JP4082052B2 - 樹脂組成物ならびにそれからなる成形品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、成形性、機械特性、耐熱性および表面特性に優れた樹脂組成物、およびこの樹脂組成物からなる成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリ乳酸樹脂は、高い融点を持ち、また溶融成形可能であることから、実用上優れた生分解性ポリマーとして期待されている。しかしながら、ポリ乳酸樹脂は成形性、耐熱性に課題があった。例えばポリ乳酸樹脂を射出成形する場合には、長い成形サイクル時間や成形後の熱処理を必要とすることが必要であった。また、高温で使用した場合、変形が大きいなどの実用的に大きな問題があった。また、ポリ乳酸樹脂は成形時、特にポリ乳酸樹脂のガラス転移温度付近またはそれ以上の型温度で成形した場合、離型性が悪く、安定に成形ができないという問題があった。また、得られた成形品の表面特性特に表面硬度が低く、傷がつきやすいという問題があった。
【0003】
2種またはそれ以上のポリマーを配合して用いる技術については、ポリマーアロイとして広く知られており、このポリマーアロイは個々のポリマーの欠点を改良する目的で広く利用されている。しかしながら、2種以上のポリマーを混合した場合、多くはポリマー同士の分散性が悪く、ペレットや成形品の形状に加工できなかったり、劣った特性を示す傾向となる。
【0004】
しかし、まれに2種のポリマーが均一な非晶相を形成する場合があって、この種のものは、一般に相溶性または混和性のポリマーアロイとして知られており、優れた特性を示すことが期待されているが、その例は少ない。
【0005】
ポリ乳酸樹脂と相溶性のあるポリマーとしては、ポリエチレングリコール(例えば、Polymer 37(26),5849−5857(1996))や、ポリメチルメタクリレート(例えば、Polymer 39(26),6891−6897(1998))が知られているが、これらのポリマーを混合した場合には、ポリ乳酸樹脂の強度や結晶性が大きく低下するという問題があった。
【0006】
特開平5−43772号公報には、ポリアセタールに生分解性を付与する目的で、特定量の脂肪族ポリエステルと微量のホルムアルデヒドを含有させた樹脂組成物が開示され、その中で脂肪族ポリエステルの1例として、種々の脂肪族ポリエステルとともにポリ乳酸の使用例が開示されている。しかしながら、同公報記載の発明は、特にポリアセタール樹脂を比較的多く含む組成物におけるポリアセタール樹脂の生分解性の付与を主目的としているため、通常の用途でポリアセタール樹脂の特性を生かした組成物を得ようとする場合、耐久性が乏しく、実用上好ましくなく、また、上記に記載したポリ乳酸樹脂の成形性、表面特性などの課題を解決できるものではない。なお、同公報においてポリ乳酸は、他の脂肪族ポリエステルと同等に取り扱われ、ポリアセタールとの相溶性に関し、何ら特別な認識はなされていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した従来技術における問題点を解決をするものである。すなわち、本発明は、成形性、機械特性、耐熱性および表面特性に優れた樹脂組成物、およびそれからなる成形品を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、ポリ乳酸樹脂、ポリアセタール樹脂および離型剤を必須成分として含有した樹脂組成物が、目的とする優れた特性を有することを見い出し、本発明に到達した。
【0009】
すなわち、本発明は、ポリ乳酸樹脂、ポリアセタール樹脂およびモンタン酸エステル、モンタン酸部分鹸化エステル、アルキレンビス脂肪酸アミドから選ばれた少なくとも一種の離型剤を含有してなり、前記ポリ乳酸樹脂およびポリアセタール樹脂の合計を100重量部としたときに、前記ポリ乳酸樹脂の配合量が99重量部以下60重量部以上、前記離型剤の配合量が0.2重量部以下0.03重量部以上であることを特徴とする樹脂組成物を提供するものである。
【0010】
なお、本発明の樹脂組成物においては、
樹脂組成物中のポリ乳酸樹脂とポリアセタール樹脂とが相溶化していること、
ポリアセタール樹脂が、ポリアセタールコポリマーであること、
が好ましい条件として挙げられ、これらの条件を適用した場合には一層優れた効果の取得を期待することができる。
【0011】
また、本発明の成形品は、上記の樹脂組成物からなることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0013】
本発明に用いられるポリ乳酸樹脂とは、L−乳酸および/またはD−乳酸を主たる構成成分とするポリマーであるが、乳酸以外の他の共重合成分を含んでいてもよい。他の共重合成分としては、エチレングリコール、ブロピレングリコール、ブタンジオール、ヘプタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオ−ル、デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ビスフェノ−ルA、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびポリテトラメチレングリコールなどのグリコール化合物、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、マロン酸、グルタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4´−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムイソフタル酸などのジカルボン酸、グリコール酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸、およびカプロラクトン、バレロラクトン、プロピオラクトン、ウンデカラクトン、1,5−オキセパン−2−オンなどのラクトン類を挙げることができる。このような共重合成分としては、全単量体成分中通常30モル%以下の含有量とするのが好ましく、10モル%以下であることが好ましい。
【0014】
本発明においては、ポリアセタール樹脂との相溶性の点から、乳酸成分の光学純度が高いポリ乳酸樹脂を用いることが好ましい。すなわち、ポリ乳酸樹脂の総乳酸成分のうち、L体が70%以上含まれるかあるいはD体が70%以上含まれることが好ましく、L体が80%以上含まれるかあるいはD体が80%以上含まれることが特に好ましく、L体が90%以上含まれるかあるいはD体が90%以上含まれることがさらに好ましく、L体が95%以上含まれるかあるいはD体が95%以上含まれることがさらに好ましく、L体が98%以上含まれるかあるいはD体が98%以上含まれることがさらに好ましい。
【0015】
ポリ乳酸樹脂の分子量や分子量分布については、実質的に成形加工が可能であれば、特に制限されるものではないが、重量平均分子量としては、通常1万以上、好ましくは4万以上、さらに8万以上であることが望ましい。ここでいう重量平均分子量とは、ゲルパーミテーションクロマトグラフィーで測定したポリメチルメタクリレート(PMMA)換算の分子量をいう。
【0016】
ポリ乳酸樹脂の融点は、特に制限されるものではないが、120℃以上であることが好ましく、さらに150℃以上であることが好ましい。
【0017】
かかるポリ乳酸樹脂の製造方法としては、公知の重合方法を用いることができ、乳酸からの直接重合法、およびラクチドを介する開環重合法などを挙げることができる。
【0018】
本発明に用いられるポリアセタール樹脂は、オキシメチレン単位を主たる繰り返し単位とするポリマーであり、ホルムアルデヒドもしくはトリオキサンを主原料として、重合反応によって得られる、いわゆるポリアセタールホモポリマーであっても、主としてオキシメチレン単位からなり、主鎖中に2〜8個の隣接する炭素原子を有するオキシアルキレン単位を15重量%以下含有するいわゆるポリアセタールコポリマーのいずれであってもよく、また他の構成単位を含有するコポリマー、すなわち、ブロックコポリマー、ターポリマー、架橋ポリマーのいずれであってもよく、これらは一種または2種以上で用いることができるが、熱安定性の観点からポリアセタールコポリマーであることが好ましい。
【0019】
本発明におけるポリアセタール樹脂の製造方法は特に制限はなく、公知の方法により製造できる。ポリアセタールホモポリマーの代表的な製造方法の例としては、高純度のホルムアルデヒドを有機アミン、有機あるいは無機の錫化合物、金属水酸化物のような塩基性重合触媒を含有する有機溶媒中に導入して重合し、重合体を濾別した後、無水酢酸中、酢酸ナトリウムの存在下で加熱してポリマー末端をアセチル化して製造する方法などが挙げられる。
【0020】
また、代表的なポリアセタールコポリマーの製造方法としては、高純度のトリオキサンおよびエチレンオキシドや1,3−ジオキソランなどの共重合成分をシクロヘキサンのような有機溶媒中に導入し、三弗化ホウ素ジエチルエーテル錯体のようなルイス酸触媒を用いてカチオン重合した後、触媒の失活と末端基の安定化を行うことにより製造する方法、あるいは溶媒を全く使用せずに、セルフクリーニング型攪拌機の中へトリオキサン、共重合成分および触媒を導入して塊状重合した後、さらに不安定末端を分解除去して製造する方法などが挙げられる。
【0021】
これらポリマーの粘度は、成形材料として使用できる程度のものであれば特に制限はないが、ASTMD1238法によるメルトフローレート(MFR)が測定可能であり、MFRが1.0〜50g/10分の範囲のものが好ましく、1.5〜35g/10分のものであることが特に好ましい。
【0022】
また、ポリアセタール樹脂としては予め熱安定剤や発生ガス捕捉剤を含有しているものが好ましい。
【0023】
なお、ポリアセタール樹脂の分解が促進されることにより組成物の耐久性や相溶性を損なうなど、組成物自体の特性に強い影響を与える可能性の高いホルムアルデヒドは添加しないことが好ましく、ポリアセタール樹脂自体がその性質上、含有する量を考慮してもポリアセタール樹脂に対する含有量として、多くとも500ppm未満にとどめておくのが好ましく、250ppm以下にとどめておくのがより好ましく、100ppm以下にとどめておくのがさらに好ましく、含有しないことがより好ましい。
【0027】
本発明で使用する離型剤としては、モンタン酸エステル、モンタン酸部分鹸化エステル、アルキレンビス脂肪酸アミドを使用する。特にアルキレンビス脂肪酸アミドとしては、エチレンビスステアリルアミドが好ましい。
【0028】
本発明において上記離型剤は、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合せて用いてもよい。
【0029】
また、離型剤の配合量は、ポリ乳酸樹脂およびポリアセタール樹脂の合計100重量部に対して、0.2重量部以下0.03重量部以上である。
【0030】
本発明においては、ポリ乳酸樹脂、ポリアセタールおよび離型剤を配合することにより、成形性、機械特性、耐熱性および表面特性に優れた組成物が得られることを特徴とするが、ポリ乳酸樹脂およびポリアセタール樹脂の合計を100重量部としたときに、ポリ乳酸樹脂99重量部以下60重量部以上を配合してなる樹脂組成物においては、ポリ乳酸樹脂の特性を改良する点で有用であり、この樹脂組成物は成形性、耐熱性、表面特性の改良に特に効果がある。また、この樹脂組成物においては、ポリ乳酸樹脂が有する特性を生かして、生分解性を伴ってもかまわない。
【0032】
本発明の樹脂組成物において、通常ポリ乳酸樹脂とポリアセタール樹脂とは、相溶化している。ここでいう「相溶化」とは、分子レベルで非晶相内に均一相を形成することを説明するために用いられる。つまり、配合物の一方または両方が結晶相および非晶相の両方を形成する場合、相溶化した状態とは、非晶相が分子レベルで混合している状態を意味する。
【0033】
配合物中の相溶性の判断は、いくつかの方法で行うことができる。相溶性について判断する最も一般的な方法は、ガラス転移温度で判断する方法である。相溶性配合物中では、ガラス転移温度が各々単独のものより変化し、多くの場合、単一のガラス転移温度を示す。ガラス転移温度の測定方法としては、差動走査熱量計(DSC)で測定する方法、および動的粘弾性試験により測定する方法のいずれも用いることができる。
【0034】
しかしながら、ポリアセタール樹脂は高結晶性であるために、ポリアセタール樹脂の含有量が多い場合には、ガラス転移温度が不明確になるという問題がある。この場合の相溶性の判断としては、ポリアセタール樹脂の結晶化温度を用いることができる。すなわち、ポリアセタール樹脂がそれ自体よりも結晶化速度の遅い樹脂と相溶性配合物を形成した場合には、ポリアセタール樹脂の結晶化速度が単体の場合よりも低下するからである。したがって、この結晶化速度の低下を、DSCで測定した降温時の結晶化温度で判断することができる。
【0035】
本発明においては、ポリ乳酸樹脂、ポリアセタール樹脂、離型剤の3者を併用することで、ポリ乳酸樹脂と離型剤を併用する以上に、成形性、表面特性が大きく向上する。この原因としては、ポリ乳酸樹脂とポリアセタール樹脂が相溶化している非晶層に、離型剤が含有されることで、離型剤の効果やポリアセタール樹脂の効果が特異的に高まっているものと考えられる。
【0036】
本発明の樹脂組成物に対して、本発明の目的を損なわない範囲で強化材(ガラス繊維、炭素繊維、天然繊維、有機繊維、セラミックスファイバー、セラミックビーズ、アスベスト、ワラステナイト、タルク、クレー、マイカ、セリサイト、ゼオライト、ベントナイト、モンモリロナイト、ドロマイト、カオリン、微粉ケイ酸、長石粉、チタン酸カリウム、シラスバルーン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、ケイ酸アルミニウム、酸化ケイ素、石膏、ノバキュライト、ドーソナイトおよび白土など)、滑剤、難燃剤、染料および顔料を含む着色剤、核化剤および可塑剤(ポリエステル系可塑剤、グリセリン系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、ポリアルキレングリコール系可塑剤およびエポキシ系可塑剤)などを添加することができる。
【0037】
また、本発明の樹脂組成物に対して、本発明の目的を損なわない範囲で、他の熱可塑性樹脂(例えばポリエチレン、ポリプロピレンなどの分子量1万以上のポリオレフィン、ポリアミド、アクリル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリエーテルイミドなど)および熱硬化性樹脂(例えばフェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂など)および軟質熱可塑性樹脂(例えばエチレン/グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン/プロピレンターポリマー、エチレン/ブテン−1共重合体などの軟質ポリオレフィン系ポリマー、各種コアシュル型エラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマーなど)などの少なくとも一種以上をさらに添加することができる。
【0038】
本発明の樹脂組成物の製造方法は特に限定されるものではないが、例えばポリ乳酸樹脂、ポリアセタール樹脂、離型剤および必要に応じてその他の添加剤を予めブレンドした後、融点以上において、1軸または2軸押出機で、均一に溶融混練する方法や、溶液中で混合した後に溶媒を除く方法などが好ましく用いられる。また、予めポリ乳酸樹脂、ポリアセタール樹脂、またはポリ乳酸樹脂とポリアセタール樹脂の配合物に離型剤を高含量で含有させたマスターバッチを予め製造し、これを成形加工時に添加する方法を用いることもできる。
【0039】
本発明の樹脂組成物は、独特の特性を持つ組成物であり、射出成形や押出成形などの方法によって、各種成形品に加工し利用することができる。
【0040】
上記の樹脂組成物から得られる本発明の成形品としては、射出成形品、押出成形品、ブロー成形品、フィルム、シート、ボトルおよび繊維などが挙げられ、未延伸フィルム・シート、一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルム、ラミネートフィルム、発泡シートなどの各種フィルム・シート、および未延伸糸、延伸糸、超延伸糸など各種繊維として、いずれも好適に利用することができる。また、これらの成形品は、電気・電子部品、建築土木部材、自動車部品、農業資材、包装材料、衣料および日用品など各種用途に利用することができる。
【0041】
【実施例】
次に、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
[実施例1〜3、比較例1〜12]D体の含有量が2%であり、溶媒にヘキサフルオロイソプロパノールを用いてゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したPMMA換算の重量平均分子量が17万であるポリL乳酸樹脂、ASTMD1238法に準じて190℃で測定したメルトインデックス値が27g/10分であり融点が170℃であり、ホルムアルデヒド含有量が50ppmであるポリアセタールコポリマー(東レ株式会社製アミラスS731)、および表1に示した各種離型剤を、表1に示した割合で混合し、30mm径の2軸押出機で、温度210℃、回転数150rpmの条件で溶融混練を行い、樹脂組成物を得た。
【0042】
なお、表1における離型剤の符号は、次の内容を示すものである。
【0043】
A−1:モンタン酸エステル(クラリアント社製“リコワックス”E)
A−2:モンタン酸部分鹸化エステル(クラリアント社製“リコワックス”OP)
A−3:酸化タイプポリエチレンワックス(三井化学製“ハイワックス”320P)
A−4:エルカ酸アミド(日本油脂社製“アルフロー”P10)
A−5:エチレンビスステアリルアミド(日本油脂社製“アルフロー”H−50T)
また、ポリアセタール樹脂のホルムアルデヒド含有量は以下の方法で測定した。
【0044】
100mgのポリアセタール樹脂をヘキサフルオロイソプロパノール10mlに入れ、溶解させた。この溶液に以下に示したアセチルアセトン溶液を10mlを入れ、混合した。
【0045】
この溶液内にあるポリアセタール樹脂をろ過した後、このろ液を80℃で10分間熱処理した。その後、UVスペクトルメーターを用いてポリアセタール樹脂中に含まれているホルムアルデヒド含有量を求めた。
【0046】
得られた樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)、組成物中のポリアセタール樹脂の降温時の結晶化温度(Tc)を、差動走査熱量計(DSC)を用い、昇降温速度20℃/分で測定した。なお、使用したポリアセタール単独の降温時の結晶化温度は140℃であった。
【0047】
また、得られた樹脂組成物をシリンダー温度210℃、金型温度60℃で射出成形によりASTM1号の引張試験片を成形した。このとき、成形品やスプルーが金型に残らずに何回連続で成形できるかを求め、成形性を評価した。
【0048】
さらに、上記で得られた引張試験片を用い、ASTM法D638に準じて引張試験を行った。また、上記で得られた引張試験片を用い、JIS K5401に準拠して鉛筆硬度を測定した。また、上記引張試験片を140℃の熱風オーブン中で1時間熱処理した後の試験片の変形を目視で観察した。これらの結果を表1に併せて示す。
【0049】
【表1】
【0050】
表1の結果から、本発明の樹脂組成物は、ポリ乳酸樹脂単独、ポリ乳酸樹脂に離型剤のみを添加したものに比較して、優れた成形性を示しており、また、硬度、機械特性、耐熱性にも優れることがわかる。
【0051】
以上の結果から、本発明の樹脂組成物は、成形性、機械特性、耐熱性、表面特性に優れていることがわかる。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の樹脂組成物は、成形性、機械特性、耐熱性、表面特性に優れており、この樹脂組成物から得られる成形品は、上記の特性を生かして、電気・電子部品、建築土木部材、自動車部品、農業資材、包装材料、衣料および日用品など各種用途に利用することができる。
Claims (4)
- ポリ乳酸樹脂、ポリアセタール樹脂およびモンタン酸エステル、モンタン酸部分鹸化エステル、アルキレンビス脂肪酸アミドから選ばれた少なくとも一種の離型剤を含有してなり、前記ポリ乳酸樹脂およびポリアセタール樹脂の合計を100重量部としたときに、前記ポリ乳酸樹脂の配合量が99重量部以下60重量部以上、前記離型剤の配合量が0.2重量部以下0.03重量部以上であることを特徴とする樹脂組成物。
- 樹脂組成物中のポリ乳酸樹脂とポリアセタール樹脂とが相溶化していることを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物。
- 前記ポリアセタール樹脂が、ポリアセタールコポリマーであることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物からなることを特徴とする成形品。
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