JP3601991B2 - 接地用終端接続部 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、送電系統の機器、例えば変圧器の中性点を接地するのに使用する接地用終端接続部に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
例えば、変圧器の中性点が接地されていない場合には、系統の地絡事故時に異常電圧が発生し、変圧器に接続されている電力機器を破壊したり、系統の地絡事故を検出するために必要な保護継電器用の電圧、電流が得られないなどといった問題が生じる。そのために、従来、変圧器の中性点は、中性点接地装置で大地接地電極に接続されている。図２に、従来の中性点接地装置１００の一例を示す。
【０００３】
本例にて、中性点接地装置１００は、ＣＶケーブルなどとされる接地用ケーブル１０１と、接地用ケーブル１０１の一端、即ち、図２にて右側端に形成されたケーブル側接続材料（接続先端部）１１０が装着された油中終端箱１２０と、接地用ケーブル１０１の他端、即ち、図２にて左側端に形成された接地用気中端末１３０とを有する。
【０００４】
ケーブル側接続材料１１０は、段むきされたケーブル１０１に半導電性粘着テープ１１１を巻いた後、通常態様で、ケーブル１０１にスプリング付アルミクリート１１２を取付け、下部銅管１１３、絶縁筒１１４、アダプタ１１５、更には、ストレスコーン（図示せず）などをケーブルシース端部まで引き通して作製される。このケーブル側接続材料１１０は、油中終端箱１２０のがい管１２１内に装着され、油中終端箱１２０より外方へと引き出された導体引出棒１２２は、シールドリング１２３にて囲包され、固定端子１２４にて、リード線を介して変圧器の中性点に接続されたケーブル１２５に固定される。
【０００５】
一方、接地用ケーブル１０１の接地用気中端末１３０は、図３を参照するとよりよく理解されるように、端末処理された接地用ケーブル１０１の先端導体１０２、内部半導電層１０３、絶縁体層１０４、外部半導電層１０５などの外周部に自己融着絶縁テープ１３１が巻き付けられ、更に、その外周部に錫めっき軟銅線編組線１３２が配置される。更に、ケーブル外周には、自己融着絶縁テープ１３３、防水テープ１３４及び粘着ＰＶＣテープ１３５などが巻き付けられ、導体１０２の先端部には圧縮端子１３６が固着接続される。この圧縮端子１３６の取付部１３７には、接地されたリード線１５０（図２）が接続される。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
従来、上記中性点接地装置１００の組立は、図２に示すように、油中終端箱１２０の取付金具１２６を組み立て用架台１２７に固定することにより行われている。又、接地用気中端末１３０及び油中終端箱１２０の組み立て作業は極めて煩雑であり、多大の時間と労力とを必要とし、更なる改良が希求されていた。
【０００７】
従って、本発明の目的は、構造が簡単で且つ組立作業が容易な、中性点接地装置として使用することのできる接地用終端接続部を提供することである。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
上記目的は本発明に係る接地用終端接続部にて達成される。要約すれば、本発明は、機器の中性点を接地するのに使用する接地用終端接続部であって、一端は機器に取付けて機器と電気的に接続可能とされ、他端に端子金具のための挿入口が形成されたブッシングを有し、前記端子金具は、導体とされる接続棒と、該端子金具を前記ブッシングに取付けるためのフランジとを有し、前記ブッシングは、一体に成形された内部導体を備え、前記端子金具の前記接続棒の先端には、前記内部導体の一端に形成した接続孔に嵌合して前記内部導体に電気的に接続するプラグを設け、前記内部導体の他端は前記ブッシングの一端から外部へと突出して機器の中性点に接続され、又前記端子金具の前記フランジより外方へと突出した端部は接地されることを特徴とする接地用終端接続部である。
【００１０】
本発明の他の実施態様によると、前記内部導体は、水平導体部と垂直導体部とを有し、前記端子金具は、前記垂直導体部に形成された前記水平導体部の軸線方向に対して直交する接続孔に電気的に接続される。
【００１１】
本発明の他の実施態様によると、前記ブッシングの外表面には導電塗料を塗布し、前記端子金具の前記フランジに近接した領域には塗布しない。
【００１２】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る接地用終端接続部を図面に則して更に詳しく説明する。
【００１３】
図１に本発明の接地用終端接続部１の一実施例を示す。本実施例にて、接地用終端接続部１は、一端は取付けフランジ６を介して密閉電気機器のケース４０に取付け、機器と電気的に接続可能とされ、他端には端子金具のための挿入口が形成されたブッシング３を有する。
【００１４】
つまり、接地用終端接続部１は、概略Ｌ形形状とされる内部導体２を備え、この内部導体２の周りにはエポキシ樹脂とされるＴ形ブッシング３が一体に成形されている。
【００１５】
内部導体２は、本実施例では、水平導体部２Ａと垂直導体部２Ｂとが一体にて構成され、ブッシング３もこの内部導体２を包囲して水平ブッシング部３Ａと垂直ブッシング部３Ｂとにて形成されている。
【００１６】
水平ブッシング部３Ａに位置された水平導体部２Ａは、その先端部が水平ブッシング部３Ａの一方側より外部へと突出して先端接続導体４を形成する。この先端接続導体４は、密閉電気機器の、例えば変圧器の中性点に接続される。
【００１７】
水平導体部２Ａの前記先端接続導体４とは反対側に、水平導体部２Ａの軸線方向と一致する水平方向に水平導体部２Ａ及び水平ブッシング部３Ａにそれぞれ接続孔５Ａ、５Ｂが穿設され、課電口５を構成する。この課電口５は、先端接続導体４に中性点を介して接続されたケーブル（図示せず）を試験するために耐電圧試験ケーブルの接続材料（先端接続部）を接続するためのものであり、通常、プレモールド絶縁体（絶縁栓）７が装着され、その蓋７Ａがボルト８にてブッシング３の端面に着脱自在に固定されている。課電時には、この絶縁栓７を除去し、課電用ケーブルの接続材料が装着可能とされる。
【００１８】
垂直導体部２Ｂ及び垂直ブッシング部３Ｂには水平導体部２Ａの軸線方向に対して直交する方向にそれぞれ接続孔９、１０、即ち、端子金具挿入口が形成され、この接続孔９、１０を利用して端子金具２０が接続可能とされる。
【００１９】
端子金具２０は、導体とされる接続棒２１を有する。接続棒２１の先端は、前記内部導体２の垂直導体部２Ａに形成された接続孔９に嵌合して内部導体２に電気的に接続するための接続プラグ２２とされ、接続プラグ２２の外周には、環状の溝が形成され、そこに、多数のリボン状の板ばね集合体を環状に配置して構成されるマルチラムバンドのような接触子２３が配置される。
【００２０】
接続棒２１の他端にはねじ山２３が形成され、フランジ２４が螺着される。必要に応じて接続棒２１とフランジ２４の接合部を銀ロー２５などにて溶接して両部材を一体とすることができる。接続棒２１は、更に外方へと延在し、その延長部分の外周面を平行に加工することにより取付け部２６を形成し、この取付け部２６に、接地母線が接続される。
【００２１】
上記構成の端子金具２０は、フランジ２４を垂直ブッシング３Ｂの下方端面にボルト３０により取付けることにより、接地用終端接続部１に固着される。フランジ２４と、垂直ブッシング３Ｂの端面との間にはＯリング３１を配置する。又、端子金具２０の接続棒２１及びフランジ２４は、例えば銅或いは銅合金にて作製に、その表面には錫めっきを施すのが好ましい。
【００２２】
又、本発明の接地用終端接続部１にて、上記エポキシ樹脂とされるＴ形ブッシング３の外表面には、導電塗料５０が塗布されるが、垂直ブッシング３Ｂの端面から所定の距離（Ｈ）、例えば６ｃｍの領域には塗布せず、縁切りとしての機能をエポキシ樹脂製ブッシングに担わせることができる。これにより、本発明では、垂直ブッシング３Ｂに直接フランジ２４を取付けることができ、従来必要とされた絶縁筒１１４（図２）などの設置を不要とすることができる。
【００２３】
このように、本発明の構成によれば、従来必要とされた接地用気中端末１３０及び油中終端箱１２０を必要とせず、従って、従来の接地用気中端末及び油中終端箱を備えた中性点接地装置１００の構成に比較するとその構造は大幅に簡易なものとされる。そのために、本発明では、中性点接地装置としての接地用終端接続部の組み立て作業が極めて簡単であり、組み立て用架台１２７などの使用は必要とされない。
【００２４】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の接地用終端接続部は、機器の中性点を接地するのに使用する接地用終端接続部であって、一端は機器に取付けて機器と電気的に接続可能とされ、他端に端子金具のための挿入口が形成されたブッシングを有し、端子金具は、導体とされる接続棒と、端子金具をブッシングに取付けるためのフランジとを有し、ブッシングは、一体に成形された内部導体を備え、端子金具の接続棒の先端には、内部導体の一端に形成した接続孔に嵌合して内部導体に電気的に接続するプラグを設け、内部導体の他端はブッシングの一端から外部へと突出して機器の中性点に接続され、又端子金具のフランジより外方へと突出した端部は接地される構成とされるので、構造が大幅に簡易なものとなり、従って、中性点接地装置としての接地用終端接続部を組み立てるのに、組み立て用架台の使用を必要とすることもなく、組み立て作業を極めて簡単に行うことができる、といった効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係る接地用終端接続部の一実施例の断面図である。
【図２】従来の中性点接地装置の概略構成図である。
【図３】従来の中性点接地装置の接地用気中端末の概略構成図である。
【符号の説明】
１ 接地用終端接続部
２ 内部導体
３ ブッシング
２０ 端子金具
２１ 接続棒
２２ 接続プラグ
２３ 接触子（マルチラムバンド）
２４ フランジ
２６ リード線取付け部

Claims (3)

1. 機器の中性点を接地するのに使用する接地用終端接続部であって、
   一端は機器に取付けて機器と電気的に接続可能とされ、他端に端子金具のための挿入口が形成されたブッシングを有し、
   前記端子金具は、導体とされる接続棒と、該端子金具を前記ブッシングに取付けるためのフランジとを有し、
   前記ブッシングは、一体に成形された内部導体を備え、
   前記端子金具の前記接続棒の先端には、前記内部導体の一端に形成した接続孔に嵌合して前記内部導体に電気的に接続するプラグを設け、
   前記内部導体の他端は前記ブッシングの一端から外部へと突出して機器の中性点に接続され、
   又前記端子金具の前記フランジより外方へと突出した端部は接地されることを特徴とする接地用終端接続部。
2. 前記内部導体は、水平導体部と垂直導体部とを有し、前記端子金具は、前記垂直導体部に形成された前記水平導体部の軸線方向に対して直交する接続孔に電気的に接続されることを特徴とする請求項１の接地用終端接続部。
3. 前記ブッシングの外表面には導電塗料を塗布し、前記端子金具の前記フランジに近接した領域には塗布しないことを特徴とする請求項１又は２の接地用終端接続部。

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