JP3607388B2 - 船外機用多気筒エンジンの吸気装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、船外機に使用する多気筒エンジンの吸気装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
燃料を燃料噴射装置によって供給するクランク室圧縮式2サイクルエンジンにおいて加速時の応答性を高めるに当たっては、スロットル弁とリード弁の間の吸気通路の容積を可及的小さくすることが好ましい。これを実現するため、従来のこの種のエンジン、例えば船外機用燃料噴射式2サイクル多気筒エンジンに用いる吸気装置は、気筒毎に形成した吸気通路の各々にスロットル弁および燃料噴射装置を設けている。
【0003】
この構成を採るに当たっては、スロットル弁を有するスロットルボディを各吸気通路のリード弁の上流側に取り付け、それぞれのスロットルボディにおけるスロットル弁の下流側に燃料噴射装置を装着している。すなわち、この吸気装置は、気筒毎に独立したスロットルボディを備えた構造になっている。なお、各スロットルボディの上流側には、全ての吸気通路に共通の吸気膨張室を有する吸気サイレンサを取り付けている。
【0004】
また、この船外機用エンジンの燃料系は、船体側の主燃料タンクから燃料を船外機カウリング内の副燃料タンクに供給し、この副燃料タンクに、高圧燃料ポンプ、燃料噴射装置および差圧式プレッシャーレギュレータが介在する燃料循環系を連通させた構造になっている。前記燃料循環系は、高圧燃料ポンプによって燃料を副燃料タンクから燃料噴射装置へ圧送し、この燃料噴射装置で噴射されずに残った燃料の余剰分が副燃料タンクに戻るように構成している。また、燃料噴射装置に圧送される燃料の圧力は、前記プレッシャーレギュレータによってエンジン運転状態によらず一定に保たれている。
【0005】
このプレッシャーレギュレータは、燃料通路の一部となる燃料室と、この燃料室にダイヤフラムを介して隣接しかつ吸気系のスロットル弁下流側に連通する基準圧力室とが設けてあり、前記基準圧力室の圧力が変化してダイヤフラムが撓むことによって、ダイヤフラムに取り付けた弁体が燃料通路の通路断面積を増減させる構造になっている。すなわち、吸気負圧が増減しても常に吸気負圧に対し燃料圧力が一定になるように構成している。
【0006】
また、このプレッシャーレギュレータの基準圧力室は、上述したように複数設けたスロットルボディのうちの1個のスロットルボディの吸気通路に連通させている。
さらに、前記副燃料タンクは、燃料を前記燃料循環系に循環させることによって燃料中に生じる気泡を分離させる構造になっており、気室内の気体を排出するためのガス抜き通路を前記プレッシャーレギュレータの基準圧力室と同様に複数のスロットルボディのうちの1個のスロットルボディの吸気通路に連通させている。すなわち、副燃料タンク内の気体分を吸気通路に吸引させるように構成している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、プレッシャーレギュレータの基準圧力室を複数あるスロットルボディのうちの1個のスロットルボディの吸気通路に連通させたのでは、ピストンの位相が互いに異なる構成の多気筒エンジンにおいては、プレッシャーレギュレータの基準圧力室が連通する吸気通路とこれとは別の吸気通路とで燃料噴射量が等しくならないという問題があった。
【0008】
これは、吸気通路の負圧はスロットル開度が一定でもピストンの位置に応じて増減するため、プレッシャーレギュレータが基準圧力とする吸気負圧はクランク軸が1回転する間にも増減するからである。すなわち、プレッシャーレギュレータは個々の燃料噴射装置に供給する燃料の圧力を一括して制御するため、このプレッシャーレギュレータの基準圧力室に連通する吸気通路の負圧が、この吸気通路に燃料を噴射するときと他の吸気通路に燃料を噴射するときとで大小に異なってしまうと、各燃料噴射装置での燃料噴射量が一定にならない。
【0009】
また、上述したように副燃料タンクのガス抜き通路を一つのスロットルボディの吸気通路に連通させたのでは、吸気通路の負圧は上述したようにピストン位置に応じて増減することから、必ずしも確実に副燃料タンク内の気体を吸気系に吸入させることはできなかった。しかも、前記ガス抜き通路が連通する吸気通路は、他の吸気通路より空燃比が過リッチになり易いという問題もあった。
【0010】
さらに、エンジンの応答性を高めるためにスロットル弁とリード弁の間の間隔を狭める構成を採ると、吸気系に吹き返し現象が生じたときに燃料・オイルがスロットル弁より上流側の吸気サイレンサに吹き込み易い。吸気サイレンサに燃料が吹き込むと、これが吸気膨張室の底に溜まってしまい、この底に近い吸気通路に気化した燃料が吸入されてしまう。すなわち、前記底に近い吸気通路では空燃比が過リッチになってしまう。
【0011】
本発明はこのような問題点を解消するためになされたもので、プレッシャーレギュレータの基準圧力室を多気筒エンジンの気筒毎の吸気通路に連通させる構成を採りながら、各吸気通路での燃料噴射量が等しくなるようにすることを第1の目的とする。
また、燃料タンクの気室を吸気系に連通させる構成を採るに当たり、吸気通路に生じる脈動の影響を受けずに常に燃料タンク内の気体が吸気系に吸引されるようにするとともに、特定の吸気通路が燃料タンク内の気体を吸引することにより過リッチになるのを阻止することを第2の目的とする。
さらに、気筒毎の吸気通路を吸気膨張室が全ての吸気通路で共通の吸気サイレンサに連通する構成を採るに当たり、吸気サイレンサに溜まった燃料が各吸気通路に均等に分配されるようにすることを第3の目的とする。
さらにまた、バランス通路がスロットルボディを形成する部材に一体に形成され、簡便でかつ寸法管理されたバランス通路を得ることを第4の目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る船外機用多気筒エンジンの吸気装置は、船外機カウリング内にベーパーセパレータタンクとともに収容される多気筒エンジンの気筒毎の吸気通路を、このエンジンに取付けられたリード弁装置と、このリード弁装置の上流側に取付けられたスロットルボディとによって形成し、これらの気筒毎の吸気通路に、スロットル弁と、燃料圧力が差圧式プレッシャーレギュレータにより制御される燃料噴射装置とがそれぞれ設けられた船外機用多気筒エンジンの吸気装置であって、前記スロットルボディに全ての気筒の吸気通路を吸気通路どうしが上下方向に間隔をおいて一列に並ぶように形成し、このスロットルボディにおけるリード弁装置との合わせ面に、吸気通路の開口と隣接する位置において吸気通路の並設方向と平行に延びる凹溝と、この凹溝と各吸気通路とを連通する凹溝とを形成することにより、吸気通路のスロットル弁より下流側どうしを前記両凹溝によって互いに連通するバランス通路をスロットルボディに一体に設け、このバランス通路を、前記差圧式プレッシャーレギュレータの基準圧力室と、前記ベーパーセパレータタンクのガス抜き通路とにそれぞれ連通させ、前記吸気通路におけるスロットル弁より上流側を、全ての吸気通路に共通の吸気膨張室に連通させ、この吸気膨張室の底部に吹き返し燃料排出口を開口させてこの吹き返し燃料排出口を前記バランス通路に連通させたものである。
したがって、プレッシャーレギュレータの基準圧力室に全ての吸気通路の負圧を平均した圧力の負圧が作用する。
【0013】
本発明に係る船外機用多気筒エンジンの吸気装置よれば、燃料タンクのガス抜き通路に全ての吸気通路の負圧を平均した圧力の負圧が作用する。また、燃料タンク内の気体はバランス通路によって全ての吸気通路に均等に分配される。
【0014】
本発明に係る船外機用多気筒エンジンの吸気装置によれば、吸気系に吹き返し現象が生じて吸気膨張室に吹き込んだ燃料は、吹き返し燃料排出口からバランス通路を介して全ての吸気通路に均等に分配される。
【0015】
本発明に係る船外機用多気筒エンジンの吸気装置によれば、スロットルボディを形成する部材に一体にバランス通路が設けられているから、部品点数の増加がない上に確実に寸法管理され、吸気負圧を各気筒均一に利用することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る船外機用多気筒エンジンの吸気装置の実施の形態の一例を図1および図2によって詳細に説明する。
【0018】
図1は本発明に係る吸気装置を装着した船外機用エンジンの側面図、図2は船外機用エンジンの吸気装置を示す図で、同図(a)はスロットルボディおよびベーパーセパレータタンクの平面図、同図(b)はスロットルボディのエンジン側から見た正面図である。なお、図2(a)はスロットルボディの吸気通路部分を破断して描いてある。このスロットルボディの断面位置を図2(b)中にII−II線によって示す。
【0019】
これらの図において、符号1は水冷式2サイクルV型6気筒型の船外機用エンジンを示す。このエンジン1は、図1中に矢印Fで示す方向が船外機の前方となように船外機ケーシング(図示せず)に搭載し、全体がカウリング2によって囲まれている。すなわち、このエンジン1は、鉛直方向に支架したクランク軸3に対して船外機後側に左右一対の気筒列4を備えるとともに、船外機前側にクランクケース5を備えている。なお、図1において符号Aで示すものは船体の船尾板、Bはこの船外機を前記船尾板Aに連結する従来周知のクランプ機構を示す。
【0020】
前記クランクケース5の船外機前側には、リード弁装置6、スロットルボディ7および吸気サイレンサ8がこの順に取り付けてある。前記リード弁装置6は、クランクケース5内の気筒毎の吸気通路に臨むリード弁(図示せず)を備えている。前記スロットルボディ7は、図2に示すように、気筒毎の吸気通路9を形成するとともに、スロットル弁10および燃料噴射装置11を吸気通路9毎に設けている。
【0021】
この実施の形態では、1個のスロットルボディ7に全ての気筒の吸気通路9を吸気通路9どうしが上下方向に間隔をおいて一列に並ぶように形成している。また、このスロットルボディ7におけるリード弁装置6との合わせ面には、図2(b)に示すように、吸気通路9の開口と隣接する位置において吸気通路9の並設方向と平行に延びる凹溝12と、この凹溝12と各吸気通路9とを連通する連通溝13とを形成している。すなわち、このスロットルボディ7をリード弁装置6に取り付けることにより、前記凹溝12および連通溝13の開口部分がリード弁装置6によって閉塞され、これらの溝によって各吸気通路9のスロットル弁10より下流側どうしを連通するバランス通路が形成される。
【0022】
前記凹溝12の上部と下部には、スロットルボディ7内に形成した連通路14を介して負圧導出用ニップル15,16が連通している。これらのニップル15,16は、それぞれスロットルボディ7おける船外機右側の側部に取り付けている。なお、スロットルボディ7における船外機左側の側部には、オイル供給用ニップル17を吸気通路9毎に取り付けている。このスロットルボディ7は、前記オイル供給用ニップル17にオイルポンプ(図示せず)からオイルを圧送することによって、オイルが各吸気通路9に噴出する構造になっている。
【0023】
前記吸気通路9毎に設けた計6個の前記スロットル弁10は、スロットルボディ7の船外機右側においてリンク機構(図示せず)を介して互いに連結し、全てのスロットル弁10が同時にかつ同一開度だけ開閉するように構成している。また、吸気通路9にそれぞれ設けた計6個の燃料噴射装置11は、図1に示すようにスロットルボディ7の船外機左側に全て配設し、上下方向に延びる燃料レール18に燃料入口をそれぞれ接続している。
【0024】
前記燃料噴射装置11に燃料を供給する燃料供給装置は、図1に示すように、前記カウリング2内に船体の主燃料タンクCとは別に副燃料タンクとしてのベーパーセパレータタンク19を配設し、燃料を、低圧燃料ポンプDによって前記主燃料タンクCから燃料フィルターEを介してベーパーセパレータタンク19に送り、さらに、ベーパーセパレータタンク19からペーバーセパレータタンク19内の高圧燃料ポンプPによって前記燃料レール18に圧送するように構成している。燃料は、このように燃料レール18に圧送されることにより、燃料噴射時期(燃料噴射装置11の開弁時)に燃料噴射装置11から吸気通路9中に噴射される。
【0025】
前記燃料レール18は、前記燃料を下端に供給し、燃料噴射装置11に流入せずに残った余剰分を上端から後述する差圧式プレッシャーレギュレータ20を介してベーパーセパレータタンク19に戻す構造になっている。すなわち、この燃料供給装置は、ベーパーセパレータタンク19より下流側に燃料レール18を介して燃料を循環させる循環通路を設けている。
前記差圧式プレッシャーレギュレータ20は、燃料噴射装置11に圧送される燃料の圧力を吸気負圧に応じて制御するために設けてあり、前記循環通路における前記ベーパーセパレータタンク19と前記燃料レール18との間に介装している。
【0026】
このプレッシャーレギュレータ20は、従来周知の構造のものを採用し、図1に示すように、ベーパーセパレータタンク19の上部に取り付けてある。そして、このプレッシャーレギュレータ20の基準圧力室(図示せず)は、前記スロットルボディ7の負圧導出用ニップル15に連通管21を介して連通させている。なお、このプレッシャーレギュレータ20は、基準圧力室の圧力が相対的に増減したとき(負圧が増減したとき)に燃料圧力を基準圧力室内の圧力に対して一定に保つ構造になっている。
【0027】
前記ベーパーセパレータタンク19は、内部に燃料を溜めて燃料中の気泡を分離させる構造になっており、図1に示すように、内部の気体を排出するためのガス抜き管22が上部に取り付けてある。このガス抜き管22の一端は、ベーパーセパレータタンク19の上壁にこれを貫通するように形成したガス抜き通路(図示せず)に接続し、他端は、前記プレッシャーレギュレータ20の基準圧力室と前記負圧導出用ニップル15とを連通する連通管21に接続している。
【0028】
前記スロットルボディ7の上流側に取り付けた吸気サイレンサ8は、その内部に各吸気通路9で共通の吸気膨張室23が形成してある。この吸気膨張室23の底部は、吹き返し燃料排出口24が開口させてあり、この吹き返し燃料排出口24に連通する連通管25を介して前記スロットルボディ7の下部の負圧導出用ニップル16に連通させている。
【0029】
上述したように構成した吸気装置は、エンジン1を運転している状態ではスロットルボディ7内の吸気通路9間で凹溝12および連通溝13からなるバランス通路を介して吸気が流動する。このとき、吸気負圧が相対的に小さい吸気通路9から相対的に大きい吸気通路9へ吸気が流動する。そして、各吸気通路9での負圧を平均した圧力の負圧が、バランス通路から連通路14→負圧導出用ニップル15→連通管21という負圧導出系を通ってプレッシャーレギュレータ20の基準圧力室に作用する。
【0030】
したがって、プレッシャーレギュレータ20によって制御される燃料の圧力は、吸気通路9の負圧がピストンの移動に起因して増減しても一定になる。このため、スロットル弁10の開度が各吸気通路9で同じであれば、吸気通路9毎に設けた燃料噴射装置11での燃料噴射量が等しくなる。
【0031】
また、前記負圧は、前記バランス通路から連通路14→負圧導出用ニップル15→連通管21→ガス抜き管22という負圧導出系を通ってベーパーセパレータタンク19のガス抜き通路に作用するから、このガス抜き通路に全ての吸気通路9の負圧を平均した圧力の負圧が作用する。
【0032】
したがって、吸気通路9の負圧がピストンの移動に起因して増減しても、スロットル弁開度が一定であればベーパーセパレータタンク19内の気室には一定の負圧が作用する。しかも、ベーパーセパレータタンク19内の気室から吸気系に吸引される燃料の気化分を含む気体は、バランス通路によって全ての吸気通路9に均等に分配される。
【0033】
さらに、前記負圧は、前記バランス通路から連通路14→負圧導出用ニップル16→連通管25→吸気サイレンサ8の吹き返し燃料排出口24という負圧導出系を通って吸気サイレンサ8内の吸気膨張室23に作用する。
したがって、吸気系に吹き返し現象が生じて吸気膨張室23に吹き込んだ燃料は、吹き返し燃料排出口24からバランス通路を介して全ての吸気通路9に均等に分配される。
【0034】
この実施の形態で示したように、1個のスロットルボディ7に全ての吸気通路9を形成して溝(凹溝12および連通溝13)によりバランス通路を構成する形態を採ると、管体を用いて各吸気通路を連通させる場合に較べて部品点数が少なくてよい。しかも、バランス通路は溝によって構成できるので、バランス通路形状を寸法にて確実に管理でき、スロットルボディ9を鋳造によって成形するときに同時に形成できる。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る船外機用多気筒エンジンの吸気装置は、船外機カウリング内にベーパーセパレータタンクとともに収容される多気筒エンジンの気筒毎の吸気通路を、このエンジンに取付けられたリード弁装置と、このリード弁装置の上流側に取付けられたスロットルボディとによって形成し、これらの気筒毎の吸気通路に、スロットル弁と、燃料圧力が差圧式プレッシャーレギュレータにより制御される燃料噴射装置とがそれぞれ設けられた船外機用多気筒エンジンの吸気装置であって、前記スロットルボディに全ての気筒の吸気通路を吸気通路どうしが上下方向に間隔をおいて一列に並ぶように形成し、このスロットルボディにおけるリード弁装置との合わせ面に、吸気通路の開口と隣接する位置において吸気通路の並設方向と平行に延びる凹溝と、この凹溝と各吸気通路とを連通する凹溝とを形成することにより、吸気通路のスロットル弁より下流側どうしを前記両凹溝によって互いに連通するバランス通路をスロットルボディに一体に設け、このバランス通路を、前記差圧式プレッシャーレギュレータの基準圧力室と、前記ベーパーセパレータタンクのガス抜き通路とにそれぞれ連通させ、前記吸気通路におけるスロットル弁より上流側を、全ての吸気通路に共通の吸気膨張室に連通させ、この吸気膨張室の底部に吹き返し燃料排出口を開口させてこの吹き返し燃料排出口を前記バランス通路に連通させたため、プレッシャーレギュレータの基準圧力室に全ての吸気通路の負圧を平均した圧力の負圧が作用する。
【0037】
したがって、スロットル弁開度が各吸気通路で同じであれば吸気通路毎の燃料噴射装置の燃料噴射量は等しくなるから、燃料噴射量の精度を高めることができる。
【0038】
本発明に係る船外機用多気筒エンジンの吸気装置は、燃料タンクのガス抜き通路に全ての吸気通路の負圧を平均した圧力の負圧が作用する。
【0039】
したがって、エンジン運転中は燃料タンクに吸気通路の負圧が常に作用し、燃料タンク内の気体を確実に吸気通路に排出できる。
また、前記気体はバランス通路によって全ての吸気通路に分配されるから、空燃比が全ての吸気通路において一致するようになる。
【0040】
本発明に係る船外機用多気筒エンジンの吸気装置は、吸気系に吹き返し現象が生じて吸気膨張室に吹き込んだ燃料は、吹き返し燃料排出口からバランス通路を介して全ての吸気通路に均等に分配され、各吸気通路に吸引される。
【0041】
したがって、空燃比が全ての吸気通路において一致するように、吸気膨張室から燃料を吸気通路に戻すことができる。
【0042】
本発明に係る船外機用多気筒エンジンの吸気装置は、部品点数の増加がない上に確実に寸法管理され、吸気負圧を各気筒均一に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る吸気装置を装着した船外機用エンジンの側面図である。
【図2】船外機用エンジンの吸気装置を示す図である。
【符号の説明】
1…エンジン、5…クランクケース、6…リード弁装置、7…スロットルボディ、8…吸気サイレンサ、9…吸気通路、10…スロットル弁、11…燃料噴射装置、12…凹溝、13…連通溝、14…連通路、15,16…負圧導出用ニップル、19…ベーパーセパレータタンク、20…プレッシャーレギュレータ、21…連通管、22…ガス抜き管、23…吸気膨張室、24…吹き返し燃料排出口、25…連通管。
Claims (1)
- 船外機カウリング内にベーパーセパレータタンクとともに収容される多気筒エンジンの気筒毎の吸気通路を、このエンジンに取付けられたリード弁装置と、このリード弁装置の上流側に取付けられたスロットルボディとによって形成し、これらの気筒毎の吸気通路に、スロットル弁と、燃料圧力が差圧式プレッシャーレギュレータにより制御される燃料噴射装置とがそれぞれ設けられた船外機用多気筒エンジンの吸気装置であって、前記スロットルボディに全ての気筒の吸気通路を吸気通路どうしが上下方向に間隔をおいて一列に並ぶように形成し、このスロットルボディにおけるリード弁装置との合わせ面に、吸気通路の開口と隣接する位置において吸気通路の並設方向と平行に延びる凹溝と、この凹溝と各吸気通路とを連通する凹溝とを形成することにより、吸気通路のスロットル弁より下流側どうしを前記両凹溝によって互いに連通するバランス通路をスロットルボディに一体に設け、このバランス通路を、前記差圧式プレッシャーレギュレータの基準圧力室と、前記ベーパーセパレータタンクのガス抜き通路とにそれぞれ連通させ、前記吸気通路におけるスロットル弁より上流側を、全ての吸気通路に共通の吸気膨張室に連通させ、この吸気膨張室の底部に吹き返し燃料排出口を開口させてこの吹き返し燃料排出口を前記バランス通路に連通させたことを特徴とする船外機用エンジンの吸気装置。
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