではない。
すなわち、本発明の脂肪族ポリエステル系ポリマーブレンド体の製造方法は、前記の所定の量比とされたポリ乳酸または乳酸を主な構成成分とし主鎖にポリエチレングリコール鎖を含む共重合体と、融点が110〜180℃であるポリヒドロキシアルカノエートまたは2種以上のヒドロキシアルカン酸を構成成分とする共重合体とを、加熱押出成形機中にて熔融混練することを特徴とするものである。
【0021】
この製造方法において、ポリ乳酸または乳酸を主な構成成分とし主鎖にポリエチレングリコール鎖を含む共重合体の熔融粘度は、融点が110〜180℃であるポリヒドロキシアルカノエートまたは2種以上のヒドロキシアルカン酸を構成成分とする共重合体との熔融混練時の温度において1,000ポイズ以上であることが好ましく、10,000〜1,000,000ポイズであることが特に好ましい。
前記の熔融混練時の温度における熔融粘度が1,000ポイズ以上のポリ乳酸または乳酸を主な構成成分とし主鎖にポリエチレングリコール鎖を含む共重合体を選択、使用することにより透明度の高い熔融ポリマーブレンド体が得られる。
【0022】
その結果、熔融押出成形機内の熔融ポリマーブレンド体の熔融粘度は高く保たれ、高剪断力下での混合により、分子量が比較的大きいポリヒドロキシアルカノエートまたは2種以上のヒドロキシアルカン酸を構成成分とする共重合体の分子量低下が促進され、無色透明な熔融ポリマーブレンド体が得られる。他方、ポリ乳酸および乳酸を主な構成成分とし主鎖にポリエチレングリコール鎖を含む共重合体のそれぞれの熔融混練時における熔融粘度が1,000ポイズ未満では粘度が低く高分子量のポリヒドロキシアルカノエートまたは2種以上のヒドロキシアルカン酸を構成成分とする共重合体の分子量低下は促進されにくなり、無色透明な熔融ポリマーブレンド体は得られなくなることがある。
【0023】
融点が110〜180℃であるポリヒドロキシアルカノエートまたは2種以上のヒドロキシアルカン酸を構成成分とする共重合体と混合することにより、ポリ乳酸または乳酸を主な構成成分とし主鎖にポリエチレングリコール鎖を含む共重合体の低温での成型性が改善される。
本発明の脂肪族ポリエステル系ポリマーブレンド体において、前記L系重合体およびH系重合体の両重合体とともに、たとえば、ポリカプロラクタムのような生分解性ポリマーのような他の重合体および各種添加剤などを共存させることもできる。
【0024】
本発明の脂肪族ポリエステル系ポリマーブレンド体の成形加工方法において、加熱押出成形機が使用される。なお、本発明において、加熱押出成形機とは、成形用プラスチック材料を加熱熔融するためのシリンダーまたはバレルを有し、該シリンダーまたはバレル中で該成形用プラスチック材料を加熱熔融させて均一な流動状態にし、次いで、前記シリンダーまたはバレルから排出させて成形する機械として定義される。この加熱成形押出機を使用して、例えば、押出成形、射出成形およびブロー成形などが行われる。
この脂肪族ポリエステル系ポリマーブレンド体の成形加工法により、前記の本発明の脂肪族ポリエステル系ポリマーブレンド体から、たとえば、フィルムおよび繊維などの各種の成形品が任意に得られる。
【0025】
【実施例】
以下の実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
L−ラクチド(商品名 ラクティ、株式会社島津製作所製、195℃における熔融粘度 200,000ポイズ、重量平均分子量 200,000)100gと、所定量のポリ−3−ヒドロキシ酪酸(185℃での熔融粘度 6,000ポイズ、重量平均分子量 350,000)とを押出成形機に投入し、触媒としてオクチル錫酸を加え、窒素雰囲気下、温度195℃で10分間混練熔融して、この間にL−ラクチドを重合せしめて、所定の配合量(配合量の定義は前記のとおり)のポリ乳酸とポリ−3−ヒドロキシ酪酸との脂肪族ポリエステル系ポリマーブレンド体を得た。この脂肪族ポリエステル系ポリマーブレンド体からクロロホルムキャスト法(濃度10重量%)にて厚さ1mmのフィルムを作成し、この試験片について生分解性および生分解性試験前の光線透過性を測定した。
【0026】
このフィルムを5cm×5cmの正方形とし、生分解性試験用試験片とした。
なお、脂肪族ポリエステル系ポリマーブレンド体中のポリ−3−ヒドロキシ酪酸の配合量を、0重量%、1重量%、5重量%および10重量%のそれぞれとした。
このフィルムの評価方法は次の通りとした。すなわち、生分解性試験は屋外にて行い、市販の腐葉土中に腐葉土表面から10cmの深さに試験片を埋没し、3ヵ月後に掘出して、目視にて観測してその生分解性を判定した。生分解性は、
△:変化なし。
○:白化した。
◎:崩壊した。
で示した。
また、光線透過性は、JIS K 0115に準拠して測定した。
結果を表1に示す。
【0027】
表1
【0028】
表1の結果は、ポリ−3−ヒドロキシ酪酸の配合量が1重量%以上のものでは生分解性が向上せしめられ、また、10重量%のものでも良好な光線透過率が保持されていることを示している。
【0029】
実施例2
ポリ乳酸(商品名 ラクティ、株式会社島津製作所製、195℃における熔融粘度 200,000ポイズ、重量平均分子量 200,000)とポリ−3−ヒドロキシ酪酸(185℃における熔融粘度 6,000ポイズ、重量平均分子量350,000)とを所定の配合量とし、それらの合計量170gを射出成形機に投入し、温度195〜230℃で熔融混練して成形し、厚さ0.3mm、長さ6.5mmの試験片を得た。
なお、この熔融ポリマーブレンド体中のポリ−3−ヒドロキシ酪酸の配合量を、0重量%、1重量%、5重量%および10重量%のそれぞれとした。
【0030】
ポリ−3−ヒドロキシ酪酸の配合量が異なる各成形体の評価は、各成形体の最適成形温度により行った。成形温度が低すぎると熔融ポリマーブレンド体の粘度が高すぎて金型内で熔融ポリマーブレンド体が流れなくなることから、金型内で熔融ポリマーブレンド体が充分流れる温度範囲で最も低い温度を最適成形温度とした。
【0031】
また、実施例1と同様にして生分解性試験を行った。
さらに、また、生分解性試験前の成形品について、目視によりその透明性を調べた。
透明性については
◎:完全に透明
○:透明(僅かな曇り有り)
で示した。
結果を表2に示す。
【0032】
表2
【0033】
表2に示すように、ポリ−3−ヒドロキシ酪酸の配合量を多くするに伴って、最適成形温度が下がること、ならびにその間で、良好な透明性および良好な生分解性が保持されることが判った。最適成形温度が低い程、着色、ひび割れなどの熱による樹脂への悪影響が軽減されることから、ポリ乳酸へのポリ−3−ヒドロキシ酪酸の添加効果が理解される。
【0034】
実施例3
ポリ乳酸(商品名 ラクティ、株式会社島津製作所製、195℃における熔融粘度 200,000ポイズ、重量平均分子量 200,000)とポリ−3−ヒドロキシ酪酸(185℃における熔融粘度 6,000ポイズ、重量平均分子量350,000)とを所定の配合量とし、それらの合計量170gを押出成形機に投入し、温度195℃で8分間熔融混練して熔融ポリマーブレンド体を得た。混練熔融時の熔融ポリマーブレンド体の粘度は30,000ポイズであった。
【0035】
なお、熔融ポリマーブレンド体のポリ−3−ヒドロキシ酪酸の配合量は0重量%、1重量%、5重量%および10重量%のそれぞれとした。
実施例1と同様にして、この熔融ポリマーブレンド体からクロロホルムキャスト法(濃度10重量%)にて厚さ1mmのフィルムを作成し、この試験片について生分解性を調べた。
【0036】
また、この熔融ポリマーブレンド体から実施例2と同様にして成形品を得、この成形品から試験片を作り、この試験片を使用して強度試験を行った。
なお、この強度試験は、ASTM D 638に準拠して行った。
前記の試験片は、熔融ポリマーブレンド体のポリ−3−ヒドロキシ酪酸の配合量を5重量%以上とした場合には、僅かに曇りが認められたが、依然として高い透明度を保っていた。
試験結果を表3に示す。
【0037】
表3
【0038】
表3の結果は、熔融ポリマーブレンド体のポリ−3−ヒドロキシ酪酸の配合量を5重量%以上とした場合には、良好な曲げ強度を保持しつつ、生分解性が向上せしめられたことをしめしている。
【0039】
【発明の効果】
本発明の脂肪族ポリエステル系ポリマーブレンド体は、機械的強度に優れるとともに生分解性にも優れ、しかも、無色透明性が大きい。また、この脂肪族ポリエステル系ポリマーブレンド体は、従来の熱可塑性樹脂と同様な成形加工が可能であり、産業分野における適用範囲が拡大され、かつ、使用後の廃棄物処理問題をも解決できる。
また、本発明の脂肪族ポリエステル系ポリマーブレンド体の成形加工方法によって、生分解性が大きく、従来の熱可塑性樹脂と同様な機械強度を持つ脂肪族ポリエステルの成形物が得られ、かつ、その成形物は成形性が向上せしめられ、より短時間でより容易な成形加工が可能となった。
【表1】
【表2】
【表3】
Claims (7)
- ポリ乳酸または乳酸を主な構成成分とし主鎖にポリエチレングリコール鎖を含む共重合体および融点が110〜180℃であるポリヒドロキシアルカノエートまたは2種以上のヒドロキシアルカン酸を構成成分とする共重合体を含有し、該ポリヒドロキシアルカノエートまたは2種以上のヒドロキシアルカン酸を構成成分とする共重合体の配合量がポリ乳酸または乳酸を主な構成成分とし主鎖にポリエチレングリコール鎖を含む共重合体とポリヒドロキシアルカノエートまたは2種以上のヒドロキシアルカン酸を構成成分とする共重合体との和に対して10〜30重量%とされてなる生分解性の脂肪族ポリエステル系ポリマーブレンド体。
- ポリ乳酸または乳酸を主な構成成分とし主鎖にポリエチレングリコール鎖を含む共重合体と、融点が110〜180℃であるポリヒドロキシアルカノエートまたは2種以上のヒドロキシアルカン酸を構成成分とする共重合体とをブレンドし、該ポリヒドロキシアルカノエートまたは2種以上のヒドロキシアルカン酸を構成成分とする共重合体の配合量をポリ乳酸または乳酸を主な構成成分とし主鎖にポリエチレングリコール鎖を含む共重合体とポリヒドロキシアルカノエートまたは2種以上のヒドロキシアルカン酸を構成成分とする共重合体との和に対して10〜30重量%とすることによるポリ乳酸または乳酸を主な構成成分とし主鎖にポリエチレングリコール鎖を含む共重合体の生分解速度の制御方法。
- ポリ乳酸または乳酸を主な構成成分とし主鎖にポリエチレングリコール鎖を含む共重合体と、融点が110〜180℃であるポリヒドロキシアルカノエートまたは2種以上のヒドロキシアルカン酸を構成成分とする重合体とを、該ポリヒドロキシアルカノエートまたは2種以上のヒドロキシアルカン酸を構成成分とする共重合体の配合量をポリ乳酸または乳酸を主な構成成分とし主鎖にポリエチレングリコール鎖を含む共重合体とポリヒドロキシアルカノエートまたは2種以上のヒドロキシアルカン酸を構成成分とする共重合体との和に対して10〜30重量%として加熱押出成形機中にて熔融混練することを特徴とする脂肪族ポリエステル系ポリマーブレンド体の製造方法。
- ポリ乳酸または乳酸を主な構成成分とし主鎖にポリエチレングリコール鎖を含む共重合体が、その熔融粘度が熔融混練時の温度において1,000ポイズ以上である請求項3記載の脂肪族ポリエステル系ポリマーブレンド体の製造方法。
- ポリ乳酸または乳酸を主な構成成分とし主鎖にポリエチレングリコール鎖を含む共重合体と、融点が110〜180℃であるポリヒドロキシアルカノエートまたは2種以上のヒドロキシアルカン酸を構成成分とする共重合体とを、該ポリヒドロキシアルカノエートまたは2種以上のヒドロキシアルカン酸を構成成分とする共重合体の配合量をポリ乳酸または乳酸を主な構成成分とし主鎖にポリエチレングリコール鎖を含む共重合体とポリヒドロキシアルカノエートまたは2種以上のヒドロキシアルカン酸を構成成分とする共重合体との和に対して10〜30重量%として加熱押出成形機中にて熔融混練し、成形加工することを特徴とする脂肪族ポリエステル系ポリマーブレンド体の成形加工方法。
- ポリ乳酸または乳酸を主な構成成分とし主鎖にポリエチレングリコール鎖を含む共重合体が、その熔融粘度が熔融混練時の温度において1,000ポイズ以上である請求項5記載の脂肪族ポリエステル系ポリマーブレンド体の成形加工方法。
- 請求項1記載の脂肪族ポリエステル系ポリマーブレンド体から得られた成形品。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP19165696A JP3609543B2 (ja) | 1995-07-13 | 1996-07-03 | 脂肪族ポリエステル系ポリマーブレンド体およびその製造方法ならびに脂肪族ポリエステル系ポリマーブレンド体の成形加工方法 |
Applications Claiming Priority (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7-201551 | 1995-07-13 | ||
JP7-201552 | 1995-07-13 | ||
JP20155195 | 1995-07-13 | ||
JP20155295 | 1995-07-13 | ||
JP19165696A JP3609543B2 (ja) | 1995-07-13 | 1996-07-03 | 脂肪族ポリエステル系ポリマーブレンド体およびその製造方法ならびに脂肪族ポリエステル系ポリマーブレンド体の成形加工方法 |
Publications (2)
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