JP3602927B2 - 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物、その成形品及び車両用ドアハンドル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、充填剤で補強された芳香族ポリカーボネート樹脂及び熱可塑性芳香族ポリエステル樹脂からなる樹脂組成物及びこれからなる成形品に関する。更に詳しくは剛性、耐薬品性、衝撃強度に優れた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物及びこれからなる表面光沢度及び色調に優れた成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
芳香族ポリカーボネート樹脂及び熱可塑性芳香族ポリエステル樹脂組成物は、優れた機械特性、耐薬品性及び熱的性質を有しているため各種工業分野に幅広く使用されている。
【0003】
該樹脂組成物の剛性を改良するために、ガラス繊維等の繊維状充填剤を配合する方法(特開昭54−94556号、特開平6−49344号)が提案されている。しかしながら、ガラス繊維やカーボン繊維等の繊維状充填剤で強化した芳香族ポリカーボネート樹脂及び熱可塑性芳香族ポリエステル樹脂からなる樹脂組成物は剛性、耐薬品性に優れるが衝撃強度が低下し、またガラス繊維等の浮きにより得られる成形品の表面外観も悪くなるという問題もある。
【0004】
また、タルク、マイカ等の鱗片状、板状の無機充填剤を配合する方法(特開昭55−129444号、特開平5−222283号)が提案されている。これらの充填剤を配合した芳香族ポリカーボネート樹脂及び熱可塑性芳香族ポリエステル樹脂組成物の成形品の表面外観は充填剤の浮きが目立たなく良好である。しかしながら、ガラス繊維、炭素繊維等の繊維状無機充填剤を配合した樹脂組成物と比べるとその補強効果が小さいためにガラス繊維、炭素繊維等を配合した樹脂組成物と同等の剛性を得るためには多量の充填剤を添加しなければならず、そのために表面光沢度が低下するという欠点を有する。更に、補強効果が小さいために耐薬品性、機械的強度についても不十分である。
【0005】
これらを解決するために微細な繊維状無機充填剤であるワラストナイトを配合する方法(特開平7−149948)が提案されている。ワラストナイトを配合した樹脂組成物は、タルク、マイカ等の鱗片状、板状の無機充填剤を配合した場合と同様に成形品の表面外観は良好である。しかしながら、該樹脂組成物に使用するワラストナイトはL/Dが6以下であり、タルク、マイカ等に比べるとその補強効果は認められるがそれでもまだ不十分であり、タルク、マイカ等と同様にガラス繊維、炭素繊維等を配合した樹脂組成物と同等の剛性を得るために多量の充填剤を添加すると表面光沢度が低下する。また、耐薬品性及び機械的強度についても十分とはいい難いものである。
【0006】
そこで剛性及び耐薬品性、衝撃強度等の機械的特性に優れるとともに表面外観及び表面光沢度に優れた成形品を与える芳香族ポリカーボネート樹脂及び熱可塑性芳香族ポリエステル樹脂からなる樹脂組成物が要求されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
自動車分野の用途、特にその外装部品でプラスチックの使用は年々増加傾向にあり、その使用量は全体の約9%とまでいわれている。しかしながらそのほとんどが塗装使用であり、近年の無塗装化の要求の高まりと共に表面外観に加え塗装並の表面光沢度及び色調に優れた材料が必要になる。
【0008】
本発明者らは先に、塗装に適した樹脂組成物として特願平7−159191及び特願平7−159192を提案した。該樹脂組成物は、剛性、耐薬品性等の機械的特性及び表面外観に優れているため、塗装用途として重用されている。しかしながら、無塗装用途では表面光沢、色調が良好な特性が要求されるようになってきた。
【0009】
本発明の課題は、成形品の表面光沢度、色調が良好であり、更に剛性、耐薬品性等の機械的特性に優れる、充填剤にて補強された無塗装で有利に使用できる成形品を与える芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0010】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、芳香族ポリカーボネート樹脂及び特定量の熱可塑性芳香族ポリエステル樹脂からなる組成物に特定のワラストナイト及びオレフィン系ワックス及び特定の衝撃改質剤及び紫外線吸収剤を配合することにより剛性、耐薬品性、衝撃強度に優れ且つこれからなる成形品は塗装並の高光沢度及び色調に優れることを見出し本発明に到達した。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(A1)芳香族ポリカーボネート樹脂65〜45重量%及び(A2)熱可塑性芳香族ポリエステル樹脂35〜55重量%からなる樹脂組成物100重量部に(B)ワラストナイト1〜7重量部及び(C)カルボキシル基及び/又はカルボン酸無水物基を含有するオレフィン系ワックス0.1〜7重量部及び(D)ブタジエン由来の繰り返し単位を含有するゴムの存在下で、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル及び芳香族ビニル化合物よりなる群から選ばれた2種以上のモノマーを共重合して得られる弾性共重合体1〜30重量部及び(E)紫外線吸収剤0.05〜5重量部を配合してなる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物及びこの樹脂組成物から成形して得られる成形品に係るものである。
【0012】
本発明の(A1)成分として使用する芳香族ポリカーボネート樹脂は、二価フェノールより誘導される粘度平均分子量が10,000〜50,000、好ましくは15,000〜40,000のものであり、通常二価フェノールとカーボネート前駆体との溶液法あるいは溶融法で反応させて製造される。芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が10,000より低い場合には機械的特性の低下が大きく、50,000を超えると溶融粘度が高くなり成形し難くなるので好ましくない。
【0013】
次にこれらの製造方法について基本的な手段を簡単に説明する。カーボネート前駆体として例えばホスゲンを使用する反応では、通常酸結合剤及び溶媒の存在下に反応を行う。酸結合剤としては例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物またはピリジン等のアミノ化合物が用いられる。溶媒としては例えば塩化メチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。また反応促進のために例えば第三級アミンまたは第四級アンモニウム塩等の触媒を用いることもできる。その際、反応温度は通常0〜40℃であり、反応時間は数分〜5時間である。
【0014】
カーボネート前駆物質として炭酸ジエステルを用いるエステル交換反応は、不活性ガス雰囲気下所定の芳香族ジヒドロキシ成分を炭酸ジエステルと加熱しながら撹拌して、生成するアルコール又はフェノール類を留出させる方法により行われる。反応温度は生成するアルコール又はフェノール類の沸点等により異なるが、通常120〜300℃の範囲である。反応はその初期から減圧にして生成するアルコール又はフェノール類を留出させながら反応を完結させる。また反応を促進するために通常エステル交換反応に使用される触媒を使用することもできる。前記エステル交換反応に使用される炭酸ジエステルとしては、例えばジフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート等が挙げられる。これらのうち特にジフェニルカーボネートが好ましい。ここで使用する二価フェノールとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[通常ビスフェノールA]を対象とするが、その一部又は全部を他の二価フェノールで置換えてもよい。他の二価フェノールとしては、例えばビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフォン等が挙げられる。また、カーボネート前駆体としてはカルボニルハライド、カルボニルエステル又はハロホルメート等が挙げられ、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネート、二価フェノールのジハロホルメート及びこれらの混合物である。上記の反応に際し、必要に応じて、分子量調整剤、分岐剤、反応を促進するための触媒等が使用される。かくして得られた芳香族ポリカーボネート樹脂の二種以上を混合しても差し支えない。
【0015】
(A2)成分として使用する熱可塑性芳香族ポリエステル樹脂はジカルボン酸あるいはその誘導体と、グリコールあるいはその誘導体とから重縮合反応により得られる樹脂で、ジカルボン酸またはグリコールのいずれか又は両方が芳香族基を有するものである。
【0016】
ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2,5−ジクロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、4,4−スチルベンジカルボン酸、4,4−ビフェニルジカルボン酸、オルトフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ビス安息香酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4−ジフェニルエ−テルジカルボン酸、4,4−ジフェノキシエタンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドセカン二酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などを単独でも、二種類以上混合しても用いることができる。これらの化合物の中では、テレフタル酸、イソフタル酸の単独あるいはこれらの混合物が好ましい。
【0017】
グリコールとしては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、トランス−又はシス−2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、デカメチレングリコール、シクロヘキサンジオール、p−キシレンジオール、ビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2−ヒドロキシエチルエーテル)などが単独でも、二種以上を混合しても用いることができる。これらの中ではエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ビスフェノールAが特に好ましい。
【0018】
本発明で使用する該熱可塑性芳香族ポリエステルの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリ(エチレンテレフタレート/シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)共重合体、ポリ(エチレンテレフタレート/エチレンイソフタレート)共重合体、ポリ(ブチレンテレフタレート/ブチレンドデカジオエート)ポリエステルエーテル共重合体等を挙げることができ、これらの熱可塑性芳香族ポリエステルを単独あるいは二種以上混合して使用してもよい。これらの熱可塑性芳香族ポリエステル樹脂の中で、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレートを単独あるいは二種以上混合して使用するのが好ましい。
【0019】
(B)成分として使用するワラストナイトは、針状結晶をもつ天然白色鉱物(カルシウムメタシリケート)であり、化学式CaSiO3 で表され、通常SiO2 が50重量%、CaOが47重量%、その他Fe2 O3 、Al2 O3 等を含有しており、比重は約2.9である。本発明において用いるワラストナイトとしては、粒子径分布3μm以上が75%以上、10μm以上が5%以下で且つアスペクト比L/Dが8〜50であるものが好ましい。粒子径分布3μm以上が75%未満では、補強効果が不十分になり易く、剛性が不十分になり易い。また10μm以上が5%を超えると衝撃強度が低下し易く、また得られる成形品の表面外観が悪化するようになるので好ましくない。アスペクト比が8未満では、補強効果が不十分になり易く剛性が低下するようになり、アスペクト比が50を超えると、得られる成形品の外観が悪化するようになるので好ましくない。またこのワラストナイトには、通常の表面処理剤、例えばシラン系カップリング剤やチタネート系カップリング剤等のカップリング剤で表面処理を施しても差し支えない。ここでいう粒子径分布とは、ワラストナイト5gを10%ヘキサメタ燐酸ソーダ5mlとともに250mlメスシリンダーに加えた後、純水を250mlまで加え、よく分散させた懸濁液を任意の吸引時間(t)、任意の吸引位置(h)で10mlホールピペットにより吸引し、吸引した懸濁液を蒸発皿に移し、蒸発乾固した重量(w)を下記式[1]に代入して求めたものである。
【0020】
【数1】
【0021】
(但し、分散剤重量はヘキサメタ燐酸ソーダの重量で0.02g)
粒子径(d)は、任意の吸引時間(t)、任意の吸引位置(h)、ワラストナイトの真比重(ρP )を下記式[2]に代入して求めたものである。
【0022】
【数2】
【0023】
この測定法は、アンドレアゼンピペット法に準ずるものである。
またアスペクト比L/Dとは、ワラストナイトを走査型電子顕微鏡で1,000倍の写真を撮影し、写真中の100個のワラストナイト繊維の平均繊維長(L)と平均繊維径(D)との比で表されるものである。
【0024】
(C)成分として使用するカルボキシル基及び/又はカルボン酸無水物基を含有するオレフィン系ワックスとは、オレフィン系ワックスを特殊処理して得られるカルボキシル基及び/又はカルボン酸無水物基をもつワックスである。このワックスを配合することにより、成形加工時のせん断による無機充填剤の破壊を低減させ、本来のアスペクト比を保持する効果が発現するものと考えられる。このカルボキシル基やカルボン酸無水物基は、このオレフィン系ワックスのどの部分に結合してもよくその濃度は特に限定されないが、オレフィン系ワックス1g当り0.1〜6meq/gの範囲が好ましい。0.1meq/gより少なくなると剛性及び耐衝撃性の改良効果が不十分となり、6meq/gより多くなるとオレフィン系ワックス自身の熱安定性が悪化するようになるので好ましくない。
【0025】
かかるオレフィン系ワックスの市販品としては例えばダイヤカルナ−DC30(三菱化成(株)の商品名)、ハイワックス酸処理タイプの2203A、1105A(三井石油化学(株)の商品名)、あるいは酸化パラフィン(日本精蝋(株)の商品名)等が挙げられ、これら単独で又は二種以上の混合物として用いられる。
【0026】
(D)成分として使用する弾性共重合体は、ブタジエン由来の繰り返し単位を含有するゴムの存在下、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルおよび芳香族ビニル化合物よりなる群から選ばれた2種以上のモノマ−を共重合して得られるものである。ブタジエン由来の繰り返し単位を含有するゴムとしては、例えばポリブタジエン、ブタジエン−スチレン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリル酸エステル共重合体などが挙げられる。メタクリル酸エステルとしては、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチルなどを挙げることができる。アクリル酸エステルとしては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチルなどが挙げられる。また、芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、アルコキシスチレン、ハロゲン化スチレン、ジビニルスチレンなどが挙げられる。なかでもブタジエン−メタクリル酸エステル−スチレン共重合体の使用が好ましい。
【0027】
(E)成分として使用される紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ハイドロキノン系、サリチル酸系等が挙げられる。この中でも、ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤の使用が好ましい。
【0028】
その具体例としては、例えば2, 2−メチレンビス(4−(1, 1, 3, 3,−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3, 5−ビス(α, α−ジメチルベンジル)フェノール)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3, 5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3, 5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾールが挙げられ、これらの中2, 2−メチレンビス(4−(1, 1, 3, 3,−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾールが好ましく、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(シーソーブ701:シプロ化成(株)の商品名)が最も好ましい。
【0029】
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は上述の(A1)芳香族ポリカーボネート樹脂成分65〜45重量%、好ましくは60〜50重量%、(A2)熱可塑性芳香族ポリエステル樹脂成分35〜55重量%、好ましくは40〜50重量%からなる樹脂組成物100重量部に対して(B)ワラストナイト成分を1〜7重量部、好ましくは3〜6重量部、(C)カルボキシル基及び/又はカルボン酸無水物基を含有するオレフィン系ワックス成分を0.1〜7重量部好ましくは0.3〜5重量部、(D)弾性共重合体成分を1〜30重量部、好ましくは3〜20重量部、紫外線吸収剤(E)成分を0.05〜5重量部、好ましくは0.1〜3重量部配合してなるものである。
【0030】
(A1)芳香族ポリカーボネート樹脂成分の配合割合が65重量%を超えると表面光沢度が低下するようになり、45重量%未満では衝撃強度等の機械的強度が低下するようになり好ましくない。
【0031】
(B)ワラストナイト成分の配合割合が1重量部未満では、剛性が不十分となり、7重量部を超えると成形品の表面光沢度が低下するようになり好ましくない。
【0032】
(C)カルボキシル基及び/又はカルボン酸無水物基を含有するオレフィン系ワックス成分の配合割合が0.1重量部未満では、組成物中の繊維状無機充填剤が成形加工時に破壊され易く、剛性が不十分となり、7重量部を超えると外観、機械的強度が低下するようになり好ましくない。
【0033】
(D)弾性共重合体成分の配合割合が1重量部未満では衝撃強度の改善が不十分となり、30重量部を超えると剛性、耐薬品性が低下するようになり好ましくない。
【0034】
(E)紫外線吸収剤成分の配合割合が0.05重量部未満では、耐候性の改善効果が少なく、5重量部を超えると機械的強度が低下するようになり好ましくない。
【0035】
本発明の組成物には、所望により他の添加剤、例えば着色剤、メタリック剤、難燃剤、難燃助剤、結晶化核剤、結晶化促進剤、安定剤、酸化防止剤、光安定剤、発泡剤、離型剤、帯電防止剤等を添加してもよい。
【0036】
本発明の樹脂組成物は、各成分をV型ブレンダー、タンブラー、ナウターミキサー等で均一に混合した後、通常の押出機などにて溶融混練し、ペレット化することができる。かくして得られた樹脂組成物は、射出成形、押出成形、圧縮成形等の方法で容易に成形可能であり、またブロー成形、真空成形等にも適用することができる。
【0037】
本発明でいう車両用ドアハンドルとは、自動車ドアーに取付けられたハンドルであって、その具体的な特性としては、衝撃強度10kgf・cm/cm以上、光沢度90%以上、耐候性(サンシャインウエザーメーターにて63℃、雨あり条件下で1000時間処理した前後の成形品の色差(ΔE))2以下が要求される。
【0038】
【実施例】
以下に実施例を挙げて説明する。なお、評価は下記の方法により行った。また、表中でwt部とあるは重量部をwt%とあるは重量%を示す。
【0039】
(1)光沢度:90mm×50mm×2mmの寸法に成形した角板を用い、JIS−K7105に準じ、入射角/受光角60°の条件で測定を行った。
(2)剛性:ASTM D790に従って、23℃及び80℃雰囲気下の曲げ弾性率を測定した。
(3)耐衝撃性:ASTM D256に従って(厚さ1/8″)試験片のノッチ付きアイゾット衝撃強度を測定した。
(4)耐薬品性:ASTM D638で規定する引張り試験片に1%の歪を付加し、30℃のエッソレギュラーガソリンに3分間浸漬した後、引張り強度を測定し保持率を算出した。保持率は下記式により算出した。
【0040】
【数3】
保持率(%)=(処理サンプルの強度/未処理サンプルの強度)×100
(5)外観:90mm×50mm×2mmの寸法に成形した角板の表面外観を目視による判定を行った。尚、充填剤等の浮きが目立たなく表面外観の良好なものを○、それ以外を×とした。
(6)色調:色調をみるために、本樹脂組成物にカーボンブラックを0. 5重量部加え黒色に着色し、90mm×50mm×2mmの寸法に成形した角板の色相をマクベス社製MS2020+を用いて測定を行い、色の深みをL値で表した。尚、L値が28. 5以上になると塗装が必要になる為28以下を合格、28を超えるものを不合格とした。
(7)耐候性:JIS−K5400に準じ、上記で得られた角板をサンシャインウエザーメーター63℃,雨ありの条件下、1000時間前後の色差をΔEで表した。測定機としてマクベス社製MS2020+を使用した。
【0041】
[実施例1、比較例1,2]
表1記載の各成分を表記載の量及び、リン系安定剤(サイクリック ネオペンタンテトライルビス(オクタデシルフォスファイト):旭電化工業(株)製PEP−8)0.1重量部およびカーボンブラック(三菱化学(株)製CB970)0. 5重量部を加え、V型ブレンダーで混合した後、径40mmφのベント式押出機[イスズ化工機(株)製EXT40]によりシリンダー温度270℃でペレット化した。尚、ポリアリレート樹脂を使用する場合は、ポリアリレート樹脂を単独あるいは予め目的とする組成比のポリエチレンテレフタレート樹脂とポリアリレート樹脂を径30mmφの高混練型二軸押出機[日本製鋼所(株)製TEX30HSST]により290℃で押出して、得られたペレットを各成分として使用した。このペレットを120℃で5時間乾燥した後、射出成形機[FANUC(株)製T−150D]でシリンダー温度270℃、金型温度70℃で試験片を作成し、評価した結果を表1に示した。
【0042】
[実施例2〜14、比較例3〜12]
表2〜4記載の各成分を表記載の量及び、リン系安定剤(サイクリック ネオペンタンテトライルビス(オクタデシルフォスファイト):旭電化工業(株)製PEP−8)を0.1重量部加え、V型ブレンダーで混合した後、径40mmφのベント式押出機[イスズ化工機(株)製EXT40]によりシリンダー温度270℃でペレット化した。尚、ポリアリレート樹脂を使用する場合は、ポリアリレート樹脂を単独あるいは予め目的とする組成比のポリエチレンテレフタレート樹脂とポリアリレート樹脂を径30mmφの高混練型二軸押出機[日本製鋼所(株)製TEX30HSST]により290℃で押出して、得られたペレットを各成分として使用した。このペレットを120℃で5時間乾燥した後、射出成形機[FANUC(株)製T−150D]でシリンダー温度270℃、金型温度70℃で試験片を作成し、評価した結果を表2〜4に示した。
【0043】
なお、表1〜4記載の各成分を示す記号は下記の通りである。
(A1)芳香族ポリカーボネート樹脂
ビスフェノールA型ポリカーボネート[パンライトL−1250;帝人化成(株)製、粘度平均分子量25,000](以下PCと称す)
(A2)芳香族ポリエステル樹脂
▲1▼ポリエチレンテレフタレート樹脂[TR−8580;帝人(株)製、固有粘度0.8](以下PETと称す)
▲2▼ポリブチレンテレフタレート樹脂[TRB−H;帝人(株)製、固有粘度1.07](以下PBTと称す)
▲3▼ポリアリレート樹脂[U−100;ユニチカ(株)製](以下PAR−1と称す)
▲4▼ポリエチレンテレフタレート樹脂40重量部とポリアリレート樹脂60重量部を二軸の高混練型二軸押出機(日本製鋼所(株))を用いて290℃で押出して、得られたペレット(以下PAR−2と称す)
(B)繊維状無機充填剤
▲1▼ワラストナイト[NN4;巴工業(株)製、平均径D=4μm、アスペクト比L/D=10](以下Wと称す)
▲2▼ガラス繊維[3PE−941;日東紡(株)製、平均径D=13μm、アスペクト比L/D=230](以下GFと称す)
▲3▼タルク[P−3;日本タルク(株)製、平均粒子径約2.8μm](以下Tと称す)
(C)ワックス
α−オレフィンと無水マレイン酸との共重合によるオレフィン系ワックス [ダイヤカルナ−DC30三菱化成(株)製、無水マレイン酸含有量10重量%](以下WAXと称す)
(D)弾性共重合体
▲1▼MBS樹脂[BTA−712;呉羽化学工業(株)製](以下D−1と称す)
▲2▼エチレン−アクリル酸エチル共重合体[EEA4250;日本石油化学工業(株)製](以下D−2と称す)
▲3▼複合ゴム系グラフト共重合体[メタブレンS−2001;三菱レイヨン(株)製](以下D−3と称す)
(E)紫外線吸収剤
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤[シーソーブUV701;シプロ化成(株)製](以下UV吸収剤と称す)
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】
【表4】
【0048】
【発明の効果】
本発明の樹脂組成物は、成形品とした場合の表面光沢度、色調が良好であり、更には耐薬品性、衝撃強度、剛性等の機械的特性に優れるものであり、塗装用途の自動車分野などの各種工業用途に有用であり、特に自動車のドアハンドルに好適である。
Claims (4)
- (A1)芳香族ポリカーボネート樹脂65〜45重量%及び(A2)熱可塑性芳香族ポリエステル樹脂35〜55重量%からなる樹脂組成物100重量部に(B)ワラストナイト1〜7重量部及び(C)カルボキシル基及び/又はカルボン酸無水物基を含有するオレフィン系ワックス0.1〜7重量部及び(D)ブタジエン由来の繰り返し単位を含有するゴムの存在下で、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル及び芳香族ビニル化合物よりなる群から選ばれた2種以上のモノマーを共重合して得られる弾性共重合体1〜30重量部及び(E)紫外線吸収剤0.05〜5重量部を配合してなる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
- (B)ワラストナイトの粒子径分布が3μm以上が75%以上、10μm以上が5%以下で且つアスペクト比L/Dが8〜50である請求項1記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
- 請求項1又は2記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物から形成された成形品。
- 請求項1又は2記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物から形成された車両用ドアハンドル。
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