JP3601869B2 - 機械翻訳システム - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は機械翻訳システムに関し、例えば、複数の計算機(情報処理装置)がLAN等の高速ネットワークによって結合された分散計算機環境において機械翻訳を実行し得るシステムに適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
単語の情報を保持した辞書と、入力文の構文解析及び訳文の生成を行なう文法知識とを用いて、原文を目的言語の文に翻訳する機械翻訳装置の構成方法が既に提案されている(特公平3−51020号公報)。
【0003】
自然言語の曖昧さのために、機械翻訳装置が出力する訳文は、そのまま使用できない場合がある。そのような場合は通常人手による後編集作業を行なって最終的な訳文を生成する。又は、機械翻訳装置に備わっているユーザ毎の辞書に単語を登録する機能(ユーザ辞書機能)を用いて、単語を登録してから再度機械翻訳を行なう。実際上、これらの二つの翻訳品質向上作業を併用することが多い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、翻訳しようとする文章が大量である場合には、その異なる部分の文章を複数の人に割り当て、各人がそれぞれ機械翻訳装置を使って、割り当てられた文章を翻訳することが行なわれることがある。例えば、装置の操作マニュアル等の1冊の本を翻訳する場合には、複数の人が割当て頁の文章の翻訳を担当する。このように翻訳対象が大量な文章の場合、その中に同一の文章が含まれていることが多く、その存在する位置によっては異なる者が翻訳を担当する。それぞれの者は、同一文章が他の者に割当てられている複数の文章中に存在することを認識できないことが多い。このような作業環境下においては、以下の課題がある。
【0005】
(1) 同一文章を複数の人が機械翻訳装置を使用して別個に翻訳しており、翻訳作業が重複していて全体として作業に無駄がある。
【0006】
(2) 同一文章に対する機械翻訳装置による翻訳結果が、作業者別のユーザ辞書登録機能のために異なったり、同一翻訳結果が出力されても作業者毎の後編集によって最終的な翻訳結果が異なったりし、同一の翻訳結果が得られないことが生じる。
【0007】
仮に一人の者が担当する文章中に同一文章が複数回出現したとしても、機械翻訳装置に同一文章を発見する手段がなく、作業者の記憶に同一文章の発見を委ねているため、翻訳が重複することに伴う上記(1) の作業効率の課題や、翻訳毎の作業者の意識の違いによる上記(2) の翻訳結果のばらつきの課題が生じることもある。
【0008】
また、既に機械翻訳された本が改訂された場合にも、再度翻訳が実行されるが、このような場合、大半の文章は、過去に翻訳された文章である。この場合、機械翻訳装置が同一文章を発見する手段を持たないので、作業者が改訂された前後の本を比較して翻訳が必要な文章を認識するか、又は、全文翻訳を実行し直す。後者の場合には、上記(1) の作業効率の課題や、上記(2) の翻訳結果のばらつきの課題が生じる。
【0009】
そこで、翻訳対象の多大な文章中に存在する複数の同一文章に対する同一の翻訳結果を効率的に得られる機械翻訳システムが望まれている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため、本発明においては、1又は2以上の機械翻訳装置と、これら機械翻訳装置に共通に設けられた対訳データベース装置とを通信ネットワークに接続した機械翻訳システムを構成している。
【0011】
そして、各機械翻訳装置には、(i) 少なくとも原文を含む入力を取り込む入力手段と、(ii)入力手段が取り込んだ入力に対する対訳が対訳データベース装置に格納されているかの検索指示を対訳データベース装置に与えると共に、対訳データベース装置からの検索結果を受信して、入力された原文の翻訳の必要性を判定する対訳検索依頼手段と、(iii) 入力された原文を翻訳する翻訳手段と、(iv)入力された原文及び入力された訳文でなる対訳情報、又は、入力された原文及びそれを翻訳手段が翻訳した訳文でなる対訳情報を含む更新指示を対訳データベース装置に与える対訳更新依頼手段と、(v) 対訳データベース装置からの検索結果に応じて、入力された原文に対する訳文として、検索結果に含められている訳文又は翻訳手段で翻訳された訳文を出力する出力手段とを設けている。
【0012】
また、対訳データベース装置には、(vi)対訳を格納している対訳データベースと、(vii)いずれかの機械翻訳装置からの検索指示に応じて、その機械翻訳装置の入力手段が取り込んだ入力に対する対訳が対訳データベースに格納されているかを検索して検索結果を返信すると共に、いずれかの機械翻訳装置からの更新指示に応じて、対訳データベースを更新させる対訳データベース管理手段とを設けている。
ここで、入力にユーザ辞書情報を含めると共に、対訳データベースに格納する対訳にもユーザ辞書情報を含めている。対訳データベース管理手段は、検索指示に応じて検索した場合において、入力手段が取り込んだ原文又は対訳と、原文及び訳文の組み合わせが合致する対訳が対訳データベースにあっても、ユーザ辞書情報が異なる場合には、対応する対訳が記対訳データベースに存在しないことを返信する。
【0013】
【作用】
本発明の機械翻訳システムにおいては、対訳を格納している対訳データベースと、検索指示に応じて対訳データベースを検索すると共に、更新指示に応じて対訳データベースを更新する対訳データベース管理手段とを有する対訳データベース装置を、通信ネットワークを介して1又は2以上の機械翻訳装置に接続している。
【0014】
機械翻訳装置に入力がなされた場合には、対訳検索依頼手段が対訳データベース装置に検索を実行させることにより、過去に同じ翻訳が実行されたか否かや、実行されている場合にはその訳文を取り出すことができる。また、検索結果に基づいて、必要ならば、対訳更新依頼手段が対訳データベース装置に対訳の更新を実行させることができる。
【0015】
従って、同一文章の重複翻訳という無駄を避けることができると共に、同一文章に対しては同一の訳文をユーザに早期に提示できるようになる。
【0016】
【実施例】
(A)第1実施例
以下、本発明による機械翻訳システムの第1実施例を図面を参照しながら詳述する。ここで、図1は、第1実施例の機械翻訳システムの構成を示す機能ブロック図である。
【0017】
図1において、この機械翻訳システムは、1又は2以上の機械翻訳装置17と、対訳データベース装置21とがLAN等のネットワーク22に接続されて構成されている。
【0018】
ここで、機械翻訳装置17や対訳データベース装置21はそれぞれ、ワークステーションやパーソナルコンピュータ等の通信機能を有する情報処理装置で構成されており、機能的には、図1に示す構成を有する。なお、対訳データベース装置21は、いずれかの機械翻訳装置17と同一の情報処理装置上に構成されていても良い。
【0019】
機械翻訳装置17は、入力手段11、対訳データベース検索手段(図1では対訳DB検索手段で表している)12、翻訳手段13、対訳データベース更新手段(図1では対訳DB更新手段で表している)14、出力手段15及び通信手段16から構成されている。
【0020】
一方、対訳データベース装置21は、通信手段18、対訳データベース管理手段(図1では対訳DB管理手段で表している)19及び対訳データベース(図1では対訳DBで表している)20から構成されている。
【0021】
以下、機械翻訳装置17の各構成要素11、…、16の機能について、順次説明する。
【0022】
入力手段11は、当該機械翻訳装置17に対する入力を取込んで処理するものである。なお、入力はその時点でキー入力されたものであっても良く、ファイルとして既に格納されているものであっても良い。
【0023】
ここでは、説明の簡単化のために、ユーザからの入力は、動作モード、ユーザ辞書情報及び文章とする。なお、動作モードとしては、入力文章を翻訳して翻訳結果をそのまま出力する通常の動作モードである「通常動作モード」と、原文及び訳文でなる対訳を必要に応じて対訳データベース20に登録させたり入力文章に対応する対訳が対訳データベース20に既に存在するかを検索したりする「用例翻訳モード」の二つがある。また、入力文章は、原文だけの場合と、原文及び訳文すなわち対訳の場合とがある。ユーザ辞書情報は、ユーザ辞書名及びユーザ辞書版数でなり、以下では、ユーザ辞書IDと呼ぶ。
【0024】
対訳データベース検索手段12は、入力文章の原文をキーとした対訳データベース20の検索コマンドを生成し、通信手段16を介してその検索コマンドを対訳データベース装置20に送信し、その検索結果の返信を受信して入力原文の翻訳の必要性等を判定するものである。
【0025】
ここで、検索コマンドは、入力文章が対訳の場合には、対訳とユーザ辞書IDとを含んでおり、入力文章が原文の場合には、原文とユーザ辞書IDとを含んでいる。なお、ユーザ辞書IDが同じユーザ辞書は、同じユーザ辞書であることが保証されているとする。
【0026】
また、対訳データベース検索手段12は、返信されてきた検索結果を通信手段16を介して受け取り、検索結果の内容に応じて、以下の処理を行なうものである。すなわち、検索結果として翻訳結果(訳文)を受信したときは、出力手段15を介してユーザに翻訳結果を提示する。また、検索結果として「データなし」を受信したときは、翻訳手段13を起動して原文を翻訳させる。
【0027】
翻訳手段13は、入力手段11又は対訳データベース検索手段12から翻訳が指示された場合に、入力手段11が取込んだ原文を翻訳するものである。また、少なくとも訳文(訳文及び原文の組であっても良い)を出力手段15に与えてユーザに提示させるものである。さらに、所定の場合には、原文及び訳文、すなわち、対訳を対訳データベース更新手段14に与えるものである。
【0028】
対訳データベース更新手段14は、原文と訳文とユーザ辞書IDを含む、対訳データベース20の更新コマンドを生成し、通信手段16を介してその更新コマンドを対訳データベース装置20に送信し、その「登録完了」の返信を待つものである。対訳データベース更新手段14は、「登録完了」を受信したときには、出力手段15を起動する。
【0029】
出力手段15は、上述のように、対訳データベース検索手段12又は対訳データベース更新手段14の制御下で、少なくとも訳文(訳文及び原文の組でも良い)をユーザに提示するものである。
【0030】
通信手段16は、対訳データベース検索手段12からの検索コマンドを対訳データベース装置21に送信し、返信されてきた検索結果を受信して対訳データベース検索手段12に与えるものである。また、通信手段16は、対訳データベース更新手段14からの更新コマンドを対訳データベース装置21に送信し、返信されてきた更新結果(「登録完了」)を受信して対訳データベース更新手段12に与えるものである。
【0031】
この通信手段16は、対訳データベース装置21の通信手段18との協働により、ネットワーク22を介した接続リンクの確立、切断も当然実行するものである。
【0032】
以上のような各部からなる機械翻訳装置17が適宜アクセスする共通の対訳データベース装置21は、同一文章の重複翻訳を避けたり、同一文章の統一された翻訳結果(訳文)を得たりする目的で設置されている。
【0033】
以下、対訳データベース装置21の各構成要素18、…、20の機能について、順次説明する。
【0034】
通信手段18は、ネットワーク22を介して検索コマンドを受信すると、対訳データベース管理手段19に与え、対訳データベース管理手段19から検索結果が与えられると、機械翻訳装置17に向けてその検索結果を送信するものである。また、通信手段18は、ネットワーク22を介して更新コマンドを受信すると、対訳データベース管理手段19に与え、対訳データベース管理手段19から更新結果が与えられると、機械翻訳装置17に向けてその検索結果を送信するものである。
【0035】
対訳データベース20は、原文データベース20a、対訳管理データベース20b及び訳文データベース20cからなる。
【0036】
原文データベース20aは、原文と原文識別情報(以下、原文IDと呼ぶ)との対を複数対格納している。図2は、原文データベース20aの構造の一例を示すものであり、木構造を示している。図2に示す部分は、3個の原文「”cat” isa command name. 」、「”cat” concatenates argument files and output them to standard output. 」、「with option −n, it adds the line number to the output data. 」を示しており、それぞれ原文IDとして「001」、「002」、「003」が付与されていることを示している。
【0037】
このような木構造の場合、最初の2個の原文で共通する先頭側の単語部分、すなわち「”cat” 」は同じ枝になっており、これら原文を単独で格納している場合に比べて、検索を高速に実行させることができる。「”cat” is a command name.」が原文データベース20aに存在するかを検索すると、「始」から木の枝を「終」(91)までたどることで存在を確認でき、さらにその下に格納されているデータ「001」(94)までたどることでその原文IDが「001」であることが分かる。
【0038】
訳文データベース20cは、図3に示すように、訳文と訳文識別情報(以下、訳文IDと呼ぶ)との対を複数対格納している。図3では、訳文データベース20cの構造をテーブル構造的に表記しているが、原文データベース20cと同様に、高速検索を考慮して木構造とすることが好ましい。
【0039】
対訳管理データベース20bは、原文ID、訳文ID、訳文時刻印及びユーザ辞書IDでなる組(レコード)を複数組格納している。図4は、対訳データベース20bの構造の一例を示すものであり、テーブル構造のものを示している。訳文時刻印は、対訳データベース装置21に入力された入力単位毎に付けられる識別子である。ユーザ辞書IDは、上述したように、入力されたユーザ辞書名とその版数とを並べたものである。ユーザ辞書が指定されていない場合には、そのことを表すデータ、例えば「none」が挿入される。
【0040】
対訳データベース管理手段19は、基本的には、通信手段18から与えられた検索コマンド又は更新コマンドに応じて、対訳データベース20をアクセスし、その検索結果又は更新結果を、通信手段18から機械翻訳装置17に向けて送信させるものである。
【0041】
対訳データベース管理手段19は、検索コマンドが与えられた場合には、対訳データベース20がロック状態されていないことを確認後に、基本的には、原文データベース20a、対訳管理データベース20b、訳文データベース20cの順に検索するものである。すなわち、原文データベース20aを検索し、原文が存在するならば、得られた原文IDをキーとして対訳管理データベース20bを検索し、同一ユーザ辞書IDを有する訳文が存在するならば、得られた訳文IDをキーとして訳文データベース20cを検索する。
【0042】
この検索は、過去に翻訳された原文に係る対訳が対訳データベース20に存在するか否かを確認するために実行される。言い換えると、今回の入力に対して、新たに翻訳することが必要か否かを判定できるようにするために実行される。
【0043】
対訳データベース管理手段19は、検索された結果に応じて、以下のいずれかの処理を行なう。
【0044】
(1) 原文が入力された場合及び対訳が入力された場合のいずれであろうと、入力された原文が原文データベース20aに存在しないときには、「データなし」を通信手段18を介して検索要求元の機械翻訳装置17に返信する。
【0045】
(2) 原文が入力された場合において、入力された原文が原文データベース20aに存在し、かつ、入力されたユーザ辞書IDと一致するユーザ辞書IDを有するその原文に係る対訳管理データが存在するときには、訳文IDをもとに訳文データベース20cを検索し、訳文時刻印が最新の訳文を翻訳結果として通信手段18を介して検索要求元の機械翻訳装置17に返信する。
【0046】
(3) 原文が入力された場合において、入力された原文が原文データベース20aに存在し、かつ、入力されたユーザ辞書IDに一致するユーザ辞書IDを有するその原文に係る対訳管理データが存在しないときには、「データなし」を通信手段18を介して検索要求元の機械翻訳装置17に返信する。
【0047】
(4) 対訳が入力された場合において、入力された原文が原文データベース20aに存在し、かつ、入力されたユーザ辞書IDに一致するユーザ辞書IDを有するその原文に係る対訳管理データが存在するときには、訳文IDをもとに訳文データベース20cを検索し、検索された訳文と入力された訳文が一致していると、訳文を翻訳結果として通信手段18を介して検索要求元の機械翻訳装置17に返信する。
【0048】
(5) 対訳が入力された場合において、入力された原文が原文データベース20aに存在し、かつ、入力されたユーザ辞書IDに一致するユーザ辞書IDを有するその原文に係る対訳管理データが存在するときには、訳文IDをもとに訳文データベース20cを検索し、検索された訳文と入力された訳文が一致していないと、対訳データベース20(対訳管理データベース20b及び訳文データベース20c)を更新し、入力された訳文を翻訳結果として通信手段18を介して検索要求元の機械翻訳装置17に返信する。
【0049】
すなわち、この場合には、検索段階で対訳データベース20の更新も実行される。
【0050】
(6) 対訳が入力された場合において、入力された原文が原文データベース20aに存在し、かつ、入力されたユーザ辞書IDに一致するユーザ辞書IDを有するその原文に係る対訳管理データが存在しないときには、「データなし」を通信手段18を介して検索要求元に返信する。
【0051】
対訳データベース管理手段19は、検索コマンドが与えられた場合には、以上のように機能するが、更新コマンドが与えられた場合には、以下のように機能する。
【0052】
対訳データベース管理手段19は、対訳データベース20のロック状態を調べて更新可能になれば更新(新規登録を含む)する。更新処理は、原文データベース20a、訳文データベース20c及び対訳管理データベース20bの順に実行される。
【0053】
対訳データベース管理手段19は、原文データベース20aに原文を登録しようとした場合において、既に登録されていれば登録は実行せずに原文IDだけを認識し、登録されていなければ原文を原文データベース20aに登録すると共に新しい原文IDを付与する。
【0054】
対訳データベース管理手段19は、訳文データベース20cに訳文を登録しようとした場合において、既に登録されていれば登録は実行せずに訳文IDだけを認識し、登録されていなければ訳文を訳文データベース20cに登録すると共に新しい訳文IDを付与する。
【0055】
対訳データベース管理手段19は、原文データベース20a及び訳文データベース20cに対する更新処理が終了したときには、対訳管理データベース20bの更新に進み、得られた原文ID及び訳文IDと、入力されたユーザ辞書IDと、コマンドが入力された時刻印とでなる対訳管理データを、対訳管理データベース20bに追加登録し、この登録が終了すると、「登録完了」を意味する更新結果を通信手段18を介して検索要求元の機械翻訳装置17に返信する。
【0056】
図5は、機械翻訳装置17及び対訳データベース装置20間で授受されるメッセージの構成例を示すものであり、この例は、更新コマンドに係るものである。なお、図5に示す部分の先頭には、図示しないが送信元装置や送信先装置等を規定する情報も付与されている。
【0057】
メッセージは、授受されるメッセージの総量を表すメッセージ長と、検索コマンドや検索結果や更新コマンドや更新結果等の種別を表すメッセージ名と、原文や訳文やユーザ辞書名やユーザ辞書版数等の種別を表すデータ種別と、そのデータ種別のデータ量を表すデータ長と、そのデータ種別の具体的なデータとからなる。データ種別、データ長及び具体的なデータとでなる組(具体的データが存在しない組もある)が、複数繰り返されているメッセージもある。
【0058】
次に、第1実施例の機械翻訳システムの動作を、図6のフローチャートをも参照しながら詳述する。
【0059】
なお、図6は、図示の便宜上、1個の原文又は対訳に対する処理の流れで記載している。しかし、複数の原文又は対訳をまとめて入力することも可能であり、この場合には、後述するステップ122及び111の分岐先は、入力された各原文又は対訳で異なったものとなることもある。すなわち、対訳データベース20の検索や更新は、複数の原文又は対訳がまとめて入力されても個別であり、検索コマンドや更新コマンドやその結果等の授受はまとめて行なうこともできる。
【0060】
入力手段11がファイル等から入力を受け取ると(ステップ101)、入力情報中の動作モードを調べる(ステップ102)。
【0061】
動作モードが「通常翻訳モード」であると、機械翻訳手段13は、入力された原文を、ユーザ辞書及びシステム辞書や翻訳ルールを用いて翻訳し(ステップ121)、出力手段15がその翻訳結果をユーザに提示して、今回の入力に対する一連の処理を終了する(ステップ123)。
【0062】
これに対して、動作モードが「用例動作モード」であると、対訳データベース検索手段12は、原文をキーとして対訳データベース20を検索させる検索コマンドを生成して対訳データベース装置21に送信し(ステップ103)、対訳データベース装置21はこれを受信する(ステップ104)。
【0063】
対訳データベース装置21の対訳データベース管理手段19は、対訳データベース20にロックがかけられているかを調べ(ステップ105)、かけられていれば所定時間(例えば1秒)の経過を待って(ステップ125)、再びロックを確認する。このようにしてロックがかけられていないことを確認できたならば、対訳データベース管理手段19は、対訳データベース20をロックした後(ステップ106)、対訳データベース20を検索する(ステップ107)。
【0064】
次に、対訳データベース管理手段19は、今回の検索結果に応じて、対訳データベース20の更新が必要か否かを判定する(ステップ122)。上述した検索結果に応じた処理の場合分けにおいて、場合(5) のみで更新が必要であり、場合(1) 〜(4) 及び(6) の場合では更新が不要であるので、入力が対訳であって入力訳文と格納されている訳文とが使用したユーザ辞書をも含めて一致している場合か否かを判定することで、今回の検索結果に応じて、対訳データベース20の更新が必要か否かを判定する。そして、対訳データベース管理手段19は、更新が必要であれば、入力された原文及び訳文を対訳データベース20に格納させる(ステップ124)。
【0065】
このような更新処理を実行した後、又は、更新が不要な場合には直ちに、対訳データベース管理手段19は、対訳データベース20のロックをはずし(ステップ108)、その後、検索結果を検索要求元、すなわち検索要求した機械翻訳装置17の対訳データベース検索手段12に送信し(ステップ109)、その機械翻訳装置17の対訳データベース検索手段12はこの検索結果を取込む(ステップ110)。
【0066】
対訳データベース検索手段12は、取込んだ検索結果に基づいて、入力された原文又は入力された対訳に対応する対訳が対訳データベース20に存在したか否かを判定する(ステップ111)。存在していると、出力手段15がその検索結果に含まれている訳文(原文及び訳文の組でも良い)をユーザに提示して、今回の入力に対する一連の処理を終了する(ステップ123)。
【0067】
一方、入力に対応する対訳が対訳データベース20に存在しないこと(「データなし」)を認識すると、対訳データベース検索手段12は、翻訳手段13を起動して入力された原文を翻訳させる(ステップ112)。そして、対訳データベース更新手段14は、入力された原文及びその翻訳により得られた訳文を含む更新コマンドを生成して対訳データベース装置20に送信し(ステップ113)、対訳データベース装置21はこれを受信する(ステップ114)。
【0068】
対訳データベース装置21の対訳データベース管理手段19は、このときにも、対訳データベース20にロックがかけられているかを調べ(ステップ115)、かけられていれば所定時間(例えば1秒)の経過を待って(ステップ126)、再びロックを確認する。このようにしてロックがかけられていないことを確認できたならば、対訳データベース管理手段19は、対訳データベース20をロックした後(ステップ116)、更新コマンドに挿入されている原文及び訳文に基づいて対訳データベース20を更新させる(ステップ117)。
【0069】
その後、対訳データベース管理手段19は、対訳データベース20のロックをはずし(ステップ118)、更新が完了したことを更新要求元、すなわち更新要求した機械翻訳装置17の対訳データベース更新手段14に送信し(ステップ119)、その機械翻訳装置17の対訳データベース検索手段12はこの更新結果を取込む(ステップ120)。
【0070】
更新の完了を認識すると、対訳データベース更新手段14は、出力手段15を起動して、翻訳により得られた訳文(入力された原文及びその訳文の組でも良い)をユーザに提示させ、今回の入力に対する一連の処理を終了する(ステップ123)。
【0071】
このような一連の処理による態様を、「用例動作モード」について、入力文章、対訳データベース20の存在・不存在、更新されるデータ、ユーザに提示される訳文等で場合分けすると、以下のように場合分けできる。
【0072】
なお、以下の場合分けにおいては、図6上では同じ処理経路をとるものがあるが、ステップ107での検索結果やステップ117での更新処理等が他の場合と異なっている。
【0073】
(a) 原文だけが入力された場合であって、入力された原文が原文データベース20aに存在しない場合には、入力された原文が翻訳され、その原文、翻訳により得られた訳文、並びに、これら原文及び訳文を結ぶ対訳管理データが対訳データベース20に新規登録され、翻訳により得られた訳文がユーザに提示される。
【0074】
この場合の処理ステップの変化は、101〜107、122、108〜120、123である。
【0075】
(b) 原文だけが入力された場合であって、入力された原文に係る対訳は対訳データベース20に存在するが、入力されたユーザ辞書IDに一致するユーザ辞書IDを有するその原文に係る対訳管理データが対訳データベース20に存在しない場合には、入力された原文が翻訳され、翻訳により得られた訳文と、対訳データベース20に格納されている訳文とが一致すると、入力された原文及び翻訳された訳文を結ぶ新たな対訳管理データ(訳文時刻印及びユーザ辞書IDが既存のものと異なる)だけが対訳データベース20に新規登録され、翻訳により得られた訳文がユーザに提示される。
【0076】
この場合の処理ステップの変化は、101〜107、122、108〜120、123である。
【0077】
(c) 原文だけが入力された場合であって、入力された原文に係る対訳は対訳データベース20に存在するが、入力されたユーザ辞書IDに一致するユーザ辞書IDを有するその原文に係る対訳管理データが対訳データベース20に存在しない場合には、入力された原文が翻訳され、翻訳により得られた訳文と、対訳データベース20に格納されている訳文とが一致しないと、翻訳により得られた訳文と、入力された原文及び翻訳された訳文を結ぶ対訳管理データが対訳データベース20に新規登録され、翻訳により得られた訳文がユーザに提示される。
【0078】
この場合の処理ステップの変化は、101〜107、122、108〜120、123である。
【0079】
(d) 原文だけが入力された場合であって、入力された原文に係る対訳が対訳データベース20に存在し、しかも、入力されたユーザ辞書IDに一致するユーザ辞書IDを有するその原文に係る対訳管理データが対訳データベース20に存在する場合には、対訳データベース20に対する登録や更新動作は実行されず、対訳データベース20から取出された訳文とがユーザに提示される。
【0080】
この場合の処理ステップの変化は、101〜107、122、108〜111、123である。
【0081】
(e) 対訳が入力された場合であって、入力された原文すら原文データベース20aに存在しない場合には、入力された原文が翻訳され、翻訳により得られた訳文と入力された訳文とが一致すると、原文と、原文及び既格納の訳文とを結ぶ対訳管理データが対訳データベース20に登録され、翻訳により得られた訳文がユーザに提示される。
【0082】
この場合の処理ステップの変化は、101〜107、122、108〜120、123である。
【0083】
(f) 対訳が入力された場合であって、入力された原文すら原文データベース20aに存在しない場合には、入力された原文が翻訳され、翻訳により得られた訳文と入力された訳文とが一致しないと、原文と、翻訳により得られた訳文と、これら原文及び訳文を結ぶ対訳管理データが対訳データベース20に登録され、翻訳により得られた訳文がユーザに提示される。
【0084】
この場合の処理ステップの変化は、101〜107、122、108〜120、123である。
【0085】
(g) 対訳が入力された場合であって、入力された原文に係る対訳は対訳データベース20に存在するが、入力されたユーザ辞書IDと一致するユーザ辞書IDを有する対訳管理データが存在しない場合には、入力された原文が翻訳され、翻訳により得られた訳文と、対訳データベース20に格納されている訳文とが一致すると、入力された原文及び既格納の訳文(翻訳された訳文に等しい)を結ぶ新たな対訳管理データ(訳文時刻印及びユーザ辞書IDが既存のものと異なる)だけが対訳データベース20に登録され、翻訳により得られた訳文がユーザに提示される。
【0086】
この場合の処理ステップの変化は、101〜107、122、108〜120、123である。
【0087】
(h) 対訳が入力された場合であって、入力された原文に係る対訳は対訳データベース20に存在するが、入力されたユーザ辞書IDと一致するユーザ辞書IDを有する対訳管理データが存在しない場合には、入力された原文が翻訳され、翻訳により得られた訳文と、対訳データベース20に格納されている訳文とが一致しないと、翻訳により得られた訳文と、入力された原文及び翻訳された訳文を結ぶ対訳管理データが対訳データベース20に登録され、翻訳により得られた訳文がユーザに提示される。
【0088】
この場合の処理ステップの変化は、101〜107、122、108〜120、123である。
【0089】
(i) 対訳が入力された場合であって、入力された原文に係る対訳が対訳データベース20に存在し、しかも、入力されたユーザ辞書IDと一致するユーザ辞書IDを有する対訳管理データが存在するが、その対訳管理データが規定する訳文が入力された訳文と一致しない場合には、入力された訳文と、入力された原文及び訳文を結ぶ対訳管理データとが対訳データベース20に登録され、入力された訳文がユーザに提示される。
【0090】
この場合の処理ステップの変化は、101〜107、122、124、108〜111、123である。
【0091】
(j) 対訳が入力された場合であって、入力された原文に係る対訳が対訳データベース20に存在し、しかも、入力されたユーザ辞書IDと一致するユーザ辞書IDを有する対訳管理データが存在し、さらにその対訳管理データが規定する訳文が入力された訳文と一致する場合には、対訳データベース20に対する登録は実行されず、入力された訳文(既格納訳文)がユーザに提示される。
【0092】
この場合の処理ステップの変化は、101〜107、122、108〜111、123である。
【0093】
次に、以上のような第1実施例の機械翻訳システムの動作を、具体例を用いて説明する。
【0094】
図7に示す3個の原文1〜原文3が、ユーザ辞書が指定されずに「通常翻訳モード」で機械翻訳装置17に入力されると、ステップ101〜103、123を経由して直ちにそれらの翻訳結果がユーザに提示される。図8は、原文及び訳文の組で翻訳結果を提示した場合を示しており、訳文1、訳文2、訳文3はそれぞれ原文1、原文2、原文3に対応しているものである。
【0095】
これに対して、図7に示す3個の原文1〜原文3が、ユーザ辞書が指定されずに「用例翻訳モード」が付与されて機械翻訳装置17に入力されると、機械翻訳装置17及び対訳データベース装置21は、原文1〜原文3のそれぞれに対して訳文生成及び対訳登録を伴なう上述した場合(a) の処理を行なって、結果としては、「通常翻訳モード」で機械翻訳装置17に入力された場合と同様に図8に示す翻訳結果をユーザに提示する。
【0096】
しかしながら、この場合には、対訳データベース20に対する検索、更新が実行され、原文データベース20aには上述した図2に示す内容が登録され、訳文データベース20cには上述した図3に示す内容が登録され、対訳管理データベース20bには上述した図4に示す内容が登録される。
【0097】
一般的に、システム辞書だけを用いた翻訳では(ユーザ辞書を利用してたとしても)、良好な翻訳が得られることは少なく、訳文が後編集されることが多い。また、一方で、機械翻訳の出力(訳文)を見て、訳文を直接変更するのではなく、原文を変更したり、ユーザ辞書に単語を登録したり、あるいは両方を同時に行なったりした後に、再度翻訳することによって、よりよい訳文を得るという前編集作業が行なわれることもある。また、前編集と後編集とが併用されることもある。
【0098】
以下では、前編集と後編集とが併用されている例について説明する。ここでは、図9に示すように、原文1が原文4に修正され、訳文2が訳文4に修正され、これら3個の対訳(原文4及び訳文1、原文2及び訳文4、並びに、原文3及び訳文3)が、ユーザ辞書が指定されずに「用例翻訳モード」が付与されて機械翻訳装置17に入力されたとする。
【0099】
このとき、機械翻訳装置17及び対訳データベース装置21は、原文4及び訳文1でなる対訳に対しては新しい訳文(訳文5)の形成を伴なう上述した場合(f) の処理を行ない、原文2及び訳文4でなる対訳に対してはその対訳の追加登録を伴なう上述した場合(i) の処理を行ない、原文3及び訳文3でなる対訳に対しては対訳データベース20の更新を実行しない上述した場合(j) の処理を行なって、結果として、図10に示す翻訳結果をユーザに提示する。
【0100】
このような処理により、原文データベース20aは図示は省略するが図2の内容に原文4が追加された内容に更新され、訳文データベース20cは図3に示す内容に2個のレコードが追加された図11に示す内容に更新され、対訳管理データベース20bは図4に示す内容に2個のレコードが追加された図12に示す内容に更新される。
【0101】
対訳データベース20の各データベース20a、20b、20cがこのような内容のときに、図13に示す4個の原文4、原文2、原文5及び原文3が、図14に示すユーザ辞書(ユーザ辞書ID=ws.001)が指定されて「用例翻訳モード」で機械翻訳装置17に入力されるとする。
【0102】
このとき、機械翻訳装置17及び対訳データベース装置21は、原文4に対しては対訳管理データだけを追加する場合(b) の処理を行ない、原文2及び原文3に対しては翻訳された訳文データ及び対訳管理データを追加する場合(c) の処理を行ない、原文5に対しては訳文生成及び対訳登録を伴なう上述した場合(a) の処理を行なって、結果として、図15に示す翻訳結果をユーザに提示する。
【0103】
このような処理により、原文データベース20aは図示は省略するが図2の内容に加えて原文4を有する内容に、さらに原文5が追加された内容に更新され、訳文データベース20cは図11に示す内容に3個のレコードが追加された図16に示す内容に更新され、対訳管理データベース20bは図12に示す内容に3個のレコードが追加された図17に示す内容に更新される。
【0104】
従って、上記第1実施例によれば、対訳データベースを設けて過去に翻訳された対訳を格納しておき、原文又は対訳入力時に、同一内容の原文に対する対訳が対訳データベース20に格納されているか否かを判定し、その判定結果によっては、翻訳を実行しないようにしたので、また、入力された対訳、又は、入力された原文及びその翻訳された訳文を対訳データベース20に登録するようにしたので、同一文章を重複翻訳するという無駄を省くことができ、同一文章について統一がとれた訳文をユーザに提示することができる。
【0105】
また、上記第1実施例によれば、動作モードとして「通常翻訳モード」と「用例翻訳モード」を設けたので、ユーザが動作モードを適宜選択できて使い勝手を良好なものとしている。ユーザが翻訳結果の早期の提示を希望したり同一文章を過去に翻訳したことがないことが分かっていたりした場合(例えば翻訳開始直後)には「通常翻訳モード」を選択し、同一の文章に対する統一がとれた翻訳結果を希望する場合には「用例翻訳モード」を選択すれば良い。
【0106】
さらに、第1実施例によれば、対訳データベース20の対訳データにユーザ辞書IDを含めるようにしたので、対訳が既に存在していても入力のユーザ辞書IDとユーザ辞書IDが異なる場合にも翻訳させるようにしたので、翻訳結果がより良好となる最新のユーザ辞書を尊重したことになり、訳語が一貫した統一のとれた翻訳結果を提示することができる。
【0107】
(B)第2実施例
次に、本発明による機械翻訳システムの第2実施例を図面を参照しながら詳述する。なお、第2実施例の機能ブロック図も、上述した第1実施例に係る図1で表すことができる。
【0108】
この第2実施例は、対訳データベース20の更新は、常に更新コマンドが与えられた場合にのみ実行させるようにしたものである。
【0109】
すなわち、第1実施例においては、検索コマンドが与えられたときにおいて、その検索結果が場合(5) のときには、その段階で、対訳データベース20を更新していた。しかし、第2実施例では、検索結果が場合(5) のときに相当するときでも、この段階での更新を実行せず、その後に更新コマンドが与えられたときに対訳データベース20を更新することとした。
【0110】
従って、対訳データベース管理手段19は、検索結果が第1実施例における場合(5) に相当するときには、以下の場合(5a)の処理を行なう。
【0111】
(5a)対訳が入力された場合において、入力された原文が原文データベース20aに存在し、かつ、入力されたユーザ辞書IDに一致するユーザ辞書IDを有するその原文に係る対訳管理データが存在するときには、訳文IDをもとに訳文データベース20cを検索し、検索された訳文と入力された訳文が一致していないと、入力された訳文を翻訳結果として通信手段18を介して検索要求元に返信する。
【0112】
図18は、第2実施例のシステムの全体処理を示すものであり、上述した図6との同一、対応ステップには同一符号を付して示している。
【0113】
対訳データベース20を検索するステップ107までの処理は、第1実施例と同様である。第1実施例では、この後に条件判定して適宜対訳データベース20の更新を行なっていたが、第2実施例では、直ちにステップ108に進んでロックをはずしてステップ109において検索結果の送信を行なう。
【0114】
機械翻訳装置17が、それを受信して対訳データベース20に入力に係る対訳が存在するか否かを判定する処理(ステップ110及び111)は、第1実施例と同様である。
【0115】
しかし、第2実施例では、対訳データベース20に入力に係る対訳が存在しても(「データなし」以外の結果を受信しても)、直ちに翻訳結果の提示処理ステップ123には移行せず、翻訳を伴なうことがない入力された対訳の更新処理が必要か否かを判定する(ステップ122)。すなわち、「データなし」以外の検索結果が与えられる場合のうちの場合(5a)になっているか否かを判定する。例えば、対訳入力時において、検索結果が入力された訳文そのものであるか否かでかかる判定を行なうことができる。
【0116】
そして、検索結果が場合(5a)であれば、ステップ113の更新コマンドの送信処理に進み、検索結果が場合(5a)以外であれば(「データなし」か否かは既に確認済み)、翻訳結果の提示処理ステップ123には移行する。
【0117】
第2実施例においても、ステップ113以降の処理は、第1実施例と同様であり、その説明は省略する。
【0118】
このように、第2実施例においては、対訳データベース20の更新が必要な場合には、常に更新コマンドを発行して、対訳データベース20の更新を実行させている。
【0119】
この第2実施例は、入力された原文を翻訳することなく入力された対訳を対訳データベース20に登録させる場合の処理の流れが、第1実施例とは異なっているが、この第2実施例によっても、第1実施例と同様な効果を奏することができる。
【0120】
(C)第3実施例
次に、本発明による機械翻訳システムの第3実施例を図面を参照しながら詳述する。なお、第3実施例の機能ブロック図も、上述した第1実施例に係る図1で表すことができる。
【0121】
この第3実施例は、動作モードとして、上述した「通常翻訳モード」及び「用例翻訳モード」に加えて、「対訳投入モード」を設けたものである。
【0122】
「対訳投入モード」は、対訳データベース20に対訳を登録させる動作を行ない、対訳データベース20の検索や入力原文の翻訳は一切行なわない動作モードである。例えば、訳文のみを後編集した最終的な対訳を、対訳データベース20に格納する場合には、検索動作を伴なう「用例翻訳モード」より「対訳投入モード」の方が処理時間が短縮されるので、実用的である。
【0123】
図19は、第3実施例のシステムの全体処理を示すものであり、上述した図6との同一、対応ステップには同一符号を付して示している。
【0124】
この第3実施例では、動作モードの判定ステップ302aでは、3種類のモードのいずれであるかを判定している。「通常翻訳モード」であれば、第1実施例と同様に、ステップ121以降の処理を行なう。「用例翻訳モード」であれば、第1実施例と同様に、ステップ121以降の処理を行なう。
【0125】
「対訳投入モード」の場合には、ステップ113以降の処理を行なう。すなわち、入力された原文及び訳文等を含む更新コマンドを直ちに作成して対訳データベース装置21に送信させて更新(投入)を実行させる。なお、ユーザの提示処理においては(ステップ123a)においては、「通常翻訳モード」及び「用例翻訳モード」では翻訳結果を提示し、「対訳投入モード」では登録が終了したことを提示する。
【0126】
この第3実施例によっても、第1実施例と同様な効果を奏することができる。これに加えて、第3実施例によれば、対訳データベース20に対訳を単に登録(投入)させる「対訳投入モード」をも設けているので、一段とユーザの使い勝手を良好なものとすることができる。
【0127】
(D)第4実施例
次に、本発明による機械翻訳システムの第4実施例を図面を参照しながら詳述する。ここで、図20が第4実施例を示す機能ブロック図であり、図1との同一、対応部分には同一符号を付して示している。
【0128】
この第4実施例は、ネットワーク22にさらに文書検索装置30が接続されているシステムである。
【0129】
文書検索装置30は、文書を格納している文書格納手段33と、外部装置からの依頼に応じて文書格納手段33から所定文書を取出す文書検索手段32と、外部装置とのリンクの確立及び切断や情報授受を行なう通信手段31とからなっている。
【0130】
第4実施例の機械翻訳装置17には、文書検索装置30に文書の検索を依頼し、返信されてきた文書を受信する文書検索依頼手段34が設けられている。文書検索依頼手段34は、検索文書を受信すると、その受信文書を「用例翻訳モード」で入力手段11に入力するものである。
【0131】
すなわち、この第4実施例においては、検索指示に応じて文書検索依頼手段34が文書検索装置30から取出した文書を直ちに機械翻訳構成に入力させて翻訳結果を得るものである。なお、入力手段11には、第1実施例と同様な入力方法で入力することもできる。
【0132】
この第4実施例によっても、第1実施例と同様な効果を奏することができる。これに加えて、第4実施例によれば、翻訳を希望する文書(複数の文章の塊)が他装置にある場合でも、検索指示と翻訳指示とをユーザが別個に操作入力することなく、その文書の翻訳結果を速やかに得ることができる。
【0133】
(E)他の実施例
(1) 上記実施例においては、「通常翻訳モード」及び「用例翻訳モード」を用意したシステム、又は、「通常翻訳モード」、「用例翻訳モード」及び「対訳投入モード」を用意したシステムを示したが、「用例翻訳モード」及び「対訳投入モード」を用意したシステムや、「用例翻訳モード」だけを有するシステムであっても良い。
【0134】
(2) 上記実施例においては、英日翻訳のシステムを示したが、他の2言語間の翻訳システムに適用できることは勿論であり、システムが対応できる翻訳方向が2以上のものであっても良い。
【0135】
(3) 上記実施例においては、入力の同一性の判断単位や対訳データベースの更新単位を1文章としたものを示したが、複数の文章(例えば段落)を単位として、入力の同一性の判断(検索)や対訳データベースの更新を行なうようにしても良い。
【0136】
例えば、過去に翻訳されている大半の文章が過去のものもと一致する操作マニュアルの改訂版を翻訳する場合には、このような大きな単位での処理は好ましいものである。
【0137】
(4) ユーザ辞書IDは、ユーザ辞書の属性を規定できるものであれば良く、時間的な情報は版数に限定されず、更新日や作成日であっても良い。
【0138】
また、ユーザ辞書を複数指定しても良い。ユーザ辞書を複数指定する場合は、複数のユーザ辞書全てのIDが等しい場合を、ユーザ辞書に関する同一性の条件とするのが望ましい。
【0139】
(5) 上記実施例においては、原文とユーザ辞書IDが同じであっても訳文が異なる場合には、異なる対訳として対訳データベース20に登録するものを示したが、原文とユーザ辞書IDが同じ対訳は1個のみ対訳データベース20に登録するようにしても良い。この場合には、後から対訳データベース装置21に入力されたものは後編集処理等に供されていることが多いので、そちらだけを登録するようにすれば良い。このようにすると、対訳管理データベース20bにおける訳文時刻印を不要にすることができ、記憶容量を軽減することができる。
【0140】
例えば、図12における上から5番目のレコードを登録するときには、図12における上から2番目のレコードを消去する。このときには、図11における上から2番目のレコードも消去する。
【0141】
(6) さらに、対訳データベース装置21での検索処理及び更新処理にユーザ辞書IDを用いないシステムとしても良い。
【0142】
(7) ユーザ辞書ID以外の機械翻訳機能のオプション項目を、ユーザ辞書IDに代えて、又は、加えて、対訳データベース装置21での検索処理及び更新処理に用いるようにしても良い。例えば、英文の操作マニュアルにおける「you 」を「あなた」と訳出するか否かの設定項目情報を、対訳データベース20に盛り込んで対訳データベース装置21での検索処理及び更新処理に用いるようにしても良い。
【0143】
(8) 原文データベースや訳文データベース等の構造は、木構造に限定されるものではない。例えば、ハッシュキーをインデックスとした配列をデータ構造に用いることができる。
【0144】
(9) 「対訳投入モード」を有するシステムにおいて、「用例翻訳モード」での入力では対訳の入力を許容しないシステムにしても良い。
【0145】
(10)上記実施例においては、対訳データベース20を更新させるときにも、原文データベース20a等の検索を再度実行するものを示したが、検索結果で「データなし」を返送する場合において同じ原文が登録されていればその原文IDをも検索結果に含め、更新コマンドにもその原文IDを含めるようにして、更新時に原文の検索を省略させるようにしても良い。
【0146】
(11)上記実施例においては、更新が必要な場合に、更新終了後に訳文のユーザへの提示を行なうものを示したが、ユーザの提示処理を先に実行するようにしても良い。この場合に、ユーザへの提示画面に更新実行有無をユーザに問うメッセージを表示させ、更新の実行を行なうか否かをユーザに選択させるようにしても良い。また、ユーザへの訳文提示を後で行なう場合であっても、更新実行有無をユーザに問うメッセージを表示させ、更新の実行を行なうか否かをユーザに選択させるようにしても良い。
【0147】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、対訳データベースを設けて過去に翻訳された対訳を格納しておき、入力時に、入力に対応する対訳が対訳データベースに格納されているか否かを判定し、その判定結果によっては、翻訳を実行せずに対訳データベースから取出した訳文を提示すると共に、入力された対訳、又は、入力された原文及びその翻訳された訳文を対訳データベースに登録するようにしたので、同一文章を重複翻訳するという無駄を省くことができると共に、同一文章について統一がとれた訳文をユーザに提示することができる機械翻訳システムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の機能ブロック図である。
【図2】第1実施例の原文データベースの格納例(その1)の説明図である。
【図3】第1実施例の訳文データベースの格納例(その1)の説明図である。
【図4】第1実施例の対訳管理データベースの格納例(その1)の説明図である。
【図5】第1実施例の両装置間での授受メッセージの構成説明図である。
【図6】第1実施例の全体処理を示すフローチャートである。
【図7】第1実施例の入力例(その1)の説明図である。
【図8】第1実施例の出力例(その1)の説明図である。
【図9】第1実施例の入力例(その2)の説明図である。
【図10】第1実施例の出力例(その2)の説明図である。
【図11】第1実施例の訳文データベースの格納例(その2)の説明図である。
【図12】第1実施例の対訳管理データベースの格納例(その2)の説明図である。
【図13】第1実施例の入力例(その3)の説明図である。
【図14】第1実施例のユーザ辞書例の説明図である。
【図15】第1実施例の出力例(その3)の説明図である。
【図16】第1実施例の原文データベースの格納例(その3)の説明図である。
【図17】第1実施例の原文データベースの格納例(その3)の説明図である。
【図18】第2実施例の全体処理を示すフローチャートである。
【図19】第3実施例の全体処理を示すフローチャートである。
【図20】第4実施例の機能ブロック図である。
【符号の説明】
11…入力手段、12…対訳データベース検索手段(対訳検索依頼手段)、13…翻訳手段、14…対訳データベース更新手段(対訳更新依頼手段)、15…出力手段、16、18…通信手段、17…機械翻訳装置、19…対訳データベース管理手段、20…対訳データベース、20a…原文データベース、20b…対訳管理データベース、20c…訳文データベース、21…対訳データベース装置、22…ネットワーク。
Claims (3)
- 1又は2以上の機械翻訳装置と、これら機械翻訳装置に共通に設けられた対訳データベース装置とを通信ネットワークに接続した機械翻訳システムであって、上記各機械翻訳装置が、少なくとも原文を含む入力を取り込む入力手段と、上記入力手段が取り込んだ入力に対する対訳が上記対訳データベース装置に格納されているかの検索指示を上記対訳データベース装置に与えると共に、上記対訳データベース装置からの検索結果を受信して、入力された原文の翻訳の必要性を判定する対訳検索依頼手段と、入力された原文を翻訳する翻訳手段と、入力された原文及び入力された訳文でなる対訳情報、又は、入力された原文及びそれを上記翻訳手段が翻訳した訳文でなる対訳情報を含む更新指示を上記対訳データベース装置に与える対訳更新依頼手段と、上記対訳データベース装置からの検索結果及び入力内容に応じて、入力された原文に対する訳文として、検索結果に含められている訳文又は上記翻訳手段で翻訳された訳文を出力する出力手段とを備え、上記対訳データベース装置が、対訳を格納している対訳データベースと、いずれかの上記機械翻訳装置からの検索指示に応じて、その機械翻訳装置の上記入力手段が取り込んだ入力に対する対訳が上記対訳データベースに格納されているかを検索して検索結果を返信すると共に、いずれかの上記機械翻訳装置からの更新指示に応じて、上記対訳データベースを更新させる対訳データベース管理手段とを備え、
入力にユーザ辞書情報を含めると共に、上記対訳データベースに格納する対訳にもユーザ辞書情報を含め、
上記対訳データベース管理手段は、検索指示に応じて検索した場合において、上記入力手段が取り込んだ原文又は対訳と、原文及び訳文の組み合わせが合致する対訳が上記対訳データベースにあっても、ユーザ辞書情報が異なる場合には、対応する対訳が上記対訳データベースに存在しないことを返信する
ことを特徴とする機械翻訳システム。 - 上記機械翻訳装置の動作モードとして、上記対訳データベース装置の検索、更新を伴う用例翻訳モードと、入力された原文を単純に翻訳して出力する通常翻訳モードとを設け、通常翻訳モードが指示されて入力がなされた場合、上記入力手段が取り込んだ原文を上記翻訳手段が翻訳し、得られた訳文を上記出力手段が出力することを特徴とする請求項1に記載の機械翻訳システム。
- 上記機械翻訳装置の動作モードとして、上記対訳データベースに対訳を登録させる対訳投入モードを設け、対訳投入モードが指示されて入力がなされた場合、上記入力手段が取り込んだ原文及び訳文でなる対訳情報を含む更新指示を対訳更新依頼手段が上記対訳データベース装置に与えて上記対訳データベースを更新させることを特徴とする請求項1又は2に記載の機械翻訳システム。
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